JP2004337682A - 光学部材の光洗浄方法、光洗浄装置、光学系の製造方法、露光装置、および露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実質的な温度上昇を伴うことなく、光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄装置。
【解決手段】洗浄すべき光学部材(10)の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるためのガスフロー手段(1,2,3)と、赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を光学部材に照射するための照射手段(5a,5b)とを備えている。照射手段は、キセノンエキシマランプ光源を有する。また、光学部材を保持部材(11)にホールドした状態で支持するための支持手段(4)をさらに備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】洗浄すべき光学部材(10)の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるためのガスフロー手段(1,2,3)と、赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を光学部材に照射するための照射手段(5a,5b)とを備えている。照射手段は、キセノンエキシマランプ光源を有する。また、光学部材を保持部材(11)にホールドした状態で支持するための支持手段(4)をさらに備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材の光洗浄方法、光洗浄装置、光学系の製造方法、露光装置、および露光方法に関する。本発明は、特に半導体素子などのマイクロデバイスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される露光装置の光学系に組み込まれる光学部材の光洗浄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の製造や半導体チップ実装基板の製造では、微細化がますます進んでおり、マスクのパターンを感光性基板としてのウェハに焼き付ける露光装置では、より解像力の高い投影光学系が要求されている。この高解像の要求を満足するには、露光光を短波長化し且つNA(投影光学系の像側開口数)を大きくしなければならない。
【0003】
露光光が短波長化するほど、光学面に付着する汚染物質がレンズの透過率劣化を引き起こすため、光学系を組み立てる前にレンズを洗浄する必要がある。従来、主な汚染物質である有機物を除去する方法として、低圧水銀灯からの光をレンズに照射して洗浄を行う「UV(光)洗浄」が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
UV洗浄の場合、低圧水銀灯からの光が多くの赤外光を含むため、光洗浄処理に際してレンズは高温雰囲気に晒されることになる。したがって、レンズをセル(レンズ室)にホールドした状態でUV洗浄を行うと、レンズの熱膨張係数とセルの熱膨張係数との差に起因して光学面に変形が起こり、さらに高温になるとレンズが破壊されてしまう。
【0005】
このため、UV洗浄を用いる従来技術では、レンズをセルにホールドする前に光洗浄しなければならなかった。換言すれば、従来技術では、レンズホールド状態で光洗浄を行うことができなかった。その結果、光洗浄工程と光学系の組立工程との間に光学面に付着した汚染物質を除去することができず、光学系の内部に封じ込まれた汚染物質に起因する透過率劣化が起こり易かった。
【0006】
また、たとえば157nm以下の波長を有する光に対して用いられる光学系では、汚染物質に起因する透過率劣化に加え、水分の光吸収による透過率劣化も大きな問題になる。したがって、たとえばF2レーザ光を用いる露光装置の光学系に組み込まれるレンズの光洗浄では、光学面に付着した水分を除去する機能も必要になる。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、実質的な温度上昇を伴うことなく、光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、実質的な温度上昇を伴うことなく光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を用いて、光学部材を保持部材にホールドした状態で光学系の組立工程の直前に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる光学系の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる光学系の製造方法により製造された光学系を用いて、高スループットで高精度な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるガスフロー工程と、
前記ガスフロー工程により前記不活性ガスをフローさせつつ、赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射する照射工程とを含むことを特徴とする光洗浄方法を提供する。
【0011】
第1形態の好ましい態様によれば、前記不活性ガスは窒素ガスを含む。また、前記光学部材は光透過部材を有することが好ましい。また、前記照射工程では、キセノンエキシマ光を前記光学部材に照射することが好ましい。また、前記照射工程では、前記光学部材を保持部材にホールドした状態で紫外線を照射することが好ましい。
【0012】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記ガスフロー工程では、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせる。ここで、前記ガスフロー工程では、0.1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが好ましい。この場合、洗浄すべき光学部材と光源との距離を離すことができるため、光源の熱による影響を低減させることが可能となる。さらに、光源の熱による影響を低減させて、実質的な影響をなくすためには、前記ガスフロー工程において、100ppm以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが望ましい。また、前記ガスフロー工程では、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせることが好ましい。
【0013】
本発明の第2形態では、洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるためのガスフロー手段と、
赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射するための照射手段とを備えていることを特徴とする光洗浄装置を提供する。
【0014】
第2形態の好ましい態様によれば、前記照射手段は、キセノンエキシマランプ光源を有する。また、前記光学部材を保持部材にホールドした状態で支持するための支持手段をさらに備えていることが好ましい。また、前記ガスフロー手段は、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。ここで、前記ガスフロー手段は、0.1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。この場合、洗浄すべき光学部材と照射手段との距離を離すことができるため、照射手段の熱による影響を低減させることが可能となる。さらに、照射手段の熱による影響を低減させて、実質的な影響をなくすためには、前記ガスフロー手段は、100ppm以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが望ましい。また、前記ガスフロー手段は、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の第3形態では、複数の光学部材からなる光学系の製造方法において、
