JP2004335446A - 貴金属放電チップの製造方法及びその貴金属放電チップを用いたスパークプラグの製造方法 - Google Patents

貴金属放電チップの製造方法及びその貴金属放電チップを用いたスパークプラグの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 塑性加工の極めて困難なイリジウム合金からなる放電チップの歩留まりを向上させることのできるスパークプラグの製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】 異常消耗を起こし難い白金、ロジウム、およびルテニウムの少なくとも1種類以上及びニッケルを含むイリジウムを主成分とする断面積0.05mm以上1.2mm以下の線材を形成する伸線加工において、ダイス101の被加工材挿入面101aから被加工材102の進行方向手前60mm以内の加熱範囲103を連続して赤熱及び/又は白熱加熱し、該面の手前20mmの温度測定位置温度測定位置105において被加工材102が1000〜1150℃に加熱され、かつ、温度測定位置105から被加工材挿入面101aまでの範囲106における温度を1000℃以上とし、かつ、伸線速度を1300〜1600mm/分とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、長寿命なスパークプラグに用いられる貴金属放電チップ及びスパークプラグの製造方法に関するものである。
スパークプラグに要求される耐火花消耗性を確保するため、貴金属放電チップとして融点が高いイリジウム合金が採用されてきている。しかし、イリジウム以外の金属成分の含有率が35質量%以下であるようなイリジウムを主成分とする合金は、塑性加工が極めて困難な材料である。このようなイリジウムを主成分とする合金のインゴットを熱間加工することによって断面積の小さい貴金属放電チップを形成する方法がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
特開平10−32076号公報 特開2000−331770号公報
しかしながら、イリジウム合金に、上記特許文献1及び上記特許文献2に開示されている熱間加工では、伸線時における亀裂、断線及びかぶりの発生を十分に抑えることができず、歩留まりを十分に向上させることが困難であった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、塑性加工の極めて困難なイリジウム合金からなる貴金属放電チップの歩留まりを向上させることのできる貴金属放電チップ及びその貴金属放電チップを用いたスパークプラグの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の貴金属放電チップ(51、52)の製造方法は、中心電極(3)と、中心電極(3)の先端部(3a)を露出させた状態で中心電極(3)の周囲を覆う絶縁体(2)と、絶縁体(2)を保持する主体金具(1)と、主体金具(1)に固定され、中心電極(3)の先端部(3a)との間で、放電ギャップ(g)を形成する対向部(4a)を有する接地電極(4)とを備え、中心電極(3)の先端部(3a)、および、接地電極(4)の対向部(4a)の少なくとも一方(3a)には、イリジウム以外の金属成分の含有率が0.5質量%以上35質量%以下のイリジウム合金であるインゴットを、圧延工程を経て断面積0.05mm以上1.2mm以下の線材を形成する伸線加工を施した後に、該線材を所定長さに切断して得られるものである。
そして、この伸線加工は、伸線加工に使用するダイス(101)の被加工材(102)が挿入される側の面である被加工材挿入面(101a)から被加工材(102)の進行方向手前60mm以内の加熱範囲(103)を連続して赤熱及び/又は白熱加熱し、被加工材挿入面の手前20mmの温度測定位置(105)において被加工材が1000℃以上1150℃以下に保持され、かつ、温度測定位置(105)から前記ダイス(101)の被加工材挿入面(101a)までの範囲(106)における温度が1000℃以上とされ、かつ、伸線速度が、1300mm/分以上1600mm/分以下であることを特徴とする。
上記イリジウム以外の金属成分としては、少なくともニッケルが挙げられる。こうして得られた貴金属放電チップ(51、52)が、スパークプラグの中心電極(3)の先端部(3a)、および、接地電極(4)の対向部(4a)の少なくとも一方(3a)に配置されている。
この貴金属放電チップの製造方法によれば、極めて塑性加工の困難なイリジウム合金から形成されている貴金属放電チップの製造歩留まりを飛躍的に向上させることができる。このように歩留まりを向上させることが可能となった理由として考えられる作用を以下に述べる。
