JP2004332108A - 電解用ダイヤモンド電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】 比較的寿命の短い従来のダイヤモンド電極と他の成分を組合わせることにより更に長寿命のダイヤモンド電極を提供する。
【解決手段】 少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材11、及び該電極上に電極触媒として担持した導電性ダイヤモンド12及び必要に応じて酸化チタン粉末13を含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極。マグネリ相酸化チタンは基材表面に安定な酸化物層を形成させず、導電性の向上を達成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃水や飲料水などに含まれる産業、人体及び環境に悪影響を与える対象物質を電気分解して無害化することを効率良く行うことができ、また工業用陽極として耐久性に優れた、高い酸化能力を有する電解用ダイヤモンド電極に関する。
電解プロセスは、クリーンな電気エネルギーを利用して、電極表面で化学反応を制御することにより、水溶液系であれば水素、酸素、オゾン、過酸化水素などを発生させることが可能であり、工業電解としては食塩電解、電解めっき、金属採取などで汎用されている基本技術である。最近では有機汚濁物を間接的に分解するか、該物質を電極に吸着し、直接的に電解することが可能であることから廃水処理にも利用されつつある。
一方電気分解における陽極での酸化反応では、水処理に有効な酸化剤(有効塩素、オゾンなど)が生成し、一部OHラジカルなどの活性種も発生することが知られており、それらを含む水は活性水、機能水、イオン水、殺菌水などの名称で汎用されている。
しかしこのような電解プロセスでも、電極材料によっては対象となる反応が十分に進行しないことが指摘されている。一般的に水溶液での電解の陽極酸化反応は、原料を水として電解が進行して電解生成物が得られるが、水の放電に対して反応性の高い電極触媒では他の共存物質の酸化が容易には進行しないことが多い。
酸化を行う電解用電極(陽極)の材料として、酸化鉛、酸化錫、白金、DSA、カーボンなどが使用される。又電極基材として使用し得る材料は、長寿命であり、かつ処理表面への汚染が起きないように耐食性を有することが必要である。陽極給電体用材料は、チタンなどの弁金属及びその合金に限定される。電極触媒も、白金やイリジウムなどの貴金属及びそれらの酸化物に限定される。
このような高価な材料を用いても電流を流すと電流密度や通電時間に応じて消耗し、前記材料が電解液中に溶出することが知られており、より耐食性の優れた電極が望まれている。
黒鉛や非晶質カーボン材料は従来から電極材料として用いられているが、特に陽分極では著しい消耗がある。
同じカーボン系材料であるダイヤモンドは、熱伝導性、光学的透過性、高温及び酸化に対する耐久性に優れており、特にドーピングにより電気伝導性の制御も可能であることから、半導体デバイスやエネルギー変換素子として有望視されている。
最近、このような特性を有するダイヤモンドの酸性電解液中での安定性が、他のカーボン材料と比較して遥に優れていると報告され、電気化学用電極として有望であることが示唆されている[Swainら、Journal of Electrochemical Society, vol.141, 3382-、(1994)]。
米国特許第5,399,247号明細書では、ダイヤモンドを陽極材料に用いて有機廃水を分解できることが示唆されている。又特開2000−226682号公報では、陽極及び陰極として導電性ダイヤモンドを使用して水処理を行う方法が提案されている。更に又特開2000−254650号公報では、陽極として導電性ダイヤモンドを、陰極として過酸化水素発生用ガス拡散陰極を使用して水処理を行う方法が提案されている。
高電流密度下で高い電位領域でのダイヤモンド電極の工業的利用の報告はなされていないが、最近になってダイヤモンド電極は水の分解反応に対しては不活性であり、酸化以外にオゾンを生成することが報告されている(特開平11−269685号公報)。
