JP2004339325A - 導電性接着剤およびそれを用いた電子部品実装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷特性の劣化を伴うことなく体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体を提供する。
【解決手段】本発明の導電性接着剤は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4と、樹脂組成物4に分散された導電性粉体2とを含む導電性接着剤1であって、樹脂組成物4に分散された多孔質粉体3をさらに含むことを特徴とする。多孔質粉体3は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、および中空のガラス繊維と樹脂とを含む複合材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含むことが好ましい。本発明の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本発明の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の導電性接着剤は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4と、樹脂組成物4に分散された導電性粉体2とを含む導電性接着剤1であって、樹脂組成物4に分散された多孔質粉体3をさらに含むことを特徴とする。多孔質粉体3は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、および中空のガラス繊維と樹脂とを含む複合材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含むことが好ましい。本発明の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本発明の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品と回路基板との接合に使用される導電性接着剤、およびそれを用いた電子部品実装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛を使わない材料で電子部品を回路基板に接合する技術、すなわち、鉛フリー実装技術の確立が急務となっている。鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリー半田または導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、特に、電子部品と回路基板との接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待される導電性接着剤に対してより注目が集まり始めている。
【0003】
導電性接着剤は、通常、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、その樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含んでいる。電子部品の実装は、回路基板のランド電極(電子部品設置用電極)に導電性接着剤を塗布し、その導電性接着剤上に電子部品を配置した後加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させることにより行われる。硬化により、熱硬化性樹脂が収縮して導電性フィラー同士がより接触し、電子部品と回路基板との導通が確保されるとともに、回路基板と電子部品とが所定の強度で接合される。
【0004】
導電性接着剤は、熱硬化性樹脂の硬化温度が150〜200℃程度であることから、溶融温度が240℃程度である半田と比較して加熱温度が低く、耐熱性の低い安価な部品の実装にも使用ができる。また、導電性接着剤は樹脂を含むため、電子部品と回路基板との接合部は、半田を用いた場合と比較すると柔軟であり、熱や外力による亀裂が生じにくいという利点を有している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−53659号公報(第2頁)
【0006】
【特許文献2】
特開平07−258618号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記導電性接着剤の体積抵抗率は半田の体積抵抗率よりも5〜50倍程度高く、導電性接着剤を用いて接合された電子部品と回路基板との接続抵抗値が高いという問題がある。体積抵抗率が高い要因の一つに、樹脂自体の体積収縮率が低いことが挙げられる。例えば、エポキシ樹脂では、硬化による体積収縮率が5%程度であり、硬化による収縮のみでは、十分に低い体積抵抗率を得ることができない。
【0008】
そのため、従来の導電性接着剤では、揮発性溶剤の添加や、導電性粉体の形状および/または含有量を変化させる等して、体積抵抗率の低下を実現してきたが、他の特性に悪影響を及ぼす場合が多く、実用上問題があった。例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、硬化時に溶剤を蒸発させることにより樹脂の体積をより収縮させて体積抵抗率を低下させる方法では、導電性接着剤の印刷時において、ダレ、にじみ等が生じて印刷精度が低下する問題があった。また、フレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法では、連続印刷すると導電性接着剤の粘度が増大してかすれが生じ、印刷精度、作業性の低下を起こす問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含む導電性接着剤であって、前記樹脂組成物に分散された多孔質粉体をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本発明の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の導電性接着剤では、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含む導電性接着剤であって、樹脂組成物に分散された多孔質粉体をさらに含んでいるので、熱硬化性樹脂を硬化するために加熱すると、加熱により低粘度化された樹脂組成物が多孔質粉体の空孔内に浸透する。その結果、本実施の形態の導電性接着剤では、多孔質粉体を含まないこと以外は本実施の形態の導電性接着剤と同様の構成をした従来の導電性接着剤に比べて加熱による体積の減少が大きく、熱硬化性樹脂が硬化された状態での体積抵抗率が低い。したがって、本実施の形態の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが電気的接続された電子部品実装体では、電子部品−回路基板間の接続抵抗値の低下が可能となる。
