JP2004332809A - トルクセンサ内蔵車輪用軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両にコンパクトにかつ取扱性良くトルクセンサを設置することができ、車軸に作用するトルクを検出することのできるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を提供することを目的とする。
【解決手段】複列の転走面4が内周面に形成された外方部材1と、この外方部材1の転走面4と対向する複列の転走面5が形成された内方部材2とを設け、両転走面4,5間に複列の転動体3を介在させて、車体に対して車輪18を回転自在に支持する。内方部材2の外周部に磁歪材で形成される被検出部9を設ける。外方部材1に、被検出部9の磁気的特性の変化を検出することで内方部材2の取付けられる軸の作用トルクを検出するトルク検出部10を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】複列の転走面4が内周面に形成された外方部材1と、この外方部材1の転走面4と対向する複列の転走面5が形成された内方部材2とを設け、両転走面4,5間に複列の転動体3を介在させて、車体に対して車輪18を回転自在に支持する。内方部材2の外周部に磁歪材で形成される被検出部9を設ける。外方部材1に、被検出部9の磁気的特性の変化を検出することで内方部材2の取付けられる軸の作用トルクを検出するトルク検出部10を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車軸に作用するトルクの検出機能を備えたトルクセンサ内蔵車輪用軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両走行時の姿勢制御のために、車両各部の車輪の回転速度を検出するセンサを設けた車輪用軸受がある。また従来、汎用の軸受において、内輪外周面に設けられた磁歪材パターンと外輪に設けられたコイルとでなるトルクセンサを内蔵したトルク検出機能付き軸受が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−33322号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の各車輪の回転速度の比較によって姿勢制御を行うものでは、今一つ、適切な姿勢制御が難しい点があった。より適切な走行姿勢制御を行うためには、さらに多くの車両状態情報、または走行姿勢の変化をより的確に反映する情報の検出が必要になる。車両の走行姿勢が変化したときには、車両の左右や前後等の各部に作用する種々の荷重等の状態が変化するため、その変化する何らかの状態情報を得ることが、より適切な姿勢制御に繋がる。しかし、そのような車両各部の状態情報を検出するにはセンサ類が必要であり、また自動車において、センサ類を追加するには、その設置スペース、取付作業、配線等の問題もある。自動車では、量産性や軽量化が強く求められており、そのような要望を満たす必要もある。そのため、上記のような要望を全て満たした上で、より適切な姿勢制御等のために追加するセンサ類として、どのような種類の車両状態情報を得るセンサを選択するのか、またそのセンサをどこに配置するか等の問題がある。
【0005】
この発明の目的は、上記のような課題を解消し、車両にコンパクトにかつ取扱性良くトルクセンサを設置することができ、車軸に作用するトルクを検出することのできるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する複列の転走面が形成された内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、上記内方部材と外方部材のうちの回転側の部材に、磁歪材で形成される被検出部を形成し、他方の部材である静止側の部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで作用トルクを検出するトルク検出部を設けたことを特徴とする。上記被検出部とトルク検出部とでトルクセンサが構成される。
この構成によると、回転側の部材にトルクが作用したときに、回転側の部材に生じる捩じりによって被検出部に歪みが発生する。磁歪材からなる被検出部は、この歪みによって磁気特性が変化し、その磁気特性の変化がトルク検出部によって検出される。そのため、回転側の部材に作用するトルクが検出される。このように検出される各車輪の車輪用軸受のトルクを、走行姿勢制御装置に取り込み、車両の姿勢の変化情報として利用して、事前に車両の駆動系を制御することにより、車両走行時の姿勢制御を行うことができる。上記被検出部およびトルク検出部からなるトルクセンサは、車輪用軸受に内蔵されるため、専用の設置場所が不要で、車両にコンパクトに設置できる。また、車輪用軸受の設置によってトルクセンサも設置されることになり、別個に取付ける作業が不要で取扱性が良い。
上記回転側の部材が内方部材である場合は、例えば、内方部材の外周部に磁歪材で形成される被検出部を形成し、上記外方部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで上記内方部材の取付けられる軸の作用トルクを検出するトルク検出部を設ける。この構成の場合、内方部材に取付けられた軸にトルクが作用したときに、内方部材に生じる捩じりによって被検出部に歪みが発生する。磁歪材からなる被検出部は、この歪みによって磁気特性が変化し、その磁気特性の変化がトルク検出部によって検出される。そのため、軸に作用するトルクが検出される。
【0007】
この発明において、上記被検出部の磁歪材が鉄とアルミニウムの合金であり、上記トルク検出部が、上記被検出部を周回するように上記外方部材に設けられたコイルであっても良い。
鉄とアルミニウムの合金からなる磁歪材は、磁歪特性として、透磁率の変化が大きく、感度良くトルク検出が行える。また、磁歪材の製造も容易である。
【0008】
この発明において、上記被検出部が上記複列の転走面の中間に位置したものであっても良い。
この構成の場合、両列の転走面間の部分を、被検出部やトルク検出部の配置に有効に利用でき、そのためトルクセンサを軸受内により一層コンパクトに設置することができる。
【0009】
この発明において、上記内方部材が回転側の部材であって、この内方部材が等速ジョイントの外輪を有し、上記被検出部が上記等速ジョイントの外輪の外周に設けられたものとしても良い。
駆動輪では、車輪用軸受の駆動伝達に等速ジョイントが用いられ、その等速ジョイントは外輪が車輪用軸受の内方部材側に用いられる。この等速ジョイント外輪の外周に被検出部を設けることにより、被検出部やこれに対向配置されるトルク検出部を配置するためのスペースをより広く確保できる。そのため、より一層コンパクトにトルクセンサを設置できる。
