JP2004339099A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】化粧持ちに優れ、肌へのなじみ、肌への密着性、伸びひろがりが良く化粧膜の均一性に優れる化粧料に関する。
【解決手段】次の成分(A)を成分(B)の粉体処理剤で処理した処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
(A)粉体
(B)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸とのエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
【選択図】 なし
【解決手段】次の成分(A)を成分(B)の粉体処理剤で処理した処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
(A)粉体
(B)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸とのエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の粉体処理剤で処理された処理粉体を含有する化粧料に関し、更に詳しくは化粧持ちに優れ、肌へのなじみ、伸びひろがりが良好であり肌への密着性、化粧膜の均一性に優れる化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、化粧料に配合する粉体の表面改質をすることにより、使用する粉体の負の効果を改善したり、新しい機能を付与したりしてきた。例えば、屈折率が大きい酸化チタンや酸化亜鉛は、しみやそばかすを隠す目的や、紫外線を遮断する目的等で粉体化粧料に用いられているが、これらを未処理のまま配合すると、特に塗布時のきしみ感(ギシギシ感)が生じやすいものであった。そのため、これらの粉体をグリセライドやシリコーン油等の油剤や無水ケイ酸等の粉体により表面処理を行うことにより、きしみ感や分散性を改善してきた。
また、吸油量や吸水量の大きい粉体を化粧料に配合した場合のかさつき感を低減する目的で、水溶性高分子と脂質により粉体の表面を被覆した技術(例えば特許文献1参照)がある。
一方、化粧持ちを向上させるため、粉体の表面を疎水性にする技術も多く検討されてきた。例えば、疎水性を向上させるため、デキストリン脂肪酸部分エステルによって粉体の表面を被覆した技術(例えば特許文献2参照)、また、シリコーン処理粉体を用いることによりシリコーン油を多く含む化粧料において、肌へのなめらかさ、一体感を検討した技術(例えば特許文献3参照)、さらにシリコーンで処理した粉体から発生する水素を低減するための製造方法も試みられている。(例えば特許文献4参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2002−201113号公報
【特許文献2】
特公平5−3844号公報
【特許文献3】
特公平7−29903号公報
【特許文献4】
特開2001−262004号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水溶性高分子と脂質で処理した粉体を配合した化粧料は、密着性および化粧持ちは向上するが、塗布時のズルツキと化粧膜の均一性に劣り、デキストリン脂肪酸部分エステルで表面処理した粉体を配合した化粧料は、肌への密着性は向上するが、肌への伸びひろがりに劣り、塗布時のきしみ感が残る。また、疎水性を向上するためにシリコーンで処理した粉体を配合した粉体化粧料は、塗布時のきしみ感は低減されるが、化粧料が肌に付着しづらくなり、肌への密着性を低下させる場合があった。酸化チタンや酸化亜鉛を油剤やシリコーンで処理することも試みられているが、これらの粉体は、特に凝集力が強いため、粒子の凝集を起こさずに処理することは難しく、凝集状態のままで粉体化粧料に配合すると、化粧膜が不均一になる、いわゆるムラ付きする現象を生じていた。
そこで、化粧持ち、肌へのなじみに優れ、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れる化粧料の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、特定のエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体で粉体を処理することにより、肌への付着性が高く、凝集性が低く、分散性が良好な処理粉体が得られ、この処理粉体を含有する化粧料は、化粧持ちに優れ、肌へのなじみが良好で、肌への密着性に優れ、伸びひろがりが良く化粧膜の均一性に優れる等の使用感触が改良されたものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、次の成分(A)を成分(B)の粉体処理剤で処理した処理粉体を含有することを特徴とし、さらに成分(B)の水酸基価(OHV)が10〜150であることを特徴とする化粧料。
(A)粉体
(B)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
【化2】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
なお、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。
【0006】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有するものであり、成分(B)のうち、一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有するものであり、成分(B)のうち、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、処理粉体が、成分(A)に(B)を物理吸着させる処理により調製されること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0009】
さらに、本発明は、処理粉体を調製するための成分(A)と(B)との比率が質量比(成分(A)/成分(B))で999/1〜4/1であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、成分(A)が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、成分(A)が、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸及び窒化ホウ素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を1種または2種以上含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0013】
そしてさらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、形状が固形状である化粧料を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる処理粉体の構成成分である粉体処理剤(B)としては、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【化3】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
成分(B)の構成脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち炭素数8〜18の脂肪酸、特にイソオクチル酸(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
直鎖脂肪酸とは、炭素数6から炭素数28の直鎖脂肪酸で、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の成分(B)の一般式(I)で示されるエステル化合物は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はテトラエステルの1種又は2種以上からなるものである。また、一般式(II)で示されるエステル化合物は、モノエステル又はジエステルの1種又は2種からなるものである。また、一般式(I)及び一般式(II)で示されるエステル化合物とは、一般式(I)で示されるエステル化合物と一般式(II)で示されるエステル化合物からそれぞれ選ばれる2種以上の混合物である。
さらに、本発明の成分(B)の一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。また、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
本発明では、さらに、上記一般式(I)を基本骨格とするジエステル、及びトリエステルの合計含有率がエステル化合物中の20〜94質量%、さらには40〜80質量%を占めるものが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の成分(B)は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と、イソオクチル酸との一般式(I−1)及び/又は(II−1)で表されるエステル化合物の混合物であって、一般式(I−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量がそれぞれ0〜10質量%、0〜30質量%、18〜70質量%及び6〜75質量%であることが好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜20質量%、13〜70質量%及び8〜60質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、3〜20質量%、30〜70質量%、8〜40質量%であることが最も好ましい。そして、一般式(II−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステルの含有量はそれぞれ、0〜10質量%、0〜50質量%が好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜35質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、5〜35質量%であるのが最も好ましい。
【化4】
