JP2004335769A - 電磁波吸収体 - Google Patents

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Takashi Nakajima
中島  隆
Naoshi Fujita
直志 藤田
Kazuyasu Nakane
和靖 中根
Shiko Nakajima
志行 中島
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Abstract

【課題】導電層の縁辺からの電磁波の発生が抑制される電磁波吸収体を提供する。
【解決手段】電磁波吸収層に、積層方向からみて該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一である導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層の全縁辺が凹凸形状であることを特徴とする電磁波吸収体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電層の縁辺から電磁波が発生することを抑制する電磁波吸収体に関する。また、本発明は、この電磁波吸収体を備えた、電磁波発生電子機器用デバイスにも関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジオ、テレビ、無線通信による電波に加えて、最近の情報技術の進展により急増した携帯電話、パソコンなどの電子機器からも間断なく電磁波は放射され、生体や他の電子機器に対し機能障害や誤動作を引き起こす。また、情報を発生、処理する電子回路も高密度化が進み、特に高周波化により回路や信号の伝送路からの電磁波の輻射も起こりやすくなり、外部への輻射や回路内での放射ノイズ、信号間の干渉などが問題となってきている。これらの問題を解決するため、電磁波発生部位の近傍に設置され、効率よく電磁波を吸収できる、電磁波吸収体が開発されてきている。
【0003】
このような電磁波対策用の電磁波吸収体の構造として、電磁波吸収層のみを有する構造の他、さらに導電層を設けた構造のものもある。
【0004】
このような導電層を有する電磁波吸収体として、特許文献1には、金属箔、金属薄板、または金属めっきにより形成した金属層を有する電磁波吸収体が開示され、また、特許文献2には、導電性支持体として軟磁性金属板、網目状軟磁性金属板または軟磁性金属繊維の織物を用いた電磁波干渉抑制体が開示されている。
【0005】
しかし、このような導電層を設けた構造の電磁波吸収体は、一般的に、電磁波吸収層に導電層を積層し、次いで用途に応じて、適切な形状および大きさに該積層体を切断して作製される。この場合、図3に示すように、電磁波吸収層2と導電層1は形状および大きさにおいて同一であり、また導電層1の切断箇所の縁辺1aは、その全長において電磁波吸収層2の輪郭に重なり、かつ一直線形状をとる。また、図4に示すように、特許文献2に示されるような網目状導電層を使用する場合、切断線3が、導電層1の網目部分を通る(切断線3a)こともあるが、切断によっては、1bで代表される素線部分のみを通過することもあり得る(切断線3b)。切断線3bの場合、切断により、導電層に生じた縁辺は、その全長において電磁波吸収層2の輪郭に重なり、かつ一直線形状をとることになる。
これらの例においては、導電層の縁辺がその全長において一直線形状をとると、電磁波吸収体が電磁波を吸収した際、導電層から、その縁辺の長さの4倍の長さの波長を有する電磁波が発生する(アンテナ効果)ため、電磁波吸収体として充分な効果を示さなくなる。
【0006】
この問題を解決するために、電磁波吸収層より、長さと幅を狭めた、より小さい形状の導電層を該電磁波吸収層に積層する方法が考えられる。しかしこの方法では、導電層と電磁波吸収層との貼り合わせが悪く、不良品の発生を抑えることが困難であり、また生産効率も悪い。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−118008号公報
【特許文献2】