各光学部材を対応する保持部材でホールドするホールド工程と、
前記ホールド工程を経てホールドされた各光学部材を第1形態の光洗浄方法または第2形態の光洗浄装置を用いて洗浄する光洗浄工程と、
前記光洗浄工程を経て洗浄された複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程とを含むことを特徴とする製造方法を提供する。
【0016】
第3形態の好ましい態様によれば、前記組立工程は、前記光洗浄工程を経て洗浄された各光学部材を対応する分割鏡筒に組み込む組込工程と、該組込工程を経て各分割鏡筒に組み込まれた光学部材を第1形態の光洗浄方法または第2形態の光洗浄装置を用いて洗浄する第2光洗浄工程とを含む。
【0017】
本発明の第4形態では、光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記光源と前記感光性基板との間の光路中に配置されて、第3形態の製造方法を用いて製造された光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
本発明の第5形態では、光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
第3形態の製造方法を用いて製造された光学系を前記光源と前記感光性基板との間の光路中に準備する工程と、
前記マスクパターンを照明する工程と、
前記照明されたマスクパターンを前記感光性基板上に露光する工程とを含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。なお、図1において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にY軸を、図1の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、紫外領域の照明光を供給するための光源100として、たとえばArFエキシマレーザー光源(波長193nm)やF2レーザー光源(波長157nm)を備えている。光源100から射出された光は、照明光学系ILを介して、所定のパターンが形成されたレチクルRを重畳的に照明する。なお、光源100と照明光学系ILとの間の光路はケーシング(不図示)で密封されており、光源100から照明光学系IL中の最もレチクル側の光学部材までの空間は、露光光の吸収率が低い気体であるヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
【0021】
レチクルRは、レチクルホルダRHを介して、レチクルステージRS上においてXY平面に平行に保持されている。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、このパターン領域が照明される。レチクルステージRSは、図示を省略した駆動系の作用により、レチクル面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はレチクル移動鏡RMを用いた干渉計RIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0022】
レチクルRに形成されたパターンからの光は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にレチクルパターン像を形成する。ウェハWは、ウェハテーブル(ウェハホルダ)WTを介して、ウェハステージWS上においてXY平面に平行に保持されている。ウェハステージWSは、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はウェハ移動鏡WMを用いた干渉計WIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0023】
また、図示の露光装置では、投影光学系PLを構成する光学部材のうち最もレチクル側に配置された光学部材と最もウェハ側に配置された光学部材との間で投影光学系PLの内部が気密状態を保つように構成され、投影光学系PLの内部の気体はヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。さらに、照明光学系ILと投影光学系PLとの間の狭い光路には、レチクルRおよびレチクルステージRSなどが配置されているが、レチクルRおよびレチクルステージRSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
【0024】
また、投影光学系PLとウェハWとの間の狭い光路には、ウェハWおよびウェハステージWSなどが配置されているが、ウェハWおよびウェハステージWSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。このように、光源100からウェハWまでの光路の全体に亘って、露光光がほとんど吸収されることのない雰囲気が形成されている。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内において、ウェハステージWS(ひいてはウェハW)を二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはレチクルRのパターンが逐次露光される。
【0025】
図2は、本実施形態における光洗浄装置の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、本実施形態の光洗浄装置は、光洗浄すべきレンズ(または、平行平面板、反射部材、一般には光学部材)10を収容するためのチャンバー1と、微量の酸素(たとえば10ppm以下の酸素)を含むドライな(たとえば−30°C以下の露点を有する)窒素ガスをチャンバー1の内部へ導入するためのガス導入部2と、チャンバー1の内部から上述の窒素ガスを排出するためのガス排出部3とを備えている。
【0026】
一方、チャンバー1の内部では、レンズ10が保持部材としてのセル(レンズ室)11によってホールドされ、セル11は支持台4によって支持されている。すなわち、支持台4は、レンズ10をセル11にホールドした状態で支持するための支持手段を構成している。また、一対のキセノン(Xe2)エキシマランプ光源5aおよび5bが、レンズ10の光学面(レンズ面またはレンズコート面)に対向するように配置されている。
【0027】
こうして、チャンバー1、ガス導入部2およびガス排出部3は、洗浄すべきレンズ10の周囲に微量の酸素を含むドライな窒素ガスをフローさせるためのガスフロー手段を構成している。また、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bは、波長が172nmの紫外線(すなわち赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線)をレンズ10に照射するための照射手段を構成している。
【0028】