(式中、R1’〜R4’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表し、R5’及びR6’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表す。)尚、式中のイソオクチル酸残基としては、‐C(=O)‐(CH2CH3)CH‐(CH2)3‐CH3[2−エチルヘキサン酸]や‐C(=O)‐(CH2)2−(CH3)CH‐(CH3)CH‐CH3[4,5−ジメチルヘキサン酸]があげられる。
【0017】
モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量について、一般式(I−1)の場合を、又、モノエステル、ジエステルの含量について、一般式(II−1)の場合を説明したが、それらが一般式(I)の場合、一般式(II)の場合についても同様である。
【0018】
また、本発明の成分(B)の重縮合物を調製するのに本発明で用いる多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸やセバシン酸などの炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸が好ましく、特に炭素数4〜10の2塩基性飽和カルボン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の成分(B)の重縮合物の調製においては、原料として炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは飽和分岐脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物や、炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)及び炭素数8〜18の直鎖脂肪酸(直鎖飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物を用いるのが好ましい。この場合、分岐脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよく、分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよい。
【0019】
本発明の成分(B)は、水酸基価(OHV)(以下、単に「OHV」と表す)が10〜150のものが好ましく、OHVが20〜120のものがより好ましく、30〜120のものが最も好ましい。OHVがこのような範囲にあると、顔料の凝集が少なく、分散性がより向上し化粧膜の均一性が良好になり、密着性が向上するといった効果を発揮できる。ここでOHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値とする。本発明の成分(B)は、室温で液状であるのが好ましく、粘度(25℃)が100〜30000mPa・sであるのが好ましい。
本発明の成分(B)は、例えば、エリスリトール1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒又は触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行う。反応終了後は、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法により調製することができる。
【0020】
本発明に用いられる処理粉体において、前記成分(B)で処理する成分(A)は、通常化粧料に用いられる粉体であれば球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類を用いることができる。例えば、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の無機体質粉体、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラック等の無機着色顔料、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール剤、タール系色素、天然色素等の有機着色顔料、ナイロンパウダー、球状ナイロン粉体、ポリメタクリル酸メチルパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、トリメチルシルセスキオキサンパウダー、シルクパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエチレンパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジン等の有機粉体等、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等のラメ剤等が挙げら、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
前記成分(A)において、酸化チタンや酸化亜鉛は凝集力が強いため、本発明の成分(B)で処理して化粧料に含有すると、特に塗布時のきしみ感(ギシギシ感)を低減させることができるため好ましい。
【0022】
また、前記成分(A)において、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の無機体質粉体は、本発明の成分(B)で処理して化粧料に含有すると、肌への密着性と化粧持続性が特に優れるため好ましい。
【0023】
本発明において、処理粉体の処理状態は、例えば、粉体表面に前記成分(B)が物理的に吸着している状態であり、このような状態となることにより、本発明の効果である、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性等が優れるものとなり好ましい。この為、本発明では、上記処理粉体を調製するための前記成分(A)と(B)との比率が、質量比(成分(A)/成分(B))で999/1〜4/1であることが好ましく、さらに199/5〜17/3であることがより好ましい。
【0024】
本発明に於いて処理粉体を調製するための処理法は、粉体表面に成分(B)を均一に処理する方法であれば特に制約を受けるものではないが、例えば、成分(B)を有機溶媒に溶解又は分散させ、これに成分(A)を混合分散した後、該有機溶媒中を加熱及び減圧して除去する方法、該有機溶媒の除去に噴霧乾燥装置を用いる方法、メカノケミカル処理する方法等が挙げられるが、好ましい方法としては、まず成分(A)の単独若しくはそれらの混合物と予め有機溶媒中に溶解または分散させた本発明の成分(B)とを混合、攪拌して均一とした後、有機溶媒を減圧下除去、また必要ならば加温して除去し、これを乾燥することで行なわれる。この際、有機溶媒への成分(A)と(B)の添加順序は、何れが先であってもよく、また異なる成分(B)は、それらを同時に混合して、あるいは順次添加し、処理しても何ら差支えない。
有機溶媒としては、この種の方法で用いられる公知のものが利用でき、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、キシロール、ベンゼン、クロロホルム、ヘキサン、フロンなどの有機溶媒が挙げられ、油性成分に影響を与えないこと、安全性などを考慮して適宜用いることができる。そして有機溶媒の使用量は、化粧用粉体全体を均一となす必要量用いればよく、成分(A)の質量に対し、50〜75質量%程度の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の化粧料には、目的に応じて、成分(B)により処理された処理粉体を1種又は2種以上を含有させることができ、この場合のそれぞれの処理粉体の化粧料への合計含有量は、特に限定されるものではないが、粉体化粧料ならば粉体化粧料全量中15〜99質量%、油性化粧料ならば油性化粧料全量中1〜50質量%、水中油系型化粧料では水中油系型化粧料全量中0.1〜30質量%、油中水系型化粧料では油中水系型化粧料全量中0.5〜40質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0026】
前記成分(A)は、本発明の効果を妨げない範囲であれば本発明の成分(B)で処理を行わないものや、フッ素化合物シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素を用いて表面処理を施したものやそれらの2種以上を複合した複合化合物で処理したものを併用することもできる。
【0027】
本発明の化粧料には、上記成分に加え、目的に応じて、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、油剤、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、ゲル化剤、キレート剤、香料等の通常化粧料に汎用される成分の配合が可能である。
【0028】
本発明で用いられる油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油、ミンク油、ラノリン等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、オクタン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン類、フッ素化合物、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の化粧料にこれら油剤を含有する場合の含有量は、化粧料の剤型により異なるが、粉体化粧料の場合は粉体化粧料全量中0.1〜40質量%、油性化粧料の場合は油性化粧料全量中40〜95質量%、水中油型化粧料の場合は水中油型化粧料全量中1〜30質量%、油中水型化粧料の場合は油中水型化粧料全量中5〜90質量%がそれぞれ好ましい。
【0029】
本発明の化粧料には、分散、乳化及び湿潤等の目的で界面活性剤を含有することができる。このような界面活性剤は、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば、何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
具体的には、非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、o−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の化粧料にこれら界面活性剤を含有する場合の含有量は、化粧料全量中0.01〜10質量%が好ましい。
【0030】
水性成分としては、通常化粧料に用いられる水性成分であり、水又は水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0031】