【0012】
また、上記多孔質粉体の添加により体積抵抗率を低下させる方法は、例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、またはフレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法とは異なり、印刷精度の低下(印刷特性の劣化)を伴うことなく体積抵抗率を低下させることができる。
【0013】
このように、本実施の形態では、印刷特性の劣化を伴うことなく、熱硬化性樹脂が硬化された状態における体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体を提供できる。
【0014】
上記多孔質粉体は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、および中空のガラス繊維と樹脂とを含む複合材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含んでいることが好ましい。
【0015】
上記多孔質粉体の比表面積は、100〜2000m2/gであることが好ましい。比表面積が100m2/gよりも小さいと、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が小さいため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、2000m2/gよりも大きいと、未硬化時に樹脂が空孔内に浸透し、導電性接着剤の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こすおそれがあるからである。
【0016】
本実施の形態の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本実施の形態の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。本実施の形態の電子部品実装体では、本実施の形態の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが接合されているので、電子部品−回路基板間の接続抵抗値が低下されている。
【0017】
以下に、本発明の導電性接着剤の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の導電性接着剤1は、電子部品と回路基板との接合に使用される導電性接着剤あり、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4と、樹脂組成物4に分散された球状またはフレーク状の導電性粉体2とを含み、熱硬化性樹脂4に分散された空孔3aを有する多孔質粉体3をさらに含んでいる。
【0019】
図1Aに示すように、導電性接着剤1の熱硬化樹脂が未硬化の状態では、樹脂組成物4中に導電性粉体2と多孔質粉体3とがほぼ均一に分散している。
【0020】
導電性接着剤1を、熱硬化性樹脂を硬化するために加熱すると、図1Bに示すように、加熱により低粘度化された樹脂組成物4が多孔質粉体3の空孔3a内に浸透する。その結果、導電性接着剤の体積が減少するとともに、導電性粉体2間の距離が短くなる。
【0021】
さらに加熱を続けると、図1Cに示すように、硬化により熱硬化性樹脂の収縮が起こり、導電性接着剤1の体積がさらに減少して導電性粒子2同士はより密に接触し、導電性接着剤1は硬化物となる。
【0022】
このように、本実施の形態の導電性接着剤1では、加熱により低粘度化された樹脂組成物4が、多孔質粉体3の空孔3a内に浸透するので、多孔質粉体3を含まないこと以外は導電性接着剤1と同様の構成をした従来の導電性接着剤に比べて、加熱による体積の減少が大きく、熱硬化性樹脂が硬化された状態での体積抵抗率が低い。したがって、本実施の形態の導電性接着剤1を介して電子部品と回路基板とが接合され電気接続された電子部品実装体では、電子部品−回路基板間の接続抵抗値の低下が可能となる。
【0023】
また、多孔質粉体3の添加により体積抵抗率を低下させる方法は、例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、またはフレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法とは異なり、印刷精度の低下(印刷特性の劣化)を伴うことなく体積抵抗率を低下させることができる。
【0024】
このように、本実施の形態では、印刷特性の劣化を伴うことなく体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体の提供が可能となる。
【0025】
多孔質粉体3は、表面にのみ空孔を持つ材料、貫通した空孔を持つ材料のいずれを含んでいてもよく、双方を含んでいてもよいが、貫通した空孔を有する材料を含んでいることが好ましい。一般に、貫通した空孔を有する材料の方が表面にのみ空孔を持つ材料よりも比表面積が大きいため、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が大きくなり、導電性接着剤の体積抵抗率をより低下させることができるからである。表面にのみ空孔が形成された材料には、例えば、活性炭等が、貫通した空孔を有する材料には、例えば、シリカゲル、ゼオライト、または複数の中空ガラス繊維が樹脂によって結合された複合材料等が挙げられる。これらは多孔質粉体3の一例であり、その他にも、空孔を有し比表面積の大きい材料であれば、無機材料、有機材料、絶縁性材料、導電性材料のいずれであってもよい。
