JP2004337120A - 膀胱癌再発検査方法 - Google Patents

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翁一鳴
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Abstract

【課題】確率の高い膀胱癌再発、もしくは悪性転化したハイステージ症状の検知方法を提供する。
【解決手段】nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標として、膀胱癌が再発及び悪化してハイステージ症状になっているかを検査する。即ち、腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るとともに、 該Ct値と対照値とを測定して差値(△Ct)を得る。該対照値は18S内部対照サンプルから派生するものであり、該Ct値と対照値との差値である△Ctを所定値と比較して腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するか判断する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、癌の検知方法に関し、特に膀胱癌の再発、もしくは悪性転化したハイステージ症状を検知する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上皮性腫瘍の再発は、一部の例として、悪化して筋組織に対する浸潤性の癌となる場合がある。膀胱の移行細胞癌を治療する場合は、幾つかの因子の制御を受ける。臨床診断において、腫瘍の再発、もしくは膀胱癌の浸潤性転化を診断するための予後の因子には、悪性度、病期分類、リンパ腺への浸潤、腫瘍のサイズ、本来の位置における上皮内癌の出現、多発性、もしくは腫瘍再発の速度などを包括する。これら因子のうち、特に病期分類と腫瘍の悪性度は、重要な予後の因子である。但し、病期分類は誤認が発生する可能性を有する。ハイステージと中期の疾病を病期分類する場合、約33%が予測される分類に含まれるが、10%は過度に病期分類される。よって、症状に対して的確に治療を行うための理想的な予後の因子は、信頼性のあるものでなければならない。
【0003】
尿細胞診は、膀胱癌のスクリーニング法として重要であるが、低敏感性であるが故に効果は決して高いものではない。
【0004】
別途、核マトリックス蛋白質22、膀胱腫瘍抗原、もしくはテロメラーゼを利用して判断の指標とすることができる。但し、これら判断の指標は、膀胱癌の検査において尿細胞診に比して敏感度は高いが、その低特殊性の制限を受ける。
【0005】
特殊遺伝子の変異は移行細胞癌の分子に関連し、細胞循環調節遺伝子、発癌遺伝子、及び癌抑制遺伝子などの突然変異を包括する。然しながら、これら遺伝子の変異を利用した腫瘍の判断は、極めて困難であることが立証されている。これはその低敏感性に因るものである。
【0006】
よって、上述する従来の方法に係る諸問題を改し、高効率で、かつ有効な膀胱癌の再発、もしくは悪化してハイステージ症状に転化した場合の検知方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、確率の高い膀胱癌再発、もしくは悪性転化したハイステージ症状の検知方法を提供することを課題とする。
【0008】
また、この発明は、低敏感性、もしくは判断の指標が有する潜在的な特異性、及び特異遺伝子の改造による低敏感性などの影響を受けることなく、高効率で、有効な膀胱癌再発、もしくは悪性転化したハイステージ症状の検知方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は従来の技術に見られる欠点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標として、膀胱癌が再発及び悪化してハイステージ症状になっているかを検査する膀胱癌の再発検査方法によって課題を解決できる点に着眼し、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
【0009】
即ち、腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るとともに、 該Ct値と対照値とを測定して差値(△Ct)を得る。該Ct値はポリメラーゼ連鎖反応を拡大したThreshold Cycle数であって、且つその結果が蛍光を利用して最先に得られるものであり、該対照値は18S内部対照サンプルから派生するものであり、
該Ct値と対照値との差値である△Ctを所定値と比較して腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するか判断する。
【0010】
以下、この発明について具体的に説明する。
請求項1に記載する膀胱癌の再発検査方法は、nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標として、膀胱癌が再発及び悪化してハイステージ症状になっているかを検査する膀胱癌の再発検査方法。
【0011】
請求項2に記載する膀胱癌の再発検査方法は、請求項1における膀胱癌の再発検査方法に、腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るステップと、