本実施形態の光洗浄装置では、洗浄すべきレンズ10をセル11でホールドした状態で支持台4に載置する。次いで、チャンバー1、ガス導入部2およびガス排出部3の作用により、レンズ10の周囲に微量の酸素を含むドライな窒素ガスをフローさせる。そして、上述の窒素ガスをフローさせつつ、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bの作用により、赤外光を含まない波長が172nmの紫外線をレンズ10に照射する。
【0029】
以上のように、本実施形態の光洗浄装置では、微量の酸素を含むドライな窒素ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ、赤外光を含まない波長が172nmの紫外線をレンズ10に照射する。その結果、レンズ10の光学面に付着していた有機物のような汚染物質は紫外線照射により分解され、分解された成分は酸素と結びついてレンズ10の光学面から脱離し、最終的にガス排出部3を介してチャンバー1の外部へ運び出される。
【0030】
同様に、レンズ10の光学面に付着していた水分も紫外線照射により分解され、分解された成分はドライな窒素ガスの作用によりレンズ10の光学面から脱離し、最終的にガス排出部3を介してチャンバー1の外部へ排出される。このとき、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bから供給されるランプ光は赤外光を含まないので、ワーク温度を室温(23°C〜25°C)+10°Cよりも小さく抑えることができる。
【0031】
したがって、レンズ10をセル11にホールドした状態で光洗浄を行っても、レンズ10の熱膨張係数とセル11の熱膨張係数との差に起因して光学面に変形が起こることなく、ひいてはレンズ10が損傷を受けることもない。こうして、本実施形態の光洗浄装置および光洗浄方法では、実質的な温度上昇を伴うことなく、たとえばレンズホールド状態でレンズの光学面から有機物のような汚染物質や水分を除去することができる。
【0032】
ところで、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bから供給されるランプ光(波長172nmの紫外線)は、酸素により光が吸収される特性を有するので、酸素濃度の高い窒素ガス中ではランプ光が遠くまで到達しない。そこで、窒素ガス中の酸素濃度を低く抑えることによりランプ光の到達距離を伸ばし、たとえばレンズホールド状態で積層した複数のレンズを同時に光洗浄することもできる。ただし、酸素濃度を低く設定し過ぎると、光照射により光学面から脱離した有機物を運ぶ機能を有する酸素が少なくなり、水分のみ除去され、有機物が残存することになる。なお、照射手段としてのキセノンエキシマランプ光源5aおよび5bと、洗浄すべき光学部材としてのレンズ10との距離を例えば5mm程度の距離に設定する場合には、不活性ガスとしての窒素ガス中の酸素濃度を1%以下とすることが好ましい。また、照射手段としてのキセノンエキシマランプ光源5aおよび5bと、洗浄すべき光学部材としてのレンズ10との距離を70〜80mm程度に設定する場合には、不活性ガスとしての窒素ガス中の酸素濃度を0.1%以下とすることが好ましい。また、レンズの水分除去だけを考慮すると、酸素濃度の好ましい範囲は0ppm〜1%の範囲となるが、レンズの有機物除去をも考慮すると、酸素濃度の下限を0.1ppm以上に設定することが好ましい。
【0033】
なお、上述の説明では、微量の酸素を含むドライな窒素ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ光洗浄を行っている。しかしながら、窒素ガスに限定されることなく、微量の酸素を含むドライな不活性ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ光洗浄を行うこともできる。また、上述の説明では、レンズ10をセル11にホールドした状態で光洗浄を行っているが、これに限定されることなく、レンズ10をホールドしない状態で光洗浄を行うこともできる。また、上述の説明では、レンズ10の光洗浄を行っているが、これに限定されることなく、一般の光学部材に対しても同様に光洗浄を行うことができる。
【0034】
図3は、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の工程を概略的に示すフローチャートである。図3を参照すると、本実施形態の製造方法は、レンズを加工するレンズ加工工程S1と、レンズにコートを形成するコート形成工程S2と、レンズをセル(レンズ室)でホールドするレンズホールド工程S3と、光学面の面精度を検査する検査工程S4と、セルの中心軸とレンズの中心軸とを芯合わせする芯取り工程S5と、レンズを光洗浄する光洗浄工程S6と、レンズを分割鏡筒に組み込む組込工程S7と、各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄する第2光洗浄工程S8と、複数の分割鏡筒を用いて投影光学系を組み立てる組立工程S9と、組み立てられた投影光学系PLの収差を測定する収差測定工程S10とを含んでいる。
【0035】
本実施形態の製造方法におけるレンズ加工工程S1では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を準備し、必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状に近づける。
【0036】
次いで、コート形成工程S2では、ほぼ目標面形状に加工された各レンズに、たとえば蒸着法やスパッタリング法にしたがってコート(反射防止膜)を形成する。そして、レンズホールド工程S3では、コートが形成されたレンズを対応するセルでそれぞれホールドする。次いで、検査工程S4では、たとえば干渉計を用いて、レンズホールド状態でレンズの光学面の面精度を検査する。さらに、芯取り工程S5では、レンズをホールドしているセルの端面を必要に応じて加工し、セルの中心軸とレンズの中心軸とを芯合わせする。
【0037】
次いで、光洗浄工程S6では、図2に示す本実施形態の光洗浄装置を用いて、レンズホールド状態でレンズを光洗浄し、レンズホールド状態でレンズの光学面から汚染物質や水分を除去する。そして、組込工程S7では、所定の組立装置を用い、光洗浄された1つまたは複数のレンズを各分割鏡筒に組み込む。1つまたは複数のレンズが組み込まれた各分割鏡筒は、所定の保管室において長時間に亘って保管されることが多い。
【0038】
この場合、各分割鏡筒に組み込まれたレンズ群(あるいはレンズ)の最も上側の光学面および最も下側の光学面には、有機物のような汚染物質や水分が付着し易い。そこで、本実施形態の製造方法では、第2光洗浄工程S8において、図2に示す本実施形態の光洗浄装置を再び用いて、各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄し、各分割鏡筒に組み込まれたレンズ群の最も上側の光学面および最も下側の光学面から汚染物質や水分を除去する。
【0039】
次いで、第2光洗浄工程S8の直後に実施される組立工程S9では、上述の所定の組立装置を用い、光洗浄処理された複数の分割鏡筒を用いて投影光学系PLを組み立てる。なお、各分割鏡筒へのレンズの組込みおよび複数の分割鏡筒の組立てに用いられる組立装置に関する詳細については、たとえば特開2002−258131号公報などを参照することができる。
【0040】
最後に、収差測定工程S10では、実際に組み立てられた投影光学系PLの収差を測定する。具体的には、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて投影光学系PLの波面収差を測定することができる。なお、収差測定工程S10では、必要に応じて、組み立てた投影光学系PLを介して所定のパターン(たとえば理想格子)の像をウェハに転写し、その転写結果から投影光学系PLのディストーション(歪曲収差)を求める。こうして、投影光学系PLの波面収差が許容範囲内に収まっていることを確認する。
