JP2004336152A - 正弦波発生回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】正弦波発生回路において、正弦波の1周期内の電圧変化数を増やして高精細な擬似正弦波を生成すると回路規模が増大し、複雑化する。
【解決手段】入力されるクロック信号CLKに基準として複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路2と、複数のパルス信号に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路3と、を有している。電圧出力回路3は、複数のパルス信号S1〜Sn内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数(a1,−a1,a2,0,−a2,…)を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、当該電圧出力回路3の出力voutを変化させる。電圧出力回路に設けられている複数の係数生成回路に、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路SW2,…を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】入力されるクロック信号CLKに基準として複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路2と、複数のパルス信号に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路3と、を有している。電圧出力回路3は、複数のパルス信号S1〜Sn内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数(a1,−a1,a2,0,−a2,…)を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、当該電圧出力回路3の出力voutを変化させる。電圧出力回路に設けられている複数の係数生成回路に、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路SW2,…を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されるクロック信号に同期して出力の電圧レベルをステップ状に変化させ、擬似正弦波を生成する正弦波発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
正弦波信号の発生は、種々のアナログ信号処理において非常に重要な機能である。用途や要求される精度によって多種多様な実現手段が存在する。正弦波信号の発生回路に要求性能は、基準となるディジタルのクロック信号に同期した、高精度な正弦波波形を生成することである。高精度な波形とは、クロックに対し正確な位相、低い高調波成分、正確な信号振幅を有することである。
【0003】
正弦波発生回路の構成としては、従来、タイミングを制御する2値パルス信号を生成し、これにより出力アンプの入力抵抗を変えて擬似正弦波を発生させる、いわゆるD/A変換タイプの正弦波回路が知られている(たとえば、特許文献1,2参照)。
特許文献1では、抵抗ストリングの各ノードにスイッチを接続させ、そのスイッチのオン/オフのタイミングを制御している。このタイミングを制御する2値信号を生成する回路が、入力したクロック信号をカウントして1/2ずつ順次分周して出力するカウンタと、分周信号同士の論理演算によって、1クロックパルスずつ順次シフトした孤立パルス信号を生成する回路とを有している。
特許文献2では、定電流源と接地電位との間に並列接続された複数の抵抗と、各抵抗に直列接続されたスイッチとを有し、このスイッチのオン/オフのタイミングを制御している。このタイミングを制御する2値信号を生成する回路も、基本的には、上記特許文献1の場合と同様であり、分周回路とN進リングカウンタとを有する構成となっている。
【特許文献1】
特開平5−183341号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平10−209757号公報(第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構成の従来の正弦波発生回路では、正弦波を細かくサンプリングしたような高精細な擬似正弦波を生成しようとした場合、正弦波のサンプリング数に応じて分周回路の分周数やカウンタの規模が増大し、或いは、孤立パルス信号を生成する論理演算回路が複雑化するという課題を抱えている。この課題は、従来の正弦波発生回路が、擬似正弦波の電圧値を決める係数(抵抗値)を生成するための制御信号を、全て2値のパルス信号としてディジタル信号処理により生成することに起因する。
【0005】
本発明の目的は、回路構成が簡単にでき、しかも、正弦波の1周期内の電圧変化数を増やして高精細な擬似正弦波を生成しても回路規模が余り増大せず、複雑化もしない構成の正弦波発生回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る正弦波発生回路は、入力されるクロック信号を基準として複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、このパルス発生回路から出力される複数のパルス信号に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路と、を有している。電圧出力回路は、上記複数のパルス信号内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、当該電圧出力回路の出力を変化させる。また、この電圧出力回路には、複数の係数をそれぞれ生成する複数の係数生成回路が設けられている。本発明では、この複数の係数生成回路が、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含んでいる。
望ましくは、係数生成回路の個数がn(nは2以上の自然数)のとき、当該n個の前記係数生成回路に少なくとも(n−1)個の3値生成回路を含んでいる。
【0007】
このように構成される正弦波発生回路においては、パルス発生回路にクロック信号が入力されると、これを基準として複数のパルス信号が生成される。このパルス信号は、電圧出力回路内に設けられ、それぞれ複数の係数を生成する複数の係数生成回路に用いられるものであり、そのパルス信号の電圧レベルの組み合わせが、係数生成回路が生成する係数の数に応じた数となる。このため、例えば2値生成の場合、最大で2つのパルス信号が必要で、例えば3値生成の場合、最大で3つのパルス信号が必要である。2値生成回路や3値生成回路、さらに他の3値生成回路が複数ある場合、パルス発生回路から出力される複数のパルス信号は、異なる係数生成回路に共通に用いられる。
この複数のパルス信号のビット情報の組み合わせに応じて生成された複数の係数は、さらに組み合わされることによって漸増または漸減する係数列になる。これにより電圧値がステップ状に変化する擬似正弦波が、当該電圧出力回路から出力される。係数生成回路数をnとすると、生成された擬似正弦波の半周期の電圧変化数は例えば(n±1)となる。用いるパルス信号が少なくても、係数生成回路数nを増やせば、係数列の細かさ、ひいては擬似正弦波の1周期内の電圧変化点数が増大する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る正弦波発生回路の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
[第1の実施の形態]
図1に、第1の実施の形態に係る正弦波発生回路の一構成例を示す。
この正弦波発生回路1は、複数のパルス信号S1,S2,S3,…Snを発生させるパルス発生回路2と、この複数のパルス信号内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、出力voutの電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路3と、を有する。
【0010】
本発明における電圧出力回路は、n回路の係数生成回路を有し、そのn個の係数生成回路の中に3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を(n−1)個有する。ここで、奇数値は、5値、7値、…であっても良いが、これらは3値生成回路(あるいは、3値生成回路と2値生成回路の組み合わせ)によって構成できる。
以下の実施の形態の説明では、奇数生成回路が、その基本である3値生成回路であるとして説明する。また、各係数生成回路が、複数の係数を切り替える切換回路であることを前提としている。なお、係数生成回路の他の構成としては、パルス信号を通すことによって係数を加重する構成でも良い。この構成は、後述の他の実施の形態で述べる。
【0011】
ここでnが2以上の時、1つの切換回路が2値もしくは3値を出力し、残りの(n−1)の切換回路が3値を出力する。
図1に示す構成例における電圧出力回路3は、1つの2値の第1の切換回路SW1と、(n−1)個の3値の第2の切換回路SW2,SW3,…,SWnと、これらの出力v1〜vnを加算する加算器4とを有する。2値を選択する第1の切換回路SW1が本発明の“2値生成回路”の一実施の形態を構成し、3値を選択する第2〜第nの切換回路SW2,SW3,…,SWnが本発明の“3値生成回路”の一実施の形態を構成する。
第1の切換回路SW1はa1、−a1の2値を切り替えて出力v1を生成する。他の(n−1)個の切換回路SWi(i=2,3,…,n)は、ai、0、−aiの3値を切り替えて出力viを生成する。各切換回路SW1〜SWnは、パルス信号S1〜Snを生成するパルス発生回路2により制御される。パルス発生回路2は、求める擬似正弦波の周波数fsinの2m倍の周波数を有するクロック信号CLKを基準に、パルス信号S1〜Snを発生させ、各切換回路に供給する。
【0012】
図2(A)〜図2(C)に、最も簡単な例としてn=2の場合の正弦波発生回路の波形を示す。図2(B)は2値を切り換える第1の切換回路SW1の出力v1の波形図、図2(C)は3値を切り換える第2の切換回路SW2の出力v2の波形図である。
第1の切換回路SW1は、図2(B)に示すように、「a1」と「−a1」の2値の矩形波を出力する。第2の切換回路SW2は、図2(C)に示すように、1周期中に1/4周期の間隔をおいた2度の1/4周期の期間に「0」を出力し、その間の1/4周期の一方で「a2」を出力し、他の1/4周期に「−a2」を出力する。その結果、加算器4の出力voutは、図2(A)のような4値を有する階段波となる。
【0013】
つぎに、より正弦波に近い信号を生成するには、係数a1、a2の値を幾つにすればよいかを検討する。より正弦波に近い信号とは、当然のことであるが、サンプリング理論によって正弦波をサンプリングしたものである。図2(A)では、加算器4から出力された階段波が1次ホールドによる正弦波Sinωtのサンプリング結果となっている場合を示している。ここでは、このために係数a1、a2の値がどのような相対的な大きさを有すればよいか求める。
図2(A)に示す例では、1周期に対して8点のサンプリングが成されたと考えることが出来る。最大値の時間tyに対してサンプリング点が対称となるため、即ちtyの時間軸からの距離が同じサンプリング点の対が同じ値を持つために、サンプリング点は正弦波の基準時間txに対して1/16周期ずれている。最大値の時間tyに対してサンプリング点が対称となることは正弦波形状にとっては当然であるが、これにより矩形波の加算による擬似正弦波が容易に生成できる。ここでは時間t0とt3、時間t1とt2、時間t4とt7、時間t5とt6は、それぞれ同じ値(電圧レベル)を有する。
以上より、より正弦波に近いサンプリング点生成のためには、a1はSin(π/8)≒0.383であり、a1+a2はSin(3π/8)≒0.924であり、a1≒0.383、a2≒0.541ということになる。
【0014】
図3(A)〜図3(D)に、3値の切換回路を1つ増やしてn=3とした場合の正弦波発生回路の波形を示す。図3(B)は2値を切り換える第1の切換回路SW1の出力v1の波形図、図3(C)と図3(D)は3値を切り換える第2の切換回路SW2,SW3の出力v2とv3の各波形図である。