該Ct値と対照値とを測定して差値(△Ct)を得るステップとを含む。
【0012】
請求項3に記載する膀胱癌の再発検査方法は、請求項2におけるCt値がポリメラーゼ連鎖反応を拡大したThreshold Cycle数であって、且つその結果が蛍光を利用して最先に得られるものである。
【0013】
請求項4に記載する膀胱癌の再発検査方法は、請求項2における対照値が18S内部対照サンプルから派生するものである。
【0014】
請求項5に記載する膀胱癌再発検査方法は、請求項2におけるCt値と対照値との差値である△Ctが12.5未満の数値である場合、検査した腫瘍にnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現が存在し、該腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するものと認める。
【0015】
請求項6に記載する膀胱癌再発検査方法は、腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るステップと、
該Ct値と対照値とを測定して差値(△Ct)を得るステップとを含み、
該Ct値がポリメラーゼ酵素鎖反応を拡大したThreshold Cycle数であって、且つその結果が蛍光を利用して最先に得られるものであり、
該対照値が18S内部対照サンプルから派生するものであり、
該Ct値と対照値との差値である△Ctが所定値未満である場合、検査した腫瘍にnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現が存在し、該腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するものと認める。
【0016】
請求項7に記載する膀胱癌の再発検査方法は、請求項6における所定値が12.5より小さい数値である。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明は、膀胱癌の再発、もしくはハイステージ症状に転化した場合を検知する方法を提供するものであって、nucleophosmin/B23タンパク質の情報であるリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標とし、膀胱癌の再発、もしくはハイステージ症状に転化しているかを検知する。かかる方法は腫瘍に逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を進行させ、かつnucleophosmin/B23タンパク質の情報であるリボ核酸を測定して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が拡大したThreshold Cycle数Ct値を得るとともに、該Ct値と対照値との間の差値(△Ct)を得る。かかる差値△Ctが12.5より低い場合は、当該腫瘍はnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現を有するものであって、腫瘍が再発、もしくは転化してハイステージ症状に至ったことを表わす。
かかる膀胱癌の再発、もしくはハイステージ症状に転化した場合を検知する方法について、具体的な実施例を以下に掲げる。
【0018】
【実施例】
この発明においては、癌化した膀胱腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質を応用する。即ち、膀胱腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質の発現状態を有効な検知の指標とするものであって、膀胱癌が再発するか、もしくは悪化してハイステージ症状に転化した膀胱癌患者の身体のnucleophosmin/B23タンパク質の発現状態を有力な検知の指標として、膀胱癌の浸潤性病期分類と高再発率を検知する。よって、膀胱腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質の発現はTNM(原発腫瘍の広がり(tumor)と、リンパ節への転移(lymph−node)と、遠隔臓器への転移(metastasis)との意)システムと併用し、かつ特定の有効なツールとして治療と予後における重要情報を提供する。
【0019】
以上を詳述すると、診断によって患者から膀胱癌が発見された場合、手術を行って腫瘍を切除する。さらにTNM分類システムで該腫瘍を検査して腫瘍の悪性度と病期分類を判断するとともに、該腫瘍の病期分類をT1からT4値で表示してアルファベット順に病期を細分類する。例えば、T3aと表示した場合は、分類値のT1とT2を包括する。腫瘍の悪性度は腫瘍細胞の成長速度を代表し、数字の2から10によって表わす。数字が大きくなるにつれて、腫瘍細胞が短期間で成長し、かつ他の領域に転移する可能性が高くなる。
【0020】
次いで、腫瘍に逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を進行させ、かつnucleophosmin/B23タンパク質の情報であるリボ核酸の発現を測定して△Ct値を確定する。これは、nucleophosmin/B23タンパク質の遺伝子の検査によって得られたThreshold Cycle数Ct値と18S内部の対照サンプルとの間に存在する差値である。
