JP2004337783A - 地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法及び分解装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を地上に汲み出すことなしで、地下水の存在する現位置で処理して、低コストで、安全、簡便且つ効率的に環境汚染物質を分解する方法及び装置を提供すること。
【解決手段】環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを設置して該地下水を超音波照射処理し、該超音波照射処理した地下水を引き続いて紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことからなる、地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法、並びに地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置。
【選択図】 なし
【解決手段】環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを設置して該地下水を超音波照射処理し、該超音波照射処理した地下水を引き続いて紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことからなる、地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法、並びに地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法及び分解装置に関し、更に詳しくは、地下水を地上に取り出すことなしで、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で含まれる有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を地中で簡便且つ効率的に分解する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質で汚染された土壌について、高濃度で汚染された土壌に対しては掘削除去等の初期対策を施しているが、その周辺の土壌中には地下水中にしみだして拡散してきた環境汚染物質が低濃度で残留したままになっている。この残留汚染物質が更に地下水中にしみだして拡散するので、この残留環境汚染物質も除去する必要がある。
【0003】
この周辺の土壌中に残留している環境汚染物質を除去する方法としては、環境汚染物質が地下水中に自然にしみだしたその地下水を汲み出すか、又は地中に多量の水を流し込んで環境汚染物質をしみださせてその水を汲みだし、汲み出した水中の環境汚染物質を活性炭等の吸着剤で回収する方法や、汲み出した水中の環境汚染物質を分解して無害化する方法等がある。
【0004】
有機ハロゲン化合物等の種々の環境汚染物質を分解して無害化する方法については、超音波、オゾン、紫外線、電気分解、固体触媒等による単独処理、これらの処理の組合せ、及びこれらの処理とその他の処理との組合せ、例えばオゾン+紫外線、オゾン+過酸化水素、紫外線+過酸化水素等の促進酸化処理等が多数報告されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−18240号公報
【特許文献2】
特開2002−355551号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、それらの処理方法は、汲み出した水の処理であり、揚水に費用がかかるだけでなく、地下水は一旦汲み出すと工業排水として扱われるので、地中に戻すことは認められていない。また、それらの処理方法は環境汚染物質を極低濃度で含有する地下水に対しては満足し得るものではない。
【0007】
本発明は、環境汚染物質を低濃度で、実際的には極低濃度で含有する地下水を地上に汲み出すことなしで、地下水の存在する現位置で処理して、低コストで、安全、簡便且つ効率的に環境汚染物質を分解する方法及び装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理とを組合せることにより相乗効果が達成され、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で存在する環境汚染物質を効率的に分解し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法は、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを設置して該地下水を超音波照射処理し、該超音波照射処理した地下水を引き続いて紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法は、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を設置して該地下水を超音波照射処理し、それと同時に紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする。
【0011】
本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置は、地下水を吸入する吸水口及び超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを有し、該超音波照射処理装置と該紫外線照射光触媒処理装置とが通水可能に連結されており、該紫外線照射光触媒処理装置には排水口が設けられており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置は、地下水を吸入する吸水口及び排水口を有し、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を有しており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
地下水中に低濃度で存在する有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を分解する本発明の方法及び装置で用いる超音波照射処理装置は周知であり、超音波照射処理装置の超音波発生用振動子の形状、大きさ、印加電圧、電流密度等については実用可能である限りは制限がない。