【0010】
この発明において、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を円周方向に複数個並べて形成したものであっても良い。
このように傾斜溝の並びを設けると、軸にトルクが作用したときに傾斜溝に引張応力または圧縮応力が作用して、被検出部の透磁率変化がより強調される。そのため、感度の良いトルク検出を行うことができる。また、内方部材と別体の磁歪材からなる円筒状体を設け、これに傾斜溝を設けるため、内方部材に直接に磁歪材パターンを形成する場合に比べ、内方部材に磁歪材パターンの形成のための熱的影響等も考慮する必要がなく、製造が簡単になる。
【0011】
この発明において、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を、2列で円周方向に複数個並べて形成し、両列の傾斜溝の傾斜方向を互いに逆向きとしたものであっても良い。
この構成の場合、軸にトルクが作用して片方の1列の傾斜溝に引張応力が作用すると、他の1列の傾斜溝に圧縮応力が作用する。そのため、両列の傾斜溝に対応する各コイル等のトルク検出部の検出値の差分をトルク変化の検出信号として出力することで、その出力の正負および大きさがわかり、軸に作用した捩じりトルクの方向および大きさを知ることができる。
【0012】
上記のように磁歪材からなる円筒状体に傾斜溝を設ける場合、傾斜溝の深さは0.1mm以上とすることが好ましい。傾斜溝の形成による感度良好化の作用の実効を得るには、傾斜溝の深さは0.1mm以上であることが好ましい。
【0013】
この発明において、上記トルク検出センサの検出信号をワイヤレスで送信する送信手段を設けても良い。
ワイヤレスの送信手段を設けた場合、トルク検出信号を取込む車体側の制御装置とトルク検出センサとの間の配線を省略でき、トルク検出センサの設置をよりコンパクトに行うことができる。
【0014】
この発明において、内方部材の回転速度を検出する回転検出センサ、内方部材に作用する荷重を検出する荷重センサ、および車輪用軸受の温度を検出する温度センサのうちの少なくとも一つを設けても良い。
これにより、軸に作用するトルクだけでなく、回転速度、荷重、または温度を車輪用軸受から検出することができ、より高度な車両姿勢制御、あるいは異常警報の発信等が行える。これらの複数の検出機能が一つの軸受内に備えられるため、複数種類のセンサを設置にするにつき、場所をとらず、また設置作業も容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。この実施形態は第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受に適用した例である。図2に示すように、この車輪用軸受は、内周に複列の転走面4を有する外方部材1と、これら転走面4にそれぞれ対向する転走面5を有する内方部材2と、これら複列の転走面4,5間に介在させた複列の転動体3とを備える。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、各転走面4,5は断面円弧状であり、両転走面4,5は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体3はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。内外の部材2,1間の環状空間のアウトボード側およびインボード側の各開口端部は、それぞれ接触式のシール7,8で密封されている。
【0016】
外方部材1は、固定側の部材となるものであって、車輪取付フランジ1aを外周に有し、全体が一体の部材とされている。車体取付フランジ1aは、図1のように車体(図示せず)に固定されたナックル16にナックルボルト19で締結される。
図2において、内方部材2は、回転側の部材となるものであって、車輪取付フランジ2aを有するハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径面に嵌合した別体の内輪構成部材2Bと、ハブ輪2Aの内径面に嵌合した別体の等速ジョイント21の構成部材となる外輪2Cとで構成される。ハブ輪2Aおよび内輪構成部材2Bに各列の転走面5がそれぞれ形成されている。等速ジョイント外輪2Cは、カップ部2bと軸部2cとが一体に形成された部材であって、その軸部2cがハブ輪2Aの内径面に挿通され、軸部2cの先端の螺合したナットによりハブ輪2Aに締め付け固定される。ハブ輪2Aの内径面はスプライン溝が形成してあり、これに噛み合うスプラインが等速ジョイント外輪2Cの軸部2cの外径面に形成されている。車輪取付フランジ2aは内方部材2のアウトボード側端部に位置しており、この車輪取付フランジ2aに、図1のようにブレーキロータ17を介して車輪18がボルト20で取付けられる。内輪構成部材2Bは、ハブ輪2Aのインボード側端部に設けられた加締部でハブ輪2Aに軸方向に締め付け固定される。
【0017】
図2に示すように、内方部材2の外周部には磁歪材からなる被検出部9が形成されている。この被検出部9は、上記複列の転走面5,5の中間に位置している。この被検出部9に対向して、外方部材1にトルク検出部10が設けられ、これら被検出部9とトルク検出部10とでトルクセンサ30が構成される。トルク検出部10は、被検出部9の磁気的特性の変化を検出することで内方部材2の取付けられる駆動軸の作用トルクを検出する手段である。この実施形態では、被検出部9の磁歪材として、鉄とアルミニウムの合金が使用される。トルク検出部10は、被検出部9を周回するように外方部材1に設けられた1つのコイルで構成され、このコイル11を回路素子の1つとする検出回路12(図5,図6)が設けられている。
【0018】
図3は被検出部9の構成の一例を示す。図3(A)はその被検出部9(トルク検出部10も図示)の上半部を破断した正面図を示し、図3(B)はその被検出部9の側面断面図を示す。この被検出部9は、磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して所定の傾斜角度θだけ傾斜して延びる複数の傾斜溝14を、円周方向に複数個並べて形成したものである。円筒状体13に用いる磁歪材は、上記の鉄とアルミニウムの合金とされる。上記傾斜角度θは例えば45°とされる。傾斜溝14の深さは0.1mm以上とされている。傾斜溝14は、円筒状体13の内外の周面間に貫通したものであっても、また内外のいずれかの周面にのみ形成されたものであっても良い。
【0019】
