JP2004331882A - エラストマー用水性接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】(i)式(1)
YR SiR 3−m …(1)
(Rは炭素数1〜8の一価炭化水素基、Rはアルコキシ基又はアシロキシ基、Yは窒素原子含有有機基、mは0又は1。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物、
(ii)式(2)
SiR 4−n …(2)
(Rは一価炭化水素基、硫黄原子含有有機基、又はアルケニル基含有有機基、Rはアルコキシ基又はアシロキシ基、nは0,1又は2。)で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物
を酸成分非存在下で加水分解し、副生するアルコールを除去することによって得られる有機ケイ素化合物を含有し、pHが8〜10であるエラストマー用水性接着剤組成物。
【効果】本発明は、エラストマー用の水性接着剤として有用で、エラストマーと各種基材との接着性に優れ、その保存安定性も高く、揮発性アルコール溶媒を含まないため、環境適応性にも優れ、金属基材などの腐食もない。
【選択図】 な し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エラストマーをセラミックス、ガラス或いは金属のような支持体へ接着させるのに有用なエラストマー用水性接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エラストマー材料、特にシラン系エラストマーを主成分とした材料を接着するために、多数のシラン接着剤組成物がこれまでに開発されてきた。これら接着剤組成物の多くは、有効接着剤として種々の有機官能性シラン組成物に依存している。その有機官能性シラン組成物の高有機性のために、従来のシラン接着剤組成物は、安定に使用できる溶液を調製するため有機溶媒、特に揮発性の高い低沸点のアルコール系溶媒に依存してきた。従来のシラン系接着剤組成物はこのようなアルコール系溶媒の外に少量の水を含有するものもあるが、安定な組成物を生成するのにはアルコール系溶媒が必須である。
【0003】
シラン系溶剤型接着剤組成物としては、不飽和シランとアミノアルキルシランの混合物が(特許文献1:米国特許第3,022,196号明細書)に記載されている。接着剤として利用するために、その混合物はアルコール系溶媒の共存下で溶液として調製される。その接着剤組成物は、アルコール系溶媒の外に少量の水も含有するけれども、かかる場合にはアルコール系溶媒が主である。
【0004】
シラン系溶剤型接着剤組成物の別の例が(特許文献2:米国特許第4,618,389号明細書)にアルケニルトリヒドロカルボノオキシシラン、アルコール系溶媒及び水の混合物として記載されている。
【0005】
このようなことを勘案して(特許文献3:特表平10−506657号公報)では、実質的に加水分解により発生するアルコール以外は全て水溶媒である、アミノシラン−アルケニルシラン系水性接着剤組成物を開示している。しかし、加水分解時に発生するエタノールのような低沸点の揮発性アルコールは特に除去することなく使用しているため、原液中に20〜30重量%含有している。これを薄めて使用はしているが、この場合でも10〜3%程度は揮発性のアルコールを含有することになってしまう。
【0006】
エタノールのような可燃性の揮発性水溶性液体が混入していると、組成物自体の引火点を低下させるため、組成物使用時に高価な防爆装置が必要となってしまう問題が発生する。更に揮発性ということから環境的にも好ましいとはいえない。
【0007】
また(特許文献4:特開2000−247984号公報)には、アミノシラン(及び/又はビスシリル型アミノシラン)、水、少量のアルコール、任意で酸成分からなるアミノシラン系の組成物が開示され、揮発性アルコールの含有量の規定(5重量%以下)がされているが、アミノシラン単独系ではエラストマー用接着剤に適用した場合、接着性が悪いという問題もあった。
【0008】
更に、上記特表平10−506657号公報、特開2000−247984号公報では、酸存在下で加水分解した方が、得られる組成物の水溶液の安定性が上がったり、pHを7〜4に調整するのに都合がよいという理由で酸触媒が使用されているが、基本的に金属に塗布するものであるため、やはり酸成分は使用しない方がよいと考えられる。
【0009】
以上のことを勘案すると、組成物中に揮発性のアルコール系溶媒を殆ど含まず、また酸成分も使用せず、基材への腐食がなくかつ水中で安定で、更にあらゆるエラストマーに対して良好な接着性を有する水性の接着剤組成物が現在必要となっている。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第3022196号明細書
【特許文献2】
米国特許第4618389号明細書
【特許文献3】
特表平10−506657号公報
【特許文献4】
特開2000−247984号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした要請に対応できる、即ち揮発性アルコールを殆ど含まず、金属基材に対しても腐食がなく、また各種エラストマーとの接着性に優れ、その水溶液安定性も良好な水性接着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の有機ケイ素化合物を接着有効成分とすることで優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、下記一般式(1)
YR SiR 3−m …(1)
(式中、Rは炭素数1〜8のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基、Yは窒素原子含有有機基であり、mは0又は1である。)で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、
