JP2004335852A - 線パターン形成方法、デバイスとその製造方法及び電気光学装置並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】線パターンの形成方法であって、隣合う親液部H1から一時的に溢れ出した上記機能液X同士が接触しないように各親液部H1の幅方向の中央Aに対し当該幅方向に変位した位置を各々の親液部H1の吐出位置として上記機能液Xを吐出することによって複数の上記親液部H1に同時に機能液を配置させる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、線パターン形成方法、デバイスとその製造方法及び電気光学装置並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から半導体集積回路などの微細な配線パターン(線パターン)の製造方法としては、フォトリソグラフィ法が多用されている。一方、特許文献1、特許文献2などには、液滴吐出方式を用いた方法が開示されている。これら公報に開示されている技術は、パターン形成用材料(導電性微粒子)を含んだ機能液(配線パターン用インク)を液滴吐出ヘッドから基板上に吐出することにより、パターン形成面に材料を配置して配線パターンを形成するものであり、少量多種生産に対応可能であるなど大変有効であるとされている。
【0003】
ところで、近年ではデバイスを構成する回路の高密度化がますます進み、例えば配線パターンについてもさらなる微細化、細線化が要求されている。
しかしながら、このような微細な配線パターンを前記の液滴吐出方式による方法によって形成しようとした場合、特にその配線幅の精度を十分にだすのが難しい。そのため、基板上に仕切部材であるバンクを設けるとともに、バンクの上部を撥液性にし、それ以外の部分が親液性となるように表面処理を施す方法も提案されているが、バンクはフォトリソグラフィ法を用いて形成されるため、コスト高につながってしまう。
【0004】
そこで、予め撥液部(撥液領域)と親液部(被機能液配置領域)とのパターンを形成した基板の親液部に液滴吐出方式により選択的に配線パターン用インクを吐出することも提案されている。この場合、導電性微粒子を分散させた配線パターン用インクは、親液部に溜まりやすくなるため、バンクを形成することなく、位置精度を保って配線パターンを形成することが可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−274671号公報
【特許文献2】
特開2000−216330号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、配線パターンは、通常、基板上に配線パターンの形成領域に応じて形成された親液部に所定量の配線パターン用インクを配置させ、該配線パターン用インクに対し熱処理やレーザー照射を行うことによって所望の膜厚が形成される。そして、吐出された配線パターン用インクが確実に親液部に配置されるように、親液部は配線パターン用インクをはじく上記撥液部に囲まれている。このような親液部に上記配線パターン用インクを配置させると、配線パターン用インクが親液部に濡れ拡がる間、配線パターン用インクは、一時的に親液部から溢れ出した状態となる。これに加え、上述のインクジェット法では、通常、短時間で作業を完了するために、複数の親液部に同時に配線パターン用インクを吐出している。このため、隣合う親液部から同時に配線パターン用インクが溢れ出すこととなり、このような複数の親液部から同時に溢れ出した配線パターン用インク同士が接触すると短絡の原因となる。また、従来、一時的に溢れ出した配線パターン用インクの溢れ出す量(範囲)を制御するという技術的思想は、開示されておらず、通常、溢れ出した配線パターン用インク同士が接触しないように、親液部と親液部との距離を充分に取っていた。このため、親液部と親液部とを近接させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複数の線パターンの形成領域から一時的に溢れ出した機能液同士が接触しないように機能液を吐出することによって短絡を防止すると共に、線パターンと線パターンとをより近接させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る線パターン形成方法は、機能液を基板上に配置させて平行な複数の線パターンを形成する方法であって、上記基板上に上記線パターンの形成領域に応じた被機能液配置領域と該被機能液配置領域を囲む撥液領域とを形成する工程と、隣合う上記被機能液配置領域から一時的に溢れ出した上記機能液同士が接触しないように各上記被機能液配置領域の幅方向の中央に対し当該幅方向に変位した位置を各々の被機能液配置領域の吐出位置として上記機能液を吐出することによって複数の上記被機能液配置領域に同時に機能液を配置させる工程と、上記被機能液配置領域に配置された機能液に対して所定の処理をすることによって線パターンを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
図1は、従来の線パターン形成方法を説明するための図である。この図に示すように、基板P上には、線パターンの形成領域に応じた親液部(被機能液配置領域)H1とこの親液部H1を囲む撥液部H2形成されている。そして、従来、このような親液部H1に機能液を液滴吐出法によって配置させる場合には、図1(a)に示すように、親液部H1の幅方向の中央部Aに向けて機能液Xの液滴を吐出している。このような液滴が上記親液部H1の幅方向の中央部Aに着弾すると、図1(b)に示すように、中央部Aの両側に一時的に機能液Xが溢れ出す。
従って、図2に示すように、複数の親液部H11、H12、H13に同時に機能液Xを吐出した場合には、各親液部H11、H12、H13から一時的に溢れ出した機能液X同士が接触する場合がある。このような場合、機能液Xが親液部H1に流れ込まずに残存してしまい、最終的には、例えば親液部H11に形成される線パターンと親液部H12に形成される線パターンとが電気的に導通してしまい短絡の原因となる。
【0010】
