JP2004337300A - 医療用チューブ、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】最も硬質な部分の硬度を従来品以上に高くすることができる医療用チューブを提供すること。
【解決手段】本発明の医療用チューブは、樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると樹脂材料中に浸透してチューブ材を膨潤させる溶剤、およびこの溶剤とともに樹脂材料中に浸透してチューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を硬化させたものである。樹脂材料としては、ポリウレタンを主成分とするものを用い、硬化剤としては、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物を用いるとよい。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の医療用チューブは、樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると樹脂材料中に浸透してチューブ材を膨潤させる溶剤、およびこの溶剤とともに樹脂材料中に浸透してチューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を硬化させたものである。樹脂材料としては、ポリウレタンを主成分とするものを用い、硬化剤としては、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物を用いるとよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶剤中に可塑剤を含む可塑剤含有溶液中にチューブ材を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を軟化させてなる医療用チューブは公知である(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
このような医療用チューブであれば、遠位部は軟らかくて近位部は硬いものとすることができるので、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また特に、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を軟化させたものなので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かないという利点もある。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−64660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載された医療用チューブは、最も硬質な部分が、可塑剤含有溶液中に浸漬されていない部分になる。そのため、最も硬質な部分の硬度が比較的高い医療用チューブを必要とする場合には、あらかじめ高硬度のチューブ材を選定、採用しなければならない。
【0006】
しかしながら、高硬度の樹脂材料は、低硬度の樹脂材料に比べて成形性に劣る場合があるので、細長いチューブ状に加工することが容易ではない。例えば、熱可塑性ポリウレタンの場合、高硬度材料の押出成形性は低硬度材料に比べて劣っている。また、高硬度の樹脂材料の場合、細長いチューブ状に加工することはできるとしても、寸法精度を確保することが容易ではない。
【0007】
そのため、高硬度のチューブ材を選定しようとしても限界があり、具体的な硬度で言えば、最も硬質な部分がショアー硬度70D以上を示すような高硬度材料からなる医療用チューブを必要とする場合には、上記特許文献1に記載の技術で対応することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、最も硬質な部分の硬度を従来品以上に高くすることができる医療用チューブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の特徴について詳述する。
上記請求項1に記載の医療用チューブは、
樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させた
ことを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載の医療用チューブは、請求項1に記載の医療用チューブにおいて、
前記樹脂材料が、ポリウレタンを主成分とする樹脂材料であり、
前記硬化剤が、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物である
ことを特徴とする。
【0011】
上記請求項3に記載の医療用チューブは、請求項2に記載の医療用チューブにおいて、
前記硬化剤が、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびテトライソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする。
【0012】
上記請求項4に記載の医療用チューブは、請求項3に記載の医療用チューブにおいて、
前記硬化剤が、1,4−メチレンビスフェニルジイソシアネート、1,4−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする。
【0013】
上記請求項5に記載の医療用チューブは、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の医療用チューブにおいて、
前記チューブ材の軸方向位置に応じて、該チューブ材を前記硬化剤含有溶液に浸漬する際の処理条件が変えられることにより、前記硬化させた部分の硬さが、軸方向について連続的または段階的に変えられている
ことを特徴とする。
【0014】
上記請求項6に記載の医療用チューブの製造方法は、
樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させる
ことを特徴とする。
【0015】
[作用、および発明の効果]
上記請求項1〜請求項5の各請求項に記載の医療用チューブによれば、樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると樹脂材料中に浸透してチューブ材を膨潤させる溶剤、および溶剤とともに樹脂材料中に浸透してチューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を硬化させてあるので、上記硬化剤含有溶液に浸漬されていないチューブ材に比べ、チューブ材の硬度を向上させることができる。
【0016】
チューブ材の硬度は、硬化剤含有溶液中にチューブ材を浸漬する処理の程度によっても変わるので、一概には特定できないが、例えばショアー硬度70D以上といった、従来は入手不能であった高硬度の医療用チューブも実現できるようになる。
