JP2004333212A - 液物性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定対象液の物性を簡便かつ迅速で、しかも精度よく測定するための手段を提供する。
【解決手段】液浸透性支持体層と浸透距離測定手段とを有し、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成し、該測定手段が所定時間経過後の浸透領域のサイズを光学的に計測するように構成された液物性測定装置、及び、そのような装置に用いることができる液物性測定シート。
【選択図】 図1
【解決手段】液浸透性支持体層と浸透距離測定手段とを有し、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成し、該測定手段が所定時間経過後の浸透領域のサイズを光学的に計測するように構成された液物性測定装置、及び、そのような装置に用いることができる液物性測定シート。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、液物性を簡便かつ精確に測定するための液物性測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
う触、歯周病、口臭、口内炎、カンジダ症などの口腔疾患を引き起こす原因の1つとして、唾液の分泌量が減少する口腔乾燥症(ドライマウス)が問題となっている。口腔乾燥症は、加齢に伴う高血圧症や更年期障害のための治療薬によって誘発されたり、シェーングレン症候群でみられることが知られており、また、唾液の浸透性や粘度といった物性を変化させることも懸念されている。口腔内の乾燥状態を測る客観的指標として、パラフィンガムやガーゼを咀嚼して一定時間に分泌された刺激唾液量または重量を測定することが行われているが、口腔内局所の濡れ状態や湿潤度を安静時唾液の少ない容量や重量で正確に測ることは臨床現場では難しいため、近年、唾液湿潤度検査紙(商品名:エルサリボ)が開発された(特許文献1参照)。
【0003】
上記検査紙を用いて口腔乾燥度を測定するように、体液に限らず各種液状物質の物性を少量の試料で測定する簡便な手段があり、かつ、上記検査紙より更に改善された精度で測定を行うことができれば、医師や専門家の診断や検査が即座に得られないような場合、あるいはそうした診断や検査に先立って予備的な検査を行いたいような場合に便利である。測定対象液としては、上記唾液の他、涙液、汗液、血液、リンパ液、組織液、血清、血漿、乳腺分泌液、初乳、母乳、尿、胃液、腸液、浮腫液、羊水、脳脊髄液、胆汁、膣液、精液、飲料水、ジュース、酒類、河川水、雨水、および工場廃水等が想定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−329763号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の唾液湿潤度検査紙(エルサリボ)は、安静時においても口腔内局所の乾燥状態として湿潤度を測定することができ、また、唾液粘度の測定も可能であるとされているが、これは目測によるものであり、かつ、検査紙の形態が長方形で幅が狭く、一次元的な拡散のみの評価であったことから、精度の高い物性測定となると問題点が多い。また、エルサリボは、口腔内の所定部位に直接接触させることにより、唾液の浸透度、浸透速度、粘度等といった物性を簡便かつ安価に測定できるものであるが、口腔内に直接接触させて測定することから、口腔内の状態や接触のさせ方によって検査紙に付着する唾液の量が変わってくることがあり、また、同一唾液サンプルについて繰り返し測定することができないため、取扱い性や測定精度の点で不満が残る場合がある。さらに、測定対象液が唾液の場合には検査紙を測定部位(口腔内)に直接接触させて測定することも可能であるが、測定対象液によっては一旦体内からサンプルとして採取したものについて測定を行わねばならないもの(たとえば血液)もあり、体の所定部位に直接検査紙を接触させる方法は万能ではなく、むしろ一旦サンプルとして採取したものについて精度よく測定が行えるような検査紙が求められている。本発明は、そのような要請に鑑み、サンプルとして採取した測定対象液の物性を簡便かつ迅速で、しかも精度よく測定するための検査紙を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液浸透性支持体層と浸透距離測定手段とを有し、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成し、該測定手段が所定時間経過後の浸透領域のサイズを光学的に計測するように構成された液物性測定装置を提供し、これにより上記課題を解決するものである。
【0007】
