JP2004335003A - 二値化回路、二値化方法、光ディスク装置 - Google Patents
二値化回路、二値化方法、光ディスク装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】入力信号を閾値に基づいて二値化する際に、その二値化した値の維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する。そして、この判定結果より、上記変化した値が維持される時間長が所定時間長を超えた、すなわち上記入力信号が上記閾値を超えている時間長が所定時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する。さらに、このように変化した値が出力されるのに応じて、上記閾値を可変する。つまり、上記入力信号が上記閾値を超えたとしても、直ちに上記所定閾値を可変しないようにする。このように入力信号が閾値を超えた場合にも閾値を可変ぜずにチャタリング除去のための判定を行うことによっては、可変後の閾値を基準としてチャタリング除去の判定を行う従来の構成よりも、その判定時間を短く設定することができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば入力されるアナログ信号を所定の閾値を基準として二値化する二値化回路、及びそのような二値化のための二値化方法に関する。また、このような二値化回路が備えられた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクに対する信号の記録・再生が可能とされた光ディスク装置では、シーク動作時において、レーザスポットがトラックを横断した際に得られるトラッキングエラー信号を、トラバース信号として得るようにされている。
そして、例えばこのようなトラバース信号のゼロレベルを基準として二値化を行うことにより、レーザスポットがトラックを横断したタイミングを示す二値化信号を得るようにされている。
【0003】
このようなトラバース信号の二値化信号を得た上で、そのエッジ数をカウントすることによっては、シーク動作時にレーザスポットが横断したトラック数をカウントすることができる。また、この二値化信号のエッジ間の時間長を計測することによっては、シーク移動速度を求めることができる。
そして、光ディスク装置においては、このように算出された横断トラック数や移動速度の情報に基づいて、シーク目標付近に到達するための制御が行われている。
【0004】
ところで、光ディスクとしては、トラックのウォブリングによりデータ記録が行われるウォブルフォーマットのものがある。
そして、ウォブルフォーマットの光ディスクでは、このようなトラックのウォブリングの影響により、上記のようなトラバース信号として、例えば図6(a)に示すような高周波成分が重畳された波形が得られるものとなる。
【0005】
この場合は、図からもわかるように、トラバース信号TRVの元々の信号成分(ゼロクロス周期)に対してノイズが重畳されることになるから、単にトラバース信号TRVのゼロレベルを検出するだけでは、正確なゼロクロスポイントを検出することができない。そして、これによっては、上記したシーク動作の制御のために用いられる、このトラバース信号TRVの二値化信号T(図6(b))としても、正確なエッジ間隔が得られなくなってしまう。
【0006】
このことから、従来における、このようなウォブルフォーマットに対応した光ディスク装置においては、上記のようにトラバース信号TRVに重畳された高周波成分をローパスフィルタ等によって減衰させた上で、ゼロクロスポイントの検出を行うようにされていた。
そして、これにより、レーザスポットのトラック横断タイミングに応じた正確な二値化信号Tを得るようにされていた。
【0007】
ところで、近年においては、光ディスクの高密度記録化に伴い、トラックピッチが極端に狭められつつある。そして、このようなトラックピッチの極端に狭い高密度ディスクにおいても、上記のようなウォブルフォーマットを採用するようにしたものがある。
【0008】
このようにトラックピッチが極端に狭い高密度ディスクに対し、ウォブルフォーマットを採用する場合は、トラックピッチからみたウォブル幅が、通常のディスクの場合と比較して大きなものとなる。そして、これによっては、先の図6(a)に示したようなトラバース信号TRVとして、ゼロクロス周期の信号成分の周波数帯域と、トラックのウォブリングによる高周波信号成分の周波数帯域とが近づくものとなる。
【0009】
このようにして、ゼロクロス周期の信号成分の周波数帯域と、トラックのウォブリングによる高周波信号成分の周波数帯域とが近づくようになってしまうと、上記のように高周波成分をローパスフィルタ等によって減衰させる方式では、正確なゼロクロスポイントを検出することが困難となる。
つまり、このようなローパスフィルタを用いる方式では、検出対象としての信号成分とそれに重畳するノイズ成分(ウォブル成分)の周波数帯域の違いを利用した方式であることから、このように双方の信号の周波数帯域が近づくようになってしまうと、検出対象の信号成分のみを抽出することが困難となるものである。
【0010】
そこで、従来の技術では、このようなローパスフィルタを用いずにゼロクロスポイントの検出が可能な技術として、ヒステリシスコンパレータを用いるようにしたものがある(例えば下記特許文献参照)。
図7は、このようなヒステリシスコンパレータを用いて、ノイズ成分が重畳された入力信号を二値化するための回路構成を示したものである。
この図において、コンパレータ100は、図示するように、トラバース信号TRVと、ヒステリシスレベル生成回路101が出力するコンパレートレベルcrとを比較するようにされている。
この場合、上記ヒステリシスレベル生成回路101に対しては、上記コンパレータ100の出力ccが入力される。そして、このヒステリシスレベル生成回路101は、このように入力されるコンパレータ出力ccのレベルが変化することに応じて、出力すべきコンパレートレベルcrの値を切り換えるように動作する。
つまりこの際、コンパレータ100における比較結果に応じてコンパレータ出力ccの値が変化するのに応じて、このコンパレータ100に入力されるコンパレートレベルcrの値が切り換えられるようになっているものである。
【0011】
このようなヒステリシスコンパレータによる動作は、例えば次の図9に示すようになる。
先ず、この図9において、上記したコンパレートレベルcrとしては、図示するように、トラバース信号TRVのレベルが正極性にあるときに対応しては、ゼロレベルよりも低いレベルを設定するようにされる。また、トラバース信号TRVが負極性にあるときは、ゼロレベルよりも高いレベルを設定するようにされる。
つまりこの場合、トラバース信号TRVが正極性側から低下する際と、負極性側から上昇する際とで、ゼロレベル(つまり本来のコンパレートレベル)を基準として、図のようなヒステリシスレベルを有するように2つのコンパレートレベルcrを切り換えるようにされているものである。
【0012】
この際、例えばコンパレータ100において単にゼロレベルを基準とした検出が行われたとすると、図中時点t1〜t2に示すようにトラバース信号TRVのノイズ成分がゼロレベルを下回った場合に、本来のゼロクロスポイントである時点t3よりも以前にコンパレータ100が応答してしまうことになる。すなわち、これによって不要なチャタリングが発生する。
