JP2004335960A - 電界効果型トランジスタ - Google Patents

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Hiroshi Matsuo
博 松尾
Masayuki Abe
正幸 安部
Koichi Sakida
浩一 崎田
Kazufumi Watanabe
一史 渡辺
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Abstract

【課題】汎用スイッチング電源等に用いられるエンハンスメント型動作のFETとして、高いモビリティーを有するワイドギャップ半導体のAlGaN/GaNへテロ構造FET技術を活用して、動作抵抗の低減により通電損失の低減を図ることができ、特にGaN系FETでの完全な動作を実現する。具体的には、ゲート電圧を0Vとした場合にソース・ドレイン間の電流が流れないエンハンスメント型動作を行える電界効果型トランジスタを提供する。
【解決手段】第一の窒素化合物膜からなるAlGaN層3と、該AlGaN層3とは異なる組成を有する第二の窒素化合物膜からなるGaN層2とを形成するヘテロ構造を備えた電界効果型トランジスタであって、上記第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜との結晶界面において発生するピエゾ電界効果を相殺させるための応力緩和層としてGaN層4が、さらに一層以上形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)からなる群より選ばれる少なくとも1種のIII族元素と窒素(N)とを含むIII族ナイトライド化合物半導体によりヘテロ構造を形成してチャンネル層を形成してなる電界効果型トランジスタ、特にゲート電極とチャンネル層との間にゲート絶縁膜を備えてなる電界効果型トランジスタに関する。本発明の電界効果型トランジスタは、電力制御用のデバイス(例えばスイッチング電源など)への応用が期待される。
【0002】
【従来の技術】
III族ナイトライド化合物半導体の1つである窒化ガリウム(GaN)は、そのバンドギャップが3.39eVと大きく、Siに比べて約7倍の高い破壊電界強度を持つことが知られている。また、アルミニウム・ガリウムの窒化物(AlGaN)と組み合わせることでAlGaN/GaNのヘテロ構造となり、HEMT(高電子移動度トランジスタ)として、これまでのGaAs系HEMTと同様に、高速動作のデバイスとして期待されている。
【0003】
さらに、GaAs系デバイスは砒素を使用している為、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)面からその廃棄物処理が問題になるのに対して、GaN系デバイスは砒素などの有害物質を含むことなく、環境にやさしい新デバイスとして期待されている。
【0004】
以上のように、GaN系材料を用いた半導体は、高周波、耐環境性(高温下での使用が可能)、大電力用低損失デバイスとしての研究が進められている(非特許文献1参照。)。
【0005】
AlGaN/GaN構造は、このままでソース、ドレイン、ゲートの各電極を形成した場合、その動作はディプリッション型(ノーマリーオン型)であり、GaAs代替デバイスとしての高周波通信用デバイス、さらには高出力高周波通信用デバイスとしては良好である。しかしながら、電力制御用のデバイスには、従来のSi系半導体と同様のエンハンスメント型(ノーマリーオフ型)が求められるため、エンハンスメント型のGaN系材料の半導体製造方法としてさまざまな提案がなされている。
【0006】
例えば、AlGaN/GaNのHEMT構造において、AlGaNよりなる電子供給層(=チャンネル層)の厚さをゲート部分のみ薄くすることで、エンハンスメント型に近づける事例が開示されている(非特許文献2参照。)。しかし、ゲート電圧を0Vとしてもソース・ドレイン間に電流が流れる。さらに、電子供給層の厚さを薄くすると、ゲート電圧0Vの時の電流量は小さくなるものの、逆にソース・ドレイン間の抵抗が大きくなり、高効率トランジスタとしての性能が低下する。
【0007】
また、他の論文では、前述のAlGaN/GaNのHEMT構造におけるエンハンスメント型の改善を目指して、ゲート電極の下にSiO2の絶縁膜を形成したMOS型トランジスタを形成している(非特許文献3参照。)。しかし、この場合もゲート電圧を0Vとしても、ソース・ドレイン間には電流が流れてしまう。
【0008】
さらに、AlGaN/GaNのHEMT構造において、ゲート電極の絶縁膜をSiO2からSi3N4膜に変えたMIS型トランジスタを形成しているが、やはりゲート電圧0Vにおいてソース・ドレイン間に電流が流れるとする報告もある(非特許文献4参照。)。
【0009】
他方、特開平10−223901号公報では、GaN系の電界効果トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜にAlNを利用しているが、そのゲート電圧0Vにおけるソース・ドレイン間電流については明記されていない(特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】特開平10−223901号公報
【非特許文献1】応用物理 第70巻 第5号 p513−p522 (2001)
【非特許文献2】M.A.Kahn, A.P.L., 68(4), 22(1996)
