JP2004333711A - 反射型マスクブランクスの製造方法及び反射型マスクの製造方法並びに反射多層膜付き基板の製造方法。 - Google Patents

反射型マスクブランクスの製造方法及び反射型マスクの製造方法並びに反射多層膜付き基板の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】反射率は損わずに、基板上に形成する反射多層膜の応力を有効に低減できる手段を提供する。
【解決手段】基板1上に、反射多層膜2を構成する第1の材料層を形成する工程と、第1の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程と、第1の材料層上に、反射多層膜2を構成する第2の材料層を形成する工程とを備えている反射多層膜2の形成工程を含む反射型マスクブランクス及び反射型マスクの製造方法である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造等に使用される光露光に用いる、露光用反射型マスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体産業において、半導体デバイスの微細化に伴い、EUV(Extreme Ultra Violet)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。なお、ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。この、EUVリソグラフィにおいて用いられるマスクとしては、たとえば下記特許文献1に記載された露光用反射型マスクが提案されている。
このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する反射多層膜が形成され、反射多層膜上に露光光を吸収する吸収膜がパターン状に形成されたものである。露光機において反射型マスクに入射した光は、吸収膜のある部分では吸収され、吸収膜のない部分では反射多層膜により反射された像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
上記反射多層膜としては、例えば13〜14nmのEUV光を反射するものとして、数nmの厚さのMoとSiを交互に積層させたものなどが知られている。
なお、上記反射型マスクや多層膜反射鏡に用いられる多層膜に関しては、たとえば下記特許文献2乃至5に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−27198号公報
【特許文献2】
特開平5−297194号公報
【特許文献3】
特開平5−203798号公報
【特許文献4】
米国特許第6309705号明細書
【特許文献5】
米国特許第5500312号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
EUV光のような短波長に使用される反射型マスクの場合、高反射率を得るためには反射多層膜を緻密に形成させる必要があるため、必然的に応力が高くなる。しかし、反射多層膜の応力が高いと、マスク面に反りなどの変形をもたらし、パターンの形状精度、位置精度に影響する。これは、マスクパターンが微細になるに従い、大きな問題となる。
上記特許文献2には、反射多層膜の各層の界面を水素化して層間拡散を防止すると共に滑らかな界面を形成する技術が開示され、上記特許文献3には、反射多層膜に中間層を設けることにより多層膜の熱拡散による反射率低下を防止する技術が開示されているが、これらの文献には反射多層膜の応力低減については考慮されていない。
【0005】
また、上記特許文献4には、多層膜成膜後の加熱処理により反射多層膜の応力を低減する技術が開示されているが、応力を有効に低減するためには反射多層膜に高温をかける必要があり、層間での拡散を招きやすく反射率の低下を伴う。
さらに、上記特許文献5には、応力の向きが異なる材料を積層することにより多層膜の応力を低減する技術が開示されているが、材料が限定される上に、成膜時の制御が難しいという問題がある。
そこで本発明は、反射多層膜の反射率は損わずに、また反射多層膜を形成する材料が限定されることなく、反射多層膜の応力を有効に低減できる手段を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明は、基板上に、異なる屈折率を有する複数の材料層を周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を有する反射型マスクブランクスの製造方法であって、前記反射多層膜を形成する工程は、反射多層膜を構成する材料層の内の少なくとも一の材料層を形成する工程と、該一の材料層上に隣接して反射多層膜を構成する他の材料層を形成する工程との間に、前記一の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程を含むことを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法である。
第2の発明は、基板上に、互いに異なる屈折率を有する材料層を交互に周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を有する反射型マスクブランクスの製造方法であって、前記反射多層膜を形成する工程は、(a)基板上に、反射多層膜を構成する第1の材料層を形成する工程と、(b)前記第1の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程と、(c)前記第1の材料層上に、反射多層膜を構成する第2の材料層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法である。