水溶性高分子としては、通常化粧料に用いられる水溶性高分子であり、例えば、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、PABA系としては、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等が挙げられ、ケイ皮酸としては、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としてはサリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等が挙げられ、その他、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0033】
保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばトコフェロール類、アスコルビン酸等が挙げられる。美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸アルキル、フェノキシエタノール等が挙げられる
【0034】
本発明の化粧料の剤型は、特に限定されないが、粉体化粧料、油性化粧料、水中油型化粧料、油中水型化粧料等が挙げられ、形態としては粉末状、固形状、棒状、乳液状、クリーム状、二層ローション等が挙げられる。また、本発明の化粧料は、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料とすることができ、ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドウ、アイブロウ、口紅、日焼け止め料、コンシーラー、ボディパウダー、制汗剤等に応用可能であるが、特にメーキャップ化粧料において本発明の効果が発揮されやすい。
また、これらの化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて製造することができ、特にその製法は限定されない。
【0035】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
粉体処理剤1:エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物の調製2−エチルヘキサン酸〔協和発酵(株)製、オクチル酸〕178g(1.24モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕72g(0.59モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で20時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価101のエリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物142g得た。
このエステルの化合物は、一般式(I−1)を基本骨格とするジエステル、トリエステル、テトラエステル、及び一般式(II−1)を基本骨格とするジエステルの含有量がそれぞれ7.7質量%、41.5質量%、20.4質量%、及び28.9質量%であった。
【0037】
粉体処理剤2:エリスリトールとイソアステアリン酸のエステル化合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ社製、PRISORIN ISAC3505〕222g(0.78モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で13時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価50のエリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物204g得た。
【0038】
粉体処理剤3:エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ製、PRISORIN ISAC3505〕185g(0.65モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を供えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込量の5質量%の量加え、混合物を180〜210℃で10時間攪拌反応させ冷却、次いで、無水コハク酸〔新日本理化(株)、リカシッドSA〕16g(0.16モル)を追加し、再び120〜230℃で16時間攪拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行ない、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価39のエリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物を143g得た。
【0039】
製造例1:
処理粉体1(酸化チタン):エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理酸化チタン
エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)100gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化チタン900gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理酸化チタンを得た。
【0040】
製造例2:
処理粉体2(酸化亜鉛):エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)5質量%処理酸化亜鉛
エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)50gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化亜鉛950gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)5質量%処理酸化亜鉛を得た。
【0041】
製造例3:
処理粉体3(タルク):エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)1質量%処理タルク
エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)10gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにタルク990gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)1質量%処理タルクを得た。
【0042】
製造例4:
処理粉体4(マイカ):エリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)3質量%処理マイカ
エリスリトールとイソオクチル酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)30gをエタノール600gに溶解し、これにマイカ970gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソオクチル酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)3質量%処理マイカを得た。
【0043】
製造例5:
処理粉体5(混合体質顔料):エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理混合体質粉体
エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤1)100gをエタノール600gに溶解し、これにタルク500g、カオリン100g、セリサイト200g、無水ケイ酸50g、窒化ホウ素50gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤1)10質量%処理混合体質粉体を得た。
【0044】
比較製造例1:
処理粉体6(酸化チタン):パルミチン酸イソプロピル10質量%処理酸化チタン
パルミチン酸イソプロピル100gをエタノール600gに溶解し、これに酸化チタン900gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、パルミチン酸イソプロピル10質量%処理酸化チタンを得た。
【0045】
比較製造例2:
処理粉体7(酸化亜鉛):シリコーン5質量%処理酸化亜鉛
ジメチルポリシロキサン(20cs)50gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化亜鉛950gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、シリコーン5質量%処理酸化亜鉛を得た。
【0046】
比較製造例3:
処理粉体8(タルク):流動パラフィン1質量%処理タルク
流動パラフィン10gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにタルク990gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、流動パラフィン1質量%処理タルクを得た。
【0047】
比較製造例4:
処理粉体9(マイカ):ステアリル変性シリコーン3質量%処理マイカ
ステアリル変性シリコーン(注(1))30gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにマイカ970gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、ステアリル変性シリコーン3質量%処理マイカを得た。
注(1):ABILWAX9800D(ゴールドシュミット社製)
【0048】
実施例1〜5及び比較例1〜3:固形状パウダーファンデーション
表1に示す組成の固形状パウダーファンデーションを下記製造方法により調製し、以下に示す評価方法及び判定基準にて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性について評価を行い、その結果を併せて表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
