JP3969142B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。特に本発明は、駆動輪(FF車の前輪、FR車及びRR車の後輪、4WD車の全輪)を支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットを改良して、ABSやTCS等、車両の姿勢安定化の為の各種装置の制御を安定して行なう為の信号を精度良く得られる構造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪を構成するホイール1、及び、制動用回転体であって制動装置であるディスクブレーキを構成するロータ2は、例えば図10に示す様な構造により、懸架装置を構成するナックル3に回転自在に支承している。即ち、このナックル3に形成した円形の支持孔4部分に、転がり軸受ユニット5を構成する外輪6を、複数本のボルト7により固定している。一方、この転がり軸受ユニット5を構成するハブ8に上記ホイール1及びロータ2を、複数本のスタッド9とナット10とにより結合固定している。又、上記外輪6の内周面には外輪軌道11a、11bを、外周面には結合フランジ12を、それぞれ形成している。この様な外輪6は、この結合フランジ12を上記ナックル3に、上記各ボルト7で結合する事により、このナックル3に対し固定している。
【0003】
これに対して、上記ハブ8は、ハブ本体13と内輪14とを組み合わせて成る。このうちのハブ本体13の外周面の一部で、上記外輪6の外端開口(軸方向に関して外とは、自動車への組み付け状態で幅方向外側となる部分を言い、図2、4、6を除く各図の左側。反対に、自動車への組み付け状態で幅方向中央側となる、図2、4、6を除く各図の右側を内と言う。本明細書全体で同じ。)から突出した部分には、取付フランジ15を形成している。上記ホイール1及びロータ2はこの取付フランジ15の外側面に、上記各スタッド9とナット10とにより、結合固定している。
【0004】
又、前記ハブ本体13の中間部外周面で、上記外輪6の内周面に形成した複列の外輪軌道11a、11bのうちの外側の外輪軌道11aに対向する部分には、内輪軌道16aを形成している。更に、上記ハブ本体13の内端部に形成した小径段部17に、このハブ本体13と共に上記ハブ8を構成する上記内輪14を外嵌固定している。そして、この内輪14の外周面に形成した内輪軌道16bを、上記複列の外輪軌道11a、11bのうちの内側の外輪軌道11bに対向させている。これら各外輪軌道11a、11bと各内輪軌道16a、16bとの間には、それぞれが転動体である玉18、18を複数個ずつ、それぞれ保持器19、19により保持した状態で転動自在に設けている。尚、図示の例では、上記ハブ本体13の内端部で上記内輪14の内端面よりも内方に突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事により形成したかしめ部20により、上記内輪14の内端面を抑え付け、この内輪14と上記ハブ本体13との分離防止を図っている。この構成により、背面組み合わせである複列アンギュラ型の玉軸受を構成し、上記外輪6の内側に上記ハブ8を、回転自在に、且つ、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承自在に支持している。
【0005】
尚、上記外輪6の両端部内周面と、上記ハブ8の中間部外周面及び内端部外周面との間には、それぞれシールリング21a、21bを設けて、上記各玉18、18を設けた空間と外部空間とを遮断している。更に、上記ハブ8に結合固定した車輪を回転駆動する為、上記ハブ本体13の中心部に、スプライン孔22を形成している。そして、このスプライン孔22に、等速ジョイント23のスプライン軸34を挿入している。
【0006】
上述の様な転がり軸受ユニット5の使用時には、図10に示す様に、上記外輪6をナックル3に固定すると共に、上記ハブ8の取付フランジ15に、図示しないタイヤを組み合わせたホイール1及びロータ2を固定する。又、このうちのロータ2と、上記ナックル3に固定した、図示しないサポート及びキャリパとを組み合わせて、制動用のディスクブレーキを構成する。制動時には、上記ロータ2を挟んで設けた1対のパッドのライニングを、上記キャリパ内の油圧シリンダ内に嵌装した油圧ピストンの働きにより、上記ロータ2の両側面に押し付ける。