これに対し、上記のようなヒステリシスレベルを設定することによっては、図からもわかるように、このような不要なチャタリングを防止することができるものとなる。つまり、この際のヒステリシスレベルとして、図のようにノイズ成分の振幅レベルに対応した十分なレベルを設定しておくことで、このように不要なチャタリングを防止して、本来のゼロクロスポイントを正確に検出することが可能となるものである。
【0013】
これにより、この場合の二値化信号Tとしても、図示するように、このゼロクロスポイントに対応した正確なエッジタイミングが得られるようになる。
そして、このことから、このようなヒステリシスコンパレータを用いれば、上記のようにしてローパスフィルタを用いてノイズ成分を除去せずとも、トラバース信号TRVの2値化を正確に行うことができるものである。
【0014】
このように図7に示したようなヒステリシスコンパレータでは、ヒステリシスレベルをノイズ成分の振幅レベルに対応した十分なレベルに設定しておくことで、不要なチャタリングを防止できるものである。
しかしながら、これを換言すると、このようなヒステリシスコンパレータでは、上記のようなヒステリシスレベルを充分に大きく設定しないとチャタリングを効果的に防止することができないものである。
【0015】
このように、ヒステリシスレベルを比較的大きく設けなければならないことによっては、例えばトラバース信号TRVが減衰して、その振幅レベルが充分に得られない場合に、ゼロクロス検出ポイントにずれが生じてしまうこととなる。
つまり、例えば先の図9の場合にトラバース信号TRVが減衰したと想定すると、この場合は図中時点t3付近におけるノイズ成分の振幅として、充分なレベルが得られなくなるから、この時点t3以降の、トラバース信号TRVのレベルが負極性側に充分に低下した時点に至らなければ、ゼロクロスポイントが検出されないものとなってしまうものである。
【0016】
そこで、従来においては、不要なチャタリングを防止しつつ、このようなトラバース信号TRVの減衰にも対応可能となるように、ヒステリシスコンパレータの後段に、図8に示すような出力補正回路102を備えるようにしたものがある。
この出力補正回路102としては、コンパレータ100の出力ccのレベルが変化して、これに伴いコンパレートレベルcrが切り換えられた以降の期間において、トラバース信号TRVのレベルが、この変化後のコンパレートレベルcrを超えている時間が所定時間長以上であるか否かを判定するロジック回路として構成されている。そして、このような判定の結果、トラバース信号TRVのレベルが、コンパレートレベルcrを超えている時間が所定時間長以上であるとされた場合に応じて、二値化信号Tの値を変化させるものである。
【0017】
このような出力補正回路102を設けたヒステリシスコンパレータの動作としては、次の図10に示すようになる。
先ず、この場合のヒステリシスレベルとしては、上記のように入力信号の減衰に対応可能となるように、先の図9の場合と比較して図のような低いレベルが設定されている。そして、このために、ここでは時点t3以降において、コンパレータ出力ccに不要なチャタリングが発生することになり、図のようにして、コンパレートレベルcrにもばたつきが生じるものとなる。
【0018】
しかしながらこの場合は、上記のようにヒステリシスコンパレータの後段には、出力補正回路102が設けられていることにより、このようなチャタリングに応じた二値化出力が行われないように制御する動作が行われるものとなる。
すなわち、この出力補正回路102によっては、先ず、図中時点t3においてコンパレートレベルcr(コンパレータ出力cc)が変化した以降、このレベルをトラバース信号TRVのレベルが超えている時間長が計測されるものとなる。
そして、この計測された時間長が、上記のような所定時間長以上となった、時点t4に至った場合に、これに応じて図のように二値化信号Tの値を変化させる。
つまり、このような所定時間長により、ノイズ成分のピークレベル付近への反応ではないことを判定するものであり、これをもってチャタリングを除去しているものである。
【0019】
このようにして、出力補正回路102を設けたヒステリシスコンパレータの構成では、ヒステリシスレベルを低く設定しつつ、不要なチャタリングを防止することができる。すなわち、これによってトラバース信号TRVの減衰に対応しつつ、比較的正確なゼロクロス検出ポイントに基づいた安定した二値化信号Tを得ることが可能となるものである。
【特許文献】
特開平9−237423号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記説明から理解されるように、図8に示した出力補正回路102を設けた構成においては、ノイズ成分の影響によるチャタリングを防止するための、或る程度の判定時間(図10時点t3〜t4)を要するものである。そして、このことは、ゼロクロスポイントの検出タイミングに相応の遅れが生じることを意味する。
【0021】
このようにして、ゼロクロスポイントの検出タイミングに遅れが生じてしまうことによっては、トラバース信号TRVとして特に高い周波数の信号が入力された場合に、このような判定時間による検出ポイントのずれが許容できなくなってしまう虞がある。
そして、このようにゼロクロス検出ポイントのずれが許容できないほど大きくなってしまうことによっては、二値化信号Tの精度が著しく悪化し、これに基づいて算出されるシーク速度の情報としてもその信頼性が著しく低下してしまうこととなる。
この結果、図8に示した構成によるヒステリシスコンパレータを備える光ディスク装置においては、例えば高速シーク等によって、トラバース信号TRVが高周波となった場合に、安定したシーク動作が得られなくなってしまう可能性があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、二値化回路として以下のように構成することとした。
すなわち、入力信号と閾値とを比較して二値の信号出力を行う二値化手段と、上記二値化手段の出力信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手段とを備える。
そして、上記判定手段の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手段を備え、その上で、上記二値化出力補正手段により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手段に入力されるべき上記閾値を可変する閾値可変手段を備えるようにした。
【0023】
また、本発明では二値化方法として以下のようにすることとした。
つまり、入力信号と閾値とを比較した結果に応じた二値の信号出力を行う二値化手順と、上記二値化手順により出力した信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手順とを行う。
そして、上記判定手順の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手順と、上記二値化出力補正手順により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手順で用いる上記閾値を可変する閾値可変手順とを行うこととした。
【0024】
このような第1の本発明の構成によれば、入力信号を所要閾値に基づいて二値化する際に、その二値化した値の維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かが判定されるものとなる。つまり、上記入力信号が上記閾値を超えている時間長が、所定時間長を超えたか否かが判定するものである。
