JP2004331723A - リン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、それを用いた医療用材料 - Google Patents

リン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、それを用いた医療用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】リン酸カルシウムの生体活性を損なわせることなく、簡単、かつ、長期間リン酸カルシウムを定着させることができる、リン酸カルシウム複合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる反応工程を行う。これにより、リン酸カルシウム焼結体に化学的前処理をすることなく、リン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とが化学結合してなるリン酸カルシウム複合体およびその製造方法に関するものであり、より詳細には生体適合性および生体組織に対する密着性(接着性)を有する、医療用材料として好適なリン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、この複合体を用いてなる医療用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンゴムや、ポリウレタン等の高分子基材は、生体不活性、長期安定性、強度および柔軟性等の特性を有しており、例えば、経皮カテーテルのような医療用材料として広く用いられている。しかし、上記例示の高分子基材は生体不活性であるために、上記例示の高分子基材を医療用材料として用いる場合には、経皮部において生体組織との接着が起こらず、皮膚のダウングロース(上皮組織がカテーテル表面に沿って内部へ陥入していく現象)、および、陥入部位における細菌感染の危険性が常に問題となっている。
【0003】
一方、例えば、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムは、生体活性材料として医療分野において広く用いられている。そして、リン酸カルシウムは、具体的には、単独または無機材料や有機材料と複合化させたものが広く用いられている。上記リン酸カルシウムは、例えば、経皮カテーテル等の部材として使用されている。
【0004】
しかし、上記リン酸カルシウムは、脆く、成形性が悪く、金属性部材との結合性がない。従って、例えば、上記リン酸カルシウムを経皮カテーテルとして用いた場合には、金属性部材とリン酸カルシウム端子との間隙から細菌感染が起こる可能性がある等の問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解消する手法の一つとして、例えば、上記高分子基材の表面にハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムを修飾したリン酸カルシウム複合体を用いることが提案されている。
【0006】
そして、上記高分子基材の表面に、リン酸カルシウムを修飾する方法としては、具体的には、例えば、スパッタリングイオンビームを用いて修飾する方法(特許文献1参照)、プラズマ処理法を用いて修飾する方法(特許文献2参照)、ガラスとの複合化により修飾する方法(特許文献3参照)、生体模倣反応を利用して修飾する方法(特許文献4参照)、および、交互浸漬法を利用して修飾する方法(特許文献5参照)等の方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜5に開示の修飾法に用いられるリン酸カルシウムは、結晶構造がアモルファスであり、生体内で溶解し易いので、生体活性の持続が十分でない。従って、例えば、上記リン酸カルシウムを、生体内で溶解させる用途(例えば、骨置換材料)においては、好適に使用することができるが、経皮端子等の上記リン酸カルシウムを長期間、体内で保持する用途等においては、好適に用いることができない。また、上記特許文献1〜5に開示の修飾法では、リン酸カルシウムを高分子基材に物理的に固着させており、接着強度が弱いという問題点がある。
【0008】
そこで、上記リン酸カルシウムを長期間、体内で保持する用途に使用する場合における、高分子基材の表面を上記リン酸カルシウムで修飾する方法が求められており、例えば、特許文献6や、特許文献7に開示されている方法等が挙げられる。
【0009】
上記特許文献6には、接着剤を用いてセラミック多孔質粒子を高分子基材の表面に固着する方法や、高分子基材を溶融してセラミック多孔質粒子を固定する方法によって得られる腹腔内留置カテーテルが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−56963号公報(公開日;1996年3月5日)
【0011】
【特許文献2】
特開平7−303691号公報(公開日;1995年11月21日)
【0012】
【特許文献3】
特開昭63−270061号公報(公開日;1988年11月8日)
【0013】
【特許文献4】
特開平7−306201号公報(公開日;1995年11月21日)
【0014】
【特許文献5】
特開2000−342676公報(公開日;2000年12月12日)
【0015】
【特許文献6】
特開平10−15061号公報(公開日;1998年1月20日)
【0016】
【特許文献7】
特開2001−172511公報(公開日;2001年6月26日)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献6に開示の方法では、セラミック多孔質粒子を高分子基材に物理的に接着させており、上記セラミック多孔質粒子と高分子基材との接着強度が弱いという問題点がある。
【0018】
また、上記接着剤を用いてセラミック多孔質粒子を高分子基材の表面に固着する方法では、セラミック多孔質粒子が高分子基材の表面に積層される場合があり、高分子基材の物性を損なう恐れがある。また、上記接着剤が溶出する恐れもある。
【0019】
また、高分子基材を溶融してセラミック多孔質粒子を固定する方法では、セラミックス多孔質粒子固定部位から、体内の脂質が内部に滲み込み、高分子基材の物性を損なう場合がある。
【0020】
一方、特許文献7に開示されている方法では、リン酸カルシウムに、活性基を導入する化学的前処理を行う必要がある。
【0021】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、リン酸カルシウムの生体活性を損なわせることなく、簡単、かつ、長期間リン酸カルシウムを定着させることができる、リン酸カルシウム複合体およびその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記の課題を解決するために、リン酸カルシウム焼結体と、官能基を有する高分子基材とが、化学結合を介して結合されているリン酸カルシウム複合体であって、上記リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合してなることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合することにより、リン酸カルシウム複合体を構成している。これにより、例えば、リン酸カルシウム焼結体に対して、上記官能基と反応する活性基を導入するような化学的前処理を行う必要がない。従って、従来と比べてより簡単にリン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0024】