このような研究から、電極としてダイヤモンドを使用する電解プロセスでは、従来の電極を用いた場合より効率向上が期待されているが、その反面、次のような実用的な観点からの改良が望まれていた。
ダイヤモンド膜の作製方法として、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法、PVD法等が開発されている。ダイヤモンドの一般的な製法であるCVD法では、700℃以上の高温還元工程を経るため、基材の熱膨張係数がダイヤモンドのそれに近いことが必須である。ダイヤモンド電極の基材には、通常熱膨張係数が近似する金属シリコンは使用されるが、この金属シリコンは機械的強度が低いため寸法が限定され、大型化が困難である。
工業電解に使用する電極の形状は複雑であるため、やはり加工が容易で機械的強度が大きい金属基材を使用することが好ましい。特に酸性溶液中で陽極電位領域で安定な金属として弁金属があり、これらの金属の中で、水素雰囲気で水素化物を生成しにくいことを考慮して、ニオブ基材を用いることが検討されている。
しかしながら応用分野によってはこのような改良されたダイヤモンド電極でも、寿命が乏しく対応できないことがある。この原因を検討した結果、大型の電極ではやはり基材と電極物質との間の熱膨張係数の相違、CVD装置の不均一性によるダイヤモンドの質のばらつき(非ダイヤモンド成分の析出)があり、ピンホールやクラックなどの欠陥が不可避的に生じることが確認されている。
安定な陽極を提供するためには基材の耐久性を維持することが必要になる。ダイヤモンド膜と基材の密着性と基材の保護を目的としてカーバイドなどの中間層を基材表面に形成することが提案されている(特開平9−268395号公報)。中間層の効果は酸性電解浴での貴金属酸化物電極の基本的延命技術として古くから知られている(特開昭57−192281号公報)。しかしながらこのような酸化物中間層を形成しても、CVD法によるダイヤモンド合成条件では水素などのラジカルが発生するため、中間層の大部分が還元されていまい当該技術を利用することは簡単ではない。
一方超高圧合成法などで得られる導電性ダイヤモンド粉末を樹脂などの結合材を用いて成型すれば、電解に利用できる電極形態となりうる。また熱分解により弁金属塩から粉末ダイヤモンドを固着する方法(前記特開平11−269685号公報)も提案されているが、いずれも耐久性、基材との接合強度の面で不十分であった。
このような状況から、工業電解に利用できるダイヤモンド電極を更に改良できれば非常に望ましいことである。
Journal of Applied Electrochemistry, vol.28, 1021-1033(1998)
マグネリ相酸化チタンは、Tin2n-1の化学組成においてnが4から10である酸化物で、酸化腐食雰囲気での耐久性が高いという特色を有し、TiO2を原料とし、これを水素雰囲気下で高温還元するなどの方法により合成される。このマグネリ相を電極組成物として有する電極は、エボネクス(登録商標)と称され、工業電解の分野で汎用されている。この電極は腐食性の大きい電解浴で優れた耐久性を有することが知られているが、大きい電流を流せない。この欠点を解消するため、前記電極上に、イリジウム酸化物、スズ酸化物、ルテニウム酸化物、白金または酸化鉛などの触媒を担持することが提案されている(非特許文献1)。
金属チタンは電解を行うと表面近傍に強い電場を生じ、この電場が陽極酸化皮膜を成長させる駆動力となるため、一度形成されたTiO2あるいは含水したTiO2は金属チタンに対して不可逆な化合物となる。一方マグネリ相チタンの触媒作用はTin2n-1の小さなnの増減の繰り返しによって触媒酸化が進行するといわれている。即ちマグネリ相は電解によって小さなnの繰り返しの間に酸素発生等の電極反応を行い、不可逆的なTiO2の生成は行わない。
本発明者らは、前述したダイヤモンド電極とマグネリ相チタンの特色に着目し、両者を的確に組合せることにより、各種電解に使用でき、従来技術では実現できなかった電解用電極を提供することを目的とする。
