JP2004332112A - 高強度で延性に優れたアルミニウム合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来のような結晶粒の微細化を行わなくても優れた強度及び延性が得られるAl−Mg−Si系合金を提供する。
【解決手段】 Si:0.1〜0.9質量%、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなり、平均結晶粒径が30μmより大きいアルミニウム合金を用いる。結晶の粒径分布の最大値と最小値の差を「dr」とし、結晶の平均粒径を「da」としたとき、「dr>da/10」の関係が成立するように構成されているものを用いるのが特に好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 Si:0.1〜0.9質量%、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなり、平均結晶粒径が30μmより大きいアルミニウム合金を用いる。結晶の粒径分布の最大値と最小値の差を「dr」とし、結晶の平均粒径を「da」としたとき、「dr>da/10」の関係が成立するように構成されているものを用いるのが特に好ましい。
【選択図】 なし
Description
この発明は、例えば自動車、鉄道車輌等の構造材料や部品材料等として用いられる、高強度で延性に優れたアルミニウム合金に関する。
アルミニウム合金は軽量性、強度等に優れていることから、自動車のボディパネル材や自動車部品等として用いられるようになってきている。このようなアルミニウム合金としては、Al−Mg−Si系合金であるJIS6000系Al合金が用いられていたが、強度的には十分とは言えなかった。本出願人は、先に、Al合金の強度を向上させたAl−Mg−Si系合金を出願(特許文献1参照)しているが、近年のAl合金の用途の拡がりに呼応してこれよりもさらに強度及び延性を向上させたものが強く求められるようになってきている。
このような状況の中、Al−Mg−Si系合金にさらに他の特定の金属元素(Fe)を添加することによって結晶粒を微細化して強度及び延性を向上させる方法が提案されている。具体的には、Mg:0.1〜2.0質量%、Si:0.1〜2.0質量%、Fe:0.1〜1.5質量%及び残部Alを本質的成分としてなり、Fe、Si系晶出物の最大粒子径が5μm以下、最大アスペクト比が5以下であり、平均結晶粒径が30μm以下であるアルミニウム合金を用いることが提案されている(特許文献2参照)。
特開平5−320807号公報
特開2001−262264号公報(請求項1、段落0017)
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、Fe、Si系晶出物の組織形態(粒径およびアスペクト比)を精緻に制御すると共に、平均結晶粒径を30μm以下の微細な組織形態とするためには、製造時において凝固時冷却温度、鋳塊厚み、熱延開始温度、熱延圧下率、冷延圧下率等を厳密に制御しなければならず、このように製造工程管理が非常に難しいので、常に均一な品質の製品を安定して量産することは難しかった。即ち、製造条件のバラツキ等のために結晶粒の平均径が30μmを超えるようなものが形成されると十分な強度を確保できなくなるという問題があった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、従来のような結晶粒の微細化がなされていなくても優れた強度及び延性が得られるアルミニウム合金を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究の結果、Si含有量及びMg含有量がそれぞれ特定範囲にある合金(アルミニウム合金)組成にすれば、得られた合金の強度が、その組織形態における結晶粒の大きさに依存することがなく、即ち形成された結晶粒の大きさに関わりなく常に十分な強度が得られることを見出すに至り、この発明を完成したものである。本発明は以下の手段を提供する。
[1]Si:0.1〜0.9質量%、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[2]Si:0.1質量%以上0.7質量%未満、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[3]Si:0.1〜0.3質量%、Mg:1.2〜1.5質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[4]平均結晶粒径が30μmより大きい前項1〜3のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[5]平均結晶粒径が70μmより大きい前項1〜3のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[6]結晶の粒径分布の最大値と最小値の差を「dr」とし、結晶の平均粒径を「da」としたとき、