特開平7−212079号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、導電層の縁辺からの電磁波の発生が抑制される電磁波吸収体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、電磁波吸収層に、該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一の導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層の縁辺と該電磁波吸収層の輪郭とが重なる直線部分の長さを調整すること、詳細には、該導電層の全縁辺を凹凸形状に形成すること、または該導電層を不連続パターン状の導電性被膜とすることにより、該導電層の縁辺からの電磁波の発生が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、電磁波吸収層に、積層方向からみて該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一である導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層の全縁辺が凹凸形状であることを特徴とする電磁波吸収体に関する。また、本発明は、電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層が不連続パターン状の導電性被膜であることを特徴とする電磁波吸収体にも関する。
【0011】
上記の縁辺が凹凸形状であるとは、積層方向からみて導電層の縁辺が凹凸形状からなることのみを意味するものではない。すなわち、該凹凸方向が、積層方向に対して、平行していてもよく、斜交していてもよく、又は直交していてもよいことを意味する。
【0012】
本発明において、凹凸形状には、例えば、波線形状、直線からなるギザギザ状、およびそれらの混成などが挙げられる。
【0013】
本発明において、実質的に形状および大きさが同一とは、導電層は、該導電層の縁辺に形成された形状が凹凸形状であること以外は、該導電層を積層させる電磁波吸収層と、積層方向からみて、形状および大きさが同一であるという意味である。
なお、網目状導電層においては、積層方向からみて該導電層の層全体の輪郭により形成される形状および大きさが、積層方向からみて該導電層を積層させる電磁波吸収層の形状および大きさと、該導電層の縁辺に形成された形状が凹凸形状であること以外は、同一であることを意味する。
また、本発明に係る、電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、積層方向からみて、該導電層の縁辺が凹凸形状を有する場合の該導電層は、該電磁波吸収層の輪郭部の内側に接するように略重畳しているが、該導電層の全縁辺が、該電磁波吸収層の輪郭にその全長にわたって重なっているのではない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、電磁波吸収層に、積層方向からみて該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一である導電層を積層してなる電磁波吸収体であって、該導電層の全縁辺が凹凸形状であることにより、積層方向からみて、該全縁辺が、その全長において該電磁波吸収層の輪郭に重なっておらず、該縁辺の一部が該電磁波吸収層の輪郭に重なっていて、かつ該電磁波吸収層の輪郭より外側に突出している部分を含まなければ、どのような電磁波吸収体をも含むことができる。
【0015】
本発明において、積層方向からみて、導電層の縁辺が、電磁波吸収層の輪郭に重なっている部分の長さは、特に制限されないが、この重なっている部分からの電磁波発生を抑制する点から、λ/4未満であることが好ましい。また、当該重なっている部分が複数存在している場合、当該各部分の間隔は特に制限されないが、最も近くにある当該部分同士の間隔は、直線距離でλ/10以下であることが好ましい。ここで、λは、電磁波発生部位から発生する電磁波の波長であって、本発明の電磁波吸収体が吸収すべき波長を意味する。
【0016】
本発明の実施形態として、例えば、以下の実施形態が挙げられる。
【0017】
本発明の第一の実施形態として、導電層の全縁辺が、微細加工により形成された凹凸形状である電磁波吸収体が挙げられる。例えば、導電層の全縁辺を微細加工により凹凸形状に形成し、次に、該導電層を、積層方向からみて該導電層と実質的に形状および大きさが同一である電磁波吸収層に積層することにより、本発明の電磁波吸収体を作製することができる。
上記の微細加工手段として、パンチング、プレス成形および織布成形などが使用できる。
【0018】
本発明の第二の実施形態は、積層方向からみて、導電層が網目(メッシュ)状であり、かつ該導電層の全縁辺が凹凸形状である電磁波吸収体である。
【0019】
この第二の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層に、網目状導電層を積層し、次に、得られた積層体を、例えば図4に示すように、切断線が、導電層1の網目部分のみを通る(切断線3a)ように、切断することにより作製することができる。あるいは、この第二の実施形態に係わる電磁波吸収体は、上記積層体を、切断線が積層方向からみて非直線形状、例えば、曲線形状に切断することにより作製することもできる。あるいは、この第二の実施形態に係わる電磁波吸収体は、網目状導電層を、切断線が積層方向からみて非直線形状、例えば、曲線形状になるように切断し、次に、積層方向からみて該導電層と実質的に形状および大きさが同一である電磁波吸収層に、該網目状導電層を積層することにより作製することもできる。