【非特許文献3】M.A.Kahn, A.P.L., 77(9), (2000)
【非特許文献4】M.A.Kahn, A.P.L., 79(17), (2001)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電界効果型トランジスタでは、ゲート電極下部の電子供給層の厚みを薄くしたり、ゲート電極にSiOやSi、AlN等の絶縁膜を形成してエンハンスメント型動作に近づけることは可能である。しかしながら、ゲート電圧を0Vとした場合におけるソース・ドレイン間の電流を止められないのが現状である。このため、従来のGaNデバイスは、電子制御用として要求されるエンハンスメント型の性能が充分に得られないという問題点を有している。
【0012】
本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものでその目的は、ゲート電圧を0Vとした場合にソース・ドレイン間の電流が流れないエンハンスメント型動作を実現できる電界効果型トランジスタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、ヘテロ構造の結晶界面に発生する歪現象を他の歪現象と組み合わせることによって、ピエゾ分極電界効果を相殺させる電界効果型トランジスタ構造とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、例えばAlGaN/GaNへテロ構造においては、AlGaN層の引っ張り歪によるピエゾ効果からなる分極電荷の影響が大きいという点に着目し、AlGaN/GaNへテロ構造におけるAlGaN層の引っ張り歪およびInGaN/GaNヘテロ構造におけるInGaN層の圧縮歪を組み合わせて、ピエゾ分極電界効果を相殺させ、エンハンスメント型動作を実現する。
【0014】
請求項1の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、第一の窒素化合物膜からなるチャネル層と、該チャネル層とは異なる組成を有する第二の窒素化合物膜からなるバッファ層とからなるヘテロ構造を備えた電界効果型トランジスタであって、上記第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜との結晶界面において発生するピエゾ電界効果を相殺させるための応力緩和層が、さらに一層以上形成されていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、上記へテロ構造の結晶界面に発生する歪現象と、応力緩和層との界面における他の歪現象が組み合わされることによって、ピエゾ分極電界効果を相殺させることができる。これにより、ゲート電圧を0Vとした場合における、ソース・ドレイン間電流を停止することができ、主にGaN系デバイスに求められるエンハンスメント動作を確立することが可能となる。
【0016】
請求項2の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、第一の窒素化合物膜が、ガリウム、アルミニウム、ホウ素、及びインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のIII族元素を含む窒素化合物半導体であり、第二の窒素化合物膜が、上記III族元素を含まない窒素化合物半導体であることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、III族ナイトライド化合物半導体によりヘテロ構造を形成してチャンネル層を形成してなる電界効果型トランジスタにおいて、結晶界面に発生する歪現象と応力緩和層との界面における他の歪現象が組み合わされることによって、ピエゾ分極電界効果を相殺させることができる。これにより、ゲート電圧を0Vとした場合におけるソース・ドレイン間電流を停止することができ、エンハンストメント動作を確立することが可能となる。
【0018】
請求項3の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、第一の窒素化合物膜が、AlGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜及び応力緩和層が、GaNであり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、III族ナイトライド化合物であるAlGa1−xN(0.05<x<0.5)とGaNの結晶界面には、引っ張り歪みに起因するピエゾ分極効果が発生する。そこで、応力緩和層としてGaNを用い、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層させることにより引っ張り歪みに起因するピエゾ分極効果が相殺され、エンハンストメント動作を確立することが可能となる。
【0020】
請求項4の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、第一の窒素化合物膜が、InGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜及び応力緩和層が、GaNであり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、III族ナイトライド化合物であるInGa1−xN(0.05<x<0.5)とGaNの結晶界面には、圧縮歪みに起因するピエゾ分極効果が発生する。そこで、応力緩和層としてGaNを用い、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層させることにより引っ張り歪みに起因するピエゾ分極効果が相殺され、エンハンストメント動作を確立することが可能となる。
