JP2004331027A - 空調装置及び開口部開閉判断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷房によって室内空間(2)の温度が低下している時において、空調装置の内気温度センサ(9)により検出される内気温度の温度勾配が所定のマイナス温度勾配(−△T/△S)よりも緩やかとなる場合はドア(4)が開いていると判断する。また、上記温度勾配が所定のマイナス温度勾配よりも急となる場合はドア(4)が閉じていると判断する。これにより、空調制御に用いられる既存の内気温度センサ9の測定値に基づいてドア4の開閉を判断するので、低コストでドア4の開閉を判断できる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建機用の車両の運転席に用いて好適な、ドア開閉判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建機用車両の車室内空間を空調装置にて空調するものが、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3268185号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば上記のような建機用車両においては、周囲の作業員との連絡や注意等を行うために、乗員が乗降用ドアを開いた状態のまま使用する頻度が高い。従って、車室内に外気が流入することによって車室内の空調が損なわれ、乗員への空調フィーリングが悪化する。
【0005】
そこで、上記のような問題を解決するために、ドアに開閉状態検出用センサを設け、ドアが開いているときに、乗員に与える空調風の体感がより大きく得られるように制御する、ということが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の解決方法の場合はドアの開閉状態検出センサを別途設ける必要があり、コストアップしてしまうという問題がある。
【0007】
そこで本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、開閉状態検出センサを別途設けることなく、ドアの開閉状態を判断できる装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するにあたり、本発明者は、室内空間(2)の温度が、開口部(4)の開閉状態によって影響を受けるということに着目した。
【0009】
そこで、請求項1記載の発明では、温度測定手段(9)で測定した室内空間(2)の温度が、入力手段により入力された目標温度となるように空調制御する空調手段(11、12)を有する空調装置において、目標温度と室内空間温度との温度差が所定値を超える場合に、温度測定手段(9)に基づいて演算された室内空間(2)の温度変化により開口部(4)の開閉状態を判断するようにしたことを特徴とする。
【0010】
これにより、空調制御に用いられる既存の温度測定手段(9)の測定値に基づいて開口部(4)の開閉を判断するので、開閉状態検出センサを別途設ける場合に比べて低コストで開口部(4)の開閉を判断できる。
【0011】
尚、室内空間温度が比較的高い状態から冷房を行う場合、この室内空間温度はマイナス勾配で低下するが、そのときの温度勾配の度合いは、開口部(4)が開いているときは小さく、開口部が閉じているときは大きい。
【0012】
そこで請求項2及び請求項3記載の発明は、このことに着目してなされたものであり、所定のマイナス勾配を設定し、温度勾配演算手段(10)によって演算された温度勾配がこのマイナス勾配よりも緩やかなときは開口部(4)が開いていると判断し(請求項2)、あるいはこのマイナス勾配よりも急なときは開口部が閉じていると判断する(請求項3)ようにしたものである。
【0013】
また、冷房によって室内空間温度が目標温度に近い状態となっているときに開口部が開くと、この室内空間温度がプラス勾配で上昇する。
【0014】
そこで、請求項4記載の発明は、このことに着目してなされたものであり、温度勾配演算手段(10)によって演算された温度勾配に基づいて、室内空間(2)の温度が上昇していると判断された場合に、開口部(4)が開いていると判断するようにしたものである。
【0015】
請求項5記載の本発明では、温度測定手段(9)に基づいて演算された室内空間(2)の温度勾配により開口部(4)が開いた事を判断するようにしたことを特徴とする。
