JP2004339093A - 日焼け止め化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布時にきしみ感が無く、伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(a)及び(b)を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
(a)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸とのエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上、
(b)紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体。
【選択図】 なし
【解決手段】次の成分(a)及び(b)を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
(a)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸とのエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上、
(b)紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体、並びに紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体を含有する日焼け止め化粧料に関するものであり、更に詳しくは、該金属酸化物粉体の分散性に優れ、きしみ感が無く塗布時の伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
日焼け止め化粧料は、有害な紫外線から肌を守るために用いられる化粧料であり、大気圏のオゾンホール等の影響により、近年その使用量は増加傾向にある化粧料である。このような日焼け止め化粧料は、紫外線遮蔽剤として、化学的に紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤や、物理化学的に紫外線を吸収・遮蔽する無機紫外線遮蔽剤が用いられている。前記有機紫外線吸収剤は、液状、固形状、ペースト状等の物質であり、通常は油剤又は水に溶解して用いられている。これら有機紫外線吸収剤は、可視光を透過するため、透明性に優れるが、化学構造的に不安定な物質であり、肌に刺激を与える場合があり、多量に用いることはできなかった。また、使用性の面からも、油っぽいべたつき感があることからも、多量には用いられていない。
【0003】
そこで、これら有機紫外線吸収剤の代わりに、無機紫外線遮蔽剤である、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導体特性を有する金属酸化物粉体が用いられている。また、この金属酸化物粉体は、透明性を向上させ、且つ紫外線遮蔽効果を高めるために、平均粒径が100nm以下の、いわゆる微粒子金属酸化物粉体が汎用されている。しかし、これら金属酸化物粉体は微粒子化すると、比表面積がより大きくなり、粒子同士の結合力が強くなり凝集し易い性質を帯びてくる。このため、これら日焼け止め化粧料に金属酸化物粉体を用いる場合には、如何に凝集させずに、安定に含有させるかが重要となり、多数の技術が開発されている。
【0004】
これら従来から用いられている金属酸化物粉体を均一分散させる技術としては、シリコーン化合物で被覆した金属酸化物粉体と特定のシリコーン系界面活性剤を用いる方法(例えば、特許文献1参照)、ビーズミル等の湿式媒体ミルを用いて機械的に強分散させる方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−215615号公報(第1頁−第9頁)
【特許文献2】
特開平05−201844号公報(第1頁−第8頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーン化合物で被覆した金属酸化物粉体と特定のシリコーン系界面活性剤を用いる方法では、分散効果が十分でなく、製造直後は良好な分散状態が得られたとしても、経時的に凝集を生じる場合があった。また、湿式媒体ミルを用いて機械的に強分散させる方法では、化粧料のような少量多品種を生産するには、生産効率が悪く、しかも、強分散時に熱が発生するため、油剤や添加成分が劣化する場合があった。
【0007】
このため、金属酸化物粉体の分散性に優れ、塗布時にきしみ感が無く、伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、紫外線防御効果を有する金属酸化物粉体を分散させる分散媒として、特定のエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体を用いると、特段の機械力や表面処理を用いなくても、該金属酸化物粉体の分散性が優れることを見出し、これを日焼け止め化粧料に応用することにより、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(a)及び(b)を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
(a)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
【化2】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
(b)紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体。
なお、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。
【0010】
また、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、(a)のうち、一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、(a)のうち、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、界面活性剤である成分(c)及び/又は有機紫外線吸収剤である成分(d)を含有する日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0013】
さらに、成分(b)の平均粒径が10〜100nmである日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、成分(a)の水酸基価(OHV)が10〜150であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)はエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【化3】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
【0016】
成分(a)を構成する脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。尚、これら脂肪酸の中でも、イソオクチル酸、(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
【0017】
また、このような直鎖脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸等の直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0018】