dr>da/10
の関係が成立する前項1〜5のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
dr>da/10
の関係が成立する前項1〜5のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[7]さらにCu:0.1〜0.5質量%を含有してなる前項1〜6のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[8]さらにCu:0.2〜0.35質量%を含有してなる前項1〜6のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[9]さらにCr:0.05〜0.3質量%、Mn:0.05〜0.3質量%を含有してなる前項1〜8のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[10]さらにCr:0.1〜0.2質量%、Mn:0.1〜0.2質量%を含有してなる前項1〜8のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[11]引張強度が300MPa以下であり、かつ伸びが20%以上である前項1〜10のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[12]押出により製造されたことを特徴とする前項1〜11のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[13]圧延により製造されたことを特徴とする前項1〜11のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
[14]前項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む自動車用又は鉄道車輌用構造材料。
[15]前項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む自動車用又は鉄道車輌用部品材料。
[1]〜[3]の発明では、SiおよびMg含有量がそれぞれ特定範囲に規定されているから、結晶粒が微細化されていなくても(例えば平均結晶粒径が30μmより大きいものであっても)、十分な強度が得られるし、延性にも優れている。即ち、SiおよびMg含有量がこのような特定範囲に規定されている場合には、合金強度は、得られた合金の組織形態における結晶粒の大きさによって影響されることがなく、どのような組織形態になっていても常に十分な強度が得られる。中でも、[2]の発明では、合金強度の平均結晶粒径依存性を確実になくすことができて、十分な強度及び延性を有したアルミニウム合金が確実に提供される。更に[3]の発明では、合金強度の平均結晶粒径依存性をより確実になくすことができて、十分な強度及び延性を有したアルミニウム合金がより確実に提供される。
[4]の発明では、平均結晶粒径が30μmより大きいものに限定している。このような組織形態のものは、製造条件を厳密に制御することを要しないから、製造工程管理が非常に容易である。従って、常に均一な品質の製品が安定して量産されるので、強度と延性に優れた高品質のものが低コストで提供される。
[5]の発明では、平均結晶粒径が70μmより大きいものに限定している。このような組織形態のものは、製造工程管理がさらに容易なものとなるから、より均一な品質の製品が安定して量産され得て、強度と延性に優れた高品質のものが一層低コストで提供される。
[6]の発明では、結晶の粒径分布幅が特定値より大きいものに限定している。このように結晶の粒径分布幅が大きくばらついていても、SiおよびMg含有量がそれぞれ前記特定範囲に規定されているので、十分な強度が得られるし、延性にも優れている。このように、十分な強度を確保する上でこの程度の大きな結晶粒径分布幅が許容されるので、製造工程管理がさらに容易になる。
[7]の発明では、さらにCu:0.1〜0.5質量%を含有しているから、合金強度及び伸びをさらに向上できる。
[8]の発明では、さらにCu:0.2〜0.35質量%を含有しているから、合金強度及び伸びをさらに一層向上できる。
[9]の発明では、さらにCr:0.05〜0.3質量%、Mn:0.05〜0.3質量%を含有しているから、合金強度及び伸びを一層向上できる。
[10]の発明では、さらにCr:0.1〜0.2質量%、Mn:0.1〜0.2質量%を含有しているから、合金強度及び伸びをより一層向上できる。
[11]の発明では、強度と延性のバランスのとれた高品質のものとなる。
[12]の発明では、押出条件を厳密に制御することを要しないから、製造工程管理が非常に容易であり、従って高強度で延性に優れたアルミニウム合金押出材が低コストで安定して提供される。
