JP2004332377A - 耐力壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工性が良く、かつ壁倍率の大きい耐力壁が得られる。
【解決手段】桁2などの横架材と、この横架材に直交する方向に設けられる主柱12などの柱材と、横架材および柱材の表面に固定される構造用合板26とを備え、構造用合板26は横架材および柱材に対してその周縁30に沿って釘32で固定され、構造用合板26を固定する釘32の取付けピッチは100mmに形成され、釘32の全長は構造用合板26の厚さの5倍以上である。さらに、釘32を打ち付けた状態で横架材または柱材の中に埋没される釘の有効長さLeは構造用合板26の厚さTの4倍以上である。また、構造用合板26を固定する釘32の横架材または柱材に対する総接触面積は、1平方メートル当り(Stm)109平方センチメートル以上、または1平方尺当り(Sts)11平方センチメートル以上である。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐力壁に係り、特に軸組に板材を釘で固定して形成する耐力壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の耐力壁としては、たとえば上横架材(桁)と下横架材(土台)との間に、ほぞ加工した柱や間柱などを適宜の間隔を設けて立設し、この軸組に通気をさせるための主縦胴縁、上部横胴縁、下部横胴縁などを固定した後、防水シートを介して外壁材を固定したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、別の耐力壁として、柱、間柱や梁、桁、土台などの軸材で形成された木造建物軸組の表面に、薄鋼板壁面材を緊結部品で固定したものが知られている(特許文献2)。薄鋼板壁面材は、土台幅の全面、または柱や間柱のそれぞれの連結部分から土台幅の約1/6に渡って密に釘打ちされ、また、柱および間柱に対しては、土台および梁の接合部分から土台と梁との間の柱高さHの約1/4〜1/5に渡って密に釘打ちされる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−4464号公報(第4頁〜第5頁、第4図)
【特許文献2】
特開平11−172812号公報(第3頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の耐力壁は、釘を密に打つ範囲や間隔が細かく設定されているので、現場施工における釘打ちが煩雑となり、釘打ちの範囲や間隔に間違いを生ずるおそれなどがあり、必ずしも施工性が良いとは云えなかった。
【0006】
ところで、耐力壁に使用する構造用面材は、その厚みに比例して強度が大きいものとなるが、建物が地震などの外力を受けた際には構造用面材と軸組とを固定する釘の相対的強度が小さくなる。釘の相対的強度が小さくなると、釘がせん断するなどの損傷が顕著となる。このため、構造用面材のみの強度を単に大きくしても耐力壁の強度は必ずしも大きくならない。さらに、釘は時間の経過とともに軸組を形成する木材の樹液や湿気などにより劣化するので、実際の建物において耐力壁の強度が大変不安定なものとなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく、鋭意研究、開発した結果、構造用面材と釘との関係を明確にした上で、従来にない高い壁倍率を実現するに至ったものである。すなわち、本発明は、施工性が良く、かつ壁倍率の大きい耐力壁が得られることを課題としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、桁、土台などの横架材と、この横架材に直交する方向に設けられる柱材と、横架材および柱材の表面に固定される板材とを備える。さらに、板材は横架材および柱材に対して少なくとも板材の周縁(周囲)に沿って釘で固定され、板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mmに形成され、釘の長さ(全長)は板材の厚さの5倍以上であることを特徴とする。
【0009】
このようにすることにより、板材は横架材および柱材に対して少なくともその周縁に沿って釘で固定される。この際、板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mm(「75mmないし125mm」の意、以下同じ)に形成される。釘の長さ(全長)は板材の5倍以上であるので、横架材または柱材に打ち付けられる釘の長さは、板材の厚さの4倍以上となる。これにより釘は横架材または柱材に対して十分な深さに打ち込まれ、釘の引き抜き抵抗力は大きい。さらに、釘の取付けピッチも75から125mmの範囲内で設定されるので、板材は釘により確実に横架材または柱材に固定される。したがって、板材は横架材および柱材と一体になった構造体として働き、壁倍率を大きくする。
【0010】
また、板材を横架材および柱材に打ち付けた状態で横架材または柱材の中に埋没される釘の有効長さは板材の厚さの4倍以上であると良い。このようにすると、上記と同様に、板材は釘により確実に横架材または柱材に固定される。板材は確実に横架材または柱材に固定されるので、板材は横架材および柱材と一体になった構造体として働き、壁倍率を大きくする。
【0011】