【0020】
本発明の第三の実施形態は、上記の第二の実施形態を変形した形態である。すなわち、積層方向からみて、網目状導電層の網目を構成する素線が該素線の全長において一直線形状であって、該素線の方向が、該電磁波吸収層のいずれの縁辺の方向に対しても非平行である、上記の第二の実施形態に係わる電磁波吸収体である。
【0021】
例えば、図1および図2に示すように、電磁波吸収層に網目状導電層を積層してなる電磁波吸収体において、積層方向からみて該導電層の網目の目の形状が矩形であり、積層方向からみて該電磁波吸収層が矩形であり、かつ、該導電層の網目を構成する素線の方向が、該電磁波吸収層の縁辺の方向に対して、一定の角度、例えば45度の角度で交叉している、電磁波吸収体が挙げられる。
【0022】
この第三の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層に、素線が交叉してなる網目状導電層を積層し、次に、得られた積層体を、切断線が、該導電層のいずれの素線に対しても平行にならないように、例えば、図4の切断線3cのように、素線の方向に対して、一定の角度、例えば45度の角度をつけて切断することにより作製することができる。
【0023】
あるいは、この第三の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層に、素線が交叉してなる網目状導電層を積層する際、該導電層のいずれの素線をも、該電磁波吸収層のいずれの縁辺の方向に対しても平行にならないように、該電磁波吸収層の縁辺の方向に対して、例えば45度の角度をつけて積層し、次に、得られた積層体を、切断線が該電磁波吸収層の縁辺の方向と平行になるようにして切断することにより作製することもできる。
【0024】
本発明に使用される、素線が交叉してなる網目状導電層として、例えば、導電性の繊維を織成してなる導電層;または、導電性の繊維を交叉させてなる導電層などが挙げられる。
【0025】
また、本発明に使用される、素線が交叉してなる網目状導電層として、例えば、非導電性の繊維を織成してなるものを、導電性表面処理して得た導電層;または、非導電性の繊維を交叉させてなるものを、導電性表面処理して得た導電層などが挙げられる。
【0026】
また、本発明に使用される、素線が交叉してなる網目状導電層は、導電性の箔または板をパンチングしてなる導電層;あるいは、非導電性の箔または板をパンチングしてなるものを、導電性表面処理した導電層なども含む。
【0027】
なお、上記のパンチングしてなる導電層において、素線とは、該導電材料の透孔以外の材料部分を意味する。
【0028】
本発明の第四の実施形態は、前記の第二の実施形態を変形した形態である。すなわち、積層方向からみて、網目状導電層の網目を構成する素線が非直線形状である、前記の第二の実施形態に係わる電磁波吸収体である。
ここで、非直線形状として、例えば凹凸形状、すなわち、波線形状、直線からなるギザギザ状、およびそれらの混成などが挙げられる。
【0029】
この第四の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層に、素線が非直線形状をとる網目状の導電層を積層し、次に、得られた積層体を切断することにより作製することができる。この第四の実施形態では、網目状の導電層の素線は、その全長において一直線形状ではないため、該積層体を切断する際、切断線の素線に対する角度を特に限定することもない。また、電磁波吸収層に、導電層を積層する際、該電磁波吸収層の縁辺の方向に対する、該導電層の素線方向の角度を特に限定することもない。
【0030】
本発明に使用される、素線が非直線形状をとる網目状の導電層として、例えば、導電性の繊維を編成してなるか、または非導電性の繊維を編成してなるものに導電性表面処理をして得た導電層;あるいは蜂の巣状の網目状導電層などが挙げられる。
【0031】
本発明に使用される網目状の導電層において、網目を構成する素線の線径は、特に制限されないが、例えば1μm〜300μmが好ましく、またメッシュも、特に制限されないが、例えば5メッシュ〜200メッシュが好ましい。
【0032】