注(2):製造例2の酸化亜鉛に替えて無水ケイ酸を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(3):製造例2の酸化亜鉛に替えて雲母チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(4):製造例2の酸化亜鉛に替えてポリスチレンパウダーを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(5):製造例2の酸化亜鉛に替えてベンガラを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(6):製造例2の酸化亜鉛に替えて黄酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(7):製造例2の酸化亜鉛に替えて黒酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(8):比較製造例1の酸化チタンに替えて酸化亜鉛を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(9):比較製造例1の酸化チタンに替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(10):比較製造例1の酸化チタンに替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(11):比較製造例2の酸化亜鉛に替えて酸化チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(12):比較製造例2の酸化亜鉛に替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(13):比較製造例2の酸化亜鉛に替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
【0051】
(製造方法)
A.成分1〜22を混合分散する。
B.成分23〜28を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形状パウダーファンデーションを得た。
【0052】
(評価方法)
10名の官能評価専門パネルに、上記の実施例及び比較例の固形状パウダーファンデーションを使用してもらい、各試料に対して、「肌へのなじみ」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」の各評価項目について、下記の評価基準に基づき7段階評価し、更に、各パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。
【0053】
評価基準:
(評価) :(評点)
非常に良好:6
良好 :5
やや良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
非常に不良:0
判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
5点を超える :◎
3点を超えて5点以下:○
1点を超えて3点以下:△
1点以下 :×
【0054】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の固形状パウダーファンデーションは、比較例に比べて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性の全てにおいて優れた特性を有し、化粧持ちにも優れていた。一方、本発明の粉体処理剤処理粉体を使用しなかった比較例1は特に粉体の凝集が見られ、特に肌への密着性や化粧膜の均一性が劣っていた。また、本発明の処理粉体に替えてパルミチン酸イソプロピルで処理した酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカを用いた比較例2は粉体の分散性はある程度改良されたが、特に化粧膜の均一性において劣っていた。更に、本発明の処理粉体に替えてシリコーン処理した酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカを用いた比較例3は膜の均一性は改良されたが、特に肌への密着性において劣るものであった。
【0055】
実施例6〜10及び比較例4〜6:粉末状白粉
表2に示す組成の粉末状白粉を下記製造方法により調製し、上記評価方法及び判定基準にて、各試料に対して、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性について、固形状パウダーファンデーションと同様に評価、判定し、その結果を併せて表2に示した。
【0056】
【表2】
注(2):製造例2の酸化亜鉛に替えて無水ケイ酸を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(3):製造例2の酸化亜鉛に替えて雲母チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(5):製造例2の酸化亜鉛に替えてベンガラを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(6):製造例2の酸化亜鉛に替えて黄酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(7):製造例2の酸化亜鉛に替えて黒酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(14):比較製造例3のタルクに替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(15):比較製造例4のマイカに替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
【0057】
(製造方法)
A.成分1〜19を混合分散する。
B.成分20〜25を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、容器に充填し粉末状白粉を得た。
【0058】
表2に示す結果から明らかなように、本発明の粉末状白粉は、比較例に比べて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性の全てにおいて優れた特性を有し化粧持ちにも優れていた。一方、本発明の成分(B)処理粉体の替わりに、流動パラフィンで処理したタルク及びマイカを用いた比較例4は特に化粧膜の均一性の点で劣っていた。また、ステアリル変性シリコーンで処理したタルク及びマイカを用いた比較例5は特に肌への密着性の点において劣っていた。更に、未処理の粉体を用いた比較例6は、肌へのなじみ、密着性、化粧膜の均一性のすべての評価項目において劣るものであった。
【0059】
(製造方法)
A:成分1〜8を混合分散する。
B:A工程で得られた混合物に9を添加し均一に混合する。
C:B工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形粉末状白粉を得た。
実施例11の固形粉末状白粉は、肌へのなじみが良好で、肌への伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0060】
(製造方法)
A:成分1〜8を混合する。
B:成分9〜12加熱溶解し混合する。
C:A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、混合した後、皿に圧縮成型し、固形粉末状アイシャドウを得た。
実施例12の固形粉末状アイシャドウは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0061】
(製造方法)
A.成分1〜7を混合分散する。
B.成分8〜11を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、ケーキファンデーションを得た。
実施例13のケーキファンデーションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0062】
(製造方法)
A.成分1〜6および12を混合分散する。
B.成分7〜11を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、アイライナー&アイブロウを得た。
実施例14のアイライナー&アイブロウは、肌へのなじみが良好で、肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0063】
(製造方法)
A.成分1〜7を80℃で加熱溶解する。
B.A工程で得られた混合物に成分8〜13を添加し均一に分散する。
C.B工程で得られた混合物にあらかじめ均一に溶解した成分14〜17を加え乳化する。
D.C工程で得られた混合物を容器に充填して固形状油中水型日焼け止めファンデーションを得た。
実施例15の固形状油中水型日焼け止めファンデーションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧効果の持続性、化粧膜の均一性に優れたものであった。また顔料、粉体の分散が良好で、日焼け止め効果の高いものであった。
【0064】
(製造方法)
A.成分1〜5、8と7の一部をディスパーズミルにて混合分散する。
B.A工程で得られた混合物に成分6と7の残量を混合する。
C.B工程で得られた混合物を容器に充填して二層ローションを得た。
実施例16の二層ローションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。特に粉体層のケーキングがなく、使用時に振とうすると容易に分散し使用性に優れるものであった。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の化粧料は、化粧持ちに優れ、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れた化粧料であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の粉体処理剤で処理された処理粉体を含有する化粧料に関し、更に詳しくは化粧持ちに優れ、肌へのなじみ、伸びひろがりが良好であり肌への密着性、化粧膜の均一性に優れる化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、化粧料に配合する粉体の表面改質をすることにより、使用する粉体の負の効果を改善したり、新しい機能を付与したりしてきた。例えば、屈折率が大きい酸化チタンや酸化亜鉛は、しみやそばかすを隠す目的や、紫外線を遮断する目的等で粉体化粧料に用いられているが、これらを未処理のまま配合すると、特に塗布時のきしみ感(ギシギシ感)が生じやすいものであった。そのため、これらの粉体をグリセライドやシリコーン油等の油剤や無水ケイ酸等の粉体により表面処理を行うことにより、きしみ感や分散性を改善してきた。