【0007】
この様にして行なう制動時に於ける車両の安定性を確保する為には、車両が走行している限り、車輪が回転し続ける(ロックしない)事が重要である。この為に従来から、車輪の回転速度と車両の減速度とを比較して制動時にこの車輪がロックする事を防止する、アンチロックブレーキ装置(ABS)が、広く使用されている。ABSを構成する為に従来から、車輪支持用の転がり軸受ユニットのうちの回転輪にエンコーダを、静止輪若しくはナックル等の懸架装置側に速度センサを、それぞれ設けて、上記車輪の回転速度を検出自在としている。又、車体の一部に加速度センサを設けて、制動時にこの車体の減速度を検出自在としている。制動時には、この加速度センサの検出信号と上記速度センサの検出信号とを比較して、上記油圧シリンダ内に導入する油圧を調節し、上記車輪のロックを防止する。
【0008】
この様なABSの作動状態をより一層向上させ、制動距離の短縮及び制動時の姿勢安定の為の制御をより高精度に行なう事を目的として、制動時に車輪に加わるトルクを測定する事が、特開平9−315282号公報、同11−34846号公報に記載されて、従来から知られている。このうちの特開平9−315282号公報に記載された従来技術の場合には、駆動輪に加わるトルクを測定する事を意図したもので、この駆動輪を回転駆動する為の駆動軸にトルクセンサを設置するとしている。一方、特開平11−34846号公報の場合には、懸架装置に加わるブレーキトルクを測定するもので、制動時に加わるトルクの測定対象は、駆動輪、従動輪を問わないものである。
【0009】
制動時に車輪に作用する力を測定する従来構造は何れも、トルクセンサを懸架装置や駆動軸等、車輪支持用転がり軸受ユニットとは別の部分に組み付けていた。この為、必ずしも制動時に車輪に加わる情報を十分に取り込めない可能性がある。例えば、制動時に駆動輪に加わるトルクを測定する、特開平9−315282号公報に記載された従来技術の場合、トルクセンサを、ハブとデファレンシャルギヤの出力部とを結ぶ駆動軸の途中に設ける為、測定しようとするトルク以外の外乱が入り込む可能性が増える。又、このトルク以外に、上記駆動輪に加わる路面反力等を測定する事が、より精密なABS制御を行なう為に必要とされる可能性があるが、上記駆動軸にトルクセンサを設けた場合には、上記路面反力等を測定する事は難しい。この様な点を考慮して本発明者は先に、荷重センサを組み込んだ車輪支持用転がり軸受ユニットを発明(特願2002−4821号)した。
【0010】
【先発明の説明】
この先発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットは、駆動輪を支持する為の転がり軸受ユニットのうちで制動時及び加速時に捻りトルクが加わる部分である、上記転がり軸受ユニットを構成するハブとこのハブに結合する結合部材との間に荷重センサを設置し、使用時にこの結合部材とハブとの間に作用する力を測定自在としている。この様な先発明の具体的構造に就いて、本発明の実施の形態の第1例を示す、図1〜2を用いて説明する。
【0011】
図1〜2に示す転がり軸受ユニット5の場合には、ハブ8の一部である取付フランジ15の外側面と、この外側面に結合された結合部材であるロータ2の内側面との間に、荷重センサである圧電素子24を装着している。この圧電素子24を設ける為に、上記取付フランジ15の外側面内径寄り部分と上記ロータ2の内側面内径寄り部分との互いに整合する位置に、それぞれハブ本体13の回転中心をそれぞれの中心とする環状凹部25a、25bを、全周に亙って設けている。そして、これら両環状凹部25a、25bに掛け渡す状態で、環状に形成された上記圧電素子24を設置している。上記取付フランジ15に対して上記ロータ2を、複数本のスタッド9とナット10とにより結合固定した状態で、上記圧電素子24は、この圧電素子24との当接面である上記両環状凹部25a、25bの各底面26、26同士の間で軸方向に強く挟持(押圧)された状態となる。この状態では、上記圧電素子24に予圧が付与される。そして、上記ハブ本体13或は上記ロータ2に外力が加わった場合には、直ちに上記圧電素子24がこの外力を検出自在となる。言い換えれば、この圧電素子24の応答性が向上する。
