JP2004339730A - フープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法 - Google Patents

フープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法 Download PDF

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Abstract

【課題】現場へのフープ筋関連資材の効率的運搬を実現し、しかも現場における配筋作業の労力負担を大幅に軽減できるフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法を提供する。
【解決手段】屈曲自在の線材3を用いてフープ筋2が複数連結され、吊設状態で各フープ筋2,2,…が所定間隔Lをあけて上下方向に一列に整列するフープ筋の配筋ユニット1を形成し、次に、その配筋ユニット1を柱用主筋4へ嵌入し、その後、該配筋ユニット1の上部を持ち上げて、最上段のフープ筋2aを柱用主筋4に固定する。
【選択図】 図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は柱用フープ筋の配筋の技術分野で、フープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、柱用鉄筋の組み立ては例えば平面視四角形の各コーナに柱用主筋を起立させた後、該主筋に複数のフープ筋を巻装し、これらフープ筋を上下方向に所定間隔をあけて順次配筋固定する方法が採られてきた。
しかし、現場で作業員が各フープ筋の配設位置にマーキングし、さらに夫々のフープ筋を所定間隔離して、一個ずつフープ筋を手で保持しながら主筋に結束する工法は手間がかかり、作業負担が大きかった。こうしたことから、これらを改善する発明技術がこれまでいくつか提案されてきた(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−187098公報(第1−3頁)
【特許文献2】
特開平7−300999公報(第1−4頁)
【0004】
特許文献1の技術は、予め工場で捨て筋とフープ筋により先組みされた籠体にスペーサを装着し、現場ではそれをクレーンで吊り下げて柱用主筋に挿入した後、主筋にそれぞれのフープ筋を結束して柱筋を組み立てるものである。柱主筋に先組みされたフープ筋を挿入することにより、フープ筋の配筋が容易に行えて作業性の向上を図るとしている。
特許文献2の技術は、例えば四隅及び中間に配置した柱用主筋に対し、柱用主筋を取り巻く多数のフープ筋を予め下部に積層しておき、多数の孔を所定ピッチで有する配筋保持棒を少なくとも2本前記中間の柱用主筋のうち対向する2本に沿わせて立設固定し、次に下部に積層されている多数のフープ筋を上から順に前記配筋保持棒の所定の孔の位置より少し上方まで持ち上げ、当該配筋保持棒の所定の孔にピンを突出状に挿入した後、フープ筋を離して挿入された両側のピンにて仮保持する作業を繰り返し、全てのフープ筋を所定間隔にて多段的に仮保持した状態にて各フープ筋を四隅の柱用主筋に番線にて結束固定し、次いで配筋保持棒とピンを撤去するものである。作業者のポケットに入れた多数のピンを順次取り出してフープ筋の仮保持を簡単にし、配筋作業の効率アップを目指す。配筋保持具も構造を簡単にし軽量になるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、特許文献1の籠体は2本の捨て筋の全長に適宜間隔ごとにフープ筋を配筋して形成したもので、工場でその先組みされた籠体は剛体で占有空間が大きく嵩張っていた。一旦先組みされた籠体は変形させて小さくするのも困難で、重量の割に嵩張り、工場から現場まで運ぶ運搬コストを増大させる問題があった。さらに現場においても、フープ筋が所定ピッチで配筋,立体化された文字通り籠状の籠体は、大きな場所をとり、持ち運びやその保管に苦労した。
また特許文献2において、配筋保持棒の所定の孔の位置より少し上方まで持ち上げ、当該配筋保持棒の所定の孔にピンを突出状に挿入した後、フープ筋を離して挿入された両側のピンにて仮保持する作業を繰り返す作業は、結構手間がかかり現場における作業負担が依然として大きかった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するもので、現場へのフープ筋関連資材の効率的運搬を実現し、しかも現場における配筋作業の労力負担を大幅に軽減できるフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、フープ筋と屈曲自在の線材とを具備し、該線材を用いてフープ筋が複数連結され、吊設状態で各フープ筋が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列してなることを特徴とするフープ筋の配筋ユニットにある。