そこで、本発明の特徴のように、隣合う上記親液部から一時的に溢れ出した上記機能液同士が接触しないように各上記親液部の幅方向の中央に対し当該幅方向に変位した位置を各々の親液部の吐出位置として上記機能液を吐出することによって、最終的に各親液部上に形成された線パターン同士は電気的に導通することはなく、短絡を防止することが可能となる。
また、例えば、図3(a)に示すように、親液部H12の幅方向の中心部Aに対し当該幅方向に変位した位置に向けて機能液を吐出すると、図3(b)に示すように機能液Xは、中央部Aの片側には殆ど溢れ出さない。また、親液部H1は、線パターンの形成領域に沿って形成されているため、線パターン形成領域に沿って延在している。このため、機能液Xが溢れ出す側における機能液の量は、図1(b)に示した両側に溢れ出す量とほぼ同量であるものの、親液部H12方向に拡がる範囲は、図1(b)とほぼ同じとなる。このため、従来よりも親液部を近接して形成することが可能となる。
【0011】
また、上記吐出位置は、上記親液部の幅方向の一端部であることが好ましい。これによって吐出位置と逆側に位置する親液部の幅方向の端部から機能液が溢れ出さないようにすることができる。
【0012】
また、上記吐出位置は、全ての親液部において各親液部の幅方向の中央に対して同一方向に変位していることが好ましい。これによって、親液部に着弾した機能液は、同一方向に溢れ出すので、複数の親液部を所定間隔で形成することが可能となる。
【0013】
なお、線パターンが2本の場合、各親液部の吐出位置は、その親液部の幅方向の外側端部とすることができる。このように吐出位置を各親液部の外側端部とすることで、各親液部から溢れ出す機能液は、隣の親液部と逆方向に溢れ出すため、2つの親液部をより近接させて形成することが可能となる。
なお、ここで言う、線パターンが2本の場合とは、基板上に2本のみの線パターンが形成されるという意味のみではなく、2本を一対として、互いの対が形成工程において干渉しないように充分離間されて基板上に複数形成される場合を含む意味である。
【0014】
また、親液部同士の間の寸法が15μm以下である場合には、所定の大きさの基板内に、従来と比較して多数の線パターンを形成することが可能となる。
【0015】
また、親液部の幅方向の寸法が機能液の飛翔時の径よりも小さい場合には、着弾後の機能液の一端部が親液部に触れるように機能液を吐出することを特徴とする。これによって親液部が機能液の飛翔時の径の半分よりも小さい場合であっても、機能液を親液部の片側のみに溢れ出させることができ、より確実に機能液を親液部に配置させることが可能となる。
【0016】
また、本発明において、撥液領域は単分子膜が上記基板上に形成されることによって撥液化される領域であることを特徴とする。この単分子膜しては有機分子からなる自己組織化膜が好ましい。この場合容易に単分子膜を形成できる。
また、単分子膜の変わりに、フッ化重合膜を形成することによって撥液領域を撥液化しても良い。フッ化重合膜の形成は、例えばフルオロカーボン系化合物を反応ガスとするプラズマ処理によって容易になすことができる。
【0017】
なお、被機能液配置領域には親液性を付与することが好ましく、この場合、紫外光の照射や酸素を反応ガスとするプラズマ処理、基板をオゾン雰囲気にさらす処理を好適に採用できる。この場合、一旦形成された撥液性の膜を、配線パターンに応じたマスクを用いて部分的に、しかも全体的に均一に破壊することができるので、撥液性を緩和し、所望の親液性を均一に得ることができる。
【0018】
なお、機能液に導電性微粒子が含まれている場合には、線パターンを配線パターンとすることができ、各種デバイスの配線パターンに応用することが可能となる。また、導電性微粒子の他の例としては、レジスト、線状絶縁材料としてのアクリル樹脂、加熱してシリコンになるシラン化合物(例えば、トリシラン、ペンタシラン、シクロトリシラン、1,1′−ビスシクロブタシラン等)、金属錯体等が挙げられる。これらは液体中に微粒子として分散されていても良く、溶解されて存在してもよい。
また、機能液に熱処理または光処理により導電性を発現する材料が含まれている場合には、被機能液配置領域に配置された機能液に対して熱処理または光処理を施すことによって、線パターンを配線パターンとすることができる。
【0019】
一方、本発明に係るデバイス製造方法は、基板に形成された線パターンを備えるデバイスの製造方法であって、上記線パターン形成方法によって上記基板に上記線パターンを形成することを特徴とする。
本発明に係る線パターン形成方法は、複数の線パターンの形成領域から一時的に溢れ出した機能液同士が接触しないように機能液を吐出することによって短絡を防止すると共に、線パターンと線パターンとをより近接させることができるので、この本発明に係る線パターン形成方法を用いることによって、信頼性が向上しかつ所定の大きさの基板により多数の線パターンを有したデバイスを製造することが可能となる。
【0020】
また、上記線パターンがスイッチング素子に接続される配線を構成する場合には、スイッチング素子に接続される配線をより確実にかつ多数形成することが可能となり、結果、所定の大きさの基板上により多数のスイッチング素子を確実に形成することが可能となる。
【0021】
そして、本発明に係る電気光学装置は、上記のデバイス製造方法を用いて製造されたデバイスを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴としている。
これによって、本発明では、より多数の画素を有した電気光学装置及び電子機器を確実に得ることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る線パターン形成方法、デバイスとその製造方法及び電気光学装置並びに電子機器の一実施形態について説明する。なお、参照する各図において、図面上で認識可能な大きさとするために縮尺は各層や各部材ごとに異なる場合がある。
【0023】
(第1実施形態)
本実施の形態では、液滴吐出法によって液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから導電性微粒子を含む配線パターン(線パターン)用インク(機能液)を液滴状に吐出し、基板上に配線パターンに応じて形成された親液部上に導電性膜からなる配線パターンを形成する場合の例を用いて説明する。
【0024】