釘の全長が板材の厚さの5倍以上であり、また釘の有効長さが板材の厚さの4倍以上であることにより、板材を横架材および柱材に打ち付けた状態で横架材または柱材の中に埋没される釘の埋没体積は、218立方ミリメートル(mm)以上となる。釘の埋没体積が218立方ミリメートル以上であることにより、釘の本体が十分に横架材または柱材の内部に埋没され、先に記したように、釘の十分な引き抜き抵抗力が確保される。このため、板材は確実に横架材または柱材に固定され、先に記したと同様に壁倍率を大きくする。
【0012】
また、桁、土台などの横架材と、この横架材に直交する方向に設けらる柱材と、横架材および柱材の表面に固定される板材とを備え、板材は横架材および柱材に対して少なくとも板材の周縁に沿って釘で固定され、板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mmに形成され、板材を固定する釘の横架材または柱材に対する接触面積は、1平方メートル(m)当り109平方センチメートル(cm)以上、または1平方尺(尺)当り11平方センチメートル以上であると良い。
【0013】
上記発明において、板材を固定する釘の横架材または柱材に対する接触面積は、単位面積当りの釘本数を算出し、この釘本数に釘1本当りの接触面積を掛けた合計接触面積を意味するが、単位面積当りの釘本数は、1枚の板材の周縁および中央(または中通り)に打つ釘の合計本数を板材の単位面積に換算して求めるもの(単位面積当り全本数)、または1枚の板材の周縁に打つ釘の合計本数を板材の単位面積に換算して求めるもの(単位面積当り周縁本数)である。
【0014】
このようにすると、釘の横架材または柱材の内部で接触する有効表面積の合計が上記規定の値以上であるので、釘の横架材または柱材に対する摩擦抵抗力が大きくなり、板材を固定するに十分な引き抜き抵抗力が確保される。同時に、釘の取付けピッチも75から125mmの範囲内で設定されるので、先と同様に壁倍率を大きくする。
【0015】
また、上記のように板材は少なくとも板材の周縁に沿って釘で固定され、かつ上記釘の取付けピッチを維持し、板材の周縁に使用する釘の横架材または柱材の内部で接触する接触面積についても、1平方メートル当り112平方センチメートル以上、または1平方尺当り11平方センチメートル以上であると良い。こうすることにより、板材の周縁に使用された釘の横架材または柱材の内部で接触する有効表面積の合計が上記のようであるので、釘の横架材または柱材に対する摩擦抵抗力が大きくなり、板材を固定するに十分な引き抜き抵抗力が確保される。同時に、釘の取付けピッチも75から125mmの範囲内で設定されるので、板材は横架材および柱材と一体になった構造体として働き、壁倍率を大きくする。
【0016】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明の耐力壁は、建物の内装、外装の壁に適用できるものである。横架材は、桁、胴差し、梁、土台、胴縁などである。柱材は、主柱、継手間柱、間柱などである。横架材と柱材との連結は、柱材の両端に「ほぞ」が形成され、この柱材を連結する横架材には柱材の「ほぞ」に嵌合する「ほぞ穴」が形成され、両材が互いにほぞ嵌合されると良い。
【0017】
板材は、内装材や外装材、あるいはこれらの下地として用いられ、形状は矩形を基本とする。また、板材は表裏に貫通する孔が複数形成されたものや板材の表面にリブまたは凹凸の形成されたものも含む。板材の強度は、厚さが大きくなるにしたがい大きくなるが、厚さ5〜20mm(「5mm〜20mm」の意、以下同じ)のものから耐力壁の使用目的を考慮して、適宜の形状、大きさを選択し決定する。
【0018】
板材の大きさは、メートル基準(メーターモジュール)の場合と、尺基準(尺モジュール)の場合とがある。メートル基準の場合は、たとえば1000×2000mm(「1000mm×2000mm」の意、以下同じ)、尺基準の場合は、たとえば910×1820mmの大きさが選定される。また、板材は、横架材や柱材に対して、少なくとも板材の周縁に沿って釘で固定される。板材の周縁以外に中通り(中央の間柱部分または中央横架材部分)においても釘で固定されると良い。こうすることにより、外力が軸組にかかった場合、中通りの変形が板材で抑えられ軸組の過度の変形が防止されるとともに、板材を含めた構造体の強度を高める。
【0019】
さらに、板材は、横架材や柱材に対して直接固定される場合と、板材と横架材や柱材との間に通気用の受材を介在させて固定される場合とがある。通気用の受材を介在させる場合のこの受材は横架材や柱材と同等の強度のある材料として、受材が釘の引き抜き抵抗に寄与するように形成されると良い。通気用の受材が横架材や柱材と同等の強度のある材料でない場合には、受材が釘の引き抜き抵抗に寄与しないので、釘が横架材や柱材に埋設する長さのみを釘の引き抜き抵抗に寄与する長さとする。
【0020】
板材が下地として用いられる場合、その材料は、たとえば針葉樹または広葉樹構造用合板、木質繊維板(MDFなど)、木削片板、単板積層板などの木質系や石膏ボードなどの無機質系が使用される。さらに、上記木質系や無機系の材料の他に、木質系材料の表面にセメント、モルタルなどの無機系材料を塗布したもの、あるいはスチロール樹脂、塩化ビニル樹脂、強化プラスチック、発泡スチロール樹脂、発泡ウレタン樹脂などの合成樹脂系、あるいは木質系や合成樹脂系の複合材、鋼板、銅板、アルミニウム合金板、あるいはこれらの耐食表面処理を施した金属板、塗装金属板などの金属系などを使用しても良い。
【0021】