【0022】
請求項5の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、第一の窒素化合物膜が、AlGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜が、GaNであり、応力緩和層が、InGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、III族ナイトライド化合物であるAlGa1−xN(0.05<x<0.5)とGaNの結晶界面には、引っ張り歪みに起因するピエゾ分極効果が発生する。そこで、応力緩和層としてInGa1−xN(0.05<x<0.5)を用い、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層させることにより引っ張り歪みに起因するピエゾ分極効果が相殺され、エンハンストメント動作を確立することが可能となる。
【0024】
請求項6の電界効果型トランジスタは、上記の課題を解決するために、応力緩和層にSiがドープされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタとしている。
【0025】
上記の構成によれば、応力緩和層にSiを10の18乗個から19乗個ドープあるいはイオン注入等することでコンタクト抵抗を低減させることが出来、より高性能な電界効果型トランジスタとなる。
【0026】
請求項7の電界効果型トランジスタは、応力緩和層の膜厚が、少なくとも1層がチャンネル部より厚いことを特徴としている。
【0027】
上記のような構成とすることで、より効果的にピエゾ分極が相殺され、エンハンストメント動作を確立することが出来る。また、応力緩和層の形成においては、第一の窒素化合物膜の上に連続的に形成しても良く、一度大気中に取り出した後、形成しても良く、非連続的に積層した膜でも良い。
【0028】
請求項8の電界効果型トランジスタは、ゲート電極とチャンネル層との間に、レーザーCVD法によるゲート絶縁膜が形成されていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、レーザーCVD法による絶縁膜形成は、これまでプラズマ中で形成するスパッタリング法やプラズマCVD法に比べて、III族ナイトライド化合物に対するダメージが非常に小さく、III族ナイトライドの特性を劣化させることなく絶縁膜を形成することが出来る。この絶縁膜には、SiNが優れており、SiO、ZnO、MgO等を用いる構成としても良い。
【0030】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について、図1に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本発明の電界効果型トランジスタは、第一の窒素化合物膜からなるチャネル層と、該チャネル層とは異なる組成を有する第二の窒素化合物膜からなるバッファ層とを形成するヘテロ構造を備えた電界効果型トランジスタであって、上記第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜との結晶界面において発生するピエゾ電界効果を相殺させるための応力緩和層が、さらに一層以上形成されている。
【0031】
上記へテロ構造としては、例えば、第一の窒素化合物膜が、ガリウム、アルミニウム、ホウ素、及びインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のIII族元素を含む窒素化合物半導体であり、第二の窒素化合物膜が、上記III族元素を含まない窒素化合物半導体である場合等が挙げられる。
【0032】
本願発明者らは、GaN系電界効果型トランジスタにおいて、HEMT構造をなすAlGaN/GaN構造におけるAlGaN層の引っ張り歪による正のピエゾ分極電界に着目した。また同様にHEMT構造をなすInGaN/GaNヘテロ構造におけるInGaN層の圧縮歪による負のピエゾ分極電界にも着目した。
【0033】
一般に、GaN上に格子緩和させずにAlGaNを成長させた場合、面内方向に引っ張り歪を、c軸方向に圧縮歪を受け、数MV/cmという大きな自発分極電界とピエゾ分極電界が同じ方向にかかり、界面に正の電荷が誘起されることが知られている。また、InGaNを成長した場合、面内方向に圧縮歪を、c軸方向に引っ張り歪を受け、大きなピエゾ分極電界がかかり、AlGaN/GaNの場合とは逆に負の電荷が誘起されることが知られている(参考文献:応用物理 第70巻 第5号 p513−p522 (2001) )。この内部分極効果を積極的に用いて、p型ドーピングの活性化率が低いという、窒化物半導体の欠点を克服している。
【0034】
本願発明者らは、この結晶界面に発生する歪現象を組み合わせて、ピエゾ分極電界効果を相殺させる電界効果型トランジスタ構造を考案した。
【0035】