【0026】
多孔質粉体3は、その形状について特に限定はないが、例えば、球状、フレーク状、繊維状、コンペイトウ状、樹枝状等のものを用いることができる。
【0027】
多孔質粉体3の平均孔径は0.1〜5μmであることが好ましい。0.1μmよりも小さいと、空孔3a内への樹脂の浸透性が低くなり、体積抵抗率の低下の効果が得られにくく、5μmよりも大きいと、未硬化時に樹脂組成物4が空孔3a内に浸透し、導電性接着剤1の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こすおそれがあるからである。
【0028】
多孔質粉体3の比表面積は、100〜2000m2/g、特には300〜1000m2/gであることが好ましい。比表面積が100m2/gよりも小さいと、空孔3a内に浸透する樹脂組成物の体積が小さいため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、2000m2/gよりも大きいと、未硬化時に樹脂が空孔内に浸透し、導電性接着剤の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こす場合があるからである。
【0029】
尚、本発明において、上記比表面積は、BET式の吸着法に準拠して測定した値である(参考文献:粉体 理論と応用 丸善株式会社編 513頁)。
【0030】
多孔質粉体3は、導電性接着剤1中に0.1〜5体積%含まれていることが好ましい。0.1%より少ないと空孔3a内に浸透する樹脂組成物の体積が小さすぎるため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、5%より多いと、導電性粉体2同士の接触性が低下して、かえって体積抵抗率が増大する場合があるからである。導電性接着剤1中に多孔質粉体3が0.1〜5体積%含まれる場合、樹脂組成物4は45〜65体積%、導電性粉体2は35〜50体積%含まれていることが好ましい。
【0031】
導電性粉体2には、銀、銅およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属等を用いることができるが、特には、体積抵抗率が小さく、製造コストが安い銀が好ましい。
【0032】
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4には、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ケイ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を用いることができる。樹脂組成物4には、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が含まれていても良いが、熱可塑性樹脂を使用すると、有機溶剤を多量に含有させる必要があるため、熱硬化性樹脂を多く含んでいることが好ましい。
【0033】
導電性接着剤1は、樹脂組成物4に熱可塑性樹脂が含まれない場合であっても、通常、導電性接着剤1に用いられる有機溶剤、例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を少量含んでもよい。
【0034】
導電性接着剤1は、さらに、硬化剤、密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤などを含んでいてよい。
【0035】
次に、本発明の電子部品実装体の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
本実施の形態の電子部品実装体は、図2に示すように、電子部品5と回路基板6とが、本実施の形態の導電性接着剤1を介して接合されている。導電性接着剤1(硬化)の体積抵抗率は、上記のとおり、多孔質粉体3を含まないこと以外は導電性接着剤1と同様の構成をした従来の導電性接着剤(硬化)の体積抵抗率よりも小さい。熱硬化性樹脂が硬化された導電性接着剤1の体積抵抗率と、その導電性接着剤を介して電子部品5と回路基板6とが接合された電子部品実装体の電子部品−回路基板間の接続抵抗値とは相関関係にある。したがって、本実施の形態の電子部品実装体では、導電性接着剤1を介して電子部品5と回路基板6とが接合されているので、上記従来の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが接合された電子部品実装体よりも、電子部品5−回路基板6間の接続抵抗値は低い。
【0037】
電子部品5には、電解コンデンサ、ダイオード、スイッチ類などのチップ部品、QFP(Quad Flat Package)、CSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)、またはウエハ状態でパッケージングを行いダイジンングによって個片化することにより得られたリアルチップサイズのWLP(Wafer Level Packaging)等のパッケージ部品、リード部品等、種々の電子部品が挙げられる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の導電性接着剤の一例をさらに詳細に説明するが、本発明の導電性接着剤は下記実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
導電性粉体として、球状の銀(平均粒子径:5μm)を15体積%、フレーク状の銀(最大長:3μm)を24体積%、多孔質粉体として、表面に空孔を有するほぼ球状の活性炭(比表面積390m2/g、平均孔径1μm)を1体積%、添加剤(分散剤、密着性向上剤)を1体積%、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(硬化温度150℃)を59体積%用意し、これらを3本のロールを用いて混練して導電性接着剤を作製した。