また、上記の構成によれば、リン酸カルシウム焼結体自体を、高分子基材に直接化学結合させているので、リン酸カルシウム焼結体に化学的前処理を行う必要がない。これにより、例えば、化学的前処理のためにリン酸カルシウム焼結体の生体活性が損なわれたり、変性したりする恐れがない。
【0025】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記化学結合が、イオン的相互作用による結合である構成がより好ましく、上記官能基は、イオン化しているイオン性官能基であることがさら好ましい。
【0026】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、酸性官能基であり、上記酸性官能基と、リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0027】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、塩基性官能基であり、上記塩基性官能基と、リン酸カルシウムのリン酸イオンおよび/または水酸化物イオンとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0028】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、−COOであり、上記リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンと、−COOとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とは、イオン的相互作用によって結合している。これにより、リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とを、より簡単に結合させることができる。
【0030】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記官能基を有する高分子基材は、高分子基材と4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドとを反応させてなる構成がより好ましい。
【0031】
上記4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドは、歯科用材料として使用されている。従って、上記化合物を用いて、高分子基材に官能基を導入した場合には、医療用材料として好適に用いることができる。
【0032】
また、上記4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドをイオン化させた場合には、4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドの1分子あたり、2個の−COOが形成されることとなる。従って、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するカルシウムイオンと、上記−COOとがより強固に結合することができる。さらに、この2個の−COOが、1個のカルシウムイオンへ配位することにより7員環を形成することができるので、キレート効果によってより一層安定な結合を形成することができる。
【0033】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記高分子基材が、医療用高分子材料である構成がより好ましい。
【0034】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記医療用高分子材料が、シルクフィブロインである構成がより好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、上記高分子基材が医療用高分子材料であるので、生体適合性が高いリン酸カルシウム複合体を提供することができる。
【0036】
また、本発明にかかる医療用材料は、上記リン酸カルシウム複合体を用いてなることを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、上記リン酸カルシウム複合体を用いて構成されているので、生体活性が高く、信頼性のより向上した医療用材料を提供することができる。
【0038】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体の製造方法は、イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる反応工程を含むことを特徴としている。
【0039】
上記の構成によれば、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在しているイオンと、高分子基材の表面に存在しているイオン性官能基とを反応させるようになっている。つまり、両者は、イオン結合性が強い結合によって化学結合している。これにより、例えば、常温で化学結合させることができるので、高分子基材や得られるリン酸カルシウム複合体が変質する恐れがない。これにより、従来と比べて、より簡単にリン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0040】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体の製造方法は、上記反応工程の前に、高分子基材に官能基を導入する官能基導入工程と、上記官能基をイオン化させるイオン化工程を含む構成がより好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、官能基を高分子基材に導入して、該官能基をイオン化させることにより、イオン性官能基としている。これにより、例えば、イオン性官能基を有していない高分子基材であっても、リン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
【0043】
本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体は、リン酸カルシウム焼結体と、官能基を有する高分子基材とが、化学結合を介して結合されているリン酸カルシウム複合体であって、上記リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが化学結合してなる構成である。より具体的には、上記化学結合が、イオン的相互作用による結合である構成である。これについて以下に説明する。
【0044】
(リン酸カルシウム焼結体)
本実施の形態にかかるリン酸カルシウム焼結体(リン酸カルシウムセラミックスとも呼ばれる)とは、アモルファス(非晶質)のリン酸カルシウムと比べた場合に結晶性が高いリン酸カルシウムを示している。具体的には、リン酸カルシウム焼結体は、アモルファス(非晶質)のリン酸カルシウムを焼結させることにより得られる。そして、上記リン酸カルシウム焼結体は、該リン酸カルシウム焼結体自体の表面に、カルシウムイオン(Ca2+)、リン酸イオン(PO 2−)および水酸化物イオン(OH)の少なくとも何れか1つのイオンを有している。