釘は、金属製が好ましく、たとえば鉄丸釘、ステンレス鋼くぎなどが使用される。釘の大きさは、たとえばN50やN65(JIS A5508(1992))などが使用される。壁耐力は釘本数を増やすことにより向上する。この場合、板材の周縁に沿って本数を増やし、特に板材の四隅の釘の打ち付けピッチを小さくすると効果的である。板材を固定する際の釘のピッチは、75〜125mmの範囲で適宜選定されるが、たとえば、板材の周縁においてはピッチ100mm、板材の四隅においては周縁のピッチの二分の一の50mm、板材の中通り部分(中央部分)に沿ってはピッチ200mmなどが採用される。
【0022】
釘のピッチが75mmより小さい場合、壁倍率を大きくできる可能性はあるが、過剰強度を有することになったり、釘のピッチが小さいことによる割れ、釘の数が多いことによる不経済性などの問題を発生するおそれがある。釘のピッチが125mmを越える場合は、壁の強度が低下し壁倍率を小さくし実用的でない。
【0023】
釘の有効長さLeは、釘の全長Loから板材の厚さTを引いた打付け長さLuから、さらに釘の先端の尖った部分である先端部長さLsを引いた値(Le=Lo−T−Ls)である。また、釘の胴部には凹凸やリング状刻みを付けて抜け止めをすると良い。埋没体積Veや釘の接触面積Stm〜Sesを算出する際には、釘の有効長さLeを採用する。
【0024】
また、釘で板材を横架材や柱材に固定する場合、釘の頭の上面が構造用合板などの板材の表面に位置するように適正な深さに打ち込まれる必要がある。釘の打ち込み深さが浅い場合も、また深く打ち込み過ぎる場合や板材の表面を破壊させるほどに深く打ち込み過ぎる場合も、耐力壁としての性能を十分に発揮することはできない。すなわち、釘の打ち込み深さが浅い場合には、十分な釘の埋没体積や接触面積を確保することができない。反対に釘の頭の上面が板材の表面から陥没するほど深く打ち込み過ぎた場合は、釘自体は横架材や柱材に固定されるが、板材は釘から抜けて板材が横架材や柱材に固定されない。
【0025】
上記の観点から釘の打ち込み力を適正にしなければならない。このため人力による手打ちよりは釘打ち機を利用すると良い。釘打ち機の圧力を釘打ち込み力を適正にする値に調整することにより、釘を適正な打ち込み深さになるように打ち込むことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る耐力壁構造の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜13において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0027】
本実施形態の耐力壁は、建物の内装壁や外装壁の下地として好適である。特に、サイディングの下地に良い。サイディングは、一般に通気用の金具を下地材に固定することにより施工されるが、本実施形態の耐力壁を下地として形成し、この下地の外側にサイディングを設けることにより、この外装壁の壁倍率を向上させることができる。
【0028】
図1は、本発明に係る耐力壁の一実施形態を示す破砕正面図である。図2は、図1の斜視図である。図3は、図1におけるI−I線断面図である。図4は、図1におけるII−II線断面図である。図1に示すように、本実施形態の耐力壁は、軸組1と、この軸組1の表面に釘32を使用して固定される構造用合板または構造用面材(板材)26とを備える。本耐力壁は、正面から見た単位壁の大きさが幅2m×高さ3mで、1×2mサイズの構造用合板26をその長手方向を上下方向(垂直方向)に位置させて使用することを基本とする。
【0029】
軸組1は、水平方向に設けられる複数の横架材およびこれら横架材に直交し交差して垂直方向に設けられる柱材で形成される。横架材は、上部に位置する桁2、下部に位置し桁2に対向する位置に設けられる土台7および桁2と土台7との間の中間位置に設けられる継手受材4などであり、この他に胴差し、梁、胴縁なども含まれる。柱材は、桁2と土台7との間に設けられる主柱12、二つの主柱12の間に設けられる継手間柱14およびこの継手間柱14と主柱12との間に設けられる間柱16などである。
【0030】
桁2の断面大きさは、180×105mm、土台7の断面大きさは、105mm角、継手受材4の断面大きさは、45mm角である。主柱12の断面大きさは105mm角、継手間柱14の断面大きさは45×60mm、間柱16の断面大きさは30×60mmである。また、桁2と主柱12、土台7と主柱12はホールダウン金物36によっても固定される。
【0031】
図2に示すように、構造用合板26の形状は矩形で、その厚みは7.5mm、9mm、12mmなどが使用される。さらに、構造用合板26は、先に記したように、軸組1に対して釘32により固定される。釘32の大きさは、たとえばJIS A5508(1992)で規定されるN50(全長Lo=50mm、胴径d=2.75mm)やN65(全長Lo=65mm、胴径d=3.05mm)などが使用される。構造用合板26の四隅以外の周縁(周囲)を固定する釘32の取付けピッチP2は100mmに形成され、板材の中央部分を固定する釘32の取付けピッチP3は200mmに形成される。
【0032】
図5は、図1における矢印III部分の拡大図である。主柱12と土台7との連結部分は、主柱12の下部先端に「ほぞ13」が形成され、ほぞ13は土台7に形成された「ほぞ穴9」に嵌合される。さらに、主柱12と土台7とが外れることを防止するため、主柱12は二本の長さ90mmの釘18を使用することによりそのほぞ13部分で土台7に固定される。
【0033】