【0040】
(実施例2)
活性炭に代えて、ゼオライト(比表面積540m2/g、平均孔径1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0041】
(実施例3)
活性炭に代えて、中空ガラス繊維含有エポキシ樹脂(比表面積720m2/g、平均孔径1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0042】
(比較例1)
多孔質粉体(活性炭)を含まないこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0043】
(比較例2)
実施例1の導電性接着剤に対して、有機溶剤0.3体積%をさらに添加して別の導電性接着剤を作製した。
【0044】
(比較例3)
実施例1において用いた球状の銀を、フレーク状の銀に代え、さらに、多孔質粉体を含まないこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0045】
図3に示すように、プリント配線板9の1対の電極7上に(電極間隔30mm)に導電性接着剤層10を、実施例1〜3、比較例1〜3で作製した導電性接着剤を用いてスクリーン印刷法により形成した。尚、電極7は、コア層(Cu)に、Ni/Auメッキが施された構造をしている。この導電性接着剤層10(試験片)について、下記に示す方法により印刷性の評価をし、体積抵抗率を求め、その結果を表1に示した。
【0046】
[印刷性の評価] 印刷1回目の導電性接着剤層10の印刷性(解像度)を目視で評価した。印刷には、厚さ100μmのメタル版を用いた。さらに、途中ふき取ることなく続けて印刷を行い、印刷10回目の導電性接着剤層10の印刷性を同様に評価した。評価は、印刷1回目、10回目ともに、印刷した際にダレが生じた場合、カスレにより導電性接着剤層10の高さがメタル版の厚み(100μm)よりも10%以上低い場合、すなわち導電性接着剤層10の高さが90μm以下である場合を不良とした。
【0047】
[体積抵抗率の評価] 導電性接着剤層10(試験片)を、オーブン中で150℃、30分間加熱することにより、導電性接着剤層10を硬化させた。図5に示すように、硬化された試料片を流れる電流と、試験片の両端の電圧を測定して、試験片の電極7間の電気抵抗Rを測定し(四端子法)、その結果を下記の数式1に代入して体積抵抗率を算出した。
【0048】
【数1】
体積抵抗率[Ω・cm]=(V/I)×(W・t/L)
抵抗R=V/I
W・t:試料の断面積(cm2)
L:試料の長さ(cm)
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示すように、多孔質粉体を含む導電性接着剤(実施例1〜3)では、多孔質粉体を含まない導電性接着剤(比較例1〜3)に比べて体積抵抗率が低く、かつ印刷性が良いことが分かる。
【0051】
実施例1、実施例2、実施例3の順で体積抵抗率が低くなっているが、これは実施例1、実施例2、実施例3の順で多孔質膜粉体の比表面積が大きく、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が大きいためであると考えられる。
【0052】
比較例2の導電性接着剤では、有機溶剤を添加したことにより、体積抵抗率が比較例1の導電性接着剤より低くなっているが、印刷した際にダレが生じ、印刷精度が低下している。
【0053】
比較例3の導電性接着剤では、導電性粉体としてフレーク状の銀のみを用いたことにより、体積抵抗率は比較例1の導電性接着剤より低くなっているが、粘度が高くなったため、10回目の印刷ではカスレが生じた。
【0054】
次に、実施例1〜3、比較例1の導電性接着剤を用いて作製した電子部品実装体について、下記に示す方法により電気接続性試験を行い、その結果を表2に示した。
【0055】
[電気接続性試験] 電気接続性試験には、図4に示すような電子部品実装体を用いた。図4に示すように、電子部品実装体は、セラミック製の回路基板11の電極12と1005サイズチップ抵抗器13とが、実施例1〜3、比較例1で作製した導電性接着剤1を介して接合された構造をしている。チップ抵抗器13は、アルミナ素子と、アルミナ素子の両端部に設けられた電極13aとを含んでおり、電極13aは、下地電極(焼結Ag)上に、中間電極(Ni)および外部電極(Sn)がメッキ処理により設けられた構造をしている。また、回路基板11表面の電極12は、コア層(Cu)上に、中間電極(Ni)および外部電極(Au)がメッキ処理により設けられた構造をしている。
【0056】
図4に示した電子部品実装体は、下記のようにして作成した。まず、上記1対の電極12上(電極間隔50mm)に、実施例1〜3、比較例1で作製した導電性接着剤を塗布した。次に、塗布された導電性接着剤1上に部品装着機を用いてチップ抵抗器13を配置した後、オーブン中で150℃で30分間加熱して、導電性接着剤層1に含まれる熱硬化性樹脂を硬化した。
【0057】
このようにして作製された電子部品実装体について、チップ抵抗器13−回路基板11間の接続抵抗値を、四端子法を用いて測定した。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示すように、多孔質粉体を含む導電性接着剤(実施例1〜3)では、多孔質粉体を含まない導電性接着剤(比較例1)に比べて接続抵抗値が低いことが分かる。また、表1および表2より、熱硬化性樹脂が硬化され導電性接着剤の体積抵抗率と、その導電性接着剤を用いてチップ抵抗器13(電子部品)と回路基板11とが接合された電子部品実装体の電子部品−回路基板間の接続抵抗値とは相関関係にあることが確認できた。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷特性の劣化を伴うことなく、熱硬化性樹脂が硬化された状態における体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(未硬化状態)、Bは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(加熱初期)、Cは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(硬化状態)