そして上記のように、この判定結果より、上記変化した値が維持される時間長が所定時間長を超えた、すなわち上記入力信号が上記閾値を超えている時間長が所定時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力するようにしている。また、このように変化した値が出力されるのに応じて、上記所定閾値を可変するようにしている。つまり、上記入力信号が上記閾値を超えたとしても、直ちに上記所定閾値を可変しないようにしているものである。
このようにして、入力信号が閾値を超えた場合にも閾値を可変ぜずにチャタリング除去のための判定を行うことによって、可変後の閾値を基準としてチャタリング除去の判定を行う従来の構成よりも、その判定時間を短く設定することができる。
【0025】
また、さらに本発明では、ウォブリングされたトラックが形成される光ディスクに対する信号の記録または再生が可能な光ディスク装置として、以下のように構成することとした。
つまり、上記光ディスクに対するデータ書込または読出のための対物レンズを支持すると共に、この対物レンズを出力端としたレーザ照射及びその反射光検出を行うヘッド手段と、上記ヘッド手段をトラッキング方向に移送可能な移送手段とを備える。
そして、上記ヘッド手段において検出される上記反射光から生成されたトラッキングエラー信号と、閾値とを比較して二値の信号出力を行う二値化手段と、上記二値化手段の出力信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手段とを備える。
さらに、上記判定手段の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手段と、上記二値化出力補正手段により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手段に入力されるべき上記閾値を可変する閾値可変手段とを備えるようにする。
その上で、上記二値化出力補正手段の出力信号を対象とした計測を行い、その計測結果に基づいて上記移送手段を制御することで、シーク動作についての制御を実行するシーク制御手段を備えるようにした。
【0026】
つまり、ウォブリングされたトラックが形成される光ディスクに対応した光ディスク装置に対して、シーク時におけるトラッキングエラー信号の二値化の際に上記本発明を適用するようにしたものである。
このようにウォブリングされたトラックが形成される光ディスクに対応した光ディスク装置においては、シーク時におけるトラッキングエラー信号に、ウォブル成分によるノイズが重畳されるものである。
そして、このことから、このような光ディスク装置に対して上記した第1の本発明を適用することによっては、従来よりも正確にトラッキングエラー信号の二値化を行うことができ、これに基づいて行われるシーク動作も適正化することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
【0028】
図1は、本発明における実施の形態としての光ディスク装置10の全体構成を示したブロック図である。
先ず、この図に示す光ディスク装置10は、図示するディスク1として、いわゆるブルーレイディスク(Blu−ray Disc)に対応したデータの記録または再生が可能とされる。
このブルーレイディスクは、例えば中心発光波長405nmの青色レーザと、NAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件の下で、信号記録・再生が行われるものとされる。また、トラックピッチは0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直径12cmのディスクに対して23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。
また、同様のフォーマットで線密度を0.112μm/bitの密度とすると、25GBの容量を記録再生できる。さらに、記録層を多層構造とすることができ、例えば2層としたときは、容量を46.6BG、または50GB程度とすることも可能とされる。
【0029】
このようなブルーレイディスクとしてのディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ12によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)11によってディスク1上のデータ、即ちROMディスクの場合のエンボスピットによるデータや、リライタブルディスクの場合のフェイズチェンジマークによるデータの読出が行われる。
またリライタブルディスクの場合、グルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報やディスクインフォメーションの読み出しがおこなわれる。
またリライタブルディスクに対する記録時には光学ピックアップ11によってグルーブトラックにデータがフェイズチェンジマークとして記録される。
【0030】
光学ピックアップ11内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
【0031】
光学ピックアップ11内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
また光学ピックアップ11全体はスレッド機構13によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また光学ピックアップ11におけるレーザダイオードはレーザドライバ23からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0032】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路14に供給される。
マトリクス回路14には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
トラッキングエラー信号としては、ディスク1がリライタブルディスクの場合は、例えばプッシュプル信号を生成し、ディスク1がROMディスクの場合は、DPD信号を生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
なお、マトリクス回路14は、光学ピックアップ11内に形成される場合もある。
【0033】
マトリクス回路14から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路15へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路21へ、ウォブリンググルーブの検出情報であるプッシュプル信号はウォブル回路18へ、それぞれ供給される。
【0034】
リーダ/ライタ回路51は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークやエンボスポットから読み出されたデータを再生して、変復調回路16に供給する。
変復調回路16は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
【0035】