本発明の成分(a)の一般式(I)で示されるエステル化合物は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はテトラエステルの1種又は2種以上からなるものである。また、一般式(II)で示されるエステル化合物は、モノエステル又はジエステルの1種又は2種からなるものである。また、一般式(I)及び一般式(II)で示されるエステル化合物とは、一般式(I)で示されるエステル化合物と一般式(II)で示されるエステル化合物からそれぞれ選ばれる2種以上の混合物である。
さらに、本発明の成分(a)の一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。また、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
本発明では、さらに、上記一般式(I)を基本骨格とするジエステル、及びトリエステルの合計含有率がエステル化合物中の20〜94質量%、さらには40〜80質量%を占めるものが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の成分(a)は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と、イソオクチル酸との一般式(I−1)及び/又は(II−1)で表されるエステル化合物の混合物であって、一般式(I−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量がそれぞれ0〜10質量%、0〜30質量%、18〜70質量%及び6〜75質量%であることが好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜20質量%、13〜70質量%及び8〜60質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、3〜20質量%、30〜70質量%、8〜40質量%であることが最も好ましい。そして、一般式(II−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステルの含有量はそれぞれ、0〜10質量%、0〜50質量%が好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜35質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、5〜35質量%であるのが最も好ましい。
【化4】
(式中、R1’〜R4’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表し、R5’及びR6’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表す。)
尚、式中のイソオクチル酸残基としては、‐C(=O)‐(CH2CH3)CH‐(CH2)3‐CH3[2−エチルヘキサン酸]や‐C(=O)‐(CH2)2−(CH3)CH‐(CH3)CH‐CH3[4,5−ジメチルヘキサン酸]があげられる。
【0020】
モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量について、一般式(I−1)の場合を、又、モノエステル、ジエステルの含量について、一般式(II−1)の場合を説明したが、それらが一般式(I)の場合、一般式(II)の場合についても同様である。
【0021】
また、本発明の成分(a)の重縮合物を調製するための多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の炭素数2〜10の2塩基性カルボン酸が好ましい。尚、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の成分(a)の重縮合物の調製においては、原料として炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物や、炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)及び炭素数8〜18の直鎖脂肪酸(直鎖飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物を用いるのが好ましい。この場合、分岐脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよく、分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよい。
【0022】
本発明の成分(a)の水酸基価(以下、「OHV」と略す)は、10〜150のものが好ましく、20〜120のものがより好ましく、30〜110のものが最も好ましい。成分(a)のOHVが、このような範囲にあると、他の油性成分に対する相溶性をより良好にできる。尚、OHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値とする。
【0023】
本発明の成分(a)は、室温で液状であるのが好ましく、その粘度(25℃)は100〜30000mPa・sであるのが好ましい。
【0024】
成分(a)の調製方法は、特に限定されないが、例えば、エリスリトール1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒または触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行い、次いで、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法等により調製することができる。
【0025】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜50質量%が好ましく、更には5〜30質量%が好ましい。成分(a)をこの範囲で用いると、成分(b)の分散性が特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0026】
本発明に用いられる成分(b)は、紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体であり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。成分(b)の金属酸化物は、良好な紫外線遮蔽効果の観点より、その平均粒径は、10〜100nmが好ましい。また、成分(b)の形状は、特に限定されないが、球状、針状、紡錘状、板状、薄片状等が挙げられる。尚、成分(b)は、表面活性を低下させるために、シリカ、アルミナ等の無機化合物により処理されていても良い。
【0027】
このような成分(b)の金属酸化物粉体は、市販としては、TIPAQUE TTO−55A(石原産業社製)、TIPAQUE TTO−S2(石原産業社製)、TIPAQUE CR−50(石原産業社製)、微粒子酸化チタンMT−500SA(テイカ社製)、チタンP−25(デグッサ社製)等の酸化チタン、FINEX−25,50,75(何れも、堺化学社製)、超微粒子酸化亜鉛ZnO−310(住友大阪セメント社製)等の酸化亜鉛等が挙げられる。
【0028】
また、成分(b)は、肌への付着性向上等を目的として、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素変性シリコーン等のフッ素化合物、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セタノール等の高級アルコール、ワックス、界面活性剤等の通常公知の表面処理剤を通常公知の方法で表面処理して用いることもできる。
【0029】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(b)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜40質量%が好ましく、更には5〜30質量%が好ましい。成分(b)をこの範囲で用いると、紫外線遮蔽効果と塗布時の伸び広がり特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0030】