イリジウム合金からなる貴金属放電チップ(51、52)は、上記公報に開示されているように、熱間伸線加工を経ている。この熱間伸線加工において、被加工材(102)であるイリジウム合金は、再結晶温度以上にまで赤熱から白熱させることによって前工程における加工歪を除去するとともに、硬度を低下させて塑性加工を容易にしている。そして、この状態でダイス(101)を通すことによって被加工材の断面積を縮小している。しかし、再結晶温度以上にまで温度を上げている時間が長くなると、被加工材(102)の結晶粒が粒成長するために、粒界が少なくなり、亀裂が発生した場合に進展しやすくなる。一方で、不可避不純物が粒界に集まってくるため、少なくなった粒界がより一層脆くなりやすい。このため、ダイス(101)を通す際に生じる引っ張り応力に被加工材が耐えられなくなって、亀裂が生じやすく、また、その亀裂が進展し、時には断線を生じてしまうものと推定される。つまり、伸線加工を行うためには被加工材(102)の加工歪を除去しつつ硬度を低下させることが必要であるために、温度をでき得る限り上げる必要があるが、必然的に再結晶温度以上での保持時間が長くなってしまうために、粒成長を起こし、粒界に不純物が集まって脆くなってしまうものと考えられる。また、被加工材(102)の加熱が不均一になってしまい、被加工材表層部の周方向における硬度の低下がばらついてしまう場合には、部分的に塑性変形の困難な個所と容易な個所とが出てきてしまう。このような状態でダイス(101)を通して変形させる時に、塑性変形容易な個所に覆い被さる様に塑性変形困難な個所が逃げてくるために、かぶりが発生してしまうものと推定される。このような不具合は、伸線加工をおこなう際に、被加工材(102)の加熱時間が短い場合や、伸線速度が速い場合に発生しやすいことがわかった。
これらの相反する不具合を回避して加工を行うために、本発明者等が鋭意検討した結果、被加工材(102)の温度を再結晶温度以上に上げながらも、その温度での保持時間を短くし、適度な引っ張り応力がかかる程度の伸線速度にすることが必要であることが判明した。このため、温度、時間、伸線速度を上記した範囲内にすることによって、本発明を完成することができたのである。なお、温度測定位置(105)からダイス(101)の被加工材挿入面(101a)までの範囲(106)における温度は、温度測定位置(105)における温度測定結果と被加工材挿入面(101a)進行方向手前5mmの位置における被加工材(102)の放射温度計による温度測定結果との平均で表すものとする。放射温度計による温度測定時に一瞬たりとも本願請求項にかかる発明に規定した温度範囲を外れることが許容されないものではないが、温度測定時間の95%以上が本願請求項にかかる発明に規定した温度範囲内に入ることが必要である。
なお、イリジウム以外の金属成分として、少なくともイリジウム以外の貴金属を含むときに本発明の効果がより一層顕著となる。また、このとき卑金属を不純物として含有する以外には全く含有しないことが望ましい。また、含有させたとしても5質量%以下とするとよい。即ち、イリジウム以外の金属成分として、少なくともイリジウム以外の貴金属を含み、卑金属を不純物として含有する以外には含有しないか若しくは5質量%以下含有させたときに本発明の効果がより一層顕著となる。貴金属としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムがよく、卑金属としてはニッケル、レニウム、ニオブ、クロム、タングステンがよい。これらの金属は、イリジウムの酸化揮発性を抑制できるため、スパークプラグとして使用した場合の耐久性を向上させることができるからである。一方で、これらの金属を含有させるとイリジウム以外の貴金属を含有することで加工性がイリジウム単体の金属であるときよりも塑性加工が困難になる。このため、このような塑性加工が困難である組成の時に本発明の効果が一層顕著となる。ただし、一部の金属(例えばロジウム、タングステン)では、イリジウム単体の場合よりも塑性加工性が向上する場合もある。しかし、このような塑性加工性を向上させる金属の含有を妨げるものではなく、むしろ本発明の方法によればより一層の効果を得ることができる。また、ニッケルを含有させることにより、イリジウム合金の異常腐食を抑制する事ができる。しかし、このイリジウム合金の展性が低下することから塑性加工は、より一層困難になる。したがって、本発明の製造方法は、ニッケルを含有する貴金属放電チップにとって歩留まりを向上させるために極めて有効な手法である。このような製造方法によって製造された貴金属放電チップは内在している微小な欠陥が少なくなるので、これをスパークプラグに接合すれば、接合時の歩留まりをも向上させることができる。
以下、本発明の製造方法によって製造された貴金属放電チップ51、52を中心電極3の先端部3a、および、接地電極4の対向部4aの少なくとも一方に接合されたスパークプラグ100に付いて説明する。本実施形態のスパークプラグ100を図1に示す。図1に示すように、スパークプラグ100は、円筒形状の主体金具1を有しており、この主体金具1は、図示しないエンジンブロックに固定するための取付ネジ部1aを備えている。主体金具1の内部には、アルミナセラミック(Al2