またECC/スクランブル回路17は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理、及びスクランブル処理を行う。
再生時には、スクランブル処理に対するデスクランブル処理を行うとともに、エラー訂正のためのECCデコード処理を行う。
この再生時には、変復調回路16で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、デスクランブル処理及びエラー検出/訂正処理を行って再生データを得ることになる。
【0036】
ECC/スクランブル回路17で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ20の指示に基づいて読み出され、AV(Audio−Visual)システム60に転送される。
【0037】
ディスク1がリライタブルディスクの場合において、グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路14から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路18において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路18において復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームとしてアドレスデコーダ19に供給される。
アドレスデコーダ19は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ20に供給する。
またアドレスデコーダ19はウォブル回路18から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0038】
ディスク1がROMディスクの場合、アドレスデコーダ19においては、再生データ信号からフレームシンク同期処理が行われると共に、アドレス情報、即ち物理セクターナンバがこの再生データ信号中から読み出される。そして得られたアドレス情報はシステムコントローラ20に供給される。この場合、アドレス検出のためのクロックは、リーダ/ライタ回路15におけるPLLによる再生クロックが用いられる。
【0039】
リライタブルディスクに対する記録時には、AVシステム60から記録データが転送されてくるが、その記録データはECC/スクランブル回路17におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECC/スクランブル回路17は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やスクランブル処理、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコード及びスクランブル処理されたデータは、変復調回路16においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路15に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは、上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0040】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路15で記録補償処理として、記録層の特性、レーザ光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザドライバ23に送られる。
レーザドライバ23では供給されたレーザドライブパルスを光学ピックアップ11内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0041】
なお、レーザドライバ23は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、光学ピックアップ11内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニタしながらレーザ出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザ出力の目標値はシステムコントローラ20から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0042】
サーボ回路21は、マトリクス回路14からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光学ピックアップ11、マトリクス回路14、サーボ回路21、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0043】
またサーボ回路21は、システムコントローラ20からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
またサーボ回路21は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ20からのシーク動作制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構13を駆動する。スレッド機構13には、図示しないが、光学ピックアップ11を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、光学ピックアップ11の所要のスライド移動が行なわれる。
なお、本例のサーボ回路21の構成については後述する。
【0044】
スピンドルサーボ回路22はスピンドルモータ12をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路22は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ12の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路15内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ12の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路22は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ12のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路22は、システムコントローラ20からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ12の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0045】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ20により制御される。
システムコントローラ20は、AVシステム60からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0046】