【図2】本発明の電子部品実装体の一例を示す模式図
【図3】本発明の導電性接着剤の評価に用いる試料の平面図
【図4】電気接続性試験に使用される電子部品実装体の平面図
【図5】四端子法を説明する図
【符号の説明】
1 導電性接着剤
2 導電性粉体
3 多孔質粉体
4 樹脂組成物
5 電子部品
6 回路基板
7 電極
9 プリント配線板
10 導電性接着剤層
11 回路基板
12 電極
13 チップ抵抗器
13a 電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品と回路基板との接合に使用される導電性接着剤、およびそれを用いた電子部品実装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛を使わない材料で電子部品を回路基板に接合する技術、すなわち、鉛フリー実装技術の確立が急務となっている。鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリー半田または導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、特に、電子部品と回路基板との接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待される導電性接着剤に対してより注目が集まり始めている。
【0003】
導電性接着剤は、通常、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、その樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含んでいる。電子部品の実装は、回路基板のランド電極(電子部品設置用電極)に導電性接着剤を塗布し、その導電性接着剤上に電子部品を配置した後加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させることにより行われる。硬化により、熱硬化性樹脂が収縮して導電性フィラー同士がより接触し、電子部品と回路基板との導通が確保されるとともに、回路基板と電子部品とが所定の強度で接合される。
【0004】
導電性接着剤は、熱硬化性樹脂の硬化温度が150〜200℃程度であることから、溶融温度が240℃程度である半田と比較して加熱温度が低く、耐熱性の低い安価な部品の実装にも使用ができる。また、導電性接着剤は樹脂を含むため、電子部品と回路基板との接合部は、半田を用いた場合と比較すると柔軟であり、熱や外力による亀裂が生じにくいという利点を有している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−53659号公報(第2頁)
【0006】
【特許文献2】
特開平07−258618号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記導電性接着剤の体積抵抗率は半田の体積抵抗率よりも5〜50倍程度高く、導電性接着剤を用いて接合された電子部品と回路基板との接続抵抗値が高いという問題がある。体積抵抗率が高い要因の一つに、樹脂自体の体積収縮率が低いことが挙げられる。例えば、エポキシ樹脂では、硬化による体積収縮率が5%程度であり、硬化による収縮のみでは、十分に低い体積抵抗率を得ることができない。
【0008】
そのため、従来の導電性接着剤では、揮発性溶剤の添加や、導電性粉体の形状および/または含有量を変化させる等して、体積抵抗率の低下を実現してきたが、他の特性に悪影響を及ぼす場合が多く、実用上問題があった。例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、硬化時に溶剤を蒸発させることにより樹脂の体積をより収縮させて体積抵抗率を低下させる方法では、導電性接着剤の印刷時において、ダレ、にじみ等が生じて印刷精度が低下する問題があった。また、フレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法では、連続印刷すると導電性接着剤の粘度が増大してかすれが生じ、印刷精度、作業性の低下を起こす問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含む導電性接着剤であって、前記樹脂組成物に分散された多孔質粉体をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本発明の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の導電性接着剤では、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含む導電性接着剤であって、樹脂組成物に分散された多孔質粉体をさらに含んでいるので、熱硬化性樹脂を硬化するために加熱すると、加熱により低粘度化された樹脂組成物が多孔質粉体の空孔内に浸透する。その結果、本実施の形態の導電性接着剤では、多孔質粉体を含まないこと以外は本実施の形態の導電性接着剤と同様の構成をした従来の導電性接着剤に比べて加熱による体積の減少が大きく、熱硬化性樹脂が硬化された状態での体積抵抗率が低い。したがって、本実施の形態の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが電気的接続された電子部品実装体では、電子部品−回路基板間の接続抵抗値の低下が可能となる。
【0012】
また、上記多孔質粉体の添加により体積抵抗率を低下させる方法は、例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、またはフレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法とは異なり、印刷精度の低下(印刷特性の劣化)を伴うことなく体積抵抗率を低下させることができる。
