JP2004339363A - ポリイミド前駆体液組成物及びポリイミド被膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性を高く維持し、ガラス転移温度及び分子量を高くしたポリイミド被膜とこれに用いるポリイミド前駆体液組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含む。芳香族ジアミンはビス(アミノフェノール)化合物であり、これらのヒドロキシル(−OH)基とジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、透明性を高く維持したままでガラス転移温度を高くできる。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含む。芳香族ジアミンはビス(アミノフェノール)化合物であり、これらのヒドロキシル(−OH)基とジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、透明性を高く維持したままでガラス転移温度を高くできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本質的に無色透明なポリイミド前駆体組成物、及びポリイミド被膜(フィルム及びシートを含む)に関する。さらに詳しくは、本発明は、液晶表示面の基板や太陽電池の保護シート等に有用な本質的に無色透明なポリイミドフィルム、及び、光ファイバー、液晶配向膜、カラーフィルター保護膜などのコーティング用ポリイミド前駆体組成物及びポリイミド被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は電気的、機械的、及び高い耐熱性など優れた特性を兼ね備え航空、宇宙産業や電子電気産業分野で多くの様々な用途に使用されている。全芳香族ポリイミド樹脂は一般的に不溶、不融であるため、そのフィルムや被覆膜は芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物からポリイミド前駆体溶液を合成し、前記ポリイミド前駆体溶液をフィルム状などにキャスト成形後、高温加熱によりイミド転化することによって製造される。
【0003】
良好な透明特性を有するポリイミド被膜及びフィルムは、液晶ディスプレイ装置、光ファイバーケーブル被膜、導波管、エレクトロルミネッセンス基板及び太陽電池用保護被膜等においてフィルムとして広範囲な用途が期待でき、透明性の特性と同時に機械的、あるいは耐熱性等の特性も要求されることは必然であるが現在、開発されているものでは半田特性など耐熱特性の面でも問題が多い。
【0004】
前記の問題に対応して、低い着色度及び高い透明性を示す種々のポリイミド被膜及びフィルムが開発されてきた。こうした先行技術の被膜及びフィルムの開発は、透明ポリイミドフィルムの着色原因に的を絞った一連の研究によりその機能を向上させてきている。これらの研究は、ポリイミドの着色が、ポリイミド用出発原料として用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物及びジアミノ化合物のタイプに大きく依存することが報告されている。しかし透明性と耐熱性の2つの優れた特性を有するポリイミドの報告はあまりなく、例えば下記特許文献1ではテトラカルボン酸成分として2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分として直鎖又は分枝した脂肪族ジアミンを組み合わせてポリイミドの透明性とガラス転移温度(Tg)を改良することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−310639号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1で得られているガラス転移温度は150℃が最高である。このガラス転移温度では透明性が改良されてもポリイミド本来の特性にはほど遠く本来400℃の耐熱性を持つポリイミドの用途には使用できなく問題が多い。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、透明性を高く維持し、ガラス転移温度及び分子量を高くしたポリイミド被膜とこれに用いるポリイミド前駆体液組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のポリイミド前駆体液組成物は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、前記芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のポリイミド前駆体液組成物は、前記のポリイミド前駆体液組成物を架橋させ、さらに分子量を高めたことを特徴とする。前記架橋は、加熱架橋と常温(室温)架橋のどちらであっても良い。
【0010】
本発明のポリイミド被膜は、前記のポリイミド前駆体液組成物をイミド転化させたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンは、下記化学式(A1、ただし、Xは2価の有機基又は直接結合、a及びbはそれぞれ0又は1であって、1≦a+b≦2である。)で示されるビス(アミノフェノール)化合物であることが好ましい。芳香族ジアミンの一部にフェノール基を含むと、架橋剤であるジイソシアネートと反応し、架橋結合が形成されるからである。
【0012】
【化4】
【0013】
前記ビス(アミノフェノール)化合物は、下記化学式(A2、ただし、Xは2価の有機基又は直接結合を表わす)で示されるビス(アミノフェノール)化合物であっても良い。
【0014】
【化5】
【0015】
前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンの存在量は、芳香族ジアミン全体を100モル%とした場合、1〜100モル%の範囲であることが好ましい。架橋結合を少なくとも一部に形成するためである。
【0016】
前記ジイソシアネートは、下記化学式(B、ただし、Yは2価の有機基を表わす)で示される化合物であることが好ましい。
【0017】
【化6】
【0018】
前記ジイソシアネートの存在量は、前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンを100モル%とした場合、10〜100モル%の範囲であることが好ましい。
【0019】
前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンは、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0020】