【0016】
これにより、開口部(4)に開閉状態検出センサを設けることなく、室内空間温度を測定するために設けられた既存の温度測定手段(9)により開口部(4)の開閉状態を判断することができる。
【0017】
また、この請求項5記載の発明は、請求項6記載の発明のように、室内空間(2)を車室内空間(2)とすることができる。
【0018】
尚、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜図10に示す。本実施形態は、夏場において、建機用の車両(例えば、油圧式ショベルカー等)の車室2のドア4の開閉を、室内温度変化に基づいて判断し、ドアが開いているときに、乗員に与える空調風の体感がより大きく得られるように制御するようにしたものである。
【0020】
図1に示すように、建機用の車両では、箱型を成す車室2の内部に運転席3を有し、この運転席3の左側に乗降用ドア4、前方に窓5が設けられている。
【0021】
車両用空調装置1の本体部分は、運転席3の後方下部に設けられている。乗員の前方には前方ベント吹出口6、乗員の肩後方には後方ベント吹出口7、乗員の足元にはフット吹出口8が設けられ、後述する図2で示す各ダクト、即ち、前方ベントダクト6a、後方ベントダクト7a、フットダクト8aにより車両用空調装置1の本体部分と接続されるようにしている。
【0022】
前方ベント吹出口6は、乗員の身体に対向するように設けられ、主に乗員の上半身側に向けて、また、後方ベント吹出口7は、主に乗員の上半身側で、車室2の上方に向けて空調風が吹き出すようにしている。そして、フット吹出口8は、主に乗員の下半身側、具体的には足元に向けて空調風が吹き出すようになっている。
【0023】
また、車両用空調装置1には内気温センサ9と、図示しない外気温センサ、日射量センサが設けられており、それらの検出信号は後述する制御装置10に入力されている。
【0024】
一方、運転席の右側には、エアコンのON−OFFスイッチ、オート切替えスイッチ、空調温度設定スイッチ、送風量切替えスイッチ、内外気切替えスイッチ、吹出モード切替えスイッチなどが配置された図示しない操作部が設けられており、この操作部からの上記各種信号も制御装置10に入力される。
【0025】
次に図2を用いて車両用空調装置1の基本構成に着いて説明する。車両用空調装置1は、送風機ユニット11、空調ユニット12、制御装置10および図示しない操作部から構成される。
【0026】
送風機ユニット11は、送風機ユニットケース11a内に内外気切替えドア13、フィルタ14および送風機15が設けられたものである。送風機ユニットケース11aの最上流側には内外気切替えドア13が設置されている。この内外気切替えドア13は、内外気モードを形成するものであり、内気吸い込み口16と外気吸いこみ口17とが分かれた部分に設置され、図示しないアクチュエータにより回動し、送風機ユニットケース11a内に導入する空気の内気と外気の割合を選択する。
【0027】
フィルタ14は、空気中に含まれる塵、埃等の異物を除去するものであり、内外気切替えドア13の下流側に設けられている。更にその下流側の送風機ユニットケース11aには渦巻状を成すスクロール部18が形成されており、後述する空調ユニット12の空調ユニットケース12aに連通するようにしている。そして、スクロール部18内には、送風機15が配設されるようにしている。
【0028】
送風機15は、遠心式のファン19と直流式のブロワモータ20とから成る周知のものである。この送風機15は内気吸い込み口16あるいは外気吸い込み口17から空気を吸い込み、この空気が空調ユニットケース12a内で空調された後に、前方ベント吹出口6、後方ベント吹出口7、フット吹出口8から吹き出すように作動する。
【0029】
次に、空調ユニット12は、空調ユニットケース12a内に、エバポレータ21、ヒータコア22、エアミックスドア23および各吹出口6、7、8を開閉する各ドア6b、7b、8bが設けられたものである。
【0030】
空調ユニットケース12a内において、上記の送風機15の下流側となる位置にエバポレータ21、ヒータコア22が設けられている。エバポレータ21は、図示しないコンプレッサにより作動する周知の冷凍サイクルを構成するものであり、内部を流通する冷媒が蒸発する際に自身を通過する空気を冷却する熱交換器である。ヒータコア22は図示しないエンジンのエンジン冷却水が内部を循環し、この冷却水を熱源として自身を通過する空気を加熱する熱交換器である。