図4は被検出部9の他の例であり、図4(A)はその被検出部9(トルク検出部10も図示)の上半部を破断した正面図を示し、図4(B)はその被検出部9の側面断面図を示す。この被検出部9は、磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して所定角度だけ傾斜して延びる傾斜溝14A,14Bを、2列で円周方向に複数個並べて形成したものである。軸心に対する片方の1列の傾斜溝14Aの傾斜角度θ1と、他の1列の傾斜溝14Bの傾斜角度θ2とは、逆向きとなるように設定されている。上記傾斜角度θ1,θ2の大きさは、互いに等しくされており、例えば45°とされる。各傾斜溝14A,14Bの深さは、この場合も0.1mm以上とされている。この被検出部9を用いる場合、トルク検出部10は、両傾斜溝14A,14Bの各列に対向する2つのコイル11A,11Bを有するものとされる。2つのコイル11A,11Bのインダクタンスは、トルク変化のない状態で同じ値とされている。
なお、上記被検出部9は、上記円筒状体13に傾斜溝14,14A,14Bを設ける代わりに、ハブ輪2Aの外周面に直接に磁歪材の層を溶射等で形成してその磁歪材の層に上記傾斜溝を設けても良く、また傾斜溝を設ける代わりに、これら傾斜溝14,14A,14Bと同様に斜めに延びる形状の磁歪材のパターン(図示せず)を設けて被検出部9としても良い。また、上記円筒状体13を磁歪性のない材質とし、その傾斜溝14,14A,14B内に磁歪材を設けても良い。
【0020】
図5は、1列の傾斜溝14を有する被検出部9を用いる場合の、トルクセンサ30における検出回路12の構成例を示す。この検出回路12では、抵抗R1とトルク検出部であるコイル11とからなる第1の直列回路部31と、2つの抵抗R2,R3からなり第1の直列回路部31に対して並列に接続される第2の直列回路部32とに、発信器22から交流電圧が印加される。コイル11にかかる分圧(分割電圧)は、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて、差動増幅器25の第1入力端子に入力される。また、前記第2の直列回路部32の抵抗R3にかかる電圧は差動増幅器25の第2入力端子に、整流器23およびローパスフィルタ24を通して基準電圧として入力され、前記コイル11にかかる分圧を直流電圧に変換した値と前記基準電圧との差分が前記差動増幅器25から出力される。被検出部9にかかるトルクにより、被検出部9を構成する磁歪材の透磁率が変化することでコイル11のインダクタンスが変化し、これに伴いコイル11にかかる分圧が変化するので、その変化量だけ差動増幅器25の出力が変化する。その出力は、駆動軸にかかるトルク変化を検出することになる。トルク検出部10の検出信号である前記差動増幅器25の出力は、送信手段26(図1)によって車体側に設けられた受信手段(図示せず)にワイヤレスで送信される。
【0021】
図6は、2列の傾斜溝14A,14Bを有する被検出部9を用いる場合の、トルク検出部10における検出回路12の構成例を示す。この検出回路12では、被検出部9の1列の傾斜溝14Aに対向配置されたコイル11Aと抵抗R1とからなる第1の直列回路部31Aと、被検出部9の他の1列の傾斜溝14Bに対向配置されたコイル11Bと抵抗R4とからなり第1の直列回路部31Aと並列に接続される第2の直列回路部31Bとに、発信器22から交流電圧が印加される。コイル11Aにかかる分圧は、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて差動増幅器25の第1入力端子に入力される。また、コイル11Bにかかる分圧も、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて、差動増幅器25の第2入力端子に入力される。差動増幅器25はこれら2入力の差分を出力する。この出力は、車輪(駆動輪)18の軸にかかるトルクを検出したものとなる。その出力が、前記送信手段26によって車体側の受信手段にワイヤレスで送信させることは、図5の例の場合と同様である。
【0022】
上記構成の車輪用軸受によると、内方部材2の外周に磁歪材からなる被検出部9を設け、この被検出部9に対向するトルク検出部10を外方部材1に設けたので、被検出部9およびトルク検出部10からなるトルクセンサ30を車両にコンパクトに設置することができる。各車輪を支持する車輪用軸受に設けられたトルクセンサ30のトルク検出情報等から、事前に車両の駆動系を制御することにより、車両走行時の姿勢制御を行うことができる。
被検出部は、複列の転走面5,5の間に設けられているので、両転走面5,5間の空間を有効に利用できて、被検出部9やこれに対向配置されるトルク検出部10を設けるためのスペースを特別に用意する必要がなく、軸受の大型化を招くことなく、軸受内により一層コンパクトにトルク検出部10を設置できる。
被検出部9は磁歪材として鉄とアルミニウムの合金を用いているので、磁歪特性に優れ、感度の良いトルク検出が行える。
被検出部9が、図3のように磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して傾斜して延びる複数の傾斜溝14を円周方向複数箇所に形成したものである場合は、軸にトルクが作用したときに、傾斜溝14に引張応力または圧縮応力が作用して、被検出部9の透磁率変化がより強調される。そのため、図5のような検出回路12を用いて感度の良いトルク検出を行うことができる。また、前記傾斜溝14は、内方部材2の外周に直接形成せず、内方部材2の外周に嵌合する円筒状体13に形成するので、内方部材2の製造や強度に影響を及ぼすことがない。傾斜溝14の深さは0.1mm以上とされているため、検出感度が確保される。
【0023】
被検出部9が、図4のように傾斜溝14A,14Bを2列に並べて設け、両列の傾斜溝14A,14Bの傾斜方向を互いに逆向きとした場合は、軸にトルクが作用して1列の傾斜溝14Aに引張応力が作用すると、他の1列の傾斜溝14Bに圧縮応力が作用することになる。そのため、両列の傾斜溝14A,14Bに対応する各コイル11A,11Bの検出値(インピーダンス変化)の差分を図6のようにトルク変化の検出信号として出力することで、その出力の正負および大きさから、軸に作用した捩じりトルクの方向および大きさを知ることができる。
【0024】
また、この実施形態では、トルク検出部10の検出信号を送信手段26(図1)によりワイヤレスで送信するようにしているので、トルク検出信号を取込む車体側の制御装置とトルク検出部10との間の配線を省略でき、トルクセンサ30の設置をよりコンパクトに行うことができる。
【0025】