本発明の第五の実施形態は、例えば図5に示すように、電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、積層方向からみて、該導電層が不連続パターン状の導電性被膜であることを特徴とする電磁波吸収体である。不連続パターン状とは、該電磁波吸収体の積層方向からみて、導電性被膜が、複数存在し、それらが互いにつながっておらず、独立して存在していることをいい、例えば、互いに離散した複数の図形からなる模様などが挙げられる。そのような模様としては、例えば水玉模様および非直線状の縞模様などが挙げられる。また、上記の図形として、例えば、円、楕円、三角形、四角形、多角形、十字形、不定形などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、上記のパターンを構成する複数の図形は、互いに同一の図形であっても異なる図形であってもよい。
ここで、非直線形状とは、例えば凹凸形状、例えば、波線形状、直線からなるギザギザ状、およびそれらの混成などが挙げられる。
【0033】
この第五の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層の表面を導電性表面処理することにより、該表面に不連続パターン状の導電性被膜を形成させ、次に、得られた積層体を切断することにより作製することができる。この第五の実施形態では、該導電性被膜は互いにつながっていないため、該積層体を切断する際、切断線の角度を特に限定することもない。
【0034】
また、本発明の第六の実施形態として、上記の第五の実施形態に係わる電磁波吸収体の変形した形態が挙げられる。すなわち、電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、積層方向からみて、該導電層が、直線形状の縞模様の導電性被膜であって、該模様の方向が、該電磁波吸収層のいずれの縁辺の方向に対しても非平行である、上記の第五の実施形態に係わる電磁波吸収体である。
【0035】
この第六の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層の表面を導電性表面処理することにより、該表面に直線形状の縞模様の導電性被膜を形成させ、次に、得られた積層体を、切断線が、該導電層のいずれの縞模様の方向に対しても平行にならないように、縞模様の方向に対して、一定の角度、例えば45度の角度をつけて切断することにより作製することができる。
【0036】
あるいは、この第六の実施形態に係わる電磁波吸収体は、電磁波吸収層の表面を導電性表面処理することにより、該表面に直線形状の縞模様の導電性被膜を形成させる際、該導電層のいずれの模様の方向をも、該電磁波吸収層のいずれの縁辺の方向に対しても平行にならないように、該電磁波吸収層の縁辺の方向に対して、例えば45度の角度をつけて導電性被膜を形成させ、次に、得られた積層体を、切断線が該電磁波吸収層の縁辺の方向と平行になるようにして切断することにより作製することもできる。
【0037】
上記の導電性被膜の不連続パターンを形成する一の図形と、その隣に在る他の図形との間隔を任意に設定することはできるが、最も近くにある図形同士の間隔が、最長でλ/10以下であることが好ましい。また、該不連続パターンを形成する図形の大きさを任意に設定することはできるが、該図形の幅が最長でλ/4未満であることが好ましい。
ここで、λとは、電磁波発生部位から発生する電磁波の波長であって、本発明の電磁波吸収体が吸収すべき波長を意味する。
【0038】
本発明に使用される導電性の繊維として、例えば、導電材料を線状もしくは繊維状にしたもの、または導電性表面処理した繊維などが挙げられる。
【0039】
本発明に使用される導電性の箔または板として、例えば、導電材料を箔もしくは板状に成形したもの、または導電性表面処理した箔もしくは板などが挙げられる。
【0040】
上記の導電材料は、特に制限されず、どのような導電材料をも使用することができる。例えば、金属、導電性カーボン、導電性無機物、導電性高分子(導電性ポリマー)および導電性複合材料などを使用することができる。また、これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0041】
上記の金属として、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀および銅などの金属、ならびに黄銅、モネルメタル、ステンレス鋼およびニクロムなどを包含するこれらの合金などが挙げられる。
【0042】
上記の導電性無機物として、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、二酸化チタン(TiO)およびスズドープ酸化インジウム(ITO)などが挙げられる。
【0043】