本発明の日焼け止め化粧料には、前記成分(a)及び(b)に加えて、成分(c)として界面活性剤を含有することにより、成分(b)の金属酸化物粉体の分散性を向上させることができる。このような界面活性剤としては、通常化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、モノステアリン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、モノオレイン酸ソルビタンポリオキシエチレン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、o−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン、水素添加大豆リン脂質等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0031】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(c)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10質量%が好ましく、更には1〜5質量%が好ましい。成分(c)をこの範囲で用いると、成分(b)の分散性が特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0032】
本発明の日焼け止め化粧料は、前記成分(a)、(b)及び(c)に加えて、成分(d)として有機紫外線吸収剤を含有させることにより、紫外線遮蔽効果を向上することができ、また、成分(b)の含有量を減らすことにより、塗布時の伸び広がりをより向上させることができる。さらに、成分(c)を含有させずに、成分(a)及び(b)に成分(d)を含有させることもできる。このような有機紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系化合物、パラ−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等のケイ皮酸系化合物、サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系化合物、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイル系化合物が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0033】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜10質量%が好ましい。成分(d)をこの範囲で用いると、紫外線遮蔽効果に優れ、塗布時の伸び広がりが特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0034】
本発明の日焼け止め化粧料には、上記の成分に加え、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(a)以外の油剤、成分(b)以外の粉体、水性成分、水溶性高分子、pH調整剤、被膜形成剤、エタノール等の溶剤、パラオキシ安息香酸メチル等のパラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、保湿剤、香料、殺菌剤、酸化防止剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0035】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる成分(a)以外の油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、モクロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、セチルジメチコンコーポリオール、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0036】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる成分(b)以外の粉体としては、着色剤、感触調整剤等の目的で含有されるものであり、一般的に化粧料に用いられる粉体であれば特に限定されず、球状、板状、針状等の形状や、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、コンジョウ、タール色素、天然色素、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、これら粉体は、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、トリメトキシシロキシケイ酸等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素変性シリコーン等のフッ素化合物、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セタノール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール、ワックス、界面活性剤等の通常公知表面処理剤を通常公知の方法で表面処理して用いることもできる。
【0037】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる水性成分としては、水及び水に可溶な成分であり、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、水や、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。
【0038】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる水溶性高分子としては、安定性向上、感触改良等を目的として含有されるものである。具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0039】
本発明の日焼け止め化粧料の剤型は、特に限定されないが、油中水型、水中油型等の乳化剤型、油性剤型、粉体剤型等が挙げられる。また形態としては、液状、乳液状、多層状、クリーム状、ペースト状、固形状、粉末状等が挙げられる。
【0040】
本発明の日焼け止め化粧料は、サンスクリーン剤等の日焼け止め料等の他に、ファンデーション、下地料、コンシーラー、白粉、アイシャドウ、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料、乳液、美容液等のスキンケア化粧料等に紫外線遮蔽効果を付与したものにも適用可能である。
また、これらの日焼け止め化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて製造することができ、特にその製法は限定されない。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0042】
(製造例1)エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物の調製
2−エチルヘキサン酸〔協和発酵(株)製、オクチル酸〕178g(1.24モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕72g(0.59モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で20時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価101のエリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物142g得た。