【0031】
ヒータコア22の上流側にはエアミックスドア23が設けられており、図示しないアクチュエータにより回動し、エアミックスドア23の開度が調節されることによって、ヒータコア22を通過する空気とヒータコア22をバイパスする空気の割合とが調整され、最下流の車室2内に吹き出す空気の温度がコントロールされる。
【0032】
空調ユニットケース12aの最下流側には、図1で説明した前方ベント吹出口6、後方ベント吹出口7およびフット吹出口8に接続される前方ベントダクト6a、後方ベントダクト7a、およびフットダクト8aが設けられており、この各ダクト6a、7a、8aには各吹出口6、7、8を開閉するための前方ベントドア6b、後方ベントドア7b、およびフットドア8bが設けられている。これらの各ドア6b、7b、8bは後述する制御装置10によって作動制御されるサーボモータ24によって、リンク機構25を介して回動されることで各吹出口6、7、8を開閉するようにしている。
【0033】
そして、温度コントロールされた空気は、各ドア6b、7b、8bの開閉状態(吹出モード)に応じて各吹出口6、7、8から吹き出される。尚、ここでは吹出モードとして、前方ベントドア6bと、後方ベントドア7bが開かれ、フットドア8bが閉じられる前後吹出モード(図3参照)と、前方ベントドア6bと後方ベントドア7bが閉じられ、フットドア8bが開かれるフットモード(図4参照)と、前方ベントドア6bと後方ベントドア7bとフットドア8bがそれぞれ半開状態となるバイレベル(以下、B/L)モード(図5参照)の3つのモードに加えて、冷房時において、乗降用ドア4が開けられた時、乗員の空調フィーリング向上のために、前方ベントドア6bのみが開かれ、他の後方ベントドア7bとフットドア8bが閉じられるスポット吹出モード(図1参照)を設けるようにしている。
【0034】
尚、上述したリンク機構25は、これらの吹出モード(前後吹出モード、フットモード、B/Lモードおよびスポット吹出モード)に対応するように各ドア6b、7b、8bを開閉する機構に設定されている。
【0035】
制御装置10は、本発明の入力手段としての空調温度設定スイッチからの設定温度信号や、内気温センサ9、図示しない外気温センサ、日射センサからの各種信号を基にして、送風機15の作動電圧、各ドア13、6b、7b、8bの開閉状態を制御するものである。この制御装置10の内部には中央演算処理装置(以下、CPU)、ROM、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換機能等が設けられ、それ自体は周知のものである。
【0036】
ROMには、内外気切替えドア13の開度を決定する内外気モード制御特性、送風機15の作動電圧を決定する印加電圧制御特性、エアミックスドア23の開度を決定する開度制御特性、吹出モードを選択する吹出モード制御特性が記憶されている。ここで制御特性とは、後述する演算値に対する内外気モード、送風機電圧、エアミックスドア23の開度、吹出モードの関係を表すもので、例えば吹出モード制御特性については図8、9に示すようなものである。
【0037】
上記演算値は、上記空調温度設定スイッチにて設定された設定温度と、内気温センサ9で測定された内気温度との偏差に対し、更に上記外気温センサにより測定された外気温度と、上記日射センサにより測定された日射量等の外乱の影響を考慮して演算された値であり、その値が小さいほど暑い状態、演算値が大きいほど寒い状態を示す。
【0038】
次に、本実施形態の空調制御の流れについて図6〜図9を用いて説明する。
【0039】
まず、図6に示すフローチャートに基づいて、制御装置10が行う制御の流れを説明する。制御装置10は車両用空調装置1全体の作動制御について、図示しない車両のIGスイッチのONと共に制御を開始し、ステップS10で、各種変換やフラグ等の初期値を設定する。
【0040】
そしてステップS20で、内気温度センサ9、および図示しない外気温度センサ、日射センサ、操作部から環境条件としての内気温度信号、外気温度信号、日射量信号、設定温度信号などの各種信号を入力する。
【0041】
次にステップS30に進み、上記ステップS20で取り込んだ信号から演算値を算出する。そしてステップS40で、上記演算値と、予めROMに記憶されたエアミックスドア23の開度制御特性とに基づいて、エアミックスドア23の開度を決定し、その開度となるように制御し、各吹出口6、7、8から車室2内へ吹き出される空気の温度をコントロールする。