下記一般式(2)
SiR 4−n …(2)
(式中、Rはハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基、硫黄原子含有有機基、又はアルケニル基含有有機基、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基、nは0,1又は2である。)で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物、特に硫黄原子含有有機基を含む加水分解性シラン及び/又はアルケニル基含有有機基を含む加水分解性シラン5〜200重量部との混合物を酸成分の非存在下、水中或いは加水分解に必要である以上の水を含む有機溶媒で加水分解し、発生するアルコールとともに有機溶媒をほぼ完全に溜去するという非常にシンプルな方法により、水溶液中で安定であり、実質的に揮発性のアルコール溶媒を含まない有機ケイ素化合物が得られること、そしてこれをエラストマー用水性接着剤として使用することにより、各種エラストマーとの接着性に優れ、酸成分も使用しないため金属腐食もない良好な水性接着剤組成物となることを見出した。また、この組成物は、式(2)のRとして硫黄原子含有有機基及び/又はアルケニル基含有有機基を含むシラン又はその部分加水分解物を用いた場合、その官能基の効果により、天然ゴム系のような硫黄硬化型エラストマーや、非硫黄硬化型(ポリオールや有機過酸化物による硬化)であるシリコーンゴムやニトリルブタジエンゴム、フルオロエラストマーなどのものにも良好な接着性を示すことが明らかとなったものである。
【0013】
従って、本発明は、上記式(1)の窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、上記式(2)の加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部とを酸成分非存在下で加水分解し、加水分解により副生するアルコールを除去することによって得られる有機ケイ素化合物を含有し、pHが8〜10であることを特徴とするエラストマー用水性接着剤組成物を提供する。
【0014】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のエラストマー用水性接着剤組成物を得るために用いる窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)は、系を水溶性及びアルカリ性にし、金属の腐食を防ぐために用いられる成分であり、下記一般式(1)で表されるもので、目的とする有機ケイ素化合物に水溶性及びアルカリ性を付与させるために、その1種又は2種以上を適宜選定して用いられる。また、その部分加水分解物を用いることもできる。
YR SiR 3−m …(1)
【0015】
ここで、Rは炭素数1〜8の窒素原子を含まないハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した例えばハロゲン化アルキル基などが挙げられる。具体的には、
−CH,−CHCH,−CHCHCH,−CH(CH,−CHCHCHCH,−CH(CH)CHCH,−CHCH(CH)CH,−C(CH,−C,−C13
などが例示される。
【0016】
また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基であり、具体的には、
−OCH,−OCHCH,−OCHCHCH,−OCH(CH,−OCHCHCHCH,−OCH(CH)CHCH,−OCHCH(CH)CH,−OC(CH,−OCOCH,−OCOCHCH
などが例示されるが、中でも−OCH,−OCが好ましい。
【0017】
Yは窒素原子含有有機基であり、具体的には、下記式で示されるものを挙げることができる。
NCH−,
H(CH)NCH−,
NCHCH−,
H(CH)NCHCH−,
NCHCHCH−,
H(CH)NCHCHCH−,
(CHNCHCHCH−,
NCHCHNHCHCHCH−,
H(CH)NCHCHNHCHCHCH−,
(CHNCHCHNHCHCHCH−,
NCHCHNHCHCHNHCHCHCH−,
H(CH)NCHCHNHCHCHNHCHCHCH−,
Cl(CHCHCHCH−,
Cl(CH(C−CH−)NCHCHCH−,
【0018】
【化1】
Figure 2004331882
【0019】
これらの中で以下のものが好ましい。
NCHCH−,
NCHCHNHCHCHCH
なお、mは0又は1である。
【0020】
上記式(1)の窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)としては、下記のものを例示することができる。
NCHSi(OCH
NCHSi(OCHCH
NCHSiCH(OCH
NCHSiCH(OCHCH
NCHCHSi(OCH
NCHCHSi(OCHCH
NCHCHSiCH(OCH
NCHCHSiCH(OCHCH
NCHCHCHSi(OCH
NCHCHCHSi(OCHCH
NCHCHCHSiCH(OCH
NCHCHCHSiCH(OCHCH
H(CH)NCHCHCHSi(OCH
H(CH)NCHCHCHSi(OCHCH
H(CH)NCHCHCHSiCH(OCH
H(CH)NCHCHCHSiCH(OCHCH
(CHNCHCHCHSi(OCH
(CHNCHCHCHSi(OCHCH
Cl(CHCHCHCHSi(OCH
Cl(CHCHCHCHSi(OCHCH
Cl(CH(C−CH−)NCHCHCHSi(OCH
Cl(CH(C−CH−)NCHCHCHSi(OC
NCHCHNHCHCHCHSi(OCH
NCHCHNHCHCHCHSi(OCHCH
NCHCHNHCHCHCHSiCH(OCH
NCHCHNHCHCHCHSiCH(OCHCH
NCHCHNHCHCHNHCHCHCHSi(OCH
NCHCHNHCHCHNHCHCHCHSi(OCHCH