第1の切換回路SW1は、図3(B)に示すように、「a1」と「−a1」の2値の矩形波を出力する。第2の切換回路SW2は、図3(C)に示すように、1周期中に1/3周期の間隔をおいた2度の1/6周期の期間に「0」を出力し、その間の1/3周期の一方で「a2」を出力し、他の1/3周期に「−a2」を出力する。切換回路SW3は、図3(D)に示すように、1周期中に1/6周期の間隔をおいた2度の1/3周期の期間に「0」を出力し、その間の1/6周期の一方で「a2」を出力し、他の1/6周期に「−a2」を出力する。その結果、加算器4の出力voutは、図3(A)のような4値を有する階段波となる。
【0015】
n=4以上の場合も、同様にして3値切換回路の制御タイミングが類推できる。
これを一般化すると、「切換回路の個数がnの場合、3値切換回路SWk(k=2〜n)は、各周期で、1/{n(k−1)}周期の間隔をおいた2度の1/{2n(k−1)}周期の期間に「0」を出力し、それらの間の2つの1/{n(k−1)}周期の一方で「ak」を出力し、他方で「−ak」を出力する」となる。
なお、全ての矩形波は同じ周期を有し、同位相である。
【0016】
このような矩形波の生成を制御するパルス信号S1〜Snは、矩形波と同じ2値または3値のパルスでも良いが、一般には、そのような多値パルスの生成は煩わしい。そこで、より望ましくは、3値の切換回路SW2〜SWnを2入力制御の構成として、2つの2値パルスにより制御する。即ち、第1のパルス信号SiA(i=2〜n)により「ai」と「−ai」を切り換えるようにして、第2のパルス信号SiBがアクティブとなったときはスイッチを強制的に「0」に入れ、非アクティブのときは「ドントケア」として第1のパルス信号によるスイッチングを規制しないように、3値切換回路を構成させる。
【0017】
このようにすると、例えば図3(B)〜図3(D)のようなスイッチング動作を、図4(A)〜4(C)に示す3種類の2値パルス信号で制御できる。
図4(A)に示す1/2周期で切り替わるパルス信号を、2値の切換回路SW1を駆動する信号S1、および、3値切換回路SWiを駆動する第1のパルス信号SiAとして、全ての切換回路に供給する。同時に、図3(C),図3(D)に示すタイミングでスイッチングする3値の切換回路SW2,SW3に対し、それぞれ図4(B),図4(C)に示すように、当該切換回路が「0」にスイッチングするときのみ「H」となり、その他の期間では「ドントケア」となる第2のパルス信号SiBを供給する。
これにより、パルス発生回路2を、簡単な分周とシフトの機能を有するロジック回路から構成できる。
【0018】
つぎに、出力信号voutの性質について考える。
仮に出力信号voutが図5に示すような波形のように、正弦波を8倍の周波数のパルスによりサンプリングしたものであれば、そのスペクトラムは図6(A)に示すようなものとなる。基本周波数f、サンプリング周波数fs(=8f)の基本波及びその高調波からf離れたところにスペクトルが立つ。図6(A)では7fと9fにスペクトルが立っている。矩形波には偶数次高調波(2次,4次,…)が無いが、奇数次(3次,5次,…)に強い高調波を持つのに対し、この信号は3次、5次が完全になく、7次と9次に高調波を持っている。高調波の強度は完全なサンプリングであれば、図6(A)に示すように基本波の強度と同じとなる。
ところが、実際の出力信号voutは完全なサンプリングによる波形ではなく、それを一次ホールドした階段波である。その時の高調波成分は、よく知られているアパーチャ効果による減衰(Sinx/x)が加わり、図6(B)に示すようなスペクトルとなる。7次は約17dB減衰し、9次は約19dB減衰する。7次や9次は基本波からかなり離れているので簡単なローパスフィルタでかなり減衰させることができる。従って容易に1%程度の高調波歪み率の正弦波を生成することができる。
【0019】
つぎに、切換回路数n=4の場合を考えてみる。
この場合に出力信号voutは8値のレベルを有する階段波となり、16倍の周波数によりサンプリングされた信号と等価になる。したがって切換回路数n=2の例からの類推により、そのスペクトラムは容易に求まる。
図7に、そのスペクトルを示す。高調波は15次と17次に表れ、その大きさは基本波に対し各々−23.6dB、−24.7dBの大きさとなる。高調波の大きさは約半分となり、かつ周波数が約2倍となる。したがって簡単なローパスフィルタでも、より一層減衰することから、0.1%程度の高調波歪みは極めて容易に達成することできる。
同様に切換回路数n=8の場合に得られる16値のレベルを有する出力信号voutは、32倍の周波数でサンプリングされた信号と等価になり、高調波は31次と33次に表れる。したがって、その高調波の抑制がより容易になり、高調波歪み率が0.01%あるいはそれ以下の擬似正弦波が生成できる。
【0020】
本実施の形態において、サンプリング点の取り方は図2(A)および図3(A)に限定されない。以下、サンプリングの他の態様について、最も簡単な4値出力の場合を例に説明する。
まず、前記したように第1の切換回路SW1は2値切換型に限らず、3値切換型とすることができる。その違いに関し、図2(A)が示す正弦波のサンプリングにおいて、ゼロをサンプリングするかどうかで、第1の切換回路SW1を2値切換型とするか3値切換型とするかが決められる。正弦波のサンプリングである以上、サンプリングされた値が正負対称でなければならない。また、最大値となるサンプリング点を除き、同じサンプリング値が1周期の中で2度用いられなければならない。このことは図2(A)において、サンプリング点が次の条件を満たす必要があることを意味する。第1に、x軸(y=0)を対称軸として、出力値(等価サンプリング値)は対称でなければならない。第2に、最大値の時間(図2(A)に示すty)を対称軸としてサンプリング時間が対称でなければならない。
【0021】
以上の性質から、少なくとも(n−1)個の切換回路による正弦波のサンプリング条件を考える。
図8〜図10に、本実施の形態で取りうるサンプリング点の態様を模式的に示す。図8,図9および図10は、半周期で取りうるサンプリング点が異なり、それぞれ3(=2n−1)点、4(=2n)点および5(=2n+1)点の場合である。また、図8〜図10に示すサンプリング点の取り方を適用した場合に、2つの切換回路から出力される矩形波を、サンプリング点を元に描くと、図11〜図13のようになる。
【0022】
まずサンプリングは、半周期について最少3点でなければならない。2点のサンプリングは矩形波そのものであり意味がない。図8に示すように、3点のサンプリングでは2つのサンプリングの選択肢がある。サンプリング3A(白丸)はa、0、−aを出力すればよいので、3値出力の切換回路1つのみで実現可能である。一方、サンプリング3B(黒丸)を選ぶと、0を含まない4値を必要とするので、図11(B)および図11(C)に示すように、2値出力の切換回路と3値出力の切換回路の2つを必要とする。なお、図11(A)に示す半周期区間は半開区間なので、最大値と最大値の一方は隣の半周期区間に属するため、このサンプリング3Bの場合も半周期のサンプリング点は3点である。
サンプリング周波数はどちらの方法でも6倍の周波数である。サンプリング3Aと3Bを、用いる切換回路数の少なさで比較するとサンプリング3Aが優れており、サンプリング3Bを選ぶ理由は積極的には無い。ところが、n=2の場合に3出力の切換回路1つだけしか使用しないというのは現実的でなく、もう1つの切換回路を3出力とする選択肢がある。これが、図10および図13に示すサンプリング数5点の場合(サンプリング5)である。
以上のサンプリング数が3点と5点の場合は、その数が2のべき乗とならない。
【0023】
つぎに、サンプリング数が2のべき乗である半周期4点サンプリングを考える。
4点サンプリングにも図9に示すように2つの選択肢がある。サンプリング4A(白丸)は、ゼロクロス及び最大値または最小値を等価サンプリング点として選んでおらず、サンプリング4B(黒丸)は選んでいる。その結果、サンプリング4Aでは、0を含まない4値を出力する。これは、前述した図2の場合そのものであり、図2(B)および図2(3)に示すように、2値出力の切換回路と、3値出力の切換回路の2つの切換回路により実現することが出来る。他方、サンプリング4Bは0を含む5値出力を必要とする。この場合も、そのうち最大値または最小値の何れか一方が隣の半周期に属するため半周期4点サンプリングとなる。そのためには、図12(B)および図12(C)に示すように、2つの3値出力の切換回路が必要である。このサンプリング4Bは、同じように2つの3値出力の切換回路を用いるサンプリング5に比べサンプリング効率が悪く、これを選ぶ理由は積極的には無い。
【0024】
以上より拡張して類推し、生成正弦波の1周期において2m点の等価サンプリング動作をする場合の一般解を考える。
mが2のべき乗の場合、サンプリングは0と最大値または最小値を含まないサンプリングポイントを選ぶ第1の選択肢(サンプリング4Aを含むグループ)と、0と最大値または最小値とを含む第2の選択肢(サンプリング4Bを含むグループ)があり、第1の選択肢は、第1の切換回路のみ2値出力ですみ、第2の選択肢はすべての切換手段に3値出力が必要とされる。サンプリング周波数(=2mf)は、切換回路数をnとすると4nf、即ちm=2nである。一般的には第1の選択肢が実現手段として優れている。
【0025】
mが2のべき乗でない場合、即ち公約数に奇数を含む場合、サンプリングは0を含み、最大値および最小値を含まないサンプリングポイントを選ぶ第1の選択肢(サンプリング5を含むグループ)と、0を含まず最大値または最小値を含むサンプリングポイントを選ぶ第2の選択肢(サンプリング3Bを含むグループ)がある。第1の選択肢は、全て3値出力の切換回路が必要である。第2の選択肢では、第1の切換回路のみ2値出力で、他の切換回路が全て3値出力となる。従って半周期のサンプル数mと切換回路数nとの関係は、第1の選択肢の場合m=2n+1、第2の選択肢の場合m=2n−1となる。やはり一般的には第1の選択肢が実現手段として優れている。
【0026】
図1に示す正弦波発生回路1によれば、3値以上の奇数値(例えば3値)の切換回路をn個、或いは、奇数値の切換回路(n−1)個と2値の切換回路1個とを電圧発生回路3内に有することから、半周期で最大(2n+1)個、最低でも2n個の係数を生成し、これに応じて電圧レベルが変化する擬似正弦波を生成できるため、細度が高い擬似正弦波を効率よく生成できる。また、奇数値の切換回路を用いるため、正の電圧レベルを決める係数と負の電圧レベルを係数が対照に生成でき、位相ずれも起こしにくい。その制御のためのパルス信号はクロック信号に対し簡単な分周とシフトを施して生成した2値パルスで済み、しかも、係数生成の効率が高いこととの関係で、同じ細度の擬似正弦波を生成するためのパルス信号数も少なくて済むことから、パルス発生回路2の負担が小さい。
このように、正弦波発生回路に奇数値の切換回路を用いることは種々の利点をもたらす。
【0027】
つぎに、図1に示す正弦波発生回路が極めてシンプルな回路によって実現可能なことを示す。正確なa、0、−aの3値を表現する最も適した方法は、切換回路に電流スイッチを使うことである。
図14に、電流スイッチ回路(切換回路)の第1の構成例を示す。
電源電圧Vccの供給線と接地電位GNDの供給線との間にトランジスタQ2と一定電流Iaiを流す定電流源とが直列接続されている。トランジスタQ2と定電流源との接続中点と正の出力端子Iopとの間にトランジスタQ1とQ3が直列接続され、さらに、このトランジスタQ1とQ3との接続中点と負の出力端子Ionとの間にトランジスタQ4が接続されている。トランジスタQ3とQ4のベース間に、前記パルス信号S2〜Snの何れかのビット情報として電圧Vspが印加され、トランジスタQ1とQ2のベース間に他のビット情報として電圧Vsoが印加される。
【0028】
このような構成の電流スイッチ回路においては、電流Iaiを流す定電流源にトランジスタQ1とQ2及びQ3、Q4の2組の電流スイッチが縦積みにされて、正の出力端子Iopと負の出力端子Ionへの電流を制御している。
トランジスタQ1とQ2からなる第1の電流スイッチは、電流Iaiを正または負の出力端子に電流を流すか否かを電圧Vsoによって制御する。このときトランジスタQ1がオンする場合は、電流Iaiが正または負の出力端子IopまたはIonに出力され、トランジスタQ2がオンする場合は、何れの出力端子に電流供給が行われないため「0」出力となる。