このエステルの化合物は、一般式(I−1)を基本骨格とするジエステル、トリエステル、テトラエステル、及び一般式(II−1)を基本骨格とするジエステルの含有量がそれぞれ7.7質量%、41.5質量%、20.4質量%、及び28.9質量%であった。
【0043】
(製造例2)エリスリトールとイソアステアリン酸のエステル化合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ社製、PRISORIN ISAC3505〕222g(0.78モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で13時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価50のエリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物204g得た。
【0044】
(製造例3)エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ製、PRISORIN ISAC3505〕185g(0.65モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を供えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込量の5質量%の量加え、混合物を180〜210℃で10時間攪拌反応させ冷却、次いで、無水コハク酸〔新日本理化(株)、リカシッドSA〕16g(0.16モル)を追加し、再び120〜230℃で16時間攪拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行ない、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価39のエリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物を143g得た。
【0045】
実施例1〜8及び比較例1〜2:多層状油中水型乳化日焼け止め料
表1に示す組成の日焼け止め料を下記方法により調製し、「粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0046】
【表1】
注(1):TIPAQUE TTO−S2(石原産業社製)
注(2):FINEX 25(堺化学工業社製)をメチルハイドロジェンポリシロキサンで5%処理したもの
注(3):ABIL EM−90(ゴールドシュミット社製)
【0047】
(製 法1:実施例1〜8及び比較例1)
A. 成分1〜14を均一に混合する。
B. 成分15〜18を均一に混合する。
C. A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
D. C工程で得られた乳化物をステンレスボール入りの樹脂ボトルに充填して、多層状油中水型乳化日焼け止め料を得た。
(製 法2:比較例2)
A. 成分4と成分6をビーズミルにて1時間処理する。
B. A工程で得られた処理物に成分7〜14加え、を均一に混合する。
C. 成分15〜18を均一に混合する。
D. B工程で得られた混合物にC工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
E. D工程で得られた乳化物をステンレスボール入りの樹脂ボトルに充填して多層状油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0048】
(評価方法1:塗布時の伸び広がり、べたつき感の無さ)
実施例及び比較例の日焼け止め料を化粧品評価専門パネル20名に2週間使用してもらい、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の各項目について、各パネルが日焼け止め料毎に、以下に示す1〜5点の5段階の評価基準により評点を付した。そして、全パネルの評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
【0049】
<評価基準>
内 容 評 点(点)
非常に良好 : 5
良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
【0050】
【0051】
(評価方法2:粉体の分散性)
実施例及び比較例の日焼け止め料を室温で24時間放置した後、光学顕微鏡(1000倍)で粉体の分散状態を観察し、以下に示す判定基準により判定した。
<判定基準>
粉体の分散状態 判 定
凝集が全く無い : ◎
僅かに極小の凝集が有る : ○
全体的に小さい凝集有る : △
大きな凝集が有る : ×
【0052】
(評価方法3:経時安定性)
実施例及び比較例の日焼け止め料を40℃の恒温槽に3ヶ月間保管し、室温保管品と比較して、外観の変化(ゲル化等)を以下に示す判定基準により判定した。
【0053】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜8の多層状油中水型乳化日焼け止め料は、何れも「粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。一方、本発明の構成成分である成分(a)の化合物を含有しない比較例1は、粉体の分散性に劣り、塗布時の伸び広がりも良好ではなかった。また、湿式強分散機器を用いた比較例2では、製造直後の粉体の分散性は良好であったが、直ぐに凝集する傾向にあり、経時安定性等も良好ではなかった。
【0054】
実施例9:クリーム状水中油型日焼け止め料
注(4):微粒子酸化チタンMT−500SA(テイカ社製)
【0055】
(製 法)
A. 成分1〜10を70℃に加熱し、均一に混合する。
B. 成分12〜16を70℃に加熱し、均一に混合する。
C. A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
D. C工程で得られた乳化物を室温まで冷却後、成分11を添加し、混合する。
E. D工程で得られた混合物を容器に充填してクリーム状水中油型日焼け止め料を得た。
本発明品である、実施例9のクリーム状水中油型日焼け止め料は、粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。
【0056】
実施例10:スティック状油性型コンシーラー
注(5):TIPAQUE CR−50(石原産業社製)をステアリン酸にて3質量%処理した粉体
注(6):コスモール168AR(日清オイリオ社製)
【0057】
(製 法)
A. 成分6〜14を70℃に加熱し、均一に混合する。
B. A工程で得られた混合物に成分1〜5及び成分15を添加し、均一に混合する。
C. B工程で得られた混合物を再び加熱溶解し、脱泡する。
D. C工程で得られた処理物をスティック容器に充填し、室温まで冷却し、スティック状油性型コンシーラーを得た。
本発明品である、実施例10のスティック状油性型コンシーラーは、粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の日焼け止め化粧料は、塗布時にきしみ感が無く、伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体、並びに紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体を含有する日焼け止め化粧料に関するものであり、更に詳しくは、該金属酸化物粉体の分散性に優れ、きしみ感が無く塗布時の伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