【0017】
チューブ材を形成する樹脂材料は、医療器具として用いた場合に人体に悪影響を及ぼさないものであれば何でもよく、硬化剤は、チューブ材を形成する樹脂材料との相性がよいものであれば何でもよいが、例えば、樹脂材料が、ポリウレタンを主成分とする樹脂材料で、硬化剤が、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物であるとよい。
【0018】
ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物としては、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびテトライソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。さらに具体的には、1,4−メチレンビスフェニルジイソシアネート、1,4−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種であるとよい。これらは一種だけを単独で用いてもよいし、必要があれば、二種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
硬化剤含有溶液中にチューブ材を浸漬する際の処理時間や処理温度は、チューブ材の硬度と硬化させる程度とを考慮して適宜調整されるが、ある程度までは処理時間が長いほどチューブ材が硬化し、また、ある程度までは処理温度が高いほどチューブ材が硬化する。ただし、過剰に処理時間が長い場合や処理温度が高い場合は、チューブ材の物性を劣化させることもあるので、適宜調整することが重要である。
【0020】
さらに、チューブ材の軸方向位置に応じて、チューブ材を硬化剤含有溶液に浸漬する際の処理条件(例えば、処理時間、処理温度など)が変えられることにより、硬化させた部分の硬さが、軸方向について連続的または段階的に変えられている場合、例えば、遠位部は軟らかくて近位部は硬いものとすることができるので、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を硬化させたものとなるので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かない。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0021】
なお、本発明の医療用チューブのより具体的な用途としては、例えば、血管拡張用カテーテル、マイクロカテーテル、ガイディングカテーテル、血管造影用カテーテル、体外循環用カニューレ等を挙げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
溶剤としてクロロホルム、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用いて、硬化剤を5重量%含有するクロロホルム溶液を調製した。チューブ材としては、ショアー硬度60Dの熱可塑性ポリウレタン製の3ルーメンチューブ(長さ400mm、外径3.6mm)を用い、上記クロロホルム溶液中に、チューブ材の長手方向1/2の範囲を浸漬して24時間静置した。
【0023】
その後、室内乾燥して、さらに80℃の恒温器内にて乾燥を行い、医療用チューブを得た。
この医療用チューブについて、上記クロロホルム溶液中に浸漬した範囲について硬度を測定したところ、ショアー硬度70D以上まで硬度が向上しており、半分が軟質で半分が硬質なチューブ材となっていた。
【0024】
以上のように構成された医療用チューブによれば、例えば、カテーテルチューブとして用いることができ、この場合、軟質な方を遠位端側として血管内に挿入すれば、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また特に、近位部における硬度が高いので、きわめて細い医療用チューブとしても、十分なプッシャビリティを確保することができる。
【0025】
また、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を硬化させたものなので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かない。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、チューブ材全体のうち、長手方向半分を硬化させてあったが、チューブ材の長手方向について複数の範囲を設定し、各範囲毎に硬化剤含有溶液中に浸漬する時間を変えることにより、多段階に硬度を変化させてもよい。より具体的には、例えば、チューブ材の長手方向について4つの範囲を設定し、第1の範囲は硬化剤含有溶液中に浸漬せず、第2の範囲は硬化剤含有溶液中に12時間浸漬し、第3の範囲は硬化剤含有溶液中に24時間浸漬し、第4の範囲は硬化剤含有溶液中に36時間浸漬する、といった方法で浸漬する時間を変え、これにより、4段階に硬度を変化させることができる。
【0027】
また、このように段階的に硬度を変化させる以外には、チューブ材を硬化剤含有溶液中に浸漬した後、36時間かけて徐々に硬化剤含有溶液中から引き上げることにより、チューブ材の軸方向について連続的に浸漬時間を変化させ、無段階に硬度を変化させてもよい。
【0028】
さらに、硬化剤含有溶液中に浸漬する時間を調整する他、硬化剤含有溶液の温度や硬化剤濃度を変化させることにより、硬化の程度を制御してもよい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶剤中に可塑剤を含む可塑剤含有溶液中にチューブ材を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を軟化させてなる医療用チューブは公知である(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
このような医療用チューブであれば、遠位部は軟らかくて近位部は硬いものとすることができるので、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また特に、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を軟化させたものなので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かないという利点もある。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−64660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載された医療用チューブは、最も硬質な部分が、可塑剤含有溶液中に浸漬されていない部分になる。そのため、最も硬質な部分の硬度が比較的高い医療用チューブを必要とする場合には、あらかじめ高硬度のチューブ材を選定、採用しなければならない。
【0006】