【0012】
上述の様にして、上記取付フランジ15の外側面と上記ロータ2の内側面との間に上記圧電素子24を装着している為、この圧電素子24により、上記ロータ2と上記取付フランジ15との間に作用する力を測定できる。即ち、上記圧電素子24は、引っ張り力、圧縮力、剪断力を受けた場合に、受けた力の大きさに応じた電荷を発生させる。制動時或は加速時に上記圧電素子24には、この圧電素子24の軸方向両面と上記両環状凹部25a、25bの各底面26、26との間に作用する摩擦力に基づいて剪断力が、円周方向に作用する。そして上記圧電素子24が、この剪断力に応じた電荷を発生させ、図示しないチャージアンプが、この電荷に応じた電圧を惹起させる。この剪断力は、上記ロータ2と上記取付フランジ15との間に加わるトルクに比例するので、制動時或は加速時に上記圧電素子24に発生した電荷に基づいてチャージアンプにより惹起される電圧は、このトルクの大きさに応じたものとなる。そこで、この電圧(圧電素子24の出力信号)を車体側に設けた制御器に送れば、上記トルクの大きさを、前記ABSやトラクションコントロール(TCS)の制御に利用できる。
【0013】
又、上記圧電素子24の円周方向各位置に発生する電荷に応じてチャージアンプに惹起される電圧を検出できる様に(例えば、この圧電素子24の円周方向に関して4〜16分割し、各部に惹起される電圧を互いに独立して検出自在と)すれば、車輪が路面から受ける力(路面反力)等に基づいてハブ本体13に加わるモーメント荷重を算出できる。この様なモーメント荷重を算出すれば、車両の運行状態を判定して、この車両の姿勢を安定させる為の装置の制御に利用できる。この場合に、各部毎に、測定値を表す信号に、各部を表すIDデータを組み合わせて、制御器側で何れの部分の測定信号かを見分けられる様にする。この様にIDデータを付する事は、荷重センサを複数個使用する場合も同様にして行なう。更に、検出する力の方向が互いに90度ずつ異なる3個の圧電素子を組み合わせて成る多成分力センサを使用すれば、各方向の力を検出できる。
【0014】
上述の様に構成する先発明の構造では、トルクを精度良く測定でき、又、路面反力等の測定も可能である。即ち、先発明の構造の場合、荷重センサである圧電素子24を駆動輪に近い部分に設けている為、測定しようとするトルク以外の外乱が入り込む可能性が少ない。又、上記圧電素子24が測定する力の方向を適切にする事により、路面反力等の測定が可能となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に、圧電素子24により測定されるトルクや路面反力等は、ABSやTCS等の車両の姿勢安定化の為の各種装置の制御に利用できるが、上記トルクや路面反力等の測定精度が良好でなければ、上記ABS等の制御を常に安定して行なう事は難しい。即ち、上記路面反力等を精度良く測定できれば、路面の状況に応じた制御を行なう事ができるが、測定精度が悪ければこの様な制御を安定して行なう事は難しい。一方、前述した先発明の構造の様に、圧電素子24を取付フランジ15とロータ2との間に挟持する構造の場合、上記圧電素子24と上記取付フランジ15及びロータ2との当接状態によっては、この圧電素子24によるトルクや路面反力等の測定精度が不十分となる可能性がある。即ち、上記取付フランジ15及びロータ2の圧電素子24との当接面である、環状凹部25a、25bの各底面26、26の表面粗さが大きい場合には、これら各底面26、26から作用する力が上記圧電素子24の表面全体に対して均等に負荷されない可能性がある。この為、上記圧電素子24による上記トルクや路面反力等の測定精度が不十分となる可能性があり、不十分となった場合には、上記ABSやTCS等の、車両の姿勢安定化の為の各種装置の制御を常に安定して行なう事が難しくなる可能性がある。
本発明はこの様な事情に鑑みて、車輪に作用するトルクや路面反力等の測定精度を十分に確保すべく発明したものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述した従来構造と同様に、外輪と、ハブと、転動体とを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定された状態で回転しない。