日焼け止め化粧料は、有害な紫外線から肌を守るために用いられる化粧料であり、大気圏のオゾンホール等の影響により、近年その使用量は増加傾向にある化粧料である。このような日焼け止め化粧料は、紫外線遮蔽剤として、化学的に紫外線を吸収する有機紫外線吸収剤や、物理化学的に紫外線を吸収・遮蔽する無機紫外線遮蔽剤が用いられている。前記有機紫外線吸収剤は、液状、固形状、ペースト状等の物質であり、通常は油剤又は水に溶解して用いられている。これら有機紫外線吸収剤は、可視光を透過するため、透明性に優れるが、化学構造的に不安定な物質であり、肌に刺激を与える場合があり、多量に用いることはできなかった。また、使用性の面からも、油っぽいべたつき感があることからも、多量には用いられていない。
【0003】
そこで、これら有機紫外線吸収剤の代わりに、無機紫外線遮蔽剤である、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導体特性を有する金属酸化物粉体が用いられている。また、この金属酸化物粉体は、透明性を向上させ、且つ紫外線遮蔽効果を高めるために、平均粒径が100nm以下の、いわゆる微粒子金属酸化物粉体が汎用されている。しかし、これら金属酸化物粉体は微粒子化すると、比表面積がより大きくなり、粒子同士の結合力が強くなり凝集し易い性質を帯びてくる。このため、これら日焼け止め化粧料に金属酸化物粉体を用いる場合には、如何に凝集させずに、安定に含有させるかが重要となり、多数の技術が開発されている。
【0004】
これら従来から用いられている金属酸化物粉体を均一分散させる技術としては、シリコーン化合物で被覆した金属酸化物粉体と特定のシリコーン系界面活性剤を用いる方法(例えば、特許文献1参照)、ビーズミル等の湿式媒体ミルを用いて機械的に強分散させる方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−215615号公報(第1頁−第9頁)
【特許文献2】
特開平05−201844号公報(第1頁−第8頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーン化合物で被覆した金属酸化物粉体と特定のシリコーン系界面活性剤を用いる方法では、分散効果が十分でなく、製造直後は良好な分散状態が得られたとしても、経時的に凝集を生じる場合があった。また、湿式媒体ミルを用いて機械的に強分散させる方法では、化粧料のような少量多品種を生産するには、生産効率が悪く、しかも、強分散時に熱が発生するため、油剤や添加成分が劣化する場合があった。
【0007】
このため、金属酸化物粉体の分散性に優れ、塗布時にきしみ感が無く、伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、紫外線防御効果を有する金属酸化物粉体を分散させる分散媒として、特定のエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物の誘導体を用いると、特段の機械力や表面処理を用いなくても、該金属酸化物粉体の分散性が優れることを見出し、これを日焼け止め化粧料に応用することにより、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(a)及び(b)を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
(a)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
【化2】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
(b)紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体。
なお、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。
【0010】
また、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、(a)のうち、一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、(a)のうち、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、界面活性剤である成分(c)及び/又は有機紫外線吸収剤である成分(d)を含有する日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0013】
さらに、成分(b)の平均粒径が10〜100nmである日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、成分(a)及び(b)を含有するものであり、成分(a)の水酸基価(OHV)が10〜150であることを特徴とする日焼け止め化粧料を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)はエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【化3】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、脂肪酸残基又は多価カルボン酸残基を表す。)
【0016】
成分(a)を構成する脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。尚、これら脂肪酸の中でも、イソオクチル酸、(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
【0017】
また、このような直鎖脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸等の直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0018】
本発明の成分(a)の一般式(I)で示されるエステル化合物は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、又はテトラエステルの1種又は2種以上からなるものである。また、一般式(II)で示されるエステル化合物は、モノエステル又はジエステルの1種又は2種からなるものである。また、一般式(I)及び一般式(II)で示されるエステル化合物とは、一般式(I)で示されるエステル化合物と一般式(II)で示されるエステル化合物からそれぞれ選ばれる2種以上の混合物である。
さらに、本発明の成分(a)の一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。また、一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
本発明では、さらに、上記一般式(I)を基本骨格とするジエステル、及びトリエステルの合計含有率がエステル化合物中の20〜94質量%、さらには40〜80質量%を占めるものが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の成分(a)は、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と、イソオクチル酸との一般式(I−1)及び/又は(II−1)で表されるエステル化合物の混合物であって、一般式(I−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量がそれぞれ0〜10質量%、0〜30質量%、18〜70質量%及び6〜75質量%であることが好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜20質量%、13〜70質量%及び8〜60質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、3〜20質量%、30〜70質量%、8〜40質量%であることが最も好ましい。そして、一般式(II−1)を基本骨格とするモノエステル、ジエステルの含有量はそれぞれ、0〜10質量%、0〜50質量%が好ましく、さらにそれぞれ0〜3質量%、0〜35質量%であることがより好ましく、それぞれ0〜3質量%、5〜35質量%であるのが最も好ましい。