【0021】
該△Ct値は、MGH−U4細胞の△Ct値である12.5と比較する。仮に患者から検出された△Ct値が12.5より低い場合は、当該nucleophosmin/B23タンパク質が高い発現をしていることを表わし、かつ腫瘍の再発か、もしくはハイステージ症状の腫瘍に転化している可能性がある。よって、かかる方法は高効率の癌検査を行うことができる。
【0022】
実例を挙げて以下に説明する。即ち、50名の患者を対象として上述の方法の効果を立証した例である。膀胱腫瘍を有する患者の各種特徴を表1に開示する。
【表1】
Figure 2004337120
【0023】
表1に記載する50名患者の腫瘍の病例について、組織病理学に基づき膀胱移行細胞癌と、早期MGH−UH膀胱癌細胞とに分析し、かつ、全ての分析検査に逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を採用してCt値を得た。該Ct値はポリメラーゼ連鎖反応が拡大する場合のThreshold Cycle数であり、その結果は蛍光を利用した検査で最先に得られたものである。
【0024】
△Ct値は、nucleophosmin/B23タンパク質の遺伝子から検査によって得られたThreshold Cycle数Ct値と、18SリボソーマルRNA対照サンプルとの間に存在する差値であり、かつMGH−U4の△Ct値は12.5をカットオフ閾値に指定した。よって、△Ct値が12.5を下回る病例はnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現を有するものと認め、逆の場合も同様である。
【0025】
表1に記載する50名の病例において、37名が男性であって、13名が女性である。年齢は30歳から86歳の間(平均年齢67歳)であって、これら患者の手術後10ケ月を経過するまでの期間を対象として観察を行なった。その合格の基準は次の各項を含む。即ち、(1)経尿道的腫瘍切除(transurethral resection of the bladder tumor:TUR−BT)の完了と筋組織下層の生検、並びにコールドカップ切片検査法(cold−cup biopsies)によって可能な限りの粘膜領域に対して検査を行なう。(2)病理学上移行細胞癌であると立証される。但し、放射線療法、及び化学療法を施した結果、その他、悪性の腫瘍を有する病例の定期的に発生する無効性、もしくは、主治医の認定する不合格の理由などを含む外来の基準は排除する。
【0026】
経尿道的腫瘍切除によって表皮性腫瘍、及び浸潤性腫瘍を全切除した後、International Union Against Cancer TNMと、WHO病期分類システムに基づき、移行細胞癌の病例に係る病期分類と悪化度を判断する。
【0027】
外科手術を行なう以前の患者の状態について、アメリカ合衆国東部腫瘍共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group : ECOG)では、これを0から4の数字で分類する。即ち、0は正常な活動を行なうことのできる患者であって、1は症状が認められるが病床につく必要のない患者を表わす。2は寝たきりの時間が50%より少ない患者であって、3は寝たきりの時間が50%を超過する患者である。また、4は完全に寝たきりの患者である。
【0028】
この発明は、同位癌を有する膀胱腫瘍の男性の患者の体細胞からMGH−U4細胞株を派生させて、これを制御グループとする。MGH−U4細胞は、10%のウシ胎児血清と、1%抗生素のRPMI1640培養液を添加し、5%の二酸化炭素を含む雰囲気において、37℃の温度条件を有する培養箱で培養する。
【0029】
それぞれの病例から約20mgの組織を得て、リボ酸抽出試薬(TRIzol reagent)によってRNA抽出を行い、さらに製造プロトコル(manufacture’s protocol)に基づいて洗浄の工程を行なう。全てのRNA実例の品質はアガロースゲル上の電気泳動及び、18Sと28S RNAバンドの完全な形象化によって決まる。全てのRNAの濃度、純度、及び数量は紫外線スペクトル比色測定法によって決まる。これら標準によって全てのRNA実例に対する検査が高品質と高純度を有するようにする(Abs260/Abs280>1.7)。逆転写酵素―ポリメラーゼ連鎖反応は、反応混合剤において培養されるものであって、300ngのRNAと、6μlの5X第1緩衝液[250mM Tris−HCL (pH8.3),375mMKCI,15mM MgCl]と、20μMのランダム・ヘキサマー・プライマー(random hexamer primer)と、50Uの逆転写ポリメラーゼと、10Uのリボメラーゼ抗化剤(RNase inhibitor)と、及び0.5mMdNTPの30μl反応緩衝剤において、42℃の温度条件で1時間培養する。
【0030】
それぞれの遺伝子については、相補するリボプライマーとリボプローブを選択する。それぞれのリボプライマーとリボプローブに関して、この発明においてはBLASTN検索を利用し、リボ酸遺伝子のデータベースから全ての遺伝子の特徴と、DNAの多様性の欠乏を確認する。また、nucleophosmin/B23タンパク質のポリメラーゼ連鎖反応拡大領域には、接合の可能性を有する全ての産物を含み、あらゆる情報リボ核酸の測定を確保する。