上記の導電性高分子(導電性ポリマー)として、ポリアセチレンおよびポリフェニルアセチレンなどのポリアセチレン系;ポリフェニレンおよびポリフェニレンビニレンなどのポリフェニレン系;ポリピロールおよびポリチオフェンなどの複素環高分子;ならびにポリアニリンおよびポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)などのイオン性高分子などに、アルカリ金属、金属塩、有機分子、高分子などをドーピングしたものが挙げられる。また、導電性高分子(導電性ポリマー)としては、ポリアセン、ポリアセナセンおよびCu−フタロシアニンなどの、ラダー状およびネットワーク状高分子なども挙げられる。
【0044】
上記の導電性複合材料として、プラスチック、天然および合成の有機ゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ガラス、ならびにガラス繊維などに、導電性フィラーを含有させ、および/または導電性表面処理を施したものが挙げられる。また、これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0045】
上記の導電性フィラーとして、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀および銅などの金属;黄銅、モネルメタル、ステンレス鋼およびニクロムなどを包含するこれらの合金;炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、二酸化チタン(TiO)およびスズドープ酸化インジウム(ITO)などの導電性無機物;ならびに導電性カーボンなどの、粒子、フレークおよび繊維などが挙げられる。これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0046】
本発明において使用される導電性表面処理として、例えば、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀および銅などの金属を使用した、無電解めっきなどのめっき、真空蒸着などの蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、金属溶射、蒸着膜のエッチングおよびスパッタエッチングなどが挙げられ、さらには導電性を有する、塗料、ペーストまたは接着剤の塗布;金属塗料の塗布;および導電性不織布、導電性繊維またはフィルムの貼付なども挙げられる。しかし、本発明において使用される導電性表面処理は、これらに限定されるものではない。また、これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0047】
上記の導電性を有する塗料、ペースト、接着剤およびフィルムとして、例えば、前記の導電性フィラーを含有する、塗料、ペースト、フィルムおよび接着剤などが挙げられる。また、これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を併用することもできる。
【0048】
本発明の電磁波吸収層は、特に制限されず、例えば、軟磁性粉末〔センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマロイなどの軟磁性金属粉、フェライトなど〕および/または導電性カーボン(黒鉛、カーボンブラックなど)を含む絶縁基材などが使用できる。絶縁基材としては、例えば、プラスチック、天然および合成の有機ゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ガラス、ならびにガラス繊維などが挙げられる。
【0049】
本発明においては、電磁波吸収層に導電層を慣用の方法で積層できる。また、電磁波吸収層の表面を導電性処理して、該表面に導電性被膜を形成することにより、電磁波吸収層に導電層を積層してもよい。
【0050】
例えば、前記の本発明の第一の実施形態においては、電磁波吸収層の表面を導電性処理することにより、該表面に凹凸形状の縁辺を有する導電性被膜を形成させてもよい。あるいは、電磁波吸収層の表面を導電性処理して、該表面に導電性被膜を形成させ、次に、該導電性被膜の縁辺を凹凸形状に形成してもよい。
【0051】
また、前記の本発明の第二〜四の実施形態においては、素線が交叉してなる網目(メッシュ)状模様に、または素線が非直線形状をとる網目状模様に、導電性被膜を形成させることにより、前記の各実施形態における積層体を得ることもできる。
【0052】
なお、上記の、素線が交叉してなる網目状模様に、または素線が非直線形状をとる網目状模様において、素線とは導電性被膜部分を意味する。
【0053】