前記ジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0021】
本発明のポリイミド被膜においては、前記ポリイミド被膜が、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートル(nm)の光を照射したとき、50%以上の透過率を示すことが好ましい。透明性を高く維持するためである。また、前記ポリイミド被膜のガラス転移温度(Tg)が250℃以上であることが好ましい。耐熱性を高く保つためである。
【0022】
本発明は、アミン成分が、前記化学式(A1,A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物を含み、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むポリイミド前駆体液組成物であるポリアミド酸溶液にジイソシアネートを加えたことにより、前記ビス(アミノフェノール)化合物のヒドロキシル(−OH)基と前記ジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、透明性を高く維持したまま(透光率50%以上)でガラス転移温度を高くできる。
【0023】
前記化学式(A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物は、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。とくに下記化学式(I)で示される2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)は、2つのベンゼン環をつなぐヘキサフルオロイソプロピリデン基の効果により透明性が向上すると同時に、前記化学式(A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物のヒドロキシル(−OH)基と前記化学式(B)で示されるジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、網目状の分子構造をもつポリイミド被膜になり、透明性、ガラス転移温度及び強靭性を向上させることができた。
【0024】
【化7】
【0025】
透明性の改善のためにアミン成分が、下記化学式(II)で示される置換芳香族ジアミン(ビス[置換−アミノフェニル]スルホン(置換−DDS)を加えても良い。
【0026】
【化8】
【0027】
透明性の改善のために酸成分としては、下記化学式(III)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び下記化学式(IV)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物2,2−ビス[4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)を主成分として含ませても良い。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
また、前記化学式(B)で示されるジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。さらに好ましくは脂環式ジイソシアネートである4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。脂環式ジイソシアネートは副反応が少なく、分子量及び粘度変化の小さな安定したポリイミド前駆体液組成物を与える。したがって、少量添加により、透明性も向上する。
【0031】
本発明のポリイミド被膜は、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートルnmの光を照射したとき、50%以上の透過率を示すことが好ましく、さらに好ましくは60%以上、とくに好ましくは70%以上である。
【0032】
また、本発明のポリイミド被膜は、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは275℃以上、とくに好ましくは300℃以上である。
【0033】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。原料コストを考えるとビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が好ましいが限定するものではない。
【0034】
好ましい実施形態は、本発明のポリアミド酸又は被膜溶液は、極性有機溶媒中において上述したアミン成分が、前記化学式(A1,A2)で示されるビスアミノフェノール化合物を含み、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を反応又は重合させることにより製造される。反応時間は6時間以上である。
【0035】
ポリアミド酸又は被膜溶液を製造する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミンモノマー成分を可能な限り等モル比で反応させて重合度を上げることが好ましい。従って、二無水物/ジアミンのモル比を0.9〜1.1/1.0、さらに好ましくは1.00〜1.04/1.0の範囲に維持することが好ましい。本発明のポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の数平均分子量は、好ましくは5,000以上、さらに好ましくは50,000以上、特に好ましくは75,000以上である。また架橋剤として投入するジイソシアネートはモル比をビス(アミノフェノール)化合物と等モル未満で反応させて重合することが好ましい。
【0036】
また、ポリイミド前駆体液組成物の状態で、50℃未満の温度で加熱し、あらかじめ架橋を促進させておくことが好ましい。
【0037】
本発明において有用な極性有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。好ましい溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)である。これらの溶媒を単独で又は混合物としてあるいはトルエン、キシレン、すなわち芳香族炭化水素などの他の溶媒と混合して用いることができる。反応混合物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物及び前記化学式(A)で示されるビス(アミノフェノール)化合物を含み、さらに前記化学式(B)で示されるジイソシアネート成分に加えて、得られるポリイミド被膜又はフィルムの透明性及びイエローネスインデックス特性に悪影響を及ぼさない加工助剤又は流動補助剤(例えば、モダフロウ(MODAFLOW)(登録商標)流動補助剤)、酸化防止剤、染料、無機顔料(例えば、二酸化チタン、TiO2)、及び充填剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー)などの添加剤を含有することもできる。
