JP2004331831A - ブレードラバー - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレードラバーを構成するシリコーンゴム製のブレードラバーとウィンドシールドガラス面との払拭作動時における摩擦を、ビビリや異音が発生しない程度に低下させ、ブレードラバーのエッジ部に施す表面コーティング層に起因する払拭性能を安定化させる。
【解決手段】ブレードラバーの基材に使用するシリコーンゴム架橋物にシリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部のけいそう土を含有させ、ブレードラバーのエッジ部に設ける表面コーティング層を、ウォーレス硬度が30〜60のシリコーン系バインダーと、平均粒径5〜40μmのグラファイトを含有し、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と規定したコーティング剤で形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】ブレードラバーの基材に使用するシリコーンゴム架橋物にシリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部のけいそう土を含有させ、ブレードラバーのエッジ部に設ける表面コーティング層を、ウォーレス硬度が30〜60のシリコーン系バインダーと、平均粒径5〜40μmのグラファイトを含有し、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と規定したコーティング剤で形成する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水処理が施されたウィンドシールドガラス面の雨水等の払拭用に用いるブレードラバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、降雨時の視認性向上を目的として、ガラス面にシリコーン被膜による撥水処理を施したウィンドシールドガラスが、自動車等の交通機関のフロントウィンドシールドガラス等に使用されている。かかるウィンドシールドガラス用のワイパー機構に使用されるブレードラバーとしては、シリコーンゴムを基材としたブレードラバーのエッジ部に、表面コーティング層を設けた構成が提案されている。
【0003】
かかる構成では、エッジ部の表面コーティング層により、払拭作動時の摩擦を低くし、かかる表面コーティング層を設けない構成に比べて、ビビリや異音の発生を抑制している。
【0004】
また、ブレードラバーの基材をシリコーンゴムとしているため、表面コーティング層が消失しても、基材のシリコーンゴムから低分子シリコーン化合物が滲み出して、払拭作動時におけるウィンドシールドガラス面からのシリコーン被膜の剥がれを補償することができる。
【0005】
そのため、上記構成のブレードラバーは、基材がNR、CR、SBR、BR系のジエン系ゴム材にハロゲン処理を施したそれまでの構成のブレードラバーとは異なり、表面コーティング層消失時のウィンドシールドガラスの撥水処理効果の短寿命化を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、基材にシリコーンゴムを使用し、且つ、エッジ部に表面コーティング層を設けるブレードラバーの構成は、それまでのハロゲン処理を施したジエン系ゴムを基材として採用する場合に比べて、ウィンドシールドガラスの払拭性に優れた効果を有している。
【0007】
しかし、エッジ部の上記表面コーティング層に関しては、同じ化学的組成のコーティング剤を使用しても、拭き性能の良いものと、拭き性能の悪いものが発生する場合がある。すなわち、同じ化学的組成のコーティング剤を使用しているにもかかわらず、拭き性能の安定性が得られないのである。
【0008】
さらに、表面コーティング層が消失した場合についても次のような問題点がある。すなわち、表面コーティング層の消失により、基材のシリコーンゴムが表出することとなるが、上記従来構成では、かかるシリコーンゴムとウィンドシールドガラス面との払拭作動時の摩擦が大きく、ビビリや異音の発生に繋がる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ブレードラバーを構成するシリコーンゴムとウィンドシールドガラス面との払拭作動時における摩擦を、ビビリや異音が発生しない程度に低下させることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ブレードラバーのエッジ部に施す表面コーティング層に基づく払拭性能を安定化させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、払拭作動時にウィンドシールドガラスと接触するエッジ部に表面コーティング層を有するシリコーンゴム架橋物よりなるブレードラバーであって、前記シリコーンゴム架橋物は、シリコーンポリマー100重量部に対してけいそう土を10〜50重量部有し、前記表面コーティング層は、シリコーン系バインダーとグラファイトとを有するコーティング剤により形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成において、前記シリコーン系バインダーは、ウォーレス硬度が30〜60であり、前記グラファイトは、平均粒径が5〜40μmであり、前記グラファイトの前記シリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)が0.6〜1.2であることを特徴とする。さらに、かかる構成において、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)が0.03〜0.5であることを特徴とする。
【0013】
上記いずれかの構成において、前記シリコーンゴム架橋物には、シリコーンポリマー100重量部に対して、20重量部以下の撥水剤を含むようにしてもよい。
【0014】
本発明のブレードラバーでは、以上述べた構成の如く、使用するシリコーンゴム架橋物には、シリコーンポリマー100重量部に対して、けいそう土が10〜50重量部配合されているため、ブレードラバーのエッジ部に設けた表面コーティング層が消失した場合でも、払拭作動時のビビリや異音を防止することができる。
【0015】
けいそう土の配合量をシリコーンポリマー100重量部に対して、10重量部未満とすると、表面コーティング層消失時の払拭作動時の低摩擦化は十分に達成できず、ビビリによるワイパーの作動不良や異音などが発生する場合が見られる。一方、50重量部を越える場合には、拭き残しなどの払拭不良や基材のシリコーンゴムの機械的強度が低下する場合が見られる。
【0016】
そこで、けいそう土の配合量の最適範囲を、シリコーンポリマー100重量部に対して、10重量部以上、50重量部以下の範囲と設定した。
【0017】
本発明者は、表面コーティング層の払拭安定性に及ぼす影響を実験により詳細に検討した結果、コーティング剤の組成そのものの影響もさることながら、コーティング剤を構成する材料の物理的性状にも大きく影響されることを見出した。
【0018】
特に、コーティング剤を構成する材料のうちシリコーン系バインダーと減摩剤として添加されるグラファイトの物理的性状をある一定の範囲に収めることにより、従来構成とは異なり、同じ化学的組成のコーティング剤であっても拭き性能が良好な場合と、悪い場合とが発生するという不安定性を解消し、安定した拭き性能が得られることを実験により見出した。
【0019】
シリコーン系バインダーにおいては、その硬度が重要であり、ウォーレス硬度(Hw)が30未満では、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、60を越えても拭き残しが発生する為に好ましくない。そこで、ウォーレス硬度を30以上、60以下に設定した。
【0020】
グラファイトの平均粒径(D)は、5μm未満では、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、40μmを越えると拭き残しが発生する為に好ましくない。そこで、グラファイトの平均粒径は、5μm以上、40μm以下が好ましいと判断した。
【0021】
さらに、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度と、グラファイトの平均粒径とを個々独立に制御しても十分ではなく、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比をもある一定の範囲に設定することが好ましいことを見出した。因みに、Pは減摩剤を、Bはバインダーを指している。
【0022】
すなわち、P/Bが0.6未満の場合には、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、1.2を越えると拭き残しが発生する為に好ましくなかった。そこで、かかるP/B比を0.6以上、1.2以下に設定した。
【0023】
このようにシリコーンバインダーの硬度、グラファイトの平均粒径、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比を、それぞれ上記範囲に設定することにより、初期および5万回払拭作動させた後(耐久後)の拭き性能の維持、ビビリの発生防止を共に満足させることができる。
【0024】
すなわち、かかる条件設定を行うことで、良好な拭き性能と払拭作動時にビビリを発生させない表面コーティング層を形成するためのシリコーン系バインダーとグラファイトとにおけるウォーレス硬度、平均粒径、P/B比の組合せの選択が行える。かかる条件の範囲内で選択した組合せは、良好な拭き性能と払拭作動時にビビリを発生させない表面コーティング層の形成に有効な組合せであった。