[13]の発明では、圧延条件を厳密に制御することを要しないから、製造工程管理が非常に容易であり、従って高強度で延性に優れたアルミニウム合金圧延材が低コストで安定して提供される。
[14]の発明では、強度、延びのばらつきの少ない高品質の自動車用又は鉄道車輌用構造材料が提供される。
[15]の発明では、強度、延びのばらつきの少ない高品質の自動車用又は鉄道車輌用部品材料が提供される。
この発明に係るアルミニウム合金は、Si:0.1〜0.9質量%、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする。SiおよびMg含有量がこのような特定範囲に規定されているから、結晶粒が微細化されていなくても、十分な強度が得られるし、延性にも優れている。即ち、本発明のアルミニウム合金の強度は、合金の組織形態における結晶粒の大きさによって影響されることが殆どなく、どのような組織形態になっていようとも常に十分な強度が得られる。
中でも、Si:0.1質量%以上0.7質量%未満、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなる構成を採用するのが好ましい。この場合には、Si含有量が0.1質量%以上0.7質量%未満に規定されているから、合金強度の平均結晶粒径依存性を確実になくすことができて、十分な強度及び延性を有したアルミニウム合金が確実に提供される。
Si含有量が0.1質量%未満またはMg含有量が0.7質量%未満では、十分な強度が得られないし、アルミニウム合金の強度は、合金の組織形態における結晶粒の大きさによって大きく影響される。また、Si含有量が0.7質量%以上またはMg含有量が1.6質量%を超えると、十分な強度が得られないし、アルミニウム合金の強度は、合金の組織形態における結晶粒の大きさによって大きく影響される。
特に好ましい構成は、アルミニウム合金が、Si:0.1〜0.3質量%、Mg:1.2〜1.5質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなる構成である。このような構成を採用すれば、合金強度の平均結晶粒径依存性をより確実になくすことができる。
この発明のアルミニウム合金において、平均結晶粒径は30μmより大きい値に設定されるのが好ましい。このような組織形態のものは、製造条件を厳密に制御することを要しないから、製造工程管理が非常に容易である。従って、常に均一な品質の製品が安定して量産されるので、強度と延性に優れた高品質のものが低コストで提供される。中でも、平均結晶粒径は70μmより大きい値に設定されるのが特に好ましい。なお、上記「平均結晶粒径」とは、板厚方向に全体を光学顕微鏡観察することによって結晶粒の大きさを点算法により測定した値である。
一般にアルミニウム合金の組織形態において、結晶の粒径はある程度の分布を有するが、この発明では、結晶の粒径分布の最大値と最小値の差を「dr」とし、結晶の平均粒径を「da」としたとき、dr>da/10の関係が成立するように構成されているのが好ましい。この発明では、このように結晶の粒径分布幅が大きくばらついていても、SiおよびMg含有量がそれぞれ前記特定範囲に規定されていれば、十分な強度が得られるし、延性にも優れたものとなる。このように、十分な強度を確保する上でこの程度の大きな結晶粒径分布幅が許容されるので、製造工程管理がさらに容易になる。
また、この発明のアルミニウム合金は、さらにCu:0.1〜0.5質量%を含有しているのが好ましい。これにより、合金強度及び伸びをさらに向上できる。中でも、この発明のアルミニウム合金は、さらにCu:0.2〜0.35質量%を含有しているのが特に好ましい。
また、この発明のアルミニウム合金は、さらにCr:0.05〜0.3質量%、Mn:0.05〜0.3質量%を含有している場合には、合金強度および伸びをより一層向上できる利点がある。中でも、アルミニウム合金は、さらにCr:0.1〜0.2質量%、Mn:0.1〜0.2質量%を含有しているのが特に好ましい。また、アルミニウム合金が上記好適範囲量のCr及びMnを含有する場合において、Cr含有量とMn含有量の総和量は0.1〜0.4質量%に設定されるのが好ましい。
なお、この発明のアルミニウム合金では、Feの含有量を0.1%未満に設定するのが好ましい。
この発明に係るアルミニウム合金は、そのビレットを均質化処理した後、押出して、溶体化処理、焼入れ、時効処理を順次実施することによって、押出材として提供される。或いは、この発明に係るアルミニウム合金は、そのビレットを熱間圧延した後、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍を順次実施することによって、圧延材として提供される。この発明のアルミニウム合金は、結晶粒が微細化されていなくても、即ちどのような組織形態になっていても常に十分な強度が得られるので、これら押出、圧延の製造条件を厳密に制御することを要しない。従って、製造工程管理が容易であるので、高強度で延性に優れた高品質のアルミニウム合金材が低コストで安定して提供され得る。