【0045】
また、リン酸カルシウム焼結体の1つの結晶面には、少なくともリン酸イオンまたはカルシウムイオンが存在する。具体的には、リン酸カルシウムの結晶面によって存在するイオンは異なり、互いに異なる結晶面に、カルシウムイオンおよびリン酸イオンが存在している。また、上記リン酸カルシウム焼結体に水酸化物イオンが含まれている場合には、該水酸化物イオンは、上記カルシウムイオンまたはリン酸イオンが存在している結晶面の少なくとも1つの結晶面に存在することとなる。
【0046】
上記リン酸カルシウム焼結体としては、具体的には、例えば、ハイドロキシアパタイト焼結体(Ca10(PO(OH))、トリリン酸カルシウム(β(α)−トリリン酸カルシウム(Ca(PO))、メタリン酸カルシウム(Ca(PO)、Ca10(PO、Ca10(POCl等が挙げられる。なお、上記リン酸カルシウムは、湿式法や、乾式法、加水分解法、水熱法等の公知の製造方法によって、人工的に製造されたものであってもよく、また、骨、歯等から得られる天然由来のものであってもよい。また、上記リン酸カルシウム焼結体には、リン酸カルシウム水酸イオンおよび/またはリン酸イオンの一部が炭酸イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン等で置換された化合物等が含まれていてもよい。
【0047】
ここで、上記リン酸カルシウム焼結体の製造方法について説明する。本実施の形態にかかるリン酸カルシウム焼結体は、アモルファスのリン酸カルシウムを焼結させることにより得ることができる。具体的には、上記例示のリン酸カルシウムを800℃〜1300℃の温度範囲内で所定時間焼結させることにより、リン酸カルシウム焼結体を得ることができる。上記リン酸カルシウムを焼結させることによって、結晶性を高めることができ、例えば、生体内に導入した場合における溶解性を小さくすることができる。このリン酸カルシウム焼結体の結晶化の度合いは、X線回折法(XRD)により、測定することができる。具体的には、リン酸カルシウム複合体の各結晶面を示すピークの半値幅が狭ければ狭いほど結晶性が高い。
【0048】
上記リン酸カルシウムを焼結させる焼結温度の下限値としては、800℃以上がより好ましく、900℃以上がさらに好ましく、1000℃以上が特に好ましい。焼結温度が800℃よりも低いと、焼結が十分でない場合がある。一方、焼結温度の上限値としては、1300℃以下がより好ましく、1250℃以下がさらに好ましく、1200℃以下が特に好ましい。焼結温度が1300℃よりも高いと、後述する高分子基材が有する官能基と直接化学結合することが困難になる場合がある。従って、焼結温度を、上記範囲内とすることにより、生体内で溶解し難く(結晶性が高く)、かつ、高分子基材が有する官能基と直接化学結合することができるリン酸カルシウム焼結体を製造することができる。また、焼結時間としては、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0049】
上記リン酸カルシウム焼結体は、粒子状であることがより好ましい。より詳細には、上記粒子径の下限値としては、0.001μm以上がより好ましく、0.01μm以上がさらに好ましい。上記粒子径が0.001μmよりも小さいと、リン酸カルシウム複合体を生体に埋入した場合に、後述する高分子基材の表面に固定されているリン酸カルシウム焼結体が溶出してしまい、生体適合性が損なわれる恐れがある。一方、上記粒子径の上限値としては、1000μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。上記粒子径が1000μmよりも大きいと、リン酸カルシウム焼結体と後述する高分子基材との結合が相対的に弱くなり、リン酸カルシウム複合体を生体に埋入した場合に破損する恐れがある。
【0050】
また、上記リン酸カルシウムの焼結温度およびリン酸カルシウム焼結体の粒子径を制御することにより、例えば、得られたリン酸カルシウム複合体を生体内に埋入させたとき、リン酸カルシウム焼結体の溶出速度を制御することができる。つまり、上記焼結温度および上記粒子径を制御することにより、用途に応じた、リン酸カルシウム複合体の物性を設計することができる。
【0051】
また、例えば、リン酸カルシウム焼結体を構成する材料として、ハイドロキシアパタイト焼結体またはβ−トリリン酸カルシウムを用いる場合、該ハイドロキシアパタイト焼結体またはβ−トリリン酸カルシウムは、生体組織との親和性および生体環境における安定性が優れているために、医療用材料として好適である。また、ハイドロキシアパタイト焼結体は、生体内で溶解し難い。従って、例えば、上記ハイドロキシアパタイト焼結体を用いてリン酸カルシウム複合体を製造した場合には、生体内で長期間、生体活性を維持することができる。
【0052】
(高分子基材)
本実施の形態にかかる高分子基材としては、医療用高分子材料がより好ましく、有機高分子がさらに好ましい。上記高分子基材としては、具体的には、例えば、シリコーンポリマー(シリコーンゴムであっても良い)、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリアミン、ポリウレア、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等の合成高分子;セルロース、アミロース、アミロペクチン、キチン、キトサン等の多糖類、コラーゲン等のポリペプチド、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等、シルクフィブロイン等の天然高分子等が挙げられる。上記例示の高分子基材のうち、長期安定性、強度および柔軟性等の特性が優れている点で、シリコーンポリマー、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、または、シルクフィブロインが好適に使用される。
【0053】
また、上記例示の高分子基材の代わりに、具体的には、例えば、医療用材料として好適に使用することができる、酸化チタン等の無機材料の基材を使用することもできる。従って、本発明にかかる高分子基材とは、上記酸化チタン等の無機材料からなる基材も含むものとする。
【0054】
また、例えば、上記有機高分子と上記無機材料とを組み合わせて基材としてもよい。
【0055】
本実施の形態にかかる高分子基材の表面には、リン酸カルシウム焼結体自体と化学結合することができる官能基を有している。具体的には、リン酸カルシウム焼結体自体と上記官能基とがイオン的相互作用によって化学結合可能な官能基を有している。なお、上記「イオン的相互作用」については、後述する。
【0056】
より詳細には、上記高分子基材の表面には、上記官能基がイオン化されたイオン性官能基が存在していることがより好ましい。そして、高分子基材の表面にイオン性官能基が存在している場合には、イオン性官能基とリン酸カルシウム焼結体自体のイオンとがイオン的な相互作用によって化学結合することにより、リン酸カルシウム複合体を形成している。