【0041】
なお、投影光学系PLの波面収差が許容範囲内に収まっていない場合には、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整などによるレンズ調整を行う。間隔調整や偏芯調整や回転調整が可能に構成された投影光学系の内部構成(分割鏡筒の構成を含む)に関する詳細については、たとえば特開2002−286989号公報などを参照することができる。
【0042】
ところで、上述の説明では、1つまたは複数のレンズが組み込まれた各分割鏡筒が長時間に亘って保管されることを前提とし、すなわち組込工程S7と組立工程S9との間にある程度長い時間の経過がある場合を想定し、組立工程S9の直前において各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄している。しかしながら、組込工程S7の後に速やかに組立工程S9を実施する場合には、第2光洗浄工程S8の実施を省略することができる。この場合、組込工程S7と組立工程S9とは一連の組立工程を構成することになる。
【0043】
以上のように、本実施形態の投影光学系の製造方法では、実質的な温度上昇を伴うことなくレンズの光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄装置を用いて、レンズをセルにホールドした状態で投影光学系PLの組立工程の直前(組込工程S7の直前および/または組立工程S9の直前)に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することができる。その結果、本実施形態の露光装置では、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる製造方法により製造された投影光学系PLを用いて、高スループットで高精度な露光を行うことができる。
【0044】
なお、上述の説明では、投影光学系PLの製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、必要に応じて照明光学系ILに対しても同様に本発明を適用することができる。
【0045】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図4のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
先ず、図4のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0047】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0048】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図5のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図5において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0049】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0050】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0051】
なお、上述の実施形態では、ArFエキシマ レーザー光源またはF2レーザ光源を用いる露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、所定の波長光を供給する他の適当な光源を用いる露光装置に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な光学系の製造方法に対して本発明を適用することもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による光洗浄方法および光洗浄装置では、実質的な温度上昇を伴うことなく、光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することができる。また、本発明の光学系の製造方法では、実質的な温度上昇を伴うことなく光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を用いて、光学部材を保持部材にホールドした状態で光学系の組立工程の直前に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することができる。
【0053】
したがって、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる製造方法により製造された光学系を用いる本発明の露光装置および露光方法では、高スループットで高精度な露光を行うことができ、ひいては良好なマイクロデバイスを高スループットで高精度に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態における光洗浄装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の工程を概略的に示すフローチャートである。
【図4】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図5】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 チャンバー
2 ガス導入部
3 ガス排出部
4 支持台
5a,5b キセノンエキシマランプ光源
10 レンズ
11 セル(レンズ室)
100 レーザー光源
IL 照明光学系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材の光洗浄方法、光洗浄装置、光学系の製造方法、露光装置、および露光方法に関する。本発明は、特に半導体素子などのマイクロデバイスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される露光装置の光学系に組み込まれる光学部材の光洗浄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の製造や半導体チップ実装基板の製造では、微細化がますます進んでおり、マスクのパターンを感光性基板としてのウェハに焼き付ける露光装置では、より解像力の高い投影光学系が要求されている。この高解像の要求を満足するには、露光光を短波長化し且つNA(投影光学系の像側開口数)を大きくしなければならない。
【0003】
露光光が短波長化するほど、光学面に付着する汚染物質がレンズの透過率劣化を引き起こすため、光学系を組み立てる前にレンズを洗浄する必要がある。従来、主な汚染物質である有機物を除去する方法として、低圧水銀灯からの光をレンズに照射して洗浄を行う「UV(光)洗浄」が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
UV洗浄の場合、低圧水銀灯からの光が多くの赤外光を含むため、光洗浄処理に際してレンズは高温雰囲気に晒されることになる。したがって、レンズをセル(レンズ室)にホールドした状態でUV洗浄を行うと、レンズの熱膨張係数とセルの熱膨張係数との差に起因して光学面に変形が起こり、さらに高温になるとレンズが破壊されてしまう。
【0005】
このため、UV洗浄を用いる従来技術では、レンズをセルにホールドする前に光洗浄しなければならなかった。換言すれば、従来技術では、レンズホールド状態で光洗浄を行うことができなかった。その結果、光洗浄工程と光学系の組立工程との間に光学面に付着した汚染物質を除去することができず、光学系の内部に封じ込まれた汚染物質に起因する透過率劣化が起こり易かった。