【0042】
次にステップS50に進み、予めROMに記憶された印加電圧特性から、演算値に対応する送風機15への印加電圧を決定し、その印加電圧となるように制御し、車室2内へ吹き出される送風量を制御する。
【0043】
次にステップS60に進み、予めROMに記憶された内外気モード制御特性から、演算値に対応する内外気モードを決定し、その内外気モードとなるように制御する。
【0044】
次にステップS70に進み、予めROMに記憶された図8または図9の吹出モード制御特性から、吹出モードを決定し、その吹出モードとなるように前方ベントドア6b、後方ベントドア7b、フットドア8bを回動させるサーボモータ24を駆動制御する。
【0045】
次にステップS80に進み、図示しないコンプレッサの制御を行う。ステップS80の処理後、ステップS20に戻って再び各種信号を読み込み、ステップS20〜ステップS80により空調の制御が繰り返される。
【0046】
次に、本実施形態の要部であるステップS70での吹出モードの選択方法について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7において、ステップS71は図示しない操作部に配置された吹出モード切替えスイッチからの信号から、現在吹出モード選択が自動選択モードか手動選択モードかを判断する。吹出モード選択が手動選択モードの場合、ステップS79へ進み、ドア4の開閉と関係なく、図示しない操作部からの吹出モード選択信号にしたがって吹出モードを制御する。吹出モード選択が自動選択モードである場合、今度はステップS72へ進む。
【0047】
ステップS72では、上記設定温度と、内気温度センサ9から入力される内気温度信号より、設定温度と内気温度の温度差(=内気温度−設定温度)を演算し、ステップS73へ進む。
【0048】
ステップS73では、上記温度差が所定値Y(本実施形態では2℃)以上か否かを判断する。そして、その温度差がある所定値未満であるとすると、ステップS78へ進み、後述する通常の吹出モード制御を行う。温度差が所定値以上と判断するとステップS74へ進む。
【0049】
ここで、温度差が所定値Y未満のときには、内気温度が設定温度に十分近づいており、内気温度が設定温度近辺で微小変動を繰り返すことから、この場合に後述するステップS76の判断を行うと、このステップS76にて誤判断されてしまう問題がある。そこで、本実施形態では、この誤判断を避けるために、温度差が所定値Y未満のときにはステップS73にてNOと判断されるようにして、ステップS76の判断を行わないようにしている。
【0050】
ステップS74では、内気温度の温度勾配(単位時間あたりの温度変化量)を演算し、ステップS75へ進む。
【0051】
ステップS75では、ステップS74で演算された内気温度の温度勾配より、内気温度が下降中であるかどうかを判断する。ここで、NOと判断される場合、すなわち冷房中にも関わらず内気温度が下降中でない場合としては、冷房によって内気温度が設定温度に近い状態となっているときにドアが開き、内気温度がプラス勾配で上昇したという状況が考え得る。従って、この場合にはドア4が開いていると判断してステップS77へ進み、スポット吹出モード制御を行う。内気温度が下降中の場合はステップS76へ進む。
【0052】
ステップS76では、ステップS74で演算された温度勾配が所定のマイナス勾配(−△T/△S)よりも急か緩やかかを判断する。すなわち、内気温度が比較的高い状態から冷房を行う場合、この内気温度はマイナス勾配で低下するが、そのときの温度勾配は、ドア4が開いているときは緩やかで、ドア4が閉じているときは急となるので、このことに基づいてドア4の開閉を判断する。
【0053】
そして、緩やかと判断された場合は、ドア4が開いていると判断してステップS77へ進み、急な場合はドア4が閉じていると判断してステップS78進む。
【0054】
ここで、所定のマイナス勾配とは、ドア4が閉まっている状態における冷房時温度低下中の温度勾配の平均値と、ドア4が開いている状態における冷房時温度低下中の温度勾配の平均値をそれぞれ計算し、そのほぼ中間値とする。
【0055】
次にステップS78の通常の吹出モード制御と、ステップS77のスポット吹出モード制御について図8、図9を用いて述べる。
【0056】