請求項2に記載の発明の要旨は、屈曲自在の線材を用いてフープ筋が複数連結され、吊設状態で各フープ筋が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するフープ筋の配筋ユニットを形成し、次に、その配筋ユニットを柱用主筋へ嵌入し、その後、該配筋ユニットの上部を持ち上げて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定することを特徴とする柱用フープ筋の配筋工法にある。
請求項3の発明たる柱用フープ筋の配筋工法は、請求項2で、柱用主筋の最上部をすぼめるよう仮結束した後、配筋ユニットの上部を持ち上げ、その後、前記仮結束を解いて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定することを特徴とする。
【0008】
請求項1,2の発明のごとく、屈曲自在の線材を用いてフープ筋が複数連結され、吊設状態で各フープ筋が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するフープ筋の配筋ユニットにすると、フープ筋を積み重ねることによりコンパクト収納できる。従って、これを工場で製作して現場に運ぶ場合に輸送コストを低減できる。現場で保管する場合も場所をとらずに済む。
そして、フープ筋の配筋施工で、配筋ユニットを柱用主筋へ嵌入し、その後、該配筋ユニットの上部を持ち上げて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定すると、予め各フープ筋が所定間隔をあけて繋縛されているので、最上段フープ筋を柱用主筋に固定するだけでその下に繋がる多数のフープ筋がセットされた状態になる。各フープ筋の配設位置にいちいちマーキングし、さらに夫々のフープ筋を所定間隔離して、一個ずつフープ筋を手で保持しながら主筋に結束する手間がいらない。フープ筋の配筋工期が大幅に短縮する。
加えて、請求項3の発明のごとく、柱用主筋の最上部をすぼめるよう仮結束した後、配筋ユニットの上部を持ち上げ、その後、前記仮結束を解いて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定すると、配筋ユニットの上部を持ち上げで各フープ筋の上動が円滑に進む。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法について詳述する。図1〜図12は本発明のフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法の一形態で、図1は配筋ユニットの斜視図、図2はフープ筋の線材で結束し繋いでいく概略工程図、図3は図2(ニ)の右側面図、図4はフープ筋を線材で結束する模様を示す模式図、図5はいくつかのフープ筋の具体的形状を示す平面図、図6〜図12は柱用フープ筋の配筋工法の各工程図を示す。
【0010】
(1)フープ筋の配筋ユニット
フープ筋2の配筋ユニット1は屈曲自在の線材3を用いて複数のフープ筋2を繋ぎ、吊設状態で各フープ筋2が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するようにしたものである。詳しくは、屈曲自在の線材を用いてフープ筋2を一個ずつ縛って複数のフープ筋2,2,…が繋縛され、吊設状態で各フープ筋2が水平を保持し所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するフープ筋2の配筋ユニット1が形成される。フープ筋2は鉄筋加工品で、図5のごとく主筋4に嵌装(巻装)し得る環状体になる。線材3には天然糸,合成糸やそれらを束ねた紐又はロープ、また金属製針金等がある。重量のあるフープ筋2を保持する役目を担うことから、機械的強度に優れる鋼線,鉄線等の金属製線材3が好ましい。
配筋ユニット1を積み重ねれば図1の下部に示すごとく各フープ筋2が積層状態に積み上げられる一方、上部(例えば最上段のフープ筋2a)を持ち上げると、同図の白抜き矢印の上方に示すごとく4本の線材3で数珠つなぎに繋がっている各フープ筋2,2,…がほぼ水平を保ちながら所望ピッチ間隔L,L,L,…Ln−1,Lを確保して全体長さSが縦方向に大きく広がる。この配筋ユニット1の状態変化は細い竹ひごの骨に紙を張り折り畳めるようにした提灯(ランタン)に似ている。配筋ユニット1は竹ひごがフープ筋2に紙がフープ筋2を繋ぐ線材3に相当するランタン状体となる。符号32はフープ筋2に巻かれた線材3の巻回部を示す。符号33は結束部で、巻回部32の一部を捩ってフープ筋2を結束固定している。