図1は本願発明の第1の実施形態に係る電界効果型トランジスタの構成を表す説明図である。この電界効果型トランジスタは、サファイアよりなる基板1(例えばc軸方向に配向された単結晶アルミナ基板)の上に、バッファ層としてノンドープのGaN層2を3μm形成する。その上にチャンネル層としてSiを10の18乗個ドープしたAlGaN層3を10nm形成する。なお、AlGaN層3の組成割合が、Al0.2Ga0.7Nとなるような膜を用いる。さらに、AlGaN/GaNヘテロ構造の上にAlGaN層の応力緩和を目的として、GaN層4を15nm形成する。
【0036】
ソース電極5およびドレイン電極7の部分には、Ti/Al/Ti/Auを形成した後、熱処理(600℃)を行ってオーミック電極を形成する。素子分離を行った後、ゲート絶縁膜8には、SiN膜(約2nm)を形成する。その上にゲート電極6(Pt/Ti/Au)を形成しMIS型FETを試作する。デバイスの表面にポリイミドの絶縁膜を形成し、そのトランジスタ特性を測定した結果、エンハンスモードが確認され、ゲート電圧0Vの時の電流を遮断できる。
【0037】
上記のように本実施の形態では、チャンネル層であるAlGaN層3とバッファ層であるGaN層2との間に働く引っ張り歪に起因する正のピエゾ電界を相互に応力緩和することが可能となり、ピエゾ分極効果が相殺されるため、ゲート電圧を0Vとしたときの電子の移動を止めることができる。
【0038】
本実施の形態において、応力緩和層であるGaN層4の膜厚は、チャンネル部より厚く、Siを10の18乗個ドープした場合、15nm、Siを10の17乗個ドープした場合は30nmが最も好ましい。また、GaN層4の形成は、例えば、MO−CVD法やMBE法など半導体プロセスにおける薄膜形成装置を用いて、AlGaN層3の上に連続的に形成しても良く、一度大気中に取り出した後、形成しても良い。さらに、GaN層4は連続した1種類の膜として形成しても良く、非連続的に積層した膜でも良い。
【0039】
また、本実施の形態では、ゲート絶縁膜8としてSiN膜を用いたが、これに限定されることはなく、例えば、SiO、ZnO、MgO等を用いる構成としてもよい。
【0040】
また上述のように、本発明に係る応力緩和層には、必要に応じて、Siを10の18乗個から10の19乗個ドープあるいはイオン注入する構成としてもよい。これにより、コンタクト抵抗を低減させることができる。
【0041】
本実施の形態の電界効果型トランジスタは次のように動作する。この電界効果型トランジスタでは、チャンネル層であるAlGaN層3のドナー不純物から発生した電子がGaN層4へ移動し、図中点線9で示す部分に2次元電子ガスが形成され高電子移動度をもつことができる。ゲート電圧を印加することによりゲート下の電子空乏層の厚みが変化して、ソースとドレイン間を流れる電流を制御できる。このとき、AlGaN層3とGaN層4との間には、ピエゾ分極電界が発生しているが、AlGaN層3とGaN層2との間に発生するピエゾ分極電界が相殺するため、ゲート電極の電圧を0Vとした場合、ソース・ドレイン間の電流を停止することが可能となる。
【0042】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。尚、実施の形態1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本実施の形態の電界効果型トランジスタは、サファイアよりなる基板1の上にノンドープのGaN層2を3μm形成し、その上にSiを10の18乗個ドープしたInGaN層23(その組成構成は、In0.2Ga0.7N)を10nm形成した。さらに、InGaN/GaNヘテロ構造の上にInGaN層の応力緩和を狙ってSiを10の19乗個ドープしたGaN層24を10nm形成した。
【0044】
ソース電極25およびドレイン電極27の部分には、Ti/Al/Ti/Auを形成した後、熱処理(600℃)を行ってオーミック電極を形成した。素子分離を行った後、ゲート絶縁膜28としてSiN膜(約2nm)を形成した。その上にゲート電極26(Pt/Ti/Au)を形成しMIS型FETを試作した。デバイスの表面にポリイミドの絶縁膜を形成し、そのトランジスタ特性を測定した結果、エンハンスモードが確認され、ゲート電圧0Vの時の電流を遮断することができた。
【0045】
実施の形態1と同様に、本構造においてもピエゾ分極効果が相殺されるため、ゲート電圧を0Vとしたときの電子の移動を止めることができた。またこの方法ではヘテロ構造によって得られる2次元電子ガス濃度が少なくなるため、同様にチャンネル層であるInGaN層23にSiをドープさせている。
【0046】
上記のように本実施の形態では、InGaN層23とGaN層2との間に働く圧縮歪に起因する負のピエゾ電界をInGaN層23とGaN層24との相互作用により応力緩和することが可能となり、ピエゾ分極電界が相殺されているため、ゲート電極の電圧を0Vとした場合、ソース・ドレイン間の電流を停止することが可能となる。
【0047】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば以下のとおりである。尚、実施の形態1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
本実施の形態の電界効果型トランジスタは、サファイアよりなる基板1の上にノンドープのGaN層2を3μm形成し、その上にSiを10の18乗個ドープしたAlGaN層33(その組成構成は、Al0.2Ga0.8N)を10nm形成した。さらに、AlGaN/GaNヘテロ構造の上にAlGaN層の応力緩和を狙ってSiを10の19乗個ドープしたInGaN層34を12nm形成した。