例えばAVシステム60から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ20は、まず書き込むべきアドレスに光学ピックアップ11を移動させる。そしてECC/スクランブル回路17、変復調回路16により、AVシステム60から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路15からのレーザドライブパルスがレーザドライバ23に供給されることで、記録が実行される。
【0047】
また例えばAVシステム60から、ディスク1に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路21に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光学ピックアップ11のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム60に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路15、変復調回路16、ECC/スクランブル回路17におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0048】
なお、これらのデータの記録時や再生時には、システムコントローラ20は、アドレスデコーダ19によって検出されるADIPアドレス、或いは再生データ信号中のアドレス情報を用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0049】
ところで、この図1の例は、AVシステム60に接続される光ディスク装置10としたが、本発明の光ディスク装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、例えばユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるように、操作部や表示部が設けられればよい。また、データ入出力のインターフェース部位としても、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば、再生専用装置としての例も考えられる。
【0050】
図2は、図1に示したサーボ回路21の内部構成例を示している。
先ず、図示するフォーカスサーボ回路30、及びトラッキングサーボ回路31は、それぞれマトリクス回路14から供給されるフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに対し、位相補償処理等の必要な処理を施すことでフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号を生成する。そして、このように生成したフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号を、それぞれフォーカスドライバ33、トラッキングドライバ34に供給する。
フォーカスドライバ33、及びトラッキングドライバ34は、上記のように供給されるフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号にそれぞれ基づいて、図1に示した光学ピックアップ11内の二軸機構を駆動するためのフォーカドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDを出力する。
これによって、マトリクス回路14から出力されたフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEにそれぞれ基づいた、フォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御が実現される。
【0051】
スレッドサーボ回路32は、上記のようにトラッキングサーボ回路31が生成したトラッキングサーボ信号の低域成分に基づいて、光学ピックアップ11の位置を、トラッキング動作により外周方向に移動される対物レンズの動きに追従させるためのスレッドサーボ信号を生成する。
そして、このように生成したスレッドサーボ信号を、図示するスイッチSWの端子t2に供給する。
【0052】
スイッチSWにおいては、トラッキングサーボがオンのときに対応して、端子t2を選択するようにされている。そして、これによって、上記スレッドサーボ回路32からのスレッドサーボ信号は、トラッキングサーボがオンのときに対応して図示する端子t1を介してスレッドドライバ35に供給されるものとなる。この結果、この場合のスレッドドライバ35は、上記スレッドサーボ信号に基づいたスレッドドライブ信号SDによりスレッド機構13を駆動することとなり、トラッキングサーボがオンの状態では、光学ピックアップ11が対物レンズの動きに追従してスライドするように制御される状態が得られる。
【0053】
また、上記スイッチSWにおいて、トラッキングサーボがオフのときに対応しては、端子t3が選択される。そして、これによって、トラッキングサーボがオフのときは、図示するシークコントロール回路40の出力が、端子t1を介してスレッドドライバ35に供給されることになる。
なお、このようなスイッチSWの端子切換は、先に説明したシステムコントローラ20の制御に基づいて行われる。
【0054】
シークコントロール回路40は、システムコントローラ20からのアクセス指令に基づいて、光学ピックアップ11を、この指令により指示された所定のアドレス付近に移動させるための制御を行う。
このシークコントロール回路40は、上記アクセス指令に基づいて、現在のトラックから指示されたトラックまでのトラック数を認識すると共に、この認識したトラック数に対応して予め設定されたパルスを出力する。
また、本例の場合、このシークコントロール回路40は、このように出力したパルスに基づいて移動される光学ピックアップ11のシーク移動速度の情報と、内部に予め設定された基準速度情報とを逐次比較するようにされる。そして、この比較結果に応じて、この際のスレッドドライブ信号SDのレベルを制御することにより、シーク速度の制御を行うようにも構成されている。すなわち、このようにシーク移動速度と予め定められた基準速度とを逐次比較した結果に基づいて、シーク速度を制御することによって、光学ピックアップ11を、目的のトラック付近により正確に到達させることができるものである。
なお、このようなシークコントロール回路40によるシーク速度制御は、以下で説明するトラックカウンタ37の値、及びトラック周期カウンタ38が出力するトラック周期値Tccとしての、シーク移動速度の情報とに基づいて行われるものである。
【0055】
2値化回路36には、図1に示したマトリクス回路14により出力されるトラッキングエラー信号TEが入力される。
この2値化回路36は、このようなトラッキングエラー信号TEとして、特にシーク動作時における、トラバース状態下でのトラッキングエラー信号TE(以下トラバース信号TRVとする)についての二値化処理を行うものとされる。そして、その二値化結果を図示する二値化信号Tとして出力する。
なお、この2値化回路36の内部構成については後述する。
【0056】
トラックカウンタ37は、上記二値化信号Tのエッジ数をカウントすることにより、このようなシーク動作時において対物レンズが横断したトラックの数をカウントする。そして、そのカウント値を上記したシークコントロール回路40に対してトラックカウント値TCとして供給するようにされる。
このようにシークコントロール回路40に供給されるトラックカウント値TCは、例えば上記で説明したシーク速度制御を行うための、基準速度情報を参照する際に用いられる。