図7はこの発明の他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、図1に示す第1の実施形態において、被検出部9の配置箇所を、内方部材2の構成部品である等速ジョイント外輪2Cの外周に設けたものである。トルク検出部10は、被検出部9の外径側に対向して、被検出部9を周回するように外方部材1の内周に設けられる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0026】
この構成の場合、被検出部9やこれに対向配置されるトルク検出部10を設けるためのスペースをより広く確保できるので、軸受の大型化を招くことなく軸受内によりコンパクトにトルク検出部10を設置できる。
【0027】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第2.5世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。この場合、内方部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの軸部の外周に嵌合する一対の分割型の内輪2D,2Eと、ハブ輪2Aの内周に嵌合される等速ジョイント外輪(図示せず)とからなる。等速ジョイント外輪は、第1の実施形態における等速ジョイント外輪2Cと同じである。各内輪2D,2Eの外周には各転動体列の転走面5,5がそれぞれ形成されている。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0028】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。第1の実施形態の駆動輪支持用の場合と異なるのは、転動体3をボールから円すいころに変えて複列円すいころ軸受とした点である。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0029】
図10は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第2.5世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。図9の実施形態の駆動輪支持用の場合と異なるのは、内方部材2が、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの軸部の外周に嵌合する一対の分割型の内輪2D,2Eと、ハブ輪2Aの内周に嵌合される等速ジョイント外輪(図示せず)とからなることである。等速ジョイント外輪は第1の実施形態における等速ジョイント外輪2Cと同じである。各内輪2D,2Eの外周には各転動体列の転走面5,5がそれぞれ形成されている。その他の構成は図9の実施形態の場合と同様である。
【0030】
なお、上記各実施形態では、車輪用軸受にトルクセンサ30だけを設けた場合について説明したが、これに限らず、図11のように、トルクセンサ30の他のセンサ40を設けても良い。図11の例におけるその他の構成は図2に示す第1の実施形態と同じである。他のセンサ40は、内方部材2の回転速度を検出する回転検出センサ、内方部材2に作用する荷重を検出する荷重センサ、および車輪用軸受の温度を検出する温度センサのうちのいずれであっても良く、またこれらのうちの複数種のものを設けても良い。
これにより、軸に作用するトルクだけでなく、回転速度、荷重、または温度を軸受から検出することができ、より高度な車両姿勢制御、あるいは異常警報の発信等が行える。これらの複数の機能が一つの軸受内に備えられるため、複数種類のセンサを設置にするにつき、場所をとらず、また設置作業も容易になる。
【0031】
なお、上記各実施形態では、いずれも内方部材が回転側の部材である場合につき説明したが、この発明は、外方部材が回転側の部材である場合にも適用することができる。その場合、外方部材に磁歪材で形成される被検出部を形成し、内方部材にトルク検出部を設ける。
【0032】
【発明の効果】
この発明のトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する複列の転走面が形成された内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、上記外方部材と内方部材のうちの回転側の部材に、磁歪材で形成される被検出部を形成し、他方の部材である静止側の部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで作用トルクを検出するトルク検出部を設けたため、車両にコンパクトにかつ取扱性良くトルクセンサを設置することができ、軸等の回転側の部材に作用するトルクを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受による駆動輪支持構造を示す断面図である。
【図2】同トルクセンサ内蔵車輪用軸受の断面図である。
【図3】(A)は同軸受に設けられる被検出部の一例の上半部を破断して示す正面図,(B)はその被検出部の側部断面図である。
【図4】(A)は同軸受に設けられる被検出部の他の一例の上半部を破断して示す正面図,(B)はその被検出部の側部断面図である。
【図5】図3の例の被検出部に対応するトルクセンサにおける検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】図4の例の被検出部に対応するトルクセンサにおける検出回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受による駆動輪支持構造を示す断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
1…外方部材
2…内方部材
2C…等速ジョイント外輪
3…転動体
4,5…転走面
9…被検出部
10…トルク検出部
11,11A,11B…コイル
12…検出回路
13…円筒状体
14,14A,14B…傾斜溝
18…車輪
26…送信手段