【0025】
すなわち、前記条件設定の範囲で選択した組合せの有効性は、実験の範囲では、実際上のコーティング剤の組成決定に際して上記条件設定の使用が有効であることを示していた。
【0026】
一方、多数の実験を行うなかで、ごく希に、上記設定範囲を満足するシリコーンバインダーの硬度と、グラファイトの平均粒径と、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比との組合せにおいても、初期および耐久後の拭き性能、ビビリの発生防止を共に満足させるという点で、十分ではない組合せが発生することに気がついた。
【0027】
そこで、かかる例外的組合せをも十分に排除できる条件設定はできないかと考えた。
【0028】
多数の実験結果を考察する中で、シリコーン系バインダーの硬度、グラファイトの平均粒径、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比のそれぞれを上記範囲に設定すると共に、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03以上、0.5以下に設定すれば、上記の十分ではない場合を排除することができることを見出した。
【0029】
すなわち、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)が0.03未満、あるいは0.5を越える場合には、初期および耐久後の拭き性能、ビビリ、異音の発生防止を共に満足させることができないのである。上記式を、以下、簡単に評価式と呼ぶ場合がある。
【0030】
一方、ブレードラバーの基材として使用するシリコーンゴム架橋物では、シリコーンポリマー100重量部に対して、20重量部以下の撥水剤を含ませておけば、かかる撥水剤を含ませない場合に比べて、ウィンドシールドガラス面の撥水処理効果を長期に維持することができる。
【0031】
さらには、かかる撥水剤をシリコーンゴム架橋物に含ませておくことにより、撥水処理を施していない普通のガラス面に対しての撥水処理効果を付与することもできる。
【0032】
撥水剤を含ませない構成であっても、シリコーンゴム架橋物からは低分子シリコーン化合物が滲み出してくるため、シリコーンゴム架橋物を基材としないワイパーブレードと比べれば、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持は優れている。
【0033】
しかし、本発明では、撥水剤を積極的にワイパーブレードを構成する基材に加えることで、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の長期維持を積極的に促進させることができる。
【0034】
かかる撥水剤の配合量に関しては、シリコーンポリマー100重量部に対して20重量部を越える場合には、コーティングの密着性が低下する点で好ましくない。
【0035】
一方、配合量が0重量部の場合には、意識的に低分子シリコーン化合物の撥水剤を添加しない場合に相当するため、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持はワイパーブレードを構成するシリコーンゴム架橋物に含まれる低分子シリコーン成分に基づく効果を期待することとなるが、かかる低分子シリコーン化合物は、元々は未反応残余低分子シリコーン成分として含有されているものであるため、配合比、製造条件等により含有量は一定せず、さらに含有量の把握も難しい。
【0036】
そのため、含有量の把握が難しく、且つその量も一定でない低分子シリコーン化合物によるウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持を有効に管理することは実質的には行えない。すなわち、これは品質管理の埒外の問題であり、積極的に製品としてその効果を掲げることは憚られる。
【0037】
そこで、撥水剤を積極的に添加することにより、撥水処理効果の管理を行うことを本発明者は考えた。すなわち、撥水剤の配合量を0重量部を越えて、20重量部以下に設定すればよい。
【0038】
より好ましくは、撥水剤を添加しないとした場合にウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持に寄与する残余の低分子シリコーン成分の平均含有量より十分に多い配合量を下限としておけば、かかる残余低分子シリコーン成分の影響を無視して、添加した撥水剤の配合量により撥水処理効果の維持効果を予測し管理することができて好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のブレードラバーを自動車用のウィンドシールドガラス払拭用のワイパー機構に適用する構成とした場合を示す斜視図である。図2(A)〜(C)は、ブレードラバーの製造方法、表面コーティング層の形成方法の主な手順を示した説明図である。
【0040】
本発明のブレードラバー1は、図1に示すように、例えば、自動車のフロントおよびリアのウィンドシールドガラスのガラス面払拭用に用いる長尺状のブレードに形成された構成になっている。
【0041】
ブレードラバー1は、ワイパーブレード側のバーテブラを取り付けるための取付溝部2と、セカンダリレバーの把持部およびヨークの把持部が係合する把持溝部3と、ネック部4、ショルダ部5と、ウィンドシールドガラス面を払拭するリップ部6とが一体に形成されている。
【0042】
ブレードラバー1のエッジ部7に、表面コーティング層8が設けられている。表面コーティング層8は、エッジ部7から、リップ部6に沿って、ワイパーの払拭作動時に、ウィンドシールドガラス面に接触する範囲に亙って帯状に設けられている。図中、網かけ表示で示した。
【0043】
かかる構成のブレードラバー1は、シリコーンポリマー100重量部に対して少なくともけいそう土を10〜50重量部を配合したシリコーンゴム架橋物により形成されている。かかるシリコーンゴムの未架橋物の配合は、上記けいそう土以外にも、架橋剤を必須の添加剤として配合構成されている。
【0044】
かかる配合成分からなるシリコーンゴムの未架橋物を、成形型でブレード状に架橋成形することにより、ブレードラバー1を製造することができる。製造に際しては、先ず、上記組成のシリコーンゴム未架橋物を所定形状の成形型に入れ、例えば、図2(A)に示すような、2本のブレードラバー1がリップ部6で接続したタンデムブレードラバーに架橋成形する。
【0045】
その状態で、図2(B)に示すように、2本のブレードラバー1のリップ部6に沿って、所定範囲に亙って帯状にコーティング剤を塗布して、表面コーティング層8を設ける。図中、表面コーティング層8は、分かりやすいように層厚等を誇張して表示した。
【0046】
表面コーティング層8を設けた段階で、リップ部6を図2(B)に示す切断面で切断し、図2(C)に示すように、ブレードラバー1をそれぞれに分離する。分離することにより、リップ部6のエッジ部7に表面コーティング層8が形成された状態のブレードラバー1を製造することができる。
【0047】
表面コーティング層8は、後記する組成のコーティング剤を、図2(B)に示すように、リップ部6に沿って所定層厚で帯状に塗布することにより形成されるが、塗布に際しては、例えば、スプレーにより塗布すればよい。しかし、一様に塗布することができれば、スプレー以外の方法を用いてよく、例えば、刷毛塗りまたは、ディッピング(浸漬法)のような塗布手段を使用してもよい。
【0048】
ブレードラバー1の表面コーティング層8は、少なくとも、ウィンドシールドガラス面に接触するエッジ部に塗布し、塗布後は、乾燥硬化して形成する。
【0049】
かかる構成のブレードラバー1では、撥水処理を施したウィンドシールドガラス面に対して、払拭作動時には表面コーティング層8が接触するため、低摩擦で作動し、ビビリや異音の発生がなく、良好なワイパー性能を示す。
【0050】
また、長時間使用により、表面コーティング層8が消失して、ブレードラバー1のシリコーンゴム架橋物が直接ウィンドシールドガラス面に接触するようになっても、シリコーンゴム架橋物にはけいそう土が、シリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部含まれているため、払拭作動時の摩擦抵抗が低く抑えられて、けいそう土を上記範囲で含まない構成とは異なり、ビビリ、異音の発生がない。
【0051】
表面コーティング層8に使用するコーティング剤としては、コーティング剤に含まれるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度を30〜60に設定し、減摩剤として含むグラファイトの平均粒径を5〜40μmに設定し、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と設定すればよい。
【0052】
コーティング剤のシリコーンバインダー、グラファイトをそれぞれ上記範囲に設定しておけば、エッジ部7に設けられる表面コーティング層8の形成状態が、ウォーレス硬度、平均粒径、P/B比で規定されることとなり、かかる規定を行わない場合とは異なり、同一化学組成のコーティング剤を使用するにもかかわらず拭き性能に関して良品、不良品が発生する等の不安定化の問題点の解消が図れる。
【0053】
すなわち、同一化学組成のコーティング剤を使用する限り、拭き性能のバラツキが所要の許容範囲内に収め得る安定した拭き性能を確保することができる。
【0054】
