JP2004339176A - 4,5,6,7−テトラヒドロ−1h−インドールカルボン酸エステル類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を工業的に有用な条件で、高純度且つ高収率で得る製造方法を提供する。
【解決手段】インドールカルボン酸エステル類を、水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化する。
【解決手段】インドールカルボン酸エステル類を、水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の代表的な製造方法としては、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法が提案されている。
【0003】
(i)4,5,6,7−テトラヒドロインドールとトリクロロアセチルクロリドを反応させ2−トリクロロアセチル体とした後、エタノール中ナトリウムで処理することにより4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸エチルを得る方法(特許文献1参照)。
【0004】
(ii)2−アミノマロン酸ジメチルと2−ホルミルシクロヘキサノンのナトリウム塩を反応させることで4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸メチルを得る方法(非特許文献1参照)。
【0005】
(iii)インドール−2−カルボン酸エチル又はメチルを酸化白金触媒及び酢酸溶媒存在下に水素化することにより4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸エチル又はメチルを得る方法(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、(i)及び(ii)の方法は、原料が入手困難な上、反応及び後処理が煩雑であり、さらに多工程であるため収率も低い((i)方法、約40%、(ii)方法、4.8%)等の問題がある。また、(iii)の方法では水素化反応により当該エステル化合物を得ているものの、溶媒に酢酸を使用するため後処理に酢酸の中和工程が必要であり、収率も30%程度と低い等の欠点がある。
【0007】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.,57,4820(1992)
【特許文献1】
WO92/04343号公報(p.21,参考例23)
【特許文献2】
特表2002−502873号公報(製造例4,製造例5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を工業的に有用な条件で、高純度且つ高収率で得る製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、インドールカルボン酸エステル類を白金系触媒を除く水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化することにより、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類が高収率、高純度で得られることを見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法を提供するものである。
【0011】
[項1] 一般式(1)
[式中、Rは炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を示す。]
で表されるインドールカルボン酸エステル類より、一般式(2)
[式中、Rは一般式(1)と同義である。]
で表される4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を製造する方法であって、白金系触媒を除く水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化することを特徴とする方法。
【0012】
[項2] インドールカルボン酸エステル類がインドール−2−カルボン酸エステル類である上記項1に記載の方法。
【0013】
[項3] 水素化触媒がパラジウム系触媒である上記項1又は2に記載の方法。
【0014】
[項4] 水素化反応をアルコール類及びエーテル類から選ばれる溶媒中で行う上記項1〜3のいずれかに記載の方法。
【0015】
[項5] 水素化反応を反応温度50〜300℃、水素圧0.1〜30MPaで行う上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
【0016】
[項6] 水素化反応を反応温度80〜250℃、水素圧0.1〜10MPaで行う上記項1〜4に記載の方法。
【0017】
[項7] 4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類が4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル類である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【発明の実施の形態】
以下に、本発明方法を詳細に説明する。
【0018】
本発明方法は、原料として工業的に入手の容易なインドールカルボン酸エステル類を反応不活性溶媒及び水素化触媒存在下で水素化することを特徴とする4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法である。
【0019】
一般式(1)で表されるインドールカルボン酸エステル類及び一般式(2)で表される4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類は、置換基としてアルキルオキシカルボニル基(COOR)を有しており、そのアルキル基が炭素数1〜18、好ましくは1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数3〜18、好ましくは5〜8のシクロアルキル基である。
【0020】
直鎖状又は分岐鎖状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が例示される。
【0021】
シクロアルキル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示される。
【0022】
これらのうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等の炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0023】
アルキルオキシカルボニル基の置換位置は、特に限定されないが、2位又は3位が好ましく、中でも特に2位が好ましい。
【0024】
本発明の水素化反応に使用される触媒としては、通常、水素化反応に使用される金属系触媒(但し、白金系触媒を除く。)であれば特に限定されないが、ニッケル、コバルト、銅、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒が用いられる。
【0025】
具体的には、ニッケル、コバルト、銅、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム等の0価の金属、これらの金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物等の各種無機化合物、アセチルアセトナート化合物等の各種有機化合物、アミン錯体、ホスフィン錯体、カルボニル化合物等の各種錯体化合物等の金属化合物が例示される。
【0026】
これら金属系触媒のなかでも、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒、ラネーニッケル触媒、安定化ニッケル触媒等が好ましく、特に触媒活性、選択性の面で優れているパラジウム系触媒が好ましい。
【0027】
上記金属系触媒は、そのまま反応系で使用することもできるが、ラネー型触媒や担体担持型触媒として使用することが好ましい。
【0028】
担体担持型触媒としては、従来公知或いは市販されているものでもよく、芳香環を水素化できる触媒であれば特に限定されない。坦体としては、珪藻土、軽石、活性炭、グラファイト、シリカゲル、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が例示され、通常これらの1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0029】
尚、上記担体担持型触媒の調製方法としては、含浸法、共沈法等の従来公知の方法が採用できる。これらの担体担持型触媒の活性化方法としては、特に限定されないが、通常は使用する前に還元して活性化することができる。
【0030】
該担体担持型触媒の金属成分の担持量は、特に限定されないが、触媒の総重量に対して、金属分として、通常、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%である。担持量が0.1重量%未満では触媒重量当たりの活性が低下し、触媒を多量に使用する必要が生じ設備的にも経済的にも不利である。また坦持量が10%重量を超えても、担持した金属量に見合う反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0031】
これら水素化触媒の形態は特に限定されず、選択される反応方式に応じて粉末状、成形触媒など適宜選択して使用される。粉末状の触媒は、通常、回分あるいは連続の懸濁床の水素化反応に用いられ、成形触媒は、固定床連続式の水素化反応に使用される。また、成形触媒としては、使用する反応器の大きさにより適宜選択されるが、通常は直径2〜6mm、高さ2〜8mmの範囲の円柱状が好ましい。
【0032】
水素化反応に用いられる坦体坦持型触媒の使用量は、インドールカルボン酸エステル類に対して、金属分を基準として、0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲がである。担持量が0.005重量%未満では、触媒重量当たりの活性が低下し、触媒量を多く必要とし経済的ではない。また、5重量%を越える範囲では、担持した金属量に見合う反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0033】
ラネーニッケル触媒又は安定化ニッケル触媒を用いる場合、その使用量は、インドールカルボン酸エステル類に対して、0.01〜30重量%程度、好ましくは0.05〜10重量%程度の範囲が反応速度と経済性の点から好ましい。
【0034】
水素化反応に用いることができる溶媒としては、水素化反応に悪影響を与えない限り特に限定されない。
【0035】
上記溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒等が例示される。特に、これら溶媒のなかでも、iso−プロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
水素化原料のインドールカルボン酸エステル類は、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%となるように溶媒により希釈して用いられる。
【0037】
水素化反応の反応温度及び反応圧力は水素化反応が完結できる条件であれば特に限定されないが、実用的な反応速度が得られる条件として、通常は反応温度として50〜300℃の範囲、好ましくは80〜250℃の範囲であり、反応圧力としては、水素分圧で、0.1〜30MPaの範囲、好ましくは0.1〜10MPaの範囲が採用できる。反応温度が低い場合には十分な反応速度が得られず、一方、高い場合には副反応や分解反応を伴うため収率が低下する傾向が見られ、経済的にも好ましくない。また、反応圧力が低圧では反応に必要以上の長時間を要し、一方、高圧では反応速度は上昇するが、あまり高すぎても顕著な有意性は認められず、経済的に不利である。
【0038】
反応時間は、触媒量や諸条件によって異なるが、通常0.5〜50時間程度、工業的な観点からは1〜20時間になるように条件などを選択する必要がある。
【0039】
反応終了後、濾過、遠心分離、抽出等の常法により触媒を分離後、得られた濾液をそのまま冷却又は溶媒を留去して濃縮後に冷却することにより水素化反応生成物を濾過可能な結晶として析出させ、次いで析出した結晶を濾過、遠心分離等の慣用方法により分別して高純度の4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を得ることができる。また、必要に応じて、蒸留、再結晶、昇華等の常法を用いて精製することもできる。
【0040】
回収した溶媒及び触媒は、循環使用が可能であり、極めて経済的である。
【0041】