【0011】
具体的な配筋ユニット1の形成は、先ず所定形状のフープ筋2と例えば0.2mmφ程度の鉄線からなる線材3を準備する。フープ筋2として図5のごとく様々な形状品を用いることができる。ここでは図5(ホ)の四角形環体のものを使用する。図5中、符号21はフープ筋2を形成する鉄筋本体部、符号22は圧接溶接等の継手部、符号23は曲げ加工でフープ筋2を形成する所定長さの鉄筋のその端部を示す。
例えば株式会社キャダック製の結束試験機を用い、図1で各フープ筋2の四角形環体の手前に位置する辺の中間部位を線材3でそれぞれ所定線分L,L,L,…を余して結束し、また四角形環体の左右、奥の方に位置する各辺の中間部位を線材3でそれぞれ所定線分L,L,L,…を余して結束する。トータルで(n+1)個の縦方向に水平配設されたフープ筋2を四方四箇所にて4本の線材3で縦方向に連結していく。符号34は線材3の余剰引出し部である。最上段のフープ筋2aを持ち上げれば、各フープ筋2,2,…が所定間隔L,L,…Ln−1,Lをあけ、縦長さがSとなる配筋ユニット1が形成される(図1)。各フープ筋2の四辺の各中間部位が線材3で繋縛されていることから、最上段のフープ筋2aを持ち上げたとき、フープ筋2の全てが水平に保たれる。フープ筋2の各間隔L,L,…Ln−1,Lは主筋4に配筋固定する際のピッチに設定される。該間隔に関しては同一寸法に限定されず、客先指定により異なる寸法に設定することが可能である。
配筋ユニット1は屈曲自在の鉄線等の線材3を用いていることから、フープ筋2を積み上げれば、フープ筋2に使用された鉄筋棒の棒径D[mm]に、配筋ユニット1を構成するフープ筋2の個数たる(n+1)を乗じただけの高さH[mm]に縮めることができる(図7)。
【0012】
前記線材3によるフープ筋2の結束は図1の円内拡大図、図4(ロ)のような格好になる。結束は前記結束機を用いて図2,図3の手順で行われる。結束機は基盤h上の起立片iに保持部材fを介して取着される旋回部材gと、基盤h上の起台jに取着されるL形アームeとを備える。L形アームeのアーム本体eは支軸eにより回転自在に支持され、アーム本体eには頭部eに主ピンeが肩部に副ピンeが立設する。旋回部材gは保持部材fの透孔fに軸部gを回転自在に挿着し、該軸部gに一体化するコ字形係合部gがL形アームeに対向配設される。
【0013】
最初の工程の図2(イ)はコ字形係合部gの凹みg22にL形アームeの頭部eが嵌入した状態を示す。線材3が既に結束を終えたフープ筋2から上方に伸び、L形アームeに係る主ピンeと副ピンeの間を通過し、旋回部材gの通孔gを通って軸部gから上方へ向かっている。斯る状態から、L形アームeが支軸eを中心に後方(同図の時計回り)に回転傾倒し、これに伴う主ピンe,副ピンeの動きによって線材3を上方に位置する線材繰出し部(図示せず)から引出し、「く」の字状の弛み39を形成する(図2のロ)。次に、L形アームeの回転傾倒でできたL形アームeと旋回部材gとの空きスペースに、結束しようとするフープ筋2を右側から侵入させる(図2のハ)。続いて、L形アームeを回転させ、その頭部eをコ字形係合部gの凹みg22に嵌入させる(図2のニ)。この嵌入に至る動作で前記「く」の字状の弛み部分39がフープ筋2に巻く付くようになり、線材3の巻回部32が形成される。主ピンeに係止される線材部分36がコ字形係合部gの凹み内にある線材部分35に近接する。しかる後、図3の鎖線のごとくL形アームeを前方に進出させ、主ピンe2を線材部分36から外すと同時に、図示しないモータで軸部gを回転させ、軸部gと一体のコ字形係合部gが旋回することによって両線材部分35,36を捩って結束部33を形成する。図4の(イ)から(ロ)に至る変化は、図2(ニ)のコ字形係合部gが旋回することによって結束部33を形成する模様を簡略図示したものである。図4(イ)の矢印はコ字形係合部gの旋回方向を表す。図4(イ)で両線材部分35,36を捩って、線材3でフープ筋2に係る中間部位を結束後、線材3を張ることにより時計方向に90°回転させた形態が図4(ロ)になる。その後、結束されたフープ筋2を所定ピッチ分だけ下にずらし、前述の工程を順次繰り返す。斯る工程を、四角形環体のフープ筋2に係る各辺中間部位の4カ所で、4本の線材3を使って行う。かくして、複数のフープ筋2を繋げた所望の配筋ユニット1が形成される。図中、符号g21は線材のガイド溝を示す。
かくのごとくして、線材3でフープ筋2が一個ずつ縛られて、複数のフープ筋2,2,…が吊設状態で所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するフープ筋の配筋ユニット1が出来上がる。
【0014】
(2)配筋ユニットを用いた柱用フープ筋の配筋工法