30…トルクセンサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、車軸に作用するトルクの検出機能を備えたトルクセンサ内蔵車輪用軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両走行時の姿勢制御のために、車両各部の車輪の回転速度を検出するセンサを設けた車輪用軸受がある。また従来、汎用の軸受において、内輪外周面に設けられた磁歪材パターンと外輪に設けられたコイルとでなるトルクセンサを内蔵したトルク検出機能付き軸受が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−33322号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の各車輪の回転速度の比較によって姿勢制御を行うものでは、今一つ、適切な姿勢制御が難しい点があった。より適切な走行姿勢制御を行うためには、さらに多くの車両状態情報、または走行姿勢の変化をより的確に反映する情報の検出が必要になる。車両の走行姿勢が変化したときには、車両の左右や前後等の各部に作用する種々の荷重等の状態が変化するため、その変化する何らかの状態情報を得ることが、より適切な姿勢制御に繋がる。しかし、そのような車両各部の状態情報を検出するにはセンサ類が必要であり、また自動車において、センサ類を追加するには、その設置スペース、取付作業、配線等の問題もある。自動車では、量産性や軽量化が強く求められており、そのような要望を満たす必要もある。そのため、上記のような要望を全て満たした上で、より適切な姿勢制御等のために追加するセンサ類として、どのような種類の車両状態情報を得るセンサを選択するのか、またそのセンサをどこに配置するか等の問題がある。
【0005】
この発明の目的は、上記のような課題を解消し、車両にコンパクトにかつ取扱性良くトルクセンサを設置することができ、車軸に作用するトルクを検出することのできるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する複列の転走面が形成された内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、上記内方部材と外方部材のうちの回転側の部材に、磁歪材で形成される被検出部を形成し、他方の部材である静止側の部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで作用トルクを検出するトルク検出部を設けたことを特徴とする。上記被検出部とトルク検出部とでトルクセンサが構成される。
この構成によると、回転側の部材にトルクが作用したときに、回転側の部材に生じる捩じりによって被検出部に歪みが発生する。磁歪材からなる被検出部は、この歪みによって磁気特性が変化し、その磁気特性の変化がトルク検出部によって検出される。そのため、回転側の部材に作用するトルクが検出される。このように検出される各車輪の車輪用軸受のトルクを、走行姿勢制御装置に取り込み、車両の姿勢の変化情報として利用して、事前に車両の駆動系を制御することにより、車両走行時の姿勢制御を行うことができる。上記被検出部およびトルク検出部からなるトルクセンサは、車輪用軸受に内蔵されるため、専用の設置場所が不要で、車両にコンパクトに設置できる。また、車輪用軸受の設置によってトルクセンサも設置されることになり、別個に取付ける作業が不要で取扱性が良い。
上記回転側の部材が内方部材である場合は、例えば、内方部材の外周部に磁歪材で形成される被検出部を形成し、上記外方部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで上記内方部材の取付けられる軸の作用トルクを検出するトルク検出部を設ける。この構成の場合、内方部材に取付けられた軸にトルクが作用したときに、内方部材に生じる捩じりによって被検出部に歪みが発生する。磁歪材からなる被検出部は、この歪みによって磁気特性が変化し、その磁気特性の変化がトルク検出部によって検出される。そのため、軸に作用するトルクが検出される。
【0007】
この発明において、上記被検出部の磁歪材が鉄とアルミニウムの合金であり、上記トルク検出部が、上記被検出部を周回するように上記外方部材に設けられたコイルであっても良い。
鉄とアルミニウムの合金からなる磁歪材は、磁歪特性として、透磁率の変化が大きく、感度良くトルク検出が行える。また、磁歪材の製造も容易である。
【0008】
この発明において、上記被検出部が上記複列の転走面の中間に位置したものであっても良い。
この構成の場合、両列の転走面間の部分を、被検出部やトルク検出部の配置に有効に利用でき、そのためトルクセンサを軸受内により一層コンパクトに設置することができる。
【0009】
この発明において、上記内方部材が回転側の部材であって、この内方部材が等速ジョイントの外輪を有し、上記被検出部が上記等速ジョイントの外輪の外周に設けられたものとしても良い。
駆動輪では、車輪用軸受の駆動伝達に等速ジョイントが用いられ、その等速ジョイントは外輪が車輪用軸受の内方部材側に用いられる。この等速ジョイント外輪の外周に被検出部を設けることにより、被検出部やこれに対向配置されるトルク検出部を配置するためのスペースをより広く確保できる。そのため、より一層コンパクトにトルクセンサを設置できる。
【0010】
この発明において、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を円周方向に複数個並べて形成したものであっても良い。
このように傾斜溝の並びを設けると、軸にトルクが作用したときに傾斜溝に引張応力または圧縮応力が作用して、被検出部の透磁率変化がより強調される。そのため、感度の良いトルク検出を行うことができる。また、内方部材と別体の磁歪材からなる円筒状体を設け、これに傾斜溝を設けるため、内方部材に直接に磁歪材パターンを形成する場合に比べ、内方部材に磁歪材パターンの形成のための熱的影響等も考慮する必要がなく、製造が簡単になる。
【0011】
この発明において、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を、2列で円周方向に複数個並べて形成し、両列の傾斜溝の傾斜方向を互いに逆向きとしたものであっても良い。
この構成の場合、軸にトルクが作用して片方の1列の傾斜溝に引張応力が作用すると、他の1列の傾斜溝に圧縮応力が作用する。そのため、両列の傾斜溝に対応する各コイル等のトルク検出部の検出値の差分をトルク変化の検出信号として出力することで、その出力の正負および大きさがわかり、軸に作用した捩じりトルクの方向および大きさを知ることができる。
【0012】
上記のように磁歪材からなる円筒状体に傾斜溝を設ける場合、傾斜溝の深さは0.1mm以上とすることが好ましい。傾斜溝の形成による感度良好化の作用の実効を得るには、傾斜溝の深さは0.1mm以上であることが好ましい。
【0013】
この発明において、上記トルク検出センサの検出信号をワイヤレスで送信する送信手段を設けても良い。
ワイヤレスの送信手段を設けた場合、トルク検出信号を取込む車体側の制御装置とトルク検出センサとの間の配線を省略でき、トルク検出センサの設置をよりコンパクトに行うことができる。
【0014】