【0013】
このように、本実施の形態では、印刷特性の劣化を伴うことなく、熱硬化性樹脂が硬化された状態における体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体を提供できる。
【0014】
上記多孔質粉体は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、および中空のガラス繊維と樹脂とを含む複合材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含んでいることが好ましい。
【0015】
上記多孔質粉体の比表面積は、100〜2000m2/gであることが好ましい。比表面積が100m2/gよりも小さいと、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が小さいため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、2000m2/gよりも大きいと、未硬化時に樹脂が空孔内に浸透し、導電性接着剤の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こすおそれがあるからである。
【0016】
本実施の形態の電子部品実装体は、電子部品と回路基板とが、本実施の形態の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする。本実施の形態の電子部品実装体では、本実施の形態の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが接合されているので、電子部品−回路基板間の接続抵抗値が低下されている。
【0017】
以下に、本発明の導電性接着剤の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の導電性接着剤1は、電子部品と回路基板との接合に使用される導電性接着剤あり、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4と、樹脂組成物4に分散された球状またはフレーク状の導電性粉体2とを含み、熱硬化性樹脂4に分散された空孔3aを有する多孔質粉体3をさらに含んでいる。
【0019】
図1Aに示すように、導電性接着剤1の熱硬化樹脂が未硬化の状態では、樹脂組成物4中に導電性粉体2と多孔質粉体3とがほぼ均一に分散している。
【0020】
導電性接着剤1を、熱硬化性樹脂を硬化するために加熱すると、図1Bに示すように、加熱により低粘度化された樹脂組成物4が多孔質粉体3の空孔3a内に浸透する。その結果、導電性接着剤の体積が減少するとともに、導電性粉体2間の距離が短くなる。
【0021】
さらに加熱を続けると、図1Cに示すように、硬化により熱硬化性樹脂の収縮が起こり、導電性接着剤1の体積がさらに減少して導電性粒子2同士はより密に接触し、導電性接着剤1は硬化物となる。
【0022】
このように、本実施の形態の導電性接着剤1では、加熱により低粘度化された樹脂組成物4が、多孔質粉体3の空孔3a内に浸透するので、多孔質粉体3を含まないこと以外は導電性接着剤1と同様の構成をした従来の導電性接着剤に比べて、加熱による体積の減少が大きく、熱硬化性樹脂が硬化された状態での体積抵抗率が低い。したがって、本実施の形態の導電性接着剤1を介して電子部品と回路基板とが接合され電気接続された電子部品実装体では、電子部品−回路基板間の接続抵抗値の低下が可能となる。
【0023】
また、多孔質粉体3の添加により体積抵抗率を低下させる方法は、例えば、導電性接着剤中に揮発性溶剤を添加し、またはフレーク状の導電性粉体の含有量を増やすことにより体積抵抗率を低下させる方法とは異なり、印刷精度の低下(印刷特性の劣化)を伴うことなく体積抵抗率を低下させることができる。
【0024】
このように、本実施の形態では、印刷特性の劣化を伴うことなく体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体の提供が可能となる。
【0025】
多孔質粉体3は、表面にのみ空孔を持つ材料、貫通した空孔を持つ材料のいずれを含んでいてもよく、双方を含んでいてもよいが、貫通した空孔を有する材料を含んでいることが好ましい。一般に、貫通した空孔を有する材料の方が表面にのみ空孔を持つ材料よりも比表面積が大きいため、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が大きくなり、導電性接着剤の体積抵抗率をより低下させることができるからである。表面にのみ空孔が形成された材料には、例えば、活性炭等が、貫通した空孔を有する材料には、例えば、シリカゲル、ゼオライト、または複数の中空ガラス繊維が樹脂によって結合された複合材料等が挙げられる。これらは多孔質粉体3の一例であり、その他にも、空孔を有し比表面積の大きい材料であれば、無機材料、有機材料、絶縁性材料、導電性材料のいずれであってもよい。
【0026】
多孔質粉体3は、その形状について特に限定はないが、例えば、球状、フレーク状、繊維状、コンペイトウ状、樹枝状等のものを用いることができる。
【0027】
多孔質粉体3の平均孔径は0.1〜5μmであることが好ましい。0.1μmよりも小さいと、空孔3a内への樹脂の浸透性が低くなり、体積抵抗率の低下の効果が得られにくく、5μmよりも大きいと、未硬化時に樹脂組成物4が空孔3a内に浸透し、導電性接着剤1の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こすおそれがあるからである。
【0028】
多孔質粉体3の比表面積は、100〜2000m2/g、特には300〜1000m2/gであることが好ましい。比表面積が100m2/gよりも小さいと、空孔3a内に浸透する樹脂組成物の体積が小さいため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、2000m2/gよりも大きいと、未硬化時に樹脂が空孔内に浸透し、導電性接着剤の粘度が増大して、印刷性の低下等を引き起こす場合があるからである。