また、吸油量や吸水量の大きい粉体を化粧料に配合した場合のかさつき感を低減する目的で、水溶性高分子と脂質により粉体の表面を被覆した技術(例えば特許文献1参照)がある。
一方、化粧持ちを向上させるため、粉体の表面を疎水性にする技術も多く検討されてきた。例えば、疎水性を向上させるため、デキストリン脂肪酸部分エステルによって粉体の表面を被覆した技術(例えば特許文献2参照)、また、シリコーン処理粉体を用いることによりシリコーン油を多く含む化粧料において、肌へのなめらかさ、一体感を検討した技術(例えば特許文献3参照)、さらにシリコーンで処理した粉体から発生する水素を低減するための製造方法も試みられている。(例えば特許文献4参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2002−201113号公報
【特許文献2】
特公平5−3844号公報
【特許文献3】
特公平7−29903号公報
【特許文献4】
特開2001−262004号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水溶性高分子と脂質で処理した粉体を配合した化粧料は、密着性および化粧持ちは向上するが、塗布時のズルツキと化粧膜の均一性に劣り、デキストリン脂肪酸部分エステルで表面処理した粉体を配合した化粧料は、肌への密着性は向上するが、肌への伸びひろがりに劣り、塗布時のきしみ感が残る。また、疎水性を向上するためにシリコーンで処理した粉体を配合した粉体化粧料は、塗布時のきしみ感は低減されるが、化粧料が肌に付着しづらくなり、肌への密着性を低下させる場合があった。酸化チタンや酸化亜鉛を油剤やシリコーンで処理することも試みられているが、これらの粉体は、特に凝集力が強いため、粒子の凝集を起こさずに処理することは難しく、凝集状態のままで粉体化粧料に配合すると、化粧膜が不均一になる、いわゆるムラ付きする現象を生じていた。
そこで、化粧持ち、肌へのなじみに優れ、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れる化粧料の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、特定のエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体で粉体を処理することにより、肌への付着性が高く、凝集性が低く、分散性が良好な処理粉体が得られ、この処理粉体を含有する化粧料は、化粧持ちに優れ、肌へのなじみが良好で、肌への密着性に優れ、伸びひろがりが良く化粧膜の均一性に優れる等の使用感触が改良されたものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、次の成分(A)を成分(B)の粉体処理剤で処理した処理粉体を含有することを特徴とし、さらに成分(B)の水酸基価(OHV)が10〜150であることを特徴とする化粧料。
(A)粉体
(B)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
【化2】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
なお、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。
【0006】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有するものであり、成分(B)のうち、一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有するものであり、成分(B)のうち、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、処理粉体が、成分(A)に(B)を物理吸着させる処理により調製されること特徴とする化粧料を提供するものである。
【0009】
さらに、本発明は、処理粉体を調製するための成分(A)と(B)との比率が質量比(成分(A)/成分(B))で999/1〜4/1であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、成分(A)が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、成分(A)が、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸及び窒化ホウ素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を1種または2種以上含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0013】
そしてさらに、本発明は、成分(A)を(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料に関するものであって、形状が固形状である化粧料を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる処理粉体の構成成分である粉体処理剤(B)としては、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【化3】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
成分(B)の構成脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち炭素数8〜18の脂肪酸、特にイソオクチル酸(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
直鎖脂肪酸とは、炭素数6から炭素数28の直鎖脂肪酸で、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の成分(B)の一般式(I)で示されるエステル化合物は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はテトラエステルの1種又は2種以上からなるものである。また、一般式(II)で示されるエステル化合物は、モノエステル又はジエステルの1種又は2種からなるものである。また、一般式(I)及び一般式(II)で示されるエステル化合物とは、一般式(I)で示されるエステル化合物と一般式(II)で示されるエステル化合物からそれぞれ選ばれる2種以上の混合物である。
さらに、本発明の成分(B)の一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。また、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
本発明では、さらに、上記一般式(I)を基本骨格とするジエステル、及びトリエステルの合計含有率がエステル化合物中の20〜94質量%、さらには40〜80質量%を占めるものが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の成分(B)は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と、イソオクチル酸との一般式(I−1)及び/又は(II−1)で表されるエステル化合物の混合物であって、一般式(I−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量がそれぞれ0〜10質量%、0〜30質量%、18〜70質量%及び6〜75質量%であることが好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜20質量%、13〜70質量%及び8〜60質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、3〜20質量%、30〜70質量%、8〜40質量%であることが最も好ましい。そして、一般式(II−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステルの含有量はそれぞれ、0〜10質量%、0〜50質量%が好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜35質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、5〜35質量%であるのが最も好ましい。
【化4】
(式中、R1’〜R4’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表し、R5’及びR6’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表す。)尚、式中のイソオクチル酸残基としては、‐C(=O)‐(CH2CH3)CH‐(CH2)3‐CH3[2−エチルヘキサン酸]や‐C(=O)‐(CH2)2−(CH3)CH‐(CH3)CH‐CH3[4,5−ジメチルヘキサン酸]があげられる。
【0017】
モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量について、一般式(I−1)の場合を、又、モノエステル、ジエステルの含量について、一般式(II−1)の場合を説明したが、それらが一般式(I)の場合、一般式(II)の場合についても同様である。
【0018】
また、本発明の成分(B)の重縮合物を調製するのに本発明で用いる多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸やセバシン酸などの炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸が好ましく、特に炭素数4〜10の2塩基性飽和カルボン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の成分(B)の重縮合物の調製においては、原料として炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは飽和分岐脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物や、炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)及び炭素数8〜18の直鎖脂肪酸(直鎖飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物を用いるのが好ましい。この場合、分岐脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよく、分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよい。