【0038】
ポリアミド酸溶液の取り扱いを容易にするために、溶液中のポリアミド酸の濃度は、約10〜30重量%、好ましくは約20〜約25重量%の範囲であり、また溶液の粘度は約1〜約5,000ポイズの範囲であることが好ましい。
【0039】
ポリアミド酸溶液を製造すると、それを光学的に有用な物品上にキャスト又は被覆することができる。本発明と共に用いることが考慮されている光学的に有用な物品には、液晶ディスプレイ、光ファイバーケーブル、導波管及び太陽電池が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
極性有機溶媒は、キャスト又は被覆工程が完了すると、ポリアミド酸溶液から除去され、ポリアミド酸は化学的に又は熱的にイミド化されて同時に化学架橋も進行しポリイミドになる。
【0041】
好ましい実施形態において、約5〜約2,500ポイズの範囲の粘度を有する20〜25重量%ポリアミド酸溶液は、ガラス板又はステンレス鋼板などの上に規定された厚さでキャストされる。極性溶媒の除去及びポリアミド酸のイミド化は、その後、逐次に又は同時に行われる。さらに好ましい実施形態において、ポリアミド酸溶液は、対象物表面上にキャストされ、80〜120℃の温度で30〜120分にわたり乾燥されて、フィルムを形成する。次に、温度を200℃に上げ、この温度を10〜180分にわたり維持する。その後、温度を250〜300℃に上げ、この温度を30〜120分にわたり維持して、フィルムをイミド化してポリイミドフィルムにする。
【0042】
あるいは、イミドを化学的イミド化法によって閉環することができる。好ましい実施形態において、無水酢酸及び第三アミンは、閉環用の触媒として用いられる。さらに好ましい実施形態において、メタンスルホン酸などの強酸が触媒として用いられ、共沸水はトルエンなどの共溶媒を用いることにより除去される。
【0043】
別の好ましい実施形態において、本発明のポリアミド酸溶液は、光ファイバーに塗料として塗布される。とくに、光ファイバーは塗布装置に通され、約5〜25ポイズの範囲の粘度を有する20〜25重量%ポリアミド酸溶液は、ファイバーの長さにわたって塗布される。その後、極性触媒の除去及びポリアミド酸のイミド化は、好ましくは、被覆された光ファイバーを120℃〜300℃の温度ゾーンでオーブンに0.3メートル/分(m/min)〜9.3〜12.4m/minの速度で通すことにより行われる。
【0044】
得られるポリイミドフィルム又は被膜は本質的に無色透明である。好ましい実施形態において、フィルム又は被膜は、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートル(nm)の光を照射したとき、少なくとも50%の透過率を示す。本発明のポリイミド被膜のガラス転移温度(Tg)が250℃以上であり、半田付け特性、あるいはポリイミド樹脂としての特性が必要な用途に十分対応できる。
【0045】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(透過率の測定方法)
島津製作所製の分光光度計UV−2550を使用して、420nmの透過率を測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
セイコーインスツルメンツ製の動的粘弾性測定装置DMS6100を用いて、8mm×30mmのポリイミドフィルムに、振幅98mN、周波数1.0Hzの正弦荷重をかけ、2℃/分の昇温過程における貯蔵弾性率及び損失エネルギーを求めることによりガラス転移温度を測定した。
(粘度の測定)
トキメック製のB型粘度計を用いて、23±0.5℃でのポリイミド前駆体溶液の粘度を測定した。
(数平均分子量の算出)
日本ウォーターズ製の2695クロマトグラフを用いて、”Styragel”(登録商標)HT3、HT4、HT5を連結したものをカラムとし、30mM臭化リチウム、30mMりん酸のDMACを移動相とするサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってポリイミド前駆体のポリスチレン換算による数平均分子量を算出した。
【0046】
(実施例1)
(1)ジアミン
(a)ビス(アミノフェノール)化合物
ビス(アミノフェノール)化合物としては、前記化学式(I)の6FAP:クラリアントジャパンから商品名”6F−AP”で販売されている2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いた。
(b)芳香族ジアミン
芳香族ジアミンとしては、和歌山精化工業から商品名”セイカキュアーS”で販売されている4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)を用いた。
(3)2官能酸無水物
2官能酸無水物としては、三菱化学から商品名“BPDA”で販売されているビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、前記化学式III)、及び上海市合成樹脂研究所から商品名“BPADA”で販売されている2,2−ビス[4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA、前記化学式IV)をモル比65:35で使用した。
(4)極性重合溶媒
極性重合溶媒としては、DMAC:三菱ガス化学から販売されているN,N−ジメチルアセトアミドを用いた。
(5)架橋剤であるジイソシアネート
架橋剤であるジイソシアネートとしては、前記化学式(B)のMDI:三井武田ケミカルから商品名“コスモネートPH”で販売されている4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、前記化学式(B)のHMDI:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(和光純薬製)、及び前記化学式(B)のNBDI:三井武田ケミカルから商品名“コスモネートNBDI”で販売されているノルボルナンジイソシアネートを用いた。
(6)サンプルの作製及び試験方法
(a)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)液の合成:
500mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製の攪拌羽を取り付けた攪拌棒と窒素ガス導入管を取り付けて重合容器とし、反応はすべて、窒素雰囲気下で行なった。ポリイミド前駆体液の固形分が28質量%となるように、ジアミン成分として、表1に記載のモル比で、44DDSを32.373g(0.131mol)、6FAPを1.479g(4.04mmol)、重合溶媒としてDMAC216.0gを投入し、44DDS、6FAPがDMACに完全に溶解後、全ジアミン成分に対してモル比で1.03倍の2官能酸無水物として、BPDAを25.686g(0.0874mol)及びBPADAを24.463g(0.0470mol)を固体のままで5分間かけて添加し、室温で1時間反応させたのち、40℃で12時間反応させ、粘ちょうなポリイミド前駆体液を得た。次に、固形分が25質量%となるように、架橋剤として、全ジアミン成分に対してモル比0.01のMDI0.336g(1.346mmol)をDMAC37.35gに溶解させた溶液を添加し、室温で4時間反応させ、粘度248ポイズの粘ちょうなポリイミド前駆体液を得た。その後、SECによってポリイミド前駆体の数平均分子量を求めた。
(b)ポリイミドフィルムの作製:
ポリイミド前駆体液をデシケータに入れ、その中で10mmHgの圧力で1時間にわたり保持して、溶液のガス抜きを行った。その後、ガス抜きされた溶液を剥離被覆されたガラス板上にキャストして、調整用間隙を有する引落しバーを介してキャストフィルムの幅方向の厚みを均一にした。その後、キャストされたガラス板をオーブンに入れ、フィルムを80℃で45分、次に120℃で30分、その次に150℃で30分、その後300℃で30分間イミド化反応をさせて硬化させた。その後、ガラス板をオーブンから取り出し、室温に冷やし、フィルムをガラス板から剥離した。その後、透過率とガラス転移温度を測定した。その結果をまとめて表1に示す。
【0047】
(実施例2)
実施例1において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0048】
(実施例3)
実施例1において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、2官能酸無水物のモル比を表1に記載のモル比で添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。また、前記したガラス転移温度の測定方法である動的粘弾性測定のチャートを図1に示す。図1中、実線は実施例4のポリイミドフィルムの熱的挙動である。点線は、後に説明する比較例2のポリイミドフィルムの熱的挙動である。両者はジアミン44DDS/6FAPのモル比が95/5で同一であり、架橋剤の有無のみが相違する。図1中、実線(実施例)の306.3℃以上の下降曲線は、点線(比較例2)の296.3℃の下降曲線に比較して下がり方が緩やかになっているのは、架橋構造を示している。
【0050】
図1から明らかなとおり、架橋剤の添加によりガラス転移温度(Tg)は、296.3℃から306.3℃に上昇した。また、比較例2(点線)の296.3℃以上の曲線の下がり方、いわゆる転移領域と比較して、実施例4(実線)では、曲線の下がり方は穏やかになり、いわゆるゴム状平坦領域が観察される。
【0051】
以上のことは、実施例4(実線)のポリイミド鎖間に架橋構造が形成されていることを示している。
(実施例5)
実施例4において、全ジアミン成分に対してモル比0.01のMDIに代えて全ジアミン成分に対してモル比0.03のMDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0052】
(実施例6)
実施例4において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0053】
(実施例7)
実施例5において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例5と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0054】
(実施例8)
実施例4において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0055】
(実施例9)
実施例5において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例5と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0056】
(比較例1)
実施例1において、架橋剤のDMAC溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例4において、架橋剤のDMAC溶液を添加しない以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1から明らかなとおり、本発明の実施例1〜9は、ガラス転移温度がいずれも300℃以上あり、その分耐熱性を高くすることができた。さらに具体的には、ジアミン44DDS/6FAPのモル比が97/3の実施例1〜3と、比較例1を比較すると、ガラス転移温度は8〜12℃上がり、数平均分子量も2000〜9000上げることができた。さらに光透過率も向上した。また、ジアミン44DDS/6FAPのモル比が95/5の実施例4〜9と比較例2を比較すると、ガラス転移温度は6〜16℃上がり、数平均分子量も5000〜27000上げることができた。さらに光透過率は50%以上を維持していた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、前記芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含ませたことにより、透明性を高く維持し、ガラス転移温度及び分子量を高くしたポリイミド被膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例4(実線)と比較例2(点線)のポリイミドフィルムのガラス転移温度を示す動的粘弾性測定の分析チャート図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、本質的に無色透明なポリイミド前駆体組成物、及びポリイミド被膜(フィルム及びシートを含む)に関する。さらに詳しくは、本発明は、液晶表示面の基板や太陽電池の保護シート等に有用な本質的に無色透明なポリイミドフィルム、及び、光ファイバー、液晶配向膜、カラーフィルター保護膜などのコーティング用ポリイミド前駆体組成物及びポリイミド被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は電気的、機械的、及び高い耐熱性など優れた特性を兼ね備え航空、宇宙産業や電子電気産業分野で多くの様々な用途に使用されている。全芳香族ポリイミド樹脂は一般的に不溶、不融であるため、そのフィルムや被覆膜は芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物からポリイミド前駆体溶液を合成し、前記ポリイミド前駆体溶液をフィルム状などにキャスト成形後、高温加熱によりイミド転化することによって製造される。