図6は、図1に示す耐力壁の軸組を基礎とともに示す斜視図である。土台7は、基礎40の上に載置され、図示していないアンカーボルトおよびナットで固定される。主柱12と桁2との連結部分は、主柱12の端にほぞが形成され、ほぞは桁2に形成されたほぞ穴に嵌合される。
【0034】
図7は、図1に示す構造用合板26を固定する釘32の位置を示す正面図である。構造用合板26の大きさは、メートル基準の場合で、その大きさは1000×2000mmである。構造用合板26の周縁を固定する釘32の取付ピッチP2は100mm、構造用合板26の内側中央部分を固定する釘32の取付ピッチP3は200mmである。これに対して、構造用合板26の四隅を固定する釘32の取付ピッチP1は、構造用合板26の周縁(周囲)を固定する釘32の取付ピッチP2=100mmの二分の一である50mmとなる。
【0035】
また、この場合の釘の使用本数は合計77本、周縁のみの使用本数は68本である。なお、構造用合板26の四隅を固定する釘32の取付ピッチP1を取付ピッチP2=100mmの二分の一である50mmに設定せずに、P2=100mmと同じとする場合の釘の使用本数は合計69本、周縁のみの使用本数は60本となる。
【0036】
図8は、本発明に係る耐力壁に使用する尺基準の構造用合板の釘の位置を示す正面図である。構造用合板26の大きさは、910×1820mmである。構造用合板26の周縁を固定する釘32の取付ピッチP2は100mm、構造用合板26の内側中央を固定する釘32の取付ピッチP3は200mmである。これに対して、構造用合板26の四隅を固定する釘32の取付ピッチP1は、構造用合板26の周囲を固定する釘32の取付ピッチP2=100mmの二分の一である50mmとなる。
【0037】
また、この場合の釘の使用本数は合計72本、周縁のみの使用本数は64本である。なお、構造用合板26の四隅を固定する釘32の取付ピッチP1を取付ピッチP2=100mmの二分の一である50mmに設定せずに、P2=100mmと同じとする場合の釘の使用本数は合計64本、周縁のみの使用本数は56本となる。
【0038】
図9は、図1におけるIV−IV線断面図である。構造用合板26は、桁2に対して構造用合板の周縁30に沿って釘32を打ち付けることにより固定される。構造用合板26をその周縁に沿って固定する釘32の取付けピッチP2は、先に説明したように100mmである。そして、釘32の長さ(全長)Loは、構造用合板26の厚さTの5倍以上にとる。
【0039】
さらに好ましくは、桁2に埋め込まれる有効長さLe、すなわち釘の全長Loから構造用合板26の厚さTと釘の先端部長さLsとを引いた長さが構造用合板の厚さTの4倍以上となるようにする。すなわち、
Lu=Lo−T
Le=Lu−Ls
の関係がある。埋没体積Veや釘の接触面積Stm〜Sesを算出する際には釘の有効長さLeを採用する。
【0040】
具体的数値として、たとえば構造用合板の厚さTを7.5mmとすると、釘の全長Loは、37.5mm以上となる。そこでLo=50mmの釘を採用すると、梁2に埋め込まれる打付け長さLu=42.5mmとなる。釘の先端部長さLsを4.15とすると、釘の有効長さLe=38.35mmとなる。
【0041】
上記説明においては、桁2に構造用合板を釘32で打ち付ける場合について説明したが、他の横架材である土台7、継手受材4や柱材である主柱12、継手間柱14、間柱16などに対し、構造用合板26を釘32で打ち付ける関係についても桁2の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
以上説明した本実施形態の耐力壁について、その作用を図面に基づいて説明する。図9に示すように、構造用合板26は、桁2に対して構造用合板の周縁30に沿って釘32を使用して固定され、また構造用合板26の中央部分においても釘32で固定される。構造用合板26を固定する釘32の取付けピッチは、周縁に沿ってはP2=100mm、中央部分ではP3=200mmである。さらに、構造用合板26を固定する釘の全長Loは、構造用合板26の厚さTの5倍以上である。
【0043】
釘の全長Loは構造用合板26の厚さTの5倍以上であるので、桁2に打ち付けられる釘の長さLuは、少なくとも構造用合板26の厚さの4倍以上である。これにより釘32は桁2に対して十分な深さに打ち込まれ、釘32の引き抜き抵抗力は大きい。軸組1に構造用合板26を釘32により固定する耐力壁は、建物(軸組)が外力(台風・大地震など)を受けたときに軸組1を通して外力が釘32および構造用合板26に伝わる。
【0044】
耐力壁の強度は、軸組1(金具なども含む)の強度、構造用合板26の強度、釘32の強度、釘32に対する構造用合板26の強度などによって決まるが、釘32の引き抜き抵抗力を大きくすることにより、構造用合板26は確実に桁2に固定される。したがって、構造用合板26は桁2などとともに構造体として働き、壁倍率を大きくする。
【0045】
壁倍率を大きくするには、上記の他に、さらに下記の構造によっても達成される。すなわち、釘32を打ち付けた状態で桁2の中に埋没される釘の有効長さLeを構造用合板26の厚さの4倍以上とすることにより達成される。また、釘の全長Loが構造用合板26の厚さTの5倍以上であり、釘の有効長さLeが構造用合板26の厚さTの4倍以上であることにより、釘32を打ち付けた状態で桁2の中に埋没される釘の埋没体積Veは、218立方ミリメートル以上となる。釘の埋没体積が218立方ミリメートル以上であることにより、釘32の本体が十分に桁2に埋没し、釘32の十分な引き抜き抵抗力が確保され、先に記したと同様に、壁倍率を大きくする。
【0046】