この配線パターン用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液からなるものである。
本実施の形態では、導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドの吐出ノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0025】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0026】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物の吐出ノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えると吐出ノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0027】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合には吐出ノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、吐出ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0028】
配線パターンが形成される基板としては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
【0029】
ここで、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0030】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0031】
次に、本発明に係るデバイスを製造する際に用いられるデバイス製造装置について説明する。
このデバイス製造装置としては、液滴吐出ヘッドから基板に対して液滴を吐出(滴下)することによりデバイスを製造する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
【0032】
図4は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJにより液体材料(配線パターン用インク)を配置される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0033】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面に一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含む配線パターン用インクが吐出される。
【0034】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0035】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に配置された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0036】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して、液滴吐出ヘッド1の下面にX軸方向に配列された複数の吐出ノズルから液滴を吐出する。
【0037】
図5は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図5において、液体材料(配線パターン用インク、機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、吐出ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0038】
次に、本発明の薄膜パターン形成方法の実施形態の一例として、基板上に導電膜配線を形成する方法について図6及び図7を参照して説明する。本実施形態に係る線パターン形成方法は、上述した配線パターン用のインクを基板上に配置し、その基板上に配線用の導電膜パターンを形成するものであり、表面処理工程、材料配置工程、中間乾燥工程及び熱処理/光処理工程から概略構成される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
【0039】
(表面処理工程)
表面処理工程は、基板Pの表面を撥液化する撥液化処理工程と、撥液化された基板Pの表面を配線パターン形成領域に応じて親液化する親液化処理工程とに大別される。
撥液化処理工程では、導電膜配線を形成する基板Pの表面を配線パターン用インクに対して撥液性に加工する。具体的には、導電性微粒子を含有した配線パターン用インクに対する所定の接触角と、後に詳説する親液部H1における接触角との差が好ましくは50°以上となるように基板Pの表面に対して表面処理を施す。
基板Pの表面を撥液化する方法としては、例えば、基板Pの表面に自己組織化膜を形成する方法、プラズマ処理法等を採用できる。
【0040】
自己組織膜形成法では、配線パターンを形成すべき基板Pの表面に、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する。
基板Pの表面を処理するための有機分子膜は、基板Pに結合可能な官能基と、その反対側に親液基あるいは撥液基といった基板の表面性を改質する(表面エネルギーを制御する)官能基と、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖とを備えており、基板Pに結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成する。
【0041】
ここで、自己組織化膜とは、基板の下地層等の構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、配向させて形成された膜である。この自己組織化膜は、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。すなわち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均一でしかも優れた撥液性や親液性を付与することができる。
