JP2004331200A - ガラス容器及びガラス容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで容易に製造でき、耐擦り傷性、クッション性、ガラス片飛散防止性能に優れたガラス容器及びその製造方法を開発する。
【解決手段】ガラス容器の少なくとも胴部の一部に熱収縮性の樹脂フィルムを接着層を介して被覆する。適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。更に内圧や衝撃に対する強度が向上するので、近年のガラス容器の軽量化の要請にも貢献する。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラス容器の少なくとも胴部の一部に熱収縮性の樹脂フィルムを接着層を介して被覆する。適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。更に内圧や衝撃に対する強度が向上するので、近年のガラス容器の軽量化の要請にも貢献する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦り傷性に優れ、万一破壊したときにガラス片が飛散しにくいガラス容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−301681、特開2001−253440、特開2002−59932、特開2002−347769、特開2002−347770にはガラス容器の胴部外周面にコーティング被膜や印刷被膜を形成し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与し、破壊した際のガラス片の飛散を防止する技術が開示されている。
【0003】
実開昭47−37467、実開昭61−8529、特開昭52−135381、特開昭55−38269には、ガラス容器の胴部に樹脂シート又はフィルムを被覆し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与する技術が開示されている。特開昭57−51154には、ガラス容器胴部外周面に発泡性被覆層と熱収縮性樹脂フィルム層を形成し、2層構造とすることで密着性とクッション性を高める技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のガラス容器の胴部外周面にコーティング被膜や印刷被膜を形成する技術は、ガラス容器外周面に樹脂を塗布・乾燥する工程、加熱して樹脂を硬化させる工程が必要で、これらはオフライン工程(ガラス容器の成形ラインとは別個のラインで行う工程)とならざるを得ず、装置が大規模となりコスト高となっていた。また、コーティングにより樹脂被膜を形成する場合、材質が塗料化できるものに限定される他、被膜の厚さのばらつきを所定の範囲内とする被膜厚の管理が困難であり、被膜が所定の厚さよりも薄くなりクッション性やガラス片の飛散防止性能が不十分な製品が製造される可能性があった。また、印刷により被膜を形成する場合は、形成する被膜の厚さに限度があり、クッション性やガラス片の飛散防止性能が不十分であった。
【0005】
前記の、ガラス容器の胴部に樹脂フィルムを被覆し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与する技術は、熱収縮性の樹脂フィルムを用いることでガラス容器に容易に樹脂フィルムを被覆することができ(オンラインが可能)、耐擦り傷性を付与できるのであるが、単にフィルムの収縮力だけでガラス表面に支持されているだけなので、位置ずれを生じたり、ガラス容器が破壊したときのガラス片の飛散を防止する効果が小さいという問題があった。
【0006】
前記の、ガラス容器胴部外周面に発泡性被覆層と熱収縮性樹脂フィルムの2層構造を形成する技術は、耐擦り傷性を付与できるばかりでなく、クッション性が向上し、密着性を高めて位置ずれを防止でき、ガラス容器が破壊したときのガラス片の飛散防止にもある程度の効果があるが、ガラス容器外周面に発泡性樹脂を塗布・乾燥する工程、熱収縮性樹脂フィルムを装着する工程、熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる加熱工程、発泡性樹脂を発泡させる加熱工程が必要で、工程数が多すぎ、しかもこれらの工程がオフライン工程であるから極めてコスト高になり、実用的でないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも胴部の一部に熱収縮性の樹脂フィルムを接着層を介して被覆したことを特徴とするガラス容器である。
【0008】
本発明のガラス容器は、胴部に熱収縮性の樹脂フィルムを被覆したので、適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。また、内圧や衝撃に対する強度が向上するので、近年のガラス容器の軽量化(肉厚を薄くする)の要請にも貢献するものである。
【0009】
樹脂フィルムの材質は、熱収縮性であれば特に限定されないが、例えば、スチレンブタジエンゴムやソフトウレタン樹脂単体、或いはポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂に熱可塑性エラストマー(EPDM、三井化学社製タフマー、クラレ製ハイブラー;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、クラレ製セプトン;スチレン−(エチレン−ブテン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレンブロック共重合体SEPSなど)をブレンドしたものを使用できる。