一方、トランジスタQ3とQ4からなる第2の電流スイッチは、正または負の出力端子のどちらに電流を流すかを電圧Vopによって制御している。このときトランジスタQ3がオンする場合は、電流Iaiが正の出力端子Iopに出力されて「a」出力側への切換がなされ、トランジスタQ4がオンする場合は、電流Iaiが負の出力端子Ionに出力されて「−a」側への切換となる。
この回路は、出力端子に流れる一定電流Iaiに加重される係数「a」または「−a」の経路の選択、および、当該電流を流さないことによる「0」の切換動作を電流スイッチによって行うことにより、シンプルで正確な3値出力の切換回路を実現することが出来る。
【0029】
図15に、電流スイッチ回路の第2の構成例を示す。また、この回路の制御信号の波形図を図16に示す。
この回路において、トランジスタQ3とQ4の共通エミッタを直接、電流Iaiを流す定電流源に接続させ、その接続中点と電源電圧Vccの供給線との間に1つのトランジスタQ1を接続させている。電流Iaiの電流路の切換はトランジスタQ1、Q2、Q3のベース電圧Vsg、Vs+、Vs−によってなされる。これら3つの電圧の一つのみを「H」とすることにより電流路を決める。この回路の特長は、縦積みのトランジスタ数が少ないために低電圧動作に適している。
電圧Vsg、Vs+、Vs−を通常の2値の論理で制御しようとすると前段のパルス発生回路が、図14に示す第1の構成の場合に比べて複雑化するが、電圧Vsg、Vs+、Vs−のレベルをシフトすることにより前段のパルス発生回路を簡単にすることが出来る。すなわち、図16に示すように、電圧Vsgの「H」レベルを電圧Vs+、Vs−よりも高く取れば、Vsgが「H」の時にはVsgが優先され、Vs+、Vs−を「L」にしておく必要がない。
【0030】
図17は、第2の構成の電流スイッチ回路を切換回路に用いた正弦波発生回路の、より詳細な構成例を示す回路図である。この正弦波発生回路は、切換回路数n=4の場合を例示する。
第1の切換回路SW1は、図16においてトランジスタQ1を省略し2値出力型として構成され、第2〜第4の切換回路SW2〜SW4が3値出力型として構成されている。4つの切換回路SW1〜SW4に同一の電流Ioが供給され、3値切換回路SW2〜SW4に電源電圧Vccが供給されている。全ての切換回路において、トランジスタQ3は共通の信号Vs+により制御され、トランジスタQ4は共通のパルス信号Vs−により制御される。また、第2〜第4の切換回路のトランジスタは共通のパルス信号Vsgにより制御される。これらのパルス信号Vs+、Vs−およびVsgは、パルス発生回路2により生成される。
【0031】
全ての切換回路の出力値「ai」および「−ai」は、それらの正および負の出力端子に接続された抵抗ラダー回路5の抵抗値により設定されている。正の各出力端子が抵抗を介して電源電圧Vccの供給線に接続され、且つ、隣接する正の出力端子と抵抗を介して接続されている。この抵抗の接続関係は、負の出力端子に対しても同様になされている。第2の切換回路SW2の正の出力端子から擬似正弦波の正の電圧vout+が出力され、第2の切換回路SW2の負の出力端子から擬似正弦波の負の電圧vout−が出力される。この出力電圧vout+とvout−から構成される擬似正弦波は、たとえば16値を有している。先に、2つの切換回路の4値出力の場合で説明したように、サンプリング理論に基づいて、より正弦波に近い擬似正弦波が出力されるように、抵抗ラダー回路5の各抵抗値が設定されている。
なお、この抵抗ラダー回路5および上記第1〜第4の切換回路SW1〜SW4は、本発明の“係数発生回路”および“電圧出力回路”の実施の形態を構成する。
【0032】
電圧出力回路1の出力段に、2次のローパスフィルタ6が接続されている。このローパスフィルタ6は、擬似正弦波の正側と負側それぞれにオペアンプ7Aと、当該オペアンプの反転入力端子に直列接続されている抵抗R1と、当該オペアンプの出力と反転入力端子間に接続されているフィードバック容量C1と、当該オペアンプの出力と擬似正弦波の入力端子との間に接続されているフィードバンク抵抗R2とを有する。擬似正弦波の正側と負側の入力端子間にカットオフ容量C2が接続され、各オペアンプの非反転入力に電圧Vcc/2が供給されている。
このような構成のローパスフィルタ6の2つのオペアンプ出力間から、各抵抗値や容量値に応じたフィルタ特性により高調波成分が除去された擬似正弦波が出力される。
【0033】
この正弦波発生回路に期待される歪み率を考える。
抵抗ラダーの出力での15次、及び17次高調波は、図7に示したように各々23.6dB、24.7dB減衰している。ばらつきを考え、ローパスフィルタ6のローパス特性のカットオフ周波数を出力周波数の1.5倍に取ったとすると、各高調波は更に40dB、21.2dB減衰し、各々63.6dB、66.9dB減衰した大きさとなる。したがって、理論上は0.1%の歪み率が得られる。フィルタ特性を3次にすれば理論上は0.01%の歪み率が得られることになる。
【0034】
図17に示す電流スイッチを用いた正弦波発生回路は、一定電流Ioの経路を高速なバイポーラトランジスタによりスイッチングすることから、高精度で高速な正弦波発生用途に適している。この正弦波発生回路は、半周期8値の16倍サンプリング対応となっており、2次程度の簡単なローパスフィルタにより、0.1%の高調波歪み率は容易に実現可能である。正弦波発生回路を16値32倍サンプリング構成にするか、あるいは8値16倍サンプリングの場合でも3次以上のローパスフィルタを併用すれば0.01%以下の高調波歪み率も実現可能で、高性能な正弦波発生回路として好適なものである。
【0035】
なお、上記説明における係数は、相対的なものであり絶対値を意味するものではない。また「ai」、「0」、「−ai」といった切換回路からの出力値もグランドに対する絶対値を意味するものではなく、あくまで任意の電位を基準とした相対的なものである。
【0036】
[第2の実施の形態]
本実施の形態は、係数生成回路を切換回路以外の構成で実現できることを示すものである。
3値出力電圧は、2値出力のパルスを2つ加算することで実現できる。図18に、この2値出力加算による3値出力を生成する場合の信号波形図を示す。
まず、図18(A)に示すデューティ比が50%の矩形波Vp(t)を前後に同一時間シフトする。これにより、図18(B)と図18(C)に示す2つの矩形波Vp(t−Δt)とVp(t−Δt)が生成される。この2つの矩形波を加算することにより、図18(D)に示すように、出力voutとして3値出力の矩形波v(t)を生成することが出来る。
【0037】
図19に、この方法を適用した正弦波発生回路の一部の構成を示す。
この正弦波発生回路は、図示を省略したパルス発生回路と出力回路(ローパスフィルタ)との間に、2値生成回路10と3値生成回路11とからなる係数生成回路が接続されている。2値生成回路10は、そのパルス信号S1の入力端子に直列接続されたアンプ10Aと、生成すべき係数に応じた値の抵抗10Bとからなる。
一方、3値生成回路11は、この2値生成回路10を2つ合わせたような構成を有する。すなわち、直列接続されたアンプ11Aと、生成すべき係数に応じた値の抵抗11Bとを、パルス信号S2AとS2Bの入力端子にそれぞれ接続させている。パルス信号S2AとS2Bは、2値生成回路10に供給するパルス信号S1を前後に所定時間シフトさせた信号であり、これらの信号は不図示のパルス発生回路により生成される。
【0038】
この正弦波発生回路は、電流に係数を付加するのではなく電圧に係数を付加し、さらに3値生成回路を2つの2値生成回路から構成していることから、係数を付加する対象としてパルス信号をそのまま用いることができる。このため2値のパルス信号を生成する回路の構成が簡略化され、また、係数生成回路の構成自体も簡素であるという利点が得られる。なお、出力電圧voutを半周期8値、16値、32値とさらに細かな電圧レベル数としたければ、2つの2値生成回路からなる3値生成回路11の並列接続数を増やすことで実現できる。その際、各抵抗値は、出力される擬似正弦波がより正弦波に近くなるように、前述したサンプリング理論に基づいて決定される。
【0039】
[第3の実施の形態]
本実施の形態は、上記第1および第2の実施の形態の正弦波発生回路を、マスタスレーブ方式のモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整に用いる場合を説明する。
以下、背景技術としてモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整について述べ、その後、第2の実施の形態の正弦波発生回路を適用した場合を例として、本実施の形態の構成等を説明する。
【0040】
図20に、3次の低域通過LCフィルタを示す。
この回路をそのままIC上に実現することは出来ないので、例えばGm(伝達コンダクタンス)回路を使って抵抗やインダクタンスを等価的に実現する手段が用いられる。
図21にその実施例を示す。この回路は2つのGmを使ってインダクタンスを容量によって等価実現することからジャイレータ方式とか、伝達コンダクタンスGmと容量Cによって構成されることからGm−Cフィルタとも呼ばれる。
図22にGm(伝達コンダクタンス)回路の具体的な構成例を示す。
ソース共通の差動トランジスタ対Q+,Q−をGm回路として使っている。出力OUT+,OUT−の同相電位を決めるために同相帰還回路CMFBが備えられている。
【0041】
フィルタの最も重要な特性の一つにカットオフ周波数がある。Gm−Cフィルタにおいてカットオフ周波数はGmとCの比で決まる。容量Cの精度は±5〜30%程度である。図22に示したGm回路のGm値も通常±20%程度のばらつきがあるし、温度依存性も大きい。したがって、単に作りつけのフィルタ回路のカットオフ周波数は精度が極めて悪く、そのままでは用途が極めて限定的である。
【0042】
それを克服する手段の一つとして、マスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路がある。その概念を図23に示す。
スレーブフィルタ20は、入力信号に所望のフィルタ処理を施すことなく出力信号を生成する、本来の機能としてのフィルタである。同じ回路形式で形成されたマスタフィルタ21を持っている。マスタフィルタ21の伝達特性は、比較回路22により基準周波数と比較される。比較回路22の出力は、制御回路23を介してマスタフィルタ21が所望の周波数特性となるよう、例えばGm−CフィルタのGmを制御する。スレーブフィルタ20はマスタフィルタと同じGm回路を持ち、同じGmとなるように制御されるので、例えば容量Cがばらついたとしてもスレーブ回路も設計値と期待される所望の周波数特性となる。
【0043】
マスタフィルタ21のどの特性を基準周波数と比較するかは主に二種類の方法が用いられる。
第1の方法は、マスタフィルタ21を使い発振器を構成して、発振周波数が比較周波数と同じになる、あるいはある比の関係になるように周波数比較を行う方法である。この場合マスタフィルタ21、比較回路22および制御回路23はPLL(位相ロックループ)を構成する。
第2の方法は、マスタフィルタ21に基準周波数を入力し、マスタフィルタ21の出力位相を基準周波数と比較するように位相比較を行う方法である。特定の周波数で一定値の位相となるように、例えばGm−CフィルタのGmを制御すれば、周波数特性は所望の特性となる。周波数比較と位相比較でどちらが汎用的に使われるかといえば、位相比較がより一般的に使われる。回路構成がシンプルで、設計が容易なためである。
【0044】
図24に、位相比較によるマスタスレーブ方式を示す。
基準周波数frefはマスタフィルタとなるバンドパスフィルタ(BPF)30と位相検波器(PD)31の一方の入力に加えられる。バンドパスフィルタ30の出力は、位相検波器31の他方の入力に加えられる。
バンドパスフィルタ30の振幅と位相応答は、図25に示すようになる。中心周波数foにおいて入出力の位相差はゼロとなる。従ってバンドパスフィルタ30の入出力を位相比較器31で比較し、その位相差を積分して、例えばバンドパスフィルタ30のGmを決める制御電圧または制御電流を可変すれば、定常位相差はゼロとなるように帰還がかかり、バンドパスフィルタは基準周波数frefと等しい中心周波数foとなるように動作する。この制御電圧または制御電流を、出力回路32を介してスレーブフィルタにも供給すればスレーブフィルタは、容量Cや伝達コンダクタンスGmがばらついたとしても、相対的な比が保たれる限り所望のカットオフ周波数を実現することが出来る。