又、上記ハブは、外周面の外端部に車輪及び制動用回転体を支持する為の取付フランジを、同じく中間部乃至内端部に複列の内輪軌道を、中心部に駆動用のスプライン軸を係合させる為のスプライン孔を、それぞれ有し、使用時に車輪と共に回転する。
又、上記転動体は、上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられている。
【0017】
特に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットに於いては、上記ハブと、このハブに結合する、制動用回転体、ホイール、ナット等の結合部材との間に、使用時にこの結合部材とハブとの間に作用する力を測定自在な荷重センサを挟持している。
又、上記ハブ及び結合部材の表面の一部で上記荷重センサとの当接面に、それぞれ仕上げ加工を施して、これら各当接面を平滑面としている。
更に、上記荷重センサの表面と上記ハブ及び結合部材の各当接面との間に、それぞれグリースを介在させている
【0018】
【作用】
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前述した先発明の構造の場合と同様に、ハブと結合部材との間に荷重センサを挟持している為、車輪に作用するトルクを精度良く測定でき、又、路面反力等の測定が可能となる。
特に、本発明では、上記ハブ及び結合部材の表面の一部で上記荷重センサとの当接面に、それぞれ仕上げ加工を施している為、上記トルクや路面反力等の測定精度を十分に確保できる。即ち、上記各当接面に研削加工等の仕上げ加工を施す事により、これら各当接面の表面粗さを小さくしている(平滑面としている)。これにより、各当接面から上記荷重センサに負荷される力が、この荷重センサの表面全体に均等に負荷される。この結果、荷重センサによる上記トルクや路面反力等の測定精度を十分に確保できる。
又、上記荷重センサの表面と上記ハブ及び結合部材の各当接面との間に、それぞれグリースを介在させる事により、上記荷重センサの表面とこれら各当接面との間でのフレッチングを抑え、フレッチングに基づく摩耗粉の発生を抑える事ができる。そして、上記トルクや路面反力等の測定精度及び荷重センサの耐久性確保を図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、駆動輪に作用するトルクや路面反力等に関する測定精度及び荷重センサである圧電素子24の耐久性を確保する為、この圧電素子24との当接面である環状凹部25a、25bの各底面26、26に仕上げ加工を施して、これら各底面を平滑面とし、更には、上記圧電素子24の表面と上記環状凹部25a、25bの各底面26、26との間にそれぞれグリースを介在させた点にある。その他の部分の構造及び作用に関しては、前述した先発明の構造と同様であるから、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。本例の転がり軸受ユニット5の場合には、前述した先発明の構造の場合と同様に、上記圧電素子24を、上記取付フランジ15と上記ロータ2にそれぞれ形成した、環状凹部25a、25bの各底面26、26同士の間に挟持している。
【0020】
特に本例の場合、上記環状凹部25a、25bの各底面26、26にそれぞれ仕上げ加工として研削加工を施す事により、これら各底面26、26を平滑面としている。即ち、上記取付フランジ15の外側面内径寄り部分と上記ロータ2の内側面内径寄り部分に、上記環状凹部25a、25bをそれぞれ形成した後、更にこれら環状凹部25a、25bの各底面26、26にそれぞれ研削加工を施している。これら各底面26、26の表面粗さは、算術平均粗さRa で0.4μm以下、十点平均粗さRz で1.6μm以下とする事が好ましい。尚、仕上げ加工を、研削加工に代えて、精密切削加工により行なう事もできる。又、本例の場合には、上記取付フランジ15とロータ2との両部材にそれぞれ環状凹部25a、25bを形成したが、どちらか一方の部材のみに環状凹部を形成し、他方の部材は環状凹部を形成しないで平坦面のままとしても良い。その場合には、この平坦面のうちで上記一方の部材の環状凹部に対向する部分を、仕上げ加工により平滑面とする。
【0021】