【0010】
樹脂フィルムは接着層を介してガラス容器に被覆される。すなわち、樹脂フィルムはガラス容器に接着している。そのためには、ガラス容器側にあらかじめ接着剤を塗布しておく方法と、接着層付きの樹脂フィルムを用いる方法とがあるが、後者の方が製造が容易である。接着層を構成する接着樹脂としては、特に限定されないが、酸変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなどを用いることができる。また、エチレンメタクリル酸コポリマー、アイオノマー、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸三元系共重合体、エチレン・メタクリレートなどを用いることもできる。
【0011】
樹脂フィルムの厚さは、10〜300μm程度が望ましい。薄すぎると収縮時に破断するおそれがあり、クッション性も低下する。また、飛散防止性能にも劣る。厚すぎるとガラス面との間に気泡が入ったり、密着性に問題が生じることがある。
【0012】
樹脂フィルムの熱収縮率は縦方向が−30〜5%、更に好ましくは−10〜2%、横方向が10〜50%とすることが望ましい。縦方向がほとんど熱収縮しないか、若干伸びるものであると、被覆する幅が一定となって所望の部分を確実に被覆できるばかりでなく、フィルムとガラス面との間に気泡が残りにくく密着性が高くなる。横方向の熱収縮率は10%以下であれば密着性が損なわれるおそれがあり、50%を越えるとフィルムにストレスがかかりすぎてフィルムが破損するおそれがある。樹脂フィルムはフラット法、チューブラ法による延伸フィルム、及びフラット法、チューブラ法による未延伸フィルムを別工程で延伸したもの等を用いることができる。
例えば、チューブラ法のインフレーションフィルムはブロ−比を大きくしても、収縮率が先の範囲に入らないことがあり、この場合予め温間で樹脂フィルムの縦方向の収縮を除いたあと、周方向に冷間乃至は温間で延伸加工することにより、収縮率を先の範囲にすることができる。
【0013】
樹脂フィルムは継ぎ目のあるものを用いることも可能であるが、継ぎ目のないスリーブ状のものを用いると、被覆した部分に継ぎ目が表れず、密封性、耐久性に優れるとともに仕上がりが美しくなる。
【0014】
ガラス容器の外周面にはホットエンド処理を施しておくことができる。ホットエンド処理は、ガラス容器が成形直後のまだ高温のときに酸化スズや酸化チタンのコーティング被膜を形成する処理である。ホットエンド処理を施しておくとガラス面と樹脂フィルムとのなじみがよくなって密着性がさらに向上する。
【0015】
また本発明は、ガラス容器の胴部を予熱する工程と、該胴部外周に前記樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程とを有することを特徴とする前記本発明のガラス容器の製造方法である。本発明方法によれば、所望のクッション性、耐擦り傷性を有し、ガラス片飛散防止性能に優れたガラス容器を低コストで容易に製造することができる。
【0016】
樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程において、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱して行うことができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱することで樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することもできる。このようにすると、樹脂フィルムが下部から順次上部に向かって収縮するので、フィルムとガラス面との間に気泡が残存することがなく、密着性が更に向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1に示すガラス容器Gは、いわゆるガラスびんであり、このようなガラス容器は一般に口部1、首部2、肩部3及び胴部4を有する。このようなガラス容器の各部の領域は必ずしも明確ではなく、習慣的にある意味では漠然とこのような部分に分けて称呼される。本発明において樹脂フィルムで被覆する部分は「少なくとも胴部の一部」であり、この場合の「胴部」は必ずしも明確に定義される必要はなく、「少なくとも胴部の一部」は「いわゆるコンタクトポイントを含む部分」と同意義である。コンタクトポイントとは、ガラス容器の製造工程、充填工程、ハンドリング時などで、容器どうしが最も接触しやすい部分、すなわち、最も外側に張り出した部分である。更に、コンタクトポイント以外の部分を含めて他の部分まで樹脂フィルムで被覆することを妨げない。すなわち、口部、首部、肩部など胴部以外の部分を同時に被覆してもかまわない。また、コンタクトポイントの一部を被覆するものも含まれる。
【0018】
図1のガラス容器Gは中央の胴部(円筒形部分)が最も径大で外側に張り出したコンタクトポイントとなっている。図1(A)〜(C)は、いずれも「少なくとも胴部の一部」を樹脂フィルム5で被覆した本発明の実施形態であり、(A)は胴部の下部のみ、(B)は胴部の上部と下部のみ、(C)は胴部の全体を被覆している例である。
【0019】