【0057】
そして、上記イオン性官能基は、酸性官能基または塩基性官能基に分類される。
【0058】
上記酸性官能基としては、具体的には、例えば、−COO,−SO 2−,−SO ,−O、RNC(S) 等が挙げられる。また、上記塩基性官能基としては、具体的には、例えば、−NH3+、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。つまり、上記高分子基材の表面には、上記例示の、酸性官能基または塩基性官能基が存在している。なお、上記RNC(S) のRは、アルキル基を示している。
【0059】
また、上記イオン性官能基としては、酸処理またはアルカリ処理等の化学的処理によりイオン化するものであればよく、具体的には、例えば、カルボキシル基、ジカルボキシル基、ジチオカルバミン酸イオン、アミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
【0060】
なお、上記官能基としては、例えば、該官能基とリン酸カルシウム焼結体自体とが配位結合によって結合することができる、非イオン性官能基(中性官能基)等であってもよい。
【0061】
上記高分子基材表面の官能基は、基材表面の高分子が有する官能基であってもよく、また、基材表面を、例えば、酸・アルカリ処理、コロナ放電、プラズマ照射、表面グラフト重合等の公知の手段によって、上記高分子基材を改質することにより導入されたものであってもよい。
【0062】
上記高分子基材の表面にイオン性官能基を導入する方法としては、例えば、末端にカルボキシル基、ジカルボキシル基または塩基性官能基を有するビニル系重合性単量体を高分子基材にグラフト重合させる方法等が挙げられる。詳細については後述する。
【0063】
なお、例えば、上記官能基を導入するために、高分子基材に予め活性基を導入させておき、この活性基を用いて官能基を導入するようにしてもよい。
【0064】
また、上記高分子基材の形状としては、例えば、シート状、繊維状、チューブ状または、多孔体でもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。
【0065】
(リン酸カルシウム複合体)
そして、上記官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体とを反応させることによりリン酸カルシウム複合体を得ることができる。なお、リン酸カルシウム複合体の製造方法については後述する。
【0066】
本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体は、高分子基材とリン酸カルシウム焼結体とが直接化学結合されている。具体的には、高分子基材の表面に存在しているイオン性官能基と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在しているイオン(カルシウムイオン(Ca2+)、リン酸イオン(PO 2−)、水酸化物イオン(OH))とが、イオン的相互作用によって化学結合している。これについて以下に説明する。
【0067】
上記イオン的相互作用による結合とは、高分子基材の表面に存在するイオンと、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとの間で化学的に結合することである。従って、上記イオン的相互作用による結合としては、例えば、イオン結合、配位結合等が挙げられる。また、本実施の形態におけるイオン結合には、イオン結合性と共有結合性との両方が含まれる結合も含むものとする。また、同様に、本実施の形態における配位結合には、配位結合性と共有結合性との両方が含まれる結合も含むものとする。なお、上記イオン結合性または配位結合性と共有結合性との両方が含まれる結合の場合には、イオン結合性または配位結合性が50%以上含まれているものとする。
【0068】
また、上記イオン的相互作用による結合には、上記に加えて、さらに、水素結合、双極子相互作用、ファン・デル・ワールス力等による結合が含まれていてもよい。
【0069】
つまり、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体は、リン酸カルシウム焼結体と、高分子基材のイオン性官能基との大部分が、イオン結合または配位結合によって結合されている。
【0070】
ここで、リン酸カルシウムの表面に存在するイオンと、高分子基材の表面に存在するイオン性官能基との関係について説明する。
【0071】
上記高分子基材の表面に存在するイオン性官能基が塩基性官能基(+の電荷を有する官能基)である場合には、該塩基性官能基と、リン酸カルシウムの表面に存在するリン酸イオンおよび/または水酸化物イオンとが直接化学結合することによりリン酸カルシウム複合体を構成している。
【0072】
一方、上記高分子基材の表面に存在するイオン性官能基が酸性官能基(−の電荷を有する官能基)である場合には、該酸性官能基と、リン酸カルシウムの表面に存在するカルシウムイオンとが直接化学結合することによりリン酸カルシウム複合体を構成している。
【0073】
このように、上記リン酸カルシウム複合体は、リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とが直接化学結合している。換言すると、リン酸カルシウム複合体は、リン酸カルシウム焼結体層と高分子基材層とからなる。
【0074】
上記リン酸カルシウム複合体のリン酸カルシウム焼結体層の厚さとしては、高分子基材の厚さ、および、使用する用途により異なるが、例えば、経皮カテーテル用途の場合には、高分子基材の厚さを100%としたとき、0.0001%〜100%の範囲内がより好ましく、0.001%〜10%の範囲内がさらに好ましい。上記リン酸カルシウム焼結体層の厚さを上記範囲とすることにより、高分子基材の特性を損なわせることなく、生体適合性の優れたリン酸カルシウム複合体を得ることができる。また、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体は、高分子基材の表面にリン酸カルシウム焼結体が結合されており、例えば、リン酸カルシウム焼結体を高分子基材の内部に埋入させた構成と比べて、柔軟性に優れている。
【0075】
また、ハイドロキシアパタイト焼結体またはβ−トリリン酸カルシウムは、生体活性材料である。従って、これらを用いて製造したリン酸カルシウム複合体は、細胞接着性に優れている。
【0076】
(リン酸カルシウム複合体の製造方法)
ここで、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体の製造方法について説明する。
【0077】
なお、以下の説明では、上記リン酸カルシウム複合体として、ハイドロキシアパタイト複合体を用いる例について説明する。
【0078】
本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体の製造方法は、高分子基材が有しているイオン性官能基と、リン酸カルシウム焼結体が表面に有しているイオンとを反応させる反応工程を行う方法である。
【0079】