3 )等からなる絶縁体2が固定されており、この絶縁体2の軸孔2aに中心電極3が固定されている。絶縁体2の先端部2bは、主体金具1から露出するように設けられている。
中心電極3は、内部にCu等の熱伝導性に優れた金属材料が配置されており、その外部を覆うようにインコネル600(商標名)からなるニッケル基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体である。そして、図2に示すように、その先端部3aが絶縁体2の先端部2bから露出するように設けられている。主体金具1の一端には、接地電極4が溶接により固定されている。この接地電極4は、インコネル600(商標名)からなるニッケル基合金等の金属材料からなり、その対向部と中心電極3の先端部3aとで放電ギャップgを形成している。
中心電極3の先端部3aには、本発明の特徴であるイリジウム合金からなる貴金属放電チップ51が設けられている。この貴金属放電チップ51は断面円形に形成されており、貴金属放電チップ51の熱の引けと、中心電極3および接地電極4の消炎作用とを考慮して、貴金属放電チップ51の直径は例えば0.6mm、長さは0.8mmとしている。
図2に示すように、中心電極3の先端部3aには細径部3cが形成されており、この細径部3cの先端に更にストレート部が形成されている。このストレート部の先端面に貴金属放電チップ51を載置した後、レーザ溶接により固定している。このストレート部の外径は、貴金属放電チップ51の外径よりもやや大きく形成されている。レーザ溶接のスポットは、貴金属放電チップ51の外周部の周方向に35°間隔で10点行なっている。
中心電極3の先端部3aとの間で放電ギャップgを形成する接地電極4の対向部4aには、貴金属放電チップ52が抵抗溶接により固定されている。貴金属放電チップ52も断面円形で、80質量%白金と20質量%ニッケルとから形成されている。貴金属放電チップ52の直径は0.9mm(断面積は約0.64mm2
)、長さは0.3mmとしている。ここで、一般に、中心電極3側の貴金属放電チップ51の方が、接地電極4側の貴金属放電チップ52よりも、火花放電による消耗量が大きい。よって、本実施形態では、貴金属放電チップ51のみをイリジウム合金によって形成し、貴金属放電チップ52には、従来と同様のものを用いている。なお、耐消耗性が要求される場合には、後述する本製造方法による接地電極4側の貴金属放電チップ52を用いてもよい。
以下に、貴金属放電チップ51の具体的な製造方法を図3及び図4に基づいて説明する。まず、イリジウム以外の金属成分の含有率が35質量%以下となるようにイリジウム及びイリジウム以外の金属成分をアーク溶解して(図3:S1)インゴットを形成し(図3:S2)、このインゴットを熱間鍛造して(図3:S3)、微細な繊維組織を有する棒材とする。この棒材は、後述する溝ロール圧延及びスエージング加工に先立って、例えば1400〜1450℃に加熱される。次に、この棒材を複数回溝ロール圧延して(図3:S4)小断面積の断面正六角形の棒材とする。溝ロール圧延を行うに際し、被加工材は800〜1400mm/分の速度で圧延される。
その後、この棒材にスエージングを行い(図3:S5)、丸棒状に形成する。さらに、複数回伸線加工を施す(図3:S6)ことによって、断面積0.05mm以上1.2mm以下の断面円形状の線材とし、この線材を所定長さに切断する(図3:S7)ことによって、貴金属放電チップ51を形成する。この伸線加工を行うに際し、図4に示す様に伸線加工に使用するダイス101の被加工材102が挿入される側の面である被加工材挿入面101aから被加工材102の進行方向手前60mm以内の加熱範囲103がバーナ104の火炎に曝されるように加熱される。そして、この被加工材挿入面101aの手前20mmの温度測定位置105において被加工材102が1000℃以上1150℃以下に加熱され、かつ、温度測定位置105から被加工材挿入面101aまでの範囲106における温度が1000℃以上とされている。さらに、伸線速度は、1300mm/分以上1600mm/分以下に調整されている。また、図4に示すようにダイス101またはダイス101を保持固定するダイブロック(図示せず)もバーナ104によって加熱すると良い。なお、伸線速度は、被加工材102がダイスに対して加熱される側の速度を表しており、その調整は、被加工材を巻き取るための巻き取りドラム(図示せず)の回転速度を調整することによって行なう。
なお、断面積0.05mm以上1.2mm以下の断面円形状の線材を、ワイヤーソー等を用いて所定長さに研磨切断すると、切断面にバリ、亀裂、凹凸等が発生しないので好ましい。また、本発明の溝ロール圧延、スエージング及び伸線加工を行なった後の各線径における断面減少率は5%以下としている。しかし、この範囲に限定されるわけではなく、例えば実験に基づいて好適な断面減少率を設定すればよい。なお、断面減少率とは、各線径におけるダイス加工前の被加工材断面積をA0、ダイス加工後の被加工材断面積をAとしたときに、〔(A0−A)/A0〕×100として算出される百分率をいう。