このように、けいそう土を前記所定量配合したシリコーンゴム架橋物で形成したブレードラバー1のエッジ部7に、ウォーレス硬度、平均粒径、P/B比で規制したシリコーン系バインダー、グラファイトを有するコーティング剤で表面コーティング層8を設けることにより、使用当初から、5万回の払拭作動経過後まで、ブレードラバー1の拭き性能の維持、ビビリ、異音の発生防止を共に満足することができる。
【0055】
さらに、シリコーン系バインダーを上記ウォーレス硬度範囲に設定し、グラファイトの平均粒径を上記範囲に設定し、P/B比を上記範囲に設定すると共に、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)で示される評価式を、を0.03以上、0.5以下に設定すれば、より確実に上記効果を満足させることができる。
【0056】
また、上記ブレードラバーを構成するシリコーンゴム架橋物に、撥水効果を持つ配合剤、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フロロアルキルシロキサンなどの低分子シリコーン化合物の1種類を、シリコーンポリマー100重量部に対して20重量部以下で含有させれば、ブレードラバーの払拭作動に際して、ブレードラバーから滲み出した撥水剤をウィンドシールドガラス面に塗り付けることとなり、ウィンドシールドガラスの払拭に際して剥離させられる撥水剤を補償することができ、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の長期間の維持が図れる。
【0057】
シリコーンゴム架橋物に撥水剤を添加した構成のブレードラバーを通常ガラス面に対して使用すれば、払拭作動時に通常のガラス面に、ブレードラバーから滲み出した撥水剤を塗布することとなり、通常ガラス面に撥水処理効果を付与することもできる。
【0058】
なお、図1に示す場合には、本発明のワイパーブレードを自動車用に構成した場合を例に挙げて示しているが、本発明のワイパーブレードはその適用対象を自動車用に限定する必要はない。
【0059】
例えば、自動車以外にも、船舶、飛行機、電車などの交通機関の窓などのウィンドシールドガラス面側のワイパー機構に装着され、ウィンドシールドガラス面に付着した、例えば、雨水、泥水、雪、みぞれ、埃などの窓面からの視界不良を生起する付着物質を払拭して取り除き、良好な運転視界を確保するためのワイパーブレードに適用することができる。
【0060】
さらには、上記交通機関以外でも、例えば、建築物の窓面の払拭用のブレードラバーとして使用してもよい。要は、ウィンドシールドガラスのガラス面の付着物を除去する実質的機能を有するブレードラバーには、その種類を問わず適用することができる。
【0061】
また、かかるブレードラバーの払拭作動の駆動方式としては、特段限定する必要はなく、どのような駆動方式であっても構わない。一般的には、モータ駆動のワイパー機構を想定することができるが、例えば、手に持って払拭する構成の駆動方式でも適用可能であることは云うまでもない。
【0062】
上記説明のブレードラバーの有効性を以下の実施例で、実験により検証した。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、ブレードラバー1のエッジ部7に設ける表面コーティング層8は、次のような成分配合を有するコーティング剤により形成されている。
【0064】
実験に際しては、化学的組成を同一に設定した上で、シリコーン系バインダーの硬度を、ウォーレス硬度で25、30、45、60、65と変化させ、P/B比を0.9、グラファイトを使用した場合の減摩剤の平均粒径を24μmと一定にしたコーティング剤を調製し、かかるコーティング剤を用いて、ブレードラバー1のエッジ部7に表面コーティング層8を形成した。すなわち、5種の表面コーティング層8を有するブレードラバーを実験用に作成した。
【0065】
シリコーン系バインダーの硬度は、テストシートのIRHD(ウォーレス硬度)を測定した。シート形成は、コーティング配合中のバインダー成分のみを溶剤に溶解し、乾燥硬化して厚さ約2mmのシート状に成形して得た。
【0066】
実験は、前記説明の5種のブレードラバー1を、実際の車両のワイパー機構に装着して払拭作動を行わせて、拭き性能、ビビリの発生についてその効果を検証した。払拭作動は、低速で連続的に行わせ、ワイパーシステムは、実験に使用した車両の基準に従った押し付け圧力、全長、断面形状とした。ワイパーの作動は、運転席側、助手席側の一方のワイパーのみ作動させ、片側毎に評価した。
【0067】
効果の検証に際して、拭き性能試験は、連続散水状態で行った。連続散水状態とは、ウィンドシールドガラス面に、約100〜500mlの水を払拭面全体に満遍なく散布するようにして散水した状態を云う。
【0068】
評価は、図3(A)に示す基準に基づき、室内側から観察された払拭状況に照らして、点数表示で行った。
【0069】
ビビリ発生の有無の試験は、拭き性能試験と同様に行った。但し、ワイパーの作動は、運転席および助手席側のワイパーを同時作動させた。ビビリの評価は、図3(B)に示す基準に従った。
【0070】
評価結果を、図4に示した。なお、評価に際して「初期」とは、ブレードラバーを装着して試験開始状態での初期評価を示し、「耐久」とは、5万回払拭作動直後の評価を示している。
【0071】
図4では、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度を25、30、45、60、65にそれぞれ設定した場合を、それぞれの硬度に対応させて実験No.1〜5で示している。
【0072】
実験No.1〜5においては、拭き性能、ビビリともに、ウォーレス硬度が30〜60で良好な結果が得られることが確認された。
【0073】
図5(A)、(B)には、バインダー硬度と拭き性能、ビビリとの関係を、それぞれグラフにして示した。拭き性能、ビビリの評価に際しては、ブレードラバー評価の分野で一般的に使用されている基準に照らして、拭き性能、ビビリについて、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0074】
かかる合格基準点に双方とも合格点を満たしているものを図4の総合判定の欄で○で示した。いずれか一方、あるいは双方とも合格点を満たしていない場合には、評価をNGとして×で示した。NG評価に対応する各欄には分かりやすいように*印を付記した。
【0075】
一方、バインダーのウォーレス硬度を45に設定して、P/B比のみ0.3〜1.5まで0.3、0.6、0.9、1.2、1.5と5点変化させ(実験No.6〜10に対応)、その拭き性能、ビビリについてP/B比の影響を検証した。その結果は、図4に示すように、0.6〜1.2であれば、良好な結果が得られることが確認された。
【0076】
図6(A)、(B)には、減摩剤の平均粒径と拭き性能、ビビリとの関係について、それぞれグラフで示した。拭き性能、ビビリの評価は、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0077】
次に、減摩剤の平均粒径の影響を調べた。すなわち、ウォーレス硬度を45とし、P/B比を0.9に設定した状態で、減摩剤の平均粒径を1μm、5μm、24μm、40μm、45μmと1〜45μmまで変化させ(実験No.11〜15に対応)て、拭き性能、ビビリの発生について検証した。この結果、5〜40μmで良好な結果が得られることが確認された。
【0078】
図7(A)、(B)には、P/B比と拭き性能、ビビリとの関係をグラフで示した。拭き性能、ビビリの評価は、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0079】
図4の結果から、シリコーン系バインダーは、ウォーレス硬度が30〜60で、前記グラファイトは、平均粒径が5〜40μmで、前記グラファイトと前記シリコーン系バインダーとのP/B比が0.6〜1.2であれば良好な結果が得られることが分かる。
【0080】
なお、図4では、「式の結果」の欄では、前記評価式により算出された値を示している。さらに、「バインダー硬度」、「P/B比」、「減摩剤平均粒径」の表示欄上方には、個々の実験No.に対応させた変化点、および適性設定範囲をそれぞれ示した。「式の結果」の欄上方にも、0.03〜0.5として適性範囲を示し、かかる範囲から外れたものについては該当欄にレ印を付した。
【0081】
(実施例2)
本発明者は、上記実施例1に示す実験を行うなか、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比のいずれをも満足する組合せでも、拭き性能、ビビリの双方とも満足する結果が得られない場合があることを見出した。
【0082】
そこで、拭き性能、ビビリの双方の評価観点において、合格点以上の評価が得られるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比の組合せを確実に選択できるようにするにはどうしたら良いか考えた。前記設定条件でもコーティング剤の組成決定に際しては、殆ど支障が発生しないが、より厳密には、かかる例外ケースをも考慮した設定条件が求められる。
【0083】
そこで、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比をファクターとして有する種々の実験式を考案し、各々の実験式について、バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比の実験値を入れて、実験結果に適合する結果が得られる式を求めた。
【0084】
かかる式は、本発明に関わる実験により初めて求められたものであり、公知のデータから容易に算出し得るものではなかった。また、かかる評価式に関しては、公知の知見は一切なく、本発明者により初めて提案されたものである。
【0085】