かくして得られた4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類は、いずれも公知の化合物であり、中でも特に4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル類は医薬、農薬の中間体として有用である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、各実施例及び比較例における転化率、収率はガスクロマトグラフ分析により算出した。
【0043】
実施例1
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、iso−プロピルアルコール135g、5%パラジウム/カーボン1.5gを入れ、水素圧5MPa、反応温度110〜140℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率99.2%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率92.0%であった。次いで、濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、得られた固体をメタノールで再結晶精製したところ、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチル13.3g(GC純度100%)を得た。
【0044】
実施例2
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、ジエチレングリコールジメチルエーテル135g、5%パラジウム/カーボン1.5gを入れ、水素圧5MPa、反応温度110〜140℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率99.6%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率93.5%であった。次いで、濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮後、得られた固体をメタノールで再結晶精製したところ、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチル13.5g(GC純度100%)を得た。
【0045】
比較例1
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、ジエチレングリコールジメチルエーテル135g、5%白金/カーボン1.5gを入れ、水素圧5〜7MPa、反応温度150〜200℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率21.8%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率19.8%であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を工業的に有用な条件で、高純度且つ高収率で得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の代表的な製造方法としては、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法が提案されている。
【0003】
(i)4,5,6,7−テトラヒドロインドールとトリクロロアセチルクロリドを反応させ2−トリクロロアセチル体とした後、エタノール中ナトリウムで処理することにより4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸エチルを得る方法(特許文献1参照)。
【0004】
(ii)2−アミノマロン酸ジメチルと2−ホルミルシクロヘキサノンのナトリウム塩を反応させることで4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸メチルを得る方法(非特許文献1参照)。
【0005】
(iii)インドール−2−カルボン酸エチル又はメチルを酸化白金触媒及び酢酸溶媒存在下に水素化することにより4,5,6,7−テトラヒドロインドール−2−カルボン酸エチル又はメチルを得る方法(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、(i)及び(ii)の方法は、原料が入手困難な上、反応及び後処理が煩雑であり、さらに多工程であるため収率も低い((i)方法、約40%、(ii)方法、4.8%)等の問題がある。また、(iii)の方法では水素化反応により当該エステル化合物を得ているものの、溶媒に酢酸を使用するため後処理に酢酸の中和工程が必要であり、収率も30%程度と低い等の欠点がある。
【0007】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.,57,4820(1992)
【特許文献1】
WO92/04343号公報(p.21,参考例23)
【特許文献2】
特表2002−502873号公報(製造例4,製造例5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を工業的に有用な条件で、高純度且つ高収率で得る製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、インドールカルボン酸エステル類を白金系触媒を除く水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化することにより、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類が高収率、高純度で得られることを見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法を提供するものである。
【0011】
[項1] 一般式(1)
[式中、Rは炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を示す。]
で表されるインドールカルボン酸エステル類より、一般式(2)
[式中、Rは一般式(1)と同義である。]
で表される4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を製造する方法であって、白金系触媒を除く水素化触媒及び有機溶媒存在下で水素化することを特徴とする方法。
【0012】
[項2] インドールカルボン酸エステル類がインドール−2−カルボン酸エステル類である上記項1に記載の方法。
【0013】