【0045】
基準周波数は、システムが有する基準のクロック周波数から作られ、その高調波成分を有すると、高調波に対して位相は大きく廻るので、バンドパスフィルタの出力信号のゼロクロスの位相を見ても正しく基本波の位相を見ることにはならない。高調波による誤差を避けるためには、バンドパスフィルタのQを上げ高調波成分の影響の軽減を図リ、或いは、基準のクロック周波数を簡単なバンドパスフィルタやローパスフィルタを予め通すことにより、高調波成分を減衰させておくということが必要である。
本実施形態の正弦波発生回路を、この基準周波数frefの生成に用いると、簡単な回路で高調波を容易に減衰させることができるため、上記位相比較器での位相のずれによるカットオフ周波数がずれることが有効に防止できる。
【0046】
図26は、この原理を用いた正弦波発生回路の実施例を示しており、ゲート(G1)10Aで2値を発生し、ゲート(G2とG3)11Aで等価的に3値を発生し、抵抗により各々の値に加重をして4値出力を合成している。合成された信号のスペクトルは図7そのものであり、出力に容量を付けるだけで5%程度の高調波歪み率の正弦波が得られ、2次のローパスフィルタを付ければ1%以下の高調波歪みを達成することが出来る。
この4値出力は、マスタフィルタとなるバンドパスフィルタ30へ入力される。バンドパスフィルタ30は、オペアンプ31A〜31C、抵抗R1〜R5、および容量C1,C2から構成されている。
この実施例において生成した疑似正弦波は、仮想接地であるところのオペアンプ31Aの反転入力端子「−」に印加されるために、電圧ではなく周波数fの疑似正弦波電流Iiとして入力される。Iiはバンドパスフィルタ30を通り出力Voとなる。出力Voはラッチドコンパレータ33に入力され、パルス発生回路2でも用いられた基準クロックとなる信号Vrefと比較される。基準信号VrefはIiと同じ周波数で、同位相である。また、バンドパスフィルタ30は、中心周波数が信号周波数と等しければ、入出力の位相は同相で、中心周波数が信号周波数より低いと遅れ、高いと進み位相となる。ラッチドコンパレータ33は、基準信号Vrefのパルスの立ち上がりで出力Voが正であれば「H」を出力し、負であれば「L」を出力する。バンドパスフィルタ30の中心周波数は、それを構成する容量C1,C2または抵抗R1〜R3、あるいは双方の値を変えることにより変化させることが出来る。この実施例においては、逐次比較制御回路34により、電圧Voと基準信号Vrefの位相を判定し、逐次比較的に容量または抵抗、あるいは双方の値を変えることにより、所望の中心周波数となるように制御を行う。逐次比較出力は、スレーブフィルタへも供給され、マスタフィルタのCR値と所定の比を保つことにより、スレーブフィルタのフィルタ特性も所望のものとなる。
【0047】
図27に、位相比較の別の手段を示す。
図26の例では、パラメータCRの制御をディジタル的に逐次比較によって行っている。これに対し、図27の例では、ラッチドコンパレータではなく位相比較器35を使ってアナログ的な出力を得る。位相比較出力は電流源36Aと電流吸い込みの電流源36Bからなるチャージポンプ回路を制御し、その出力を容量C0により積分する。その出力Vcはアナログ的に容量Cまたは抵抗R、あるいはその双方を制御する。
【0048】
以上のカットオフ周波数の自動調整回路は、その正弦波発生回路1が非常にシンプルな回路構成、即ち3つのゲート10A,11A,11Aの出力を抵抗10B,11B,11Bで加重する程度の回路により1〜数%の高調波歪み率の正弦波が得られるため、位相ズレのないマスタスレーブ方式のモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整回路が実現できている。
【0049】
[第3の実施の形態]
本実施の形態は、本発明の正弦波発生回路を角度検出装置に適用した場合を示す。
図28に示す角度検出装置は、これは機械軸の回転角を電気的に検出する装置である。正弦波発生回路1からの擬似正弦波が回転子40に供給されている。回転子40の巻き線は、正弦波発生回路1によるCosωtなる信号により駆動されている。固定子は直交した2つの巻き線41Aと41Bを備えており、各々CosωtCosθとCosωtSinθを出力する。固定子からの2つの信号CosωtCosθとCosωtSinθを元に、角度検出回路42からは、最終的に固定子の角度θが出力される。
【0050】
このような角度検出装置は検出部分はモータと同じ構造で、光や半導体磁気センサ等は備えていないためにオイルやゴミ等の汚れや、熱、振動等の厳しい環境下でも信頼性が極めて高い特長を有する。機械角θを精度よく検出するには、回転子巻き線を駆動するCosωtが低歪みで低雑音でなければならない。本実施の形態では、正弦波発生回路1が(特に位相の)純度が高い擬似正弦波を簡単な回路で発生するため、角度検出の精度が向上している。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る正弦波発生回路によれば、複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、この複数のパルス信号により生成した複数の係数に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路と、を有し、当該電圧出力回路内に複数の係数をそれぞれ生成する係数生成回路を複数有し、パルス回路から出力するパルス信号数は、係数生成回路が発生する係数の数に応じて、その電圧レベルの組み合わせが決まるため、以下の効果を奏する。
第1に、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含むことから、電圧の中心線を境に正側と負側の波高値が対称な正弦波に適合した係数が容易に生成され、出力される擬似正弦波の精度が高い。
第2に、3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含み、その出力を組み合わせて係数列を生成することから、位相ずれのない擬似正弦波が発生される。
第3に、パルス回路から出力するパルス信号は、複数の係数生成回路に共通に用いることができるので、当該パルス信号数は少なくても済む。
第4に、回路規模が大きくなく、複雑でもない、また、高精細化による回路規模の増大が余りなく、複雑化もしない。より詳細に説明すると、複数の係数生成回路から生成された係数を組み合わせることにより係数列が生じ、これが擬似正弦波の細かさを決めるため、この擬似正弦波を高精細にしようとした場合、係数生成回路の数を増やすことになる。それに伴って、係数の組み合わせの仕方にもよるが、例えば、係数生成回路数を2倍にすると1周期内の電圧変化点の数が約2倍に増える。係数生成回路の構成は同じような回路の繰り返しであり、増えても複雑でない。むしろ、パルス発生回路の規模が大きくならないので、全体の回路規模は極端に増大しないし、複雑化もしない。このように、本発明に係る正弦波発生回路によれば、回路構成が簡単にでき、しかも、正弦波の1周期内の電圧変化数を増やして高精細な擬似正弦波を生成しても回路規模が余り増大せず、複雑化もしない正弦波発生回路を提供することが可能となる。
【0052】
本発明の請求項2に係る正弦波発生回路によれば、パルス発生回路が発生させるパルス信号が最大でも2または3つで足り、制御信号が極めて少なくて済む。また、係数生成回路も2値または3値出力であるため簡単な構成ですむが、その係数生成回路数を増やすだけで高精細な擬似正弦波を容易に発生させることができる。2値または3値出力の係数生成回路自体が簡素な構成にできることに加え、これの繰り返しであるため全体の回路規模が大きくなく、複雑でもない。また、何より、パルス発生回路の回路が簡素で、擬似正弦波を高精細にしても、その規模が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る正弦波発生回路の一構成例を示す図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1に示す正弦波発生回路の最も簡単な例としてn=2の場合での波形図である。
【図3】(A)〜(D)は、図1に示す正弦波発生回路において、3値の切換回路を1つ増やしてn=3とした場合の波形図である。
【図4】(A)〜(C)は、パルス発生回路が生成可能な、3種類の2値パルス信号の波形図である。
【図5】正弦波の8倍の周波数のパルスによるサンプリング図である。
【図6】(A)と(B)は、図5に示すサンプリング後の周波数スペクトラムと、その一時ホールド後の周波数スペクトラムを示す図である。
【図7】正弦波の16倍の周波数のパルスによるサンプリング後の周波数スペクトラムを示す図である。
【図8】本実施の形態で取りうる半周期3点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図9】本実施の形態で取りうる半周期4点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図10】本実施の形態で取りうる半周期5点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図11】(A)〜(C)は、サンプリング3Bによる波形図である。
【図12】(A)〜(C)は、サンプリング4Bによる波形図である。
【図13】(A)〜(C)は、サンプリング5による波形図である。
【図14】電流スイッチ回路(切換回路)の第1の構成例を示す回路図である。
【図15】電流スイッチ回路の第2の構成例を示す回路図である。
【図16】図15に示す回路の制御信号の波形図である。
【図17】第2の構成の電流スイッチ回路を切換回路に用いた正弦波発生回路の、より詳細な構成例を示す回路図である。
【図18】2値出力加算により3値出力を生成する場合の信号波形図である。
【図19】2値出力加算により3値出力を生成する正弦波発生回路の一部の構成図である。
【図20】3次の低域通過LCフィルタの回路例を示す図である。
【図21】Gm−Cフィルタの回路図である。
【図22】Gm(伝達コンダクタンス)回路の構成例を示す回路図である。
【図23】マスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の一般的なブロック図である。
【図24】位相比較によるマスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の一般的なブロック図である。
【図25】バンドパスフィルタの振幅と位相応答の特性図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る、位相比較によるマスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の構成図である。
【図27】位相比較の別の手段を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態に係る角度検出装置の構成図である。
【符号の説明】
1…正弦波発生回路、2…パルス発生回路、3…電圧出力回路、4…加算器、5…抵抗ラダー回路、6…ローパスフィルタ、SW…切換回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されるクロック信号に同期して出力の電圧レベルをステップ状に変化させ、擬似正弦波を生成する正弦波発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
正弦波信号の発生は、種々のアナログ信号処理において非常に重要な機能である。用途や要求される精度によって多種多様な実現手段が存在する。正弦波信号の発生回路に要求性能は、基準となるディジタルのクロック信号に同期した、高精度な正弦波波形を生成することである。高精度な波形とは、クロックに対し正確な位相、低い高調波成分、正確な信号振幅を有することである。
【0003】
正弦波発生回路の構成としては、従来、タイミングを制御する2値パルス信号を生成し、これにより出力アンプの入力抵抗を変えて擬似正弦波を発生させる、いわゆるD/A変換タイプの正弦波回路が知られている(たとえば、特許文献1,2参照)。