また、上記高分子基材がイオン性官能基を有していない場合には、上記反応工程の前に、上記高分子基材に、官能基を導入する導入工程と、該官能基をイオン化させてイオン性官能基とするイオン化工程を行うことにより、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0080】
(導入工程)
上記導入工程では、高分子基材に、官能基を導入する。上記官能基とは、後述するイオン化工程により、該官能基自体をイオン化することができるものである。なお、以下の説明では、高分子基材に、アルコキシシリル基を導入する場合について説明する。
【0081】
上記高分子基材に、官能基を導入する方法、すなわち、導入工程としては、公知の方法により行えばよく、特に限定されるものではない。
【0082】
ここで、高分子基材に官能基を導入する方法の1つとして、官能基を有する官能基含有化合物と高分子基材とを反応させる方法について説明する。なお、高分子基材に官能基を導入する方法は、この方法に限定されるものではなく、種々の方法を採用することができる。なお、以下の説明では、高分子基材としてシルクフィブロインを用い、官能基(イオン性官能基)がカルボキシル基(ジカルボキシル基も含む)である場合について具体的に説明する。
【0083】
官能基を有する官能基含有化合物としては、末端にカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、カルボキシル基と高分子基材と反応することができる反応基とを有する化合物が好適に使用される。上記官能基含有化合物としては、具体的には、例えば、4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライド(4−Methacryloxyethyl trimellitate anhydride(以下、4−METAと称する))、コハク酸、無水コハク酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0084】
上記例示の官能基含有化合物のうち、既に歯科用材料として一般的に使用されており、医療用材料として好適に使用することができる点で、4−METAを使用することがより好ましい。
【0085】
そして、これら、官能基含有化合物と高分子基材とを反応させることにより、高分子基材の表面に官能基を導入する。具体的には、界面活性剤と過酸化系開始剤とを用いて高分子基材からプロトン(水素原子)を引き抜いてラジカルを発生させることにより、上記官能基含有化合物を高分子基材に、直接、グラフト重合させることができる。この方法を用いることにより、高分子基材に上記官能基を、直接、導入することができる。この反応について以下に説明する。
【0086】
上記界面活性剤としては、具体的には、例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ノニルフェニルポリエチレン、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ドデシル−β−グルコシド等が挙げられる。
【0087】
また、過酸化系開始剤としては、具体的には、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム(ペルオキソ二硫酸カリウム)等が挙げられる。
【0088】
そして、上記高分子基材と、界面活性剤と、過酸化系開始剤と、官能基含有化合物とを、重合溶媒に添加して重合させることにより、高分子基材に官能基を導入することができる。
【0089】
上記重合溶媒としては、具体的には、例えば、水、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記例示の重合溶媒のうち、経済的および医療用材料として使用する場合の安全性の点から、水がより好ましい。
【0090】
上記反応系における官能基含有化合物の添加量の下限値としては、高分子基材に対して、10重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、100重量%以上が特に好ましい。上記添加量が10重量%よりも少ないと、高分子基材に、十分な量の官能基が導入されない場合がある。一方、上記添加量の上限値としては、高分子基材に対して、500重量%以下がより好ましく、400重量%以下がさらに好ましく、300重量%以下が特に好ましい。上記添加量が500重量%よりも多いと経済的でない。
【0091】
また、重合温度の下限値としては、30℃以上がより好ましく、35℃以上がさらに好ましく、40℃以上が特に好ましい。上記重合温度が30℃よりも低ければ、重合が十分に起こらず、高分子基材に官能基が導入されない場合がある。一方、重合温度の上限値としては、80℃以下がより好ましく、75℃以下がさらに好ましく、70℃以下が特に好ましい。重合温度が80℃よりも高いと、官能基の導入が進みすぎ、高分子基材が変質する場合がある。また、高分子基材が劣化する場合もある。なお、重合時間は、重合温度等によって変化するが、所望の導入率(高分子基材に官能基が導入される割合)となるように適宜設定すればよい。以上のような条件で重合させることにより、高分子基材に官能基を簡単に導入することができる。
【0092】
また、高分子基材に対する上記官能基の導入率(重量%)の下限値としては、0.1重量%以上がより好ましく、1.0重量%以上がさらに好ましい。ここで、導入率とは、高分子基材の単位重量あたりに導入された官能基含有化合物の重量の割合である。上記導入率が0.1重量%以上であれば、上記高分子基材に、生体適合性を発現することができる十分な量の、ハイドロキシアパタイト焼結体を結合させることができる。一方、上記導入率の上限値としては、特に限定されるものではないが、上記導入率が100重量%よりも高いと、高分子基材に結合するハイドロキシアパタイト焼結体の量が多くなりすぎ、経済的でない場合がある。
【0093】
また、上記重合は、窒素雰囲気下で行うことがより好ましい。このようにして、高分子基材の表面に官能基を導入することができる。
【0094】
また、例えば、上記官能基含有化合物として、コハク酸を用いる場合には、例えば、高分子基材とコハク酸とを還流溶媒中にて還流することにより、高分子基材の表面にカルボキシル基を導入することができる。このとき、還流溶媒としては、具体的には、例えば、脱水ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が挙げられる。また、この場合における、高分子基材に対するコハク酸の使用割合は、上記と同様である。
【0095】
(イオン化工程)
イオン化工程では、高分子基材に導入した官能基をイオン化する。具体的には、例えば、官能基を導入した高分子基材をアルカリ処理または酸処理することにより、官能基をイオン化することができる。
【0096】
上記官能基がカルボキシル基である場合には、このカルボキシル基を有する高分子基材を、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬することにより、カルボキシル基をイオン化することができる。
【0097】
つまり、官能基をアルカリ処理することにより、酸性官能基とすることができる。一方、官能基を酸処理することにより、塩基性官能基とすることができる。
【0098】