【0014】
地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質を分解する本発明の方法及び装置で用いる紫外線照射光源も周知であり、紫外線照射光の波長、紫外線照射光源の形状、大きさ、印加電圧、電流密度等については光触媒を活性化し得るものである限りは制限がない。
【0015】
また、本発明において紫外線被照射光触媒表面とは、紫外線の照射を受けることができ且つ通水し得る位置に配置された光触媒の表面を意味し、例えば、紫外線照射光触媒処理装置の紫外線照射を受ける内壁表面の少なくとも一部に設けられた層状光触媒の表面や、紫外線照射光源を防水するため石英管の周りに設けられた光触媒メッシュの表面等を挙げることができる。光触媒の種類、形状、大きさ等については実用可能である限りは制限がない。
【0016】
本明細書においては、これらの紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している集合体を紫外線照射光触媒処理装置と呼ぶ。
なお、本発明でいう紫外線被照射光触媒表面としては、光触媒を混練した資材の焼成によって形成された表面や、水中に分散した光触媒微粉等は包含しない。従って、本発明においては、光触媒表面を形成するための事前の焼成や微粉を回収するための事後の処理等を必要としない。
【0017】
本発明においては、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を、地上に汲み出すことなしで、地下水の存在する現位置で処理して、環境汚染物質を分解する必要があり、それで、地中に地下水が出るまで縦穴を堀り、地下水の溜まった縦穴に超音波照射処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を入れる必要がある。
【0018】
従って、超音波照射処理装置が、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を吸入する吸水口及び超音波発生源を有しており、紫外線照射光触媒処理装置が、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容しており且つ排水口を有しており、該超音波照射処理装置と該紫外線照射光触媒処理装置とが通水可能に連結されており、好ましくは直結されており、それらが一体に構成されていることがより好ましい。
【0019】
また、本発明においては、超音波照射処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一つの装置として、即ち環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を吸入する吸水口及び排水口を有し、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置として用いても良い。
【0020】
地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で、例えば5ppm以下の濃度で存在する環境汚染物質の分解方法及び分解装置において、超音波、オゾン、紫外線、電気分解、光触媒等の種々の組合せ処理の内で超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理との組合せで最善の効果が得られる理由は不明であるが、その効果は以下の各実験及び実施例により確認されている。
【0021】
図1〜図3に示す装置を用いて以下の各実験を実施した。なお、図1は超音波照射処理装置兼電気分解処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一体に構成した装置の概略説明図であり、図2は図1のA−A線断面図であり、図3は図1のB−B線断面図である。
【0022】
第1槽1は超音波照射処理装置兼電気分解処理装置であり、超音波発生振動子2及び電極対3を有しており、下部に吸水口4を有している。また、本発明では地下水中で実施するので冷却装置を設ける必要がないが、以下の各実験では、大気中で実施するので、超音波照射処理装置兼電気分解処理装置で発生する熱を冷却するために、この超音波照射処理装置兼電気分解処理装置の周りに冷却水循環路5が設けられている。
【0023】
第2槽6は紫外線照射光触媒処理装置であり、第1槽1の上に通水可能に直結で一体に構成されている。槽の中央部に石英管で防水した紫外線照射光源7が設けられており、槽の内壁面には光触媒としての薄板状の酸化チタン8が貼り付けられている。更に、紫外線が照射される光触媒表面の面積を増加させて光触媒効果を一層高めるために、石英管の周りには酸化チタンメッシュ9が巻き付けられており、上部に排水口10を有している。
【0024】
なお、本発明の実施においては、環境汚染物質を極低濃度で含有する地下水を処理するので、環境汚染物質の分解でガスが発生することはほとんどないが、必要に応じて、第2槽の上に通気可能に直結された発生ガス収集装置を設け、その上部で排気ダクトに連結させることもできる。
【0025】
以下の各実験では、排水口10から出る水を吸水口4に導いて水が循環するようにした。その循環水の総量を8リットルとし、循環速度を毎時8リットルとした。即ち、1時間で1循環するようにした。
以下の各実験では、超音波発生振動子2をその片面の面積が56cm2の矩形とし、印加電圧125V、電流1.8Aで超音波を発生させた。
【0026】
電極材としてSUSを用い、電極の片面の大きさを84cm2とし、電極間の距離を5cmとし、印加電圧38V、電流0.2Aで電解を実施した。
紫外線照射光源7として紫外線ランプ(波長253nm)を用い、光触媒として酸化チタン8,9を用いて紫外線照射光触媒処理を実施した。
【0027】
上記の装置を用い、テトラクロロエチレン含有量15ppmの試験水を用い、上記の条件下で、超音波照射処理、電気分解処理及び紫外線照射光触媒処理の何れか2種又は3種を実施し、排水口10でサンプリングして、テトラクロロエチレンの経時減少率(%)を1時間毎(試験水の1循環毎)に求めた。その結果は下記の第1表に示す通りであった。
【0028】
【表1】
【0029】