しかしながら、高硬度の樹脂材料は、低硬度の樹脂材料に比べて成形性に劣る場合があるので、細長いチューブ状に加工することが容易ではない。例えば、熱可塑性ポリウレタンの場合、高硬度材料の押出成形性は低硬度材料に比べて劣っている。また、高硬度の樹脂材料の場合、細長いチューブ状に加工することはできるとしても、寸法精度を確保することが容易ではない。
【0007】
そのため、高硬度のチューブ材を選定しようとしても限界があり、具体的な硬度で言えば、最も硬質な部分がショアー硬度70D以上を示すような高硬度材料からなる医療用チューブを必要とする場合には、上記特許文献1に記載の技術で対応することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、最も硬質な部分の硬度を従来品以上に高くすることができる医療用チューブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の特徴について詳述する。
上記請求項1に記載の医療用チューブは、
樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させた
ことを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載の医療用チューブは、請求項1に記載の医療用チューブにおいて、
前記樹脂材料が、ポリウレタンを主成分とする樹脂材料であり、
前記硬化剤が、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物である
ことを特徴とする。
【0011】
上記請求項3に記載の医療用チューブは、請求項2に記載の医療用チューブにおいて、
前記硬化剤が、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびテトライソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする。
【0012】
上記請求項4に記載の医療用チューブは、請求項3に記載の医療用チューブにおいて、
前記硬化剤が、1,4−メチレンビスフェニルジイソシアネート、1,4−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする。
【0013】
上記請求項5に記載の医療用チューブは、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の医療用チューブにおいて、
前記チューブ材の軸方向位置に応じて、該チューブ材を前記硬化剤含有溶液に浸漬する際の処理条件が変えられることにより、前記硬化させた部分の硬さが、軸方向について連続的または段階的に変えられている
ことを特徴とする。
【0014】
上記請求項6に記載の医療用チューブの製造方法は、
樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させる
ことを特徴とする。
【0015】
[作用、および発明の効果]
上記請求項1〜請求項5の各請求項に記載の医療用チューブによれば、樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると樹脂材料中に浸透してチューブ材を膨潤させる溶剤、および溶剤とともに樹脂材料中に浸透してチューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、チューブ材の一部または全部を硬化させてあるので、上記硬化剤含有溶液に浸漬されていないチューブ材に比べ、チューブ材の硬度を向上させることができる。
【0016】
チューブ材の硬度は、硬化剤含有溶液中にチューブ材を浸漬する処理の程度によっても変わるので、一概には特定できないが、例えばショアー硬度70D以上といった、従来は入手不能であった高硬度の医療用チューブも実現できるようになる。
【0017】
チューブ材を形成する樹脂材料は、医療器具として用いた場合に人体に悪影響を及ぼさないものであれば何でもよく、硬化剤は、チューブ材を形成する樹脂材料との相性がよいものであれば何でもよいが、例えば、樹脂材料が、ポリウレタンを主成分とする樹脂材料で、硬化剤が、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物であるとよい。
【0018】
ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物としては、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびテトライソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。さらに具体的には、1,4−メチレンビスフェニルジイソシアネート、1,4−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種であるとよい。これらは一種だけを単独で用いてもよいし、必要があれば、二種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
硬化剤含有溶液中にチューブ材を浸漬する際の処理時間や処理温度は、チューブ材の硬度と硬化させる程度とを考慮して適宜調整されるが、ある程度までは処理時間が長いほどチューブ材が硬化し、また、ある程度までは処理温度が高いほどチューブ材が硬化する。ただし、過剰に処理時間が長い場合や処理温度が高い場合は、チューブ材の物性を劣化させることもあるので、適宜調整することが重要である。
【0020】
さらに、チューブ材の軸方向位置に応じて、チューブ材を硬化剤含有溶液に浸漬する際の処理条件(例えば、処理時間、処理温度など)が変えられることにより、硬化させた部分の硬さが、軸方向について連続的または段階的に変えられている場合、例えば、遠位部は軟らかくて近位部は硬いものとすることができるので、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を硬化させたものとなるので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かない。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0021】
なお、本発明の医療用チューブのより具体的な用途としては、例えば、血管拡張用カテーテル、マイクロカテーテル、ガイディングカテーテル、血管造影用カテーテル、体外循環用カニューレ等を挙げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
溶剤としてクロロホルム、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを用いて、硬化剤を5重量%含有するクロロホルム溶液を調製した。チューブ材としては、ショアー硬度60Dの熱可塑性ポリウレタン製の3ルーメンチューブ(長さ400mm、外径3.6mm)を用い、上記クロロホルム溶液中に、チューブ材の長手方向1/2の範囲を浸漬して24時間静置した。