【0003】
良好な透明特性を有するポリイミド被膜及びフィルムは、液晶ディスプレイ装置、光ファイバーケーブル被膜、導波管、エレクトロルミネッセンス基板及び太陽電池用保護被膜等においてフィルムとして広範囲な用途が期待でき、透明性の特性と同時に機械的、あるいは耐熱性等の特性も要求されることは必然であるが現在、開発されているものでは半田特性など耐熱特性の面でも問題が多い。
【0004】
前記の問題に対応して、低い着色度及び高い透明性を示す種々のポリイミド被膜及びフィルムが開発されてきた。こうした先行技術の被膜及びフィルムの開発は、透明ポリイミドフィルムの着色原因に的を絞った一連の研究によりその機能を向上させてきている。これらの研究は、ポリイミドの着色が、ポリイミド用出発原料として用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物及びジアミノ化合物のタイプに大きく依存することが報告されている。しかし透明性と耐熱性の2つの優れた特性を有するポリイミドの報告はあまりなく、例えば下記特許文献1ではテトラカルボン酸成分として2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分として直鎖又は分枝した脂肪族ジアミンを組み合わせてポリイミドの透明性とガラス転移温度(Tg)を改良することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−310639号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1で得られているガラス転移温度は150℃が最高である。このガラス転移温度では透明性が改良されてもポリイミド本来の特性にはほど遠く本来400℃の耐熱性を持つポリイミドの用途には使用できなく問題が多い。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、透明性を高く維持し、ガラス転移温度及び分子量を高くしたポリイミド被膜とこれに用いるポリイミド前駆体液組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のポリイミド前駆体液組成物は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、前記芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のポリイミド前駆体液組成物は、前記のポリイミド前駆体液組成物を架橋させ、さらに分子量を高めたことを特徴とする。前記架橋は、加熱架橋と常温(室温)架橋のどちらであっても良い。
【0010】
本発明のポリイミド被膜は、前記のポリイミド前駆体液組成物をイミド転化させたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンは、下記化学式(A1、ただし、Xは2価の有機基又は直接結合、a及びbはそれぞれ0又は1であって、1≦a+b≦2である。)で示されるビス(アミノフェノール)化合物であることが好ましい。芳香族ジアミンの一部にフェノール基を含むと、架橋剤であるジイソシアネートと反応し、架橋結合が形成されるからである。
【0012】
【化4】
【0013】
前記ビス(アミノフェノール)化合物は、下記化学式(A2、ただし、Xは2価の有機基又は直接結合を表わす)で示されるビス(アミノフェノール)化合物であっても良い。
【0014】
【化5】
【0015】
前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンの存在量は、芳香族ジアミン全体を100モル%とした場合、1〜100モル%の範囲であることが好ましい。架橋結合を少なくとも一部に形成するためである。
【0016】
前記ジイソシアネートは、下記化学式(B、ただし、Yは2価の有機基を表わす)で示される化合物であることが好ましい。
【0017】
【化6】
【0018】
前記ジイソシアネートの存在量は、前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンを100モル%とした場合、10〜100モル%の範囲であることが好ましい。
【0019】
前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンは、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0020】
前記ジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0021】
本発明のポリイミド被膜においては、前記ポリイミド被膜が、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートル(nm)の光を照射したとき、50%以上の透過率を示すことが好ましい。透明性を高く維持するためである。また、前記ポリイミド被膜のガラス転移温度(Tg)が250℃以上であることが好ましい。耐熱性を高く保つためである。
【0022】
本発明は、アミン成分が、前記化学式(A1,A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物を含み、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むポリイミド前駆体液組成物であるポリアミド酸溶液にジイソシアネートを加えたことにより、前記ビス(アミノフェノール)化合物のヒドロキシル(−OH)基と前記ジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、透明性を高く維持したまま(透光率50%以上)でガラス転移温度を高くできる。
【0023】
前記化学式(A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物は、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。とくに下記化学式(I)で示される2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)は、2つのベンゼン環をつなぐヘキサフルオロイソプロピリデン基の効果により透明性が向上すると同時に、前記化学式(A2)で示されるビス(アミノフェノール)化合物のヒドロキシル(−OH)基と前記化学式(B)で示されるジイソシアネートのイソシアネート(−NCO)基が反応することにより架橋が進行して、網目状の分子構造をもつポリイミド被膜になり、透明性、ガラス転移温度及び強靭性を向上させることができた。