【化4】
(式中、R1’〜R4’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表し、R5’及びR6’はそれぞれ独立して水素原子又はイソオクチル酸残基を表す。)
尚、式中のイソオクチル酸残基としては、‐C(=O)‐(CH2CH3)CH‐(CH2)3‐CH3[2−エチルヘキサン酸]や‐C(=O)‐(CH2)2−(CH3)CH‐(CH3)CH‐CH3[4,5−ジメチルヘキサン酸]があげられる。
【0020】
モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの含量について、一般式(I−1)の場合を、又、モノエステル、ジエステルの含量について、一般式(II−1)の場合を説明したが、それらが一般式(I)の場合、一般式(II)の場合についても同様である。
【0021】
また、本発明の成分(a)の重縮合物を調製するための多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の炭素数2〜10の2塩基性カルボン酸が好ましい。尚、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の成分(a)の重縮合物の調製においては、原料として炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物や、炭素数8〜18の分岐脂肪酸(好ましくは分岐飽和脂肪酸)及び炭素数8〜18の直鎖脂肪酸(直鎖飽和脂肪酸)と炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸(好ましくは炭素数4〜10の2塩基性カルボン酸)との混合物を用いるのが好ましい。この場合、分岐脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよく、分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸と2塩基性カルボン酸とのモル比(分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸/2塩基性カルボン酸)を、70/30〜95/5で用いるのがよい。
【0022】
本発明の成分(a)の水酸基価(以下、「OHV」と略す)は、10〜150のものが好ましく、20〜120のものがより好ましく、30〜110のものが最も好ましい。成分(a)のOHVが、このような範囲にあると、他の油性成分に対する相溶性をより良好にできる。尚、OHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値とする。
【0023】
本発明の成分(a)は、室温で液状であるのが好ましく、その粘度(25℃)は100〜30000mPa・sであるのが好ましい。
【0024】
成分(a)の調製方法は、特に限定されないが、例えば、エリスリトール1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒または触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行い、次いで、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法等により調製することができる。
【0025】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜50質量%が好ましく、更には5〜30質量%が好ましい。成分(a)をこの範囲で用いると、成分(b)の分散性が特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0026】
本発明に用いられる成分(b)は、紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体であり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。成分(b)の金属酸化物は、良好な紫外線遮蔽効果の観点より、その平均粒径は、10〜100nmが好ましい。また、成分(b)の形状は、特に限定されないが、球状、針状、紡錘状、板状、薄片状等が挙げられる。尚、成分(b)は、表面活性を低下させるために、シリカ、アルミナ等の無機化合物により処理されていても良い。
【0027】
このような成分(b)の金属酸化物粉体は、市販としては、TIPAQUE TTO−55A(石原産業社製)、TIPAQUE TTO−S2(石原産業社製)、TIPAQUE CR−50(石原産業社製)、微粒子酸化チタンMT−500SA(テイカ社製)、チタンP−25(デグッサ社製)等の酸化チタン、FINEX−25,50,75(何れも、堺化学社製)、超微粒子酸化亜鉛ZnO−310(住友大阪セメント社製)等の酸化亜鉛等が挙げられる。
【0028】
また、成分(b)は、肌への付着性向上等を目的として、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素変性シリコーン等のフッ素化合物、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セタノール等の高級アルコール、ワックス、界面活性剤等の通常公知の表面処理剤を通常公知の方法で表面処理して用いることもできる。
【0029】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(b)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜40質量%が好ましく、更には5〜30質量%が好ましい。成分(b)をこの範囲で用いると、紫外線遮蔽効果と塗布時の伸び広がり特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0030】
本発明の日焼け止め化粧料には、前記成分(a)及び(b)に加えて、成分(c)として界面活性剤を含有することにより、成分(b)の金属酸化物粉体の分散性を向上させることができる。このような界面活性剤としては、通常化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、モノステアリン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、モノオレイン酸ソルビタンポリオキシエチレン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、o−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン、水素添加大豆リン脂質等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0031】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(c)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10質量%が好ましく、更には1〜5質量%が好ましい。成分(c)をこの範囲で用いると、成分(b)の分散性が特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0032】