【0031】
RT−PCRに応用されるリボ核酸プライマーとリボプローブはB23リボ酸プライマー−前駆(5’−CCAGTGGTCTTAAGGTTGAAGTGTGG−3’)、B23リボプライマー−転写(5’−TCCAGATATACTTAAGAGTTTCACATC CTCCTC−3’)、及びB23リボ酸プローブ(5’−AGCTACTAAGTGCTGTCCACTAATATGCACTGGCCCTGA−3’)であって、FAMをマーカーとして標記を行う。全てのPCR反応は、自動DNA配列シーケンサー(ABI Prism5700Sequence Detection System)によって行う。
【0032】
それぞれのPCR反応を行う場合、初期の混合は、TaqMan Universal PCR Master Mix 、400mMを含むリボ酸プライマー、200mMリボ酸プローブ、及び3μlcDNAの25μl冷凍溶液において進行させる。熱サイクル条件は、95℃の温度条件で10分間初期変性のステップを行い、95℃の温度条件で40サイクル15秒、及び60℃の温度条件で1分間行う。
【0033】
RT−PCRデータの結果は、Ct値で表示する。該Ct値はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で最先に発見される産物を拡大したThreshold Cycle数である。
【0034】
RNAの内部対照サンプルについて、この発明においては18Sリボソーム(ribosome)RNAの発現によってCt値を得る。該18SリボソームのPCR反応と、ルールは前述の内容と同様である。△Ct値は、検査によって得た特異遺伝子と、18S対照サンプルとの間に存在する差値である。
【0035】
nucleophosmin/B23タンパク質mRNAに関する発現を検知するために腫瘍組織から得た該△Ct値は、MGH−U4細胞と比較して病期分類とRT−PCRの△Ct値との間の関連性を測定する。
【0036】
表1に記載する腫瘍切除手術を行った50名の患者の内、35名の患者(70%)の病期分類がT1であり、6名(12%)の病期分類がT2である。また、8名(16%)の患者の病期分類がT3であって、病期分類がT4の患者は1名(2%)である。さらに、この50名の病例のうち、悪性度Iが19例(38%)、悪性度IIが22例(44%)、悪性度IIIが9例(18%)である。外科手術を行なう以前の患者の状態について、アメリカ合衆国東部腫瘍共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group : ECOG)では、これを0から4の数字で分類する。これに基づいて分析した結果、50名の病例のうち34例(68%)が初期の腫瘍であって、16例(32%)が再発の腫瘍である。また、34例の初期腫瘍の内、22例(64.7%)がpT1であって、4例(11.8%)がpT2である。また7例(20.6%)がpT3であって、pT4が1例(2.9%)である。また、16名の腫瘍再発患者の内、13例(81.3%)がpT1期であって、2例(12.5%)がpT2期であって、1名(6.3%)がpT3期である。
【0037】
この発明は、膀胱腫瘍を有する男性の体細胞から派生するMGH−U4細胞株に対して、即時逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を進行させるものである。Ct値はポリメラーゼ鎖反応が拡大した場合のCt値(threshold cycle)であって、その結果は蛍光を利用して最先に発見されたものである。△Ct値は、分析検査によって得られたnucleophosmin/B23タンパク質遺伝子と、18S対照サンプルから派生するCt値との差値である。初期のMGH−U4細胞の△Ct値が12.5±0.77と認められた場合、△Ct値12.5をカットオフ閾値として指定する。よって、MGH−U4細胞と比較する場合、△Ct値が12.5を下回る病例は、nucleophosmin/B23タンパク質の高い発現を有するものとみなす。
【0038】
図1はnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルと腫瘍のステージとの関係を表わす説明図である。図2はnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルと腫瘍悪化度との関係を表わす説明図である。図1、図2における水平線は△Ct値のカットオフ閾値12.5である。図1から明らかなように、pT1の病例には△Ct≧12.5の例が高比率(62.9%)で含まれる。pT2〜T4の病例には△Ct<12.5の例が高比率(73.3%)で含まれる。13例のpTI期の腫瘍において、10例が△Ct<12.5であって、すなわち再発症状である。図2から明らかなように、悪化度Iの病例において、52.6%が△Ct≧12.5であって、47.4%が△Ct<12.5である。また、悪化度Iの腫瘍9例のうち、7例が△Ct<12.5であって、再発症状である。
【0039】