図8(a)は通常の吹出モード制御時の外気温度の変化に応じた吹出モードの制御特性である。外気温度が高くなるにつれて、フットモード→B/Lモードあるいはフットモード→B/Lモードあるいは前後吹出モード→前後吹出モードの順になるように制御特性を定めている。これは、フットモードは暖房時、B/Lモードは中間温度空調、前後吹出モードは冷房時に対応するようにしたものである。
【0057】
図8(b)は通常の吹出モード制御時の演算値の変化に応じた吹出モードの制御特性である。演算値が高くなるにつれて、フットモード→B/Lモード→前後吹出モードの順になるように制御特性を定めている。
【0058】
通常吹き出しモード制御は、図8(a)から選択された第一候補と図8(b)から選択された第二候補とを照らし合わせ、第一候補と第二候補が矛盾を起こすような場合には第一候補を優先する。
【0059】
図9(a)はスポット吹出モード制御時の外気温度の変化に応じた吹出モードの制御特性である。図8(a)の通常の吹出モード制御特性との違いは、図8(a)の通常の吹出モード制御特性において前後吹出モードになるような外気温度のときに、図9(a)ではスポット吹出モードになるところである。
【0060】
図9(b)はスポット吹出モード制御時の演算値の変化に応じた吹出モードの制御特性である。図9(a)と同様に、図8(b)の通常の吹出モード制御特性との違いは、図8(b)の通常の吹出モード制御特性において前後吹出モードになるような演算値のときに、図9(b)ではスポット吹出モードになるところである。
【0061】
スポット吹出モード制御においても、図9(a)から選択された第一候補と図9(b)から選択された第二候補とを照らし合わせ、第一候補と第二候補が矛盾を起こすような場合には第一候補を優先する。
【0062】
(本実施の形態の作動)
次に本実施の形態の作動について、夏場に冷房が行われる場合について説明する。図10はドア4の開閉状態と吹出モード、内気温度センサの温度変化を示す図である。時刻t0において、図示しない操作部に配置されたエアコンON−OFFスイッチからの信号によりエアコンがONにされると、制御装置10による吹出モード制御が始まる。時刻t0では、内気温度は設定温度X℃よりもY℃以上高く、温度勾配(−T1/△S)(破線(ア))は下降しており、かつその勾配は所定の勾配(−T/△S)(破線(イ))よりも緩やかであるので、車室2のドア4が開いているものと判断してスポット吹出モード制御を行う。これにより、乗員に与える空調風の体感をより大きくでき、ドア4が開いていることによる空調フィーリングの悪化を防止することができる。
【0063】
時刻t1に車室2のドア4が閉じられると、時刻t2において、内気温度は設定温度X℃よりもY℃以上高く、温度変化の勾配(−T2/△S)(破線(ウ))は下降しており、かつその度合いは、所定の勾配(−T/△S)(破線(エ))よりも急である。よって、車室2のドア4、もしくは窓が閉じられたものと判断してスポット吹出モード制御をやめ、通常の吹出モード制御を行う。
【0064】
また、時刻t3において、車室2のドア4が開かれると、時刻t4には内気温度は設定温度X℃よりもY℃以上高く、内気温度は更に上昇する傾向にあり、プラス勾配となるので、車室2のドア4が開かれたものと判断してスポット吹出モード制御に切替える。
【0065】
時刻t5において、再び車室2のドア4が閉じられると、時刻t6には時刻t2と同様に、内気温度は設定温度X℃よりもY℃以上高く、温度変化の勾配(−T4/△S)(破線(オ))は下降しており、かつその度合いは所定の勾配(−T/△S)(破線(カ))よりも急である。よって、車室2のドア4、もしくは窓が閉じられたものと判断してスポット吹出モード制御をやめ、通常の吹出モード制御を行う。
【0066】
(本実施形態の効果)
このように、本実施形態によると、空調制御に用いられる既存の内気温度センサ9の測定値に基づいてドア4の開閉を判断するので、開閉状態検出センサを別途設ける場合に比べて低コストでドア4の開閉を判断できる。
【0067】
さらに、ドア4が開いていると判断されたときには、スポット吹出モードにて空調を行うので、ドア4が開いているときでも、運転者の空調フィーリングの低下を抑制できる。
【0068】
(他の実施形態)
上記実施形態では、ステップS75において、所定勾配をドア4が閉まっている状態における冷房時温度低下中の温度勾配の平均値と、ドア4が開いている状態における冷房時温度低下中の温度勾配の平均値をそれぞれ計算し、そのほぼ中間値としたが、他の基準で定めた勾配としても良い。
【0069】