樹脂フィルム5は継ぎ目のないスリーブ状をなし、例えば図2に示すように、長尺の筒状に形成されてドラム6に巻き取られたものを適宜寸法にカッター7で切断して得られる。この場合、例えば、厚さ45μmのポリエチレンの主層の内側に厚さ15μmのエチレンメタクリル酸コポリマー(EMAA)の接着層が形成された接着層付きの樹脂フィルムとすることができる。また、樹脂フィルムの熱収縮率は、例えば、縦方向がほぼ0%、横方向が30%のものを使用することができる。
この収縮率の樹脂フィルムを得るために、予め温間で樹脂フィルムの縦方向の収縮を除いたあと、周方向に冷間乃至は温間で延伸加工してもよい。
【0020】
次に、図3に基づいて、本発明のガラス容器の製造方法のうち、樹脂フィルムとして熱収縮性樹脂フィルムを用い、ガラス容器Gに樹脂フィルム5を被覆する工程を説明する。
本発明のガラス容器の製造方法は、ガラス容器を予熱する工程と、ガラス容器の胴部外周面にスリーブ状の樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程とを有する。
【0021】
図3(A)は、ガラス容器Gを予熱する工程の説明図である。予熱装置10はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。加熱温度は、樹脂フィルムの接着層の材質の融点を超えないで高い温度が望ましい。接着層の材質に融点99℃のEMAA樹脂を用いる場合には約90℃が適当である。この温度が高すぎると樹脂フィルム5をガラス容器Gに装着するときに樹脂フィルムが不均一に接着してしまい、低すぎると樹脂フィルムの収縮が不均一になるおそれがある。予熱はガラス容器の樹脂フィルムで被覆する部分(この場合は胴部下部)を重点的に行えばよいが、その他の部分を予熱しても差し支えない。
【0022】
図3(B)は、ガラス容器Gの胴部下部にスリーブ状の樹脂フィルム5をセットする工程の説明図である。フィルム装着装置11は筒状をなし、内面にバキュームによってフィルムの外周を吸着する吸着孔12が多数設けられている。バキュームで内部にスリーブ状の樹脂フィルムを保持した状態でフィルム装着装置11がガラス容器Gの上から下降し、ガラス容器の胴部下部に樹脂フィルムをセットする。その後、装置11はバキュームを切って、樹脂フィルム5をガラス容器の胴部下部に残して上昇する。樹脂フィルムの直径は容器胴部の最大径より約1mm程度大きくすると、スムースに装着でき、その後装置11のバキュームを切ったときに、スリーブ状の樹脂フィルムは楕円形になろうとする傾向があるので、下方にずり落ちないで所定の位置に保持される。直径が小さすぎると胴部に入らず、大きすぎると下方にずり落ちるおそれがある。この場合は、樹脂フィルム5は更にフィルムガイド16にて支持されている。
【0023】
図3(C)は、樹脂フィルム5を加熱収縮させてガラス容器の胴部下部に密着させる工程の説明図である。加熱装置はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。この場合、加熱装置13は上部14と下部15からなり、樹脂フィルム5が主層が厚さ45μmのポリプロピレン、接着層が厚さ15μmのEMAA樹脂である場合、上部14は約150℃、下部15は約200℃の熱風を吹き出すものとすると、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。このように、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱することで、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の外周に均一に密着・接着させることができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱するなどして、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによっても、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。
【0024】
さらに、図4に基づいて、他の本発明のガラス容器の製造方法を、樹脂フィルムとして熱収縮性樹脂フィルムを用い、ガラス容器Gに樹脂フィルム5を被覆する工程を説明するが、前述した図3に基づく本発明のガラス容器の製造方法に用いられた装置と同じ装置は同一の符号を付す。
このガラス容器の製造方法は、ガラス容器の胴部外周面にスリーブ状の樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程と、少なくとも該樹脂フィルムを密着させた胴部を加熱し、該胴部と前記樹脂フィルムを接着させる工程とを有する。
【0025】
図4(A)は、ガラス容器Gの胴部下部にスリーブ状の樹脂フィルム5をセットする工程の説明図である。フィルム装着装置11は筒状をなし、内面にバキュームによってフィルムの外周を吸着する吸着孔12が多数設けられている。バキュームで内部にスリーブ状の樹脂フィルムを保持した状態でフィルム装着装置11がガラス容器Gの上から下降し、ガラス容器の胴部下部に樹脂フィルムをセットする。その後、装置11はバキュームを切って、樹脂フィルム5をガラス容器の胴部下部に残して上昇する。樹脂フィルムの直径は容器胴部の最大径より約1mm程度大きくすると、スムースに装着でき、その後装置11のバキュームを切ったときに、スリーブ状の樹脂フィルムは楕円形になろうとする傾向があるので、下方にずり落ちないで所定の位置に保持される。直径が小さすぎると胴部に入らず、大きすぎると下方にずり落ちるおそれがある。この場合は、樹脂フィルム5は更にフィルムガイド16にて支持されている。