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1〜21、比較例1〜12>
表1、2に示す各種組成からなるアルミニウム合金のビレットを均質化処理(590℃×10時間)した。次に、各ビレットを560℃で押出した後、520℃×3時間の溶体化処理、焼入れ(水冷)、200℃×7時間の時効処理を順次行った。
表1、2に示す各種組成からなるアルミニウム合金のビレットを均質化処理(590℃×10時間)した。次に、各ビレットを560℃で押出した後、520℃×3時間の溶体化処理、焼入れ(水冷)、200℃×7時間の時効処理を順次行った。
<実施例22〜33>
表3に示す各種組成からなるアルミニウム合金のビレットを熱間圧延(540℃×5時間)した後、所定の板厚まで150℃を超えないように冷間圧延を施した。次いで、520℃×3時間の溶体化処理、焼入れ(水冷)、200℃×7時間の時効処理を順次行った。
表3に示す各種組成からなるアルミニウム合金のビレットを熱間圧延(540℃×5時間)した後、所定の板厚まで150℃を超えないように冷間圧延を施した。次いで、520℃×3時間の溶体化処理、焼入れ(水冷)、200℃×7時間の時効処理を順次行った。
上記のようにして得られた各押出材、各圧延材に対して下記評価法により評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
<機械的性質評価法>
JIS Z2201に準拠して13号B試験片を用いて、引張強度(MPa)及び伸び(%)を測定した。
JIS Z2201に準拠して13号B試験片を用いて、引張強度(MPa)及び伸び(%)を測定した。
<平均結晶粒径の評価>
板厚方向に全体を光学顕微鏡で観察して点算法を用いて結晶粒径の平均値(μm)を算出した。なお、結晶粒径値としては短径値を用いた。
板厚方向に全体を光学顕微鏡で観察して点算法を用いて結晶粒径の平均値(μm)を算出した。なお、結晶粒径値としては短径値を用いた。
<粒径分布幅の評価>
光学顕微鏡で観察された結晶の最大径から最小径を差し引いた数値を粒径分布幅(μm)とした。
光学顕微鏡で観察された結晶の最大径から最小径を差し引いた数値を粒径分布幅(μm)とした。
<強度の粒径依存性の評価>
同一の合金組成でアルミニウム合金材を製造した際に、先端部、中央部、後端部において引張強度を測定し(一例を挙げて説明すれば、実施例1〜3の群では、先端部が実施例1に相当し、中央部が実施例2に相当し、後端部が実施例3に相当する)、測定された引張強度の最大値から最小値を差し引いた数値が、平均引張強度に対して5%未満のものを「強度の粒径依存性なし」、5%以上10%未満のものを「強度の粒径依存性小」、10%以上のものを「強度の粒径依存性大」とそれぞれ評価した。
同一の合金組成でアルミニウム合金材を製造した際に、先端部、中央部、後端部において引張強度を測定し(一例を挙げて説明すれば、実施例1〜3の群では、先端部が実施例1に相当し、中央部が実施例2に相当し、後端部が実施例3に相当する)、測定された引張強度の最大値から最小値を差し引いた数値が、平均引張強度に対して5%未満のものを「強度の粒径依存性なし」、5%以上10%未満のものを「強度の粒径依存性小」、10%以上のものを「強度の粒径依存性大」とそれぞれ評価した。
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜21のアルミニウム合金の押出材は、十分な強度及び延性が得られると共に、強度の粒径依存性も殆ど認められなかった(得られた合金の組織形態における結晶粒の大きさに関係なく常に十分な強度が得られていた)。特に、実施例1〜12及び16〜21のアルミニウム合金では、強度の粒径依存性は全く認められなかった(常に一定の高強度が得られていた)。例えば実施例1〜3の群を例に説明すると、同一の合金組成(Si:0.3質量%、Mg:0.9質量%)であっても、製造条件の微妙なバラツキによって、結晶粒の大きさは顕著なバラツキを生じている(110〜354μm)が、このような結晶粒の大きさのバラツキに関係なく常に一定の十分な強度(214〜220MPa)が得られていた。
これに対して、この発明の範囲を逸脱する比較例1〜12のアルミニウム合金では、十分な強度が得られなかったし、強度の粒径依存性も大きかった。
また、表3から明らかなように、この発明の実施例22〜33のアルミニウム合金の圧延材は、十分な強度及び延性が得られると共に、強度の粒径依存性も殆ど認められなかった(得られた合金の組織形態における結晶粒の大きさに関係なく常に十分な強度が得られていた)。
実施例7の合金を使用し、車輌用外板パネル材を押出温度550℃で100m押出し、185℃で8時間時効処理を行った。このパネル材の、押出開始部近傍、押出終了部近傍および中間部について、長さ方向の強度、延びのばらつきを測定したところ、引張強度が250MPa前後、延びも23%前後でありばらつきが少なく、車輌用材料として適していることが確認された。