【0029】
尚、本発明において、上記比表面積は、BET式の吸着法に準拠して測定した値である(参考文献:粉体 理論と応用 丸善株式会社編 513頁)。
【0030】
多孔質粉体3は、導電性接着剤1中に0.1〜5体積%含まれていることが好ましい。0.1%より少ないと空孔3a内に浸透する樹脂組成物の体積が小さすぎるため、導電性接着剤の体積抵抗率の低下が起こりにくく、5%より多いと、導電性粉体2同士の接触性が低下して、かえって体積抵抗率が増大する場合があるからである。導電性接着剤1中に多孔質粉体3が0.1〜5体積%含まれる場合、樹脂組成物4は45〜65体積%、導電性粉体2は35〜50体積%含まれていることが好ましい。
【0031】
導電性粉体2には、銀、銅およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属等を用いることができるが、特には、体積抵抗率が小さく、製造コストが安い銀が好ましい。
【0032】
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物4には、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ケイ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を用いることができる。樹脂組成物4には、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が含まれていても良いが、熱可塑性樹脂を使用すると、有機溶剤を多量に含有させる必要があるため、熱硬化性樹脂を多く含んでいることが好ましい。
【0033】
導電性接着剤1は、樹脂組成物4に熱可塑性樹脂が含まれない場合であっても、通常、導電性接着剤1に用いられる有機溶剤、例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を少量含んでもよい。
【0034】
導電性接着剤1は、さらに、硬化剤、密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤などを含んでいてよい。
【0035】
次に、本発明の電子部品実装体の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
本実施の形態の電子部品実装体は、図2に示すように、電子部品5と回路基板6とが、本実施の形態の導電性接着剤1を介して接合されている。導電性接着剤1(硬化)の体積抵抗率は、上記のとおり、多孔質粉体3を含まないこと以外は導電性接着剤1と同様の構成をした従来の導電性接着剤(硬化)の体積抵抗率よりも小さい。熱硬化性樹脂が硬化された導電性接着剤1の体積抵抗率と、その導電性接着剤を介して電子部品5と回路基板6とが接合された電子部品実装体の電子部品−回路基板間の接続抵抗値とは相関関係にある。したがって、本実施の形態の電子部品実装体では、導電性接着剤1を介して電子部品5と回路基板6とが接合されているので、上記従来の導電性接着剤を介して電子部品と回路基板とが接合された電子部品実装体よりも、電子部品5−回路基板6間の接続抵抗値は低い。
【0037】
電子部品5には、電解コンデンサ、ダイオード、スイッチ類などのチップ部品、QFP(Quad Flat Package)、CSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)、またはウエハ状態でパッケージングを行いダイジンングによって個片化することにより得られたリアルチップサイズのWLP(Wafer Level Packaging)等のパッケージ部品、リード部品等、種々の電子部品が挙げられる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の導電性接着剤の一例をさらに詳細に説明するが、本発明の導電性接着剤は下記実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
導電性粉体として、球状の銀(平均粒子径:5μm)を15体積%、フレーク状の銀(最大長:3μm)を24体積%、多孔質粉体として、表面に空孔を有するほぼ球状の活性炭(比表面積390m2/g、平均孔径1μm)を1体積%、添加剤(分散剤、密着性向上剤)を1体積%、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(硬化温度150℃)を59体積%用意し、これらを3本のロールを用いて混練して導電性接着剤を作製した。
【0040】
(実施例2)
活性炭に代えて、ゼオライト(比表面積540m2/g、平均孔径1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0041】
(実施例3)
活性炭に代えて、中空ガラス繊維含有エポキシ樹脂(比表面積720m2/g、平均孔径1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0042】
(比較例1)
多孔質粉体(活性炭)を含まないこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0043】
(比較例2)
実施例1の導電性接着剤に対して、有機溶剤0.3体積%をさらに添加して別の導電性接着剤を作製した。
【0044】
(比較例3)
実施例1において用いた球状の銀を、フレーク状の銀に代え、さらに、多孔質粉体を含まないこと以外は実施例1と同様にして導電性接着剤を作製した。
【0045】
図3に示すように、プリント配線板9の1対の電極7上に(電極間隔30mm)に導電性接着剤層10を、実施例1〜3、比較例1〜3で作製した導電性接着剤を用いてスクリーン印刷法により形成した。尚、電極7は、コア層(Cu)に、Ni/Auメッキが施された構造をしている。この導電性接着剤層10(試験片)について、下記に示す方法により印刷性の評価をし、体積抵抗率を求め、その結果を表1に示した。
【0046】