【0024】
【化7】
【0025】
透明性の改善のためにアミン成分が、下記化学式(II)で示される置換芳香族ジアミン(ビス[置換−アミノフェニル]スルホン(置換−DDS)を加えても良い。
【0026】
【化8】
【0027】
透明性の改善のために酸成分としては、下記化学式(III)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び下記化学式(IV)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物2,2−ビス[4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)を主成分として含ませても良い。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
また、前記化学式(B)で示されるジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。さらに好ましくは脂環式ジイソシアネートである4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。脂環式ジイソシアネートは副反応が少なく、分子量及び粘度変化の小さな安定したポリイミド前駆体液組成物を与える。したがって、少量添加により、透明性も向上する。
【0031】
本発明のポリイミド被膜は、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートルnmの光を照射したとき、50%以上の透過率を示すことが好ましく、さらに好ましくは60%以上、とくに好ましくは70%以上である。
【0032】
また、本発明のポリイミド被膜は、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは275℃以上、とくに好ましくは300℃以上である。
【0033】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。原料コストを考えるとビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が好ましいが限定するものではない。
【0034】
好ましい実施形態は、本発明のポリアミド酸又は被膜溶液は、極性有機溶媒中において上述したアミン成分が、前記化学式(A1,A2)で示されるビスアミノフェノール化合物を含み、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を反応又は重合させることにより製造される。反応時間は6時間以上である。
【0035】
ポリアミド酸又は被膜溶液を製造する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミンモノマー成分を可能な限り等モル比で反応させて重合度を上げることが好ましい。従って、二無水物/ジアミンのモル比を0.9〜1.1/1.0、さらに好ましくは1.00〜1.04/1.0の範囲に維持することが好ましい。本発明のポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の数平均分子量は、好ましくは5,000以上、さらに好ましくは50,000以上、特に好ましくは75,000以上である。また架橋剤として投入するジイソシアネートはモル比をビス(アミノフェノール)化合物と等モル未満で反応させて重合することが好ましい。
【0036】
また、ポリイミド前駆体液組成物の状態で、50℃未満の温度で加熱し、あらかじめ架橋を促進させておくことが好ましい。
【0037】
本発明において有用な極性有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。好ましい溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)である。これらの溶媒を単独で又は混合物としてあるいはトルエン、キシレン、すなわち芳香族炭化水素などの他の溶媒と混合して用いることができる。反応混合物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物及び前記化学式(A)で示されるビス(アミノフェノール)化合物を含み、さらに前記化学式(B)で示されるジイソシアネート成分に加えて、得られるポリイミド被膜又はフィルムの透明性及びイエローネスインデックス特性に悪影響を及ぼさない加工助剤又は流動補助剤(例えば、モダフロウ(MODAFLOW)(登録商標)流動補助剤)、酸化防止剤、染料、無機顔料(例えば、二酸化チタン、TiO2)、及び充填剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー)などの添加剤を含有することもできる。
【0038】
ポリアミド酸溶液の取り扱いを容易にするために、溶液中のポリアミド酸の濃度は、約10〜30重量%、好ましくは約20〜約25重量%の範囲であり、また溶液の粘度は約1〜約5,000ポイズの範囲であることが好ましい。
【0039】
ポリアミド酸溶液を製造すると、それを光学的に有用な物品上にキャスト又は被覆することができる。本発明と共に用いることが考慮されている光学的に有用な物品には、液晶ディスプレイ、光ファイバーケーブル、導波管及び太陽電池が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
極性有機溶媒は、キャスト又は被覆工程が完了すると、ポリアミド酸溶液から除去され、ポリアミド酸は化学的に又は熱的にイミド化されて同時に化学架橋も進行しポリイミドになる。
【0041】
好ましい実施形態において、約5〜約2,500ポイズの範囲の粘度を有する20〜25重量%ポリアミド酸溶液は、ガラス板又はステンレス鋼板などの上に規定された厚さでキャストされる。極性溶媒の除去及びポリアミド酸のイミド化は、その後、逐次に又は同時に行われる。さらに好ましい実施形態において、ポリアミド酸溶液は、対象物表面上にキャストされ、80〜120℃の温度で30〜120分にわたり乾燥されて、フィルムを形成する。次に、温度を200℃に上げ、この温度を10〜180分にわたり維持する。その後、温度を250〜300℃に上げ、この温度を30〜120分にわたり維持して、フィルムをイミド化してポリイミドフィルムにする。