前記配筋ユニット1は結束機のある工場等で予め製作され、その後、フープ筋2を積み重ねコンパクト形態にして作業現場へ運搬する。
柱用フープ筋2を配筋する作業現場では、基礎コンクリート5の天端5a(上面)に所定の主筋4の突出し部4aが平面視四角形の各コーナ位置に起立する(図6)。主筋4は平面視四角形の各コーナ4箇所に限らず、図8の破線で示した主筋4,4の中間点にも起立させることができる。符号THは調整フープ筋2を示す。フープ筋2が積み重なった配筋ユニット1を柱用主筋4に嵌入し、主筋4に巻装する形で、まず天端上に配筋ユニット1を載置する(図7,図8)。
【0015】
次に、主筋4が所定高さになるよう突出し部4aに継ぎ足し部4bを足し、その接合部4cを圧接溶接する(図9)。そして、最上段のフープ筋2aが配設される位置にマーキング41を施す。突出し部4aに継ぎ足し部4bを圧接接続した主筋4に、配筋ユニット1を嵌入,載置してもよいが、本実施形態のごとく突出し部4aに配筋ユニット1を嵌入,載置してから継ぎ足し部4bを足す方が主筋4への配筋ユニット1の嵌入が行い易くより好ましい。
【0016】
続いて、主筋4の最上部43をすぼめるよう番線等を用いて仮結束する(図10)。鉄筋で構成される主筋4は弾性変形可能である。突出し部4aに継ぎ足し部4bが接続されて長くなっているので、主筋4の最上部43を比較的容易に番線等の針金6ですぼめるよう縛ることができる。番線6等によって4本(それ以上の本数がある場合はそれら全て)の主筋4が最上部43で寄せ集められるようにして拘束され、各主筋4はそれぞれ図10のごとく最上部43にいくに従い平面視四角形の各コーナ地点から中心寄りに傾倒する。
【0017】
その後、配筋ユニット1の上部を持ち上げ、最上段に配されるフープ筋2aをマーキング41の位置に合わす。本実施形態は吊り上げ具7のロープ72の下端にあるフック71を最上段に配されるフープ筋2aに引っ掛けて持ち上げ、配筋ユニットを吊設状態にし、最上段フープ筋2aをマーキング41付近へ移動させる。
ここで、配筋ユニット1は既述のごとくフープ筋2が線材3で繋がっているので、最上段フープ筋2aが持ち上げられると、その下方にある各フープ筋2,2,…も最上段フープ筋2aに引かれて持ち上げられていく。主筋4の最上部43が番線ですぼめられているので、各フープ筋2は主筋4につかえることなく円滑に上動する。その後、前記結束部材6の仮拘束を解く。そして最上段フープ筋2aをマーキング41位置にて主筋4に番線8等で結束固定すると、配筋ユニット1のフープ筋2の各間隔L,L,…Ln−1,Lが主筋4に配筋固定する際のピッチに設定されているので、最上段フープ筋2aの下方にある全てのフープ筋2が重力で垂れ下り、自動的に各フープ筋2が所定間隔をあけ所望位置に配設セットされ、柱用フープ筋2の配筋工事があっという間に完成する。現場で作業員が各フープ筋2の配設位置にマーキング41し、さらに夫々のフープ筋2を所定間隔離して、一個ずつフープ筋2を手で保持しながら主筋4に結束する従来の労苦から開放される。
最上段フープ筋2aをマーキング41位置で主筋4に番線8等で結束固定するにとどまらず、最上段フープ筋2aの下方にある全てのフープ筋2も主筋4に結束固定して配筋工事を終えるようにしてもよい。また最上段フープ筋2aと最下段フープ筋2だけを主筋4に番線8等で結束固定する方法でもよい。客先仕様に従う。
主筋4にフープ筋2の配筋処理を終えた柱筋にコンクリートが施され、所望の鉄筋コンクリート柱が出来上がる。線材3は鉄筋コンクリート柱内に埋設される。本実施形態は鉄筋コンクリート柱に適用したが、鉄骨鉄筋コンクリート柱にも勿論適用できる。
【0018】
このように構成したフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋2の配筋工法によれば、工場で予めフープ筋2の配設ピッチに対応させた配筋ユニット1を効率良く製作でき、現場において作業員が各フープ筋2の配設位置にマーキング41をしたり、夫々のフープ筋2を所定間隔離してセットしたりして、一個ずつフープ筋2を手で保持しながら主筋4に結束する作業をなくすことができる。
現場では、最上段のフープ筋2aが配設される位置にマーキング41を施し、後は主筋4に嵌入させた配筋ユニット1の最上段フープ筋2aを持ち上げ、その最上段フープ筋2aをマーキング41位置に合わせ結束固定するだけである。最上段フープ筋2aより下に配設される多数のフープ筋2に関してはマーキング41することも主筋4の所定位置に手で保持しセットすることも不要である。最上段フープ筋2aがマーキング41位置に合わせ結束固定されれば、その下に繋がる多数のフープ筋2は自重で所定ピッチを開けて垂れ下り、各フープ筋2が主筋4の所定位置にセットされ、現場での柱用フープ筋2の配筋工事は至って楽になる。特許文献2の技術のように、配筋保持棒を立設固定し、さらに全てのフープ筋2に関しピンをいちいち挿入して仮保持状態を確保してフープ筋2の結束を終え、結束を終えた後は再びピンを撤去するといった労力負担がない。フープ筋2の配筋作業が容易で、柱用フープ筋2の配筋工事の工期短縮に威力を発揮し極めて有益となる。