この発明において、内方部材の回転速度を検出する回転検出センサ、内方部材に作用する荷重を検出する荷重センサ、および車輪用軸受の温度を検出する温度センサのうちの少なくとも一つを設けても良い。
これにより、軸に作用するトルクだけでなく、回転速度、荷重、または温度を車輪用軸受から検出することができ、より高度な車両姿勢制御、あるいは異常警報の発信等が行える。これらの複数の検出機能が一つの軸受内に備えられるため、複数種類のセンサを設置にするにつき、場所をとらず、また設置作業も容易になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。この実施形態は第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受に適用した例である。図2に示すように、この車輪用軸受は、内周に複列の転走面4を有する外方部材1と、これら転走面4にそれぞれ対向する転走面5を有する内方部材2と、これら複列の転走面4,5間に介在させた複列の転動体3とを備える。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、各転走面4,5は断面円弧状であり、両転走面4,5は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体3はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。内外の部材2,1間の環状空間のアウトボード側およびインボード側の各開口端部は、それぞれ接触式のシール7,8で密封されている。
【0016】
外方部材1は、固定側の部材となるものであって、車輪取付フランジ1aを外周に有し、全体が一体の部材とされている。車体取付フランジ1aは、図1のように車体(図示せず)に固定されたナックル16にナックルボルト19で締結される。
図2において、内方部材2は、回転側の部材となるものであって、車輪取付フランジ2aを有するハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径面に嵌合した別体の内輪構成部材2Bと、ハブ輪2Aの内径面に嵌合した別体の等速ジョイント21の構成部材となる外輪2Cとで構成される。ハブ輪2Aおよび内輪構成部材2Bに各列の転走面5がそれぞれ形成されている。等速ジョイント外輪2Cは、カップ部2bと軸部2cとが一体に形成された部材であって、その軸部2cがハブ輪2Aの内径面に挿通され、軸部2cの先端の螺合したナットによりハブ輪2Aに締め付け固定される。ハブ輪2Aの内径面はスプライン溝が形成してあり、これに噛み合うスプラインが等速ジョイント外輪2Cの軸部2cの外径面に形成されている。車輪取付フランジ2aは内方部材2のアウトボード側端部に位置しており、この車輪取付フランジ2aに、図1のようにブレーキロータ17を介して車輪18がボルト20で取付けられる。内輪構成部材2Bは、ハブ輪2Aのインボード側端部に設けられた加締部でハブ輪2Aに軸方向に締め付け固定される。
【0017】
図2に示すように、内方部材2の外周部には磁歪材からなる被検出部9が形成されている。この被検出部9は、上記複列の転走面5,5の中間に位置している。この被検出部9に対向して、外方部材1にトルク検出部10が設けられ、これら被検出部9とトルク検出部10とでトルクセンサ30が構成される。トルク検出部10は、被検出部9の磁気的特性の変化を検出することで内方部材2の取付けられる駆動軸の作用トルクを検出する手段である。この実施形態では、被検出部9の磁歪材として、鉄とアルミニウムの合金が使用される。トルク検出部10は、被検出部9を周回するように外方部材1に設けられた1つのコイルで構成され、このコイル11を回路素子の1つとする検出回路12(図5,図6)が設けられている。
【0018】
図3は被検出部9の構成の一例を示す。図3(A)はその被検出部9(トルク検出部10も図示)の上半部を破断した正面図を示し、図3(B)はその被検出部9の側面断面図を示す。この被検出部9は、磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して所定の傾斜角度θだけ傾斜して延びる複数の傾斜溝14を、円周方向に複数個並べて形成したものである。円筒状体13に用いる磁歪材は、上記の鉄とアルミニウムの合金とされる。上記傾斜角度θは例えば45°とされる。傾斜溝14の深さは0.1mm以上とされている。傾斜溝14は、円筒状体13の内外の周面間に貫通したものであっても、また内外のいずれかの周面にのみ形成されたものであっても良い。
【0019】
図4は被検出部9の他の例であり、図4(A)はその被検出部9(トルク検出部10も図示)の上半部を破断した正面図を示し、図4(B)はその被検出部9の側面断面図を示す。この被検出部9は、磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して所定角度だけ傾斜して延びる傾斜溝14A,14Bを、2列で円周方向に複数個並べて形成したものである。軸心に対する片方の1列の傾斜溝14Aの傾斜角度θ1と、他の1列の傾斜溝14Bの傾斜角度θ2とは、逆向きとなるように設定されている。上記傾斜角度θ1,θ2の大きさは、互いに等しくされており、例えば45°とされる。各傾斜溝14A,14Bの深さは、この場合も0.1mm以上とされている。この被検出部9を用いる場合、トルク検出部10は、両傾斜溝14A,14Bの各列に対向する2つのコイル11A,11Bを有するものとされる。2つのコイル11A,11Bのインダクタンスは、トルク変化のない状態で同じ値とされている。
なお、上記被検出部9は、上記円筒状体13に傾斜溝14,14A,14Bを設ける代わりに、ハブ輪2Aの外周面に直接に磁歪材の層を溶射等で形成してその磁歪材の層に上記傾斜溝を設けても良く、また傾斜溝を設ける代わりに、これら傾斜溝14,14A,14Bと同様に斜めに延びる形状の磁歪材のパターン(図示せず)を設けて被検出部9としても良い。また、上記円筒状体13を磁歪性のない材質とし、その傾斜溝14,14A,14B内に磁歪材を設けても良い。
【0020】