【0042】
あるいは、イミドを化学的イミド化法によって閉環することができる。好ましい実施形態において、無水酢酸及び第三アミンは、閉環用の触媒として用いられる。さらに好ましい実施形態において、メタンスルホン酸などの強酸が触媒として用いられ、共沸水はトルエンなどの共溶媒を用いることにより除去される。
【0043】
別の好ましい実施形態において、本発明のポリアミド酸溶液は、光ファイバーに塗料として塗布される。とくに、光ファイバーは塗布装置に通され、約5〜25ポイズの範囲の粘度を有する20〜25重量%ポリアミド酸溶液は、ファイバーの長さにわたって塗布される。その後、極性触媒の除去及びポリアミド酸のイミド化は、好ましくは、被覆された光ファイバーを120℃〜300℃の温度ゾーンでオーブンに0.3メートル/分(m/min)〜9.3〜12.4m/minの速度で通すことにより行われる。
【0044】
得られるポリイミドフィルム又は被膜は本質的に無色透明である。好ましい実施形態において、フィルム又は被膜は、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートル(nm)の光を照射したとき、少なくとも50%の透過率を示す。本発明のポリイミド被膜のガラス転移温度(Tg)が250℃以上であり、半田付け特性、あるいはポリイミド樹脂としての特性が必要な用途に十分対応できる。
【0045】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(透過率の測定方法)
島津製作所製の分光光度計UV−2550を使用して、420nmの透過率を測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
セイコーインスツルメンツ製の動的粘弾性測定装置DMS6100を用いて、8mm×30mmのポリイミドフィルムに、振幅98mN、周波数1.0Hzの正弦荷重をかけ、2℃/分の昇温過程における貯蔵弾性率及び損失エネルギーを求めることによりガラス転移温度を測定した。
(粘度の測定)
トキメック製のB型粘度計を用いて、23±0.5℃でのポリイミド前駆体溶液の粘度を測定した。
(数平均分子量の算出)
日本ウォーターズ製の2695クロマトグラフを用いて、”Styragel”(登録商標)HT3、HT4、HT5を連結したものをカラムとし、30mM臭化リチウム、30mMりん酸のDMACを移動相とするサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってポリイミド前駆体のポリスチレン換算による数平均分子量を算出した。
【0046】
(実施例1)
(1)ジアミン
(a)ビス(アミノフェノール)化合物
ビス(アミノフェノール)化合物としては、前記化学式(I)の6FAP:クラリアントジャパンから商品名”6F−AP”で販売されている2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いた。
(b)芳香族ジアミン
芳香族ジアミンとしては、和歌山精化工業から商品名”セイカキュアーS”で販売されている4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)を用いた。
(3)2官能酸無水物
2官能酸無水物としては、三菱化学から商品名“BPDA”で販売されているビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、前記化学式III)、及び上海市合成樹脂研究所から商品名“BPADA”で販売されている2,2−ビス[4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA、前記化学式IV)をモル比65:35で使用した。
(4)極性重合溶媒
極性重合溶媒としては、DMAC:三菱ガス化学から販売されているN,N−ジメチルアセトアミドを用いた。
(5)架橋剤であるジイソシアネート
架橋剤であるジイソシアネートとしては、前記化学式(B)のMDI:三井武田ケミカルから商品名“コスモネートPH”で販売されている4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、前記化学式(B)のHMDI:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(和光純薬製)、及び前記化学式(B)のNBDI:三井武田ケミカルから商品名“コスモネートNBDI”で販売されているノルボルナンジイソシアネートを用いた。
(6)サンプルの作製及び試験方法
(a)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)液の合成:
500mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製の攪拌羽を取り付けた攪拌棒と窒素ガス導入管を取り付けて重合容器とし、反応はすべて、窒素雰囲気下で行なった。ポリイミド前駆体液の固形分が28質量%となるように、ジアミン成分として、表1に記載のモル比で、44DDSを32.373g(0.131mol)、6FAPを1.479g(4.04mmol)、重合溶媒としてDMAC216.0gを投入し、44DDS、6FAPがDMACに完全に溶解後、全ジアミン成分に対してモル比で1.03倍の2官能酸無水物として、BPDAを25.686g(0.0874mol)及びBPADAを24.463g(0.0470mol)を固体のままで5分間かけて添加し、室温で1時間反応させたのち、40℃で12時間反応させ、粘ちょうなポリイミド前駆体液を得た。次に、固形分が25質量%となるように、架橋剤として、全ジアミン成分に対してモル比0.01のMDI0.336g(1.346mmol)をDMAC37.35gに溶解させた溶液を添加し、室温で4時間反応させ、粘度248ポイズの粘ちょうなポリイミド前駆体液を得た。その後、SECによってポリイミド前駆体の数平均分子量を求めた。
(b)ポリイミドフィルムの作製:
ポリイミド前駆体液をデシケータに入れ、その中で10mmHgの圧力で1時間にわたり保持して、溶液のガス抜きを行った。その後、ガス抜きされた溶液を剥離被覆されたガラス板上にキャストして、調整用間隙を有する引落しバーを介してキャストフィルムの幅方向の厚みを均一にした。その後、キャストされたガラス板をオーブンに入れ、フィルムを80℃で45分、次に120℃で30分、その次に150℃で30分、その後300℃で30分間イミド化反応をさせて硬化させた。その後、ガラス板をオーブンから取り出し、室温に冷やし、フィルムをガラス板から剥離した。その後、透過率とガラス転移温度を測定した。その結果をまとめて表1に示す。
【0047】