本発明は、少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材、及び該電極上に電極触媒として担持した導電性ダイヤモンドを含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極であり、前記電極触媒は導電性ダイヤモンド粉末及びマグネリ相酸化チタン粉末を混合担持したものでも良い。前記導電性ダイヤモンドは化学蒸着法により担持することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
高い酸化能力を有するダイヤモンド薄膜電極は、単体としては、厚さや価格の観点から工業用電極としては利用し難い。従って本発明では特に導電性ダイヤモンド粉末を電極触媒として使用し、他の材料と組合せて使用することにより、高い触媒能を有する電解用電極を提供する。或いはマグネリ相電極にCVD等により導電性ダイヤモンド膜を形成することも可能である。
本発明では前記他の材料として優れた耐久性や導電性を有するマグネリ相酸化チタンを電極基材として採用する。前述した通り、基材表面がマグネリ相酸化チタンで形成されていると、このマグネリ相酸化チタンは不可逆なTiO2の生成を行わず、基材表面に安定な酸化物層が形成されず、導電性の向上が達成できる。
更にこの基材は水素還元雰囲気に強いため、通常のCVD法によりダイヤモンドを直接析出させることができ、析出されたダイヤモンド粒子は基材表面に強固に保持され、長期間安定した操業を可能にする。
しかしこの基材表面にダイヤモンド粒子を含むスラリーを塗布後焼成して触媒であるダイヤモンド層を形成した電極ではマグネリ相酸化チタン基材とダイヤモンド粒子間の密着性が不十分で、電解中に基材表面のダイヤモンド粒子が脱落して電圧上昇を招くことが多い。
スラリー塗布と焼成によりダイヤモンド粒子を含む触媒層を形成する場合には、基材のマグネリ相酸化チタンと親和性のあるマグネリ相酸化チタンや他の酸化チタン粒子をダイヤモンド粒子とともに用いることが望ましい。
本発明の電解用電極は、廃水処理、機能水合成、無機、有機電解合成などの電気化学的な方法に使用できる。
本発明は、少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材、及び該電極上に電極触媒として担持した導電性ダイヤモンドを含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極である。
本発明の基材を構成するマグネリ相酸化チタンは基材表面に安定な酸化物層を形成させず、導電性の向上を達成する。更にこの基材は水素還元雰囲気に強いため、通常のCVD法によりダイヤモンドを直接析出させることができ、析出されたダイヤモンド粒子は基材表面に強固に保持され、長期間安定した操業を可能にする。
本発明のダイヤモンド電極は、図1から3に示す次の3態様を含む。
(1) 先にマグネリ相酸化チタン基材11を準備し、この基材11にダイヤモンド粉末12と酸化チタン(TiO2)粉末13の混合粉末のスラリーを塗布し、高温真空焼成を行って基材11上に触媒層14を形成する(図1)。
(2) 基材となるべき酸化チタン粉末21からなるスラリーを乾燥しプレスにより成型して基材22とする。次いでこの基材22表面に、ダイヤモンド粉末23と酸化チタン粉末21Aの混合粉末のスラリーを塗布する。前記基材22とこの混合スラリーとを同時に高温真空焼成して前記基材中の酸化チタン粉末21と混合粉末中の酸化チタン粉末21Aをマグネリ相酸化チタンに変換し、マグネリ相酸化チタン基材22表面にダイヤモンド粉末23とマグネリ相酸化チタン粉末21からなる混合粉末の触媒層24を形成する(図2)。
(3) 先にマグネリ相酸化チタン基材31を準備し、この基材表面にCVD法で導電性ダイヤモンド32を析出させる(図3)。
(1)及び(2)のスラリー塗布及び焼成は、公知のマグネリ相酸化チタンの製法を利用できる。即ち原料である1〜100μmの粒径の酸化チタン粉末又はマグネリ相酸化チタンに適当な溶媒(水、イソプロピルアルコール等)を加えて塗らした後、粘性を高め均一なスラリーを得るために、適切な溶媒(ポリエチレンオキシド、メチルセルロース等)を更に加えてこれらを混合する。