特許文献1では、抵抗ストリングの各ノードにスイッチを接続させ、そのスイッチのオン/オフのタイミングを制御している。このタイミングを制御する2値信号を生成する回路が、入力したクロック信号をカウントして1/2ずつ順次分周して出力するカウンタと、分周信号同士の論理演算によって、1クロックパルスずつ順次シフトした孤立パルス信号を生成する回路とを有している。
特許文献2では、定電流源と接地電位との間に並列接続された複数の抵抗と、各抵抗に直列接続されたスイッチとを有し、このスイッチのオン/オフのタイミングを制御している。このタイミングを制御する2値信号を生成する回路も、基本的には、上記特許文献1の場合と同様であり、分周回路とN進リングカウンタとを有する構成となっている。
【特許文献1】
特開平5−183341号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平10−209757号公報(第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構成の従来の正弦波発生回路では、正弦波を細かくサンプリングしたような高精細な擬似正弦波を生成しようとした場合、正弦波のサンプリング数に応じて分周回路の分周数やカウンタの規模が増大し、或いは、孤立パルス信号を生成する論理演算回路が複雑化するという課題を抱えている。この課題は、従来の正弦波発生回路が、擬似正弦波の電圧値を決める係数(抵抗値)を生成するための制御信号を、全て2値のパルス信号としてディジタル信号処理により生成することに起因する。
【0005】
本発明の目的は、回路構成が簡単にでき、しかも、正弦波の1周期内の電圧変化数を増やして高精細な擬似正弦波を生成しても回路規模が余り増大せず、複雑化もしない構成の正弦波発生回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る正弦波発生回路は、入力されるクロック信号を基準として複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、このパルス発生回路から出力される複数のパルス信号に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路と、を有している。電圧出力回路は、上記複数のパルス信号内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、当該電圧出力回路の出力を変化させる。また、この電圧出力回路には、複数の係数をそれぞれ生成する複数の係数生成回路が設けられている。本発明では、この複数の係数生成回路が、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含んでいる。
望ましくは、係数生成回路の個数がn(nは2以上の自然数)のとき、当該n個の前記係数生成回路に少なくとも(n−1)個の3値生成回路を含んでいる。
【0007】
このように構成される正弦波発生回路においては、パルス発生回路にクロック信号が入力されると、これを基準として複数のパルス信号が生成される。このパルス信号は、電圧出力回路内に設けられ、それぞれ複数の係数を生成する複数の係数生成回路に用いられるものであり、そのパルス信号の電圧レベルの組み合わせが、係数生成回路が生成する係数の数に応じた数となる。このため、例えば2値生成の場合、最大で2つのパルス信号が必要で、例えば3値生成の場合、最大で3つのパルス信号が必要である。2値生成回路や3値生成回路、さらに他の3値生成回路が複数ある場合、パルス発生回路から出力される複数のパルス信号は、異なる係数生成回路に共通に用いられる。
この複数のパルス信号のビット情報の組み合わせに応じて生成された複数の係数は、さらに組み合わされることによって漸増または漸減する係数列になる。これにより電圧値がステップ状に変化する擬似正弦波が、当該電圧出力回路から出力される。係数生成回路数をnとすると、生成された擬似正弦波の半周期の電圧変化数は例えば(n±1)となる。用いるパルス信号が少なくても、係数生成回路数nを増やせば、係数列の細かさ、ひいては擬似正弦波の1周期内の電圧変化点数が増大する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る正弦波発生回路の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
[第1の実施の形態]
図1に、第1の実施の形態に係る正弦波発生回路の一構成例を示す。
この正弦波発生回路1は、複数のパルス信号S1,S2,S3,…Snを発生させるパルス発生回路2と、この複数のパルス信号内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて、出力voutの電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路3と、を有する。
【0010】
本発明における電圧出力回路は、n回路の係数生成回路を有し、そのn個の係数生成回路の中に3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を(n−1)個有する。ここで、奇数値は、5値、7値、…であっても良いが、これらは3値生成回路(あるいは、3値生成回路と2値生成回路の組み合わせ)によって構成できる。
以下の実施の形態の説明では、奇数生成回路が、その基本である3値生成回路であるとして説明する。また、各係数生成回路が、複数の係数を切り替える切換回路であることを前提としている。なお、係数生成回路の他の構成としては、パルス信号を通すことによって係数を加重する構成でも良い。この構成は、後述の他の実施の形態で述べる。
【0011】
ここでnが2以上の時、1つの切換回路が2値もしくは3値を出力し、残りの(n−1)の切換回路が3値を出力する。
図1に示す構成例における電圧出力回路3は、1つの2値の第1の切換回路SW1と、(n−1)個の3値の第2の切換回路SW2,SW3,…,SWnと、これらの出力v1〜vnを加算する加算器4とを有する。2値を選択する第1の切換回路SW1が本発明の“2値生成回路”の一実施の形態を構成し、3値を選択する第2〜第nの切換回路SW2,SW3,…,SWnが本発明の“3値生成回路”の一実施の形態を構成する。
第1の切換回路SW1はa1、−a1の2値を切り替えて出力v1を生成する。他の(n−1)個の切換回路SWi(i=2,3,…,n)は、ai、0、−aiの3値を切り替えて出力viを生成する。各切換回路SW1〜SWnは、パルス信号S1〜Snを生成するパルス発生回路2により制御される。パルス発生回路2は、求める擬似正弦波の周波数fsinの2m倍の周波数を有するクロック信号CLKを基準に、パルス信号S1〜Snを発生させ、各切換回路に供給する。
【0012】
図2(A)〜図2(C)に、最も簡単な例としてn=2の場合の正弦波発生回路の波形を示す。図2(B)は2値を切り換える第1の切換回路SW1の出力v1の波形図、図2(C)は3値を切り換える第2の切換回路SW2の出力v2の波形図である。
第1の切換回路SW1は、図2(B)に示すように、「a1」と「−a1」の2値の矩形波を出力する。第2の切換回路SW2は、図2(C)に示すように、1周期中に1/4周期の間隔をおいた2度の1/4周期の期間に「0」を出力し、その間の1/4周期の一方で「a2」を出力し、他の1/4周期に「−a2」を出力する。その結果、加算器4の出力voutは、図2(A)のような4値を有する階段波となる。
【0013】
つぎに、より正弦波に近い信号を生成するには、係数a1、a2の値を幾つにすればよいかを検討する。より正弦波に近い信号とは、当然のことであるが、サンプリング理論によって正弦波をサンプリングしたものである。図2(A)では、加算器4から出力された階段波が1次ホールドによる正弦波Sinωtのサンプリング結果となっている場合を示している。ここでは、このために係数a1、a2の値がどのような相対的な大きさを有すればよいか求める。
図2(A)に示す例では、1周期に対して8点のサンプリングが成されたと考えることが出来る。最大値の時間tyに対してサンプリング点が対称となるため、即ちtyの時間軸からの距離が同じサンプリング点の対が同じ値を持つために、サンプリング点は正弦波の基準時間txに対して1/16周期ずれている。最大値の時間tyに対してサンプリング点が対称となることは正弦波形状にとっては当然であるが、これにより矩形波の加算による擬似正弦波が容易に生成できる。ここでは時間t0とt3、時間t1とt2、時間t4とt7、時間t5とt6は、それぞれ同じ値(電圧レベル)を有する。
以上より、より正弦波に近いサンプリング点生成のためには、a1はSin(π/8)≒0.383であり、a1+a2はSin(3π/8)≒0.924であり、a1≒0.383、a2≒0.541ということになる。
【0014】
図3(A)〜図3(D)に、3値の切換回路を1つ増やしてn=3とした場合の正弦波発生回路の波形を示す。図3(B)は2値を切り換える第1の切換回路SW1の出力v1の波形図、図3(C)と図3(D)は3値を切り換える第2の切換回路SW2,SW3の出力v2とv3の各波形図である。
第1の切換回路SW1は、図3(B)に示すように、「a1」と「−a1」の2値の矩形波を出力する。第2の切換回路SW2は、図3(C)に示すように、1周期中に1/3周期の間隔をおいた2度の1/6周期の期間に「0」を出力し、その間の1/3周期の一方で「a2」を出力し、他の1/3周期に「−a2」を出力する。切換回路SW3は、図3(D)に示すように、1周期中に1/6周期の間隔をおいた2度の1/3周期の期間に「0」を出力し、その間の1/6周期の一方で「a2」を出力し、他の1/6周期に「−a2」を出力する。その結果、加算器4の出力voutは、図3(A)のような4値を有する階段波となる。
【0015】
n=4以上の場合も、同様にして3値切換回路の制御タイミングが類推できる。
これを一般化すると、「切換回路の個数がnの場合、3値切換回路SWk(k=2〜n)は、各周期で、1/{n(k−1)}周期の間隔をおいた2度の1/{2n(k−1)}周期の期間に「0」を出力し、それらの間の2つの1/{n(k−1)}周期の一方で「ak」を出力し、他方で「−ak」を出力する」となる。
なお、全ての矩形波は同じ周期を有し、同位相である。
【0016】
このような矩形波の生成を制御するパルス信号S1〜Snは、矩形波と同じ2値または3値のパルスでも良いが、一般には、そのような多値パルスの生成は煩わしい。そこで、より望ましくは、3値の切換回路SW2〜SWnを2入力制御の構成として、2つの2値パルスにより制御する。即ち、第1のパルス信号SiA(i=2〜n)により「ai」と「−ai」を切り換えるようにして、第2のパルス信号SiBがアクティブとなったときはスイッチを強制的に「0」に入れ、非アクティブのときは「ドントケア」として第1のパルス信号によるスイッチングを規制しないように、3値切換回路を構成させる。
【0017】
このようにすると、例えば図3(B)〜図3(D)のようなスイッチング動作を、図4(A)〜4(C)に示す3種類の2値パルス信号で制御できる。
図4(A)に示す1/2周期で切り替わるパルス信号を、2値の切換回路SW1を駆動する信号S1、および、3値切換回路SWiを駆動する第1のパルス信号SiAとして、全ての切換回路に供給する。同時に、図3(C),図3(D)に示すタイミングでスイッチングする3値の切換回路SW2,SW3に対し、それぞれ図4(B),図4(C)に示すように、当該切換回路が「0」にスイッチングするときのみ「H」となり、その他の期間では「ドントケア」となる第2のパルス信号SiBを供給する。
これにより、パルス発生回路2を、簡単な分周とシフトの機能を有するロジック回路から構成できる。
【0018】
つぎに、出力信号voutの性質について考える。
仮に出力信号voutが図5に示すような波形のように、正弦波を8倍の周波数のパルスによりサンプリングしたものであれば、そのスペクトラムは図6(A)に示すようなものとなる。基本周波数f、サンプリング周波数fs(=8f)の基本波及びその高調波からf離れたところにスペクトルが立つ。図6(A)では7fと9fにスペクトルが立っている。矩形波には偶数次高調波(2次,4次,…)が無いが、奇数次(3次,5次,…)に強い高調波を持つのに対し、この信号は3次、5次が完全になく、7次と9次に高調波を持っている。高調波の強度は完全なサンプリングであれば、図6(A)に示すように基本波の強度と同じとなる。