すなわち、かかる実験式は、(ウォーレス硬度)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径)で示される。
【0086】
かかる評価式は、個々のファクターにそのままの数値を代入して算出される数値の桁が大きくなるため、例えば、扱い易い桁となるように、個々の因子の数値を小さくする式変形を行ってもよい。
【0087】
例えば、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)のような等価変形を行っても構わない。かかる式では、ウォーレス硬度の数値を100で、グラファイトの平均粒径を40で割ることにより、それぞれ数値の桁を小さくする処理を行っている。
【0088】
かかる式の有効性については、図8に示す実験No.16〜48までの結果から容易に確認できる。
【0089】
実験No.16〜22、42〜48では、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の少なくともいずれか1つが、バインダー硬度(ウォーレス硬度)で30〜60、グラファイトの平均粒径で5〜40μm、P/B比で0.6〜1.2で示される適性範囲内に入っていない場合を示す。この場合には、勿論総合評価は×であり、且つ、評価式も0.03〜0.5の範囲外にある。実験No.16〜22の場合には、全て0.5より大きく、実験No.42〜48の場合には全て0.03より小さい値を示している。
【0090】
実験No.23〜29、35〜41の場合にも、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の少なくともいずれか1つが各々の上記適性範囲内に入っておらず、総合評価が×である。評価式の値は、実験No.41を除いて、全て0.03〜0.5の範囲内に入っている。
【0091】
実験No.30〜34の場合には、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比のいずれもが、前記図4に沿って検証した上記各々の適性範囲内に入っている場合を示す。
【0092】
但し、実験No.30、34は、総合評価が×の場合を示しており、この場合の評価式の値は、0.03〜0.5の範囲外となっている。実験No.31〜33は、総合評価が○で、且つ、評価式の値が0.03〜0.5の範囲に入っている。
【0093】
バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比のいずれもが前記図4に沿って検証した各々の適性範囲内に入っている場合であっても、実験No.30、34に例示するように、総合評価が○とならない場合があり、かかる不適切な組合せを除外するためには、さらに評価式の値が0.03〜0.5の範囲を満足するか否かの判断が必要であることが分かる。
【0094】
かかる結果から、本発明で見出した実験式としての評価式は、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の適切な組合せを選択する上で、有効であることが確認される。
【0095】
すなわち、シリコーン系バインダーの配合においては、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比を、前記図4に沿って説明したように、バインダー硬度(ウォーレス硬度)で30〜60、グラファイトの平均粒径で5〜40μm、P/B比で0.6〜1.2で示される適性範囲内に入るように選択することが必要で、より精度を高めて実験No.30、34に例示されるような例外を省くためには、さらに評価式に基づく判断を加えればよいことが確認される。
【0096】
(実施例3)
本実施例では、シリコーンゴム架橋物におけるけいそう土添加の効果について実験に基づき検証した。
【0097】
実験に際しては、シリコーンゴム架橋物の配合を、シリコーンポリマー100重量部に対して、けいそう土を10重量部、30重量部、50重量部と変化させ、各々の場合を実験No.49、50、51として示し、図9に示すように、その評価を行った。
【0098】
併せて、けいそう土の含有量をシリコーンポリマー100重量部に対して、0重量部、5重量部、60重量部と変化させ、その場合を比較実験No.1、2、3として、その評価を行った。
【0099】
図9からは、実験No.49〜51、比較実験No.1〜3までの結果を比較対照することにより、けいそう土が10〜50重量部含まれていれば、ビビリ、異音の発生が十分に抑制されることが分かる。
【0100】
一方、けいそう土を全く含まない場合、5重量部含む場合、60重量部と大量に含む場合のそれぞれについてその効果を比較実験で検証したが、ビビリ、異音の双方で、0重量部、5重量部の場合には、その抑制が十分でないことが確認された。
【0101】
しかし、60重量部添加の比較実験No.3の場合には、ビビリ、異音、摩擦係数の点では実験No.49〜51に比べて特段の遜色はないが、引張り強さ、伸びの点でいずれも実験No.49〜51に比べて低いことが確認される。尚、引張り強さ、伸びの評価観点は、ブレードラバーの払拭耐久性を評価する観点として重要なものである。
【0102】
そこで、ビビリ、異音の十分な抑制が確実に期待できる範囲として、10〜50重量部の範囲が好ましいことが分かった。
【0103】
なお、異音(鳴きとも云う)の試験は、ウィンドシールドガラス面に対して連続散水およびその後散水を停止させた断水状態で、ワイパーを低速で連続作動させ、音の有無を室内で判定して行った。
【0104】
(実施例4)
本実施例では、シリコーンゴム架橋物における撥水剤添加の有効性について検証した。シリコーンポリマー100重量部に対して、撥水剤を0重量部〜20重量部の範囲で複数点変化させて、その各々について、ウィンドシールドガラス面の撥水処理効果の持続性を検証した。
【0105】
その結果は、撥水処理効果の持続性は、撥水剤の添加量の増大に合わせて大きくなることが確認された。しかし、添加量を20重量部以上にする場合にはコーティングの密着性が低下する不都合が確認された。
【0106】
そこで、撥水剤の添加量を0重量部を含まず、20重量部以下と設定すれば、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の積極的な長期維持が図れると判断した。
【0107】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて変更してもよい。
【0108】
【発明の効果】
本発明では、エッジ部に表面コーティング層を有するブレードラバーを、シリコーンポリマー100重量部に対してけいそう土を10〜50重量部含むシリコーンゴム架橋物により形成しているので、かかる構成のシリコーンゴム架橋物を用いない場合とは異なり、表面コーティング層が消失した場合であっても、ブレードラバーに求められる引張り強さ及び伸びを確保しつつ、払拭作動時のビビリ、異音の発生を防止することができる。
【0109】
本発明では、上記構成のブレードラバーのエッジ部に設ける表面コーティング層を、ウォーレス硬度が30〜60のシリコーン系バインダーと、平均粒径が5〜40μmのグラファイトを含み、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と規定したコーティング剤により形成しているので、表面コーティング層のコーティング状態を良好に形成することができ、かかる構成を採用しない表面コーティング層の場合とは異なり、5万回払拭作動経過後であっても、ブレードラバーに求められる拭き性能の確保及びビビリの発生防止を確保することができる。
【0110】
さらに、かかる構成において、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03〜0.5と規定することにより、5万回払拭作動経過後であっても、ブレードラバーに求められる拭き性能の確保及びビビリの発生防止を保証することができるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度と、グラファイトの平均粒径、及びP/B比との組合せが確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるブレードラバーの一例を示す斜視図である。
【図2】(A)〜(C)は、ブレードラバーの製造及び表面コーティング層の形成方法の主要工程を示す断面説明図である。
【図3】(A)は、拭き性能試験の評価基準を表形式で示す説明図であり、(B)はビビリの評価基準を表形式で示す説明図である。
【図4】シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトを使用した場合の減摩剤の平均粒径と、P/B比とのブレードラバーの拭き性能、ビビリに及ぼす影響の評価を表形式で示す説明図である。
【図5】(A)、(B)は、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図6】(A)、(B)は、グラファイトを使用した場合における減摩剤の平均粒径の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図7】(A)、(B)は、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図8】(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03〜0.5の範囲に規定することの有効性を、拭き性能、ビビリの観点から表形式で示す説明図である。