この粉末スラリーをプレス装置内に充填し、0.5〜100MPaの圧力で目的の形状及び空隙率に成型する。良好な成型ができる圧力範囲は10〜80MPa程度である。この際に300〜400℃に加熱して、溶媒をほぼ完全に分解しておくことが望ましい。その後徐々に昇温して温度950〜1250℃、好ましくは1000〜1200℃に加熱し、不活性雰囲気中、この温度で数時間から1日程度保持することで、Ti47に代表されるマグネリ相酸化チタンが生成する。
触媒層形成のためのダイヤモンド粉末と酸化チタン粉末/マグネリ相酸化チタン粉末の混合比率は、電極触媒の有効面積、焼結した触媒層中のダイヤモンド粉末の保持力等を考慮して決定され、体積比率で1:20から20:1とすることが好ましい。触媒層の厚さは電極価格や性能面を考慮して決定され、通常はダイヤモンド析出層及びダイヤモンド−酸化チタン混合層とも1〜100μmであることが好ましい。
マグネリ相酸化チタン用の焼成前の粒子は、酸化チタン粒子でもマグネリ相酸化チタン粒子でも良く、この時点で導電性である必要はない。マグネリ相酸化チタン粒子を使用する場合には、混合粉末の高温焼結の前後に水素や炭素を使用して還元操作を行うが、ダイヤモンドの酸化雰囲気の黒鉛化温度が約800℃であり、焼結温度がこの温度に達する場合には、不活性雰囲気での処理が必要になる。
前述した(3)の方法では、蒸着の前に基材表面を研磨すると密着性の向上に寄与できるため望ましい。研磨時にダイヤモンド粉末を核として基材表面に付与すると、均一なダイヤモンド層成長に効果的である。
ダイヤモンドは、超高圧或いは熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法及びPVD法などにより製造される。特にダイヤモンド粉末は、従来からの超高圧法やプラズマアークジェット法等により製造できるが、これらの方法には限定されない。
次に代表的なダイヤモンド製造法である熱フィラメント法について説明する。炭素源となるアルコール等の有機化合物を水素ガス等の還元雰囲気に保ち、フィラメントを炭素ラジカルが生成する温度1800−2400℃に加熱する。そして前記雰囲気内に、ダイヤモンドが析出する温度領域(750−950℃)になるように電極基材を配置する。このときの原料有機化合物の望ましい水素に対する濃度は0.1−10容量%、供給速度は反応容器のサイズにも依るが0.01−10リットル/分、圧力が15−760mmHgである。
ダイヤモンドの良好な導電性を得るためには、原子価の異なる元素を微量添加することが不可欠であり、ホウ素やリンの好ましい含有率は1−100000ppmであり、より好ましい含有率は100−10000ppmである。具体的な化合物としては、毒性の低い酸化ホウ素や五酸化二リンなどがある。
ダイヤモンド触媒を製造する際のCVD条件は、マグネリ相酸化チタンが安定であるように設定する。前記(3)の方法では、ダイヤモンドは水素雰囲気で合成されるため、ダイヤモンド合成時にはマグネリ相酸化チタンの化学変化はない。基本的に物理的膨張収縮のみであり、仮にダイヤモンド形成後に亀裂が生じても、基材はマグネリ相酸化チタンであり電解用電極として望ましい耐久性は保たれる。
超高圧法による導電性ダイヤモンド粉末を生成させる代表的な方法として次に述べるプロセスが可能である。つまり高結晶性黒鉛粉末と任意の配合量の結晶性ホウ素粉末の混合物或いは構造中にホウ素を含有する高結晶性黒鉛成形体と既知のダイヤモンド転換触媒(鉄、コバルト、ニッケルからなる合金が代表的な触媒である)を高圧装置に充填して圧力5〜6GPa(ギガパスカル)、温度1500〜1600℃に2〜15分程度保持して、原料黒鉛をダイヤモンドに変換させ、回収した生成物の金属成分を酸処理等で除去した後、ダイヤモンド粒子を粉砕分級すれば、容易に1〜5μm程度の導電性ダイヤモンド粉末が得られる。なお更に微粉末が必要な場合は、振動ミル等によって粉砕効率を高めれば1μm以下の微粉末が得られる。これらは後述する実施例中で述べる電極形成材料として使用することができる。