【0057】
トラック周期カウンタ38は、上記二値化信号Tのエッジ間の時間長を、所定周期によるクロックに基づいてカウントする。つまり、これによって光学ピックアップ11のシーク移動速度を計測するものである。そして、このようにカウントした値を、トラック周期値Tccとしてシークコントロール回路40に出力する。
【0058】
続いては、図3を用いて、上記した2値化回路36の内部構成について説明する。
先ず、この図3において、コンパレータ41の反転端子に対しては、図2に示したトラバース信号TRVが供給される。また、このコンパレータ41の非反転端子に対しては、後述するヒステリシスレベル生成回路47からの、コンパレートレベルcrが入力される。そして、このコンパレータ41は、上記トラバース信号TRVのレベルと、このように入力されるコンパレートレベルcrとを比較した結果に応じた2値の信号を、コンパレータ出力ccとして2値化出力補正回路42に対して出力する。
【0059】
2値化出力補正回路42内には、図のように遅延回路(Z−1)43、出力補正カウンタ44、比較器45、及びラッチ回路46が少なくとも備えられている。
この2値化出力補正回路42において、上記遅延回路43は、上記コンパレータ41からのコンパレータ出力ccを入力し、これを1クロックずらしたタイミングで出力補正カウンタ44に出力する。つまり、このような遅延回路43によっては、出力補正カウンタ44に対して、1クロック前のコンパレート出力ccの値が入力されるようになっているものである。
【0060】
また、この出力補正カウンタ44には、上記コンパレータ41からのコンパレータ出力ccも入力される。つまり、この出力補正カウンタ44に対しては、上記遅延回路43からの1クロック前の値と共に、現在のコンパレータ出力ccの値が入力されるものである。
そして、このように入力される現在のコンパレータ出力ccの値と1クロック前のコンパレータ出力ccの値を比較した結果、両入力が等しい場合には自身のカウント値を1インクリメントする。そして、両入力が等しくない場合には、カウント値をゼロにリセットする。
【0061】
比較器45には、上記出力補正カウンタ44の値が入力される。そして、このように入力される出力補正カウンタ44の値と、内部に設定された所定閾値とを比較した結果、カウント値が上記閾値よりも大きいとされた場合に対応して、図示するラッチ回路46に対し、例えばHレベルを出力する。
なお、このように比較器45において設定される閾値は、後述するように、入力されるトラバース信号TRVに重畳されるノイズ成分によるチャタリング防止のための判定時間に対応するものである。従って、このような比較器45に設定される閾値としては、入力されるトラバース信号TRVに想定されるノイズ成分の周波数帯域、及びこのとき設定されるヒステリシスレベルなどに応じて、チャタリング防止のために適正とされる時間長に対応した値が設定されるべきものである。
【0062】
ラッチ回路46は、コンパレータ41からのコンパレータ出力ccを入力すると共に、このコンパレータ出力ccの値を、上記比較器4の出力に基づいて更新する。すなわち、上記比較器45からのHレベル出力に応じてのみ、コンパレータ出力ccの値を更新する。
このラッチ回路46のラッチ出力は、図示するように二値化信号Tとしてこの2値化回路36から出力される。また、これと共にこのラッチ出力は、図示するヒステリシスレベル生成回路47に対しても入力されるものとなる。
【0063】
ヒステリシスレベル生成回路47は、上記コンパレータ41の非反転端子に入力されるべきコンパレートレベルcrを決定する。
つまりこの際、上記ラッチ回路46(2値化出力補正回路42)の出力がHレベルであった場合には、このヒステリシスレベル生成回路47においては、このHレベルに応じたコンパレートレベルcrを決定する。また、2値化出力補正回路42の出力がLレベルであるときは、これに応じたコンパレートレベルcrを決定するものである。
これによって、このヒステリシスレベル生成回路47を介してコンパレータ41に入力されるコンパレートレベルcrとしては、2値化出力補正回路42の出力結果に応じた2つの異なる値で切り換えられるようになっている。
また、このような構成から、この場合は上記のようなコンパレートレベルcrが切り換えられるタイミングが、コンパレータ出力ccのレベルが切り替わるタイミングではなく、上記2値化出力補正回路42の出力が切り換えられるタイミングに応じるようにされているものである。
なお、このようなヒステリシスレベル生成回路47に対し、例えばバッファやOPアンプの構成を追加すると、精度向上が図られる。
【0064】
このような本例の2値化回路36による動作を、次の図4を用いて説明する。
先ず、この場合のヒステリシスレベルとしては、上記のようなヒステリシスレベル生成回路47の動作によって、例えば図示するように、ゼロレベルを基準として或る幅を持つようにして設定されるものとなる。
そしてこれにより、時点t1〜t2に示すような、トラバース信号TRVの高周波成分のピークレベル付近がゼロレベルを下回ったことによる明らかなチャタリングについては、これを除去することが可能となる。
【0065】
そして、時点t2以降において、再びトラバース信号TRVのレベルがゼロレベルを下回って、さらにコンパレートレベルcrを下回った時点t3に至ったとする。
すると、これに応じては、この際のコンパレータ41の比較結果に対応して、コンパレータ出力ccの値が変化することとなる。
しかしながら、この場合は、先の図8に示した構成とは異なり、このコンパレータ41の直後に対して2値化出力補正回路42が備えられていることから、これに応じて直ちにコンパレートレベルcrは切り換えられないものとなる。すなわち、この場合のコンパレートレベルcrとしては、上記もしたように2値化出力補正回路42の出力に応じてその値が変化するものとされていることから、このようなコンパレータ出力ccの変化に対応して直ちに変化しないようにされているものである。
従って、この場合のコンパレートレベルcrとしては、この図4にも示されるように、この時点t3ではその値が切り換えられずに維持されるようになる。
【0066】
この時点t3以降における2値化出力補正回路42の動作としては、先ず、上記のようにコンパレータ出力ccの値が変化したことに応じて、出力補正カウンタ44のカウント値がゼロにリセットされる。そして、このようにカウント値がゼロにリセットされた以降は、再び遅延回路43から供給される1クロック前のコンパレータ出力ccの値と、現在のコンパレータ出力ccの値との比較結果に基づいたカウント動作が行われるものとなる。
【0067】
このような時点t3以降において、トラバース信号TRVのレベルは、図示するようにコンパレートレベルcrを下回った状態が維持されていることから、この場合に上記出力補正カウンタ44に対して入力される1クロック前と現在のコンパレータ出力ccとしては、共に等しい値が入力されるものとなる。そして、これにより、この時点t3以降におけるカウント値は、徐々にインクリメントされてくものとなる。
【0068】
このように出力補正カウンタ44のカウント値がインクリメントされていくことによっては、このカウント値が、比較器45において設定された所定閾値に近づいていくことになる。
そして、このようなカウント値が上記閾値を上回った時点t4に至ったときには、この比較器45からラッチ回路46に対してHレベルが出力されるようになる。さらに、これに応じては、このラッチ回路46の出力レベルが、このとき入力されるコンパレータ出力ccに応じた値に更新されるものとなる。