【図9】シリコーンゴム架橋物に対して、シリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部のけいそう土添加の有効性を、拭き、ビビリ、異音、摩擦、引張り強さ、伸びの観点から表形式で示す説明図である。
【符号の説明】
1 ブレードラバー
2 取付溝部
3 把持溝部
4 ネック部
5 ショルダ部
6 リップ部
7 エッジ部
8 表面コーティング層
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水処理が施されたウィンドシールドガラス面の雨水等の払拭用に用いるブレードラバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、降雨時の視認性向上を目的として、ガラス面にシリコーン被膜による撥水処理を施したウィンドシールドガラスが、自動車等の交通機関のフロントウィンドシールドガラス等に使用されている。かかるウィンドシールドガラス用のワイパー機構に使用されるブレードラバーとしては、シリコーンゴムを基材としたブレードラバーのエッジ部に、表面コーティング層を設けた構成が提案されている。
【0003】
かかる構成では、エッジ部の表面コーティング層により、払拭作動時の摩擦を低くし、かかる表面コーティング層を設けない構成に比べて、ビビリや異音の発生を抑制している。
【0004】
また、ブレードラバーの基材をシリコーンゴムとしているため、表面コーティング層が消失しても、基材のシリコーンゴムから低分子シリコーン化合物が滲み出して、払拭作動時におけるウィンドシールドガラス面からのシリコーン被膜の剥がれを補償することができる。
【0005】
そのため、上記構成のブレードラバーは、基材がNR、CR、SBR、BR系のジエン系ゴム材にハロゲン処理を施したそれまでの構成のブレードラバーとは異なり、表面コーティング層消失時のウィンドシールドガラスの撥水処理効果の短寿命化を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、基材にシリコーンゴムを使用し、且つ、エッジ部に表面コーティング層を設けるブレードラバーの構成は、それまでのハロゲン処理を施したジエン系ゴムを基材として採用する場合に比べて、ウィンドシールドガラスの払拭性に優れた効果を有している。
【0007】
しかし、エッジ部の上記表面コーティング層に関しては、同じ化学的組成のコーティング剤を使用しても、拭き性能の良いものと、拭き性能の悪いものが発生する場合がある。すなわち、同じ化学的組成のコーティング剤を使用しているにもかかわらず、拭き性能の安定性が得られないのである。
【0008】
さらに、表面コーティング層が消失した場合についても次のような問題点がある。すなわち、表面コーティング層の消失により、基材のシリコーンゴムが表出することとなるが、上記従来構成では、かかるシリコーンゴムとウィンドシールドガラス面との払拭作動時の摩擦が大きく、ビビリや異音の発生に繋がる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ブレードラバーを構成するシリコーンゴムとウィンドシールドガラス面との払拭作動時における摩擦を、ビビリや異音が発生しない程度に低下させることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ブレードラバーのエッジ部に施す表面コーティング層に基づく払拭性能を安定化させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、払拭作動時にウィンドシールドガラスと接触するエッジ部に表面コーティング層を有するシリコーンゴム架橋物よりなるブレードラバーであって、前記シリコーンゴム架橋物は、シリコーンポリマー100重量部に対してけいそう土を10〜50重量部有し、前記表面コーティング層は、シリコーン系バインダーとグラファイトとを有するコーティング剤により形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成において、前記シリコーン系バインダーは、ウォーレス硬度が30〜60であり、前記グラファイトは、平均粒径が5〜40μmであり、前記グラファイトの前記シリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)が0.6〜1.2であることを特徴とする。さらに、かかる構成において、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)が0.03〜0.5であることを特徴とする。
【0013】
上記いずれかの構成において、前記シリコーンゴム架橋物には、シリコーンポリマー100重量部に対して、20重量部以下の撥水剤を含むようにしてもよい。
【0014】
本発明のブレードラバーでは、以上述べた構成の如く、使用するシリコーンゴム架橋物には、シリコーンポリマー100重量部に対して、けいそう土が10〜50重量部配合されているため、ブレードラバーのエッジ部に設けた表面コーティング層が消失した場合でも、払拭作動時のビビリや異音を防止することができる。
【0015】
けいそう土の配合量をシリコーンポリマー100重量部に対して、10重量部未満とすると、表面コーティング層消失時の払拭作動時の低摩擦化は十分に達成できず、ビビリによるワイパーの作動不良や異音などが発生する場合が見られる。一方、50重量部を越える場合には、拭き残しなどの払拭不良や基材のシリコーンゴムの機械的強度が低下する場合が見られる。
【0016】
そこで、けいそう土の配合量の最適範囲を、シリコーンポリマー100重量部に対して、10重量部以上、50重量部以下の範囲と設定した。
【0017】
本発明者は、表面コーティング層の払拭安定性に及ぼす影響を実験により詳細に検討した結果、コーティング剤の組成そのものの影響もさることながら、コーティング剤を構成する材料の物理的性状にも大きく影響されることを見出した。
【0018】
特に、コーティング剤を構成する材料のうちシリコーン系バインダーと減摩剤として添加されるグラファイトの物理的性状をある一定の範囲に収めることにより、従来構成とは異なり、同じ化学的組成のコーティング剤であっても拭き性能が良好な場合と、悪い場合とが発生するという不安定性を解消し、安定した拭き性能が得られることを実験により見出した。
【0019】
シリコーン系バインダーにおいては、その硬度が重要であり、ウォーレス硬度(Hw)が30未満では、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、60を越えても拭き残しが発生する為に好ましくない。そこで、ウォーレス硬度を30以上、60以下に設定した。
【0020】
グラファイトの平均粒径(D)は、5μm未満では、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、40μmを越えると拭き残しが発生する為に好ましくない。そこで、グラファイトの平均粒径は、5μm以上、40μm以下が好ましいと判断した。
【0021】
さらに、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度と、グラファイトの平均粒径とを個々独立に制御しても十分ではなく、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比をもある一定の範囲に設定することが好ましいことを見出した。因みに、Pは減摩剤を、Bはバインダーを指している。
【0022】
すなわち、P/Bが0.6未満の場合には、ビビリや異音が発生する為に好ましくなく、1.2を越えると拭き残しが発生する為に好ましくなかった。そこで、かかるP/B比を0.6以上、1.2以下に設定した。
【0023】
このようにシリコーンバインダーの硬度、グラファイトの平均粒径、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比を、それぞれ上記範囲に設定することにより、初期および5万回払拭作動させた後(耐久後)の拭き性能の維持、ビビリの発生防止を共に満足させることができる。
【0024】
すなわち、かかる条件設定を行うことで、良好な拭き性能と払拭作動時にビビリを発生させない表面コーティング層を形成するためのシリコーン系バインダーとグラファイトとにおけるウォーレス硬度、平均粒径、P/B比の組合せの選択が行える。かかる条件の範囲内で選択した組合せは、良好な拭き性能と払拭作動時にビビリを発生させない表面コーティング層の形成に有効な組合せであった。
【0025】
すなわち、前記条件設定の範囲で選択した組合せの有効性は、実験の範囲では、実際上のコーティング剤の組成決定に際して上記条件設定の使用が有効であることを示していた。
【0026】
一方、多数の実験を行うなかで、ごく希に、上記設定範囲を満足するシリコーンバインダーの硬度と、グラファイトの平均粒径と、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比との組合せにおいても、初期および耐久後の拭き性能、ビビリの発生防止を共に満足させるという点で、十分ではない組合せが発生することに気がついた。
【0027】
そこで、かかる例外的組合せをも十分に排除できる条件設定はできないかと考えた。
【0028】
多数の実験結果を考察する中で、シリコーン系バインダーの硬度、グラファイトの平均粒径、グラファイトとシリコーン系バインダーとのP/B比のそれぞれを上記範囲に設定すると共に、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03以上、0.5以下に設定すれば、上記の十分ではない場合を排除することができることを見出した。
【0029】