NCHCHNHCHCHNHCHCHCHSiCH(OCH
NCHCHNHCHCHNHCHCHCHSiCH(OC
【0021】
【化2】
Figure 2004331882
【0022】
これらの中で特に好ましくは、
NCHCHSi(OCH
NCHCHSi(OCHCH
NCHCHNHCHCHCHSi(OCH
NCHCHNHCHCHCHSi(OCHCH
であり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。
【0023】
また、系のpHを下げるために成分(A)のアミノ基を以下の反応などにより、ブロックしてもよい。
【0024】
【化3】
Figure 2004331882
【0025】
ここで、Rは水素原子又はアルキル基である。Rは一価の有機基であり、特に限定されないが、具体例として、
−CHOH,−CHCHOH,−CHO(CHCHO)H,−CHOCH,−CHOC,−CHOCHCHCHSiR 3−n
(R,nは上記に同じ)などを挙げることができる。
【0026】
一方、上記加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物と混合して用いられる加水分解性シラン(B)を次に説明する。
【0027】
加水分解性シラン(B)は下記一般式(2)で表されるものである。
SiR 4−n …(2)
ここで、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基であり、具体的には、
−OCH,−OCHCH,−OCHCHCH,−OCH(CH,−OCHCHCHCH,−OCH(CH)CHCH,−OCHCH(CH)CH,−OC(CH,−OCOCH,−OCOCHCH
などが例示されるが、中でも−OCH、−OCが好ましい。なお、nは0,1又は2である。
【0028】
は、ハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基、硫黄原子含有有機基、又はアルケニル基含有有機基である。
ハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基としては、炭素数1〜8で、脂肪族不飽和結合を有さないアルキル基、アリール基、アラルキル基などや、これらのハロゲン置換体、例えばハロゲン化アルキル基などが挙げられ、具体的には、
−CH,−CHCH,−CHCHCH,−CH(CH,−CHCHCHCH,−CH(CH)CHCH,−CHCH(CH)CH,−C(CH,−(CHCH,−(CHCH,−C,−C11,−CHCHCHCl,−CHCHCF
などが挙げられる。
【0029】
この場合の加水分解性シラン(B)の具体例として下記のものを例示することができる。
Si(OCH
Si(OCHCH
CHSi(OCH
CHSi(OCHCH
(CHSi(OCH
(CHSi(OCHCH
CHCHCHSi(OCH
CHCHCHSi(OCHCH
CH(CHSi(OCH
CH(CHSi(OCHCH
CH(CHSi(OCH
CH(CHSi(OCHCH
CFCHCHSi(OCH
CFCHCHSi(OCHCH
ClCHCHCHSi(OCH
ClCHCHCHSi(OCHCH
Si(OCH
Si(OCHCH
11Si(OCH
11Si(OCHCH
【0030】
これらの中で特に好ましくは、
CHSi(OCH
CHSi(OCHCH
CHCHCHSi(OCH
CHCHCHSi(OCHCH
CH(CHSi(OCH
CH(CHSi(OCHCH
CFCHCHSi(OCH
CFCHCHSi(OCHCH
Si(OCH
Si(OCHCH
であり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。
【0031】
が硫黄原子含有有機基である場合は、炭素数1〜10、特に3〜8の一価炭化水素基、特にアルキル基の水素原子の一部をSH基に置換したもの或いは、
【0032】
【化4】
Figure 2004331882
【0033】
(但し、Rは上記と同じ、R3aは上記したハロゲン置換又は非置換の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、Rは、硫黄原子を1〜8個、特に1〜4個介在する炭素数3〜6のアルキレン基であり、とりわけ−CHCHCHCHCHCH−(p=1〜8、特に1〜4)であることが好ましい。)
を挙げることができる。具体的には、下記のものを挙げることができる。
HSCHCHCH−,
−CHCHCHSCHCHCH−,
−CHCHCHCHCHCH−,
−CHCHCHCHCHCH
【0034】
この場合の加水分解性シラン(B)の具体例として下記のものを例示することができる。
HSCHCHCHSi(OCH
HSCHCHCHSi(OCHCH
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCHSi(OCH
(CHCHO)SiCHCHCHSCHCHCHSi(OC
(CHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OCH
(CHCHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OC
(CHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OCH
(CHCHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OC
【0035】
これらの中で特に好ましくは、
HSCHCHCHSi(OCH
HSCHCHCHSi(OCHCH
(CHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OCH
(CHCHO)SiCHCHCHCHCHCHSi(OCであり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。これらは硫黄硬化型エラストマーとの接着性を持たせるものである。