又、上記環状凹部25a、25bの内径側壁面27と外径側壁面28とのうちの内径側壁面27にも、研削加工を施している。即ち、本例の場合には、この内径側壁面27により、上記圧電素子24の径方向の位置決めを図っている。この為、この内径側壁面27に研削加工を施して、この内径側壁面27の寸法精度を確保し、上記圧電素子24の環状凹部25a、25bに対する位置決め精度を確保している。尚、この圧電素子24の位置決めを外径側壁面28により行なう場合には、この外径側壁面の寸法精度を、研削加工により確保する。
【0022】
更に、本例では、上記圧電素子24の表面と上記環状凹部25a、25bの各底面26、26との間にそれぞれグリースを介在させている。即ち、上記圧電素子24を上記各底面26、26同士の間に挟持する前に、この圧電素子24の表面と上記各底面26、26とのうちの少なくとも一方の面にグリースを塗布しておく。そして、グリースを塗布した状態で、上記圧電素子24を上記各底面26、26同士の間に挟持する事により、この圧電素子24の表面と各底面26、26との間にグリースを介在させる。この様に当接部にグリースを介在させる事により、圧電素子24の表面と上記各底面26、26との間でのフレッチングを抑え、フレッチングに基づく摩耗粉の発生を抑える事ができる。
【0023】
即ち、制動時或は加速時に、上記圧電素子24と上記各底面26、26との間に作用する摩擦力により上記フレッチングが発生する。このフレッチングにより摩耗粉が発生すると、上記圧電素子24の表面の摩耗粉が存在する部分に、局所的な応力が負荷される。この様に、上記圧電素子24の一部に局所的な応力が負荷されると、上記トルクや路面反力等の測定精度が低下するだけでなく、著しい場合には上記圧電素子24が損傷する可能性がある。これに対して、上記圧電素子24と上記環状凹部25a、25bの各底面26、26との間にグリースを介在させれば、上記フレッチングによる摩耗粉の発生を抑え、測定精度及び圧電素子の耐久性確保を図れる。
【0024】
上述の様に構成する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前述した先発明の場合と同様に、上記取付フランジ15とロータ2との間に上記圧電素子24を挟持している為、制動時及び加速時に駆動輪に加わるトルクの測定を精度良く行なう事ができる。又、上記圧電素子24が測定する力の方向を適切にする事により、上記駆動輪が受ける路面反力等の測定も行なう事ができる。
【0025】
特に、本例では、上記環状凹部25a、25bの各底面26、26に、それぞれ仕上げ加工として研削加工を施している為、上記トルクや路面反力等の測定精度を十分に確保ができる。即ち、上記各底面26、26に研削加工を施す事により、これら各底面26、26の表面粗さが小さくなる。これにより、各底面26、26から上記圧電素子24に負荷される力が、この圧電素子24の表面全体に均等に負荷される。この結果、圧電素子24による上記トルクや路面反力等の測定精度を十分に確保できる。尚、本例の場合、上記各底面26、26の表面粗さを、算術平均粗さRa で0.4μm、十点平均粗さRz で1.6μm以下に仕上げている為、上記トルクや路面反力等の測定精度の確保を効果的に行なえる。
【0026】
次に、図4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。上述の第1例が、円環状に形成された1個の圧電素子24を使用していたのに対して、本例の場合には、それぞれがピース状である複数個の圧電素子24a、24aを使用している。そして、これら各圧電素子24a、24aを、ロータ2(図1参照)の内側面と取付フランジ15の外側面との間で、各スタッド9、9よりも内径寄り部分にそれぞれ設けた各凹部35、35内に設置している。本例の場合、上記圧電素子24a、24aとの当接面である上記各凹部35、35の底面にそれぞれ研削加工を施している。又、上記圧電素子24a、24aの位置決めの為の基準面としての機能を有する上記各凹部35、35の壁面36(内周面)にも研削加工を施している。尚、上記各圧電素子24a、24aの数と上記各凹部35、35の設置位置とは、図示の状態が最も好ましいが、上記トルクや路面反力等を検出できる範囲内で、適宜変更実施する事もできる。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0027】