さらに、壁倍率を大きくする構造として、構造用合板26は桁2に対して構造用合板26の周縁および中央部分に沿って釘で固定され、構造用合板26を固定する釘の取付けピッチは100ないし200mmに形成されることにより、構造用合板26を固定する釘32の桁2などに対する接触面積は、1平方メートル当り109平方センチメートル以上、または1平方尺当り11平方センチメートル以上としても達成される。このようにすると、釘32の接触面積は構造用合板26を固定するに十分な引き抜き抵抗力を確保するので、構造用合板26は桁2などとともに構造体として働き、壁倍率を大きくする。
【0047】
さらに、上記のように構造用合板26は構造用合板26の周縁に沿って釘32で固定され、かつ上記釘32の取付けピッチを維持し、構造用合板26の周縁に使用する釘32の桁2などに対する接触面積は、1平方メートル当り112平方センチメートル(cm)以上、または1平方尺当り11平方センチメートル(cm)以上としても良い。こうすることにより、上記と同様に壁倍率を大きくする。
【0048】
図10は、本発明に係る耐力壁の別の実施形態を示す破砕正面図である。図11は、図10の斜視図である。図12は、図10におけるI−I線断面図である。図13は、図10におけるII−II線断面図である。先の実施形態においては、構造用合板26が桁2などに対して直接固定される場合であるが、この別の実施形態においては構造用合板26と桁2などとの間に通気用の受材を介在させて固定される場合である。この場合の受材は桁2や主柱12と同等の強度のある材料として、受材が釘32の引き抜き抵抗に寄与するように形成される。
【0049】
この耐力壁は、軸組1と、この軸組1の表面に通気受材を介して固定されるモルタル下地合板(板材)28とを備える。耐力壁は、正面から見た単位壁の大きさが幅2m×高さ3mで、1×2mサイズのモルタル下地合板28をその長手方向を上下方向に位置させることを基本とする。
【0050】
軸組1は、水平方向に設けられる複数の横架材およびこれら横架材に直交し交差して垂直方向に設けられる柱材で形成される。横架材は、上部に位置する断面大きさ180×105mmの桁2、下部に位置し桁2に対向する位置に設けられる断面大きさ105mm角の土台7、および桁2と土台7との間の中間位置に設けられる断面大きさ45mm角の継手受材4などである。
【0051】
柱材は、桁2と土台7との間に設けられる断面大きさ105mm角の主柱12、二つの主柱12の間に設けられる断面大きさ45×60mmの継手間柱14、この継手間柱14と主柱12との間に設けられる断面大きさ30×60mmの間柱16などである。また、桁2と主柱12、土台7と主柱12はホールダウン金物36によっても固定される。
【0052】
図10に示すように、縦通気受材(縦受材)20は、軸組の主柱12の表面(一方の面)に固定される。縦通気受材(縦受材)21は、継手間柱14および間柱16の各表面(一方の面)に固定される。横通気受材(横受材)22は、土台7および桁2の各表面に固定される。また、横通気受材(横受材)24は、継手受材4の表面に固定される。
【0053】
各軸組を形成する構造部材に固定される縦通気部材および横通気部材の幅は、その構造部材の幅に応じて選定される。すなわち、主柱12に固定される縦通気受材20の大きさは、幅90mm×厚さ15mm、継手間柱14および間柱16に固定される縦通気受材21の大きさは、幅45mm×厚さ15mm、桁2および土台7に固定される横通気受材22の大きさは、幅90mm×厚さ15mmである。
【0054】
継手受材4に固定される横通気受材24の大きさは、幅45mm×厚さ15mmである。また、縦通気受材20、21および横通気受材22、24は、軸組の各構造部材に対して、長さ65mm×胴径3.05mmの釘33で固定される。さらに、土台7は、基礎40の上に載置され、図示していないアンカーボルトおよびナットで固定される。
【0055】
さらに、横通気受材22と縦通気受材20、21、横通気受材24と縦通気受材20、21との間には、左右に隙間34、35が設けられる。この左右の隙間34、35において、図示していないモルタル下地合板の角部に位置する側の他方の隙間35の幅は、一方の隙間34の幅より小さくなるように形成される。たとえば、隙間34の幅を50mmとし、隙間35の幅を5mm以下の値に決める。このようにすると、通気のための隙間34の断面の大きさは、50×15mmとなり、隙間35の断面の大きさは、最大5×15mmとなる。
【0056】
図11に示すように、モルタル下地合板28は、外装材の下地として用いられ,形状は矩形で、その厚みは7.5〜12mmの範囲から選定される。さらに、モルタル下地合板28は、軸組1に対して釘32により固定される。釘32の大きさは全長50mm×胴径2.75mm(N50)や全長65mm×胴径3.05mm(N65)などが使用される。モルタル下地合板28の四隅以外の周囲を固定する釘32の取付けピッチP2は100mmに形成され、板材の内側を固定する釘32の取付けピッチP3は200mmに形成される。
【0057】
図10〜13に示した実施形態は、次のように作用する。すなわち、隙間34を設けることにより、耐力壁の内側の空間38(図3に表示)と耐力壁の外側の空間との間に通気路が形成され、耐力壁の内側と外側の通気が可能になる。このように形成されると、耐力壁の内側の空間38の空気が耐力壁の外側に流れ、耐力壁の外側の空気が内側の空間38に流れ込むので、耐力壁の内側の結露の防止や有害菌などの発生を防止するとともに室内温度や湿度、空気清浄度などの環境を良好に保つこともできる。