【0006】
また、たとえば157nm以下の波長を有する光に対して用いられる光学系では、汚染物質に起因する透過率劣化に加え、水分の光吸収による透過率劣化も大きな問題になる。したがって、たとえばF2レーザ光を用いる露光装置の光学系に組み込まれるレンズの光洗浄では、光学面に付着した水分を除去する機能も必要になる。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、実質的な温度上昇を伴うことなく、光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、実質的な温度上昇を伴うことなく光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を用いて、光学部材を保持部材にホールドした状態で光学系の組立工程の直前に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる光学系の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる光学系の製造方法により製造された光学系を用いて、高スループットで高精度な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるガスフロー工程と、
前記ガスフロー工程により前記不活性ガスをフローさせつつ、赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射する照射工程とを含むことを特徴とする光洗浄方法を提供する。
【0011】
第1形態の好ましい態様によれば、前記不活性ガスは窒素ガスを含む。また、前記光学部材は光透過部材を有することが好ましい。また、前記照射工程では、キセノンエキシマ光を前記光学部材に照射することが好ましい。また、前記照射工程では、前記光学部材を保持部材にホールドした状態で紫外線を照射することが好ましい。
【0012】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記ガスフロー工程では、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせる。ここで、前記ガスフロー工程では、0.1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが好ましい。この場合、洗浄すべき光学部材と光源との距離を離すことができるため、光源の熱による影響を低減させることが可能となる。さらに、光源の熱による影響を低減させて、実質的な影響をなくすためには、前記ガスフロー工程において、100ppm以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが望ましい。また、前記ガスフロー工程では、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせることが好ましい。
【0013】
本発明の第2形態では、洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるためのガスフロー手段と、
赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射するための照射手段とを備えていることを特徴とする光洗浄装置を提供する。
【0014】
第2形態の好ましい態様によれば、前記照射手段は、キセノンエキシマランプ光源を有する。また、前記光学部材を保持部材にホールドした状態で支持するための支持手段をさらに備えていることが好ましい。また、前記ガスフロー手段は、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。ここで、前記ガスフロー手段は、0.1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。この場合、洗浄すべき光学部材と照射手段との距離を離すことができるため、照射手段の熱による影響を低減させることが可能となる。さらに、照射手段の熱による影響を低減させて、実質的な影響をなくすためには、前記ガスフロー手段は、100ppm以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることが望ましい。また、前記ガスフロー手段は、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の第3形態では、複数の光学部材からなる光学系の製造方法において、
各光学部材を対応する保持部材でホールドするホールド工程と、
前記ホールド工程を経てホールドされた各光学部材を第1形態の光洗浄方法または第2形態の光洗浄装置を用いて洗浄する光洗浄工程と、
前記光洗浄工程を経て洗浄された複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程とを含むことを特徴とする製造方法を提供する。
【0016】
第3形態の好ましい態様によれば、前記組立工程は、前記光洗浄工程を経て洗浄された各光学部材を対応する分割鏡筒に組み込む組込工程と、該組込工程を経て各分割鏡筒に組み込まれた光学部材を第1形態の光洗浄方法または第2形態の光洗浄装置を用いて洗浄する第2光洗浄工程とを含む。
【0017】
本発明の第4形態では、光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記光源と前記感光性基板との間の光路中に配置されて、第3形態の製造方法を用いて製造された光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
本発明の第5形態では、光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
第3形態の製造方法を用いて製造された光学系を前記光源と前記感光性基板との間の光路中に準備する工程と、
前記マスクパターンを照明する工程と、
前記照明されたマスクパターンを前記感光性基板上に露光する工程とを含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。なお、図1において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にY軸を、図1の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、紫外領域の照明光を供給するための光源100として、たとえばArFエキシマレーザー光源(波長193nm)やF2レーザー光源(波長157nm)を備えている。光源100から射出された光は、照明光学系ILを介して、所定のパターンが形成されたレチクルRを重畳的に照明する。なお、光源100と照明光学系ILとの間の光路はケーシング(不図示)で密封されており、光源100から照明光学系IL中の最もレチクル側の光学部材までの空間は、露光光の吸収率が低い気体であるヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
【0021】
レチクルRは、レチクルホルダRHを介して、レチクルステージRS上においてXY平面に平行に保持されている。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、このパターン領域が照明される。レチクルステージRSは、図示を省略した駆動系の作用により、レチクル面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はレチクル移動鏡RMを用いた干渉計RIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0022】