【0069】
これによって、2値化出力補正回路42の出力が変化するものとなり、これに応じて図示する二値化信号Tのレベルも、図のようにこの時点t4において変化されるものとなる。つまり、ここにおいてゼロクロスポイントが検出されたことになるものである。
また、これと共に、この2値化出力補正回路42の出力に応じて変化するコンパレートレベルcrとしても、図のようにこの時点t4に至ってから変化するようにされているものである。
【0070】
このようにして、本例の2値化回路36においては、トラバース信号TRVのレベルがコンパレートレベルcrに至ったとしても、直ちにコンパレートレベルcrを切り換えずに、そのレベルを維持するようにされている。そして、この以降は、トラバース信号TRVのレベルが、このように維持されたコンパレートレベルcrを超えている時間長を、上記出力補正カウンタ44のカウント動作によって計測するようにされている。
その上で、このようなカウント値と比較器45における所定閾値とを比較した結果、トラバース信号TRVのレベルが、上記維持されたコンパレートレベルcrを超えている時間長が所定時間以上継続したとされた場合に、コンパレータ出力ccをラッチして二値化出力を行うようにしているものである。
すなわち、本例では、このようなトラバース信号TRVのレベルが上記維持されたコンパレートレベルcrを超えている時間長を対象として、チャタリング除去のための判定を行うようにしているものである。
【0071】
このような本例の2値化回路36によっては、図8に示した構成よりもチャタリング除去のための判定時間を短くすることができる。
先ず、先の図8の構成によっては、トラバース信号TRVのレベルがコンパレートレベルcrに達した場合は、直ちにコンパレートレベルcrが変化することになる(図10時点t3)。そして、このことから、この場合は本例の場合よりも、チャタリング除去のための判定時間を長くとらなければならいことになる。すなわち、先の図4と図10を比較してもわかるように、図10に示す場合では、このように変化されたコンパレートレベルcrが判定の基準となるから、この際の判定対象としての、トラバース信号TRVがコンパレートレベルcrを超えている期間(つまりトラバース信号TRVのノイズ振幅の戻り時間)は、コンパレートレベルcrが変化しない本例の場合よりも明らかに長いものとなる。
そして、このように長いノイズ振幅の戻り時間を対象とすることによっては、その分、上記のようなチャタリング除去のための判定時間を、このノイズ振幅の戻り時間に対応させた、比較的長い時間としなければならないものである。
従ってこのことから、直ちにコンパレートレベルcrを変化させないようにした本例によっては、チャタリング除去の判定時間を、このような従来の構成よりも短くできるものである。
【0072】
このように本例の2値化回路36の構成によっては、図8に示した従来の構成と比較して、二値化出力のための判定時間を短くすることができるから、二値化信号Tの精度を、従来よりも向上することができることになる。
そして、このように二値化信号Tの精度を向上することができることにより、これに基づいて算出されるシーク速度の情報の信頼性も向上することができ、安定したシーク動作を得ることができる。
【0073】
このことから、図3に示した本例の構成によっては、トラバース信号TRVとして高周波が入力された場合にも好適に適用でき、高速シーク時におけるシーク動作の安定性の悪化を効果的に抑制することができるものである。
【0074】
また、このような本例の2値化回路36としては、上記もしているようにチャタリング除去のための判定が行われるものであるから、例えば図中時点t5〜t6に示すようにして、ノイズ成分のピークレベル付近がコンパレートレベルcrを上回ったような場合にも、二値化信号Tの不要なばたつきを効果的に抑制できる。
すなわち、これによって本例の2値化回路36においても、図8に示した構成と同様、図7に示した構成よりもヒステリシスレベルを低く設定することが可能となり、入力信号が減衰する場合にも適正に二値化を行うことが可能となる。
【0075】
ところで、このような本例の2値化回路36において、例えばシーク動作開始直後・終了直前など、トラバース信号TRVの周波数が低くなっているときは、ノイズ成分の周期も大きくなるようにされるため、場合によっては、図4にて説明したようなチャタリング除去の判定が困難となることが考えられないものでもない。
そこで、本例としては、変形例として、トラバース信号TRVの周波数が充分に高く、ノイズ成分とゼロクロス周期との周波数帯域が近づくようにされる場合以外は、例えばローパスフィルタを介しノイズ成分を減衰させたトラバース信号TRVに基づいて二値化を行うように構成することも可能である。
つまり、トラバース信号TRVの周波数が充分に低い場合には、ノイズ成分とゼロクロス周期との周波数帯域に充分な差があると考えられることから、ローパスフィルタによってノイズ成分を減衰することが可能なものである。そしてこのことから、上記のようにトラバース信号TRVの周波数が低いことにより本例の二値化が有効に行えなくなる虞がある場合は、このようにトラバース信号TRVからノイズ成分を除去して二値化動作を行うようにするものである。
【0076】
このような変形例としての構成は、例えば図5に示すようになる。
この場合、図示するように2値化回路36へのトラバース信号TRVの入力ラインに対して、切換回路80を設けるようにする。この切換回路80としては、端子t1から入力されるトラバース信号TRVを、図示する端子t2、または端子t3を介して択一的に出力可能に構成する。
そして、上記端子t2は、ローパスフィルタ(LPF)81を介して2値化回路36と接続し、上記端子t3は2値化回路36と直接接続する。
その上で、シークコントロール回路40、或いはシステムコントローラ20の制御により、シーク速度が所定の速度よりも遅い場合は、上記端子t2を選択させ、速い場合は上記端子t3を選択させるようにする。
【0077】
これにより、シーク動作開始直後・終了直前など、トラバース信号TRVの周波数が低い場合に対応しては、上記ローパスフィルタ81によりノイズ成分を除去したトラバース信号TRVに基づいた二値化動作を行うことが可能となる。つまり、このようにノイズ成分が除去されることによって、2値化回路36においてより適正に二値化動作を行うことが可能となる。
また、トラバース信号TRVの周波数が高く、ノイズ成分とゼロクロス周期との周波数帯域が近づく場合は、先の図4に示したような本例の二値化動作により、有効に二値化を行うことが可能なものである。
この結果、このような変形例の構成によっては、シーク速度によらずより安定した二値化信号Tを得ることが可能となる。
【0078】
なお、上記実施の形態では、光ディスク装置において、トラバース信号の二値化を行う際に本発明が適用される場合を例に挙げたが、本発明としては、このようなトラバース信号以外にも、ノイズ成分としての高周波成分が重畳された信号全般に対して好適に適用できるものである。
【0079】
【発明の効果】
以上のようにして本発明では、入力信号を閾値に基づいて二値化する際に、その二値化した値の維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定するようにしている。つまり、上記入力信号が上記閾値を超えている時間長が、所定時間長を超えたか否かを判定するものである。