また本発明は、液浸透性支持体層を有する液物性測定シートを水平に載置するための透明板、該透明板上に載置された液物性測定シートの表面に所定量の測定対象液を滴下するための滴下手段、該透明板の下方から液物性測定シートに光を照射するための照明手段、該透明板の下方から液物性測定シートを撮影するための撮影手段、および該撮影手段により撮影された画像のデータを処理するためのデータ処理手段を含んでなる液物性測定装置を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0008】
さらに本発明は、水分不透過性の透明フィルム上に液浸透性支持体層が設けられ、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成するように構成された液物性測定シートを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0009】
【発明の実施の態様】
本発明において、液物性測定装置もしくは液物性測定シートの支持体層を構成する材料としては、普通紙、濾紙、吸い取り紙、紙タオル、加工紙等の各種紙材料;石英ウール、ガラスウール等の無機ウール材料;デンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロースパウダー等の有機粉末材料;ウール、絹、綿、麻等の動物および植物繊維;アクリル、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、再生セルロース、ガラス繊維などの合成繊維;シリカゲル、活性白土、珪藻土、炭素粉末、活性アルミナ等の多孔性吸着剤;さらにはこれらの多孔性吸着剤に界面活性剤を含ませたもの等を好適に用いることができる。特に、デンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロース、植物繊維、合成繊維、多孔性吸着剤および界面活性剤を含む多孔性吸着剤が代表的なものである。
【0010】
本発明の液物性測定シートを用いて測定を行うには、次のようにする。まず、予め測定対象液のサンプルを用意し、用意したサンプルからマイクロピペット等を用いて一定量(10〜50μL程度、典型的には25μL)を採取する。場合によっては、予めサンプルを用意せずに、直接マイクロピペットで測定対象液を一定量採取してもよい。次に、マイクロピペットで採取した所定量の測定対象液を液物性測定シートの支持体層表面に滴下する。このとき、シートは水平に載置し、その中心に液を滴下することが好ましい。シート表面の所定位置に正確に滴下するために、図1に示すような治具を用いると便利である。図1(a)は四角形のシート1に治具2を用いてマイクロピペットから液を滴下する様子を示し、図1(b)は円形のシート1に治具2を用いてマイクロピペットから液を滴下する様子を示す。治具上面に設けられた円形の孔3は、マイクロピペットのチップ4を差し込んだときに、チップの先端がシートの上面から所定距離(1〜10mm程度)だけ離れて停止するような直径を有する。滴下して所定時間(5秒〜60秒程度、典型的には浸透度の測定には10秒、浸透速度の測定には10秒および30秒の2回)経過すると、滴下した液が拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域5を形成するので、その直径を、コンパスやメジャーなどのスケールを用いた目視計測、または透過光もしくは反射光を計測する光学機器を用いた機械計測により測定する。
【0011】
図2は、そのような機械計測を行うための装置の一例を示すものである。水平に保持された透明板11上に液物性測定シート12を置き、治具13の孔を通してマイクロピペット14で測定対象液を滴下する。所定時間経過後、シートに形成された浸透領域を、光源15から例えばハーフミラー16を介して光を照射することにより、撮影装置17で撮影する。撮影した映像は、画像記録/処理装置18を介してデータ化することにより、モニター19で目視観察することもできるし、計測した結果をデータ出力装置20で出力することもできる。浸透領域は液物性測定シートの素材によっては楕円形となるが、そのような場合は長径と短径との平均をとって拡散速度を算出してもよいし、画像のデジタル処理により輪郭内の格子の総数として面積計算することにより拡散速度を算出してもよい。なお、マイクロピペットからの滴下操作を自動化し、撮影のタイミングを滴下と連動させて設定するようにすれば、測定の精度はさらに向上する。
【0012】
本発明の液物性測定シートの支持体層を水分不透過性の透明フィルム上に設けると、シート厚み方向の液の拡散が制限されて理想的な二次元拡散により近い状態になるし、何より浸透した液により透明版の上面が汚れるのを防ぐことができるので好ましい。そのようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の透明フィルムが好適に用いられる。一方、液滴下(付着)部位を除く支持体層表面を同様な材料で防水コートすると、液浸透領域の先端がコート材料で保護されることになるので好ましい。