【0058】
さらに、5mm以下の小さい隙間35を設けることにより、釘を設ける位置に横通気受材が位置するように調整でき、釘は横通気受材に貫通し、モルタル下地合板28が横通気受材を介して軸組に強固に固定される。
【0059】
また、小さい方の隙間35は、大きい方の隙間34を通過する空気の流れが及ばない領域、すなわち小さい隙間35近傍の空間39(図11)に局所的に滞留する空気の通気性を良くする。たとえば、モルタル下地合板28を縦通気受材20および横通気受材22、24を介して軸組1に固定する場合、軸組1と縦通気受材20または横通気受材22、24との間に防水シートを設け、モルタル下地合板28を釘で固定し、このモルタル下地合板28の表面に外装用のモルタルを塗布する。
【0060】
何らかの原因で水が壁の内側に浸入した場合、たとえば釘の打ち込み孔からモルタルの水分が万が一、モルタル下地合板28の裏側にまわり、壁内の湿度が上昇しても、大きい隙間34と小さい隙間35により空気の通気を良くするので腐敗などの問題を解消する。図10〜13におけるその他の構造と作用は、図1〜9に示した実施形態の耐力壁と同じであるので、その説明を省略する。
【0061】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。表1、2は、本発明における実施例No.1〜14を比較例No.15とともに示す。表1は、壁に使用する板材(構造用合板26)の単位面積当りの釘の使用本数を示し、表2は、板材(構造用合板26)の単位面積当りの釘の接触面積および壁倍率の評価を示すものである。
【表1】
Figure 2004332377
【表2】
Figure 2004332377
【0062】
表1において、釘の有効長さLe、埋没体積Veの算出は、下式による(図9参照)。
Le=Lu−Ls
Lu=Lo−T
Ve=LeA
ここで、
Le:釘の有効長さ(mm)
Lu:打付け長さ(mm)
Ls:先端部長さ(mm)
Lo:全長(mm)
T :板材の厚さ(mm)
Ve:埋没体積(mm
A :釘の断面積(mm
【0063】
また、m当り全本数N、m当り周縁本数N、尺当り全本数N、尺当り周縁本数Nは、図7、8から算出できる。
【0064】
表2において、
Stm=dπLeN/100
Sem=dπLeN/100
Sts=dπLeN/100
Ses=dπLeN/100
ここで
Stm:m当り総接触面積(cm
Sem:m当り周縁接触面積(cm
Sts:尺当り総接触面積(cm
Ses:尺当り周縁接触面積(cm
:m当り全本数(本)
:m当り周縁本数(本)
:尺当り全本数(本)
:尺当り周縁本数(本)
d :釘の胴径(mm)
π :円周率
【0065】
また、壁倍率Wの算出は、「建築基準法 施行令第46条第4項表1の(八)に基づく木造軸組耐力壁の試験方法と評価方法」による。
【0066】
表1において、実施例1〜7は板材厚さT=7.5mmを使用した場合で、実施例1、2は、周縁および四隅の釘ピッチ100mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合、実施例3〜5は、周縁の釘ピッチ100mm、四隅の釘ピッチ50mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合、実施例6は、周縁および四隅の釘ピッチ75mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合、実施例7は、周縁および四隅の釘ピッチ100mm、釘全長Lo=65mm×胴径d=3.05mm(N65)を使用した場合、を各々示す。
【0067】
実施例8〜13は、板材厚さT=9.0mmを使用した場合で、実施例8〜10は、周縁および四隅の釘ピッチ100mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合、実施例11は、周縁の釘ピッチ100mm、四隅の釘ピッチ50mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合、実施例12、13は、周縁および四隅の釘ピッチ100mm、釘全長Lo=65mm×胴径d=3.05mm(N65)を使用した場合である。
【0068】
実施例14は、板材厚さT=12mmの場合で、周縁および四隅の釘ピッチ100mm、釘全長Lo=65mm×胴径d=3.05mm(N65)を使用した場合である。比較例15は、板材厚さT=12mm、周縁および四隅の釘ピッチ150mm、釘全長Lo=50mm×胴径d=2.75mm(N50)を使用した場合である。
【0069】
次に、算出した結果について説明する。先ず埋没体積Veについて説明する。実施例1〜6において埋没体積Veは227.80mm(釘全長50mm)、実施例7においてはVe=386.85mm(釘全長65mm)、実施例8〜11においてはVe=218.89mm(釘全長50mm)、実施例12、13においてはVe=375.89mm(釘全長65mm)である。さらに、実施例14においてはVe=353.98mm(釘全長65mm)である。これに対して比較例15においてはVe=201.07mm(釘全長50mm)で実施例1〜14のいずれの値よりも小さい。これらの結果から、釘の埋没体積Veは、釘の全長が同じであるならば板材の厚さが大きくなるにしたがって小さくなるので、板材の厚さと釘の全長の選定は十分な検討が必要である。
【0070】