【0036】
一方、Rがアルケニル基含有有機基である場合、これは炭素数2〜8であることが好ましく、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基のほか、COO基(エステル)、CO基(ケトン)が介在したアルケニレン基、例えば(メタ)アクリロイルオキシアルキル基等が挙げられ、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0037】
【化5】
Figure 2004331882
【0038】
この場合の加水分解性シラン(B)の具体例として、下記のものを例示することができる。
CH=CHSi(OCH
Si(OCH
Si(OCHCH
CH=CHSi(OCHCH
CH=CHCHSi(OCH
CH=CHCHSi(OCHCH
CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCH
CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCHCH
CH=CHCOOCHCHCHSi(OCH
CH=CHCOOCHCHCHSi(OCHCH
【0039】
これらの中で特に好ましくは、
CH=CHSi(OCH
Si(OCH
Si(OCHCH
CH=CHSi(OCHCH
CH=CHCHSi(OCH
CH=CHCHSi(OCHCH
CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCH
CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCHCH
CH=CHCOOCHCHCHSi(OCH
CH=CHCOOCHCHCHSi(OCHCH
及びこれらの部分加水分解物であり、これらはアルケニル基やアクリル基などの不飽和基により、エラストマーとの接着性を向上させるものである。
【0040】
上記窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物に式(2)の加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を混合して用いる場合、その配合比率は、窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部に対し加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物は5〜200重量部の割合で混合する。より好ましくは、加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物の量は20〜150重量部である。この時(B)が5重量部未満だと、接着性能が発現せず、200重量部を超えると水溶液安定性が悪化し、本発明の目的を達成し得ない。
【0041】
また、この時加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物中の硫黄原子含有有機基含有加水分解性シランの量は、加水分解性シラン又はその部分加水分解物100重量部に対して2〜100重量部である。100重量部より多いと水溶液安定性や水溶解性が悪化する場合がある。また、その量が2重量部より少ないと硫黄硬化型エラストマーとの接着性が悪くなる場合がある。更に、アルケニル基含有有機基含有加水分解性シランの量は加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部に対し2〜100重量部である。100重量部より多いと水溶液安定性や水溶解性が悪化する場合がある。また、その量が2重量部より少ないと非硫黄硬化型エラストマーとの接着性が悪くなる場合が生じる。
【0042】
上記加水分解性シラン(A)及び(B)又はそれらの部分加水分解物を用いて加水分解し、本発明の有機ケイ素化合物を得る場合、溶媒は主として水を使用する。この場合、必要に応じて、水と溶解する有機溶媒であるアルコール、エステル、ケトン、グリコール類を水に添加する形で用いることができるが、極力使用しない方が望ましい。有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、グリセリン、ジエチレングリコール等のグリコール類などを挙げることができる。
【0043】
また、この加水分解反応時、酸成分を全く加えずに反応させることが好ましい。酸成分を加えると接着剤用途に使用した場合、金属基材に対して腐食等の悪影響を及ぼすからである。
【0044】
溶媒の量は、原料シラン100重量部に対して400〜5000重量部が好ましい。更に好ましくは1000〜3000重量部である。溶媒の量が400重量部より少ないと反応が進行しすぎ、系が均一にならない場合がある。また液の保存安定性も悪くなる場合がある。一方、5000重量部より多いと経済的に不利な場合が生じる。
【0045】
また、溶媒中の水の量は、水/原料シランのモル比率で5〜50が好ましい。このモル比率が5より少ないと加水分解が完全に進行しにくく、液の安定性が悪化する場合がある。一方、50を超えると経済的に不利な場合が生じる。
【0046】