[印刷性の評価] 印刷1回目の導電性接着剤層10の印刷性(解像度)を目視で評価した。印刷には、厚さ100μmのメタル版を用いた。さらに、途中ふき取ることなく続けて印刷を行い、印刷10回目の導電性接着剤層10の印刷性を同様に評価した。評価は、印刷1回目、10回目ともに、印刷した際にダレが生じた場合、カスレにより導電性接着剤層10の高さがメタル版の厚み(100μm)よりも10%以上低い場合、すなわち導電性接着剤層10の高さが90μm以下である場合を不良とした。
【0047】
[体積抵抗率の評価] 導電性接着剤層10(試験片)を、オーブン中で150℃、30分間加熱することにより、導電性接着剤層10を硬化させた。図5に示すように、硬化された試料片を流れる電流と、試験片の両端の電圧を測定して、試験片の電極7間の電気抵抗Rを測定し(四端子法)、その結果を下記の数式1に代入して体積抵抗率を算出した。
【0048】
【数1】
体積抵抗率[Ω・cm]=(V/I)×(W・t/L)
抵抗R=V/I
W・t:試料の断面積(cm2)
L:試料の長さ(cm)
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示すように、多孔質粉体を含む導電性接着剤(実施例1〜3)では、多孔質粉体を含まない導電性接着剤(比較例1〜3)に比べて体積抵抗率が低く、かつ印刷性が良いことが分かる。
【0051】
実施例1、実施例2、実施例3の順で体積抵抗率が低くなっているが、これは実施例1、実施例2、実施例3の順で多孔質膜粉体の比表面積が大きく、空孔内に浸透する樹脂組成物の体積が大きいためであると考えられる。
【0052】
比較例2の導電性接着剤では、有機溶剤を添加したことにより、体積抵抗率が比較例1の導電性接着剤より低くなっているが、印刷した際にダレが生じ、印刷精度が低下している。
【0053】
比較例3の導電性接着剤では、導電性粉体としてフレーク状の銀のみを用いたことにより、体積抵抗率は比較例1の導電性接着剤より低くなっているが、粘度が高くなったため、10回目の印刷ではカスレが生じた。
【0054】
次に、実施例1〜3、比較例1の導電性接着剤を用いて作製した電子部品実装体について、下記に示す方法により電気接続性試験を行い、その結果を表2に示した。
【0055】
[電気接続性試験] 電気接続性試験には、図4に示すような電子部品実装体を用いた。図4に示すように、電子部品実装体は、セラミック製の回路基板11の電極12と1005サイズチップ抵抗器13とが、実施例1〜3、比較例1で作製した導電性接着剤1を介して接合された構造をしている。チップ抵抗器13は、アルミナ素子と、アルミナ素子の両端部に設けられた電極13aとを含んでおり、電極13aは、下地電極(焼結Ag)上に、中間電極(Ni)および外部電極(Sn)がメッキ処理により設けられた構造をしている。また、回路基板11表面の電極12は、コア層(Cu)上に、中間電極(Ni)および外部電極(Au)がメッキ処理により設けられた構造をしている。
【0056】
図4に示した電子部品実装体は、下記のようにして作成した。まず、上記1対の電極12上(電極間隔50mm)に、実施例1〜3、比較例1で作製した導電性接着剤を塗布した。次に、塗布された導電性接着剤1上に部品装着機を用いてチップ抵抗器13を配置した後、オーブン中で150℃で30分間加熱して、導電性接着剤層1に含まれる熱硬化性樹脂を硬化した。
【0057】
このようにして作製された電子部品実装体について、チップ抵抗器13−回路基板11間の接続抵抗値を、四端子法を用いて測定した。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示すように、多孔質粉体を含む導電性接着剤(実施例1〜3)では、多孔質粉体を含まない導電性接着剤(比較例1)に比べて接続抵抗値が低いことが分かる。また、表1および表2より、熱硬化性樹脂が硬化され導電性接着剤の体積抵抗率と、その導電性接着剤を用いてチップ抵抗器13(電子部品)と回路基板11とが接合された電子部品実装体の電子部品−回路基板間の接続抵抗値とは相関関係にあることが確認できた。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷特性の劣化を伴うことなく、熱硬化性樹脂が硬化された状態における体積抵抗率が低下された導電性接着剤、および接続抵抗値が低下された電子部品実装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(未硬化状態)、Bは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(加熱初期)、Cは本発明の導電性接着剤の一例の模式図(硬化状態)
【図2】本発明の電子部品実装体の一例を示す模式図
【図3】本発明の導電性接着剤の評価に用いる試料の平面図
【図4】電気接続性試験に使用される電子部品実装体の平面図
【図5】四端子法を説明する図
【符号の説明】
1 導電性接着剤
2 導電性粉体
3 多孔質粉体
4 樹脂組成物
5 電子部品
6 回路基板
7 電極
9 プリント配線板
10 導電性接着剤層
11 回路基板
12 電極
13 チップ抵抗器
13a 電極
Claims (4)
- 熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物と、前記樹脂組成物に分散された導電性粉体とを含む導電性接着剤であって、前記樹脂組成物に分散された多孔質粉体をさらに含むことを特徴とする導電性接着剤。
- 前記多孔質粉体が、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、および中空のガラス繊維と樹脂とを含む複合材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料を含む請求項1に記載の導電性接着剤。
- 前記多孔質粉体の比表面積が100〜2000m2/gである請求項1または2に記載の導電性接着剤。
- 電子部品と回路基板とが、請求項1〜3のいずれかの項に記載の導電性接着剤を介して接合されていることを特徴とする電子部品実装体。
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