さらに、板材の単位面積当りの釘の使用本数を見る。先ず、板材のm当り全本数Nは、板材の四隅のピッチを100mmとした場合の実施例1、2、7〜10、12〜14においては、いずれも34.5本、板材の四隅のピッチを50mmとした場合の実施例3〜5、11においては、いずれも38.5本である。板材の四隅のピッチを75mmとした場合の実施例6においては、45.5本である。これに対して、板材の四隅のピッチを150mmとした場合の比較例15においては、26.5本となった。
【0071】
また、板材のm当り周縁本数Nは、板材の四隅のピッチを100mmとした場合の実施例1、2、7〜10、12〜14においては、いずれも30.0本、板材の四隅のピッチを50mmとした場合の実施例3〜5、11においては、いずれも34.0本である。板材の四隅のピッチを75mmとした場合の実施例6においては、41.0本である。これに対して、板材の四隅のピッチを150mmとした場合の比較例15においては、22.0本となった。
【0072】
次に、板材の尺当り全本数Nは、板材の四隅のピッチを100mmとした場合の実施例1、2、7〜10、12〜14においては、いずれも3.56本、板材の四隅のピッチを50mmとした場合の実施例3〜5、11においては、いずれも4.00本である。、板材の四隅のピッチを50mmとした場合の実施例3〜5、11においては、いずれも4.00本である。これに対して板材の四隅のピッチを150mmとした場合の比較例15においては、2.44本である。
【0073】
また、板材の尺当り周縁本数Nは、板材の四隅のピッチを100mmとした場合の実施例1、2、7〜10、12〜14においては、いずれも3.11本、板材の四隅のピッチを50mmとした場合の実施例3〜5、11においては、いずれも3.56本である。板材の四隅のピッチを75mmとした場合の実施例6においては、いずれも4.00本である。これに対して、板材の四隅のピッチを150mmとした場合の比較例15においては、2.00本である。
【0074】
次に、釘の接触面積について算出する。表2に示すように、m当り総接触面積Stmは、板材の厚さT=7.5mmとした実施例1〜7において、最大175.04cm(実施例7)、最小114.31cm(実施例1、2)、板材の厚さT=9.0mmとした実施例8〜13において、最大170.08cm(実施例12、13)、最小109.83cm(実施例8〜10)、板材の厚さT=12.0mmとした実施例14においては、160.16cmである。これに対して、板材の厚さT=12.0mmとした比較例15においては、77.50cmで、最小の値である。
【0075】
当り周縁接触面積Semは、板材の厚さT=7.5mmとした実施例1〜7において、最大152.21cm(実施例7)、最小99.40cm(実施例1、2)、板材の厚さT=9.0mmとした実施例8〜13において、最大147.90cm(実施例12、13)、最小95.51cm(実施例8〜10)、板材の厚さT=12.0mmとした実施例14において、139.27cmである。これに対して、板材の厚さT=12.0mmとした比較例15においては、64.34cmである
【0076】
当り総接触面積Stm、m当り周縁接触面積Semのいずれにおいても、板材の厚さT、釘の四隅のピッチ、釘の全長と胴径などにより値が大きく異なり、バラツキが大きいので、板材の厚さ、釘の四隅のピッチ、釘のサイズおよびその打ち込みピッチの選定が重要であることが分かる。
【0077】
メートル基準と同様に、尺当り総接触面積Stsは、板材の厚さT=7.5mmとした実施例1〜7において、最大18.06cm(実施例7)、最小11.79cm(実施例1、2)、板材の厚さT=9.0mmとした実施例8〜13において、最大17.55cm(実施例12、13)、最小11.33cm(実施例8〜10)、板材の厚さT=12.0mmとした実施例14において、16.53cmである。これに対して、比較例15では7.14となり、最小の値を示している。
【0078】
また、尺当り周縁接触面積Sesは、板材の厚さT=7.5mmとした実施例1〜7において、最大15.78cm(実施例7)、最小10.30cm(実施例1、2)、板材の厚さT=9.0mmとした実施例8〜13において、最大15.33cm(実施例12、13)、最小9.90cm(実施例8〜10)、板材の厚さT=12.0mmとした実施例14において、14.44cmである。これに対して、比較例15においては、尺当り周縁接触面積Sesの値は、5.85cmで、最小の値を示している。
【0079】
当り総接触面積Sts、尺当り周縁接触面積Sesのいずれにおいても、先のメートル基準の接触面積Stm、Semの場合と同様に、板材の厚さT、釘の四隅のピッチ、釘の全長と胴径などにより値が大きく異なり、バラツキが大きいので、板材の厚さ、釘の四隅のピッチ、釘のサイズおよびその打ち込みピッチの選定が重要であることが分かる。
【0080】
壁倍率については、3.5未満を不可、3.5以上4.1未満を可、4.1以上4.4未満を良、4.4以上を優として、各実施例を評価した結果は、表2の壁倍率W欄の通りである。いずれの実施例も壁倍率Wそのものの数値は示されていないが、少なくともW=3.5以上の値を示すことが試験の結果判明し、可以上の評価を得た。比較例15については壁倍率Wが3.5未満の値を示し、不可となった。
【0081】