【0042】
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いることにより、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成され、膜の表面に均一な撥液性が付与される。
自己組織化膜を形成する化合物としては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下「FAS」という)を例示できる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、基板Pとの密着性と良好な撥液性とを得ることができる。
【0043】
FASは、一般的に構造式RnSiX(4−n)で表される。ここでnは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子などの加水分解基である。またRはフルオロアルキル基であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここでxは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでもよく、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、基板P(ガラス、シリコン)の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板Pと結合する。一方、Rは表面に(CF2)等のフルオロ基を有するため、基板Pの下地表面を濡れない(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
【0044】
有機分子膜などからなる自己組織化膜は、上記の原料化合物と基板Pとを同一の密閉容器中に入れておき、室温で2〜3日程度の間放置することにより基板P上に形成される。また、密閉容器全体を100℃に保持することにより、3時間程度で基板P上に形成される。これらは気相からの形成法であるが、液相からも自己組織化膜を形成できる。例えば、原料化合物を含む溶液中に基板Pを浸積し、洗浄、乾燥することで基板P上に自己組織化膜が形成される。
なお、自己組織化膜を形成する前に、基板Pの表面に紫外光を照射したり、溶媒により洗浄したりして、基板Pの表面の前処理を施すことが望ましい。
【0045】
一方、プラズマ処理法では、常圧又は真空中で基板Pに対してプラズマ照射を行う。プラズマ処理に用いるガス種は、配線パターンを形成すべき基板Pの表面材質等を考慮して種々選択できる。処理ガスとしては、例えば、4フッ化メタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン等を例示できる。
なお、基板Pの表面を撥液性に加工する処理は、所望の撥液性を有するフィルム、例えば4フッ化エチレン加工されたポリイミドフィルム等を基板Pの表面に貼着することによっても行ってもよい。また、撥液性の高いポリイミドフィルムをそのまま基板Pとして用いてもよい。
このように、自己組織膜形成法やプラズマ処理法を実施することにより、図6(a)に示されるように、基板Pの表面に撥液性膜Fが形成される。
【0046】
次に、配線パターン用インクを塗布して配線パターンを形成すべき領域の撥液性を緩和して親液性を付与することで(親液化処理)、親液部H1を形成する。
以下、親液化処理について説明する。
親液化処理としては、波長170〜400nmの紫外光を照射する方法が挙げられる。このとき、配線パターンに応じたマスクを用いて紫外光を照射することで、一旦形成した撥液性膜Fの中、配線パターン形成領域部分のみ部分的に変質させて撥液性を緩和して親液化することができる。つまり、上記撥液化処理及び親液化処理を施すことにより、図6(b)に示されるように、基板Pには、配線パターンが形成されるべき位置に親液性を付与された親液部H1と、親液部H1を囲む撥液性膜Fで構成される撥液部H2とが形成される。
なお、撥液性の緩和の程度は紫外光の照射時間で調整できるが、紫外光の強度、波長、熱処理(加熱)との組み合わせ等によって調整することもできる。
【0047】
親液化処理の他の方法としては、酸素を反応ガスとするプラズマ処理が挙げられる。具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。O2プラズマ処理の条件としては、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。
また、例えば基板Pの搬送速度を遅くしてプラズマ処理時間を長くする等、プラズマ処理条件を調整することによって、導電性微粒子を含有した配線パターン用インクに対する親液部H1の接触角を好ましくは15°以下に設定する。
さらに、別の親液化処理としては、基板をオゾン雰囲気に曝す処理も採用できる。
【0048】
(材料配置工程)
次に、上述の液滴吐出装置IJを用いて、配線パターン用インクを親液部H1に配置させる。なお、ここでは、配線パターン用インク(機能液)として、導電性微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた分散液を吐出する。ここで用いられる導電性微粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルの何れかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。なお、液滴吐出の条件としては、例えば、インク重量7ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行うことできる。また、液滴を吐出する雰囲気は、温度60℃以下、湿度80%以下に設定されていることが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルが目詰まりすることなく安定した液滴吐出を行うことができる。
【0049】
この材料配置工程では、図6(c)に示すように、親液部H11、H12、H13…の幅方向の一端部(本実施形態においては図6(c)における左側の端部)に、上述した液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド1に形成された吐出ノズル11、12、13…を各々対向させ、該吐出ノズル11、12、13…から配線パターン用インクXを親液部H11、H12、H13…の幅方向の端部に向けて吐出する。