【0026】
図4(B)は、樹脂フィルム5を加熱収縮させてガラス容器の胴部下部に密着させる工程の説明図である。加熱装置はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。この場合、加熱装置13は上部14と下部15からなり、樹脂フィルム5が主層が厚さ45μmのポリプロピレン、接着層が厚さ15μmのEMAA樹脂である場合、上部14は約150℃、下部15は約200℃の熱風を吹き出すものとすると、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。このように、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱することで、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の外周に均一に密着・接着させることができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱するなどして、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによっても、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。
【0027】
図4(C)は、少なくとも該樹脂フィルムを密着させた胴部を加熱し、該胴部と前記樹脂フィルムを接着させる工程の説明図である。加熱装置10´はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。加熱温度は、樹脂フィルムの接着層材質の融点を超える高い温度が望ましい。接着層材質に融点99℃のEMAA樹脂を用いる場合には100℃以上、300℃以下が適当である。この温度が高すぎると樹脂フィルムが熱乃至酸化劣化するとともに、ガラス容器の冷却に時間を要する。低すぎると十分な接着力が得られなくなる、あるいは十分な接着力を得るのに時間を要するおそれがある。
【0028】
【発明の効果】
本発明のガラス容器は、胴部に熱収縮性の樹脂フィルムを被覆したので、適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。また、内圧や衝撃に対する強度が向上するので、ガラス容器の軽量化にも貢献するものである。
【0029】
本発明のガラス容器の製造方法は、所望のクッション性、耐擦り傷性を有し、ガラス片飛散防止性能に優れたガラス容器を低コストで容易に製造することができる。また、多品種・小ロットの製造にも適している。
【0030】
樹脂フィルムを加熱収縮させる工程において、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱するか、又は、加熱装置を上方に移動しながら加熱すると、樹脂フィルムが下部から順次上部に向かって収縮するので、フィルムとガラス面との間に気泡が残存することがなく、密着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂フィルム5を被覆したガラス容器Gの説明図である。
【図2】樹脂フィルム5の説明図である。
【図3】ガラス容器Gの胴部下部に樹脂フィルム5を被覆する工程の説明図である。
【図4】ガラス容器Gの胴部下部に樹脂フィルム5を被覆する他の工程の説明図である。
【符号の説明】
G ガラス容器
1 口部
2 首部
3 肩部
4 胴部
5 樹脂フィルム
6 ドラム
7 カッター
10 予熱装置
10´加熱装置
11 フィルム装着装置
12 吸着孔
13 加熱装置
14 上部
15 下部
16 フィルムガイド
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦り傷性に優れ、万一破壊したときにガラス片が飛散しにくいガラス容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−301681、特開2001−253440、特開2002−59932、特開2002−347769、特開2002−347770にはガラス容器の胴部外周面にコーティング被膜や印刷被膜を形成し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与し、破壊した際のガラス片の飛散を防止する技術が開示されている。
【0003】
実開昭47−37467、実開昭61−8529、特開昭52−135381、特開昭55−38269には、ガラス容器の胴部に樹脂シート又はフィルムを被覆し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与する技術が開示されている。特開昭57−51154には、ガラス容器胴部外周面に発泡性被覆層と熱収縮性樹脂フィルム層を形成し、2層構造とすることで密着性とクッション性を高める技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のガラス容器の胴部外周面にコーティング被膜や印刷被膜を形成する技術は、ガラス容器外周面に樹脂を塗布・乾燥する工程、加熱して樹脂を硬化させる工程が必要で、これらはオフライン工程(ガラス容器の成形ラインとは別個のラインで行う工程)とならざるを得ず、装置が大規模となりコスト高となっていた。また、コーティングにより樹脂被膜を形成する場合、材質が塗料化できるものに限定される他、被膜の厚さのばらつきを所定の範囲内とする被膜厚の管理が困難であり、被膜が所定の厚さよりも薄くなりクッション性やガラス片の飛散防止性能が不十分な製品が製造される可能性があった。また、印刷により被膜を形成する場合は、形成する被膜の厚さに限度があり、クッション性やガラス片の飛散防止性能が不十分であった。