図5は、1列の傾斜溝14を有する被検出部9を用いる場合の、トルクセンサ30における検出回路12の構成例を示す。この検出回路12では、抵抗R1とトルク検出部であるコイル11とからなる第1の直列回路部31と、2つの抵抗R2,R3からなり第1の直列回路部31に対して並列に接続される第2の直列回路部32とに、発信器22から交流電圧が印加される。コイル11にかかる分圧(分割電圧)は、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて、差動増幅器25の第1入力端子に入力される。また、前記第2の直列回路部32の抵抗R3にかかる電圧は差動増幅器25の第2入力端子に、整流器23およびローパスフィルタ24を通して基準電圧として入力され、前記コイル11にかかる分圧を直流電圧に変換した値と前記基準電圧との差分が前記差動増幅器25から出力される。被検出部9にかかるトルクにより、被検出部9を構成する磁歪材の透磁率が変化することでコイル11のインダクタンスが変化し、これに伴いコイル11にかかる分圧が変化するので、その変化量だけ差動増幅器25の出力が変化する。その出力は、駆動軸にかかるトルク変化を検出することになる。トルク検出部10の検出信号である前記差動増幅器25の出力は、送信手段26(図1)によって車体側に設けられた受信手段(図示せず)にワイヤレスで送信される。
【0021】
図6は、2列の傾斜溝14A,14Bを有する被検出部9を用いる場合の、トルク検出部10における検出回路12の構成例を示す。この検出回路12では、被検出部9の1列の傾斜溝14Aに対向配置されたコイル11Aと抵抗R1とからなる第1の直列回路部31Aと、被検出部9の他の1列の傾斜溝14Bに対向配置されたコイル11Bと抵抗R4とからなり第1の直列回路部31Aと並列に接続される第2の直列回路部31Bとに、発信器22から交流電圧が印加される。コイル11Aにかかる分圧は、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて差動増幅器25の第1入力端子に入力される。また、コイル11Bにかかる分圧も、整流器23およびローパスフィルタ24で直流電圧に変換されて、差動増幅器25の第2入力端子に入力される。差動増幅器25はこれら2入力の差分を出力する。この出力は、車輪(駆動輪)18の軸にかかるトルクを検出したものとなる。その出力が、前記送信手段26によって車体側の受信手段にワイヤレスで送信させることは、図5の例の場合と同様である。
【0022】
上記構成の車輪用軸受によると、内方部材2の外周に磁歪材からなる被検出部9を設け、この被検出部9に対向するトルク検出部10を外方部材1に設けたので、被検出部9およびトルク検出部10からなるトルクセンサ30を車両にコンパクトに設置することができる。各車輪を支持する車輪用軸受に設けられたトルクセンサ30のトルク検出情報等から、事前に車両の駆動系を制御することにより、車両走行時の姿勢制御を行うことができる。
被検出部は、複列の転走面5,5の間に設けられているので、両転走面5,5間の空間を有効に利用できて、被検出部9やこれに対向配置されるトルク検出部10を設けるためのスペースを特別に用意する必要がなく、軸受の大型化を招くことなく、軸受内により一層コンパクトにトルク検出部10を設置できる。
被検出部9は磁歪材として鉄とアルミニウムの合金を用いているので、磁歪特性に優れ、感度の良いトルク検出が行える。
被検出部9が、図3のように磁歪材からなる円筒状体13に、軸方向に対して傾斜して延びる複数の傾斜溝14を円周方向複数箇所に形成したものである場合は、軸にトルクが作用したときに、傾斜溝14に引張応力または圧縮応力が作用して、被検出部9の透磁率変化がより強調される。そのため、図5のような検出回路12を用いて感度の良いトルク検出を行うことができる。また、前記傾斜溝14は、内方部材2の外周に直接形成せず、内方部材2の外周に嵌合する円筒状体13に形成するので、内方部材2の製造や強度に影響を及ぼすことがない。傾斜溝14の深さは0.1mm以上とされているため、検出感度が確保される。
【0023】
被検出部9が、図4のように傾斜溝14A,14Bを2列に並べて設け、両列の傾斜溝14A,14Bの傾斜方向を互いに逆向きとした場合は、軸にトルクが作用して1列の傾斜溝14Aに引張応力が作用すると、他の1列の傾斜溝14Bに圧縮応力が作用することになる。そのため、両列の傾斜溝14A,14Bに対応する各コイル11A,11Bの検出値(インピーダンス変化)の差分を図6のようにトルク変化の検出信号として出力することで、その出力の正負および大きさから、軸に作用した捩じりトルクの方向および大きさを知ることができる。
【0024】
また、この実施形態では、トルク検出部10の検出信号を送信手段26(図1)によりワイヤレスで送信するようにしているので、トルク検出信号を取込む車体側の制御装置とトルク検出部10との間の配線を省略でき、トルクセンサ30の設置をよりコンパクトに行うことができる。
【0025】
図7はこの発明の他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、図1に示す第1の実施形態において、被検出部9の配置箇所を、内方部材2の構成部品である等速ジョイント外輪2Cの外周に設けたものである。トルク検出部10は、被検出部9の外径側に対向して、被検出部9を周回するように外方部材1の内周に設けられる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0026】
この構成の場合、被検出部9やこれに対向配置されるトルク検出部10を設けるためのスペースをより広く確保できるので、軸受の大型化を招くことなく軸受内によりコンパクトにトルク検出部10を設置できる。
【0027】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第2.5世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。この場合、内方部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの軸部の外周に嵌合する一対の分割型の内輪2D,2Eと、ハブ輪2Aの内周に嵌合される等速ジョイント外輪(図示せず)とからなる。等速ジョイント外輪は、第1の実施形態における等速ジョイント外輪2Cと同じである。各内輪2D,2Eの外周には各転動体列の転走面5,5がそれぞれ形成されている。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0028】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。第1の実施形態の駆動輪支持用の場合と異なるのは、転動体3をボールから円すいころに変えて複列円すいころ軸受とした点である。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0029】