【0050】
そして、吐出ノズル11、12、13…から吐出された配線パターン用インクXは、親液部H11、H12、H13…の幅方向の端部に着弾後、図7(d)に示すように、その一部が親液部H11、H12、H13…に接触し、かつ、親液部H11、H12、H13…に対して同一方向(本実施形態においては図7(d)における左側)に溢れ出した状態となる。
その後、配線パターン用インクXは、撥液領域H2からはじかれ親液部H11、H12、H13…に流れ込み、さらに親液部H11、H12、H13…において均一に濡れ拡がることによって、図7(e)に示すように、親液部H11、H12、H13…上に配置される。
【0051】
このように、配線パターン用インクXは、親液部H11、H12、H13…の幅方向の端部に向けて吐出されるため、各親液部H11、H12、H13…に配置する配線パターン用インクX同士が接触することなく、各親液部H11、H12、H13…に配置される。
このため、各親液部H11、H12、H13…から溢れ出した配線パターン用インクXが接触することに起因する短絡を確実に防止することが可能となる。また、図1(b)に示したように、配線パターン用インクXが各親液部H11、H12、H13…から親液部H1の幅方向の一方側(本実施形態においては図7における左側)に拡がる範囲は従来の吐出方法とほぼ同じの上、親液部H1の幅方向の他方側(本実施形態においては図7における右側)には溢れ出さないので、各親液部H11、H12、H13を近接して形成することが可能となる。
そして、上述した吐出ノズル11、12、13…が親液部H11、H12、H13…の延在方向に掃引されながら配線パターン用インクXを所定間隔で吐出していくことによって、配線パターン用インクXは、親液部H11、H12、H13…の延在方向に亘って均一に配置される。
なお、配線パターンの幅方向の寸法、すなわち親液部H1の幅方向の寸法が配線パターン用インクXの飛翔時の半径よりも小さい場合には、親液部H1の幅方向の一端部に配線パターン用インクXが着弾した際に親液部H1の幅方向の他端部にも配線パターン用インクXが付着して溢れ出す可能がある。そこで、配線パターン用インクXをさらに親液部H1の幅方向の中心から変位させ、着弾後に配線パターン用インクXの一端部のみが親液部H1に接触するように配線パターン用インクXを吐出することが好ましい。
【0052】
(中間乾燥工程)
基板Pに配線パターン用インクXを吐出した後、分散媒の除去及び膜厚確保のため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。そして、この中間乾燥工程と上記材料配置工程とを繰り返し行うことにより、図7(f)に示すように、膜厚の厚い配線パターン(線パターン)33が親液部H1上に形成される。
【0053】
(熱処理/光処置工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板Pには熱処理及び/又は光処理が施される。
【0054】
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行うことが好ましい。
以上の工程により配線パターン33は微粒子間の電気的接触が確保されて導電性膜に変換され、親液部H11、H12、H13…に所定の厚みの配線が形成される。
なお、機能液に、導電性微粒子でなく、熱処理または光処理により導電性を発現する材料を含有させておき、本熱処理/光処置工程において配線パターン33に導電性を発現させても良い。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、各親液部H11、H12、H13…から一時的に溢れ出した配線パターン用インクXが接触しないように、配線パターン用インクXを各親液部H11、H12、H13…の幅方向の中央から変位した位置に吐出するので、配線パターン用インクX同士が接触することに起因する短絡を防止することが可能となる。また、親液部H11、H12、H13…の幅方向の一方側において配線パターン用インクXが隣合う親液部方向に溢れ出す範囲が従来とほぼ同じ範囲であり、かつ、他方側に配線パターン用インクXが溢れないため、各親液部H11、H12、H13…を近接して形成することが可能となる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態として、上記第1実施形態において説明した配線パターン(線パターン)33が2本の場合について説明する。なお、ここで言う、配線パターン33が2本の場合とは、基板P上に2本のみの配線パターン33が形成されるという意味のみではなく、2本を一対として、互いの対が形成工程において干渉しないように充分離間されて基板P上に複数形成される場合を含む意味である。また、本第2実施形態においては第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0057】
本第2実施形態においては、図8に示すように、2本の配線パターンの形成領域に応じた親液部H1a,H1bとこれらの親液部H1a,H1bを囲む撥液部H2が形成されている。この親液部H1a,H1bに配線パターン用インクXを配置させる場合(第1実施形態における材料配置工程)には、図9(a)に示すように、吐出ノズル1aを親液部H1aの外側の端部に向けて配置し、吐出ノズル1bを親液部H1bの外側の端部に向けて配置する。そして、図9(b)に示すように、これらの吐出ノズル1a,1bから配線パターン用インクXが親液部H1a,H1bに向けて各々吐出される。
【0058】
そして、図9(c)に示すように、親液部H1a,H1bの外側の端部に各々着弾した配線パターン用インクXは、自らが配置されることとなる親液部と異なる親液部が形成されている方向とは逆方向に溢れ出す。すなわち、親液部H1aの外側の端部に着弾した配線パターン用インクXは、図9(c)における左側に溢れ、親液部H1bの外側の端部に着弾した配線パターン用インクXは、図9(c)における右側に溢れる。したがって、配線パターン用インクXが隣合う親液部側に溢れ出さないので、親液部H1aと親液部H1bとをより近接して形成することが可能となる。