【0005】
前記の、ガラス容器の胴部に樹脂フィルムを被覆し、ガラス容器に耐擦り傷性を付与する技術は、熱収縮性の樹脂フィルムを用いることでガラス容器に容易に樹脂フィルムを被覆することができ(オンラインが可能)、耐擦り傷性を付与できるのであるが、単にフィルムの収縮力だけでガラス表面に支持されているだけなので、位置ずれを生じたり、ガラス容器が破壊したときのガラス片の飛散を防止する効果が小さいという問題があった。
【0006】
前記の、ガラス容器胴部外周面に発泡性被覆層と熱収縮性樹脂フィルムの2層構造を形成する技術は、耐擦り傷性を付与できるばかりでなく、クッション性が向上し、密着性を高めて位置ずれを防止でき、ガラス容器が破壊したときのガラス片の飛散防止にもある程度の効果があるが、ガラス容器外周面に発泡性樹脂を塗布・乾燥する工程、熱収縮性樹脂フィルムを装着する工程、熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる加熱工程、発泡性樹脂を発泡させる加熱工程が必要で、工程数が多すぎ、しかもこれらの工程がオフライン工程であるから極めてコスト高になり、実用的でないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも胴部の一部に熱収縮性の樹脂フィルムを接着層を介して被覆したことを特徴とするガラス容器である。
【0008】
本発明のガラス容器は、胴部に熱収縮性の樹脂フィルムを被覆したので、適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。また、内圧や衝撃に対する強度が向上するので、近年のガラス容器の軽量化(肉厚を薄くする)の要請にも貢献するものである。
【0009】
樹脂フィルムの材質は、熱収縮性であれば特に限定されないが、例えば、スチレンブタジエンゴムやソフトウレタン樹脂単体、或いはポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂に熱可塑性エラストマー(EPDM、三井化学社製タフマー、クラレ製ハイブラー;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、クラレ製セプトン;スチレン−(エチレン−ブテン)−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレンブロック共重合体SEPSなど)をブレンドしたものを使用できる。
【0010】
樹脂フィルムは接着層を介してガラス容器に被覆される。すなわち、樹脂フィルムはガラス容器に接着している。そのためには、ガラス容器側にあらかじめ接着剤を塗布しておく方法と、接着層付きの樹脂フィルムを用いる方法とがあるが、後者の方が製造が容易である。接着層を構成する接着樹脂としては、特に限定されないが、酸変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなどを用いることができる。また、エチレンメタクリル酸コポリマー、アイオノマー、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸三元系共重合体、エチレン・メタクリレートなどを用いることもできる。
【0011】
樹脂フィルムの厚さは、10〜300μm程度が望ましい。薄すぎると収縮時に破断するおそれがあり、クッション性も低下する。また、飛散防止性能にも劣る。厚すぎるとガラス面との間に気泡が入ったり、密着性に問題が生じることがある。
【0012】
樹脂フィルムの熱収縮率は縦方向が−30〜5%、更に好ましくは−10〜2%、横方向が10〜50%とすることが望ましい。縦方向がほとんど熱収縮しないか、若干伸びるものであると、被覆する幅が一定となって所望の部分を確実に被覆できるばかりでなく、フィルムとガラス面との間に気泡が残りにくく密着性が高くなる。横方向の熱収縮率は10%以下であれば密着性が損なわれるおそれがあり、50%を越えるとフィルムにストレスがかかりすぎてフィルムが破損するおそれがある。樹脂フィルムはフラット法、チューブラ法による延伸フィルム、及びフラット法、チューブラ法による未延伸フィルムを別工程で延伸したもの等を用いることができる。
例えば、チューブラ法のインフレーションフィルムはブロ−比を大きくしても、収縮率が先の範囲に入らないことがあり、この場合予め温間で樹脂フィルムの縦方向の収縮を除いたあと、周方向に冷間乃至は温間で延伸加工することにより、収縮率を先の範囲にすることができる。
【0013】
樹脂フィルムは継ぎ目のあるものを用いることも可能であるが、継ぎ目のないスリーブ状のものを用いると、被覆した部分に継ぎ目が表れず、密封性、耐久性に優れるとともに仕上がりが美しくなる。
【0014】
ガラス容器の外周面にはホットエンド処理を施しておくことができる。ホットエンド処理は、ガラス容器が成形直後のまだ高温のときに酸化スズや酸化チタンのコーティング被膜を形成する処理である。ホットエンド処理を施しておくとガラス面と樹脂フィルムとのなじみがよくなって密着性がさらに向上する。
【0015】