【0007】
第3の発明は、前記(b)のガス供給工程を実施した後、ガスの供給を停止してから前記(c)の第2の材料層の形成工程を実施することを特徴とする第2の発明に記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
第4の発明は、前記(a)の第1の材料層の形成工程の最後に前記(b)のガス供給工程を同時に実施すること及び/又は前記(c)の第2の材料層の形成工程の初期に前記(b)のガス供給工程を同時に実施することを特徴とする第2の発明に記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
第5の発明は、反射多層膜を構成する複数の層の各界面において、前記ガス供給工程を実施することを特徴とする第1乃至4の発明の何れかに記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
第6の発明は、前記ガスが、酸素、窒素、CH,C,C,C,C,B,PH,N(CH、CO、CO、NO、NO及びNOから選ばれる少なくとも一種のガスであることを特徴とする第1乃至5の発明の何れかに記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
第7の発明は、前記反射多層膜がMoとSiの交互積層膜であることを特徴とする第2乃至6の発明の何れかに記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
【0008】
第8の発明は、Moが前記第1の材料、Siが前記第2の材料であることを特徴とする第7の発明に記載の反射型マスクブランクスの製造方法である。
第9の発明は、第1乃至8の発明の何れかに記載の製造方法により得られる反射型マスクブランクスの反射多層膜上に、露光光を吸収する材料からなる吸収体層を形成することを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法である。
第10の発明は、第9の発明に記載の製造方法により得られた反射型マスクブランクスの吸収体層にパターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
第11の発明は、基板上に、互いに異なる屈折率を有する材料層を交互に周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を備えた反射多層膜付き基板の製造方法であって、前記反射多層膜を形成する工程は、(a)基板上に、反射多層膜を構成する第1の材料層を形成する工程と、(b)前記第1の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程と、(c)前記第1の材料層上に、反射多層膜を構成する第2の材料層を形成する工程と、を有することを特徴とする反射多層膜付き基板の製造方法である。
【0009】
本発明では、基板上に反射多層膜を成膜する際に、層間に特定のガスを供給し、多層膜界面にこのガスに含まれる物質を吸着させ、この吸着物質の作用により、異なる材料の界面の歪みが緩和され、多層膜全体の応力を低減することができる。このように多層膜の応力が低減された反射多層膜付き基板を用いて反射型マスクを製造することにより、マスク面に反りなどの変形が起こらないため、パターンの形状精度及び位置精度に優れた反射型マスクが得られる。
このような本発明による作用を得るためには、基板上に反射多層膜を成膜する際に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素又は化合物のガスを多層膜の層間に導入する。原子状態で2つ以上の不対電子を持つとは、言い換えれば、他の元素と結合しうる結合の手が2つ以上あるということであり、たとえば結合の手を全く持たない希ガスや、結合の手が1つしかないハロゲン及び水素は不適当であるが、これら以外のガスであれば単元素でも化合物でも本発明では使用可能である。
【0010】
希ガス、ハロゲン及び水素以外のガスは、2つ以上の結合手を有し、多層膜の界面に導入された際に、下層(第1の材料層)との結合及び上層(第2の材料層)との結合の両方が可能な物質を供給できるガスである。本発明者らの検討によれば、このような2つ以上の結合手を有する元素又は化合物を層間に導入して吸着させることにより、結合距離の異なる層間でこの吸着した物質が両層の結合の間に入ることによる緩衝作用を奏して、界面の歪みを緩和し、その結果、膜応力が緩和されると考えられる。
また、多層膜構成物質と吸着ガス物質との組合せや多層膜の成膜方法によっては、層間にガスを供給することで、界面でのアモルファス化が起こる場合がある。界面でのアモルファス化は多層膜の応力緩和にも寄与する。
また、層間にガスを供給することで、多層膜構成物質と吸着されたガス物質とが新たな化合物を形成する場合、多層膜構成物質の界面での相互拡散が抑制される場合がある。このような多層膜構成物質の相互拡散が抑制されることにより、反射多層膜の反射率低下を抑えることができる。
【0011】
本発明による最も簡単な方法としては、例えば、反射多層膜が2つの材料の交互積層膜の場合、多層膜を構成する2つの材料のうち、いずれか一方の膜(第1の材料層)を形成した後に、ガスを導入してガスに含まれる物質を吸着させ、ガス排気後、他方の膜(第2の材料層)を形成する。
上記ガスは、成膜した第1の材料層の表面全体に吸着するのに十分な分圧となるよう供給するのが好ましいが、表面の一部に吸着するだけであっても、応力低減の効果は得られる。本発明の作用を得るため、層間に導入するガス物質の量の制御は容易である。