反応方法としては、(1)混合シランを水中或いは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下する方法、(2)混合シラン或いは有機溶剤含有混合シラン中に水を滴下する方法、(3)加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を水中或いは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下し、その後、窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物を滴下する方法、(4)窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物を水中或いは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下し、その後、加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を滴下する方法などが挙げられるが、有機ケイ素化合物の安定性の点から、特に(1)の反応方法が好ましい。なお反応終了後は、常圧下或いは減圧下で用いた有機溶媒及び加水分解により発生したアルコールをほぼ完全に除去することが重要である。特にそのアルコール含有量が3重量%以下であることが望ましい。特に好ましくは1重量%以下である。
【0047】
なお、得られた有機ケイ素化合物は水溶液の形で得られるが、必要に応じて、更に水を加えたり、除去したりして、有機ケイ素化合物100重量部に対して水10〜2000重量部、好ましくは10〜1000重量部の比率に調整することにより、有機ケイ素化合物溶液を形成することができる。この場合、水の量が10重量部より少ないと有機ケイ素化合物自体の保存安定性が悪化する場合がある。また、2000重量部より多いと有機ケイ素化合物を加える量が多くなってしまい、コスト的に好ましくない。
【0048】
本発明で得られる水性接着剤組成物は揮発性アルコールを実質的に含まないため、基材によっては均一に塗布できない場合もありうる。この様な場合には、レベリング性を向上する目的で沸点150℃以上で難揮発性のレベリング剤を添加することができる。このレベリング剤は大部分の水分が気化した後も被膜中に残存し、完全硬化するまで被膜に流動性を付与することにより、気化時に荒れた被膜の修復を行い、特に被膜に均一性を付与するものである。この場合、環境への影響を考え、レベリング剤は150℃以上、好ましくは150〜250℃、特に150〜200℃の沸点の難揮発性の有機溶剤であることが望ましい。具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオール類、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート等のエチレングリコール誘導体、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のプロピレングリコール誘導体、3−メトキシブチルアセタート等のブチレングリコール誘導体、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジブチルフタレート等のエステル類等を例示することができる。特に、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のアルキレングリコール誘導体がレベリング性の点から好ましい。添加量は水性接着剤組成物に対して5重量%以下であることが好ましい。5重量%を超えて添加すると、硬化終了後も被膜中に残存するレベリング剤(被膜形成助剤)の量が多くなるため、接着特性が不十分なものとなり好ましくない。なお、レベリング効果の点から該レベリング剤は0.1重量%以上添加することが好ましい。
【0049】
このようにして得られた有機ケイ素化合物は、保存安定性も高く、エラストマー用水性接着剤組成物の構成成分として加えても安定に存在することができ、揮発性のアルコールを実質的に含まないため、環境的にも好ましく、更には各種のエラストマーとの接着性、金属基材に対する腐食性がないなどの性能を付与することが可能である。
【0050】
また、本発明の接着剤組成物には、必要に応じて、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、可塑剤、充填剤、顔料、補強剤、造膜助剤、消泡剤、増粘防止剤、pH調整剤等を含む他の周知の添加物をこれら1種単独で又は2種以上組合せて添加することができる。
【0051】
本発明のエラストマー用水性接着剤組成物で金属、セラミック又はガラスのような表面へ接着するエラストマー材料としては、ポリクロロプレン、ポリブタジェン、ネオプレンゴム、スチレン−ブタジェンゴム、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、ニトリルブタジェンゴム等を含むオレフィン合成ゴム、および天然ゴムのような硫黄硬化型エラストマーや有機過酸化物−硬化(フリーラジカル的)、ポリオール(イオン的)−硬化またはジアミン−硬化である非硫黄硬化型エラストマーなど、あらゆるエラストマーを挙げることができる。なお、特殊エラストマーとして、過酸化物−硬化シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボンエラストマー、ポリホスファゼン、ニトリルブタジェンゴム;ポリオール−及び/又はジアミン−硬化フルオロエラストマー、せっけん−又は有機過酸化物−硬化ポリアクリレートエラストマーなども含むことができる。
【0052】
エラストマーが接着される表面は、接着剤を受けることができる金属、セラミック、ガラス、織物(ナイロン織物やブレード等)又はプラスチックのような固体表面にすることができるが、鉄、鋼、(ステンレス鋼を含む)、鉛、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、チタン、モネルメタル、ニッケル、亜鉛、リン酸処理鋼等のような普通構造用金属から選んだ金属表面が望ましい。
【0053】