[項3] 水素化触媒がパラジウム系触媒である上記項1又は2に記載の方法。
【0014】
[項4] 水素化反応をアルコール類及びエーテル類から選ばれる溶媒中で行う上記項1〜3のいずれかに記載の方法。
【0015】
[項5] 水素化反応を反応温度50〜300℃、水素圧0.1〜30MPaで行う上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
【0016】
[項6] 水素化反応を反応温度80〜250℃、水素圧0.1〜10MPaで行う上記項1〜4に記載の方法。
【0017】
[項7] 4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類が4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル類である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【発明の実施の形態】
以下に、本発明方法を詳細に説明する。
【0018】
本発明方法は、原料として工業的に入手の容易なインドールカルボン酸エステル類を反応不活性溶媒及び水素化触媒存在下で水素化することを特徴とする4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類の製造方法である。
【0019】
一般式(1)で表されるインドールカルボン酸エステル類及び一般式(2)で表される4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類は、置換基としてアルキルオキシカルボニル基(COOR)を有しており、そのアルキル基が炭素数1〜18、好ましくは1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数3〜18、好ましくは5〜8のシクロアルキル基である。
【0020】
直鎖状又は分岐鎖状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が例示される。
【0021】
シクロアルキル基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示される。
【0022】
これらのうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等の炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0023】
アルキルオキシカルボニル基の置換位置は、特に限定されないが、2位又は3位が好ましく、中でも特に2位が好ましい。
【0024】
本発明の水素化反応に使用される触媒としては、通常、水素化反応に使用される金属系触媒(但し、白金系触媒を除く。)であれば特に限定されないが、ニッケル、コバルト、銅、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属系触媒が用いられる。
【0025】
具体的には、ニッケル、コバルト、銅、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム等の0価の金属、これらの金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物等の各種無機化合物、アセチルアセトナート化合物等の各種有機化合物、アミン錯体、ホスフィン錯体、カルボニル化合物等の各種錯体化合物等の金属化合物が例示される。
【0026】
これら金属系触媒のなかでも、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒、ラネーニッケル触媒、安定化ニッケル触媒等が好ましく、特に触媒活性、選択性の面で優れているパラジウム系触媒が好ましい。
【0027】
上記金属系触媒は、そのまま反応系で使用することもできるが、ラネー型触媒や担体担持型触媒として使用することが好ましい。
【0028】
担体担持型触媒としては、従来公知或いは市販されているものでもよく、芳香環を水素化できる触媒であれば特に限定されない。坦体としては、珪藻土、軽石、活性炭、グラファイト、シリカゲル、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が例示され、通常これらの1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0029】
尚、上記担体担持型触媒の調製方法としては、含浸法、共沈法等の従来公知の方法が採用できる。これらの担体担持型触媒の活性化方法としては、特に限定されないが、通常は使用する前に還元して活性化することができる。
【0030】
該担体担持型触媒の金属成分の担持量は、特に限定されないが、触媒の総重量に対して、金属分として、通常、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%である。担持量が0.1重量%未満では触媒重量当たりの活性が低下し、触媒を多量に使用する必要が生じ設備的にも経済的にも不利である。また坦持量が10%重量を超えても、担持した金属量に見合う反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0031】
これら水素化触媒の形態は特に限定されず、選択される反応方式に応じて粉末状、成形触媒など適宜選択して使用される。粉末状の触媒は、通常、回分あるいは連続の懸濁床の水素化反応に用いられ、成形触媒は、固定床連続式の水素化反応に使用される。また、成形触媒としては、使用する反応器の大きさにより適宜選択されるが、通常は直径2〜6mm、高さ2〜8mmの範囲の円柱状が好ましい。
【0032】
水素化反応に用いられる坦体坦持型触媒の使用量は、インドールカルボン酸エステル類に対して、金属分を基準として、0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲がである。担持量が0.005重量%未満では、触媒重量当たりの活性が低下し、触媒量を多く必要とし経済的ではない。また、5重量%を越える範囲では、担持した金属量に見合う反応速度の向上は得られず好ましくない。
【0033】
ラネーニッケル触媒又は安定化ニッケル触媒を用いる場合、その使用量は、インドールカルボン酸エステル類に対して、0.01〜30重量%程度、好ましくは0.05〜10重量%程度の範囲が反応速度と経済性の点から好ましい。
【0034】
水素化反応に用いることができる溶媒としては、水素化反応に悪影響を与えない限り特に限定されない。