本発明の日焼け止め化粧料は、前記成分(a)、(b)及び(c)に加えて、成分(d)として有機紫外線吸収剤を含有させることにより、紫外線遮蔽効果を向上することができ、また、成分(b)の含有量を減らすことにより、塗布時の伸び広がりをより向上させることができる。さらに、成分(c)を含有させずに、成分(a)及び(b)に成分(d)を含有させることもできる。このような有機紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系化合物、パラ−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等のケイ皮酸系化合物、サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系化合物、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイル系化合物が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0033】
本発明の日焼け止め化粧料における成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜10質量%が好ましい。成分(d)をこの範囲で用いると、紫外線遮蔽効果に優れ、塗布時の伸び広がりが特に良好な日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0034】
本発明の日焼け止め化粧料には、上記の成分に加え、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(a)以外の油剤、成分(b)以外の粉体、水性成分、水溶性高分子、pH調整剤、被膜形成剤、エタノール等の溶剤、パラオキシ安息香酸メチル等のパラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、保湿剤、香料、殺菌剤、酸化防止剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0035】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる成分(a)以外の油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、モクロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、セチルジメチコンコーポリオール、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0036】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる成分(b)以外の粉体としては、着色剤、感触調整剤等の目的で含有されるものであり、一般的に化粧料に用いられる粉体であれば特に限定されず、球状、板状、針状等の形状や、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、コンジョウ、タール色素、天然色素、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、これら粉体は、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、トリメトキシシロキシケイ酸等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素変性シリコーン等のフッ素化合物、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セタノール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール、ワックス、界面活性剤等の通常公知表面処理剤を通常公知の方法で表面処理して用いることもできる。
【0037】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる水性成分としては、水及び水に可溶な成分であり、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、水や、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。
【0038】
本発明の日焼け止め化粧料に用いられる水溶性高分子としては、安定性向上、感触改良等を目的として含有されるものである。具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0039】
本発明の日焼け止め化粧料の剤型は、特に限定されないが、油中水型、水中油型等の乳化剤型、油性剤型、粉体剤型等が挙げられる。また形態としては、液状、乳液状、多層状、クリーム状、ペースト状、固形状、粉末状等が挙げられる。
【0040】
本発明の日焼け止め化粧料は、サンスクリーン剤等の日焼け止め料等の他に、ファンデーション、下地料、コンシーラー、白粉、アイシャドウ、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料、乳液、美容液等のスキンケア化粧料等に紫外線遮蔽効果を付与したものにも適用可能である。
また、これらの日焼け止め化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて製造することができ、特にその製法は限定されない。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0042】
(製造例1)エリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物の調製
2−エチルヘキサン酸〔協和発酵(株)製、オクチル酸〕178g(1.24モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕72g(0.59モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で20時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価101のエリスリトールと2−エチルヘキサン酸のエステル化合物142g得た。
このエステルの化合物は、一般式(I−1)を基本骨格とするジエステル、トリエステル、テトラエステル、及び一般式(II−1)を基本骨格とするジエステルの含有量がそれぞれ7.7質量%、41.5質量%、20.4質量%、及び28.9質量%であった。
【0043】
(製造例2)エリスリトールとイソアステアリン酸のエステル化合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ社製、PRISORIN ISAC3505〕222g(0.78モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込み量の5質量%の量で加え、混合物を180〜240℃で13時間撹拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行い、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価50のエリスリトールとイソステアリン酸のエステル化合物204g得た。
【0044】
(製造例3)エリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物の調製