上記のように、本発明のエラストマー用水性接着剤組成物は、エラストマー材料を金属表面に接着するのに利用することが特に望ましい。その組成物は、吹き付け、浸し塗り、刷毛塗り、浸漬塗り、塗り付け等によって金属表面に塗布して、その接着剤を乾燥させる。塗工された金属表面及びエラストマー材料は次に熱と圧力下で一緒にして接着操作を完了させる。金属とエラストマー材料の表面は通常約20〜170メガパスカル(MPa)の圧力下で一緒にされる。得られたゴム−金属アセンブリーは約100℃〜300℃、望ましくは約150℃〜170℃の温度に同時に加熱する。そのアセンブリーは、エラストマー材料の硬化速度および厚さに依存して、その印加した圧力及び温度下に約3分〜10分間そのまま保つ。このプロセスは、例えば、射出成形法のようにエラストマー材料を半溶融材料として金属表面に付加することによって実施することができる。その方法は圧縮成形、トランスファー成形又はオートクレーブ硬化法も含むし、技術的に既知の後硬化工程も含む。そのプロセスを完了後、接着層が完全に加硫されて、最終用途にいつでも使用できる。
【0054】
本発明のエラストマー用水性接着剤組成物は、あらゆるエラストマーを金属に接着させることができるが、本エラストマー用水性接着剤組成物はプライマーとして接着剤を受けることができる支持体の表面に塗布できる。従って、加熱したときに本発明の組成物が接着するオーバーコートを該組成物に上塗りすることができる。かかるオーバーコートは本質的に保護塗料または他の接着剤にすることができる。そのオーバーコートは、本発明の接着剤組成物によってそれ自身が充分に接着されない加硫中にエラストマーに結合させることができる。その金属への結合親和性のために、本接着剤は金属上の保護被膜としても役立つ。
【0055】
【実施例】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0056】
(1)有機ケイ素化合物の合成
[合成例1]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、HSCHCHCHSi(OCH39.2g(0.2mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から58℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−1を373g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.0%であり、pHは9.1であった。また残存メタノール量は0.7重量%であった。
【0057】
[合成例2]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CH=CHSi(OCH 29.6g(0.2mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から58℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−2を305g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.2%であり、pHは9.8であった。また残存メタノール量は0.8重量%であった。
【0058】
[合成例3]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、HSCHCHCHSi(OCH19.6g(0.1mol)及びCH=CHSi(OCH 14.8g(0.1mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から57℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−3を334g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.3%であり、pHは9.6であった。また残存メタノール量は0.9重量%であった。
【0059】
[合成例4]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CHSi(OCH 5.4g(0.04mol)、HSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)及びCH=CHSi(OCH 11.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から57℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−4を332g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.0%であり、pHは9.8であった。また残存メタノール量は0.8重量%であった。
【0060】
[合成例5]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CHCHCHSi(OCH 6.5g(0.04mol)、HSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)及びCH=CHSi(OCH 11.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、27℃から55℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温98℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−5を330g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.1%であり、pHは9.7であった。また残存メタノール量は0.9重量%であった。
【0061】