本発明の電磁波吸収体は、導電層および電磁波吸収層をそれぞれ1層以上積層することができる。また、本発明の電磁波吸収体は、導電層や電磁波吸収層以外にも接着層や保護層などの層を1層以上積層することもできる。
さらに、これらの層の積層順序は特に限定されない。すなわち、導電層と電磁波吸収層の間に、接着層などの層を1層以上介在させることもできるし、また接着層などが場合により介在する導電層と電磁波吸収層の積層体の、片面または両面に、さらに保護層または接着層などの層を1層以上積層することもできる。
導電層の一方の面に、場合により接着層などを介在させて、電磁波吸収層を積層し、さらに、該一方の面の反対側の面に、場合により接着層などを介在させて、電磁波吸収層を積層し、さらに、場合により、この得られた積層体の片面または両面に保護層などを積層して、本発明の電磁波吸収体とすることもできる。
【0054】
本発明の電磁波吸収体においては、導電層の厚さは、特に制限されないが、電子機器の微細化・高密度化に対応できるようにするため、0.5mm以下が好ましく、また導電性能の点から、0.001μm以上が好ましい。
【0055】
本発明の電磁波吸収体においては、電磁波吸収層の厚さは、特に制限されないが、電子機器の微細化・高密度化に対応できるようにするため、3mm以下、特に2mm以下、とりわけ1mm以下が好ましく、また電磁波吸収性能の点から、0.05mm以上、特に0.1mm以上、とりわけ0.2mm以上が好ましい。
【0056】
本発明に係わる電磁波吸収体は、特に近傍界用電磁波吸収体に使用することができる。本発明において、近傍界用電磁波吸収体とは、筐体内の電波環境を良好にして、その内部に配置された各種デバイスの性能向上や性能維持を目的とするもので、電磁波発生部位に直接装着させ、該電磁波発生部位から電磁波が発生することを抑制するために使用されるものをいう。
すなわち、本発明の実施形態には、本発明の電磁波吸収体を備えた電磁波発生電子機器用デバイスも含まれる。本発明の電磁波発生電子機器用デバイスは、本発明の電磁波吸収体を、慣用の方法で、電磁波発生部位に装着することで得ることができる。このとき、通常、電磁波吸収体を、該電磁波吸収体の導電層側が外側に、該電磁波吸収体の電磁波吸収層側が内側になるように、電磁波発生電子機器用デバイスに装着させる。また、場合により、接着層などの層を介在させて、本発明の電磁波吸収体を、電磁波発生電子機器用デバイスに装着させてもよい。本発明に使用される、電磁波発生電子機器用デバイスとして、例えば電子機器の筐体、回路基板、プリント配線板、電子素子、LSI、ICチップ、および信号線路、例えばケーブルなどが挙げられる。
【0057】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0058】
電磁波吸収層の作製
塩素化ポリエチレン(CPE)樹脂(MR104、ダイソー製)100重量部、磁性粉(センダストパウダー、フレーク状)250重量部、および水酸化アルミニウム(ATH H42M、昭和電工製)100重量部を配合して、ニーダーで混練りした後、カレンダー加工により、厚み0.3mmのシート状に成形したものを電磁波吸収層とした。
【0059】
実施例1
上記で作製された電磁波吸収層の表面に、導電メッシュ(MT3−100、日清紡テンペスト(株)製)を、該導電クロスの素線方向が、該電磁波吸収層の縁辺と平行にならないように、45度に傾けて積層した。次に、該導電クロスの面を160℃にて圧着させ、該導電層と該電磁波吸収体を接着させた。次に、得られた積層体を、切断線が電磁波吸収層の縁辺と平行になるように、切断して、電磁波吸収体を作製した。また、今回吸収する周波数は300MHz〜2GHzを想定したため、80メッシュ(80本/inch)の導電クロスを使用した。
【0060】
実施例2
上記で作製された電磁波吸収層の表面に、金属塗料(metaflux、リキッドアルミニウム、(株)テスコ製)を、素線が直交する網目状に、80メッシュ(80本/inch)、厚さ20〜50μmになるように塗布した。この際、該網目状模様の素線方向が、該電磁波吸収層の縁辺と平行にならないように、45度に傾けて、導電塗料を塗布した。次に、得られた積層体を、乾燥させてから、切断線が該電磁波吸収層の縁辺と平行になるように切断して、電磁波吸収体を作製した。
【0061】
実施例3
上記で作製された電磁波吸収層の表面に、金属塗料(metaflux、リキッドアルミニウム、(株)テスコ製)を、対角線の長さ70μm、厚さ20〜50μmの正方形からなるパターン状に塗布した。その際、該正方形を、最も近くにあるもの同士の間隔が30μmになるように、上下左右に配列させた。次に、得られた積層体を、乾燥させてから、切断線が該電磁波吸収層の縁辺と平行になるように切断して、電磁波吸収体を作製した。
【0062】
マイクロストリップライン法による電磁波吸収特性の評価