電極基材の形状は、粒子、繊維、板、穴明き板などが可能である。板状に成形する場合でも粉末が原料であるため、空孔率は適宜調整できる。基材からみると電解液の浸透を抑制する点から空孔率はできるだけ小さいことが好ましい一方、触媒層からみるとある程度の三次元的有効面積を有することが重要であることから空孔率は大きい方が望ましい。電極基材の好ましい空孔率は10〜90%である。
本発明の電極基材はマグネリ相酸化チタンであるが、少量の他の金属や金属酸化物が含有されていても良く、更にチタンやタンタル等の金属を基材に接合させると機械的な強度が向上し、また僅かな粒子の隙間から電解液が浸透することが防止できる。このときのマグネリ相酸化チタンの厚さは0.1〜10mmとすることが好ましい。
次に本発明に係る電解用電極製造の実施例及び比較例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
[実施例1]
マグネリ相酸化チタンを次のようにして製造した。
原料である酸化チタン粉末(粒子径:約1μm)に、水とイソプロピルアルコールを適量添加し、更にポリエチレンオキシドを添加し混合して、粘性のある均一なスラリーを得た。
このスラリーをプレス装置の容器内に充填し、20MPaの圧力で成型した。徐々に昇温し、温度1050℃で10時間シンタリングを行った後、水素ガスを導入し還元雰囲気に6時間保持して、Ti47を主成分とするマグネリ相酸化チタン板(厚さ2mm)を作製した。
この板を2分し、一方をそのまま基材とし、他方は粉砕して後述する触媒用とした。
次いで超高圧法により作製した、ホウ素3000ppmを含む導電性ダイヤモンド粉末を使用した。
このダイヤモンド粉末と前記マグネリ相酸化チタン粉末を組成比率1:1(体積比)となるように混合して水とイソプロピルアルコールを適量添加し、更にポリエチレンオキシドを添加し混合して、粘性のある均一なスラリーを得た。このスラリーを前記マグネリ相酸化チタン板上に展開し、更にプレス装置内にこの板を設置し、20MPaの圧力で成型した。徐々に昇温し、温度が1050℃になったところで、真空下(圧力:10-4Torr)で3時間シンタリングを行い、混合粉末触媒層を担持したマグネリ相酸化チタン板を得た。触媒層の厚さは50μmであった。
このマグネリ相酸化チタン板から面積1cm2の板を切り出して陽極とし、対極を面積1cm2のジルコニウム板とし、極間を1cmとして電解槽を組立てた。電解液を150g/リットルの硫酸、電解温度60℃、電流密度2A/cm2の条件で水電解を行ったところ、4500時間安定したセル電圧が維持され、長期期間の使用が可能であることが確認された。
[実施例2]
実施例1と同じ条件で作製したTi47を主成分とするマグネリ相酸化チタン板を一旦粉砕し、粉末とした。この粉末の一部に水とイソプロピルアルコールを適量添加し、更にポリエチレンオキシドを添加し混合して、粘性のある均一なスラリーを得た。
このスラリー(基材用)をプレス装置の容器内に充填した。
このスラリー上に、CVD法により作製したダイヤモンド粉末と残りのマグネリ相酸化チタン粉末の組成比を1:2(体積比)として実施例1と同様にして混合し、前記スラリー上に展開した。200kgf/cm2の圧力で成型した後、徐々に昇温し、温度が1050℃になったところで、真空下(圧力:10-4Torr)で10時間シンタリングを行った。これにより、マグネリ相酸化チタンを基材とし、導電性ダイヤモンドを酸化チタン上に焼結した電極を作製した。触媒層の厚さは50μmであった
このマグネリ相酸化チタン板から面積1cm2の板を切り出して陽極とし、実施例1と同一条件で電解を行ったところ、4500時間安定したセル電圧が維持され、長期期間の使用が可能であることが確認された。
[実施例3]
ダイヤモンド粉末とマグネリ相酸化チタン粉末の組成比率を1:1(体積比)とした混合粉末スラリーを調製し、高温焼結時の圧力を1MPa、焼結時間を24時間としたこと以外は、実施例1に従い、マグネリ相酸化チタンを基材とし、導電性ダイヤモンドを酸化チタン上に焼結した電極を作製した。