【0013】
支持体層が厚すぎると、滴下された液の深さ方向の拡散も考慮しなくてはならなくなり、二次元拡散という前提が崩れるため、厚さの上限は3.0mm程度である。一方、支持体層が薄すぎると、滴下された液の吸収や浸透が不均一になるため、厚さの下限は0.1mm程度である。また、該支持体層上に液を25μL滴下したときの10秒間における二次元拡散距離が1〜40mm程度、30秒間における二次元拡散距離が1〜150mm程度になるように支持体層の厚さを定めることが好ましい。したがって、たとえば滴下10秒後および30秒後の拡散距離の差を測定することにより液の浸透速度を測るとすれば、本発明の液物性測定シートは当該二次元拡散距離を半径とする円が収まるようなサイズでなくてはならない。すなわち、滴下10秒後および30秒後の拡散距離をそれぞれ測定することとし、それぞれ唾液の浸透度に応じて5〜30mm程度および15〜80mm程度となるような厚さの支持体層を設けたとすれば、一辺が200mm程度の正方形、あるいは直径が200mm程度の円形のシートとすればよいことになる。
【0014】
本発明の液物性測定シートは、上記のように所定時間内の拡散距離を測定するためのものであるが、そうした測定結果を用いてデータ処理を行えば粘度等の物性値に変換することができる。また、支持体の材料を変えることにより各種材料との親和性を調べることもできるし、支持体中に指示薬等を含ませておけばpHその他の化学的特性を調べることもできる。さらに、測定対象液の成分が支持体材料に対してクロマト的展開を示すものであれば、それらの成分の含有割合を調べることもできる。なお、目視計測を容易にするためには、支持体中にpH指示薬や着色料を微量に加えておくとよい。pH指示薬としては、ブロムフェノールブルー、メチルオレンジ、メチルレッド、ブロムチモールブルー、フェノールレッド、チモールブルー等を好適にもちいることができ、着色料としては、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、銅クロロフィリンナトリウム等を好適に用いることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の液物性測定装置ないし液物性測定シートを用い、一定量の測定対象液を支持体層上に正確に滴下するようにすれば、直接検査紙を測定対象液に接触させる場合と比べて測定の精度が向上する。また予め測定対象液のサンプルを採取しておけば、同一のサンプルについて複数回の計測を行うこともできるので、測定精度はさらに向上する。また、図1に示すような治具とマイクロピペットを用いれば操作性も向上するし、図2に示すような機械計測装置を用いれば、測定精度がさらに向上するとともに、測定結果に対してデータ処理を行うことで、種々の液物性を同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液物性測定シートを用いて測定を行う例を示す。
【図2】本発明の液物性測定装置を用いて測定を行う例を示す。
【符号の説明】
1 液物性測定シート
2 治具
3 治具の孔
4 マイクロピペットのチップ
5 浸透領域
11 透明板
12 液物性測定シート
13 治具
14 マイクロピペット
15 光源
16 ハーフミラー
17 撮影装置
18 画像記録/処理装置
19 モニター
20 データ出力装置
【発明が属する技術分野】
本発明は、液物性を簡便かつ精確に測定するための液物性測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
う触、歯周病、口臭、口内炎、カンジダ症などの口腔疾患を引き起こす原因の1つとして、唾液の分泌量が減少する口腔乾燥症(ドライマウス)が問題となっている。口腔乾燥症は、加齢に伴う高血圧症や更年期障害のための治療薬によって誘発されたり、シェーングレン症候群でみられることが知られており、また、唾液の浸透性や粘度といった物性を変化させることも懸念されている。口腔内の乾燥状態を測る客観的指標として、パラフィンガムやガーゼを咀嚼して一定時間に分泌された刺激唾液量または重量を測定することが行われているが、口腔内局所の濡れ状態や湿潤度を安静時唾液の少ない容量や重量で正確に測ることは臨床現場では難しいため、近年、唾液湿潤度検査紙(商品名:エルサリボ)が開発された(特許文献1参照)。
【0003】