その後、図9(d)に示すように、配線パターン用インクXは、各親液部H1a,H1bに配置される。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態として、本発明の電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。図10は、本発明に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図11は図10のH−H’線に沿う断面図である。図12は、液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図で、図13は、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【0060】
図10及び図11において、本実施の形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板10と対向基板20とが光硬化性の封止材であるシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。
【0061】
シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0062】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0063】
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域においては、図12に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0064】
画素電極19はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図11に示す対向基板20の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極19と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。例えば、画素電極19の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
【0065】
図13はボトムゲート型TFT30を有する液晶表示装置100の部分拡大断面図であって、TFTアレイ基板10を構成するガラス基板Pには、上記第1実施形態の線パターン形成方法によって形成されたゲート配線61が形成されている。
【0066】
ゲート配線61上には、SiNxからなるゲート絶縁膜62を介してアモルファスシリコン(a−Si)層からなる半導体層63が積層されている。このゲート配線部分に対向する半導体層63の部分がチャネル領域とされている。半導体層63上には、オーミック接合を得るための例えばn+型a−Si層からなる接合層64a及び64bが積層されており、チャネル領域の中央部における半導体層63上には、チャネルを保護するためのSiNxからなる絶縁性のエッチストップ膜65が形成されている。なお、これらゲート絶縁膜62、半導体層63、及びエッチストップ膜65は、蒸着(CVD)後にレジスト塗布、感光・現像、フォトエッチングを施されることで、図示されるようにパターニングされる。
【0067】
さらに、接合層64a、64b及びITOからなる画素電極19も同様に成膜するとともに、フォトエッチングを施されることで、図示するようにパターニングされる。そして、画素電極19、ゲート絶縁膜62及びエッチストップ膜65上にそれぞれバンク66…を突設し、これらバンク66…間に上述した液滴吐出装置IJを用いて、銀化合物の液滴を吐出することでソース線、ドレイン線を形成することができる。
【0068】
したがって、本実施形態では、信頼性が向上しかつ所定の大きさの基板により多数の配線パターンを有した液晶表示装置100を得ることができる。このように本発明に係る液晶表示装置100は、多数の配線パターンを有しているため、多数の画素を備えることがきる。
【0069】
(第4実施形態)
上記実施の形態では、TFT30を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、上記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT30を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することができる。
本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
【0070】
(第5実施形態)
第5実施形態として、非接触型カード媒体の実施形態について説明する。図14に示すように、本実施形態に係る非接触型カード媒体(電子機器)400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、図示されない外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
【0071】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、上記実施形態に係る線パターン形成方法によって形成されている。
したがって、良好なアンテナ特性を有するアンテナ回路412を備えた非接触型カード媒体を製造することができる。
なお、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【0072】
(第6実施形態)
第6実施形態として、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図15(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図15(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図15(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図15(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図15(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図15(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置を備えた液晶表示部を示している。