【0019】
本発明の成分(B)は、水酸基価(OHV)(以下、単に「OHV」と表す)が10〜150のものが好ましく、OHVが20〜120のものがより好ましく、30〜120のものが最も好ましい。OHVがこのような範囲にあると、顔料の凝集が少なく、分散性がより向上し化粧膜の均一性が良好になり、密着性が向上するといった効果を発揮できる。ここでOHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値とする。本発明の成分(B)は、室温で液状であるのが好ましく、粘度(25℃)が100〜30000mPa・sであるのが好ましい。
本発明の成分(B)は、例えば、エリスリトール1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒又は触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行う。反応終了後は、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法により調製することができる。
【0020】
本発明に用いられる処理粉体において、前記成分(B)で処理する成分(A)は、通常化粧料に用いられる粉体であれば球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類を用いることができる。例えば、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の無機体質粉体、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラック等の無機着色顔料、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール剤、タール系色素、天然色素等の有機着色顔料、ナイロンパウダー、球状ナイロン粉体、ポリメタクリル酸メチルパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、トリメチルシルセスキオキサンパウダー、シルクパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエチレンパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジン等の有機粉体等、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等のラメ剤等が挙げら、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
前記成分(A)において、酸化チタンや酸化亜鉛は凝集力が強いため、本発明の成分(B)で処理して化粧料に含有すると、特に塗布時のきしみ感(ギシギシ感)を低減させることができるため好ましい。
【0022】
また、前記成分(A)において、タルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の無機体質粉体は、本発明の成分(B)で処理して化粧料に含有すると、肌への密着性と化粧持続性が特に優れるため好ましい。
【0023】
本発明において、処理粉体の処理状態は、例えば、粉体表面に前記成分(B)が物理的に吸着している状態であり、このような状態となることにより、本発明の効果である、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性等が優れるものとなり好ましい。この為、本発明では、上記処理粉体を調製するための前記成分(A)と(B)との比率が、質量比(成分(A)/成分(B))で999/1〜4/1であることが好ましく、さらに199/5〜17/3であることがより好ましい。
【0024】
本発明に於いて処理粉体を調製するための処理法は、粉体表面に成分(B)を均一に処理する方法であれば特に制約を受けるものではないが、例えば、成分(B)を有機溶媒に溶解又は分散させ、これに成分(A)を混合分散した後、該有機溶媒中を加熱及び減圧して除去する方法、該有機溶媒の除去に噴霧乾燥装置を用いる方法、メカノケミカル処理する方法等が挙げられるが、好ましい方法としては、まず成分(A)の単独若しくはそれらの混合物と予め有機溶媒中に溶解または分散させた本発明の成分(B)とを混合、攪拌して均一とした後、有機溶媒を減圧下除去、また必要ならば加温して除去し、これを乾燥することで行なわれる。この際、有機溶媒への成分(A)と(B)の添加順序は、何れが先であってもよく、また異なる成分(B)は、それらを同時に混合して、あるいは順次添加し、処理しても何ら差支えない。
有機溶媒としては、この種の方法で用いられる公知のものが利用でき、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、キシロール、ベンゼン、クロロホルム、ヘキサン、フロンなどの有機溶媒が挙げられ、油性成分に影響を与えないこと、安全性などを考慮して適宜用いることができる。そして有機溶媒の使用量は、化粧用粉体全体を均一となす必要量用いればよく、成分(A)の質量に対し、50〜75質量%程度の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の化粧料には、目的に応じて、成分(B)により処理された処理粉体を1種又は2種以上を含有させることができ、この場合のそれぞれの処理粉体の化粧料への合計含有量は、特に限定されるものではないが、粉体化粧料ならば粉体化粧料全量中15〜99質量%、油性化粧料ならば油性化粧料全量中1〜50質量%、水中油系型化粧料では水中油系型化粧料全量中0.1〜30質量%、油中水系型化粧料では油中水系型化粧料全量中0.5〜40質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0026】
前記成分(A)は、本発明の効果を妨げない範囲であれば本発明の成分(B)で処理を行わないものや、フッ素化合物シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素を用いて表面処理を施したものやそれらの2種以上を複合した複合化合物で処理したものを併用することもできる。
【0027】
本発明の化粧料には、上記成分に加え、目的に応じて、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、油剤、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、ゲル化剤、キレート剤、香料等の通常化粧料に汎用される成分の配合が可能である。
【0028】
本発明で用いられる油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油、ミンク油、ラノリン等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、オクタン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン類、フッ素化合物、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の化粧料にこれら油剤を含有する場合の含有量は、化粧料の剤型により異なるが、粉体化粧料の場合は粉体化粧料全量中0.1〜40質量%、油性化粧料の場合は油性化粧料全量中40〜95質量%、水中油型化粧料の場合は水中油型化粧料全量中1〜30質量%、油中水型化粧料の場合は油中水型化粧料全量中5〜90質量%がそれぞれ好ましい。
【0029】
本発明の化粧料には、分散、乳化及び湿潤等の目的で界面活性剤を含有することができる。このような界面活性剤は、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば、何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
具体的には、非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、o−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の化粧料にこれら界面活性剤を含有する場合の含有量は、化粧料全量中0.01〜10質量%が好ましい。
【0030】
水性成分としては、通常化粧料に用いられる水性成分であり、水又は水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0031】
水溶性高分子としては、通常化粧料に用いられる水溶性高分子であり、例えば、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、PABA系としては、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等が挙げられ、ケイ皮酸としては、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としてはサリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等が挙げられ、その他、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0033】
保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばトコフェロール類、アスコルビン酸等が挙げられる。美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸アルキル、フェノキシエタノール等が挙げられる
【0034】
本発明の化粧料の剤型は、特に限定されないが、粉体化粧料、油性化粧料、水中油型化粧料、油中水型化粧料等が挙げられ、形態としては粉末状、固形状、棒状、乳液状、クリーム状、二層ローション等が挙げられる。また、本発明の化粧料は、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料とすることができ、ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドウ、アイブロウ、口紅、日焼け止め料、コンシーラー、ボディパウダー、制汗剤等に応用可能であるが、特にメーキャップ化粧料において本発明の効果が発揮されやすい。
また、これらの化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて製造することができ、特にその製法は限定されない。