ところが、実際の出力信号voutは完全なサンプリングによる波形ではなく、それを一次ホールドした階段波である。その時の高調波成分は、よく知られているアパーチャ効果による減衰(Sinx/x)が加わり、図6(B)に示すようなスペクトルとなる。7次は約17dB減衰し、9次は約19dB減衰する。7次や9次は基本波からかなり離れているので簡単なローパスフィルタでかなり減衰させることができる。従って容易に1%程度の高調波歪み率の正弦波を生成することができる。
【0019】
つぎに、切換回路数n=4の場合を考えてみる。
この場合に出力信号voutは8値のレベルを有する階段波となり、16倍の周波数によりサンプリングされた信号と等価になる。したがって切換回路数n=2の例からの類推により、そのスペクトラムは容易に求まる。
図7に、そのスペクトルを示す。高調波は15次と17次に表れ、その大きさは基本波に対し各々−23.6dB、−24.7dBの大きさとなる。高調波の大きさは約半分となり、かつ周波数が約2倍となる。したがって簡単なローパスフィルタでも、より一層減衰することから、0.1%程度の高調波歪みは極めて容易に達成することできる。
同様に切換回路数n=8の場合に得られる16値のレベルを有する出力信号voutは、32倍の周波数でサンプリングされた信号と等価になり、高調波は31次と33次に表れる。したがって、その高調波の抑制がより容易になり、高調波歪み率が0.01%あるいはそれ以下の擬似正弦波が生成できる。
【0020】
本実施の形態において、サンプリング点の取り方は図2(A)および図3(A)に限定されない。以下、サンプリングの他の態様について、最も簡単な4値出力の場合を例に説明する。
まず、前記したように第1の切換回路SW1は2値切換型に限らず、3値切換型とすることができる。その違いに関し、図2(A)が示す正弦波のサンプリングにおいて、ゼロをサンプリングするかどうかで、第1の切換回路SW1を2値切換型とするか3値切換型とするかが決められる。正弦波のサンプリングである以上、サンプリングされた値が正負対称でなければならない。また、最大値となるサンプリング点を除き、同じサンプリング値が1周期の中で2度用いられなければならない。このことは図2(A)において、サンプリング点が次の条件を満たす必要があることを意味する。第1に、x軸(y=0)を対称軸として、出力値(等価サンプリング値)は対称でなければならない。第2に、最大値の時間(図2(A)に示すty)を対称軸としてサンプリング時間が対称でなければならない。
【0021】
以上の性質から、少なくとも(n−1)個の切換回路による正弦波のサンプリング条件を考える。
図8〜図10に、本実施の形態で取りうるサンプリング点の態様を模式的に示す。図8,図9および図10は、半周期で取りうるサンプリング点が異なり、それぞれ3(=2n−1)点、4(=2n)点および5(=2n+1)点の場合である。また、図8〜図10に示すサンプリング点の取り方を適用した場合に、2つの切換回路から出力される矩形波を、サンプリング点を元に描くと、図11〜図13のようになる。
【0022】
まずサンプリングは、半周期について最少3点でなければならない。2点のサンプリングは矩形波そのものであり意味がない。図8に示すように、3点のサンプリングでは2つのサンプリングの選択肢がある。サンプリング3A(白丸)はa、0、−aを出力すればよいので、3値出力の切換回路1つのみで実現可能である。一方、サンプリング3B(黒丸)を選ぶと、0を含まない4値を必要とするので、図11(B)および図11(C)に示すように、2値出力の切換回路と3値出力の切換回路の2つを必要とする。なお、図11(A)に示す半周期区間は半開区間なので、最大値と最大値の一方は隣の半周期区間に属するため、このサンプリング3Bの場合も半周期のサンプリング点は3点である。
サンプリング周波数はどちらの方法でも6倍の周波数である。サンプリング3Aと3Bを、用いる切換回路数の少なさで比較するとサンプリング3Aが優れており、サンプリング3Bを選ぶ理由は積極的には無い。ところが、n=2の場合に3出力の切換回路1つだけしか使用しないというのは現実的でなく、もう1つの切換回路を3出力とする選択肢がある。これが、図10および図13に示すサンプリング数5点の場合(サンプリング5)である。
以上のサンプリング数が3点と5点の場合は、その数が2のべき乗とならない。
【0023】
つぎに、サンプリング数が2のべき乗である半周期4点サンプリングを考える。
4点サンプリングにも図9に示すように2つの選択肢がある。サンプリング4A(白丸)は、ゼロクロス及び最大値または最小値を等価サンプリング点として選んでおらず、サンプリング4B(黒丸)は選んでいる。その結果、サンプリング4Aでは、0を含まない4値を出力する。これは、前述した図2の場合そのものであり、図2(B)および図2(3)に示すように、2値出力の切換回路と、3値出力の切換回路の2つの切換回路により実現することが出来る。他方、サンプリング4Bは0を含む5値出力を必要とする。この場合も、そのうち最大値または最小値の何れか一方が隣の半周期に属するため半周期4点サンプリングとなる。そのためには、図12(B)および図12(C)に示すように、2つの3値出力の切換回路が必要である。このサンプリング4Bは、同じように2つの3値出力の切換回路を用いるサンプリング5に比べサンプリング効率が悪く、これを選ぶ理由は積極的には無い。
【0024】
以上より拡張して類推し、生成正弦波の1周期において2m点の等価サンプリング動作をする場合の一般解を考える。
mが2のべき乗の場合、サンプリングは0と最大値または最小値を含まないサンプリングポイントを選ぶ第1の選択肢(サンプリング4Aを含むグループ)と、0と最大値または最小値とを含む第2の選択肢(サンプリング4Bを含むグループ)があり、第1の選択肢は、第1の切換回路のみ2値出力ですみ、第2の選択肢はすべての切換手段に3値出力が必要とされる。サンプリング周波数(=2mf)は、切換回路数をnとすると4nf、即ちm=2nである。一般的には第1の選択肢が実現手段として優れている。
【0025】
mが2のべき乗でない場合、即ち公約数に奇数を含む場合、サンプリングは0を含み、最大値および最小値を含まないサンプリングポイントを選ぶ第1の選択肢(サンプリング5を含むグループ)と、0を含まず最大値または最小値を含むサンプリングポイントを選ぶ第2の選択肢(サンプリング3Bを含むグループ)がある。第1の選択肢は、全て3値出力の切換回路が必要である。第2の選択肢では、第1の切換回路のみ2値出力で、他の切換回路が全て3値出力となる。従って半周期のサンプル数mと切換回路数nとの関係は、第1の選択肢の場合m=2n+1、第2の選択肢の場合m=2n−1となる。やはり一般的には第1の選択肢が実現手段として優れている。
【0026】
図1に示す正弦波発生回路1によれば、3値以上の奇数値(例えば3値)の切換回路をn個、或いは、奇数値の切換回路(n−1)個と2値の切換回路1個とを電圧発生回路3内に有することから、半周期で最大(2n+1)個、最低でも2n個の係数を生成し、これに応じて電圧レベルが変化する擬似正弦波を生成できるため、細度が高い擬似正弦波を効率よく生成できる。また、奇数値の切換回路を用いるため、正の電圧レベルを決める係数と負の電圧レベルを係数が対照に生成でき、位相ずれも起こしにくい。その制御のためのパルス信号はクロック信号に対し簡単な分周とシフトを施して生成した2値パルスで済み、しかも、係数生成の効率が高いこととの関係で、同じ細度の擬似正弦波を生成するためのパルス信号数も少なくて済むことから、パルス発生回路2の負担が小さい。
このように、正弦波発生回路に奇数値の切換回路を用いることは種々の利点をもたらす。
【0027】
つぎに、図1に示す正弦波発生回路が極めてシンプルな回路によって実現可能なことを示す。正確なa、0、−aの3値を表現する最も適した方法は、切換回路に電流スイッチを使うことである。
図14に、電流スイッチ回路(切換回路)の第1の構成例を示す。
電源電圧Vccの供給線と接地電位GNDの供給線との間にトランジスタQ2と一定電流Iaiを流す定電流源とが直列接続されている。トランジスタQ2と定電流源との接続中点と正の出力端子Iopとの間にトランジスタQ1とQ3が直列接続され、さらに、このトランジスタQ1とQ3との接続中点と負の出力端子Ionとの間にトランジスタQ4が接続されている。トランジスタQ3とQ4のベース間に、前記パルス信号S2〜Snの何れかのビット情報として電圧Vspが印加され、トランジスタQ1とQ2のベース間に他のビット情報として電圧Vsoが印加される。
【0028】
このような構成の電流スイッチ回路においては、電流Iaiを流す定電流源にトランジスタQ1とQ2及びQ3、Q4の2組の電流スイッチが縦積みにされて、正の出力端子Iopと負の出力端子Ionへの電流を制御している。
トランジスタQ1とQ2からなる第1の電流スイッチは、電流Iaiを正または負の出力端子に電流を流すか否かを電圧Vsoによって制御する。このときトランジスタQ1がオンする場合は、電流Iaiが正または負の出力端子IopまたはIonに出力され、トランジスタQ2がオンする場合は、何れの出力端子に電流供給が行われないため「0」出力となる。
一方、トランジスタQ3とQ4からなる第2の電流スイッチは、正または負の出力端子のどちらに電流を流すかを電圧Vopによって制御している。このときトランジスタQ3がオンする場合は、電流Iaiが正の出力端子Iopに出力されて「a」出力側への切換がなされ、トランジスタQ4がオンする場合は、電流Iaiが負の出力端子Ionに出力されて「−a」側への切換となる。
この回路は、出力端子に流れる一定電流Iaiに加重される係数「a」または「−a」の経路の選択、および、当該電流を流さないことによる「0」の切換動作を電流スイッチによって行うことにより、シンプルで正確な3値出力の切換回路を実現することが出来る。
【0029】
図15に、電流スイッチ回路の第2の構成例を示す。また、この回路の制御信号の波形図を図16に示す。
この回路において、トランジスタQ3とQ4の共通エミッタを直接、電流Iaiを流す定電流源に接続させ、その接続中点と電源電圧Vccの供給線との間に1つのトランジスタQ1を接続させている。電流Iaiの電流路の切換はトランジスタQ1、Q2、Q3のベース電圧Vsg、Vs+、Vs−によってなされる。これら3つの電圧の一つのみを「H」とすることにより電流路を決める。この回路の特長は、縦積みのトランジスタ数が少ないために低電圧動作に適している。
電圧Vsg、Vs+、Vs−を通常の2値の論理で制御しようとすると前段のパルス発生回路が、図14に示す第1の構成の場合に比べて複雑化するが、電圧Vsg、Vs+、Vs−のレベルをシフトすることにより前段のパルス発生回路を簡単にすることが出来る。すなわち、図16に示すように、電圧Vsgの「H」レベルを電圧Vs+、Vs−よりも高く取れば、Vsgが「H」の時にはVsgが優先され、Vs+、Vs−を「L」にしておく必要がない。
【0030】
図17は、第2の構成の電流スイッチ回路を切換回路に用いた正弦波発生回路の、より詳細な構成例を示す回路図である。この正弦波発生回路は、切換回路数n=4の場合を例示する。
第1の切換回路SW1は、図16においてトランジスタQ1を省略し2値出力型として構成され、第2〜第4の切換回路SW2〜SW4が3値出力型として構成されている。4つの切換回路SW1〜SW4に同一の電流Ioが供給され、3値切換回路SW2〜SW4に電源電圧Vccが供給されている。全ての切換回路において、トランジスタQ3は共通の信号Vs+により制御され、トランジスタQ4は共通のパルス信号Vs−により制御される。また、第2〜第4の切換回路のトランジスタは共通のパルス信号Vsgにより制御される。これらのパルス信号Vs+、Vs−およびVsgは、パルス発生回路2により生成される。
【0031】
全ての切換回路の出力値「ai」および「−ai」は、それらの正および負の出力端子に接続された抵抗ラダー回路5の抵抗値により設定されている。正の各出力端子が抵抗を介して電源電圧Vccの供給線に接続され、且つ、隣接する正の出力端子と抵抗を介して接続されている。この抵抗の接続関係は、負の出力端子に対しても同様になされている。第2の切換回路SW2の正の出力端子から擬似正弦波の正の電圧vout+が出力され、第2の切換回路SW2の負の出力端子から擬似正弦波の負の電圧vout−が出力される。この出力電圧vout+とvout−から構成される擬似正弦波は、たとえば16値を有している。先に、2つの切換回路の4値出力の場合で説明したように、サンプリング理論に基づいて、より正弦波に近い擬似正弦波が出力されるように、抵抗ラダー回路5の各抵抗値が設定されている。