(実施例2)
実施例1において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0048】
(実施例3)
実施例1において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、2官能酸無水物のモル比を表1に記載のモル比で添加した以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。また、前記したガラス転移温度の測定方法である動的粘弾性測定のチャートを図1に示す。図1中、実線は実施例4のポリイミドフィルムの熱的挙動である。点線は、後に説明する比較例2のポリイミドフィルムの熱的挙動である。両者はジアミン44DDS/6FAPのモル比が95/5で同一であり、架橋剤の有無のみが相違する。図1中、実線(実施例)の306.3℃以上の下降曲線は、点線(比較例2)の296.3℃の下降曲線に比較して下がり方が緩やかになっているのは、架橋構造を示している。
【0050】
図1から明らかなとおり、架橋剤の添加によりガラス転移温度(Tg)は、296.3℃から306.3℃に上昇した。また、比較例2(点線)の296.3℃以上の曲線の下がり方、いわゆる転移領域と比較して、実施例4(実線)では、曲線の下がり方は穏やかになり、いわゆるゴム状平坦領域が観察される。
【0051】
以上のことは、実施例4(実線)のポリイミド鎖間に架橋構造が形成されていることを示している。
(実施例5)
実施例4において、全ジアミン成分に対してモル比0.01のMDIに代えて全ジアミン成分に対してモル比0.03のMDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0052】
(実施例6)
実施例4において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0053】
(実施例7)
実施例5において、MDIに代えてNBDIを用いた以外は、実施例5と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0054】
(実施例8)
実施例4において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0055】
(実施例9)
実施例5において、MDIに代えてHMDIを用いた以外は、実施例5と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0056】
(比較例1)
実施例1において、架橋剤のDMAC溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例4において、架橋剤のDMAC溶液を添加しない以外は、実施例4と同様にしてポリイミド前駆体液及びポリイミドフィルムを作製し、ポリイミド前駆体液の数平均分子量、ポリイミドフィルムの透過率及びガラス転移温度を測定した。結果をまとめて表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1から明らかなとおり、本発明の実施例1〜9は、ガラス転移温度がいずれも300℃以上あり、その分耐熱性を高くすることができた。さらに具体的には、ジアミン44DDS/6FAPのモル比が97/3の実施例1〜3と、比較例1を比較すると、ガラス転移温度は8〜12℃上がり、数平均分子量も2000〜9000上げることができた。さらに光透過率も向上した。また、ジアミン44DDS/6FAPのモル比が95/5の実施例4〜9と比較例2を比較すると、ガラス転移温度は6〜16℃上がり、数平均分子量も5000〜27000上げることができた。さらに光透過率は50%以上を維持していた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明は、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、前記芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、さらに架橋剤としてジイソシアネートを含ませたことにより、透明性を高く維持し、ガラス転移温度及び分子量を高くしたポリイミド被膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例4(実線)と比較例2(点線)のポリイミドフィルムのガラス転移温度を示す動的粘弾性測定の分析チャート図。
Claims (12)
- 少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンと、極性重合溶媒とを含むポリイミド前駆体液組成物であって、
前記芳香族ジアミンの少なくとも一部にはフェノール基を含み、
さらに架橋剤としてジイソシアネートを含むことを特徴とするポリイミド前駆体液組成物。 - 前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンの存在量が、芳香族ジアミン全体を100モル%とした場合、1〜100モル%の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物。
- 前記ジイソシアネートの存在量が、前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンを100モル%とした場合、10〜100モル%の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物。
- 前記フェノール基を一部に含む芳香族ジアミンが、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ)ビフェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物。
- 前記ジイソシアネートが、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物を架橋させ、さらに分子量を高めたポリイミド前駆体液組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミド前駆体液組成物をイミド転化させたポリイミド被膜。
- 前記ポリイミド被膜が、厚さ50±10マイクロメートル(μm)のフィルム又は被膜に対して420ナノメートル(nm)の光を照射したとき、50%以上の透過率を示す請求項10に記載のポリイミド被膜。
- 前記ポリイミド被膜のガラス転移温度(Tg)が250℃以上である請求項10又は11に記載のポリイミド被膜。
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