さらに、貴金属放電チップ51の長さは、0.5mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。これは、貴金属放電チップ51の断面積が0.05mm2
未満で、長さが2.0mmよりも大きいと、スパークプラグの使用中に、貴金属放電チップ51の放電ギャップg側から中心電極3側への熱の引けが悪くなり、貴金属放電チップ51の放電ギャップg側が異常に高温となって、貴金属放電チップ51の消耗量が増加し、長寿命のスパークプラグの仕様を満たさない恐れがあるからである。
また、貴金属放電チップ51の断面積が1.2mm2
より大きくなると、貴金属放電チップ51の放電ギャップg側における電界の集中程度が弱くなり、スパークプラグの放電電圧が増大しやすい。また、貴金属放電チップ51の放電ギャップg側表面に火炎は形成されるものであるが、この貴金属放電チップ51の長さが0.5mm未満であると、上記火炎と中心電極3との距離が近づき、上記火炎が中心電極3により冷却されてしまい(以下、消炎作用という)、スパークプラグの着火性が低下する恐れがあるためである。
次に、実験例により、発明を実施するための最良の形態をより具体的に説明する。イリジウムと、種々の上記金属成分とからなる直径φ0.6mm長さ0.8mmの貴金属放電チップを形成するための伸線加工において、被加工材を種々の温度・時間・伸線速度で加工した場合の歩留まりを測定した結果を図5に示す。また、各線径における断面減少率は3〜5%で行っている。この歩留まりは、断線、ダイスによる伸線加工中のかぶりの発生及びダイスによる伸線加工が終了した後の線材表面を浸透探傷液によって0.03mmを超える亀裂の有無を観察することによって判断した。一般に、ダイスによる伸線加工を行うためには、被加工材の先端を予め細く加工して、ダイスを容易に通るようにしておき、前述した巻き取りドラムにチャックする必要がある。このように予め細く加工した部分は製品として使用することができないために、歩留まりが100%となることはない。なお、その他の加工は上述した方法により行っている。図5には、実験例No.1〜31に関して、被加工材の組成、即ち、イリジウムとイリジウム以外の上記金属成分の比率及び各組成における伸線加工条件とを示してあり、実験例No.に*印のあるものは、本発明の範囲外であることを示す。
被加工材およびダイスの加熱はバーナ104を用いて行い、温度測定位置105における温度測定は、測定スポット径がφ3である放射温度計110によって行っている。この放射温度計110による測定方法として、以下のように行った。即ち、予め被加工材と同一組成・同一線径の線材を電気炉に投入して、炉温度の指示値又はこの線材に接続した熱電対の指示値と、この線材を放射温度計110で測定したときの放射温度計100の指示値とが合致するように各線径における放射率を決めておく。そして、被加工材の伸線加工時には、線径に合わせた放射率に設定して測定をおこなった。また、温度測定位置105からダイス101の被加工材挿入面101aまでの範囲106における温度は、温度測定位置105における温度測定結果と被加工材挿入面101a進行方向手前5mmの位置での放射温度計による温度測定結果との平均で表している。これは、被加工材102がダイス101に触れる瞬間には被加工材の温度が少し下がっているものと考えられるため、このような方法で測定を行うことによって温度測定位置105からダイス101の被加工材挿入面101aまでの範囲106における温度が1000℃以上であるとみなすものとする。
組成Ir−5Ptで表される、イリジウム以外の金属成分である白金が5質量%含まれる実験例No.10〜19の結果からわかるように、バーナ104による加熱範囲103が被加工材挿入面101aから被加工材102の進行方向手前60mmを超える(120mm)実験例No.10では、加熱時間が長くなっているために、歩留まりが低くなっているのに対して、加熱範囲103を60mm以内とした(50mm)実験例No.13では、歩留まりが大幅に向上していることがわかる。
また、組成Ir−5Ptよりも更に加工が困難である組成Ir−0.9Rh−1Niで表される、イリジウム以外の金属成分がロジウム0.9質量%、ニッケル1.0質量%の実験例No.1〜9においても同様に歩留まりが大幅に向上していることがわかる。その他にも、組成Ir−0.9Rh,組成Ir−20Rh,組成Ir−11Ru−8Rh−1Ni,組成Ir−5Pt−0.9Rh−1Niにおいても同様に歩留まりが大幅に向上したことを確認した。なお、ロジウムは、イリジウム単体の金属よりも塑性加工性を向上させる貴金属であるが、実験例No.