層間への上記ガスの供給方法としては、多層膜の成膜室内にガスを導入して放置する以外に、直接表面にガスを吹き付ける、或いは、ガスを予めイオン化して照射するのでもよい。
また、本発明では、上記第1の材料層の形成工程の最後にガス供給工程を同時に実施すること及び/又は第2の材料層の形成工程の初期にガス供給工程を同時に実施することができる。すなわち、第1の材料層と第2の材料層の界面近傍において、第1の材料層の形成工程とガス供給工程を同時に行う工程、或いは、ガス供給工程と第2の材料層の形成工程を同時に行う工程を有していてもよい。
【0012】
つまり、第1の材料層の形成の最後に、ガスと第1の材料層の原料を同時に基板表面に供給するか、或いは、第2の材料層の形成の初期に、ガスと第2の材料層の原料の供給を同時に行うかしてもよい。
このようにすることで、膜応力の低減効果に加えて、更に、第1の材料層と第2の材料層の界面での拡散層形成を抑制する効果が得られる。また、このようにすることで、前述の多層膜構成物質と吸着されたガス物質とが新たな化合物を形成し、多層膜構成物質の界面での相互拡散を抑制する効果が得られやすくなる。前者の場合、第1の材料層の形成の最後に、ガスの供給を開始することで、第1の材料層を形成する原料物質とガスに含まれる物質との混合物或いは化合物を薄く堆積させる。そして、ガス及び第1の材料層の原料物質の供給を停止し、その後、第2の材料層の形成を開始する。この場合は、界面に形成された薄い層が、第2の材料層が第1の材料層内に深く侵入するのを防止し、拡散層の形成を抑制できる。
【0013】
後者の場合、第1の材料層形成後、ガスの供給と第2の材料層の原料物質の供給とを同時に開始することで、第2の材料層の形成の初期に、ガスに含まれる物質と第2の材料層を形成する原料物質との混合物或いは化合物を界面に薄く堆積させる。その後ガスの供給をストップし、第2の材料層を形成する物質のみを供給して第2の材料層の形成を完成させる。この場合は、第2の材料層の原料を供給する際に、ガスが基板表面に存在することで、第2の材料層の原料(スパッタ粒子等)が、このガスに衝突し、エネルギーが小さくなり、第1の材料層に深く侵入するのを防止する事が出来る。この事は、第2の材料層と第1の材料層との間の拡散層の形成を抑制する。
なお、第1の材料層の形成の最後にガスの供給を行うと共に、第2の材料層の形成の最初にもガスの供給を行ってもよい。
【0014】
上記の界面に第1の材料層又は第2の材料層を形成する物質とガスに含まれる物質との混合物或いは化合物を薄く堆積させる層の厚みとしては、第1の材料層と第2の材料層との界面での拡散層形成を抑制できる厚さとすればよい。厚みをガスの供給を行わなかった場合に、第2の材料層と第1の材料層の界面に形成される拡散層よりも薄くすれば、このような拡散層が形成された場合に比較して、反射多層膜の反射率低下を少なく抑えられる。材料にもよるが、0.2nm〜1.5nm程度の厚みである。従って、第1の材料層の形成工程の「最後」、或いは、第2の材料層の形成工程の「初期」とは、このような界面での薄い堆積層を形成できるような時間的間隔である。
反射多層膜の最も簡単な構成としては、上述のような屈折率の異なる2つの材料層の交互積層膜であるが、本発明は、屈折率の異なる3つ以上の材料層を周期的に積層させて反射多層膜を形成する場合にも適用できる。
たとえば、反射多層膜を構成する材料層の内の少なくとも一の材料層を形成する工程と、該一の材料層上に隣接して他の材料層を形成する工程との間に、ガスを供給する工程を含めることで、膜応力の低減効果が得られる。
なお、本発明では、層間へのガス供給工程は、多層膜の全ての層の界面で行ってもよく、一部の界面でのみ行ってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により説明する。
図1は反射多層膜付き基板の概略断面図であり、図2は反射型マスクブランクス及びこのマスクブランクスを用いて反射型マスクを製造する工程を示す概略断面図である。
図1に示すように、反射多層膜付き基板30は、基板1上に本発明による方法を適用して反射多層膜2を形成したものである。また、反射型マスクブランクスの一実施形態としては、図2(a)に示すように、基板1上に反射多層膜2が形成され、更にその上に、バッファー層3及び吸収体層4の各層が形成された構造をしている。
反射多層膜付き基板30及び反射型マスクブランクス10を構成する各層について説明する。
【0016】
基板1としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましい。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、アモルファスガラス、セラミック、金属の何れでも使用できる。例えばアモルファスガラスであれば、SiO−TiO系ガラス、石英ガラス、結晶化ガラスであれば、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等を用いることが出来る。金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)などが挙げられる。また、単結晶シリコン基板を使用することもできる。
また、基板1は、高反射率及び高転写精度を得るために、高い平滑性と平坦性を備えた基板が好ましい。特に、0.2nmRms以下の平滑な表面(10μm角エリアでの平滑性)と、100nm以下の平坦度(142mm角エリアでの平坦度)を有することが好ましい。また、基板1は、その上に形成される膜の膜応力による変形を防止するために、高い剛性を有しているものが好ましい。特に、65GPa以上の高いヤング率を有しているものが好ましい。