第1表に示すデータから明らかなように、超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合は、超音波照射処理と電気分解処理との組合せ、電気分解処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合よりも優れており、驚くべきことに、超音波照射処理と電気分解処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合よりも優れている。
【0030】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
図1〜図3に示す装置から電極対3を除き、超音波発生振動子2を片面の面積が30cm2の矩形のもの2個とし、対面する側面に高さを違えて配置した。排水口10から出る水を吸水口4に導いて水が循環するようにした。その循環水の総量を8リットルとし、循環速度を毎時1リットルとした。超音波発生振動子2の印加電圧125V、電流1.8Aで超音波を発生させた。紫外線照射光源7として紫外線ランプ(波長253nm)を用い、光触媒として酸化チタン8,9を用いて紫外線照射光触媒処理を実施した。
【0031】
テトラクロロエチレン含有量14.1ppmの試験水を用い、上記の条件下で超音波照射処理及び紫外線照射光触媒処理を実施し、排水口10でサンプリングして、テトラクロロエチレンの経時減少率(%)を第2表に示す時間で求めた。その結果は第2表に示す通りであった。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明の分解方法及び分解装置を採用することにより、地下水を地上に取り出すことなしで、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で含まれる有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を地中で簡便且つ効率的に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波照射処理装置兼電気分解処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一体に構成した装置の概略説明図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 超音波照射処理装置兼電気分解処理装置
2 超音波発生振動子
3 電極対
4 吸水口
5 冷却水循環路
6 紫外線照射光触媒処理装置
7 紫外線照射光源
8 酸化チタン
9 酸化チタンメッシュ
10 排水口
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法及び分解装置に関し、更に詳しくは、地下水を地上に取り出すことなしで、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で含まれる有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を地中で簡便且つ効率的に分解する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質で汚染された土壌について、高濃度で汚染された土壌に対しては掘削除去等の初期対策を施しているが、その周辺の土壌中には地下水中にしみだして拡散してきた環境汚染物質が低濃度で残留したままになっている。この残留汚染物質が更に地下水中にしみだして拡散するので、この残留環境汚染物質も除去する必要がある。
【0003】
この周辺の土壌中に残留している環境汚染物質を除去する方法としては、環境汚染物質が地下水中に自然にしみだしたその地下水を汲み出すか、又は地中に多量の水を流し込んで環境汚染物質をしみださせてその水を汲みだし、汲み出した水中の環境汚染物質を活性炭等の吸着剤で回収する方法や、汲み出した水中の環境汚染物質を分解して無害化する方法等がある。
【0004】
有機ハロゲン化合物等の種々の環境汚染物質を分解して無害化する方法については、超音波、オゾン、紫外線、電気分解、固体触媒等による単独処理、これらの処理の組合せ、及びこれらの処理とその他の処理との組合せ、例えばオゾン+紫外線、オゾン+過酸化水素、紫外線+過酸化水素等の促進酸化処理等が多数報告されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−18240号公報
【特許文献2】
特開2002−355551号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、それらの処理方法は、汲み出した水の処理であり、揚水に費用がかかるだけでなく、地下水は一旦汲み出すと工業排水として扱われるので、地中に戻すことは認められていない。また、それらの処理方法は環境汚染物質を極低濃度で含有する地下水に対しては満足し得るものではない。
【0007】
本発明は、環境汚染物質を低濃度で、実際的には極低濃度で含有する地下水を地上に汲み出すことなしで、地下水の存在する現位置で処理して、低コストで、安全、簡便且つ効率的に環境汚染物質を分解する方法及び装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理とを組合せることにより相乗効果が達成され、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で存在する環境汚染物質を効率的に分解し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法は、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを設置して該地下水を超音波照射処理し、該超音波照射処理した地下水を引き続いて紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法は、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を設置して該地下水を超音波照射処理し、それと同時に紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする。
【0011】