以上を詳述すると、この発明はT分類と、腫瘍悪化度によって検査を行い、膀胱癌における臨床と病理学因子であるnucleophosmin/B23タンパク質mRNA状態の可能な組合せを分析するものである。図1に開示するように、pT1の35の病例において、22例(62.9%)が△Ct≧12.5(範囲は12.6〜17.0の間)である。また、pT2〜T4の15の病例において、11例(73.3%)が△Ct<12.5(範囲は5.4〜12.4の間)である。
【0040】
よって、nucleophosmin/B23タンパク質の高い発現(△Ct<12.5)は、ほとんどが高いステージ(pT2〜T4)の腫瘍から発見され、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの発現と、腫瘍のステージ(p<0.001)との間に重要な関係のあることが発見された。さらに、19例の悪化度Iについて、10例(52.6%)が△Ct≧12.5であって、9例(47.4%)が△Ct<12.5である。
【0041】
図2に開示するように、31例の悪化度II〜IIIの腫瘍において、15(48.4%)、もしくは16例(51.6%)の△Ct≧12.5、またはCt<12.5が含まれる。よって、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの発現と、腫瘍の悪化度(p=2.855)との間には重要な関係が見られない。
【0042】
図3は、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAのステージと、再発する腫瘍との関係を表わす説明図である。図示に記載する水平線は、△Ctカットオフ閾値12.5である。図3から明らかなように、初期の腫瘍の病例において、△Ct≧12.5が高比率(64.7%)で存在し、且つ、再発した腫瘍においては△Ct<12.5が高比率(75%)で存在する。
【0043】
以上を詳述すると、この発明においてはnucleophosmin/B23タンパク質mRNAの発現と、腫瘍の再発との間における可能な関係を分析する。34例の原発腫瘍(primary tumor)において22例(64.7%)が△Ct≧12.5であった。さらに、16例の再発した腫瘍において12例(75.0%)にnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現(△Ct<12.5)が見られた。さらに、この発明においては、13例のpT1の例において10例(76.9%)、及び悪化度Iの腫瘍9例のうち7例(77.8%)にnucleophosmin/B23タンパク質mRNAの高い発現が見られ、いずれも再発した腫瘍であったことにも注目した。ここから明らかなように、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの高い発現と腫瘍の再発との間に重要な関連性がある。
【0044】
図4は、異なるステージにおける原発腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルとの関係を表わす説明図である。図5は、異なる悪化度における原発の腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質mRNAレベルとの関係を表わす説明図である。図4、5に記載する水平線は△Ctカットオフ閾値12.5である。
【0045】
図4から明らかなように、pT1ステージの原発腫瘍に△Ct≧12.5が高比率(86.4%)で存在し、pT2〜T4の初期腫瘍に△Ct≧12.5が高比率(75%)で存在する。また、図5から明らかなように、悪化度Iの原発腫瘍にCt≧12.5が高比率(83.3%)で存在し、悪化度II〜IIIの原発腫瘍に△Ct<12.5か45.5%存在する。
【0046】
詳述すると、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの発現の腫瘍ステージと原発腫瘍の悪化度との間の関連性を分析する。34名の患者の原発腫瘍において、22例のステージがpT1であって、12例がpT2〜T4である。図4に開示するように、22例のpT1の原発腫瘍において、△Ct≧12.5が19例(86.4%)存在する。よって、12例のpT2〜T4の原発腫瘍において、nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの高い発現(△Ct<12.5)が9例(75%)認められた。
【0047】
さらに、組織学の分析から明らかなように、34例の原発腫瘍において、図5に開示するように12例が悪化度Iで、22例が悪化度II〜IIIであった。また、ほとんどの(83.3%、12例中の10例)悪化度Iの色腫瘍中nucleophosmin/B23タンパク質mRNAの低発現(△Ct≧12.5)を発見した。また22例の悪化度II〜IIIの原発腫瘍において12例(54.5%)、または10例(45.5%)の高△Ct値(≧12.5)、または低△Ct値(<12.5)が存在する。この他、12例のnucleophosmin/B23タンパク質の高発現腫瘍において、9例(75.0%)、もしくは10例(83.3%)が高ステージ(pT2〜T4)か、または高悪化度(II〜III)であった。この点が重要である。
【0048】
表2に、異なるステージと悪化度におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAの高発現、もしくは低発現の腫瘍総数を記載する。