レチクルRに形成されたパターンからの光は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にレチクルパターン像を形成する。ウェハWは、ウェハテーブル(ウェハホルダ)WTを介して、ウェハステージWS上においてXY平面に平行に保持されている。ウェハステージWSは、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はウェハ移動鏡WMを用いた干渉計WIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0023】
また、図示の露光装置では、投影光学系PLを構成する光学部材のうち最もレチクル側に配置された光学部材と最もウェハ側に配置された光学部材との間で投影光学系PLの内部が気密状態を保つように構成され、投影光学系PLの内部の気体はヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。さらに、照明光学系ILと投影光学系PLとの間の狭い光路には、レチクルRおよびレチクルステージRSなどが配置されているが、レチクルRおよびレチクルステージRSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
【0024】
また、投影光学系PLとウェハWとの間の狭い光路には、ウェハWおよびウェハステージWSなどが配置されているが、ウェハWおよびウェハステージWSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。このように、光源100からウェハWまでの光路の全体に亘って、露光光がほとんど吸収されることのない雰囲気が形成されている。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内において、ウェハステージWS(ひいてはウェハW)を二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはレチクルRのパターンが逐次露光される。
【0025】
図2は、本実施形態における光洗浄装置の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、本実施形態の光洗浄装置は、光洗浄すべきレンズ(または、平行平面板、反射部材、一般には光学部材)10を収容するためのチャンバー1と、微量の酸素(たとえば10ppm以下の酸素)を含むドライな(たとえば−30°C以下の露点を有する)窒素ガスをチャンバー1の内部へ導入するためのガス導入部2と、チャンバー1の内部から上述の窒素ガスを排出するためのガス排出部3とを備えている。
【0026】
一方、チャンバー1の内部では、レンズ10が保持部材としてのセル(レンズ室)11によってホールドされ、セル11は支持台4によって支持されている。すなわち、支持台4は、レンズ10をセル11にホールドした状態で支持するための支持手段を構成している。また、一対のキセノン(Xe2)エキシマランプ光源5aおよび5bが、レンズ10の光学面(レンズ面またはレンズコート面)に対向するように配置されている。
【0027】
こうして、チャンバー1、ガス導入部2およびガス排出部3は、洗浄すべきレンズ10の周囲に微量の酸素を含むドライな窒素ガスをフローさせるためのガスフロー手段を構成している。また、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bは、波長が172nmの紫外線(すなわち赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線)をレンズ10に照射するための照射手段を構成している。
【0028】
本実施形態の光洗浄装置では、洗浄すべきレンズ10をセル11でホールドした状態で支持台4に載置する。次いで、チャンバー1、ガス導入部2およびガス排出部3の作用により、レンズ10の周囲に微量の酸素を含むドライな窒素ガスをフローさせる。そして、上述の窒素ガスをフローさせつつ、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bの作用により、赤外光を含まない波長が172nmの紫外線をレンズ10に照射する。
【0029】
以上のように、本実施形態の光洗浄装置では、微量の酸素を含むドライな窒素ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ、赤外光を含まない波長が172nmの紫外線をレンズ10に照射する。その結果、レンズ10の光学面に付着していた有機物のような汚染物質は紫外線照射により分解され、分解された成分は酸素と結びついてレンズ10の光学面から脱離し、最終的にガス排出部3を介してチャンバー1の外部へ運び出される。
【0030】
同様に、レンズ10の光学面に付着していた水分も紫外線照射により分解され、分解された成分はドライな窒素ガスの作用によりレンズ10の光学面から脱離し、最終的にガス排出部3を介してチャンバー1の外部へ排出される。このとき、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bから供給されるランプ光は赤外光を含まないので、ワーク温度を室温(23°C〜25°C)+10°Cよりも小さく抑えることができる。
【0031】
したがって、レンズ10をセル11にホールドした状態で光洗浄を行っても、レンズ10の熱膨張係数とセル11の熱膨張係数との差に起因して光学面に変形が起こることなく、ひいてはレンズ10が損傷を受けることもない。こうして、本実施形態の光洗浄装置および光洗浄方法では、実質的な温度上昇を伴うことなく、たとえばレンズホールド状態でレンズの光学面から有機物のような汚染物質や水分を除去することができる。
【0032】
ところで、キセノンエキシマランプ光源5aおよび5bから供給されるランプ光(波長172nmの紫外線)は、酸素により光が吸収される特性を有するので、酸素濃度の高い窒素ガス中ではランプ光が遠くまで到達しない。そこで、窒素ガス中の酸素濃度を低く抑えることによりランプ光の到達距離を伸ばし、たとえばレンズホールド状態で積層した複数のレンズを同時に光洗浄することもできる。ただし、酸素濃度を低く設定し過ぎると、光照射により光学面から脱離した有機物を運ぶ機能を有する酸素が少なくなり、水分のみ除去され、有機物が残存することになる。なお、照射手段としてのキセノンエキシマランプ光源5aおよび5bと、洗浄すべき光学部材としてのレンズ10との距離を例えば5mm程度の距離に設定する場合には、不活性ガスとしての窒素ガス中の酸素濃度を1%以下とすることが好ましい。また、照射手段としてのキセノンエキシマランプ光源5aおよび5bと、洗浄すべき光学部材としてのレンズ10との距離を70〜80mm程度に設定する場合には、不活性ガスとしての窒素ガス中の酸素濃度を0.1%以下とすることが好ましい。また、レンズの水分除去だけを考慮すると、酸素濃度の好ましい範囲は0ppm〜1%の範囲となるが、レンズの有機物除去をも考慮すると、酸素濃度の下限を0.1ppm以上に設定することが好ましい。
【0033】
なお、上述の説明では、微量の酸素を含むドライな窒素ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ光洗浄を行っている。しかしながら、窒素ガスに限定されることなく、微量の酸素を含むドライな不活性ガスをレンズ10の周囲にフローさせつつ光洗浄を行うこともできる。また、上述の説明では、レンズ10をセル11にホールドした状態で光洗浄を行っているが、これに限定されることなく、レンズ10をホールドしない状態で光洗浄を行うこともできる。また、上述の説明では、レンズ10の光洗浄を行っているが、これに限定されることなく、一般の光学部材に対しても同様に光洗浄を行うことができる。