本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置は、地下水を吸入する吸水口及び超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを有し、該超音波照射処理装置と該紫外線照射光触媒処理装置とが通水可能に連結されており、該紫外線照射光触媒処理装置には排水口が設けられており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置は、地下水を吸入する吸水口及び排水口を有し、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を有しており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
地下水中に低濃度で存在する有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を分解する本発明の方法及び装置で用いる超音波照射処理装置は周知であり、超音波照射処理装置の超音波発生用振動子の形状、大きさ、印加電圧、電流密度等については実用可能である限りは制限がない。
【0014】
地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質を分解する本発明の方法及び装置で用いる紫外線照射光源も周知であり、紫外線照射光の波長、紫外線照射光源の形状、大きさ、印加電圧、電流密度等については光触媒を活性化し得るものである限りは制限がない。
【0015】
また、本発明において紫外線被照射光触媒表面とは、紫外線の照射を受けることができ且つ通水し得る位置に配置された光触媒の表面を意味し、例えば、紫外線照射光触媒処理装置の紫外線照射を受ける内壁表面の少なくとも一部に設けられた層状光触媒の表面や、紫外線照射光源を防水するため石英管の周りに設けられた光触媒メッシュの表面等を挙げることができる。光触媒の種類、形状、大きさ等については実用可能である限りは制限がない。
【0016】
本明細書においては、これらの紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している集合体を紫外線照射光触媒処理装置と呼ぶ。
なお、本発明でいう紫外線被照射光触媒表面としては、光触媒を混練した資材の焼成によって形成された表面や、水中に分散した光触媒微粉等は包含しない。従って、本発明においては、光触媒表面を形成するための事前の焼成や微粉を回収するための事後の処理等を必要としない。
【0017】
本発明においては、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を、地上に汲み出すことなしで、地下水の存在する現位置で処理して、環境汚染物質を分解する必要があり、それで、地中に地下水が出るまで縦穴を堀り、地下水の溜まった縦穴に超音波照射処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を入れる必要がある。
【0018】
従って、超音波照射処理装置が、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を吸入する吸水口及び超音波発生源を有しており、紫外線照射光触媒処理装置が、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容しており且つ排水口を有しており、該超音波照射処理装置と該紫外線照射光触媒処理装置とが通水可能に連結されており、好ましくは直結されており、それらが一体に構成されていることがより好ましい。
【0019】
また、本発明においては、超音波照射処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一つの装置として、即ち環境汚染物質を低濃度で含有する地下水を吸入する吸水口及び排水口を有し、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置として用いても良い。
【0020】
地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で、例えば5ppm以下の濃度で存在する環境汚染物質の分解方法及び分解装置において、超音波、オゾン、紫外線、電気分解、光触媒等の種々の組合せ処理の内で超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理との組合せで最善の効果が得られる理由は不明であるが、その効果は以下の各実験及び実施例により確認されている。
【0021】
図1〜図3に示す装置を用いて以下の各実験を実施した。なお、図1は超音波照射処理装置兼電気分解処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一体に構成した装置の概略説明図であり、図2は図1のA−A線断面図であり、図3は図1のB−B線断面図である。
【0022】
第1槽1は超音波照射処理装置兼電気分解処理装置であり、超音波発生振動子2及び電極対3を有しており、下部に吸水口4を有している。また、本発明では地下水中で実施するので冷却装置を設ける必要がないが、以下の各実験では、大気中で実施するので、超音波照射処理装置兼電気分解処理装置で発生する熱を冷却するために、この超音波照射処理装置兼電気分解処理装置の周りに冷却水循環路5が設けられている。
【0023】
第2槽6は紫外線照射光触媒処理装置であり、第1槽1の上に通水可能に直結で一体に構成されている。槽の中央部に石英管で防水した紫外線照射光源7が設けられており、槽の内壁面には光触媒としての薄板状の酸化チタン8が貼り付けられている。更に、紫外線が照射される光触媒表面の面積を増加させて光触媒効果を一層高めるために、石英管の周りには酸化チタンメッシュ9が巻き付けられており、上部に排水口10を有している。
【0024】
なお、本発明の実施においては、環境汚染物質を極低濃度で含有する地下水を処理するので、環境汚染物質の分解でガスが発生することはほとんどないが、必要に応じて、第2槽の上に通気可能に直結された発生ガス収集装置を設け、その上部で排気ダクトに連結させることもできる。
【0025】
以下の各実験では、排水口10から出る水を吸水口4に導いて水が循環するようにした。その循環水の総量を8リットルとし、循環速度を毎時8リットルとした。即ち、1時間で1循環するようにした。