なお、平滑性を示す単位Rmsは、二乗平均平方根粗さであり、原子間力顕微鏡で測定することができる。また平坦度は、TIR(Total Indicated Reading)で示される表面の反り(変形量)を表す値で、基板表面を基準として最小自乗法で定められる平面を焦平面とし、この焦平面より上にある基板表面の最も高い位置と、焦平面より下にある基板表面の最も低い位置との高低差の絶対値である。
【0017】
次に、反射多層膜2について説明すると、該反射膜2は、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層膜が用いられる。一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40周期程度積層された多層膜が用いられる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する反射多層膜としては、MoとSiを交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される反射多層膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
反射多層膜2は、DCマグネトロンスパッタ法や、イオンビームデポジション法などにより、各層を成膜することにより形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、DCマグネトロンスパッタ法により、まずSiターゲットを用いてArガス雰囲気で厚さ数nm程度のSi膜を成膜し、その後Moターゲットを用いてArガス雰囲気で厚さ数nm程度のMo膜を成膜し、これを一周期として、30〜60周期積層した後、最後に、反射多層膜の保護のため、例えばSi膜を形成するのが好ましい。
【0018】
本発明では、基板1上に上記反射多層膜2を成膜する際に、層間に特定のガスを供給し、この供給ガスの作用により、反射多層膜2の膜応力を緩和する。
本発明に使用するガスは、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素又は化合物のガスであるが、言い換えれば、希ガス、ハロゲン及び水素以外のガスであれば単元素でも化合物でも本発明では使用可能である。具体的には、酸素、窒素等の単元素のほか、CH,C等の炭化水素系、アルコール及びエーテル系、アンモニア、シラン系等の化合物のガスが挙げられるが、取り扱いの容易さなどを勘案すると、たとえば酸素、窒素、CH,C,C,C,C,B,PH,N(CH、CO、CO、NO、NO及びNOから選ばれる少なくとも一種のガスが好適である。
このようなガスを反射多層膜の層間に供給するには、例えば、反射多層膜を構成する第1の材料層の原料を供給して基板上に第1の材料層を成膜した後、その成膜室内にガスを導入して放置することで、ガスに含まれる物質を第1の材料層表面に自然吸着させる方法が簡便である。
【0019】
この場合、膜応力低減の効果を高めるには、ガスが第1の材料層表面全体に吸着するのに十分な分圧となるように供給することが望ましく、通常は導入ガスの分圧は1×10−2Pa〜1Pa程度の範囲内であることが適当である。また、ガス導入時の基板温度は特に制約されないが、基板温度をあまり高くすると、多層膜の光学的特性を損うおそれがあり、また、基板温度が低くなるにつれてガスが吸着され易くなる傾向があるので、ガス導入時の基板温度は、通常は室温から100℃程度の範囲内とするのが適当である。
波長13〜14nmのEUV光に対する反射多層膜としては、上述したように、例えばMoとSiを交互に積層した周期多層膜が好適であるが、この場合、特にMo膜上にガス吸着させることが、膜応力の低減効果及び膜物質の相互拡散抑制効果が高まるので好ましい。たとえば、酸素ガスを導入した場合、Mo膜の表面には吸着した酸素と反応してMoの酸化物を含む層が形成され、これが膜応力の低減効果及び膜物質の相互拡散抑制効果に寄与するものと考えられる。
【0020】
次に、前記バッファー層3は、吸収体層4にパターンを形成する際に、反射多層膜2を保護するものである。従って、吸収体層4のパターン形成及び修正時のエッチング環境に耐性を有するものから選択される。
その種の材料のうち、例えばCr単体又はCrを主成分とする材料は、膜の平滑性に優れるので好ましい。表面の平滑性は、Crを主成分とする材料の結晶状態を微結晶或いはアモルファスとすることでより優れたものとなる。なお、Crを主成分とするとは、成分中の金属元素のうち、最も組成比の大きい金属がCrであるという意味である。
Crを主成分とする材料としては、CrとN,O,Cから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む材料を用いる事が出来る。窒素を含むことで平滑性に優れ、炭素の添加でドライエッチング耐性が向上し、酸素の添加で膜の低応力化が出来るという特徴をそれぞれ有する。具体的には、CrN,CrO,CrC,CrNC,CrNOC等が挙げられる。
又、Crを主成分とする材料以外には、Ruを主成分とする材料、Rhを主成分とする材料、Tiを主成分とする材料等が挙げられる。
このバッファー層3は、DCスパッタ、RFスパッタ法以外に、イオンビームスパッタ等のスパッタ法で反射多層膜上に形成することができる。
バッファー層3の膜厚は、集束イオンビーム(FIB)を用いた吸収体パターンの修正を行う場合には、20〜60nm程度とするのが好ましいが、FIBを用いない場合には、5〜15nm程度とすることができる。
【0021】