【0019】
さらに、特許文献1のごとく剛性があって空洞体に近い籠体であると、工場から現場に運ぶのに効率が悪く苦労するが、本発明では屈曲自在の線材3を用いてフープ筋2を連結して配筋ユニット1が形成されるので、配筋ユニット1を製作した後、各フープ筋2を積み重ね状態にすればコンパクトに小さくできる。従って、作業環境の良い工場で配筋ユニット1を造り、その配筋ユニット1はフープ筋2を積み重ねてコンパクト化して効率良く現場へ搬送できる。ビル現場等では資材置き場の確保が難しく、特許文献1の籠体は嵩張ることから問題になるが、本発明の配筋ユニット1ではフープ筋2を積み重ね状態に置けば所要スペースは極く僅かで済み、その苦労もない。配筋工事のフープ筋2の配設段階まで大きく広げる必要もない。
【0020】
加えて、配筋ユニット1を用いて主筋4にフープ筋2が配設されると、フープ筋2が線材3によって繋がっているので、各フープ筋2が水平保持され、鉄筋コンクリート柱が造られる段階でフープ筋2が傾いたりせず、品質向上にも貢献する。各フープ筋2を連結する線材3は結束によっているので、溶接等と違ってフープ筋2の機械的強度を変化させる虞は全くない。
【0021】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。配筋ユニット1,フープ筋2,線材3,主筋4,基礎コンクリート5,吊り下げ具7等の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて本発明の範囲内で適宜選択できる。
【0022】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法は、配筋ユニットのコンパクト化が可能で、現場への効率的運搬を実現しまた現場での保管を楽にし、さらに配筋作業を簡便にし労力負担を大幅に軽減でき、工期短縮に威力を発揮するなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフープ筋の配筋ユニット及びこれを用いた柱用フープ筋の配筋工法の一形態で、配筋ユニットの斜視図を示す。
【図2】フープ筋の線材で結束し繋いでいく概略工程図を示す。
【図3】図2(ニ)の右側面図である。
【図4】フープ筋を線材で結束する模様を示す模式図である。
【図5】いくつかのフープ筋の具体的形状を示す平面図である。
【図6】柱用フープ筋の配筋工法の工程図で、基礎コンクリート天端に起立する主筋を図示したものである。
【図7】図6の主筋に配筋ユニットを嵌入し、天端上に載置した柱用フープ筋の配筋工法の工程図である。
【図8】図6の平面図を示す。
【図9】図7の主筋の突出し部に継ぎ足し部を連結した正面図である。
【図10】図7の状態から工程が進んで、柱用主筋の最上部をすぼめるよう仮結束した柱用フープ筋の配筋工法の工程図を示す。
【図11】図10の状態から工程が進んで、配筋ユニットの上部を持ち上げる様子を示す正面図である。
【図12】図11の状態から工程が進んで、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定する様子を示す正面図である。
【符号の説明】
1 配筋ユニット
2 フープ筋
2a 最上段フープ筋
3 線材
4 主筋
6 結束部材(仮結束)
8 結束部材(最上段フープ筋の柱用主筋への固定)
L(L,L,…) 所定間隔

Claims (3)

  1. フープ筋と屈曲自在の線材とを具備し、該線材を用いてフープ筋が複数連結され、吊設状態で各フープ筋が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列してなることを特徴とするフープ筋の配筋ユニット。
  2. 屈曲自在の線材を用いてフープ筋が複数連結され、吊設状態で各フープ筋が所定間隔をあけて上下方向に一列に整列するフープ筋の配筋ユニットを形成し、次に、その配筋ユニットを柱用主筋へ嵌入し、その後、該配筋ユニットの上部を持ち上げて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定することを特徴とする柱用フープ筋の配筋工法。
  3. 前記柱用主筋の最上部をすぼめるよう仮結束した後、配筋ユニットの上部を持ち上げ、その後、前記仮結束を解いて、最上段のフープ筋を柱用主筋に固定する請求項2記載の柱用フープ筋の配筋工法。
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