すなわち、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)が0.03未満、あるいは0.5を越える場合には、初期および耐久後の拭き性能、ビビリ、異音の発生防止を共に満足させることができないのである。上記式を、以下、簡単に評価式と呼ぶ場合がある。
【0030】
一方、ブレードラバーの基材として使用するシリコーンゴム架橋物では、シリコーンポリマー100重量部に対して、20重量部以下の撥水剤を含ませておけば、かかる撥水剤を含ませない場合に比べて、ウィンドシールドガラス面の撥水処理効果を長期に維持することができる。
【0031】
さらには、かかる撥水剤をシリコーンゴム架橋物に含ませておくことにより、撥水処理を施していない普通のガラス面に対しての撥水処理効果を付与することもできる。
【0032】
撥水剤を含ませない構成であっても、シリコーンゴム架橋物からは低分子シリコーン化合物が滲み出してくるため、シリコーンゴム架橋物を基材としないワイパーブレードと比べれば、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持は優れている。
【0033】
しかし、本発明では、撥水剤を積極的にワイパーブレードを構成する基材に加えることで、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の長期維持を積極的に促進させることができる。
【0034】
かかる撥水剤の配合量に関しては、シリコーンポリマー100重量部に対して20重量部を越える場合には、コーティングの密着性が低下する点で好ましくない。
【0035】
一方、配合量が0重量部の場合には、意識的に低分子シリコーン化合物の撥水剤を添加しない場合に相当するため、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持はワイパーブレードを構成するシリコーンゴム架橋物に含まれる低分子シリコーン成分に基づく効果を期待することとなるが、かかる低分子シリコーン化合物は、元々は未反応残余低分子シリコーン成分として含有されているものであるため、配合比、製造条件等により含有量は一定せず、さらに含有量の把握も難しい。
【0036】
そのため、含有量の把握が難しく、且つその量も一定でない低分子シリコーン化合物によるウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持を有効に管理することは実質的には行えない。すなわち、これは品質管理の埒外の問題であり、積極的に製品としてその効果を掲げることは憚られる。
【0037】
そこで、撥水剤を積極的に添加することにより、撥水処理効果の管理を行うことを本発明者は考えた。すなわち、撥水剤の配合量を0重量部を越えて、20重量部以下に設定すればよい。
【0038】
より好ましくは、撥水剤を添加しないとした場合にウィンドシールドガラスの撥水処理効果の維持に寄与する残余の低分子シリコーン成分の平均含有量より十分に多い配合量を下限としておけば、かかる残余低分子シリコーン成分の影響を無視して、添加した撥水剤の配合量により撥水処理効果の維持効果を予測し管理することができて好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のブレードラバーを自動車用のウィンドシールドガラス払拭用のワイパー機構に適用する構成とした場合を示す斜視図である。図2(A)〜(C)は、ブレードラバーの製造方法、表面コーティング層の形成方法の主な手順を示した説明図である。
【0040】
本発明のブレードラバー1は、図1に示すように、例えば、自動車のフロントおよびリアのウィンドシールドガラスのガラス面払拭用に用いる長尺状のブレードに形成された構成になっている。
【0041】
ブレードラバー1は、ワイパーブレード側のバーテブラを取り付けるための取付溝部2と、セカンダリレバーの把持部およびヨークの把持部が係合する把持溝部3と、ネック部4、ショルダ部5と、ウィンドシールドガラス面を払拭するリップ部6とが一体に形成されている。
【0042】
ブレードラバー1のエッジ部7に、表面コーティング層8が設けられている。表面コーティング層8は、エッジ部7から、リップ部6に沿って、ワイパーの払拭作動時に、ウィンドシールドガラス面に接触する範囲に亙って帯状に設けられている。図中、網かけ表示で示した。
【0043】
かかる構成のブレードラバー1は、シリコーンポリマー100重量部に対して少なくともけいそう土を10〜50重量部を配合したシリコーンゴム架橋物により形成されている。かかるシリコーンゴムの未架橋物の配合は、上記けいそう土以外にも、架橋剤を必須の添加剤として配合構成されている。
【0044】
かかる配合成分からなるシリコーンゴムの未架橋物を、成形型でブレード状に架橋成形することにより、ブレードラバー1を製造することができる。製造に際しては、先ず、上記組成のシリコーンゴム未架橋物を所定形状の成形型に入れ、例えば、図2(A)に示すような、2本のブレードラバー1がリップ部6で接続したタンデムブレードラバーに架橋成形する。
【0045】
その状態で、図2(B)に示すように、2本のブレードラバー1のリップ部6に沿って、所定範囲に亙って帯状にコーティング剤を塗布して、表面コーティング層8を設ける。図中、表面コーティング層8は、分かりやすいように層厚等を誇張して表示した。
【0046】
表面コーティング層8を設けた段階で、リップ部6を図2(B)に示す切断面で切断し、図2(C)に示すように、ブレードラバー1をそれぞれに分離する。分離することにより、リップ部6のエッジ部7に表面コーティング層8が形成された状態のブレードラバー1を製造することができる。
【0047】
表面コーティング層8は、後記する組成のコーティング剤を、図2(B)に示すように、リップ部6に沿って所定層厚で帯状に塗布することにより形成されるが、塗布に際しては、例えば、スプレーにより塗布すればよい。しかし、一様に塗布することができれば、スプレー以外の方法を用いてよく、例えば、刷毛塗りまたは、ディッピング(浸漬法)のような塗布手段を使用してもよい。
【0048】
ブレードラバー1の表面コーティング層8は、少なくとも、ウィンドシールドガラス面に接触するエッジ部に塗布し、塗布後は、乾燥硬化して形成する。
【0049】
かかる構成のブレードラバー1では、撥水処理を施したウィンドシールドガラス面に対して、払拭作動時には表面コーティング層8が接触するため、低摩擦で作動し、ビビリや異音の発生がなく、良好なワイパー性能を示す。
【0050】
また、長時間使用により、表面コーティング層8が消失して、ブレードラバー1のシリコーンゴム架橋物が直接ウィンドシールドガラス面に接触するようになっても、シリコーンゴム架橋物にはけいそう土が、シリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部含まれているため、払拭作動時の摩擦抵抗が低く抑えられて、けいそう土を上記範囲で含まない構成とは異なり、ビビリ、異音の発生がない。
【0051】
表面コーティング層8に使用するコーティング剤としては、コーティング剤に含まれるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度を30〜60に設定し、減摩剤として含むグラファイトの平均粒径を5〜40μmに設定し、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と設定すればよい。
【0052】
コーティング剤のシリコーンバインダー、グラファイトをそれぞれ上記範囲に設定しておけば、エッジ部7に設けられる表面コーティング層8の形成状態が、ウォーレス硬度、平均粒径、P/B比で規定されることとなり、かかる規定を行わない場合とは異なり、同一化学組成のコーティング剤を使用するにもかかわらず拭き性能に関して良品、不良品が発生する等の不安定化の問題点の解消が図れる。
【0053】
すなわち、同一化学組成のコーティング剤を使用する限り、拭き性能のバラツキが所要の許容範囲内に収め得る安定した拭き性能を確保することができる。
【0054】
このように、けいそう土を前記所定量配合したシリコーンゴム架橋物で形成したブレードラバー1のエッジ部7に、ウォーレス硬度、平均粒径、P/B比で規制したシリコーン系バインダー、グラファイトを有するコーティング剤で表面コーティング層8を設けることにより、使用当初から、5万回の払拭作動経過後まで、ブレードラバー1の拭き性能の維持、ビビリ、異音の発生防止を共に満足することができる。
【0055】
さらに、シリコーン系バインダーを上記ウォーレス硬度範囲に設定し、グラファイトの平均粒径を上記範囲に設定し、P/B比を上記範囲に設定すると共に、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)で示される評価式を、を0.03以上、0.5以下に設定すれば、より確実に上記効果を満足させることができる。
【0056】
また、上記ブレードラバーを構成するシリコーンゴム架橋物に、撥水効果を持つ配合剤、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フロロアルキルシロキサンなどの低分子シリコーン化合物の1種類を、シリコーンポリマー100重量部に対して20重量部以下で含有させれば、ブレードラバーの払拭作動に際して、ブレードラバーから滲み出した撥水剤をウィンドシールドガラス面に塗り付けることとなり、ウィンドシールドガラスの払拭に際して剥離させられる撥水剤を補償することができ、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の長期間の維持が図れる。
【0057】