次に、吸収体層4は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、タンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。ここで、Taを主成分とするとは、成分中の金属元素のうち、最も組成比の大きい金属がTaであるという意味である。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体層の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。
Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等を用いることが出来る。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることが出来るという効果が得られる。
【0022】
この中でも特に好ましい材料として、例えば、TaとBを含む材料(組成比Ta/Bが8.5/1.5〜7.5/2.5の範囲である)、TaとBとNを含む材料(Nが5〜30at%であり、残りの成分を100とした時、Bが10〜30at%)が挙げられる。これらの材料の場合、容易に微結晶或いはアモルファス構造を得ることが出来、良好な平滑性と平坦性が得られる。
このようなTa単体又はTaを主成分とする吸収体層は、マグネトロンスパッタリングなどのスパッタ法で形成するのが好ましい。例えば、TaBN膜の場合、タンタルとホウ素を含むターゲットを用い、窒素を添加したアルゴンガスを用いたスパッタリング法で成膜することができる。スパッタ法で形成した場合には、スパッタターゲットに投入するパワーや投入ガス圧力を変化させることにより内部応力を制御できる。また、室温程度の低温での形成が可能であるので、反射多層膜等への熱の影響を少なくすることが出来る。
Taを主成分とする材料以外では、例えば、WN、TiN、Ti等の材料が挙げられる。
なお、吸収体層4は、複数層の積層構造としてもよい。
吸収体層4の膜厚は、露光光であるEUV光が十分に吸収できる厚みであれば良いが、通常30〜100nm程度である。
【0023】
本実施の形態では、反射型マスクブランクス10は以上の如く構成されているが、吸収体層4へのパターン形成の方法や形成したパターンの修正方法によっては、前記バッファー層3を設けない構成とすることもできる。
また、基板1上に前記反射多層膜2を形成して得られる反射多層膜付き基板30は、本実施の形態では、反射型マスクブランクス及び反射型マスクの製造に用いているが、平坦性の良好な多層膜反射鏡に用いることも可能である。
次に、この反射型マスクブランクス10を用いた反射型マスクの製造工程を説明する。
本実施の形態の反射型マスクブランクス10(図2(a)参照)は、基板1上に順次、反射多層膜2、バッファー層3及び吸収体層4の各層を形成することで得られ、各層の材料及び形成方法については上述した通りである。
そして、この反射型マスクブランクス10の吸収体層4に吸収体パターンを形成する。まず、吸収体層4上に電子線用レジストを塗布し、ベーキングを行う。次に、電子線描画機を用いて描画し、これを現像して、所定のレジストパターン5aを形成する。
【0024】
形成されたレジストパターン5aをマスクとして、吸収体層4をドライエッチングして、吸収体パターン4aを形成する(図2(b)参照)。吸収体層4がTaを主成分とする材料からなる場合、塩素ガスを用いたドライエッチングを用いることが出来る。
なお、熱濃硫酸を用いて、吸収体パターン4a上に残ったレジストパターン5aを除去して、マスク11(同図(c)参照)を作製する。
通常はここで、吸収体パターン4aが設計通りに形成されているかどうかの検査を行う。吸収体パターン4aの検査には、例えば波長190nm〜260nm程度のDUV光が用いられ、この検査光が吸収体パターン4aが形成されたマスク11上に入射される。ここでは、吸収体パターン4a上で反射される検査光と、吸収体層4が除去されて露出したバッファー層3で反射される検査光とを検出し、そのコントラストを観察することによって、検査を行う。
【0025】
このようにして、例えば、除去されるべきでない吸収体層が除去されたピンホール欠陥(白欠陥)や、エッチング不足により一部が除去されずに残っているエッチング不足欠陥(黒欠陥)を検出する。このようなピンホール欠陥や、エッチング不足による欠陥が検出された場合には、これを修正する。
ピンホール欠陥の修正には、例えば、FIBアシストデポジション法により炭素膜等をピンホールに堆積させるなどの方法がある。また、エッチング不足による欠陥の修正には、FIB照射による不要部分の除去を行うなどの方法がある。このとき、バッファー層3は、FIB照射に対して、反射多層膜2を保護する保護膜となる。
こうして、パターン検査及び修正が終えた後、露出したバッファー層3を吸収体パターン4aに従って除去し、バッファー層にパターン3aを形成して、反射型マスク20を作製する(図2(d)参照)。ここで、例えばCr系材料からなるバッファー層3は、塩素と酸素を含む混合ガスでのドライエッチングを用いることができる。バッファー層を除去した部分では、反射多層膜2が露出する。
【0026】
最後に、仕様通りの寸法精度で吸収体パターン4aが形成されているかどうかの最終的な確認の検査を行う。この最終確認検査の場合も、前述のDUV光が用いられる。
なお、上述のバッファー層3の除去は必要に応じて行えばよく、バッファー層を除去しなくても必要な反射率が得られる場合には、バッファー層を吸収体層と同様のパターン状に加工せず、反射多層膜上に残すこともできる。
また、本発明により製造される反射型マスクは、EUV 光(波長0.2〜100nm程度)を露光光として用いた場合に特に好適であるが、他の波長の光に対しても適宜用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