なお、この抵抗ラダー回路5および上記第1〜第4の切換回路SW1〜SW4は、本発明の“係数発生回路”および“電圧出力回路”の実施の形態を構成する。
【0032】
電圧出力回路1の出力段に、2次のローパスフィルタ6が接続されている。このローパスフィルタ6は、擬似正弦波の正側と負側それぞれにオペアンプ7Aと、当該オペアンプの反転入力端子に直列接続されている抵抗R1と、当該オペアンプの出力と反転入力端子間に接続されているフィードバック容量C1と、当該オペアンプの出力と擬似正弦波の入力端子との間に接続されているフィードバンク抵抗R2とを有する。擬似正弦波の正側と負側の入力端子間にカットオフ容量C2が接続され、各オペアンプの非反転入力に電圧Vcc/2が供給されている。
このような構成のローパスフィルタ6の2つのオペアンプ出力間から、各抵抗値や容量値に応じたフィルタ特性により高調波成分が除去された擬似正弦波が出力される。
【0033】
この正弦波発生回路に期待される歪み率を考える。
抵抗ラダーの出力での15次、及び17次高調波は、図7に示したように各々23.6dB、24.7dB減衰している。ばらつきを考え、ローパスフィルタ6のローパス特性のカットオフ周波数を出力周波数の1.5倍に取ったとすると、各高調波は更に40dB、21.2dB減衰し、各々63.6dB、66.9dB減衰した大きさとなる。したがって、理論上は0.1%の歪み率が得られる。フィルタ特性を3次にすれば理論上は0.01%の歪み率が得られることになる。
【0034】
図17に示す電流スイッチを用いた正弦波発生回路は、一定電流Ioの経路を高速なバイポーラトランジスタによりスイッチングすることから、高精度で高速な正弦波発生用途に適している。この正弦波発生回路は、半周期8値の16倍サンプリング対応となっており、2次程度の簡単なローパスフィルタにより、0.1%の高調波歪み率は容易に実現可能である。正弦波発生回路を16値32倍サンプリング構成にするか、あるいは8値16倍サンプリングの場合でも3次以上のローパスフィルタを併用すれば0.01%以下の高調波歪み率も実現可能で、高性能な正弦波発生回路として好適なものである。
【0035】
なお、上記説明における係数は、相対的なものであり絶対値を意味するものではない。また「ai」、「0」、「−ai」といった切換回路からの出力値もグランドに対する絶対値を意味するものではなく、あくまで任意の電位を基準とした相対的なものである。
【0036】
[第2の実施の形態]
本実施の形態は、係数生成回路を切換回路以外の構成で実現できることを示すものである。
3値出力電圧は、2値出力のパルスを2つ加算することで実現できる。図18に、この2値出力加算による3値出力を生成する場合の信号波形図を示す。
まず、図18(A)に示すデューティ比が50%の矩形波Vp(t)を前後に同一時間シフトする。これにより、図18(B)と図18(C)に示す2つの矩形波Vp(t−Δt)とVp(t−Δt)が生成される。この2つの矩形波を加算することにより、図18(D)に示すように、出力voutとして3値出力の矩形波v(t)を生成することが出来る。
【0037】
図19に、この方法を適用した正弦波発生回路の一部の構成を示す。
この正弦波発生回路は、図示を省略したパルス発生回路と出力回路(ローパスフィルタ)との間に、2値生成回路10と3値生成回路11とからなる係数生成回路が接続されている。2値生成回路10は、そのパルス信号S1の入力端子に直列接続されたアンプ10Aと、生成すべき係数に応じた値の抵抗10Bとからなる。
一方、3値生成回路11は、この2値生成回路10を2つ合わせたような構成を有する。すなわち、直列接続されたアンプ11Aと、生成すべき係数に応じた値の抵抗11Bとを、パルス信号S2AとS2Bの入力端子にそれぞれ接続させている。パルス信号S2AとS2Bは、2値生成回路10に供給するパルス信号S1を前後に所定時間シフトさせた信号であり、これらの信号は不図示のパルス発生回路により生成される。
【0038】
この正弦波発生回路は、電流に係数を付加するのではなく電圧に係数を付加し、さらに3値生成回路を2つの2値生成回路から構成していることから、係数を付加する対象としてパルス信号をそのまま用いることができる。このため2値のパルス信号を生成する回路の構成が簡略化され、また、係数生成回路の構成自体も簡素であるという利点が得られる。なお、出力電圧voutを半周期8値、16値、32値とさらに細かな電圧レベル数としたければ、2つの2値生成回路からなる3値生成回路11の並列接続数を増やすことで実現できる。その際、各抵抗値は、出力される擬似正弦波がより正弦波に近くなるように、前述したサンプリング理論に基づいて決定される。
【0039】
[第3の実施の形態]
本実施の形態は、上記第1および第2の実施の形態の正弦波発生回路を、マスタスレーブ方式のモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整に用いる場合を説明する。
以下、背景技術としてモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整について述べ、その後、第2の実施の形態の正弦波発生回路を適用した場合を例として、本実施の形態の構成等を説明する。
【0040】
図20に、3次の低域通過LCフィルタを示す。
この回路をそのままIC上に実現することは出来ないので、例えばGm(伝達コンダクタンス)回路を使って抵抗やインダクタンスを等価的に実現する手段が用いられる。
図21にその実施例を示す。この回路は2つのGmを使ってインダクタンスを容量によって等価実現することからジャイレータ方式とか、伝達コンダクタンスGmと容量Cによって構成されることからGm−Cフィルタとも呼ばれる。
図22にGm(伝達コンダクタンス)回路の具体的な構成例を示す。
ソース共通の差動トランジスタ対Q+,Q−をGm回路として使っている。出力OUT+,OUT−の同相電位を決めるために同相帰還回路CMFBが備えられている。
【0041】
フィルタの最も重要な特性の一つにカットオフ周波数がある。Gm−Cフィルタにおいてカットオフ周波数はGmとCの比で決まる。容量Cの精度は±5〜30%程度である。図22に示したGm回路のGm値も通常±20%程度のばらつきがあるし、温度依存性も大きい。したがって、単に作りつけのフィルタ回路のカットオフ周波数は精度が極めて悪く、そのままでは用途が極めて限定的である。
【0042】
それを克服する手段の一つとして、マスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路がある。その概念を図23に示す。
スレーブフィルタ20は、入力信号に所望のフィルタ処理を施すことなく出力信号を生成する、本来の機能としてのフィルタである。同じ回路形式で形成されたマスタフィルタ21を持っている。マスタフィルタ21の伝達特性は、比較回路22により基準周波数と比較される。比較回路22の出力は、制御回路23を介してマスタフィルタ21が所望の周波数特性となるよう、例えばGm−CフィルタのGmを制御する。スレーブフィルタ20はマスタフィルタと同じGm回路を持ち、同じGmとなるように制御されるので、例えば容量Cがばらついたとしてもスレーブ回路も設計値と期待される所望の周波数特性となる。
【0043】
マスタフィルタ21のどの特性を基準周波数と比較するかは主に二種類の方法が用いられる。
第1の方法は、マスタフィルタ21を使い発振器を構成して、発振周波数が比較周波数と同じになる、あるいはある比の関係になるように周波数比較を行う方法である。この場合マスタフィルタ21、比較回路22および制御回路23はPLL(位相ロックループ)を構成する。
第2の方法は、マスタフィルタ21に基準周波数を入力し、マスタフィルタ21の出力位相を基準周波数と比較するように位相比較を行う方法である。特定の周波数で一定値の位相となるように、例えばGm−CフィルタのGmを制御すれば、周波数特性は所望の特性となる。周波数比較と位相比較でどちらが汎用的に使われるかといえば、位相比較がより一般的に使われる。回路構成がシンプルで、設計が容易なためである。
【0044】
図24に、位相比較によるマスタスレーブ方式を示す。
基準周波数frefはマスタフィルタとなるバンドパスフィルタ(BPF)30と位相検波器(PD)31の一方の入力に加えられる。バンドパスフィルタ30の出力は、位相検波器31の他方の入力に加えられる。
バンドパスフィルタ30の振幅と位相応答は、図25に示すようになる。中心周波数foにおいて入出力の位相差はゼロとなる。従ってバンドパスフィルタ30の入出力を位相比較器31で比較し、その位相差を積分して、例えばバンドパスフィルタ30のGmを決める制御電圧または制御電流を可変すれば、定常位相差はゼロとなるように帰還がかかり、バンドパスフィルタは基準周波数frefと等しい中心周波数foとなるように動作する。この制御電圧または制御電流を、出力回路32を介してスレーブフィルタにも供給すればスレーブフィルタは、容量Cや伝達コンダクタンスGmがばらついたとしても、相対的な比が保たれる限り所望のカットオフ周波数を実現することが出来る。
【0045】
基準周波数は、システムが有する基準のクロック周波数から作られ、その高調波成分を有すると、高調波に対して位相は大きく廻るので、バンドパスフィルタの出力信号のゼロクロスの位相を見ても正しく基本波の位相を見ることにはならない。高調波による誤差を避けるためには、バンドパスフィルタのQを上げ高調波成分の影響の軽減を図リ、或いは、基準のクロック周波数を簡単なバンドパスフィルタやローパスフィルタを予め通すことにより、高調波成分を減衰させておくということが必要である。
本実施形態の正弦波発生回路を、この基準周波数frefの生成に用いると、簡単な回路で高調波を容易に減衰させることができるため、上記位相比較器での位相のずれによるカットオフ周波数がずれることが有効に防止できる。
【0046】
図26は、この原理を用いた正弦波発生回路の実施例を示しており、ゲート(G1)10Aで2値を発生し、ゲート(G2とG3)11Aで等価的に3値を発生し、抵抗により各々の値に加重をして4値出力を合成している。合成された信号のスペクトルは図7そのものであり、出力に容量を付けるだけで5%程度の高調波歪み率の正弦波が得られ、2次のローパスフィルタを付ければ1%以下の高調波歪みを達成することが出来る。
この4値出力は、マスタフィルタとなるバンドパスフィルタ30へ入力される。バンドパスフィルタ30は、オペアンプ31A〜31C、抵抗R1〜R5、および容量C1,C2から構成されている。
この実施例において生成した疑似正弦波は、仮想接地であるところのオペアンプ31Aの反転入力端子「−」に印加されるために、電圧ではなく周波数fの疑似正弦波電流Iiとして入力される。Iiはバンドパスフィルタ30を通り出力Voとなる。出力Voはラッチドコンパレータ33に入力され、パルス発生回路2でも用いられた基準クロックとなる信号Vrefと比較される。基準信号VrefはIiと同じ周波数で、同位相である。また、バンドパスフィルタ30は、中心周波数が信号周波数と等しければ、入出力の位相は同相で、中心周波数が信号周波数より低いと遅れ、高いと進み位相となる。ラッチドコンパレータ33は、基準信号Vrefのパルスの立ち上がりで出力Voが正であれば「H」を出力し、負であれば「L」を出力する。バンドパスフィルタ30の中心周波数は、それを構成する容量C1,C2または抵抗R1〜R3、あるいは双方の値を変えることにより変化させることが出来る。この実施例においては、逐次比較制御回路34により、電圧Voと基準信号Vrefの位相を判定し、逐次比較的に容量または抵抗、あるいは双方の値を変えることにより、所望の中心周波数となるように制御を行う。逐次比較出力は、スレーブフィルタへも供給され、マスタフィルタのCR値と所定の比を保つことにより、スレーブフィルタのフィルタ特性も所望のものとなる。
【0047】
図27に、位相比較の別の手段を示す。
図26の例では、パラメータCRの制御をディジタル的に逐次比較によって行っている。これに対し、図27の例では、ラッチドコンパレータではなく位相比較器35を使ってアナログ的な出力を得る。位相比較出力は電流源36Aと電流吸い込みの電流源36Bからなるチャージポンプ回路を制御し、その出力を容量C0により積分する。その出力Vcはアナログ的に容量Cまたは抵抗R、あるいはその双方を制御する。