そして、実施例3〜5に相当する板材厚さT=7.5mm、周縁の釘ピッチP2=100mm、四隅の釘ピッチP1=50mmとしたものについては、壁倍率Wが4.4以上の優れた値を示した。同様に、実施例6に相当する板材厚さT=7.5mm、周縁および四隅の釘ピッチP2=P1=75mmとしたもの、実施例7に相当する板材厚さT=7.5mm、周縁および四隅の釘ピッチP2=P1=100mm、釘全長Lo=65mmとしたもの、実施例12、13に相当する板材厚さT=9.0mm、周縁および四隅の釘ピッチP2=P1=100mm、釘全長Lo=65mmとしたもの、および実施例14に相当する板材厚さT=12.0mm、周縁および四隅の釘ピッチP2=P1=100mm、釘全長Lo=65mmとしたものについても壁倍率Wが4.4以上の優れた値を示した。
【0082】
以上表1、2により実施例および比較例について説明したが、これらの試験はいわば静的荷重に対する構造物の解析(静的解析)である。これに対して実際に耐力壁を施工する住宅には荷重が時刻とともにその大きさと向きが変わる動的荷重、たとえば地震動や風圧力などが長期間に渡り、何度も加えられることとなる。
【0083】
たとえば、地震動を再現する試験として長さ50mm×胴径2.75mmのN50の釘を使用し、周期2ヘルツ(Hz)で、震度6弱に相当する震動を加えた場合、壁は破壊されないが板材に使用した総釘本数の10%が折損するなどの破損をする結果となった。さらに、同じ周期で震度6強に相当する震動を加えた場合には同様に板材に使用した総釘本数の30%、同じ周期で震度7に相当する震動を加えた場合には板材に使用した総釘本数の50%が、それぞれ破損するという結果になった。
【0084】
これらのことから、N50の釘を使用して壁倍率Wが4以上の値を示してもさらに長期間の動的荷重に対する耐震性を確実にするため、1段階上の大きさの釘を使用することが好ましい。すなわち、板材(構造用合板)として厚さ7.5、9.0、12.0mmのものを使用し、長さ65mm×胴径3.05mmのN65の釘を使用し、その周縁の打ち付けピッチP2を100mm、中央(中通り)の打ち付けピッチP3を200mmとすることによって壁倍率Wを4以上確保するとともに耐震性を確保することができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、横架材と柱材で形成される軸組に板材を釘で固定することにより、施工性が良く、かつ壁倍率の大きい耐力壁が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐力壁の一実施形態を示す破砕正面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】図1におけるI−I線断面図である。
【図4】図1におけるII−II線断面図である。
【図5】図1における矢印III部分の拡大図である。
【図6】図1に示す耐力壁の軸組を基礎とともに示す斜視図である。
【図7】図1に示す構造用合板を固定する釘の位置を示す正面図である。
【図8】本発明に係る耐力壁に使用する尺基準の構造用合板の釘の位置を示す正面図である。
【図9】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図10】本発明に係る耐力壁の別の実施形態を示す破砕正面図である。
【図11】図10の斜視図である。
【図12】図10におけるI−I線断面図である。
【図13】図10におけるII−II線断面図である。
【符号の説明】
1 軸組
2 桁(横架材)
4 継手受材(横架材)
7 土台(横架材)
12 主柱(柱材)
14 継手間柱(柱材)
16 間柱(柱材)
26 構造用合板(板材)
28 モルタル下地合板(板材)
30 周縁
32 釘
P1、P2、P3 構造用合板の取付けピッチ(mm)
T 構造用合板の厚さ(mm)
Lo 釘の全長(mm)
Lu 釘の打付け長さ(mm)
Ls 釘の先端部長さ(mm)
Le 釘の有効長さ(mm)
Stm、Sts 総接触面積(cm
Sem、Ses 周縁接触面積(cm

Claims (3)

  1. 桁、土台などの横架材と、該横架材に直交する方向に設けられる柱材と、前記横架材および前記柱材の表面に固定される板材とを備え、該板材は前記横架材および前記柱材に対して少なくとも該板材の周縁に沿って釘で固定され、前記板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mmに形成され、前記釘の全長は前記板材の厚さの5倍以上であることを特徴とする耐力壁。
  2. 桁、土台などの横架材と、該横架材に直交する方向に設けられる柱材と、前記横架材および前記柱材の表面に固定される板材とを備え、該板材は前記横架材および前記柱材に対して少なくとも該板材の周縁に沿って釘で固定され、前記板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mmに形成され、前記板材を前記横架材および前記柱材に打ち付けた状態で前記横架材または前記柱材の中に埋没される前記釘の有効長さは前記板材の厚さの4倍以上であることを特徴とする耐力壁。
  3. 桁、土台などの横架材と、該横架材に直交する方向に設けられる柱材と、前記横架材および前記柱材の表面に固定される板材とを備え、該板材は前記横架材および前記柱材に対して少なくとも該板材の周縁に沿って釘で固定され、前記板材を固定する釘の取付けピッチは75ないし125mmに形成され、前記板材を固定する釘の前記横架材または前記柱材に対する接触面積は、1平方メートル当り109平方センチメートル以上、または1平方尺当り11平方センチメートル以上であることを特徴とする耐力壁。
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