まず、反射多層膜付き基板を作製した。基板はSiO−TiO系ガラス基板を使用し、基板上に形成される反射多層膜は、13〜14nmの露光光波長帯域に適した反射多層膜を形成するために、本実施例では、Mo/Si周期反射多層膜を採用した。すなわち、反射多層膜は、MoとSiをイオンビームスパッタ法により基板上に交互に積層して形成した。まず、Siターゲットを用いて、Arガス圧2×10−2PaでSi膜を3.8nm成膜し、次にMoターゲットを用いて、Arガス圧2×10−2PaでMo膜を3.1nm成膜し、これを一周期として、40周期積層した後、最後に反射多層膜の保護のため、Si膜を10nm成膜した。
なお、本実施例では、上記各Mo膜を成膜後、酸素ガスを成膜室内に導入して所定時間放置した。このとき、酸素ガスの分圧は、2×10−2Paであった。また、酸素ガス導入時の基板温度は室温であった。そして、しかる後、成膜室内から酸素ガスを排気し、上記各Si膜の成膜を行うようにした。
【0028】
このようにして反射多層膜付き基板を得た。なお、反射多層膜の合計膜厚は286nmである。
次に、この反射多層膜付き基板の反射多層膜上にバッファー層を形成した。バッファー層は、窒化クロム膜を20nmの厚さに形成した。Crターゲットを用いて、スパッタガスとしてArと窒素の混合ガスを用いて、DCマグネトロンスパッタ法によって成膜した。成膜されたCrNx膜において、Nの濃度は10%とした(X=0.1)。
次に、このバッファー層の上に、吸収体層として、TaとBとNを含む材料を70nmの厚さで形成した。すなわち、Ta及びBを含むターゲットを用いて、Arに窒素を10%添加して、DCマグネトロンスパッタ法によって成膜し、本実施例の反射型マスクブランクスを得た。成膜されたTaBN膜において、組成比はTaが0.8、Bは0.1、Nは0.1であった。
次に、この反射型マスクブランクスを用いて、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを有するEUV露光用の反射型マスクを以下のようにして作製した。
【0029】
まず、上記反射型マスクブランクス上にEBレジストをコートし、EB描画と現像によりレジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとして、塩素を用いて吸収体層をドライエッチングし、吸収体層にパターンを形成した。
さらに、塩素と酸素の混合ガスを用いて、反射領域上(吸収体層のパターンのない部分)に残存しているバッファー層を吸収体層のパターンに従ってドライエッチングして除去し、反射多層膜を露出させ、反射型マスクを得た。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、デザインルールが0.07μmの16Gbit−DRAM用のパターンを設計通り形成できていることが確認できた。
【0030】
(比較例1)
各Mo膜の成膜後に成膜室内への酸素ガスの導入を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてMoとSiをイオンビームスパッタ法により基板上に交互に積層して反射多層膜を形成した。
次に、この反射多層膜付き基板上に、実施例1と同様にしてバッファー層及び吸収体層を形成して反射型マスクブランクスを得た。
次いで、実施例1と同様に、この反射型マスクブランクスを用いて、吸収体層及びバッファー層に所定のパターンを形成して、本比較例の反射型マスクを得た。
【0031】
(実施例2)
本実施例では、反射多層膜をマグネトロンスパッタ法により形成した。まず、Siターゲットを用いて、Arガス圧2×10−2PaでSi膜を3.8nm成膜し、次にMoターゲットを用いて、Arガス圧2×10−2PaでMo膜を3.1nm成膜し、これを一周期として、40周期積層した後、最後に反射多層膜の保護のため、Si膜を10nm成膜した。
そして、本実施例では、上記各Si膜の成膜後及び各Mo膜の成膜後の両方において、酸素ガスを成膜室内に導入して所定時間放置した。このとき、酸素ガスの分圧は、1Paとした。また、酸素ガス導入時の基板温度は室温であった。そして、成膜室内に導入した酸素ガスを一旦排気してから次の成膜を行うようにした。
次に、この反射多層膜付き基板上に、実施例1と同様にしてバッファー層及び吸収体層を形成して反射型マスクブランクスを得た。
次いで、実施例1と同様に、この反射型マスクブランクスを用いて、吸収体層及びバッファー層に所定のパターンを形成して、本実施例の反射型マスクを得た。
【0032】
(比較例2)
各Si膜及び各Mo膜の成膜後に成膜室内への酸素ガスの導入を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にしてMoとSiをマグネトロンスパッタ法により基板上に交互に積層して反射多層膜を形成した。
次に、この反射多層膜付き基板上に、実施例1と同様にしてバッファー層及び吸収体層を形成して反射型マスクブランクスを得た。
次いで、実施例1と同様に、この反射型マスクブランクスを用いて、吸収体層及びバッファー層に所定のパターンを形成して、本比較例の反射型マスクを得た。
【0033】
上述の各実施例及び各比較例で得られた反射型マスクに対して、バッファー層除去後、露出した反射多層膜表面の波長13.4nm、入射角5度のEUV光に対する反射率を測定した。結果は下記表1に示した。
又、反射多層膜形成前と形成後の平坦度の変化量を測定した。平坦度の定義は前述の通りである。膜応力の値は、平坦度の変化から求めた。なお、反射多層膜形成前の基板の平坦度は100nm以下であった。結果は下記表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 2004333711
【0035】