【0035】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
粉体処理剤1:エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物の調製2−エチルヘキサン酸〔協和発酵(株)製、オクチル酸〕178g(1.24モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕72g(0.59モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で20時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価101のエリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物142g得た。
このエステルの化合物は、一般式(I−1)を基本骨格とするジエステル、トリエステル、テトラエステル、及び一般式(II−1)を基本骨格とするジエステルの含有量がそれぞれ7.7質量%、41.5質量%、20.4質量%、及び28.9質量%であった。
【0037】
粉体処理剤2:エリスリトールとイソアステアリン酸のエステル化合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ社製、PRISORIN ISAC3505〕222g(0.78モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で13時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価50のエリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物204g得た。
【0038】
粉体処理剤3:エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ製、PRISORIN ISAC3505〕185g(0.65モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を供えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込量の5質量%の量加え、混合物を180〜210℃で10時間攪拌反応させ冷却、次いで、無水コハク酸〔新日本理化(株)、リカシッドSA〕16g(0.16モル)を追加し、再び120〜230℃で16時間攪拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行ない、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価39のエリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物を143g得た。
【0039】
製造例1:
処理粉体1(酸化チタン):エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理酸化チタン
エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)100gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化チタン900gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理酸化チタンを得た。
【0040】
製造例2:
処理粉体2(酸化亜鉛):エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)5質量%処理酸化亜鉛
エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)50gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化亜鉛950gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)5質量%処理酸化亜鉛を得た。
【0041】
製造例3:
処理粉体3(タルク):エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)1質量%処理タルク
エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)10gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにタルク990gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物(粉体処理剤3)1質量%処理タルクを得た。
【0042】
製造例4:
処理粉体4(マイカ):エリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)3質量%処理マイカ
エリスリトールとイソオクチル酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)30gをエタノール600gに溶解し、これにマイカ970gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールとイソオクチル酸とのエステル化合物(粉体処理剤2)3質量%処理マイカを得た。
【0043】
製造例5:
処理粉体5(混合体質顔料):エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤2)10質量%処理混合体質粉体
エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤1)100gをエタノール600gに溶解し、これにタルク500g、カオリン100g、セリサイト200g、無水ケイ酸50g、窒化ホウ素50gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物(粉体処理剤1)10質量%処理混合体質粉体を得た。
【0044】
比較製造例1:
処理粉体6(酸化チタン):パルミチン酸イソプロピル10質量%処理酸化チタン
パルミチン酸イソプロピル100gをエタノール600gに溶解し、これに酸化チタン900gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、エタノールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、パルミチン酸イソプロピル10質量%処理酸化チタンを得た。
【0045】
比較製造例2:
処理粉体7(酸化亜鉛):シリコーン5質量%処理酸化亜鉛
ジメチルポリシロキサン(20cs)50gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これに酸化亜鉛950gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、シリコーン5質量%処理酸化亜鉛を得た。
【0046】
比較製造例3:
処理粉体8(タルク):流動パラフィン1質量%処理タルク
流動パラフィン10gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにタルク990gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、流動パラフィン1質量%処理タルクを得た。
【0047】
比較製造例4:
処理粉体9(マイカ):ステアリル変性シリコーン3質量%処理マイカ
ステアリル変性シリコーン(注(1))30gをイソプロピルアルコール600gに溶解し、これにマイカ970gを加えて、室温で十分攪拌して均一分散する。その後、この分散物を80℃まで加熱し、イソプロピルアルコールを減圧除去し、乾燥する。得られた処理粉体を冷却後、ハンマーミルにより粉砕し、ステアリル変性シリコーン3質量%処理マイカを得た。
注(1):ABILWAX9800D(ゴールドシュミット社製)
【0048】
実施例1〜5及び比較例1〜3:固形状パウダーファンデーション
表1に示す組成の固形状パウダーファンデーションを下記製造方法により調製し、以下に示す評価方法及び判定基準にて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性について評価を行い、その結果を併せて表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
注(2):製造例2の酸化亜鉛に替えて無水ケイ酸を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(3):製造例2の酸化亜鉛に替えて雲母チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(4):製造例2の酸化亜鉛に替えてポリスチレンパウダーを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(5):製造例2の酸化亜鉛に替えてベンガラを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(6):製造例2の酸化亜鉛に替えて黄酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(7):製造例2の酸化亜鉛に替えて黒酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(8):比較製造例1の酸化チタンに替えて酸化亜鉛を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(9):比較製造例1の酸化チタンに替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(10):比較製造例1の酸化チタンに替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(11):比較製造例2の酸化亜鉛に替えて酸化チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(12):比較製造例2の酸化亜鉛に替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(13):比較製造例2の酸化亜鉛に替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
【0051】
(製造方法)
A.成分1〜22を混合分散する。