上記で作製された電磁波吸収体の電磁波吸収特性を、森下健およびその他による「マイクロストリップラインの伝送特性に及ぼす磁気損失材料の装着」、電気学会計測研究会資料、社団法人、電気学会、2001年、IM−01−24、p.39−42に記載された方法に従い評価した。
すなわち、図6に示すように誘電体基板6(FR4:εγ=4.7−j0.1)上に、幅2.8mm、長さ75.0mmストリップ導体を有するマイクロストリップライン5(MSL)に、SMAコネクタ9を介して、同軸ケーブル8により高周波電力を供給し、ネットワークアナライザ4(8720D、HEWLETT PACKARD社製)を用いて、S21を測定した。MSL上には、上記で得られた電磁波吸収体7(40×50×0.4mm)を配置して測定した。
【0063】
本発明に係わる実施例1〜3の電磁波吸収体は、良好な電磁波吸収特性を示した。
【0064】
【発明の効果】
本発明の効果を以下に示す。
本発明によれば、電磁波吸収層に、積層方向からみて該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一である導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層の全縁辺を、凹凸形状とすることにより、該縁辺からの電磁波の発生を抑制することができる。また、本発明によれば、電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層を不連続パターン状の導電性被膜とすることにより、該縁辺からの電磁波の発生を抑制することができる。
このようにして、本発明に係わる電磁波吸収体は、導電層からの電磁波発生を抑制することができるため、従来の電磁波吸収体より電磁波吸収特性に特に優れている。
さらに、本発明に係わる電磁波吸収体は、生産効率も高い。
【0065】
本発明の電磁波吸収体は、特に近傍界用電磁波吸収体として有用であり、例えば、電子機器の筐体、回路基板、プリント配線板、電子素子、LSI、ICチップ、および信号線路、例えばケーブルなどの電磁波発生電子機器デバイスからの、不要なノイズを吸収、抑制する目的に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波吸収体の平面図の一例である。
【図2】本発明の電磁波吸収体の斜視図の一例である。
【図3】電磁波吸収体の斜視図の一例である。
【図4】電磁波吸収層に、網目状に織成された導電層を積層してなる積層体の平面図の一例である。
【図5】本発明の電磁波吸収体の平面図の一例である。
【図6】マイクロストリップライン法による測定系の概要を示した図である。
【符号の説明】
1 導電層
1a 導電層の縁辺
1b 導電層の素線部分
2 電磁波吸収層
2a 電磁波吸収層の縁辺
3a 導電層の網目部分を通過する切断線
3b 導電層の素線部分を通過する切断線
3c 導電層の素線方向と非平行である切断線
4 ネットワークアナライザ
5 マイクロストリップライン
6 誘電体基板
7 電磁波吸収体
8 同軸ケーブル
9 SMAコネクタ

Claims (7)

  1. 電磁波吸収層に、積層方向からみて該電磁波吸収層と実質的に形状および大きさが同一である導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層の全縁辺が凹凸形状であることを特徴とする電磁波吸収体。
  2. 導電層の全縁辺が、微細加工により形成された凹凸形状である、請求項1記載の電磁波吸収体。
  3. 導電層が網目状である、請求項1記載の電磁波吸収体。
  4. 網目状導電層の網目を構成する素線が該素線の全長において一直線形状であり、該素線の方向が該電磁波吸収層のいずれの縁辺の方向に対しても非平行である、請求項3記載の電磁波吸収体。
  5. 網目状導電層の網目を構成する素線が非直線形状である、請求項3記載の電磁波吸収体。
  6. 電磁波吸収層に導電層を積層してなる電磁波吸収体において、該導電層が不連続パターン状の導電性被膜であることを特徴とする電磁波吸収体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の電磁波吸収体を備えた、電磁波発生電子機器用デバイス。
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JP2013526775A (ja) * 2010-05-10 2013-06-24 コリア インスティチュ−ト オブ マシナリ− アンド マテリアルズ 広帯域電磁気波吸収体及びその製造方法

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