そして、この判定結果より、上記変化した値が維持される時間長が所定時間長を超えた、すなわち上記入力信号が上記閾値を超えている時間長が所定時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力するようにしている。
また、このように変化した値が出力されるのに応じて、上記閾値を可変するようにしている。つまり、上記入力信号が上記閾値を超えたとしても、直ちに上記閾値を可変しないようにしているものである。
【0080】
このようにして、入力信号が閾値を超えた場合にも閾値を可変ぜずにチャタリング除去のための判定を行う本発明によっては、可変後の閾値を基準としてチャタリング除去の判定を行う従来の構成よりも、その判定時間を短く設定することができる。
そして、このように判定時間を短く設定することができることによっては、二値化信号の精度を、従来よりも向上することができることになる。
【0081】
また、上記のようにチャタリング除去のための判定時間を短くすることが可能となることで、高周波の信号が入力された場合の二値化信号の精度劣化を、効果的に抑制することが可能となる。
【0082】
また、さらに本発明は、このようなチャタリング防止のための判定を行うものであるから、ヒステリシスレベルを比較的小さく設定することができ、これによって入力信号が減衰するような場合にも適正に二値化を行うことが可能となる。
【0083】
また、このような本発明を、ウォブリングされたトラックが形成される光ディスクに対応した光ディスク装置における、シーク時のトラッキングエラー信号の二値化の際に適用すれば、その二値化出力に基づいて行われるシーク動作を、従来よりも正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における、実施の形態としての光ディスク装置の全体構成について示すブロック図である。
【図2】実施の形態の光ディスク装置内に備えられるサーボ回路の内部構成について示すブロック図である。
【図3】上記サーボ回路内に備えられる、実施の形態としての二値化回路の内部構成例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態の二値化回路の動作について説明するための図である。
【図5】実施の形態の変形例の構成を示すブロック図である。
【図6】ウォブリングフォーマットが採用される場合のトラバース信号とその二値化信号について示した図である。
【図7】従来のヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図8】従来における、出力補正回路を備えるヒステリシスコンパレータの構成について示したブロック図である。
【図9】従来のヒステリシスコンパレータの動作について説明するための図である。
【図10】従来における、出力補正回路を備えるヒステリシスコンパレータの動作について説明するための図である。
【符号の説明】
1 ディスク、10 光ディスク装置、11 光学ピックアップ、13 スレッド機構、20 システムコントローラ、21 サーボ回路、30 フォーカスサーボ回路、31 トラッキングサーボ回路、32 スレッドサーボ回路、33フォーカスドライバ、34 トラッキングドライバ、35 スレッドドライバ、36 2値化回路、37 トラックカウンタ、38 トラック周期カウンタ、40 シークコントロール回路、41 コンパレータ、42 2値化出力補正回路、43 遅延回路、44 出力補正回路、45 比較器、46 ラッチ回路、47 ヒステリシスレベル生成回路、80 切換回路、81 ローパスフィルタ(LPF)、SW スイッチ
Claims (5)
- 入力信号と閾値とを比較して二値の信号出力を行う二値化手段と、
上記二値化手段の出力信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手段と、
上記二値化出力補正手段により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手段に入力されるべき上記閾値を可変する閾値可変手段と、
を備えることを特徴とする二値化回路。 - さらに、上記入力信号に重畳されるノイズ成分を減衰することが可能に構成されたフィルタ手段と、
上記入力信号の周波数が、所定周波数よりも低いか否かについての判定が可能な周波数判定手段と、
上記周波数判定手段の判定結果により、上記入力信号の周波数が、上記所定周波数よりも低いとされる場合は、上記二値化手段に対し、上記フィルタ手段を介した入力信号を供給し、
上記入力信号の周波数が、上記所定周波数よりも低くないとされる場合は、上記二値化手段に対して上記入力信号を直接供給するように切換を行う切換手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の二値化回路。 - 入力信号と閾値とを比較した結果に応じた二値の信号出力を行う二値化手順と、
上記二値化手順により出力した信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手順と、
上記判定手順の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手順と、
上記二値化出力補正手順により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手順で用いる上記閾値を可変する閾値可変手順と、
を実行することを特徴とする二値化方法。 - ウォブリングされたトラックが形成される光ディスクに対する信号の記録または再生が可能な光ディスク装置として、
上記光ディスクに対するデータ書込または読出のための対物レンズを支持すると共に、この対物レンズを出力端としたレーザ照射及びその反射光検出を行うヘッド手段と、
上記ヘッド手段をトラッキング方向に移送可能な移送手段と、
上記ヘッド手段において検出される上記反射光から生成されたトラッキングエラー信号と、閾値とを比較して二値の信号出力を行う二値化手段と、
上記二値化手段の出力信号の値が変化した時点から、この変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段の判定結果により、上記変化した値が維持される時間長が、所定の時間長を超えたとされた場合にのみ、この変化された値を出力する二値化出力補正手段と、
上記二値化出力補正手段により、上記変化された値が出力されるのに応じて、上記二値化手段に入力されるべき上記閾値を可変する閾値可変手段と、
上記二値化出力補正手段の出力信号を対象とした計測を行い、その計測結果に基づいて上記移送手段を制御することで、シーク動作についての制御を実行するシーク制御手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。 - 上記シーク制御手段は、
上記二値化出力補正手段の出力信号を対象としたトラック数の計測、及びトラック周期の計測結果に基づいて、上記移送手段を制御するように構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
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JP2008204550A (ja) | 記録装置、光ピックアップ装置 |
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