図10は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、第2.5世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受である。図9の実施形態の駆動輪支持用の場合と異なるのは、内方部材2が、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの軸部の外周に嵌合する一対の分割型の内輪2D,2Eと、ハブ輪2Aの内周に嵌合される等速ジョイント外輪(図示せず)とからなることである。等速ジョイント外輪は第1の実施形態における等速ジョイント外輪2Cと同じである。各内輪2D,2Eの外周には各転動体列の転走面5,5がそれぞれ形成されている。その他の構成は図9の実施形態の場合と同様である。
【0030】
なお、上記各実施形態では、車輪用軸受にトルクセンサ30だけを設けた場合について説明したが、これに限らず、図11のように、トルクセンサ30の他のセンサ40を設けても良い。図11の例におけるその他の構成は図2に示す第1の実施形態と同じである。他のセンサ40は、内方部材2の回転速度を検出する回転検出センサ、内方部材2に作用する荷重を検出する荷重センサ、および車輪用軸受の温度を検出する温度センサのうちのいずれであっても良く、またこれらのうちの複数種のものを設けても良い。
これにより、軸に作用するトルクだけでなく、回転速度、荷重、または温度を軸受から検出することができ、より高度な車両姿勢制御、あるいは異常警報の発信等が行える。これらの複数の機能が一つの軸受内に備えられるため、複数種類のセンサを設置にするにつき、場所をとらず、また設置作業も容易になる。
【0031】
なお、上記各実施形態では、いずれも内方部材が回転側の部材である場合につき説明したが、この発明は、外方部材が回転側の部材である場合にも適用することができる。その場合、外方部材に磁歪材で形成される被検出部を形成し、内方部材にトルク検出部を設ける。
【0032】
【発明の効果】
この発明のトルクセンサ内蔵車輪用軸受は、複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する複列の転走面が形成された内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、上記外方部材と内方部材のうちの回転側の部材に、磁歪材で形成される被検出部を形成し、他方の部材である静止側の部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで作用トルクを検出するトルク検出部を設けたため、車両にコンパクトにかつ取扱性良くトルクセンサを設置することができ、軸等の回転側の部材に作用するトルクを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受による駆動輪支持構造を示す断面図である。
【図2】同トルクセンサ内蔵車輪用軸受の断面図である。
【図3】(A)は同軸受に設けられる被検出部の一例の上半部を破断して示す正面図,(B)はその被検出部の側部断面図である。
【図4】(A)は同軸受に設けられる被検出部の他の一例の上半部を破断して示す正面図,(B)はその被検出部の側部断面図である。
【図5】図3の例の被検出部に対応するトルクセンサにおける検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】図4の例の被検出部に対応するトルクセンサにおける検出回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受による駆動輪支持構造を示す断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態にかかるトルクセンサ内蔵車輪用軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
1…外方部材
2…内方部材
2C…等速ジョイント外輪
3…転動体
4,5…転走面
9…被検出部
10…トルク検出部
11,11A,11B…コイル
12…検出回路
13…円筒状体
14,14A,14B…傾斜溝
18…車輪
26…送信手段
30…トルクセンサ
Claims (9)
- 複列の転走面が内周面に形成された外方部材と、この外方部材の転走面と対向する複列の転走面が形成された内方部材と、両転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、外方部材と内方部材のうちの回転側の部材に、磁歪材で形成される被検出部を形成し、他方の部材である静止側の部材に、上記被検出部の磁気的特性の変化を検出することで作用トルクを検出するトルク検出部を設けたことを特徴とするトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1において、上記被検出部の磁歪材が鉄とアルミニウムの合金であり、上記トルク検出部が、上記被検出部を周回するように上記外方部材に設けられたコイルであるトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1または請求項2において、上記被検出部が上記複列の転走面の中間に位置しているトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1または請求項2において、上記内方部材が回転側の部材であって、この内方部材が等速ジョイントの外輪を有し、上記被検出部が上記等速ジョイントの外輪の外周に設けらたトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を円周方向に複数個並べて形成したものであるトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記被検出部が、磁歪材からなる円筒状体に、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を、2列で円周方向に複数個並べて形成し、両列の傾斜溝の傾斜方向を互いに逆向きとしたものであるトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項5または請求項6において、上記傾斜溝の深さが0.1mm以上であるトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、上記トルク検出部の検出信号をワイヤレスで送信する送信手段を設けたトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、内方部材の回転速度を検出する回転検出センサ、内方部材に作用する荷重を検出する荷重センサ、および車輪用軸受の温度を検出する温度センサのうちの少なくとも一つを設けたトルクセンサ内蔵車輪用軸受。
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