イソステアリン酸〔ユニケマ製、PRISORIN ISAC3505〕185g(0.65モル)とエリスリトール〔日研化学(株)、エリスリトール〕37g(0.30モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を供えた300mlの四つ口フラスコに仕込み、還流溶剤としてキシレンを全仕込量の5質量%の量加え、混合物を180〜210℃で10時間攪拌反応させ冷却、次いで、無水コハク酸〔新日本理化(株)、リカシッドSA〕16g(0.16モル)を追加し、再び120〜230℃で16時間攪拌反応させた。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去し、活性白土を用いて脱色処理を行ない、常法にて脱臭・蒸留処理を行い、目的とする水酸基価39のエリスリトールとイソステアリン酸及びコハク酸の重縮合物を143g得た。
【0045】
実施例1〜8及び比較例1〜2:多層状油中水型乳化日焼け止め料
表1に示す組成の日焼け止め料を下記方法により調製し、「粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0046】
【表1】
注(1):TIPAQUE TTO−S2(石原産業社製)
注(2):FINEX 25(堺化学工業社製)をメチルハイドロジェンポリシロキサンで5%処理したもの
注(3):ABIL EM−90(ゴールドシュミット社製)
【0047】
(製 法1:実施例1〜8及び比較例1)
A. 成分1〜14を均一に混合する。
B. 成分15〜18を均一に混合する。
C. A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
D. C工程で得られた乳化物をステンレスボール入りの樹脂ボトルに充填して、多層状油中水型乳化日焼け止め料を得た。
(製 法2:比較例2)
A. 成分4と成分6をビーズミルにて1時間処理する。
B. A工程で得られた処理物に成分7〜14加え、を均一に混合する。
C. 成分15〜18を均一に混合する。
D. B工程で得られた混合物にC工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
E. D工程で得られた乳化物をステンレスボール入りの樹脂ボトルに充填して多層状油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0048】
(評価方法1:塗布時の伸び広がり、べたつき感の無さ)
実施例及び比較例の日焼け止め料を化粧品評価専門パネル20名に2週間使用してもらい、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の各項目について、各パネルが日焼け止め料毎に、以下に示す1〜5点の5段階の評価基準により評点を付した。そして、全パネルの評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
【0049】
<評価基準>
内 容 評 点(点)
非常に良好 : 5
良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
【0050】
【0051】
(評価方法2:粉体の分散性)
実施例及び比較例の日焼け止め料を室温で24時間放置した後、光学顕微鏡(1000倍)で粉体の分散状態を観察し、以下に示す判定基準により判定した。
<判定基準>
粉体の分散状態 判 定
凝集が全く無い : ◎
僅かに極小の凝集が有る : ○
全体的に小さい凝集有る : △
大きな凝集が有る : ×
【0052】
(評価方法3:経時安定性)
実施例及び比較例の日焼け止め料を40℃の恒温槽に3ヶ月間保管し、室温保管品と比較して、外観の変化(ゲル化等)を以下に示す判定基準により判定した。
【0053】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜8の多層状油中水型乳化日焼け止め料は、何れも「粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。一方、本発明の構成成分である成分(a)の化合物を含有しない比較例1は、粉体の分散性に劣り、塗布時の伸び広がりも良好ではなかった。また、湿式強分散機器を用いた比較例2では、製造直後の粉体の分散性は良好であったが、直ぐに凝集する傾向にあり、経時安定性等も良好ではなかった。
【0054】
実施例9:クリーム状水中油型日焼け止め料
注(4):微粒子酸化チタンMT−500SA(テイカ社製)
【0055】
(製 法)
A. 成分1〜10を70℃に加熱し、均一に混合する。
B. 成分12〜16を70℃に加熱し、均一に混合する。
C. A工程で得られた混合物にB工程で得られた混合物を添加して、乳化する。
D. C工程で得られた乳化物を室温まで冷却後、成分11を添加し、混合する。
E. D工程で得られた混合物を容器に充填してクリーム状水中油型日焼け止め料を得た。
本発明品である、実施例9のクリーム状水中油型日焼け止め料は、粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。
【0056】
実施例10:スティック状油性型コンシーラー
注(5):TIPAQUE CR−50(石原産業社製)をステアリン酸にて3質量%処理した粉体
注(6):コスモール168AR(日清オイリオ社製)
【0057】
(製 法)
A. 成分6〜14を70℃に加熱し、均一に混合する。
B. A工程で得られた混合物に成分1〜5及び成分15を添加し、均一に混合する。
C. B工程で得られた混合物を再び加熱溶解し、脱泡する。
D. C工程で得られた処理物をスティック容器に充填し、室温まで冷却し、スティック状油性型コンシーラーを得た。
本発明品である、実施例10のスティック状油性型コンシーラーは、粉体の分散性」、「経時安定性」、「塗布時の伸び広がり」、「べたつき感の無さ」の全ての項目に優れた日焼け止め化粧料であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の日焼け止め化粧料は、塗布時にきしみ感が無く、伸び広がりが良好であり、油っぽいべたつき感が無く、しかも経時的にゲル化等を生じることの無い優れた日焼け止め化粧料であった。
Claims (7)
- 次の成分(a)及び(b)を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料。
(a)エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸との下記一般式(I)及び/又は(II)で示されるエステル化合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、エリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びエリスリトール及び/又はエリスリトール縮合物と脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上
(b)紫外線遮蔽効果を有する金属酸化物粉体。 - 前記一般式(I)中のR1〜R4の少なくとも1つが水素原子である請求項1記載の日焼け止め化粧料。
- 前記一般式(II)中のR5及びR6の少なくとも1つが水素原子である請求項1又は2に記載の日焼け止め化粧料。
- 更に、成分(c)として、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の日焼け止め化粧料。
- 更に、成分(d)として、有機紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の日焼け止め化粧料。
- 前記成分(b)の平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の日焼け止め化粧料。
- 前記成分(a)の水酸基価(OHV)が10〜150である請求項1〜6のいずれか1項に記載の日焼け止め化粧料。
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