表1の結果から、実施例1,2のように層間に酸素を供給して反射多層膜を形成すると、このような酸素ガス供給を行わない従来の方法で反射多層膜を形成した比較例1,2に比べ、平坦度の変化量が小さく抑えられ、反射多層膜の膜応力が低減され、平坦性に優れていることが分かる。また、EUV光に対する反射率は、実施例では、比較例と同等レベルであるが、さらに膜応力が低下するので実用的である。
また、反射多層膜のMo膜とSi膜の界面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、Mo上のMo−Si相互拡散層の厚さは、例えば比較例1では0.55nmであるのに対し、実施例1では0.43nmであり、さらに実施例2では、TEM観察による測定では確認できないほど薄いものであった。
このように酸素ガスの供給によりMo膜上で相互拡散が抑制されたのは、酸素とMoとの反応により生成されたMoの酸化物は結合エネルギーが大きく且つ緻密な結晶格子を形成するため、Siの移動が抑制されるからであると考えられる。
【0036】
また次に、上記各反射型マスクを用いて、図3に示す半導体基板上へのEUV光によるパターン転写装置による露光転写を行った。
反射型マスクを搭載したパターン転写装置50は、レーザープラズマX線源31、縮小光学系32等から概略構成される。縮小光学系32は、X線反射ミラーを用いている。縮小光学系32により、反射型マスク20で反射されたパターンは通常1/4程度に縮小される。尚、露光波長として13〜14nmの波長帯を使用するので、光路が真空中になるように予め設定した。
このような状態で、レーザープラズマX線源31から得られたEUV光を反射型マスク20に入射し、ここで反射された光を縮小光学系32を通してシリコンウエハ(レジスト層付き半導体基板)33上に転写した。
【0037】
反射型マスク20に入射した光は、吸収体パターン4aのある部分では、吸収体層に吸収されて反射されず、一方、吸収体パターン4aのない部分に入射した光は反射多層膜2により反射される。このようにして、反射型マスク20から反射される光により形成される像が縮小光学系32に入射する。縮小光学系32を経由した露光光は、シリコンウエハ33上のレジスト層に転写パターンを露光する。そして、この露光済レジスト層を現像することによってシリコンウエハ33上にレジストパターンを形成した。
以上のようにして半導体基板上へのパターン転写を行ったところ、実施例1,2による反射型マスクはマスク面の平坦度が十分に高く、十分な露光特性を有していることを確認した。そして、実施例1,2の反射型マスクの精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることを確認できた。これに対し、比較例1,2による反射型マスクはマスク面の平坦度があまり高くないことに起因するパターンの形状精度、位置精度の低下により、70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることを確認できなかった。
【0038】
(実施例3)
前記ガラス基板上に、実施例2と同様にマグネトロンスパッタ法で、Si膜3.8nm、Mo膜3.1nmとなるように交互に40周期成膜した。ただし、本実施例では、各Si膜形成後、各Mo膜の形成時の初期に、CHガスを同時に基板上に供給し、界面にMoとCを含む薄膜層を形成した。このとき、CHガスの分圧は1Paとし、ガス導入時の基板温度は室温であった。そして、その後CHガスの供給を停止し、後はMoのみで成膜を行うようにした。なお、上記薄膜層の厚みは、前述の比較例2のようにガス供給を行わなかった場合に形成されるSi上のMo−Si相互拡散層の厚みが約1nmであったことを考慮し、これより薄い0.5nmとなるようにした。最後に、反射多層膜の保護のため、Si膜を10nmの厚さに形成した。
このようにして、反射多層膜付き基板を得た。反射多層膜の応力は、−200MPaであった。また、EUV光の反射率は、64.5%と高反射率であった。また、TEMによりSiとMoの界面を観察したところ、界面にはMoとCを含む化合物からなる薄膜層が形成されていたが、その近傍において、MoとSiの相互拡散はほとんど見られなかった。
他の実施例と同様にして、この反射多層膜付き基板を用いて、反射型マスクを製造し、さらに図3の装置を用いて半導体基板上へのパターン転写を行ったところ、本実施例の反射型マスクはマスク面の平坦度が十分に高く、十分な露光特性を有しており、本実施例の反射型マスクの精度は70nmデザインルールの要求精度である16nm以下であることを確認できた。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、反射多層膜の形成の際、層間に特定のガスを供給することにより、反射多層膜の応力を低減することが出来る。そのため、形成されるマスク面の平坦性に優れ、パターンの形状精度や位置精度が良好であり、微細パターンであっても高精度でパターン転写を行える。
また、本発明は、例えば反射多層膜を構成する第1の材料層を形成した後、特定のガスを成膜室内へ供給し、しかる後、ガスの供給を停止してから反射多層膜を構成する第2の材料層を形成することによって実施できるため、簡便な方法で、応力低減効果が得られる。
また、本発明は、第1の材料層の形成工程の最後に及び/又は第2の材料層の形成工程の初期にガスの供給工程を同時に実施することにより、供給ガスに含まれる物質と多層膜の材料物質の混合物或いは化合物を含む薄膜層を界面に形成できるため、応力低減効果が得られるとともに、多層膜の相互拡散層の形成を抑制することにも寄与できる。
【0040】
また、本発明では、反射多層膜を構成する複数の層の各界面において、ガスの供給工程を実施することにより、良好な応力の低減効果が得られる。