【0048】
以上のカットオフ周波数の自動調整回路は、その正弦波発生回路1が非常にシンプルな回路構成、即ち3つのゲート10A,11A,11Aの出力を抵抗10B,11B,11Bで加重する程度の回路により1〜数%の高調波歪み率の正弦波が得られるため、位相ズレのないマスタスレーブ方式のモノリシックフィルタのカットオフ周波数の自動調整回路が実現できている。
【0049】
[第3の実施の形態]
本実施の形態は、本発明の正弦波発生回路を角度検出装置に適用した場合を示す。
図28に示す角度検出装置は、これは機械軸の回転角を電気的に検出する装置である。正弦波発生回路1からの擬似正弦波が回転子40に供給されている。回転子40の巻き線は、正弦波発生回路1によるCosωtなる信号により駆動されている。固定子は直交した2つの巻き線41Aと41Bを備えており、各々CosωtCosθとCosωtSinθを出力する。固定子からの2つの信号CosωtCosθとCosωtSinθを元に、角度検出回路42からは、最終的に固定子の角度θが出力される。
【0050】
このような角度検出装置は検出部分はモータと同じ構造で、光や半導体磁気センサ等は備えていないためにオイルやゴミ等の汚れや、熱、振動等の厳しい環境下でも信頼性が極めて高い特長を有する。機械角θを精度よく検出するには、回転子巻き線を駆動するCosωtが低歪みで低雑音でなければならない。本実施の形態では、正弦波発生回路1が(特に位相の)純度が高い擬似正弦波を簡単な回路で発生するため、角度検出の精度が向上している。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る正弦波発生回路によれば、複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、この複数のパルス信号により生成した複数の係数に基づいて出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路と、を有し、当該電圧出力回路内に複数の係数をそれぞれ生成する係数生成回路を複数有し、パルス回路から出力するパルス信号数は、係数生成回路が発生する係数の数に応じて、その電圧レベルの組み合わせが決まるため、以下の効果を奏する。
第1に、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含むことから、電圧の中心線を境に正側と負側の波高値が対称な正弦波に適合した係数が容易に生成され、出力される擬似正弦波の精度が高い。
第2に、3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含み、その出力を組み合わせて係数列を生成することから、位相ずれのない擬似正弦波が発生される。
第3に、パルス回路から出力するパルス信号は、複数の係数生成回路に共通に用いることができるので、当該パルス信号数は少なくても済む。
第4に、回路規模が大きくなく、複雑でもない、また、高精細化による回路規模の増大が余りなく、複雑化もしない。より詳細に説明すると、複数の係数生成回路から生成された係数を組み合わせることにより係数列が生じ、これが擬似正弦波の細かさを決めるため、この擬似正弦波を高精細にしようとした場合、係数生成回路の数を増やすことになる。それに伴って、係数の組み合わせの仕方にもよるが、例えば、係数生成回路数を2倍にすると1周期内の電圧変化点の数が約2倍に増える。係数生成回路の構成は同じような回路の繰り返しであり、増えても複雑でない。むしろ、パルス発生回路の規模が大きくならないので、全体の回路規模は極端に増大しないし、複雑化もしない。このように、本発明に係る正弦波発生回路によれば、回路構成が簡単にでき、しかも、正弦波の1周期内の電圧変化数を増やして高精細な擬似正弦波を生成しても回路規模が余り増大せず、複雑化もしない正弦波発生回路を提供することが可能となる。
【0052】
本発明の請求項2に係る正弦波発生回路によれば、パルス発生回路が発生させるパルス信号が最大でも2または3つで足り、制御信号が極めて少なくて済む。また、係数生成回路も2値または3値出力であるため簡単な構成ですむが、その係数生成回路数を増やすだけで高精細な擬似正弦波を容易に発生させることができる。2値または3値出力の係数生成回路自体が簡素な構成にできることに加え、これの繰り返しであるため全体の回路規模が大きくなく、複雑でもない。また、何より、パルス発生回路の回路が簡素で、擬似正弦波を高精細にしても、その規模が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る正弦波発生回路の一構成例を示す図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1に示す正弦波発生回路の最も簡単な例としてn=2の場合での波形図である。
【図3】(A)〜(D)は、図1に示す正弦波発生回路において、3値の切換回路を1つ増やしてn=3とした場合の波形図である。
【図4】(A)〜(C)は、パルス発生回路が生成可能な、3種類の2値パルス信号の波形図である。
【図5】正弦波の8倍の周波数のパルスによるサンプリング図である。
【図6】(A)と(B)は、図5に示すサンプリング後の周波数スペクトラムと、その一時ホールド後の周波数スペクトラムを示す図である。
【図7】正弦波の16倍の周波数のパルスによるサンプリング後の周波数スペクトラムを示す図である。
【図8】本実施の形態で取りうる半周期3点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図9】本実施の形態で取りうる半周期4点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図10】本実施の形態で取りうる半周期5点サンプリングの態様を模式的に示す図である。
【図11】(A)〜(C)は、サンプリング3Bによる波形図である。
【図12】(A)〜(C)は、サンプリング4Bによる波形図である。
【図13】(A)〜(C)は、サンプリング5による波形図である。
【図14】電流スイッチ回路(切換回路)の第1の構成例を示す回路図である。
【図15】電流スイッチ回路の第2の構成例を示す回路図である。
【図16】図15に示す回路の制御信号の波形図である。
【図17】第2の構成の電流スイッチ回路を切換回路に用いた正弦波発生回路の、より詳細な構成例を示す回路図である。
【図18】2値出力加算により3値出力を生成する場合の信号波形図である。
【図19】2値出力加算により3値出力を生成する正弦波発生回路の一部の構成図である。
【図20】3次の低域通過LCフィルタの回路例を示す図である。
【図21】Gm−Cフィルタの回路図である。
【図22】Gm(伝達コンダクタンス)回路の構成例を示す回路図である。
【図23】マスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の一般的なブロック図である。
【図24】位相比較によるマスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の一般的なブロック図である。
【図25】バンドパスフィルタの振幅と位相応答の特性図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る、位相比較によるマスタスレーブ方式のカットオフ周波数の自動調整回路の構成図である。
【図27】位相比較の別の手段を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態に係る角度検出装置の構成図である。
【符号の説明】
1…正弦波発生回路、2…パルス発生回路、3…電圧出力回路、4…加算器、5…抵抗ラダー回路、6…ローパスフィルタ、SW…切換回路
Claims (7)
- 入力されるクロック信号に同期して出力の電圧レベルをステップ状に変化させ、擬似正弦波を生成する正弦波発生回路であって、
前記クロック信号を基準として複数のパルス信号を発生させるパルス発生回路と、
前記複数のパルス信号内のビット情報の組み合わせに応じて異なる複数の係数を生成し、生成した複数の係数をさらに組み合わせたときに得られる係数列に応じて前記出力の電圧レベルをステップ状に変化させる電圧出力回路と、を有し、
前記電圧出力回路内に設けられ、前記複数の係数をそれぞれ生成する複数の係数生成回路に、1つの係数を中心に正側の係数と負側の係数が対称となる3値以上の奇数値を生成する奇数生成回路を含む
ことを特徴とする正弦波発生回路。 - 前記係数生成回路の個数がn(nは2以上の自然数)のとき、当該n個の前記係数生成回路に少なくとも(n−1)個の3値生成回路を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の正弦波発生回路。 - 前記複数の係数生成回路が、
前記パルス信号の制御により、正の値と負の値を交互に出力する1つの2値生成回路と、
他の前記パルス信号の制御により、基準値、当該基準値より正側の値および負側の値を繰り返し出力する(n−1)個の3値生成回路と、を有し、
前記擬似正弦波の電圧変化点を通る正弦波の最大値と最小値の一方から他方未満の半周期区間で、当該最大値,最小値およびそれらの中間点を含まない2n個の等間隔点でサンプリングされた結果が前記擬似正弦波となるように、前記パルス発生回路から出力される複数のパルス信号の各ビット変化点が規定されていることを特徴とする請求項2に記載の正弦波発生回路。 - 前記複数の係数生成回路が、前記パルス信号の制御により、基準値、当該基準値より正側の値および負側の値を繰り返し出力するn個の3値生成回路を有し、
前記擬似正弦波の電圧変化点を通る正弦波の最大値と最小値の一方から他方未満までの半周期区間で、当該最大値または最小値とそれらの中間点とを含む2n個の等間隔点でサンプリングされた結果が前記擬似正弦波となるように、前記パルス発生回路から出力される複数のパルス信号の各ビット変化点が規定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の正弦波発生回路。 - 前記複数の係数生成回路が、前記パルス信号の制御により、基準値、当該基準値より正側の値および負側の値を繰り返し出力するn個の3値生成回路を有し、
前記擬似正弦波の電圧変化点を通る正弦波の最大値と最小値の一方から他方未満までの半周期区間で、当該最大値,最小値およびそれらの中間点を含む(2n+1)個の等間隔点でサンプリングされた結果が前記擬似正弦波となるように、前記パルス発生回路から出力される複数のパルス信号の各ビット変化点が規定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の正弦波発生回路。 - 前記複数の係数生成回路が、
前記パルス信号の制御により、正の値と負の値を交互に出力する1つの2値生成回路と、
他の前記パルス信号の制御により、基準値、当該基準値より正側の値および負側の値を繰り返し出力する(n−1)個の3値生成回路と、を有し、
前記擬似正弦波の電圧変化点を通る正弦波の最大値と最小値の一方から他方未満の半周期区間で、当該最大値と最小値の一方を含み、それらの中間点を含まない(2n−1)個の等間隔点でサンプリングされた結果が前記擬似正弦波となるように、前記パルス発生回路から出力される複数のパルス信号の各ビット変化点が規定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の正弦波発生回路。 - 前記パルス発生回路が、入力される前記クロック信号を所定の時間幅だけシフトさせるシフト回路であり、
前記複数の係数生成回路が、
入力される前記クロック信号を元に、正の値と負の値を交互に出力する1つの2値生成回路と、
前記シフト回路により生成された、前記クロック信号に対し前記所定の時間幅だけ位相が遅れたクロック信号および前記所定の時間幅だけ位相が進んだクロック信号を元に、基準値、当該基準値より正側の値および負側の値を繰り返し出力する(n−1)個の3値生成回路と、を有し、
前記電圧出力回路は、前記2値生成回路から出力される2値パルス信号と、前記3値生成回路から出力される3値パルス信号とを加算することにより、前記擬似正弦波を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の正弦波発生回路。
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