また、上記実施形態では建機用車両の空調装置に適用した例について説明したが、乗用車等の車両に適用しても良いし、空調装置以外の装置に適用しても良い。
【0070】
また、上記実施形態のステップS75では、ステップS74で演算された温度勾配に基づいて温度が上昇していると判断されたときにステップS77に進むようにしたが、このステップS75での判断方法として、所定のプラス勾配を設定し、実際の温度勾配がこのプラス勾配よりも急なときにステップS77へ進むようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の前方ベント吹出口からのスポット空調を表す図である。
【図2】本実施形態のエアコンユニットの模式図である。
【図3】前方ベント吹出口および、後方ベント吹出口からの前後吹出モードを表す図である。
【図4】フット吹出口からのフットモードを表す図である。
【図5】前方ベント吹出口、後方ベント吹出口および、フット吹出口からのバイレベルモードを表す図である。
【図6】制御装置が行う制御の流れを表すフローチャートである。
【図7】吹出モード制御の選択法を表すフローチャートである。
【図8】通常の吹出モードの選択方法を表す図である。
【図9】スポット吹出モードの選択方法を表す図である。
【図10】ドア4の開閉状態と吹出モード制御と内気温度センサの検出温度の時間変化を表す図である。
【符号の説明】
1…車両用空調装置、
2…車室、
6…前方ベント吹出口、
6a…前方ベントダクト、
6b…前方ベントドア、
7…後方ベント吹出口、
8…フット吹出口、
9…内気温度センサ、
10…制御装置、
11…送風機ユニット、
12…空調ユニット、
14…フィルタ、
20…ブロワモータ、
24…サーボモータ、
25…リンク機構。
Claims (6)
- 開口部(4)を有する室内空間(2)を空調する空調手段(11、12)と、
前記室内空間(2)の目標温度を入力する入力手段と、
前記室内空間(2)の温度を測定する温度測定手段(9)と、
前記温度測定手段(9)によって測定された前記室内空間(2)の温度が、前記入力手段により入力された目標温度となるように空調手段を制御する空調制御手段(10)と、
前記温度測定手段(9)によって測定された前記室内空間(2)の温度に基づいて、前記室内空間(2)の温度の勾配を演算する温度勾配演算手段(10)とを有し、
前記空調手段(11、12)により前記室内空間(2)の温度を調節中に、前記入力手段により入力された目標温度と、前記温度測定手段により測定された前記室内空間(2)の温度との温度差が所定値を超える場合、前記温度勾配演算手段(10)の演算結果に基づいて前記開口部(4)の開閉を判断する事を特徴とする空調装置。 - 前記空調手段(11、12)による冷房中でかつ前記室内空間(2)の温度が低下している時であって、前記温度勾配演算手段(10)の演算結果が所定のマイナス勾配よりも緩やかな場合に、前記開口部(4)が開いていると判断する事を特徴とする請求項1記載の空調装置。
- 前記空調手段(11,12)による冷房中でかつ前記空調空間(2)の温度が低下している時であって、前記温度勾配演算手段(10)の演算結果が所定のマイナス勾配よりも急な場合に、前記開口部(4)が閉じていると判断する事を特徴とする請求項1記載の空調装置。
- 前記空調手段(11,12)による冷房中に、温度勾配演算手段(10)の演算結果に基づいて、前記室内空間(2)の温度が上昇していると判断された場合に、前記開口部(4)が開いていると判断する事を特徴とする請求項1記載の空調装置。
- 室内空間(2)の開口部(4)開閉状態を判断する開口部開閉判断装置であって、
前記室内空間(2)の温度を測定する温度測定手段(9)と、
前記温度測定手段(9)によって測定された前記室内空間(2)の温度に基づいて前記室内空間(2)の温度の勾配を演算する温度勾配演算手段(10)とを有し、
前記温度勾配演算手段(10)の演算結果に基づいて前記開口部(4)の開閉を判断する事を特徴とする開口部開閉判断装置。 - 前記室内空間(2)は、車室内空間(2)であることを特徴とする請求項5記載の開口部開閉判断装置。
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2003
- 2003-05-12 JP JP2003133673A patent/JP2004331027A/ja active Pending
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