上記検査紙を用いて口腔乾燥度を測定するように、体液に限らず各種液状物質の物性を少量の試料で測定する簡便な手段があり、かつ、上記検査紙より更に改善された精度で測定を行うことができれば、医師や専門家の診断や検査が即座に得られないような場合、あるいはそうした診断や検査に先立って予備的な検査を行いたいような場合に便利である。測定対象液としては、上記唾液の他、涙液、汗液、血液、リンパ液、組織液、血清、血漿、乳腺分泌液、初乳、母乳、尿、胃液、腸液、浮腫液、羊水、脳脊髄液、胆汁、膣液、精液、飲料水、ジュース、酒類、河川水、雨水、および工場廃水等が想定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−329763号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の唾液湿潤度検査紙(エルサリボ)は、安静時においても口腔内局所の乾燥状態として湿潤度を測定することができ、また、唾液粘度の測定も可能であるとされているが、これは目測によるものであり、かつ、検査紙の形態が長方形で幅が狭く、一次元的な拡散のみの評価であったことから、精度の高い物性測定となると問題点が多い。また、エルサリボは、口腔内の所定部位に直接接触させることにより、唾液の浸透度、浸透速度、粘度等といった物性を簡便かつ安価に測定できるものであるが、口腔内に直接接触させて測定することから、口腔内の状態や接触のさせ方によって検査紙に付着する唾液の量が変わってくることがあり、また、同一唾液サンプルについて繰り返し測定することができないため、取扱い性や測定精度の点で不満が残る場合がある。さらに、測定対象液が唾液の場合には検査紙を測定部位(口腔内)に直接接触させて測定することも可能であるが、測定対象液によっては一旦体内からサンプルとして採取したものについて測定を行わねばならないもの(たとえば血液)もあり、体の所定部位に直接検査紙を接触させる方法は万能ではなく、むしろ一旦サンプルとして採取したものについて精度よく測定が行えるような検査紙が求められている。本発明は、そのような要請に鑑み、サンプルとして採取した測定対象液の物性を簡便かつ迅速で、しかも精度よく測定するための検査紙を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液浸透性支持体層と浸透距離測定手段とを有し、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成し、該測定手段が所定時間経過後の浸透領域のサイズを光学的に計測するように構成された液物性測定装置を提供し、これにより上記課題を解決するものである。
【0007】
また本発明は、液浸透性支持体層を有する液物性測定シートを水平に載置するための透明板、該透明板上に載置された液物性測定シートの表面に所定量の測定対象液を滴下するための滴下手段、該透明板の下方から液物性測定シートに光を照射するための照明手段、該透明板の下方から液物性測定シートを撮影するための撮影手段、および該撮影手段により撮影された画像のデータを処理するためのデータ処理手段を含んでなる液物性測定装置を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0008】
さらに本発明は、水分不透過性の透明フィルム上に液浸透性支持体層が設けられ、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成するように構成された液物性測定シートを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0009】
【発明の実施の態様】
本発明において、液物性測定装置もしくは液物性測定シートの支持体層を構成する材料としては、普通紙、濾紙、吸い取り紙、紙タオル、加工紙等の各種紙材料;石英ウール、ガラスウール等の無機ウール材料;デンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロースパウダー等の有機粉末材料;ウール、絹、綿、麻等の動物および植物繊維;アクリル、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、再生セルロース、ガラス繊維などの合成繊維;シリカゲル、活性白土、珪藻土、炭素粉末、活性アルミナ等の多孔性吸着剤;さらにはこれらの多孔性吸着剤に界面活性剤を含ませたもの等を好適に用いることができる。特に、デンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロース、植物繊維、合成繊維、多孔性吸着剤および界面活性剤を含む多孔性吸着剤が代表的なものである。
【0010】
本発明の液物性測定シートを用いて測定を行うには、次のようにする。まず、予め測定対象液のサンプルを用意し、用意したサンプルからマイクロピペット等を用いて一定量(10〜50μL程度、典型的には25μL)を採取する。場合によっては、予めサンプルを用意せずに、直接マイクロピペットで測定対象液を一定量採取してもよい。次に、マイクロピペットで採取した所定量の測定対象液を液物性測定シートの支持体層表面に滴下する。このとき、シートは水平に載置し、その中心に液を滴下することが好ましい。シート表面の所定位置に正確に滴下するために、図1に示すような治具を用いると便利である。図1(a)は四角形のシート1に治具2を用いてマイクロピペットから液を滴下する様子を示し、図1(b)は円形のシート1に治具2を用いてマイクロピペットから液を滴下する様子を示す。治具上面に設けられた円形の孔3は、マイクロピペットのチップ4を差し込んだときに、チップの先端がシートの上面から所定距離(1〜10mm程度)だけ離れて停止するような直径を有する。滴下して所定時間(5秒〜60秒程度、典型的には浸透度の測定には10秒、浸透速度の測定には10秒および30秒の2回)経過すると、滴下した液が拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域5を形成するので、その直径を、コンパスやメジャーなどのスケールを用いた目視計測、または透過光もしくは反射光を計測する光学機器を用いた機械計測により測定する。