また本発明は、ガラス容器の胴部を予熱する工程と、該胴部外周に前記樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程とを有することを特徴とする前記本発明のガラス容器の製造方法である。本発明方法によれば、所望のクッション性、耐擦り傷性を有し、ガラス片飛散防止性能に優れたガラス容器を低コストで容易に製造することができる。
【0016】
樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程において、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱して行うことができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱することで樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することもできる。このようにすると、樹脂フィルムが下部から順次上部に向かって収縮するので、フィルムとガラス面との間に気泡が残存することがなく、密着性が更に向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1に示すガラス容器Gは、いわゆるガラスびんであり、このようなガラス容器は一般に口部1、首部2、肩部3及び胴部4を有する。このようなガラス容器の各部の領域は必ずしも明確ではなく、習慣的にある意味では漠然とこのような部分に分けて称呼される。本発明において樹脂フィルムで被覆する部分は「少なくとも胴部の一部」であり、この場合の「胴部」は必ずしも明確に定義される必要はなく、「少なくとも胴部の一部」は「いわゆるコンタクトポイントを含む部分」と同意義である。コンタクトポイントとは、ガラス容器の製造工程、充填工程、ハンドリング時などで、容器どうしが最も接触しやすい部分、すなわち、最も外側に張り出した部分である。更に、コンタクトポイント以外の部分を含めて他の部分まで樹脂フィルムで被覆することを妨げない。すなわち、口部、首部、肩部など胴部以外の部分を同時に被覆してもかまわない。また、コンタクトポイントの一部を被覆するものも含まれる。
【0018】
図1のガラス容器Gは中央の胴部(円筒形部分)が最も径大で外側に張り出したコンタクトポイントとなっている。図1(A)〜(C)は、いずれも「少なくとも胴部の一部」を樹脂フィルム5で被覆した本発明の実施形態であり、(A)は胴部の下部のみ、(B)は胴部の上部と下部のみ、(C)は胴部の全体を被覆している例である。
【0019】
樹脂フィルム5は継ぎ目のないスリーブ状をなし、例えば図2に示すように、長尺の筒状に形成されてドラム6に巻き取られたものを適宜寸法にカッター7で切断して得られる。この場合、例えば、厚さ45μmのポリエチレンの主層の内側に厚さ15μmのエチレンメタクリル酸コポリマー(EMAA)の接着層が形成された接着層付きの樹脂フィルムとすることができる。また、樹脂フィルムの熱収縮率は、例えば、縦方向がほぼ0%、横方向が30%のものを使用することができる。
この収縮率の樹脂フィルムを得るために、予め温間で樹脂フィルムの縦方向の収縮を除いたあと、周方向に冷間乃至は温間で延伸加工してもよい。
【0020】
次に、図3に基づいて、本発明のガラス容器の製造方法のうち、樹脂フィルムとして熱収縮性樹脂フィルムを用い、ガラス容器Gに樹脂フィルム5を被覆する工程を説明する。
本発明のガラス容器の製造方法は、ガラス容器を予熱する工程と、ガラス容器の胴部外周面にスリーブ状の樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程とを有する。
【0021】
図3(A)は、ガラス容器Gを予熱する工程の説明図である。予熱装置10はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。加熱温度は、樹脂フィルムの接着層の材質の融点を超えないで高い温度が望ましい。接着層の材質に融点99℃のEMAA樹脂を用いる場合には約90℃が適当である。この温度が高すぎると樹脂フィルム5をガラス容器Gに装着するときに樹脂フィルムが不均一に接着してしまい、低すぎると樹脂フィルムの収縮が不均一になるおそれがある。予熱はガラス容器の樹脂フィルムで被覆する部分(この場合は胴部下部)を重点的に行えばよいが、その他の部分を予熱しても差し支えない。
【0022】
図3(B)は、ガラス容器Gの胴部下部にスリーブ状の樹脂フィルム5をセットする工程の説明図である。フィルム装着装置11は筒状をなし、内面にバキュームによってフィルムの外周を吸着する吸着孔12が多数設けられている。バキュームで内部にスリーブ状の樹脂フィルムを保持した状態でフィルム装着装置11がガラス容器Gの上から下降し、ガラス容器の胴部下部に樹脂フィルムをセットする。その後、装置11はバキュームを切って、樹脂フィルム5をガラス容器の胴部下部に残して上昇する。樹脂フィルムの直径は容器胴部の最大径より約1mm程度大きくすると、スムースに装着でき、その後装置11のバキュームを切ったときに、スリーブ状の樹脂フィルムは楕円形になろうとする傾向があるので、下方にずり落ちないで所定の位置に保持される。直径が小さすぎると胴部に入らず、大きすぎると下方にずり落ちるおそれがある。この場合は、樹脂フィルム5は更にフィルムガイド16にて支持されている。
【0023】