実施例1と同じ条件で電解を行ったところ、3500時間安定したセル電圧が維持され、長期期間の使用が可能であることが確認された。
[実施例4]
実施例1に従って作製したマグネリ相酸化チタン板を基材とし、この基材表面に次の条件でホットフィラメントCVD装置を用いて直接ダイヤモンドを析出させた。析出厚は約10μmであった。
別途準備したダイヤモンド微粒子(約3μm径)から成る研磨材を用いて、基材表面を研磨し、表面の活性化、平坦化及び核形成を行った後、該基材を熱フィラメントCVD装置に装着した。炭素源としてエチルアルコールを用い、これに酸化ホウ素1500ppmを溶解させておいた。
水素ガスを0.01リットル/分の速度で流し、一部は炭素源容器にバイパスさせ、水素に対するエチルアルコールガス濃度を1容量%とした。これらのガスを装置内に流しながらフィラメントに電流を流し、炭素ラジカルが発生する温度である1800〜2400℃に昇温した。フィラメント直下にある基材の温度を測定したところ800℃であった。
CVD操作を5時間継続した後、基材を取り出しラマン分光分析により分析したところ、ダイヤモンド層が析出していることを確認し、電子顕微鏡写真から厚さは10μmであった。実施例1と同じ条件で電解を行ったところ、4000時間安定したセル電圧が維持され、長期期間の使用が可能であることが確認された。
[比較例1]
マグネリ相酸化チタン基材に替えてシリコン基材を使用し、実施例2と同じダイヤモンドを前記シリコン基材表面に10μmの厚さまで形成し、実施例2等の同じ条件で電解を行ったところ、電解寿命は4000時間であり、実施例2とほぼ同等であった。
[比較例2]
マグネリ相酸化チタン基材に替えてニオブ基材を使用し、実施例2と同じダイヤモンドを前記ニオブ基材表面に10μmの厚さまで形成し、実施例2と同じ条件で電解を行ったところ、200時間後に電圧が急激に増加した。通電を停止し電極表面を観察したところ、ダイヤモンド層の剥離が進行し、基材は腐食していた。
[比較例3]
実施例1に従って作製したマグネリ相酸化チタン板を基材とし、この基材表面に、実施例1のダイヤモンド粉末のみからなるスラリーを展開し、実施例1と同一の条件で焼成してダイヤモンド電極を作製した。実施例1と異なりこの操作のみでダイヤモンド粉末を基材上に固着できたため、実施例1と同様の電解試験を実施したことろ、電解初期からダイヤモンド粉末が脱落し、電圧が急激に増加した。
本発明に係る電解用電極の一実施形態を示す縦断面図。 同じく他の実施形態を示す縦断面図。 同じく更に他の実施形態を示す縦断面図。
符号の説明
11 マグネリ相酸化チタン基材
12 ダイヤモンド粉末
13 酸化チタン粉末
14 触媒層
21、21A 酸化チタン粉末
22 基材
23 ダイヤモンド粉末
24 触媒層
31 マグネリ相酸化チタン基材
32 導電性ダイヤモンド

Claims (4)

  1. 少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材、及び該電極上に電極触媒として担持した導電性ダイヤモンドを含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極。
  2. 少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材、及び該電極上に電極触媒として混合担持した導電性ダイヤモンド粉末及びマグネリ相酸化チタン粉末を含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極。
  3. 導電性ダイヤモンド粉末とマグネリ相酸化チタン粉末の体積比が1:20から20:1である請求項2記載のダイヤモンド電極。
  4. 少なくともその表面がマグネリ相酸化チタンである電極基材、及び該電極上に電極触媒として化学蒸着法により担持した導電性ダイヤモンドを含んで成ることを特徴とする電解用ダイヤモンド電極。
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