シリコーンゴム架橋物に撥水剤を添加した構成のブレードラバーを通常ガラス面に対して使用すれば、払拭作動時に通常のガラス面に、ブレードラバーから滲み出した撥水剤を塗布することとなり、通常ガラス面に撥水処理効果を付与することもできる。
【0058】
なお、図1に示す場合には、本発明のワイパーブレードを自動車用に構成した場合を例に挙げて示しているが、本発明のワイパーブレードはその適用対象を自動車用に限定する必要はない。
【0059】
例えば、自動車以外にも、船舶、飛行機、電車などの交通機関の窓などのウィンドシールドガラス面側のワイパー機構に装着され、ウィンドシールドガラス面に付着した、例えば、雨水、泥水、雪、みぞれ、埃などの窓面からの視界不良を生起する付着物質を払拭して取り除き、良好な運転視界を確保するためのワイパーブレードに適用することができる。
【0060】
さらには、上記交通機関以外でも、例えば、建築物の窓面の払拭用のブレードラバーとして使用してもよい。要は、ウィンドシールドガラスのガラス面の付着物を除去する実質的機能を有するブレードラバーには、その種類を問わず適用することができる。
【0061】
また、かかるブレードラバーの払拭作動の駆動方式としては、特段限定する必要はなく、どのような駆動方式であっても構わない。一般的には、モータ駆動のワイパー機構を想定することができるが、例えば、手に持って払拭する構成の駆動方式でも適用可能であることは云うまでもない。
【0062】
上記説明のブレードラバーの有効性を以下の実施例で、実験により検証した。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、ブレードラバー1のエッジ部7に設ける表面コーティング層8は、次のような成分配合を有するコーティング剤により形成されている。
【0064】
実験に際しては、化学的組成を同一に設定した上で、シリコーン系バインダーの硬度を、ウォーレス硬度で25、30、45、60、65と変化させ、P/B比を0.9、グラファイトを使用した場合の減摩剤の平均粒径を24μmと一定にしたコーティング剤を調製し、かかるコーティング剤を用いて、ブレードラバー1のエッジ部7に表面コーティング層8を形成した。すなわち、5種の表面コーティング層8を有するブレードラバーを実験用に作成した。
【0065】
シリコーン系バインダーの硬度は、テストシートのIRHD(ウォーレス硬度)を測定した。シート形成は、コーティング配合中のバインダー成分のみを溶剤に溶解し、乾燥硬化して厚さ約2mmのシート状に成形して得た。
【0066】
実験は、前記説明の5種のブレードラバー1を、実際の車両のワイパー機構に装着して払拭作動を行わせて、拭き性能、ビビリの発生についてその効果を検証した。払拭作動は、低速で連続的に行わせ、ワイパーシステムは、実験に使用した車両の基準に従った押し付け圧力、全長、断面形状とした。ワイパーの作動は、運転席側、助手席側の一方のワイパーのみ作動させ、片側毎に評価した。
【0067】
効果の検証に際して、拭き性能試験は、連続散水状態で行った。連続散水状態とは、ウィンドシールドガラス面に、約100〜500mlの水を払拭面全体に満遍なく散布するようにして散水した状態を云う。
【0068】
評価は、図3(A)に示す基準に基づき、室内側から観察された払拭状況に照らして、点数表示で行った。
【0069】
ビビリ発生の有無の試験は、拭き性能試験と同様に行った。但し、ワイパーの作動は、運転席および助手席側のワイパーを同時作動させた。ビビリの評価は、図3(B)に示す基準に従った。
【0070】
評価結果を、図4に示した。なお、評価に際して「初期」とは、ブレードラバーを装着して試験開始状態での初期評価を示し、「耐久」とは、5万回払拭作動直後の評価を示している。
【0071】
図4では、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度を25、30、45、60、65にそれぞれ設定した場合を、それぞれの硬度に対応させて実験No.1〜5で示している。
【0072】
実験No.1〜5においては、拭き性能、ビビリともに、ウォーレス硬度が30〜60で良好な結果が得られることが確認された。
【0073】
図5(A)、(B)には、バインダー硬度と拭き性能、ビビリとの関係を、それぞれグラフにして示した。拭き性能、ビビリの評価に際しては、ブレードラバー評価の分野で一般的に使用されている基準に照らして、拭き性能、ビビリについて、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0074】
かかる合格基準点に双方とも合格点を満たしているものを図4の総合判定の欄で○で示した。いずれか一方、あるいは双方とも合格点を満たしていない場合には、評価をNGとして×で示した。NG評価に対応する各欄には分かりやすいように*印を付記した。
【0075】
一方、バインダーのウォーレス硬度を45に設定して、P/B比のみ0.3〜1.5まで0.3、0.6、0.9、1.2、1.5と5点変化させ(実験No.6〜10に対応)、その拭き性能、ビビリについてP/B比の影響を検証した。その結果は、図4に示すように、0.6〜1.2であれば、良好な結果が得られることが確認された。
【0076】
図6(A)、(B)には、減摩剤の平均粒径と拭き性能、ビビリとの関係について、それぞれグラフで示した。拭き性能、ビビリの評価は、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0077】
次に、減摩剤の平均粒径の影響を調べた。すなわち、ウォーレス硬度を45とし、P/B比を0.9に設定した状態で、減摩剤の平均粒径を1μm、5μm、24μm、40μm、45μmと1〜45μmまで変化させ(実験No.11〜15に対応)て、拭き性能、ビビリの発生について検証した。この結果、5〜40μmで良好な結果が得られることが確認された。
【0078】
図7(A)、(B)には、P/B比と拭き性能、ビビリとの関係をグラフで示した。拭き性能、ビビリの評価は、初期評価で点数表示が3.5点以上、耐久後評価で3.0点以上を合格、すなわち良好とするものとして評価した。
【0079】
図4の結果から、シリコーン系バインダーは、ウォーレス硬度が30〜60で、前記グラファイトは、平均粒径が5〜40μmで、前記グラファイトと前記シリコーン系バインダーとのP/B比が0.6〜1.2であれば良好な結果が得られることが分かる。
【0080】
なお、図4では、「式の結果」の欄では、前記評価式により算出された値を示している。さらに、「バインダー硬度」、「P/B比」、「減摩剤平均粒径」の表示欄上方には、個々の実験No.に対応させた変化点、および適性設定範囲をそれぞれ示した。「式の結果」の欄上方にも、0.03〜0.5として適性範囲を示し、かかる範囲から外れたものについては該当欄にレ印を付した。
【0081】
(実施例2)
本発明者は、上記実施例1に示す実験を行うなか、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比のいずれをも満足する組合せでも、拭き性能、ビビリの双方とも満足する結果が得られない場合があることを見出した。
【0082】
そこで、拭き性能、ビビリの双方の評価観点において、合格点以上の評価が得られるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比の組合せを確実に選択できるようにするにはどうしたら良いか考えた。前記設定条件でもコーティング剤の組成決定に際しては、殆ど支障が発生しないが、より厳密には、かかる例外ケースをも考慮した設定条件が求められる。
【0083】
そこで、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比をファクターとして有する種々の実験式を考案し、各々の実験式について、バインダーのウォーレス硬度、グラファイトの平均粒径、P/B比の実験値を入れて、実験結果に適合する結果が得られる式を求めた。
【0084】
かかる式は、本発明に関わる実験により初めて求められたものであり、公知のデータから容易に算出し得るものではなかった。また、かかる評価式に関しては、公知の知見は一切なく、本発明者により初めて提案されたものである。
【0085】
すなわち、かかる実験式は、(ウォーレス硬度)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径)で示される。
【0086】
かかる評価式は、個々のファクターにそのままの数値を代入して算出される数値の桁が大きくなるため、例えば、扱い易い桁となるように、個々の因子の数値を小さくする式変形を行ってもよい。
【0087】
例えば、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)のような等価変形を行っても構わない。かかる式では、ウォーレス硬度の数値を100で、グラファイトの平均粒径を40で割ることにより、それぞれ数値の桁を小さくする処理を行っている。
【0088】
かかる式の有効性については、図8に示す実験No.16〜48までの結果から容易に確認できる。
【0089】
実験No.16〜22、42〜48では、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の少なくともいずれか1つが、バインダー硬度(ウォーレス硬度)で30〜60、グラファイトの平均粒径で5〜40μm、P/B比で0.6〜1.2で示される適性範囲内に入っていない場合を示す。この場合には、勿論総合評価は×であり、且つ、評価式も0.03〜0.5の範囲外にある。実験No.16〜22の場合には、全て0.5より大きく、実験No.42〜48の場合には全て0.03より小さい値を示している。
【0090】