上記アルカリ処理を行う場合には、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の強塩基性の水溶液を用いることがより好ましい。一方、酸処理を行う場合には、例えば、塩酸、硫酸、過塩素酸等の強酸性の水溶液を用いることがより好ましい。このように、イオン化工程を行うことにより、高分子基材の官能基をイオン化することができる。つまり、高分子基材の表面にイオン性官能基を存在させることができる。
【0099】
(反応工程)
反応工程では、上記イオン化工程により、イオン化されたイオン性官能基とハイドロキシアパタイト焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる。具体的には、ハイドロキシアパタイト焼結体を分散させた分散液に、上記高分子基材を浸漬することにより、高分子基材の表面にハイドロキシアパタイト焼結体を吸着させる。そして、上記表面に吸着したハイドロキシアパタイト焼結体の表面に存在するイオン(カルシウムイオン)と上記イオン性官能基(−COO)とを反応させる。
【0100】
上記ハイドロキシアパタイト焼結体を分散させる分散媒としては、具体的には、例えば、水、または、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;アルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。上記例示の溶媒のうち、ハイドロキシアパタイト焼結体を良好に分散させる点で、アルコール類が好適に使用される。上記例示の分散媒のうち、得られるリン酸カルシウム複合体を医療用材料として使用する場合には、より高い分散性を得るために、アルコール類がより好ましく、アルコール類とトルエンとの混合溶媒が特に好ましい。
【0101】
また、例えば、ヘキサンやトルエン等の炭化水素系溶媒を用いる場合、ハイドロキシアパタイト焼結体を良好に分散させるためには、例えば、▲1▼スターラー等の攪拌装置で強力に攪拌する、▲2▼超音波装置を用いて分散させる、▲3▼上記攪拌装置および超音波装置を併用する、等の方法を用いればよい。
【0102】
上記分散液の調整において、ハイドロキシアパタイト焼結体の添加量の下限値としては、上記分散媒に対して、0.01重量%以上がより好ましく、0.02重量%以上がさらに好ましく、0.05重量%以上が特に好ましい。上記ハイドロキシアパタイト焼結体の添加量が0.01重量%よりも少ないと、高分子基材の表面に均一にハイドロキシアパタイト焼結体が吸着せず、均一な被覆表面を形成できなくなる場合がある。一方、上記ハイドロキシアパタイト焼結体の添加量の上限値としては、上記分散媒に対して、100重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下が特に好ましい。上記添加量が100重量%よりも多い場合には、高分子基材の表面に吸着するハイドロキシアパタイト焼結体の量よりも、分散液に残存するハイドロキシアパタイト焼結体の量が著しく多くなり経済的でない。
【0103】
この反応工程において、イオン性官能基とハイドロキシアパタイト焼結体とを結合させる反応温度としては、特に限定されるものではなく、常温で行うことができる。つまり、本実施の形態では、イオン的な相互作用によって両者を結合させており、従来と比べてより簡単に両者を結合させることができる。
【0104】
また、高分子基材の種類、および、官能基の種類によって、上記導入工程、イオン化工程および反応工程の反応条件や溶媒の種類等は適宜変更すればよい。
【0105】
なお、上記の説明では、リン酸カルシウム焼結体としてハイドロキシアパタイト焼結体を用いている例について説明しているが、上記に限定されるものではなく、例えば、リン酸カルシウム焼結体としてβ−トリリン酸カルシウム等を用いた場合でも上記製造方法を用いることにより、好適にリン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0106】
また、上記の説明では、官能基含有化合物として、カルボキシル基含有化合物について説明しているが、官能基としてはカルボキシル基に限定されるものではない。他の官能基を有する官能基含有化合物としては、具体的には、例えば、−SO 、−SO 、−O、等の官能基を有する化合物等が挙げられ、より具体的には、RNC(S) 、NH 、ピリジン、N−CH−CH−NH 等が挙げられる。そして、官能基含有化合物は、高分子基材の種類によって適宜選択すればよい。なお、上記RNC(S) のRは、アルキル基を示している。
【0107】
また、上記高分子基材に官能基を導入する方法としては、上記に限定されるものではなく、例えば、コロナ処理を施した高分子基材に、官能基含有化合物を直接導入してもよい。また、例えば、官能基含有化合物と反応することができる反応性基を高分子基材に導入しておき、該反応性基と官能基含有化合物とを反応させることにより、高分子基材に官能基を導入してもよい。
【0108】
このように、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体は、柔軟性、強度、生体に対する密着性および生体適合性に優れるため、経皮カテーテル、経皮端子等の経皮医療器具;人工血管、人工器官等の人工臓器等の医療用材料として好適に使用することができる。また、本実施の形態にかかる製造方法では、従来と比べて、より一層簡単、かつ、複雑な形状のリン酸カルシウム複合体を製造することが可能である。
【0109】
特に、リン酸カルシウム焼結体としてハイドロキシアパタイトを用いる場合には、該ハイドロキシアパタイトは生体活性材料であるので、例えば、リン酸カルシウム複合体とした場合の細胞接着性が好適であり、医療用材料として好適に使用することができる。
【0110】
また、本実施の形態にかかるリン酸カルシウム複合体の上に、必要に応じて、さらに、リン酸カルシウム系の化合物を積層させることもできる。その際、積層させるリン酸カルシウム系の化合物は、上記リン酸カルシウム焼結体と同じものでもよく、異なっていてもよい。
【0111】
上記リン酸カルシウム複合体の上に、さらにリン酸カルシウム系の化合物を積層させる方法としては、具体的には、例えば、(1)重合性単量体とリン酸カルシウム系の化合物からなる混合物の粒子を、このリン酸カルシウム複合体、すなわち、高分子基材のハイドロキシアパタイト焼結体が修飾された面の上に塗布して、その後、熱、光、または放射線等により重合性単量体を重合させて固化させる方法、(2)上記リン酸カルシウム複合体をカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む溶液に浸漬して、リン酸カルシウム系の化合物を析出させる方法、(3)上記リン酸カルシウム複合体を、カルシウムイオンを含む溶液とリン酸イオンを含む溶液とに交互に浸漬して、リン酸カルシウム系の化合物を析出させる方法等が挙げられる。また、上記(1)の方法の場合には、適当な形状の型を用いることで、リン酸カルシウム系の化合物を所望の形状に積層させることができる。
【0112】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
〔実施例1〕
(リン酸カルシウム焼結体の製造方法)
本実施例では、リン酸カルシウム焼結体として、ハイドロキシアパタイト焼結体を用いている。以下に、ハイドロキシアパタイト焼結体の製造方法について説明する。