22〜26から本発明の方法によれば一層歩留まりを向上させ得ることがわかる。
また、同じ組成の本発明の範囲を外れる下記実験例においても、歩留まりが低くなっていることがわかる。
1.温度測定位置105において、被加工材102が1000℃以上1150℃以下の範囲を外れる範囲に加熱される実験例No.7,9,17,19,24,30
2.温度測定位置105から被加工材挿入面101aまでの範囲106における温度が1000℃未満となる実験例No.7,8,18,25
3.伸線速度が1300mm/分以上1600mm/分以下の範囲を外れる実験例No.1,6,11,16,26
なお、白金、ロジウム、およびルテニウムはイリジウムの酸化昇華を抑えて耐酸化性を向上させる等、貴金属放電チップすなわちスパークプラグの性能の向上や寿命の長期化が可能になる。
この実施例は、本発明を実施するための最良の形態の一例であり、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。例えば、本実施例では、ダイス101および被加工材102を加熱するためにバーナ104を用いたが、高周波加熱や通電加熱、電気炉加熱等適宜の方法を用いることができる。また、本実施形態においては、貴金属放電チップ51を中心電極3に溶接する例について説明したが、接地電極4に接続しても良い。
本発明の第1の実施形態に係わるスパークプラグの半断面図である。 本発明の第1の実施形態に係わるスパークプラグの要部断面図である。 貴金属放電チップの形成方法を示す工程説明図である。 伸線加工工程における加熱及び温度測定方法を示す工程図である。 実験例の歩留まり測定結果を示す図表である。
符号の説明
1 主体金具
2 絶縁体
3 中心電極
3a 先端部
4 接地電極
4a 対向部
51 貴金属放電チップ
g 放電ギャップ
101 ダイス
101a 被加工材挿入面
102 被加工材
103 加熱範囲
104 バーナ
105 温度測定位置
106 温度測定位置から被加工材挿入面までの範囲

Claims (3)

  1. 中心電極(3)と、
    前記中心電極(3)の先端部(3a)を露出させた状態で前記中心電極(3)の周囲を覆う絶縁体(2)と、
    前記絶縁体(2)を保持する主体金具(1)と、
    前記主体金具(1)に固定され、前記中心電極(3)の前記先端部(3a)との間で、放電ギャップ(g)を形成する対向部(4a)を有する接地電極(4)とを備えるスパークプラグの、
    前記中心電極(3)の先端部(3a)、および、前記接地電極(4)の前記対向部(4a)の少なくとも一方に接合される貴金属放電チップ(51、52)は、イリジウム以外の金属成分の含有率が0.5質量%以上35質量%以下であるイリジウム合金のインゴットを、圧延工程を経て断面積0.05mm以上1.2mm以下の線材を形成する伸線加工を施した後に、該線材を所定長さに切断して得られるものである貴金属放電チップ(51、52)の製造方法において、
    前記伸線加工は、伸線加工に使用するダイス(101)の被加工材(102)が挿入される側の面である被加工材挿入面(101a)から被加工材(102)の進行方向手前60mm以内の加熱範囲(103)を連続して赤熱及び/又は白熱加熱し、該面の手前20mmの温度測定位置(105)において被加工材(102)が1000℃以上1150℃以下に加熱され、かつ、前記温度測定位置(105)から前記ダイス(101)の前記被加工材挿入面(101a)までの範囲(106)における温度が1000℃以上とされ、
    かつ、伸線速度が、1300mm/分以上1600mm/分以下であることを特徴とする貴金属放電チップ(51、52)の製造方法。
  2. 前記金属成分は、少なくともニッケルである請求項1に記載の貴金属放電チップ(51、52)の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の貴金属放電チップ(51)を用いて、前記中心電極(3)の先端部(3a)、および、前記接地電極(4)の前記対向部(4a)の少なくとも一方に、該貴金属放電チップ(51、52)を接合するスパークプラグの製造方法。
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