次に、図5〜7は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、それぞれが円環状である圧電素子24b、24bを、取付フランジ15の外側面とロータ2の内側面との間に挟持する為、これら取付フランジ15及びロータ2の円周方向複数個所にそれぞれ設けた各取付孔29、29及び各通孔30の周囲に、それぞれ凹入部31a、31bを形成している。これら各取付孔29、29は、上記取付フランジ15の円周方向複数個所に形成され、複数の各スタッド9、9の基端部を圧入嵌合する。又、上記各通孔30は、これら複数の各スタッド9、9を挿通する為に、ロータ2の円周方向複数個所で上記各取付孔29、29と整合する位置に設けている。従って、これら各取付孔29、29及び各通孔30の周囲に形成した上記各凹入部31a、31bは、互いに整合する位置に存在する。そして、上記圧電素子24b、24bは、上記各スタッド9、9の基部周囲で上記各凹入部31a、31b同士の間に挟持される。本例では、上記圧電素子24b、24bとの当接面である、上記各凹入部31a、31bの奥端面32、32にそれぞれ研削加工を施している。又、上記各圧電素子24b、24bの位置決めの為の基準面としての役割を有する、上記各凹入部31a、31bの壁面(内周面)33、33にも研削加工を施している。その他の構成及び作用は、前述した第1例と同様である。
【0028】
次に、図8〜9は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、上述した第3例と異なり、取付フランジ15及びロータ2に、各圧電素子24bを挟持する為の凹入部を設けてはいない。即ち、本例の場合には、これら各圧電素子24bを、各スタッド9の基部に外嵌すると共に、上記取付フランジ15の外側面で各取付孔29の周囲部分と、上記ロータ2の内側面で各通孔30の周囲部分との間で挟持している。即ち、上記各取付孔29及び各通孔30の周囲部分の面を、それぞれ上記各圧電素子24bとの当接面とし、上記各スタッド9の基部外周面を、上記圧電素子24bの位置決めの為の基準面としている。従って、これら各取付孔29及び各通孔30の周囲部分の面及び上記各スタッド9の基部外周面にそれぞれ研削加工を施している。その他の構成及び作用は、上述した第1例と同様である。
【0029】
尚、上述した各実施の形態では、荷重センサとして圧電素子を使用する構造に就いて示したが、この圧電素子に代えて、磁歪材料を使用した荷重センサを使用しても良い。この様な荷重センサは、非磁性材製の保持リングと、この保持リングの内径側に嵌着された永久磁石と、同じく外周面に添着された磁歪材料製の励磁部と、この励磁部の周囲に配置した検出コイルとから成る。この磁歪材料を使用した荷重センサは、保持リングの歪み状態に応じて、永久磁石により励磁される励磁部の磁気特性が変化する。従って、この磁気特性の変化を検出コイルにより検出する事により、ロータ2と取付フランジ15との間に作用するトルクを検出できる。即ち、制動或は加速により、ロータ2と取付フランジ15との間にトルクが加わると、この取付フランジ15と上記ロータ2との間に挟持された、上記磁歪材料を使用した荷重センサの保持リングが歪む。この歪みを上述の様に検出コイルにより検出する事により、上記トルクを検出する事ができる。
【0030】
又、上述した各実施例では、圧電素子等の荷重センサを取付フランジ15とロータ2との間に設置する構造に、本発明を適用した場合に就いて示したが、本発明は、荷重センサを他の部分に設置した構造にも適用できる。例えば、荷重センサを、ハブの外端面と、等速ジョイントを構成するスプライン軸の雄ねじ部に螺合したナットの内側面との間に設置した構造に本発明を適用する事が考えられる。この場合、上記ハブの外端面でスプライン孔の周囲部分と、請求項に記載した結合部材に相当する、上記ナットのワッシャ部の内側面との互いに整合する位置にそれぞれ環状凹部を形成し、これら両環状凹部の底面にそれぞれ研削加工を施す。そして、これら研削加工を施した両環状凹部の底面同士の間に上記荷重センサを挟持する。これにより、上記ハブの外側面と上記ナットのワッシャ部の内側面との間に作用する力の測定精度を良好にする事ができる。
【0031】