【0114】
連続オイル相としてドデカン、非イオン性界面活性剤として曇点31℃のペンタエチレングリコールドデシルエーテルを用いて、上記非イオン性界面活性剤0.5gを含有している連続オイル相40mlを調整した。次に、上記調整した連続オイル相にCa(OH)分散水溶液(2.5モル%)を10ml添加した。そして、得られた分散液を十分に攪拌した後、その水/オイル(W/O)乳濁液に1.5モル%のKHPO溶液10mlを添加して、反応温度50℃で、24時間攪拌しながら反応させた。得られた反応物を遠心分離により分離することにより、ハイドロキシアパタイトを得た。
【0115】
そして、上記ハイドロキシアパタイトを800℃の条件で、1時間加熱することにより、ハイドロキシアパタイト焼結体の粒子を得た。このハイドロキシアパタイト焼結体は、単結晶体であり、長径が100〜250nmであった。
【0116】
(官能基導入工程)
1昼夜、真空乾燥させた、高分子基材である繊維状のシルクフィブロイン(藤村製糸株式会社製、品名;羽二重、以下、SF繊維と称する)に、官能基である酸無水物を導入するために、SF繊維74.94mg、蒸留水6ml、開始剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウム41mg、界面活性剤としてペンタエチレングリコールドデシルエーテル73mg、および、官能基含有化合物として4−META273.80mgを重合ガラス管に入れ、充分に脱気・窒素ガス充填を繰り返した後、封管した。そして、50℃にて、所定時間反応させることにより、末端に酸無水物を有する高分子鎖を高分子基材にグラフト重合させたシルクフィブロイン繊維(以下、4−META−g−SFと称する)を得た。このときの、反応時間における酸無水物の導入率(%)を表1に示す。なお、上記導入率は、上記反応に使用した高分子基材の重量をag、4−META−SFの重量をbgとして、下式(1)により求めた。
【0117】
導入率(%)=((b−a)/a)×100 ・・・(1)
【0118】
【表1】
Figure 2004331723
【0119】
また、上記のようにして得られた4−META−g−SFのFT−IR分析結果は、図1に示すようになった。これらの結果により、高分子基材に、官能基が導入されたことが分かる。
【0120】
(リン酸カルシウム複合体の製造)
そして、上記ハイドロキシアパタイト焼結体の粒子をトルエン:メタノールが体積比8.8:1である混合溶媒に、5mg/mlの割合で超音波により分散させて1時間静置した。
【0121】
次に円盤状に(直径1.8cm)にくり抜いた上記4−META−g−SFを、0.01molの水酸化カリウム水溶液に10分間浸漬させることにより4−META−g−SFの官能基をイオン化させた後、これを、上記ハイドロキシアパタイト焼結体が分散している上記混合溶媒に浸漬させた。
【0122】
そして、1時間後、上記4−META−g−SFを取り出して、アセトンで十分に洗浄した後、得られた反応物を蒸留水に浸漬して、プローブ型超音波発生装置(和研薬株式会社製 型式;W−220F)にて、出力20kHz、35Wの条件で3分間処理して、未反応のハイドロキシアパタイト焼結体を除去することにより、本発明にかかるリン酸カルシウム複合体(以下、HAp/4−META−g−SF)を得た。得られたHAp/4−META−g−SFを走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図2に示す。
【0123】
上記の結果から、ハイドロキシアパタイト焼結体の粒子がSF繊維の表面に結合していることが分かる。
【0124】
(細胞接着試験)
次に、上記のようにして製造された、高分子基材にハイドロキシアパタイトが結合されたリン酸カルシウム複合体の細胞接着試験を行った。これについて以下に説明する。
【0125】
24マルチウェルディッシュに静置したHAp/4−META−g−SFおよび未処理繊維(SF繊維)に対して、マウス線維芽細胞(L929)をそれぞれ1×10個/ウェルずつ播種した。なお、上記未処理繊維とは、高分子基材のみであり、これは、比較例に相当する。そして、培養液としてα−MEM培地(10%牛血清、50IUペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、2.550μg/mlアンフォテリシンB入り)を用いて、一昼夜、培養を行った。
【0126】
培養後、HAp/4−META−g−SFおよび未処理繊維をリン酸緩衝液で十分に洗浄した後、細胞を固定した後、両者を走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果、つまり、HAp/4−META−g−SFの場合を図3、未処理繊維の場合を図4に示す。この結果より、HAp/4−META−g−SFの場合には、未処理繊維の場合と比較して、細胞接着性が著しく向上していることが分かる。
【0127】
〔実施例2〕
3つ口フラスコに、SF繊維331.07mg、コハク酸3.0g、および、脱水ジメチルホルムアミド30mlを加えて、80℃にて1時間還流を行った。その後、ジメチルホルムアミド、エタノール、蒸留水の順で洗浄を行い、凍結乾燥することにより、SF繊維に官能基として酸無水物を導入したシルクフィブロイン繊維(以下、SA−SFと称する)を得た。このとき、SF繊維に対するコハク酸の導入率は3.4重量%であった。また、上記のようにして得られたSA−SFのFT−IR分析結果は、図5に示すようになった。
【0128】
そして、4−META−g−SFの代わりに、SA−SFを用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行うことにより、本発明にかかるリン酸カルシウム複合体(以下、HAp/SA−SF)を得た。得られたHAp/SA−SFを走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図6に示す。
【0129】
上記の結果から、ハイドロキシアパタイト焼結体の粒子がSF繊維の表面に結合していることが分かる。
【0130】
(細胞接着試験)
また、実施例2で製造されたHAp/SA−SFについても細胞接着試験を行った。具体的には、HAp/4−META−g−SFの代わりにHAp/SA−SFを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、細胞接着試験を行った。そして、HAp/SA−SFに細胞を接着させたものを走査型電子顕微鏡で観察すると、図7に示すように、HAp/SA−SFの表面に細胞が接着されていることが確認された。
【0131】
【発明の効果】
以上のように、本発明のリン酸カルシウム複合体は、リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合してなる構成である。
【0132】
それゆえ、従来と比べてより簡単にリン酸カルシウム複合体を製造することができるという効果を奏する。
【0133】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記化学結合が、イオン的相互作用による結合である構成がより好ましく、上記官能基がイオン化しているイオン性官能基であることがさらに好ましい。