また、本発明では、特に酸素、窒素、CH,C,C,C,C,B,PH,N(CH、CO、CO,NO、NO及びNOから選ばれる少なくとも一種のガスを用いることにより、取り扱いの上でも簡便な方法で、良好な応力の低減効果が得られる。
また、本発明は、EUV光に適したMoとSiの交互積層膜からなる反射多層膜の形成に好適である。
また、本発明により得られる反射型マスクは、反射多層膜の応力低減により、マスク面の平坦性に優れるため、微細パターンの高精度の露光転写を実現できる。
また、本発明により平坦度の高い反射多層膜付き基板が得られるため、反射型マスクだけでなく、多層膜反射鏡としても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射多層膜付き基板の構成を示す断面図である。
【図2】反射型マスクブランクスの一実施形態の構成及びこのマスクブランクスを用いて反射型マスクを製造する工程を示す断面図である。
【図3】反射型マスクを用いるパターン転写装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 反射多層膜
3 バッファー層
4 吸収体層
10 反射型マスクブランクス
20 反射型マスク
30 反射多層膜付き基板
50 パターン転写装置

Claims (8)

  1. 基板上に、異なる屈折率を有する複数の材料層を周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を有する反射型マスクブランクスの製造方法であって、
    前記反射多層膜を形成する工程は、反射多層膜を構成する材料層の内の少なくとも一の材料層を形成する工程と、該一の材料層上に隣接して反射多層膜を構成する他の材料層を形成する工程との間に、前記一の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程を含むことを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法。
  2. 基板上に、互いに異なる屈折率を有する材料層を交互に周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を有する反射型マスクブランクスの製造方法であって、
    前記反射多層膜を形成する工程は、
    (a)基板上に、反射多層膜を構成する第1の材料層を形成する工程と、
    (b)前記第1の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程と、
    (c)前記第1の材料層上に、反射多層膜を構成する第2の材料層を形成する工程と、
    を備えていることを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法。
  3. 前記(b)のガス供給工程を実施した後、ガスの供給を停止してから前記(c)の第2の材料層の形成工程を実施することを特徴とする請求項2記載の反射型マスクブランクスの製造方法。
  4. 前記(a)の第1の材料層の形成工程の最後に前記(b)のガス供給工程を同時に実施すること及び/又は前記(c)の第2の材料層の形成工程の初期に前記(b)のガス供給工程を同時に実施することを特徴とする請求項2記載の反射型マスクブランクスの製造方法。
  5. 反射多層膜を構成する複数の層の各界面において、前記ガス供給工程を実施することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の反射型マスクブランクスの製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法により得られる反射型マスクブランクスの反射多層膜上に、露光光を吸収する材料からなる吸収体層を形成することを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法により得られた反射型マスクブランクスの吸収体層にパターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  8. 基板上に、互いに異なる屈折率を有する材料層を交互に周期的に積層させた露光光を反射するための反射多層膜を備えた反射多層膜付き基板の製造方法であって、
    前記反射多層膜を形成する工程は、
    (a)基板上に、反射多層膜を構成する第1の材料層を形成する工程と、
    (b)前記第1の材料層の表面に、原子状態で2つ以上の不対電子を持つ元素及び化合物から選ばれる少なくとも一種のガスを供給する工程と、
    (c)前記第1の材料層上に、反射多層膜を構成する第2の材料層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする反射多層膜付き基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018503119A (ja) * 2014-12-19 2018-02-01 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 堆積のモニタリングシステム及びその操作方法
JPWO2021060253A1 (ja) * 2019-09-26 2021-04-01
JP2021157097A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 Hoya株式会社 多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク、及び半導体デバイスの製造方法

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