実験No.23〜29、35〜41の場合にも、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の少なくともいずれか1つが各々の上記適性範囲内に入っておらず、総合評価が×である。評価式の値は、実験No.41を除いて、全て0.03〜0.5の範囲内に入っている。
【0091】
実験No.30〜34の場合には、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比のいずれもが、前記図4に沿って検証した上記各々の適性範囲内に入っている場合を示す。
【0092】
但し、実験No.30、34は、総合評価が×の場合を示しており、この場合の評価式の値は、0.03〜0.5の範囲外となっている。実験No.31〜33は、総合評価が○で、且つ、評価式の値が0.03〜0.5の範囲に入っている。
【0093】
バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比のいずれもが前記図4に沿って検証した各々の適性範囲内に入っている場合であっても、実験No.30、34に例示するように、総合評価が○とならない場合があり、かかる不適切な組合せを除外するためには、さらに評価式の値が0.03〜0.5の範囲を満足するか否かの判断が必要であることが分かる。
【0094】
かかる結果から、本発明で見出した実験式としての評価式は、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比の適切な組合せを選択する上で、有効であることが確認される。
【0095】
すなわち、シリコーン系バインダーの配合においては、バインダー硬度、グラファイトの平均粒径、およびP/B比を、前記図4に沿って説明したように、バインダー硬度(ウォーレス硬度)で30〜60、グラファイトの平均粒径で5〜40μm、P/B比で0.6〜1.2で示される適性範囲内に入るように選択することが必要で、より精度を高めて実験No.30、34に例示されるような例外を省くためには、さらに評価式に基づく判断を加えればよいことが確認される。
【0096】
(実施例3)
本実施例では、シリコーンゴム架橋物におけるけいそう土添加の効果について実験に基づき検証した。
【0097】
実験に際しては、シリコーンゴム架橋物の配合を、シリコーンポリマー100重量部に対して、けいそう土を10重量部、30重量部、50重量部と変化させ、各々の場合を実験No.49、50、51として示し、図9に示すように、その評価を行った。
【0098】
併せて、けいそう土の含有量をシリコーンポリマー100重量部に対して、0重量部、5重量部、60重量部と変化させ、その場合を比較実験No.1、2、3として、その評価を行った。
【0099】
図9からは、実験No.49〜51、比較実験No.1〜3までの結果を比較対照することにより、けいそう土が10〜50重量部含まれていれば、ビビリ、異音の発生が十分に抑制されることが分かる。
【0100】
一方、けいそう土を全く含まない場合、5重量部含む場合、60重量部と大量に含む場合のそれぞれについてその効果を比較実験で検証したが、ビビリ、異音の双方で、0重量部、5重量部の場合には、その抑制が十分でないことが確認された。
【0101】
しかし、60重量部添加の比較実験No.3の場合には、ビビリ、異音、摩擦係数の点では実験No.49〜51に比べて特段の遜色はないが、引張り強さ、伸びの点でいずれも実験No.49〜51に比べて低いことが確認される。尚、引張り強さ、伸びの評価観点は、ブレードラバーの払拭耐久性を評価する観点として重要なものである。
【0102】
そこで、ビビリ、異音の十分な抑制が確実に期待できる範囲として、10〜50重量部の範囲が好ましいことが分かった。
【0103】
なお、異音(鳴きとも云う)の試験は、ウィンドシールドガラス面に対して連続散水およびその後散水を停止させた断水状態で、ワイパーを低速で連続作動させ、音の有無を室内で判定して行った。
【0104】
(実施例4)
本実施例では、シリコーンゴム架橋物における撥水剤添加の有効性について検証した。シリコーンポリマー100重量部に対して、撥水剤を0重量部〜20重量部の範囲で複数点変化させて、その各々について、ウィンドシールドガラス面の撥水処理効果の持続性を検証した。
【0105】
その結果は、撥水処理効果の持続性は、撥水剤の添加量の増大に合わせて大きくなることが確認された。しかし、添加量を20重量部以上にする場合にはコーティングの密着性が低下する不都合が確認された。
【0106】
そこで、撥水剤の添加量を0重量部を含まず、20重量部以下と設定すれば、ウィンドシールドガラスの撥水処理効果の積極的な長期維持が図れると判断した。
【0107】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて変更してもよい。
【0108】
【発明の効果】
本発明では、エッジ部に表面コーティング層を有するブレードラバーを、シリコーンポリマー100重量部に対してけいそう土を10〜50重量部含むシリコーンゴム架橋物により形成しているので、かかる構成のシリコーンゴム架橋物を用いない場合とは異なり、表面コーティング層が消失した場合であっても、ブレードラバーに求められる引張り強さ及び伸びを確保しつつ、払拭作動時のビビリ、異音の発生を防止することができる。
【0109】
本発明では、上記構成のブレードラバーのエッジ部に設ける表面コーティング層を、ウォーレス硬度が30〜60のシリコーン系バインダーと、平均粒径が5〜40μmのグラファイトを含み、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)を0.6〜1.2と規定したコーティング剤により形成しているので、表面コーティング層のコーティング状態を良好に形成することができ、かかる構成を採用しない表面コーティング層の場合とは異なり、5万回払拭作動経過後であっても、ブレードラバーに求められる拭き性能の確保及びビビリの発生防止を確保することができる。
【0110】
さらに、かかる構成において、(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03〜0.5と規定することにより、5万回払拭作動経過後であっても、ブレードラバーに求められる拭き性能の確保及びビビリの発生防止を保証することができるシリコーン系バインダーのウォーレス硬度と、グラファイトの平均粒径、及びP/B比との組合せが確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるブレードラバーの一例を示す斜視図である。
【図2】(A)〜(C)は、ブレードラバーの製造及び表面コーティング層の形成方法の主要工程を示す断面説明図である。
【図3】(A)は、拭き性能試験の評価基準を表形式で示す説明図であり、(B)はビビリの評価基準を表形式で示す説明図である。
【図4】シリコーン系バインダーのウォーレス硬度、グラファイトを使用した場合の減摩剤の平均粒径と、P/B比とのブレードラバーの拭き性能、ビビリに及ぼす影響の評価を表形式で示す説明図である。
【図5】(A)、(B)は、シリコーン系バインダーのウォーレス硬度の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図6】(A)、(B)は、グラファイトを使用した場合における減摩剤の平均粒径の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図7】(A)、(B)は、グラファイトのシリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)の拭き性能、ビビリに及ぼす影響をそれぞれ示すグラフ形式の説明図である。
【図8】(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)を0.03〜0.5の範囲に規定することの有効性を、拭き性能、ビビリの観点から表形式で示す説明図である。
【図9】シリコーンゴム架橋物に対して、シリコーンポリマー100重量部に対して10〜50重量部のけいそう土添加の有効性を、拭き、ビビリ、異音、摩擦、引張り強さ、伸びの観点から表形式で示す説明図である。
【符号の説明】
1 ブレードラバー
2 取付溝部
3 把持溝部
4 ネック部
5 ショルダ部
6 リップ部
7 エッジ部
8 表面コーティング層
Claims (4)
- 払拭作動時にウィンドシールドガラスと接触するエッジ部に表面コーティング層を有するシリコーンゴム架橋物よりなるブレードラバーであって、
前記シリコーンゴム架橋物は、シリコーンポリマー100重量部に対してけいそう土を10〜50重量部有し、
前記表面コーティング層は、シリコーン系バインダーとグラファイトとを有するコーティング剤により形成されていることを特徴とするブレードラバー。 - 請求項1記載のブレードラバーにおいて、
前記シリコーン系バインダーは、ウォーレス硬度が30〜60であり、
前記グラファイトは、平均粒径が5〜40μmであり、
前記グラファイトの前記シリコーン系バインダーに対する体積比(P/B比)が0.6〜1.2であることを特徴とするブレードラバー。 - 請求項2記載のブレードラバーにおいて、
(ウォーレス硬度/100)×(P/B比)×(グラファイトの平均粒径/40)が0.03〜0.5であることを特徴とするブレードラバー。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブレードラバーにおいて、
前記シリコーンゴム架橋物には、シリコーンポリマー100重量部に対して、20重量部以下の撥水剤を含むことを特徴とするブレードラバー。
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