図15(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置を備えたものであるので、良好な発光特性を有した電子機器を提供することが可能となる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の線パターンの形成を説明するための模式図である。
【図2】従来の線パターンの形成を説明するための模式図である。
【図3】本発明に係る線パターンの形成を説明するための模式図である。
【図4】液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図5】ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図6】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図7】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図8】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図9】配線パターン形成する手順を示す図である。
【図10】液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図である。
【図11】図10のH−H’線に沿う断面図である。
【図12】液晶表示装置の等価回路図である。
【図13】同、液晶表示装置の部分拡大断面図である。
【図14】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【図15】本発明の電子機器の具体例を示す図である。
【符号の説明】
H1……親液部(被機能液配置領域)、H2……撥液部(撥液領域)、P……基板、X……配線パターン用インク(機能液)、30……TFT(スイッチング素子)、33……配線パターン(線パターン)、100……液晶表示装置(電気光学装置)、400……非接触型カード媒体(電子機器)、600……携帯電話本体(電子機器)、700……情報処理装置(電子機器)、800……時計本体(電子機器)
Claims (16)
- 機能液を基板上に配置させて平行な複数の線パターンを形成する方法であって、
前記基板上に前記線パターンの形成領域に応じた被機能液配置領域と該被機能液配置領域を囲む撥液領域とを形成する工程と、
隣合う前記被機能液配置領域から一時的に溢れ出した前記機能液同士が接触しないように各前記被機能液配置領域の幅方向の中央に対し当該幅方向に変位した位置を各々の被機能液配置領域の吐出位置として前記機能液を吐出することによって複数の前記被機能液配置領域に同時に機能液を配置させる工程と、
前記被機能液配置領域に配置された機能液に対して所定の処理をすることによって線パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする線パターン形成方法。 - 前記吐出位置は、前記被機能配置領域の幅方向の一端部であることを特徴とする請求項1記載の線パターン形成方法。
- 前記吐出位置は、全ての被機能液配置領域において各被機能液配置領域の幅方向の中央に対して同一方向に変位していることを特徴とする請求項1または2記載の線パターン形成方法。
- 線パターンが2本の場合、各被機能液配置領域の前記吐出位置は、その被機能液配置領域の幅方向の外側端部であることを特徴とする請求項1記載の線パターン形成方法。
- 前記被機能液配置領域の幅方向の寸法が前記機能液の飛翔時の径よりも小さい場合には、着弾後の前記機能液の一端部のみが前記被機能液配置領域に触れるように機能液は吐出されることを特徴とする請求項1、3または4に記載の線パターン形成方法。
- 前記被機能液配置領域同士の間の寸法は15μm以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の線パターン形成方法。
- 前記撥液領域は、単分子膜が前記基板上に形成されることによって撥液化される領域であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の線パターン形成方法。
- 前記単分子膜は、有機分子からなる自己組織化膜であることを特徴とする請求項7記載の線パターン形成方法。
- 前記撥液領域は、フッ化重合膜が前記基板上に形成されることによって撥液化される領域であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の線パターン形成方法。
- 前記機能液には、導電性微粒子が含まれることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の線パターン形成方法。
- 前記機能液には、熱処理または光処理により導電性を発現する材料が含まれることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の線パターン形成方法。
- 基板に形成された複数の線パターンを備えるデバイスの製造方法であって、
請求項1〜11いずれかに記載の線パターン形成方法によって前記基板に複数の前記線パターンを形成することを特徴とするデバイスの製造方法。 - 前記線パターンは、スイッチング素子に接続される配線を構成することを特徴とする請求項12記載のデバイスの製造方法。
- 請求項12または13記載のデバイスの製造方法によって製造されることを特徴とするデバイス。
- 請求項14記載のデバイスを備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項15記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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