【0034】
図3は、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の工程を概略的に示すフローチャートである。図3を参照すると、本実施形態の製造方法は、レンズを加工するレンズ加工工程S1と、レンズにコートを形成するコート形成工程S2と、レンズをセル(レンズ室)でホールドするレンズホールド工程S3と、光学面の面精度を検査する検査工程S4と、セルの中心軸とレンズの中心軸とを芯合わせする芯取り工程S5と、レンズを光洗浄する光洗浄工程S6と、レンズを分割鏡筒に組み込む組込工程S7と、各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄する第2光洗浄工程S8と、複数の分割鏡筒を用いて投影光学系を組み立てる組立工程S9と、組み立てられた投影光学系PLの収差を測定する収差測定工程S10とを含んでいる。
【0035】
本実施形態の製造方法におけるレンズ加工工程S1では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を準備し、必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状に近づける。
【0036】
次いで、コート形成工程S2では、ほぼ目標面形状に加工された各レンズに、たとえば蒸着法やスパッタリング法にしたがってコート(反射防止膜)を形成する。そして、レンズホールド工程S3では、コートが形成されたレンズを対応するセルでそれぞれホールドする。次いで、検査工程S4では、たとえば干渉計を用いて、レンズホールド状態でレンズの光学面の面精度を検査する。さらに、芯取り工程S5では、レンズをホールドしているセルの端面を必要に応じて加工し、セルの中心軸とレンズの中心軸とを芯合わせする。
【0037】
次いで、光洗浄工程S6では、図2に示す本実施形態の光洗浄装置を用いて、レンズホールド状態でレンズを光洗浄し、レンズホールド状態でレンズの光学面から汚染物質や水分を除去する。そして、組込工程S7では、所定の組立装置を用い、光洗浄された1つまたは複数のレンズを各分割鏡筒に組み込む。1つまたは複数のレンズが組み込まれた各分割鏡筒は、所定の保管室において長時間に亘って保管されることが多い。
【0038】
この場合、各分割鏡筒に組み込まれたレンズ群(あるいはレンズ)の最も上側の光学面および最も下側の光学面には、有機物のような汚染物質や水分が付着し易い。そこで、本実施形態の製造方法では、第2光洗浄工程S8において、図2に示す本実施形態の光洗浄装置を再び用いて、各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄し、各分割鏡筒に組み込まれたレンズ群の最も上側の光学面および最も下側の光学面から汚染物質や水分を除去する。
【0039】
次いで、第2光洗浄工程S8の直後に実施される組立工程S9では、上述の所定の組立装置を用い、光洗浄処理された複数の分割鏡筒を用いて投影光学系PLを組み立てる。なお、各分割鏡筒へのレンズの組込みおよび複数の分割鏡筒の組立てに用いられる組立装置に関する詳細については、たとえば特開2002−258131号公報などを参照することができる。
【0040】
最後に、収差測定工程S10では、実際に組み立てられた投影光学系PLの収差を測定する。具体的には、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて投影光学系PLの波面収差を測定することができる。なお、収差測定工程S10では、必要に応じて、組み立てた投影光学系PLを介して所定のパターン(たとえば理想格子)の像をウェハに転写し、その転写結果から投影光学系PLのディストーション(歪曲収差)を求める。こうして、投影光学系PLの波面収差が許容範囲内に収まっていることを確認する。
【0041】
なお、投影光学系PLの波面収差が許容範囲内に収まっていない場合には、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整などによるレンズ調整を行う。間隔調整や偏芯調整や回転調整が可能に構成された投影光学系の内部構成(分割鏡筒の構成を含む)に関する詳細については、たとえば特開2002−286989号公報などを参照することができる。
【0042】
ところで、上述の説明では、1つまたは複数のレンズが組み込まれた各分割鏡筒が長時間に亘って保管されることを前提とし、すなわち組込工程S7と組立工程S9との間にある程度長い時間の経過がある場合を想定し、組立工程S9の直前において各分割鏡筒に組み込まれたレンズを光洗浄している。しかしながら、組込工程S7の後に速やかに組立工程S9を実施する場合には、第2光洗浄工程S8の実施を省略することができる。この場合、組込工程S7と組立工程S9とは一連の組立工程を構成することになる。
【0043】
以上のように、本実施形態の投影光学系の製造方法では、実質的な温度上昇を伴うことなくレンズの光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄装置を用いて、レンズをセルにホールドした状態で投影光学系PLの組立工程の直前(組込工程S7の直前および/または組立工程S9の直前)に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することができる。その結果、本実施形態の露光装置では、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる製造方法により製造された投影光学系PLを用いて、高スループットで高精度な露光を行うことができる。
【0044】
なお、上述の説明では、投影光学系PLの製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、必要に応じて照明光学系ILに対しても同様に本発明を適用することができる。
【0045】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図4のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
先ず、図4のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0047】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0048】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図5のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図5において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0049】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0050】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0051】