図3(C)は、樹脂フィルム5を加熱収縮させてガラス容器の胴部下部に密着させる工程の説明図である。加熱装置はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。この場合、加熱装置13は上部14と下部15からなり、樹脂フィルム5が主層が厚さ45μmのポリプロピレン、接着層が厚さ15μmのEMAA樹脂である場合、上部14は約150℃、下部15は約200℃の熱風を吹き出すものとすると、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。このように、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱することで、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の外周に均一に密着・接着させることができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱するなどして、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによっても、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。
【0024】
さらに、図4に基づいて、他の本発明のガラス容器の製造方法を、樹脂フィルムとして熱収縮性樹脂フィルムを用い、ガラス容器Gに樹脂フィルム5を被覆する工程を説明するが、前述した図3に基づく本発明のガラス容器の製造方法に用いられた装置と同じ装置は同一の符号を付す。
このガラス容器の製造方法は、ガラス容器の胴部外周面にスリーブ状の樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムを加熱収縮させてガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程と、少なくとも該樹脂フィルムを密着させた胴部を加熱し、該胴部と前記樹脂フィルムを接着させる工程とを有する。
【0025】
図4(A)は、ガラス容器Gの胴部下部にスリーブ状の樹脂フィルム5をセットする工程の説明図である。フィルム装着装置11は筒状をなし、内面にバキュームによってフィルムの外周を吸着する吸着孔12が多数設けられている。バキュームで内部にスリーブ状の樹脂フィルムを保持した状態でフィルム装着装置11がガラス容器Gの上から下降し、ガラス容器の胴部下部に樹脂フィルムをセットする。その後、装置11はバキュームを切って、樹脂フィルム5をガラス容器の胴部下部に残して上昇する。樹脂フィルムの直径は容器胴部の最大径より約1mm程度大きくすると、スムースに装着でき、その後装置11のバキュームを切ったときに、スリーブ状の樹脂フィルムは楕円形になろうとする傾向があるので、下方にずり落ちないで所定の位置に保持される。直径が小さすぎると胴部に入らず、大きすぎると下方にずり落ちるおそれがある。この場合は、樹脂フィルム5は更にフィルムガイド16にて支持されている。
【0026】
図4(B)は、樹脂フィルム5を加熱収縮させてガラス容器の胴部下部に密着させる工程の説明図である。加熱装置はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。この場合、加熱装置13は上部14と下部15からなり、樹脂フィルム5が主層が厚さ45μmのポリプロピレン、接着層が厚さ15μmのEMAA樹脂である場合、上部14は約150℃、下部15は約200℃の熱風を吹き出すものとすると、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。このように、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱することで、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の外周に均一に密着・接着させることができる。また、加熱装置を上方に移動しながら加熱するなどして、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによっても、樹脂フィルムは下側から上側に向かって順次収縮してフィルムとガラス面との間の空気を追い出し、フィルムをガラス容器の胴部下部に均一に密着・接着させることができる。
【0027】
図4(C)は、少なくとも該樹脂フィルムを密着させた胴部を加熱し、該胴部と前記樹脂フィルムを接着させる工程の説明図である。加熱装置10´はリング状をなし、内側から熱又は熱風を放射するもので、その種別は問わない。加熱温度は、樹脂フィルムの接着層材質の融点を超える高い温度が望ましい。接着層材質に融点99℃のEMAA樹脂を用いる場合には100℃以上、300℃以下が適当である。この温度が高すぎると樹脂フィルムが熱乃至酸化劣化するとともに、ガラス容器の冷却に時間を要する。低すぎると十分な接着力が得られなくなる、あるいは十分な接着力を得るのに時間を要するおそれがある。
【0028】
【発明の効果】
本発明のガラス容器は、胴部に熱収縮性の樹脂フィルムを被覆したので、適宜の材質、厚さのフィルムを用いることで所望のクッション性、耐擦り傷性を得ることができる。樹脂フィルムは接着層を介して被覆するので、位置ずれをおこすことが無く、万一破壊したときのガラス片飛散防止性能に優れる。また、熱収縮性の樹脂フィルムはガラス容器の成形におけるオンライン工程で被覆することが可能なので、本発明ガラス容器は低コストで製造することができる。また、内圧や衝撃に対する強度が向上するので、ガラス容器の軽量化にも貢献するものである。