B.成分23〜28を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形状パウダーファンデーションを得た。
【0052】
(評価方法)
10名の官能評価専門パネルに、上記の実施例及び比較例の固形状パウダーファンデーションを使用してもらい、各試料に対して、「肌へのなじみ」、「肌への密着性」、「化粧膜の均一性」の各評価項目について、下記の評価基準に基づき7段階評価し、更に、各パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。
【0053】
評価基準:
(評価) :(評点)
非常に良好:6
良好 :5
やや良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
非常に不良:0
判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
5点を超える :◎
3点を超えて5点以下:○
1点を超えて3点以下:△
1点以下 :×
【0054】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の固形状パウダーファンデーションは、比較例に比べて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性の全てにおいて優れた特性を有し、化粧持ちにも優れていた。一方、本発明の粉体処理剤処理粉体を使用しなかった比較例1は特に粉体の凝集が見られ、特に肌への密着性や化粧膜の均一性が劣っていた。また、本発明の処理粉体に替えてパルミチン酸イソプロピルで処理した酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカを用いた比較例2は粉体の分散性はある程度改良されたが、特に化粧膜の均一性において劣っていた。更に、本発明の処理粉体に替えてシリコーン処理した酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカを用いた比較例3は膜の均一性は改良されたが、特に肌への密着性において劣るものであった。
【0055】
実施例6〜10及び比較例4〜6:粉末状白粉
表2に示す組成の粉末状白粉を下記製造方法により調製し、上記評価方法及び判定基準にて、各試料に対して、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性について、固形状パウダーファンデーションと同様に評価、判定し、その結果を併せて表2に示した。
【0056】
【表2】
注(2):製造例2の酸化亜鉛に替えて無水ケイ酸を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(3):製造例2の酸化亜鉛に替えて雲母チタンを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(5):製造例2の酸化亜鉛に替えてベンガラを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(6):製造例2の酸化亜鉛に替えて黄酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(7):製造例2の酸化亜鉛に替えて黒酸化鉄を用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(14):比較製造例3のタルクに替えてマイカを用い、同様の方法で製造した処理粉体
注(15):比較製造例4のマイカに替えてタルクを用い、同様の方法で製造した処理粉体
【0057】
(製造方法)
A.成分1〜19を混合分散する。
B.成分20〜25を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、容器に充填し粉末状白粉を得た。
【0058】
表2に示す結果から明らかなように、本発明の粉末状白粉は、比較例に比べて、肌へのなじみ、肌への密着性、化粧膜の均一性の全てにおいて優れた特性を有し化粧持ちにも優れていた。一方、本発明の成分(B)処理粉体の替わりに、流動パラフィンで処理したタルク及びマイカを用いた比較例4は特に化粧膜の均一性の点で劣っていた。また、ステアリル変性シリコーンで処理したタルク及びマイカを用いた比較例5は特に肌への密着性の点において劣っていた。更に、未処理の粉体を用いた比較例6は、肌へのなじみ、密着性、化粧膜の均一性のすべての評価項目において劣るものであった。
【0059】
(製造方法)
A:成分1〜8を混合分散する。
B:A工程で得られた混合物に9を添加し均一に混合する。
C:B工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形粉末状白粉を得た。
実施例11の固形粉末状白粉は、肌へのなじみが良好で、肌への伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0060】
(製造方法)
A:成分1〜8を混合する。
B:成分9〜12加熱溶解し混合する。
C:A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、混合した後、皿に圧縮成型し、固形粉末状アイシャドウを得た。
実施例12の固形粉末状アイシャドウは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0061】
(製造方法)
A.成分1〜7を混合分散する。
B.成分8〜11を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、ケーキファンデーションを得た。
実施例13のケーキファンデーションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0062】
(製造方法)
A.成分1〜6および12を混合分散する。
B.成分7〜11を50℃に加熱し、均一に混合溶解する。
C.A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加し、均一に混合分散する。
D.C工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、アイライナー&アイブロウを得た。
実施例14のアイライナー&アイブロウは、肌へのなじみが良好で、肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。
【0063】
(製造方法)
A.成分1〜7を80℃で加熱溶解する。
B.A工程で得られた混合物に成分8〜13を添加し均一に分散する。
C.B工程で得られた混合物にあらかじめ均一に溶解した成分14〜17を加え乳化する。
D.C工程で得られた混合物を容器に充填して固形状油中水型日焼け止めファンデーションを得た。
実施例15の固形状油中水型日焼け止めファンデーションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧効果の持続性、化粧膜の均一性に優れたものであった。また顔料、粉体の分散が良好で、日焼け止め効果の高いものであった。
【0064】
(製造方法)
A.成分1〜5、8と7の一部をディスパーズミルにて混合分散する。
B.A工程で得られた混合物に成分6と7の残量を混合する。
C.B工程で得られた混合物を容器に充填して二層ローションを得た。
実施例16の二層ローションは、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れたものであった。特に粉体層のケーキングがなく、使用時に振とうすると容易に分散し使用性に優れるものであった。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の化粧料は、化粧持ちに優れ、肌へのなじみが良好で、伸びひろがりが良好で肌への密着性に優れ、化粧膜の均一性に優れた化粧料であった。
Claims (9)
- 次の成分(A)を成分(B)の粉体処理剤で処理した処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
(A)粉体
(B)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
- 上記一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子である請求項1記載の化粧料。
- 上記一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子である請求項1又は2に記載の化粧料。
- 成分(A)の処理が、成分(B)を物理吸着させる処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料。
- 処理粉体を調製するための成分(A)と(B)との比率が質量比(成分(A)/成分(B))で999/1〜4/1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料。
- 成分(A)が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料。
- 成分(A)がタルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸及び窒化ホウ素から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜5項のいずれか1項に記載の化粧料。
- 成分(A)を成分(B)で処理した処理粉体を1種又は2種以上含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料。
- 成分(A)を成分(B)で処理した処理粉体を含有する化粧料が固形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧料。
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2003
- 2003-05-13 JP JP2003135197A patent/JP2004339099A/ja active Pending
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WO2009004952A1 (ja) | 2007-06-29 | 2009-01-08 | The Nisshin Oillio Group, Ltd. | シリコーンを含有する化粧料 |
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