【0011】
図2は、そのような機械計測を行うための装置の一例を示すものである。水平に保持された透明板11上に液物性測定シート12を置き、治具13の孔を通してマイクロピペット14で測定対象液を滴下する。所定時間経過後、シートに形成された浸透領域を、光源15から例えばハーフミラー16を介して光を照射することにより、撮影装置17で撮影する。撮影した映像は、画像記録/処理装置18を介してデータ化することにより、モニター19で目視観察することもできるし、計測した結果をデータ出力装置20で出力することもできる。浸透領域は液物性測定シートの素材によっては楕円形となるが、そのような場合は長径と短径との平均をとって拡散速度を算出してもよいし、画像のデジタル処理により輪郭内の格子の総数として面積計算することにより拡散速度を算出してもよい。なお、マイクロピペットからの滴下操作を自動化し、撮影のタイミングを滴下と連動させて設定するようにすれば、測定の精度はさらに向上する。
【0012】
本発明の液物性測定シートの支持体層を水分不透過性の透明フィルム上に設けると、シート厚み方向の液の拡散が制限されて理想的な二次元拡散により近い状態になるし、何より浸透した液により透明版の上面が汚れるのを防ぐことができるので好ましい。そのようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の透明フィルムが好適に用いられる。一方、液滴下(付着)部位を除く支持体層表面を同様な材料で防水コートすると、液浸透領域の先端がコート材料で保護されることになるので好ましい。
【0013】
支持体層が厚すぎると、滴下された液の深さ方向の拡散も考慮しなくてはならなくなり、二次元拡散という前提が崩れるため、厚さの上限は3.0mm程度である。一方、支持体層が薄すぎると、滴下された液の吸収や浸透が不均一になるため、厚さの下限は0.1mm程度である。また、該支持体層上に液を25μL滴下したときの10秒間における二次元拡散距離が1〜40mm程度、30秒間における二次元拡散距離が1〜150mm程度になるように支持体層の厚さを定めることが好ましい。したがって、たとえば滴下10秒後および30秒後の拡散距離の差を測定することにより液の浸透速度を測るとすれば、本発明の液物性測定シートは当該二次元拡散距離を半径とする円が収まるようなサイズでなくてはならない。すなわち、滴下10秒後および30秒後の拡散距離をそれぞれ測定することとし、それぞれ唾液の浸透度に応じて5〜30mm程度および15〜80mm程度となるような厚さの支持体層を設けたとすれば、一辺が200mm程度の正方形、あるいは直径が200mm程度の円形のシートとすればよいことになる。
【0014】
本発明の液物性測定シートは、上記のように所定時間内の拡散距離を測定するためのものであるが、そうした測定結果を用いてデータ処理を行えば粘度等の物性値に変換することができる。また、支持体の材料を変えることにより各種材料との親和性を調べることもできるし、支持体中に指示薬等を含ませておけばpHその他の化学的特性を調べることもできる。さらに、測定対象液の成分が支持体材料に対してクロマト的展開を示すものであれば、それらの成分の含有割合を調べることもできる。なお、目視計測を容易にするためには、支持体中にpH指示薬や着色料を微量に加えておくとよい。pH指示薬としては、ブロムフェノールブルー、メチルオレンジ、メチルレッド、ブロムチモールブルー、フェノールレッド、チモールブルー等を好適にもちいることができ、着色料としては、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、銅クロロフィリンナトリウム等を好適に用いることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の液物性測定装置ないし液物性測定シートを用い、一定量の測定対象液を支持体層上に正確に滴下するようにすれば、直接検査紙を測定対象液に接触させる場合と比べて測定の精度が向上する。また予め測定対象液のサンプルを採取しておけば、同一のサンプルについて複数回の計測を行うこともできるので、測定精度はさらに向上する。また、図1に示すような治具とマイクロピペットを用いれば操作性も向上するし、図2に示すような機械計測装置を用いれば、測定精度がさらに向上するとともに、測定結果に対してデータ処理を行うことで、種々の液物性を同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液物性測定シートを用いて測定を行う例を示す。