【0029】
本発明のガラス容器の製造方法は、所望のクッション性、耐擦り傷性を有し、ガラス片飛散防止性能に優れたガラス容器を低コストで容易に製造することができる。また、多品種・小ロットの製造にも適している。
【0030】
樹脂フィルムを加熱収縮させる工程において、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱するか、又は、加熱装置を上方に移動しながら加熱すると、樹脂フィルムが下部から順次上部に向かって収縮するので、フィルムとガラス面との間に気泡が残存することがなく、密着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂フィルム5を被覆したガラス容器Gの説明図である。
【図2】樹脂フィルム5の説明図である。
【図3】ガラス容器Gの胴部下部に樹脂フィルム5を被覆する工程の説明図である。
【図4】ガラス容器Gの胴部下部に樹脂フィルム5を被覆する他の工程の説明図である。
【符号の説明】
G ガラス容器
1 口部
2 首部
3 肩部
4 胴部
5 樹脂フィルム
6 ドラム
7 カッター
10 予熱装置
10´加熱装置
11 フィルム装着装置
12 吸着孔
13 加熱装置
14 上部
15 下部
16 フィルムガイド
Claims (14)
- 少なくとも胴部の一部に樹脂フィルムを接着層を介して被覆したことを特徴とするガラス容器
- 請求項1のガラス容器において、前記樹脂フィルムが熱収縮性樹脂フィルムで、厚さが10〜300μmであることを特徴とするガラス容器
- 請求項1又は2のガラス容器において、前記樹脂フィルムが接着層付きの樹脂フィルムであることを特徴とするガラス容器
- 請求項2又は3のガラス容器において、前記熱収縮性樹脂フィルムの熱収縮率が、縦方向−30〜5%、横方向10〜50%であることを特徴とするガラス容器
- 請求項1〜4のいずれかのガラス容器において、前記樹脂フィルムが継ぎ目のないスリーブ状の樹脂フィルムであることを特徴とするガラス容器
- 請求項1〜5のいずれかのガラス容器において、容器の外周面がホットエンド処理を施されていることを特徴とするガラス容器
- ガラス容器の胴部を予熱する工程と、該胴部外周に前記樹脂フィルムをセットする工程と、樹脂フィルムをガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかのガラス容器の製造方法
- 請求項7のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムをガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程が、前記樹脂フィルムを熱収縮性樹脂フィルムとし、加熱収縮させて行うことを特徴とするガラス容器の製造方法。
- 請求項8のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムの加熱収縮を、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱して行うことを特徴とするガラス容器の製造方法。
- 請求項8のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムの加熱収縮を、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによって行うことを特徴とするガラス容器の製造方法
- ガラス容器の胴部外周に前記樹脂フィルムをセットする工程と、該樹脂フィルムをガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程と、少なくとも該樹脂フィルムを密着させた胴部を加熱し、該胴部と前記樹脂フィルムを接着させる工程とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかのガラス容器の製造方法
- 請求項11のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムをガラス容器の少なくとも胴部の一部に密着させる工程が、前記樹脂フィルムを熱収縮性樹脂フィルムとし、加熱収縮させて行うことを特徴とするガラス容器の製造方法。
- 請求項12のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムの加熱収縮を、樹脂フィルムの下部を比較的高温で、上部を比較的低温で加熱して行うことを特徴とするガラス容器の製造方法。
- 請求項8のガラス容器の製造方法において、前記樹脂フィルムの加熱収縮を、樹脂フィルムの下部から順次上部に向かって加熱することによって行うことを特徴とするガラス容器の製造方法
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JP2003132844A JP2004331200A (ja) | 2003-05-12 | 2003-05-12 | ガラス容器及びガラス容器の製造方法 |
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USD908008S1 (en) | 2010-05-10 | 2021-01-19 | Owens-Brockway Glass Container Inc. | Bottle |
-
2003
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