【表2】
Figure 2004337120
【0049】
表2は異なるステージと悪化度においてnucleophosmin/B23タンパク質の高発現(△Ct<12.5)、もしくは低発現(△≧12.5)の腫瘍総数を記載したものであって、表2Aの記載から明らかなように、24例のnucleophosmin/B23タンパク質高発現(△Ct<12.5)の腫瘍において、3例(12.5%)のみが原発のpT1であって、そのほとんどが(24例の内の21例:87.5%)再発、もしくは高ステージ(pT2〜T4)の腫瘍である。同様に、表2Bに開示するように記載するようにnucleophosmin/B23タンパク質の高発現の(△Ct12.5)の腫瘍のうち、2例(8%)のみが原発で、低悪化度(I)であった。他22例(92%)は安威発下腫瘍か、もしくは高悪化度(II〜III)の腫瘍であった。かかる結果から、nucleophosmin/B23タンパク質が高発現(△Ct<12.5)の腫瘍は、再発するか、高ステージ、もしくは高悪化度に転化することが立証される。
【0050】
図6はこの発明におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAの実際の配列をあらわす。
【0051】
以上は、この発明の好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【0052】
【発明の効果】
この発明によれば、確率の高い膀胱癌再発、もしくは悪性転化したハイステージ症状の検知方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルと腫瘍のステージとの関係を表わす説明図である。
【図2】この発明におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルと腫瘍の悪化度との関係を表わす説明図である。
【図3】この発明におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルと再発する腫瘍との関係を表わす説明図である。
【図4】この発明における異なるステージの原発腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質mRNAのレベルとの関係を表わす説明図である。
【図5】この発明における異なる悪化度の原発腫瘍のnucleophosmin/B23タンパク質mRNAとレベルとの関係を表わす説明図である。
【図6】この発明におけるnucleophosmin/B23タンパク質mRNAの実際の配列を表わす説明図である。

Claims (7)

  1. nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標として、膀胱癌が再発及び悪化してハイステージ症状になっているかを検査することを特徴とする膀胱癌の再発検査方法。
  2. 前記膀胱癌の再発検査方法は、腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るステップと、
    該Ct値と対照値とを測定して差値(△Ct)を得るステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の膀胱癌の再発検査方法。
  3. 前記Ct値がポリメラーゼ連鎖反応を拡大した閾周期であって、且つその結果が蛍光を利用して最先に得られるものであることを特徴とする請求項2に記載の膀胱癌の再発検査方法。
  4. 前記制御値が18S内部制御サンプルから派生するものであることを特徴とする請求項2に記載の膀胱癌の再発検査方法。
  5. 前記Ct値と対照値との差値である△Ctが12.5未満の数値である場合、検査した腫瘍にnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現が存在し、該腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するものと認めることを特徴とする請求項2に記載の膀胱癌の再発検査方法。
  6. 腫瘍に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行し、該nucleophosmin/B23タンパク質情報であるリボ核酸を測定してCt値を得るステップと、
    該Ct値と制御値とを測定して差値(△Ct)を得るステップとを含み、
    該Ct値がポリメラーゼ連鎖反応を拡大したThreshold Cycle数であって、且つその結果が蛍光を利用して最先に得られるものであり、
    該対照値が18S内部対照サンプルから派生するものであり、
    該Ct値と対照値との差値である△Ctが所定値未満である場合、検査した腫瘍にnucleophosmin/B23タンパク質の高い発現が存在し、該腫瘍が再発するか、もしくはハイステージ症状に転化するものと認めることを特徴とする膀胱癌の再発検査方法。
  7. 前記所定値が12.5より小さい数値であることを特徴とする請求項6に記載の膀胱癌の再発検査方法。
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