[合成例6]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CFCHCHSi(OCH 8.7g(0.04mol)、HSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)及びCH=CHSi(OCH 11.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、27℃から59℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温98℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−6を370g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.1%であり、pHは9.7であった。また残存メタノール量は1.0重量%であった。
【0062】
[合成例7]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CHSi(OCH 8.2g(0.06mol)、HSCHCHCHSi(OCH 23.5g(0.12mol)及びCH=CHSi(OCH 17.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から61℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−7を396g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.0%であり、pHは9.4であった。また残存メタノール量は0.7重量%であった。
【0063】
[合成例8]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CSi(OCH 4.0g(0.02mol)、CHSi(OCH 2.7g(0.02mol)、HSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)及びCH=CHSi(OCH 11.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、26℃から55℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−8を336g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.2%であり、pHは9.8であった。また残存メタノール量は0.9重量%であった。
【0064】
[合成例9]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH 44.4g(0.2mol)、CHSi(OCH 5.4g(0.04mol)及びHSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)を室温で10分間かけて滴下したところ、26℃から55℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。一旦室温にまで冷却し、ここにCH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCH 19.8g(0.08mol)を10分間かけて滴下した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−9を370g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.7%であり、pHは9.1であった。また残存メタノール量は0.7重量%であった。
【0065】
[合成例10]
撹拌機、温度計及び冷却器を備えた200mlの反応器に(CHO)SiCHCHCHNHCHCHNH 100g(0.45モル)を入れ撹拌混合しながら80℃に加熱した。そこに2,3−エポキシ−1−プロパノール 50.3g(0.68モル)を1時間かけて滴下した。更に80℃で5時間撹拌してアミノ基とエポキシ基の反応を行わせ、その後10mmHgの減圧下に80℃で低溜分を溜去して、アミノ基をブロックした下記構造をもつ加水分解性シランを得た。
【0066】
【化6】
Figure 2004331882
【0067】
次に、水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここに上記シラン59.2g(0.2mol)、CHSi(OCH 5.4g(0.04mol)、HSCHCHCHSi(OCH 15.7g(0.08mol)及びCH=CHSi(OCH 11.8g(0.08mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から57℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−10を430g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.0%であり、pHは8.1であった。また残存メタノール量は1.0重量%であった。
【0068】
[比較合成例11]
CH=CHSi(OCHCH 25g(0.13mol)、HNCHCHCHSi(OCHCH 25g(0.14mol)、水 40g(2.2mol)及び酢酸 10g(0.17mol)を密閉容器に入れ、室温下で30分間連続的に振とうし、僅かに濁ったpH5.5の有機ケイ素化合物−11を得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は19.8%であった。また残存エタノール量は32.8重量%であった。
【0069】
[比較合成例12]
水500g(27.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた1Lの反応器に入れ、撹拌した。ここにHNCHCHSi(OCH 192g(1.07mol)及び(CHO)Si(CHNH(CHSi(OCH 48g(0.14mol)を混合したものを室温で20分間かけて滴下したところ、25℃から50℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて50℃に保持し、そのまま3時間撹拌を行った。次に減圧蒸留装置を取り付け、内温40℃で、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物−12を487g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は30.0%であり、pHは10.9であった。また残存メタノール量は2.5重量%であった。