以下の各実験では、超音波発生振動子2をその片面の面積が56cm2の矩形とし、印加電圧125V、電流1.8Aで超音波を発生させた。
【0026】
電極材としてSUSを用い、電極の片面の大きさを84cm2とし、電極間の距離を5cmとし、印加電圧38V、電流0.2Aで電解を実施した。
紫外線照射光源7として紫外線ランプ(波長253nm)を用い、光触媒として酸化チタン8,9を用いて紫外線照射光触媒処理を実施した。
【0027】
上記の装置を用い、テトラクロロエチレン含有量15ppmの試験水を用い、上記の条件下で、超音波照射処理、電気分解処理及び紫外線照射光触媒処理の何れか2種又は3種を実施し、排水口10でサンプリングして、テトラクロロエチレンの経時減少率(%)を1時間毎(試験水の1循環毎)に求めた。その結果は下記の第1表に示す通りであった。
【0028】
【表1】
【0029】
第1表に示すデータから明らかなように、超音波照射処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合は、超音波照射処理と電気分解処理との組合せ、電気分解処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合よりも優れており、驚くべきことに、超音波照射処理と電気分解処理と紫外線照射光触媒処理との組合せの場合よりも優れている。
【0030】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
図1〜図3に示す装置から電極対3を除き、超音波発生振動子2を片面の面積が30cm2の矩形のもの2個とし、対面する側面に高さを違えて配置した。排水口10から出る水を吸水口4に導いて水が循環するようにした。その循環水の総量を8リットルとし、循環速度を毎時1リットルとした。超音波発生振動子2の印加電圧125V、電流1.8Aで超音波を発生させた。紫外線照射光源7として紫外線ランプ(波長253nm)を用い、光触媒として酸化チタン8,9を用いて紫外線照射光触媒処理を実施した。
【0031】
テトラクロロエチレン含有量14.1ppmの試験水を用い、上記の条件下で超音波照射処理及び紫外線照射光触媒処理を実施し、排水口10でサンプリングして、テトラクロロエチレンの経時減少率(%)を第2表に示す時間で求めた。その結果は第2表に示す通りであった。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明の分解方法及び分解装置を採用することにより、地下水を地上に取り出すことなしで、地下水中に低濃度で、実際的には極低濃度で含まれる有機ハロゲン化合物等の環境汚染物質を地中で簡便且つ効率的に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波照射処理装置兼電気分解処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置を一体に構成した装置の概略説明図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 超音波照射処理装置兼電気分解処理装置
2 超音波発生振動子
3 電極対
4 吸水口
5 冷却水循環路
6 紫外線照射光触媒処理装置
7 紫外線照射光源
8 酸化チタン
9 酸化チタンメッシュ
10 排水口
Claims (6)
- 環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを設置して該地下水を超音波照射処理し、該超音波照射処理した地下水を引き続いて紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法。
- 環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中に、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を設置して該地下水を超音波照射処理し、それと同時に紫外線照射中の光触媒と接触させることによって該環境汚染物質を分解させ、その後該処理済みの地下水を元の地下水中に戻すことを特徴とする地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法。
- 上記環境汚染物質が有機ハロゲン化合物である請求項1又は2記載の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解方法。
- 地下水を吸入する吸水口及び超音波発生源を有する超音波照射処理装置と、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している紫外線照射光触媒処理装置とを有し、該超音波照射処理装置と該紫外線照射光触媒処理装置とが通水可能に連結されており、該紫外線照射光触媒処理装置には排水口が設けられており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置。
- 上記の超音波照射処理装置及び紫外線照射光触媒処理装置が一体に構成されている請求項4記載の地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置。
- 地下水を吸入する吸水口及び排水口を有し、超音波発生源、紫外線照射光源及び紫外線被照射光触媒表面を収容している超音波照射処理兼紫外線照射光触媒処理装置を有しており、環境汚染物質を低濃度で含有する地下水中で用いられることを特徴とする地下水中に低濃度で存在する環境汚染物質の分解装置。
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JP2011036338A (ja) * | 2009-08-07 | 2011-02-24 | Taisei Corp | 有機塩素化合物の分解方法 |
CN107601617A (zh) * | 2017-10-20 | 2018-01-19 | 东北师范大学 | 一种超声/光催化降解罗丹明b的方法及其装置 |
-
2003
- 2003-05-16 JP JP2003139251A patent/JP2004337783A/ja active Pending
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