[1]の発明によれば、結晶粒が微細化されていなくても、十分な強度が得られると共に延性にも優れている。即ち、SiおよびMg含有量がこのような特定範囲に規定されているので、合金強度は、得られた合金の組織形態における結晶粒の大きさによって影響されることがなく、どのような組織形態になっていても常に十分な強度が得られる。
[2]の発明によれば、合金強度の平均結晶粒径依存性を確実になくすことができて、十分な強度及び延性を有したアルミニウム合金を確実に提供できる。
[3]の発明によれば、合金強度の平均結晶粒径依存性をより確実になくすことができて、十分な強度及び延性を有したアルミニウム合金をより確実に提供できる。
[4]の発明によれば、製造工程管理が容易になるので、常に均一な品質の製品が安定して量産され、従って強度と延性に優れた高品質のものが低コストで提供される。
[5]の発明によれば、製造工程管理がさらに容易化されるので、強度と延性に優れた高品質のものが低コストで提供される。
[6]の発明によれば、このような大きな結晶粒径分布幅があっても十分な強度を確保できるので、製造工程管理がさらに容易なものとなる利点がある。
[7]の発明によれば、合金強度及び伸びをさらに向上できる。
[8]の発明によれば、合金強度及び伸びをさらに一層向上できる。
[9]の発明によれば、合金強度及び伸びを一層向上できる。
[10]の発明によれば、合金強度及び伸びをより一層向上できる。
[11]の発明によれば、強度と延性のバランスのとれた高品質のものとなる。
[12]の発明によれば、高強度で延性に優れたアルミニウム合金押出材が低コストで安定して提供される。
[13]の発明によれば、高強度で延性に優れたアルミニウム合金圧延材が低コストで安定して提供される。
[14]の発明によれば、強度、延びのばらつきの少ない高品質の自動車用又は鉄道車輌用構造材料が提供される。
[15]の発明によれば、強度、延びのばらつきの少ない高品質の自動車用又は鉄道車輌用部品材料が提供される。
Claims (15)
- Si:0.1〜0.9質量%、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- Si:0.1質量%以上0.7質量%未満、Mg:0.7〜1.6質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- Si:0.1〜0.3質量%、Mg:1.2〜1.5質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 平均結晶粒径が30μmより大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 平均結晶粒径が70μmより大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 結晶の粒径分布の最大値と最小値の差を「dr」とし、結晶の平均粒径を「da」としたとき、
dr>da/10
の関係が成立する請求項1〜5のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。 - さらにCu:0.1〜0.5質量%を含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- さらにCu:0.2〜0.35質量%を含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- さらにCr:0.05〜0.3質量%、Mn:0.05〜0.3質量%を含有してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- さらにCr:0.1〜0.2質量%、Mn:0.1〜0.2質量%を含有してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 引張強度が300MPa以下であり、かつ伸びが20%以上である請求項1〜10のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 押出により製造されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 圧延により製造されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の高強度で延性に優れたアルミニウム合金。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む自動車用又は鉄道車輌用構造材料。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む自動車用又は鉄道車輌用部品材料。
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