【0023】
その後、室内乾燥して、さらに80℃の恒温器内にて乾燥を行い、医療用チューブを得た。
この医療用チューブについて、上記クロロホルム溶液中に浸漬した範囲について硬度を測定したところ、ショアー硬度70D以上まで硬度が向上しており、半分が軟質で半分が硬質なチューブ材となっていた。
【0024】
以上のように構成された医療用チューブによれば、例えば、カテーテルチューブとして用いることができ、この場合、軟質な方を遠位端側として血管内に挿入すれば、遠位部におけるフレキシビリティと近位部におけるプッシャビリティを両立させて改善することができる。また特に、近位部における硬度が高いので、きわめて細い医療用チューブとしても、十分なプッシャビリティを確保することができる。
【0025】
また、連続的に形成された1本のチューブ材の一部を硬化させたものなので、別々に形成された硬度の異なるチューブ材を接合したものとは異なり、接合界面は存在せず、接合界面においてチューブ材に亀裂が入ったり折れたりするようなトラブルを招かない。特にマルチルーメンチューブにおいては、別々に成形された硬度の異なるチューブを接合することは難度が非常に高いため、より利点が大きくなる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、チューブ材全体のうち、長手方向半分を硬化させてあったが、チューブ材の長手方向について複数の範囲を設定し、各範囲毎に硬化剤含有溶液中に浸漬する時間を変えることにより、多段階に硬度を変化させてもよい。より具体的には、例えば、チューブ材の長手方向について4つの範囲を設定し、第1の範囲は硬化剤含有溶液中に浸漬せず、第2の範囲は硬化剤含有溶液中に12時間浸漬し、第3の範囲は硬化剤含有溶液中に24時間浸漬し、第4の範囲は硬化剤含有溶液中に36時間浸漬する、といった方法で浸漬する時間を変え、これにより、4段階に硬度を変化させることができる。
【0027】
また、このように段階的に硬度を変化させる以外には、チューブ材を硬化剤含有溶液中に浸漬した後、36時間かけて徐々に硬化剤含有溶液中から引き上げることにより、チューブ材の軸方向について連続的に浸漬時間を変化させ、無段階に硬度を変化させてもよい。
【0028】
さらに、硬化剤含有溶液中に浸漬する時間を調整する他、硬化剤含有溶液の温度や硬化剤濃度を変化させることにより、硬化の程度を制御してもよい。
Claims (6)
- 樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させた
ことを特徴とする医療用チューブ。 - 前記樹脂材料が、ポリウレタンを主成分とする樹脂材料であり、
前記硬化剤が、ウレタン結合に反応する官能基を分子内に複数有する化合物である
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。 - 前記硬化剤が、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびテトライソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用チューブ。 - 前記硬化剤が、1,4−メチレンビスフェニルジイソシアネート、1,4−メチレンビスシクロヘキサンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートの中から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする請求項3に記載の医療用チューブ。 - 前記チューブ材の軸方向位置に応じて、該チューブ材を前記硬化剤含有溶液に浸漬する際の処理条件が変えられることにより、前記硬化させた部分の硬さが、軸方向について連続的または段階的に変えられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の医療用チューブ。 - 樹脂材料によって形成されたチューブ材を浸漬すると前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を膨潤させる溶剤、および該溶剤とともに前記樹脂材料中に浸透して前記チューブ材を硬化させる硬化剤を含む硬化剤含有溶液中に、前記チューブ材の一部または全部を浸漬することによって、前記チューブ材の一部または全部を硬化させる
ことを特徴とする医療用チューブの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003136106A JP2004337300A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | 医療用チューブ、およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003136106A JP2004337300A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | 医療用チューブ、およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004337300A true JP2004337300A (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=33526180
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003136106A Pending JP2004337300A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | 医療用チューブ、およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004337300A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190075577A (ko) * | 2017-12-21 | 2019-07-01 | 주식회사 엘지화학 | 드레싱 필름용 조성물 및 드레싱 필름 |
KR20190075578A (ko) * | 2017-12-21 | 2019-07-01 | 주식회사 엘지화학 | 항균 드레싱 필름용 조성물 및 항균 드레싱 필름 |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003136106A patent/JP2004337300A/ja active Pending
Cited By (4)
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KR20190075577A (ko) * | 2017-12-21 | 2019-07-01 | 주식회사 엘지화학 | 드레싱 필름용 조성물 및 드레싱 필름 |
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