又、本発明によりトルクの測定を行なえる車輪は、駆動輪に限定されるが、トルク以外に関しては、駆動輪に限らず、従動輪でも測定する事は可能である。この場合には、内輪が静止輪で外輪が回転輪であっても良い。この点に就いては、請求項2に記載した発明が対応する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、以上に述べた通り構成され作用するので、ABSやTCS等の車両の姿勢安定化の為の各種装置の制御を常に安定して行なう事ができる。そして、車両の安定した運行状態を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す半部断面図。
【図2】ロータ、ホイール、ナットを省略して図1の左方から見た図。
【図3】図1のA部を分解して示す図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図。
【図5】同第3例を示す半部断面図。
【図6】ロータ、ホイール、ナットを省略して図5の左方から見た図。
【図7】図5のB部を分解して示す図。
【図8】同第4例を示す半部断面図。
【図9】図8のC部を分解して示す図。
【図10】本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットを組み付けた懸架装置部分の断面図。
【符号の説明】
1 ホイール
2 ロータ
3 ナックル
4 支持孔
5 転がり軸受ユニット
6 外輪
7 ボルト
8 ハブ
9 スタッド
10 ナット
11a、11b 外輪軌道
12 結合フランジ
13 ハブ本体
14 内輪
15 取付フランジ
16a、16b 内輪軌道
17 小径段部
18 玉
19 保持器
20 かしめ部
21a、21b シールリング
22 スプライン孔
23 等速ジョイント
24、24a、24b 圧電素子
25a、25b 環状凹部
26 底面
27 内径側壁面
28 外径側壁面
29 取付孔
30 通孔
31a、31b 凹入部
32 奥端面
33 壁面
34 スプライン軸
35 凹部
36 壁面

Claims (2)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定された状態で回転しない外輪と、外周面の外端部に車輪及び制動用回転体を支持する為の取付フランジを、同じく中間部乃至内端部に複列の内輪軌道を、中心部に駆動用のスプライン軸を係合させる為のスプライン孔を、それぞれ有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、上記ハブとこのハブに結合する結合部材との間に、使用時にこの結合部材とハブとの間に作用する力を測定自在な荷重センサを挟持しており、これらハブ及び結合部材の表面の一部で上記荷重センサとの当接面に、それぞれ仕上げ加工を施し、この荷重センサの表面と上記ハブ及び結合部材の各当接面との間にそれぞれグリースを介在させた事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
  2. 周面に複列の静止側軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定された状態で回転しない静止輪と、周面の外端部に車輪及び制動用回転体を支持する為の取付フランジを、同じく中間部乃至内端部に複列の回転側軌道を、それぞれ有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、上記各静止側軌道と上記各回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、上記取付フランジと制動用回転体又はホイールとの間に、使用時にこの制動用回転体又はホイールと取付フランジとの間に作用する力を測定自在な荷重センサを挟持しており、これら取付フランジ及び制動用回転体又はホイールの表面の一部で上記荷重センサとの当接面に、それぞれ仕上げ加工を施し、この荷重センサの表面と上記取付フランジ及び制動用回転体又はホイールの各当接面との間にそれぞれグリースを介在させた事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
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