【0134】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、酸性官能基であり、上記酸性官能基と、リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0135】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、塩基性官能基であり、上記塩基性官能基と、リン酸カルシウムのリン酸イオンおよび/または水酸化物イオンとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0136】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記イオン性官能基は、−COOであり、上記リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンと、−COOとがイオン的相互作用によって化学結合されている構成がより好ましい。
【0137】
それゆえ、リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とを、より簡単に結合させることができる。
【0138】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記官能基を有する高分子基材は、高分子基材と4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドとを反応させてなる構成とすることで、医療用材料として好適に用いることができる。
【0139】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記高分子基材が、医療用高分子材料である構成がより好ましい。
【0140】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体は、上記医療用高分子材料が、シルクフィブロインである構成がより好ましい。
【0141】
それゆえ、上記高分子基材が医療用高分子材料であるので、生体適合性が高いリン酸カルシウム複合体を提供することができる。
【0142】
また、本発明にかかる医療用材料は、上記リン酸カルシウム複合体を用いてなる構成である。それゆえ、生体活性が高く、信頼性のより向上した医療用材料を提供することができる。
【0143】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体の製造方法は、イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる反応工程を含む構成である。これにより、従来と比べて、より簡単にリン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【0144】
また、本発明のリン酸カルシウム複合体の製造方法は、上記反応工程の前に、高分子基材に官能基を導入する官能基導入工程と、上記官能基をイオン化させるイオン化工程を含む構成とすることにより、例えば、イオン性官能基を有していない高分子基材であっても、リン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の4−META−g−SFのFT−IR分析結果を示すスペクトルである。
【図2】実施例1のリン酸カルシウム複合体の表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図面である。
【図3】実施例1のリン酸カルシウム複合体を用いて細胞接着試験を行った結果を示す走査型電子顕微鏡画像を示す図面である。
【図4】比較例である、リン酸カルシウムを結合させていない高分子基材のみを用いて細胞接着試験を行った結果を示す走査型電子顕微鏡画像を示す図面である。
【図5】実施例2のSA−SFのFT−IR分析結果を示すスペクトルである。
【図6】実施例2のリン酸カルシウム複合体の表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図面である。
【図7】実施例2のリン酸カルシウム複合体を用いて細胞接着試験を行った結果を示す走査型電子顕微鏡画像を示す図面である。

Claims (12)

  1. リン酸カルシウム焼結体と、官能基を有する高分子基材とが、化学結合を介して結合されているリン酸カルシウム複合体であって、
    上記リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合してなることを特徴とするリン酸カルシウム複合体。
  2. 上記化学結合が、イオン的相互作用による結合であることを特徴とする請求項1記載のリン酸カルシウム複合体。
  3. 上記官能基は、イオン化しているイオン性官能基であることを特徴とする請求項1または2記載のリン酸カルシウム複合体。
  4. 上記イオン性官能基は、酸性官能基であり、
    上記酸性官能基と、リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項3記載のリン酸カルシウム複合体。
  5. 上記イオン性官能基は、塩基性官能基であり、
    上記塩基性官能基と、リン酸カルシウムのリン酸イオンおよび/または水酸化物イオンとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項3記載のリン酸カルシウム複合体。
  6. 上記イオン性官能基は、−COOであり、
    上記リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンと、−COOとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項3記載のリン酸カルシウム複合体。
  7. 上記官能基を有する高分子基材は、高分子基材と4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドとを反応させてなることを特徴とする請求項1、2、3、4または6のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体。
  8. 上記高分子基材が、医療用高分子材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体。
  9. 上記医療用高分子材料が、シルクフィブロインであることを特徴とする請求項8記載のリン酸カルシウム複合体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体を用いてなる医療用材料。
  11. イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる反応工程を含むことを特徴とするリン酸カルシウム複合体の製造方法。
  12. 上記反応工程の前に、高分子基材に官能基を導入する官能基導入工程と、
    上記官能基をイオン化させるイオン化工程を含むことを特徴とする請求項11記載のリン酸カルシウム複合体の製造方法。
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