【0035】
上記溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒等が例示される。特に、これら溶媒のなかでも、iso−プロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
水素化原料のインドールカルボン酸エステル類は、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%となるように溶媒により希釈して用いられる。
【0037】
水素化反応の反応温度及び反応圧力は水素化反応が完結できる条件であれば特に限定されないが、実用的な反応速度が得られる条件として、通常は反応温度として50〜300℃の範囲、好ましくは80〜250℃の範囲であり、反応圧力としては、水素分圧で、0.1〜30MPaの範囲、好ましくは0.1〜10MPaの範囲が採用できる。反応温度が低い場合には十分な反応速度が得られず、一方、高い場合には副反応や分解反応を伴うため収率が低下する傾向が見られ、経済的にも好ましくない。また、反応圧力が低圧では反応に必要以上の長時間を要し、一方、高圧では反応速度は上昇するが、あまり高すぎても顕著な有意性は認められず、経済的に不利である。
【0038】
反応時間は、触媒量や諸条件によって異なるが、通常0.5〜50時間程度、工業的な観点からは1〜20時間になるように条件などを選択する必要がある。
【0039】
反応終了後、濾過、遠心分離、抽出等の常法により触媒を分離後、得られた濾液をそのまま冷却又は溶媒を留去して濃縮後に冷却することにより水素化反応生成物を濾過可能な結晶として析出させ、次いで析出した結晶を濾過、遠心分離等の慣用方法により分別して高純度の4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を得ることができる。また、必要に応じて、蒸留、再結晶、昇華等の常法を用いて精製することもできる。
【0040】
回収した溶媒及び触媒は、循環使用が可能であり、極めて経済的である。
【0041】
かくして得られた4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類は、いずれも公知の化合物であり、中でも特に4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル類は医薬、農薬の中間体として有用である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、各実施例及び比較例における転化率、収率はガスクロマトグラフ分析により算出した。
【0043】
実施例1
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、iso−プロピルアルコール135g、5%パラジウム/カーボン1.5gを入れ、水素圧5MPa、反応温度110〜140℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率99.2%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率92.0%であった。次いで、濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、得られた固体をメタノールで再結晶精製したところ、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチル13.3g(GC純度100%)を得た。
【0044】
実施例2
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、ジエチレングリコールジメチルエーテル135g、5%パラジウム/カーボン1.5gを入れ、水素圧5MPa、反応温度110〜140℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率99.6%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率93.5%であった。次いで、濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮後、得られた固体をメタノールで再結晶精製したところ、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチル13.5g(GC純度100%)を得た。
【0045】
比較例1
電磁誘導撹拌を備え付けた500mlオートクレーブにインドール−2−カルボン酸メチル15g、ジエチレングリコールジメチルエーテル135g、5%白金/カーボン1.5gを入れ、水素圧5〜7MPa、反応温度150〜200℃で5時間加熱撹拌した。反応終了後、冷却し、減圧濾過により触媒を除去し、得られた濾液をガスクロマトグラフ分析したところ、転化率21.8%、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルの収率19.8%であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類を工業的に有用な条件で、高純度且つ高収率で得ることができる。
Claims (7)
- インドールカルボン酸エステル類がインドール−2−カルボン酸エステル類である請求項1に記載の方法。
- 水素化触媒がパラジウム系触媒である請求項1又は2に記載の方法。
- 水素化反応をアルコール類及びエーテル類から選ばれる溶媒中で行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 水素化反応を反応温度50〜300℃、水素圧0.1〜30MPaで行う請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 水素化反応を反応温度80〜250℃、水素圧0.1〜10MPaで行う請求項1〜4に記載の方法。
- 4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドールカルボン酸エステル類が4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル類である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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