【0070】
[実施例及び比較例]
有機過酸化物エラストマーとしては、以下の配合処方のゴムを使用した。
〔配合例1〕シリコーンゴム
KE555U(信越化学工業社製品) 100重量部
ジクミルパーオキサイド 0.6重量部
〔配合例2〕フルオロシリコーンゴム
FE2611U(信越化学工業社製品) 100重量部
ジクミルパーオキサイド 0.6重量部
〔配合例3〕ニトリルブタジェンゴム
ニポールDN302(日本ゼオン社製品) 100重量部
FEFカーボンブラック 60重量部
亜鉛華 5重量部
ステアリン酸 1重量部
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン 1重量部
ジオクチルフタレート 5重量部
トリアリルイソシアヌレート 0.8重量部
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン 6重量部
【0071】
合成例、比較合成例で作成した有機ケイ素化合物を水で10%に希釈し、実施例1〜10及び比較例1,2ではそのままこれをエラストマー用水性接着剤組成物とした。また、実施例11〜13では有機ケイ素化合物を10%に水希釈したものに、レベリング剤として2−ブトキシエチルアセタートを2重量%となる量で添加したものをエラストマー用水性接着剤組成物とした。
【0072】
これらをサンドブラスト処理した軟鋼板上に刷毛塗り後、105℃で10分間乾燥し、前記エラストマー配合物1,2及び3と165℃で10分間加圧加硫を行った。得られた接着物について、JIS K−6301に従って90°剥離試験を行った。また接着後、剥離試験を行う前に、接着物を200℃の条件に2日間おき、上記と同様にして耐熱接着性を評価した。
【0073】
また、接着物を室温下10日間放置後の鋼板の錆発生等を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004331882
【0075】
【発明の効果】
本発明のエラストマー用水性接着剤組成物は、エラストマー用の水性接着剤として有用なもので、あらゆるエラストマーと各種基材との接着性に優れ、その保存安定性も非常に高く、揮発性アルコール溶媒を全く含まないため、環境適応性にも優れ、金属基材などの腐食もないという効果を有するものである。

Claims (6)

  1. (i)下記一般式(1)
    YR SiR 3−m …(1)
    (式中、Rは炭素数1〜8のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基、Yは窒素原子含有有機基であり、mは0又は1である。)で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、
    (ii)下記一般式(2)
    SiR 4−n …(2)
    (式中、Rはハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基、硫黄原子含有有機基、又はアルケニル基含有有機基、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシロキシ基、nは0,1又は2である。)で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部と
    を酸成分非存在下で加水分解し、加水分解により副生するアルコールを除去することによって得られる有機ケイ素化合物を含有し、pHが8〜10であることを特徴とするエラストマー用水性接着剤組成物。
  2. アルコール含有量が3重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のエラストマー用水性接着剤組成物。
  3. 加水分解性シラン(B)のRが、硫黄原子含有有機基である加水分解性シラン及び/又はRが炭素数1〜8のアルケニル基含有有機基である加水分解性シランであることを特徴とする請求項1又は2記載のエラストマー用水性接着剤組成物。
  4. 加水分解性シラン(B)が、
    HSCHCHCHSi(OCH
    HSCHCHCHSi(OCHCH 又は
    (CHCHO)SiCHCHCHSCHCHCHSi(OCHCH
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のエラストマー用水性接着剤組成物。
  5. 加水分解性シラン(B)が、
    CH=CHSi(OCH
    CH=CHSi(OCHCH
    CH=CHCHSi(OCH
    CH=CHCHSi(OCHCH
    CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCH
    CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCHCH
    CH=CHCOOCHCHCHSi(OCH 又は
    CH=CHCOOCHCHCHSi(OCHCH
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のエラストマー用水性接着剤組成物。
  6. レベリング剤として沸点150℃以上の難揮発性の有機溶剤を5重量%以下の量で含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のエラストマー用水性接着剤組成物。
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