なお、上述の実施形態では、ArFエキシマ レーザー光源またはF2レーザ光源を用いる露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、所定の波長光を供給する他の適当な光源を用いる露光装置に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な光学系の製造方法に対して本発明を適用することもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による光洗浄方法および光洗浄装置では、実質的な温度上昇を伴うことなく、光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することができる。また、本発明の光学系の製造方法では、実質的な温度上昇を伴うことなく光学部材の光学面から汚染物質や水分を除去することのできる光洗浄方法および光洗浄装置を用いて、光学部材を保持部材にホールドした状態で光学系の組立工程の直前に光洗浄することにより、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することができる。
【0053】
したがって、汚染物質や水分に起因する透過率劣化を実質的に回避することのできる製造方法により製造された光学系を用いる本発明の露光装置および露光方法では、高スループットで高精度な露光を行うことができ、ひいては良好なマイクロデバイスを高スループットで高精度に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態における光洗浄装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の工程を概略的に示すフローチャートである。
【図4】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図5】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 チャンバー
2 ガス導入部
3 ガス排出部
4 支持台
5a,5b キセノンエキシマランプ光源
10 レンズ
11 セル(レンズ室)
100 レーザー光源
IL 照明光学系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ
Claims (16)
- 洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるガスフロー工程と、
前記ガスフロー工程により前記不活性ガスをフローさせつつ、赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射する照射工程とを含むことを特徴とする光洗浄方法。 - 前記不活性ガスは窒素ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の光洗浄方法。
- 前記光学部材は光透過部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光洗浄方法。
- 前記照射工程では、キセノンエキシマ光を前記光学部材に照射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光洗浄方法。
- 前記照射工程では、前記光学部材を保持部材にホールドした状態で紫外線を照射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光洗浄方法。
- 前記ガスフロー工程では、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光洗浄方法。
- 前記ガスフロー工程では、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光洗浄方法。
- 洗浄すべき光学部材の周囲に微量の酸素を含むドライな不活性ガスをフローさせるためのガスフロー手段と、
赤外光を含まない200nm以下の波長を有する紫外線を前記光学部材に照射するための照射手段とを備えていることを特徴とする光洗浄装置。 - 前記照射手段は、キセノンエキシマランプ光源を有することを特徴とする請求項8に記載の光洗浄装置。
- 前記光学部材を保持部材にホールドした状態で支持するための支持手段をさらに備えていることを特徴とする請求項8または9に記載の光洗浄装置。
- 前記ガスフロー手段は、1%以下の酸素を含む不活性ガスをフローさせるように構成されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の光洗浄装置。
- 前記ガスフロー手段は、−30°C以下の露点を有する不活性ガスをフローさせるように構成されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の光洗浄装置。
- 複数の光学部材からなる光学系の製造方法において、
各光学部材を対応する保持部材でホールドするホールド工程と、
前記ホールド工程を経てホールドされた各光学部材を請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光洗浄方法または請求項8乃至12のいずれか1項に記載の光洗浄装置を用いて洗浄する光洗浄工程と、
前記光洗浄工程を経て洗浄された複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程とを含むことを特徴とする製造方法。 - 前記組立工程は、前記光洗浄工程を経て洗浄された各光学部材を対応する分割鏡筒に組み込む組込工程と、該組込工程を経て各分割鏡筒に組み込まれた光学部材を請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光洗浄方法または請求項8乃至12のいずれか1項に記載の光洗浄装置を用いて洗浄する第2光洗浄工程とを含むことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
- 光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記光源と前記感光性基板との間の光路中に配置されて、請求項13または14に記載の製造方法を用いて製造された光学系を備えていることを特徴とする露光装置。 - 光源からの光に基づいてマスクパターンを照明し、該照明されたマスクパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
請求項13または14に記載の製造方法を用いて製造された光学系を前記光源と前記感光性基板との間の光路中に準備する工程と、
前記マスクパターンを照明する工程と、
前記照明されたマスクパターンを前記感光性基板上に露光する工程とを含むことを特徴とする露光方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003135216A JP2004337682A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | 光学部材の光洗浄方法、光洗浄装置、光学系の製造方法、露光装置、および露光方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003135216A JP2004337682A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | 光学部材の光洗浄方法、光洗浄装置、光学系の製造方法、露光装置、および露光方法 |
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JP (1) | JP2004337682A (ja) |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003135216A patent/JP2004337682A/ja active Pending
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