【図2】本発明の液物性測定装置を用いて測定を行う例を示す。
【符号の説明】
1 液物性測定シート
2 治具
3 治具の孔
4 マイクロピペットのチップ
5 浸透領域
11 透明板
12 液物性測定シート
13 治具
14 マイクロピペット
15 光源
16 ハーフミラー
17 撮影装置
18 画像記録/処理装置
19 モニター
20 データ出力装置
Claims (17)
- 液浸透性支持体層と浸透距離測定手段とを有し、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成し、該測定手段が所定時間経過後の浸透領域のサイズを光学的に計測するように構成された液物性測定装置。
- 該支持体層が水分不透過性のフィルム上に設けられた請求項1記載の液物性測定装置。
- 該支持体層上に25μL滴下された液の10秒間における二次元拡散距離が1〜40mmである請求項1または2記載の液物性測定装置。
- 該支持体層上に25μL滴下された液の30秒間における二次元拡散距離が1〜150mmである請求項1または2記載の液物性測定装置。
- 該支持体層がデンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロースパウダー、植物繊維、合成繊維、多孔性吸着剤、および界面活性剤を含む多孔性吸着剤から選択された少なくとも1つの材料を含んでなる請求項1〜4のいずれか記載の液物性測定装置。
- 該支持体層の厚みが0.1〜3.0mmである請求項1〜5のいずれか記載の液物性測定装置。
- 該支持体層表面に液滴下部位を除いて防水コート層が設けられている請求項1〜6のいずれか記載の液物性測定装置。
- 測定対象液が、唾液、涙液、汗液、血液、リンパ液、組織液、血清、血漿、乳腺分泌液、初乳、母乳、尿、胃液、腸液、浮腫液、羊水、脳脊髄液、胆汁、膣液、精液、飲料水、ジュース、酒類、河川水、雨水、および工場廃水から選択される請求項1〜7のいずれか記載の液物性測定装置。
- 該測定手段が、浸透領域に光を照射する照射手段、光を照射した領域を撮影する撮影手段、および撮影した画像をデジタル処理して浸透領域のサイズを算出するデータ処理手段からなる請求項1〜8のいずれか記載の液物性測定装置。
- 液浸透性支持体層を有する液物性測定シートを水平に載置するための透明板、該透明板上に載置された液物性測定シートの表面に所定量の測定対象液を滴下するための滴下手段、該透明板の下方から液物性測定シートに光を照射するための照明手段、該透明板の下方から液物性測定シートを撮影するための撮影手段、および該撮影手段により撮影された画像のデータを処理するためのデータ処理手段を含んでなる液物性測定装置。
- 該撮影手段による撮影のタイミングを該滴下手段による滴下のタイミングと連動させて設定するための制御手段をさらに含む請求項10記載の液物性測定装置。
- 水分不透過性の透明フィルム上に液浸透性支持体層が設けられ、該支持体層上に所定量滴下された測定対象液が二次元的に拡散してほぼ円形ないし楕円形の浸透領域を形成するように構成された液物性測定シート。
- 該支持体層上に25μL滴下された液の10秒間における二次元拡散距離が1〜40mmである請求項12記載の液物性測定シート。
- 該支持体層上に25μL滴下された液の30秒間における二次元拡散距離が1〜150mmである請求項12記載の液物性測定シート。
- 該支持体層がデンプン、デキストラン、ムタン、レバン、セルロースパウダー、植物繊維、合成繊維、多孔性吸着剤、および界面活性剤を含む多孔性吸着剤から選択された少なくとも1つの材料を含んでなる請求項12〜14のいずれか記載の液物性測定シート。
- 該支持体層の厚みが0.1〜3.0mmである請求項12〜15のいずれか記載の液物性測定シート。
- 該支持体層表面に液滴下部位を除いて防水コート層が設けられている請求項12〜16のいずれか記載の液物性測定シート。
Priority Applications (1)
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JP2003126815A JP2004333212A (ja) | 2003-05-02 | 2003-05-02 | 液物性測定装置 |
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2003
- 2003-05-02 JP JP2003126815A patent/JP2004333212A/ja active Pending
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