【0049】
ソース電極35およびドレイン電極37部分には、Ti/Al/Ti/Auを形成した後、熱処理(600℃)を行ってオーミック電極を形成した。素子分離を行った後、ゲート絶縁膜38としてSiN膜(約2nm)を形成した。その上にゲート電極36(Pt/Ti/Au)を形成しMIS型FETを試作した。デバイスの表面にポリイミドの絶縁膜を形成し、そのトランジスタ特性を測定した結果、エンハンスモードが確認され、ゲート電圧0Vの時の電流を遮断することができた。
【0050】
上記のように本実施の形態では、AlGaN層33とGaN層2との間に働く引っ張り歪と、InGaN層34とAlGaN層33との間に働く圧縮歪とを相互に応力緩和することが可能となり、ピエゾ分極電界が相殺されているため、ゲート電極の電圧を0Vとした場合、ソース・ドレイン間の電流を停止することが可能となる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電界効果型トランジスタは、エンハンスメント型の特性が得られ、ゲート電圧0Vにおける電流の流れが無くなり、ピンチオフができるという効果を奏する。このため、低損失、高速動作として知られるGaN系電界効果型トランジスタを大電流制御用トランジスタとして使用することが可能になり、電力変換効率の向上やスイッチング電源の高効率化へ寄与し、省エネルギー効果を奏する。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電界効果型トランジスタの構成を表す断面図である。
【0058】
【図2】本発明の第2実施形態に係る電界効果型トランジスタの構成を表す断面図である。
【0059】
【図3】本発明の第3実施形態に係る電界効果型トランジスタの構成を表す断面図である。
【0060】
【符号の説明】
1 基板
2 GaN層(バッファ層)
3 AlGaN層(チャンネル層)
4 GaN層(応力緩和層)
5 ソース電極
6 ゲート電極
7 ドレイン電極
8 絶縁膜
9 2次元電子ガス
23 InGaN層(チャンネル層)
24 GaN層(応力緩和層)
25 ソース電極
26 ゲート電極
27 ドレイン電極
28 絶縁膜
29 2次元電子ガス
33 AlGaN層(チャンネル層)
34 InGaN層(応力緩和層)
35 ソース電極
36 ゲート電極
37 ドレイン電極
38 絶縁膜
39 2次元電子ガス

Claims (8)

  1. 第一の窒素化合物膜からなるチャネル層と、該チャネル層とは異なる組成を有する第二の窒素化合物膜からなるバッファ層とを形成するヘテロ構造を備えた電界効果型トランジスタであって、
    上記第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜との結晶界面において発生するピエゾ電界効果を相殺させるための応力緩和層が、さらに一層以上形成されていることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
  2. 第一の窒素化合物膜が、ガリウム、アルミニウム、ホウ素、及びインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のIII族元素を含む窒素化合物半導体であり、第二の窒素化合物膜が、上記III族元素を含まない窒素化合物半導体であることを特徴とする請求項1記載の電界効果型トランジスタ。
  3. 第一の窒素化合物膜が、AlGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜及び応力緩和層が、GaNであり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴とする請求項1または2記載の電界効果型トランジスタ。
  4. 第一の窒素化合物膜が、InGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜及び応力緩和層が、GaNであり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴とする請求項1または2記載の電界効果型トランジスタ。
  5. 第一の窒素化合物膜が、AlGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、第二の窒素化合物膜が、GaNであり、応力緩和層が、InGa1−xN(0.05<x<0.5)であり、応力緩和層と第一の窒素化合物膜と第二の窒素化合物膜とがこの順に積層されていることを特徴とする請求項1または2記載の電界効果型トランジスタ。
  6. 応力緩和層にSiがドープされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタ。
  7. 応力緩和層の膜厚は、少なくとも1層がチャンネル部より厚いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタ。
  8. ゲート電極とチャネル層との間に、レーザーCVD法によるゲート絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタ。
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