JP2004330867A - 車両用酸素富化装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両内に新らたな酸素濃度検出手段を設けることなく車室内の酸素濃度を推定でき、高地においても乗員に十分な酸素を供給できる車両用酸素富化装置の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明では、ナビゲーション装置1等の車両の位置情報に基づいて車室内酸素濃度を推定し、これが所定値以下と推定されるときに、酸素富化装置2を作動させて車室内に酸素3を供給している。車両の位置情報としては、車両が走行する地域の高度位置情報や長距離トンネル等の外気を導入するのに不適当な地域の位置情報を利用するようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、ナビゲーション装置1等の車両の位置情報に基づいて車室内酸素濃度を推定し、これが所定値以下と推定されるときに、酸素富化装置2を作動させて車室内に酸素3を供給している。車両の位置情報としては、車両が走行する地域の高度位置情報や長距離トンネル等の外気を導入するのに不適当な地域の位置情報を利用するようにしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の乗員に対して快適な車室内環境を提供するために、車室内に十分な酸素を供給する車両用酸素富化装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両、特に自動車においては、気候(例えば気温)や走行条件に関係なく乗員に対して、疲労回復、眠気、乗物酔い等の防止を図れる快適な環境を提供することが大切である。
ところで、一般に地球上の酸素濃度は21%程度と言われており、この中で人間は肺を通してこの割合に応じた酸素圧力によって血液中に酸素を取り込んでいる。また、この酸素濃度が20.5%程度まで低下してくると運動能力等に低下が生じると言われている。
【0003】
そのため、車室内に酸素富化装置を設けて、窒素成分が除去された酸素富化空気を車室内に供給することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、自動車の車室内は喫煙の可能性もあり、余りに酸素濃度を高くすることは好ましくない。そのため、上記特許文献1による公知の技術では、車室内に酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を設け、この検出値に基づいて酸素富化装置の作動を制御して車室内の酸素濃度を所定値になるようにしている。
しかしながら、この特許文献1のものでは、新らたに車室内に酸素濃度検出手段を設ける必要があるという問題がある。
【0004】
また、運転者の運転に対する集中力を回復させ、長時間にわたって持続させることができる運転環境制御装置も知られている(例えば特許文献2参照。)。この特許文献2による公知の運転環境制御装置は、車速センサ、ナビゲーション装置、ライトスィッチ等の車両の走行状態を計測する走行状態計測手段による情報に基づいて、単調運転の度合いを判定し、この度合いに応じて酸素提供装置、香り提供装置、イオン提供装置等の環境提供手段を作動させて、車室内の環境を変え運転者の運転に対する集中力を回復させ、長時間にわたって持続させるようにしたものである。この場合、ナビゲーション装置を使用して車両の現在位置を検出し、高速道路走行、一般道路走行、渋滞走行、交通規制走行、昼間走行、夜間走行などの車両の走行条件を検出して、環境提供手段を作動させているが、車室内の酸素濃度等の車室内の環境を直接に判断する手段がないために、車室内環境と環境提供手段の作動とのずれが生じる恐れがある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−43812号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−178744号公報(第3,4,5頁、第1,5図)
【0006】
即ち、車両室内においては、外部との換気が十分に行われている場合、人体の近辺の酸素濃度は21%程度になっており、乗員にとって特に問題はないが、車両が走行する地域によってそのようにならない場合がある。例えば、海抜1000m以上の高地を走行する場合、気圧は何%のオーダーで低下し、その場合体内の肺胞にかかる圧力が低下し、それに準じて酸素圧力も低下し、体内への酸素取り込みが見掛け上、20.5%を下回る場合も出てくる。
また、高速道路の長距離トンネルを走行する場合、外気が排気ガスで充満しているので外気の導入を行うことが出来ず、車室内の酸素濃度が低下する場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両内に新らたな酸素濃度検出手段を設けることなく、車室内の酸素濃度を推定することができ、例えば高度地域の走行中等において、乗員に十分な酸素量を供給でき、乗員の酸素吸収を促進させ、覚醒度の向上を図ることができる車両用酸素富化装置の制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載の車両用酸素富化装置の制御装置を提供する。
請求項1に記載の車両用酸素富化装置の制御装置は、ナビゲーション装置等の車両の位置情報に基づいて車室内酸素濃度を推定し、これが所定値以下と推定されるときに、車両に搭載された酸素富化装置を作動させて車室内に酸素を供給するようにしたものである。これにより、新らたに酸素濃度検出手段を設けることなく、既存のナビゲーション装置等車両の位置情報を利用して、車室内の環境を把握し乗員に十分な酸素を供給することができる。
【0009】
請求項2の該制御装置は、車両の位置情報として車両が走行する地域の高度位置情報を利用するようにしたものであり、これにより、車両が酸素濃度が薄い高地を走行するような場合でも、車室内に酸素を供給して乗員の運動能力等の低下を防止することができる。
請求項3の該制御装置は、車両の位置情報として外気を導入するのに不適当な地域の位置情報を利用するようにしたものであり、これにより、長距離トンネルのような外気が車両の排気ガスが充満していて外気を導入するのが不可能な地域においても、酸素富化装置を作動させて、乗員に十分な酸素を供給することができる。
【0010】
請求項4の該制御装置は、車両が酸素富化装置に加えて、香り発生装置を備えていて、酸素富化装置の作動と共に香り発生装置も作動させ、メントール系のような覚醒度を上げる香りを車室内に供給させるようにしたものであり、これにより、酸素と同時にメントール系の香りを供給できるので、乗員の酸素吸収を促進させ、覚醒度の一層の向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態の車両用酸素富化装置の制御装置について説明する。図1は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置における全体構成を示す概念図である。符号1は、車両の位置情報を検出し出力するナビゲーション装置を示しており、符号2は車室内に酸素を供給する酸素富化装置を示しており、符号3は酸素富化装置2から車室内に供給される酸素を示している。
【0012】
本発明のナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出すると共に、この検出した現在位置と道路地図データとに基づいて、車両の現在地の高度位置を推定する推定手段と、該推定手段によって得られた推定値と所定の高度であることを示す、予め定められた所定値とを比較する比較手段と、該比較手段による比較結果に基づき、酸素富化装置2の作動を制御する制御手段とを含んでいる。この推定手段及び比較手段は、例えば、予め緯度・経度に対する位置情報に対し、そこが所定高度以上であるか否かの情報をインプットしておき、位置に対する高度判定ができるようにしておけばよい。
【0013】
図2は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動を説明するフローチャートである。まず、ナビゲーション装置1がステップS1で車両の緯度・経度等の位置情報を検出する。次いで、ナビゲーション装置1は、この検出された位置情報に基づいて、この位置の高度を推定する(ステップS2)。次いでナビゲーション装置1はステップS3で、ステップS2で得られた推定値と予め決められた高度の所定値とを比較し、推定値が所定値以上であるかどうかを判定する。判定結果がYESの場合は、ステップS4でナビゲーション装置1の制御手段は、信号を出力し酸素富化装置2を作動し、車室内に酸素を供給する。判定結果がNOの場合は、ステップS5で酸素富化装置2を作動させず、ルーチンはスタート位置に戻る。
【0014】
このようにして、ナビゲーション装置1の車両の位置情報により、この車両の位置の高度を推定し、これから車室内の酸素濃度を推定するようにしている。したがって、車両が酸素濃度が低い高地を走行しているときに、車室内に確実に酸素を供給することができ、乗員の酸素不足による運動能力等の低下を防止することができる。
【0015】
本発明に用いられる酸素富化装置2は、車両に搭載可能であればいずれの方式を採用した酸素富化装置2であってもよいが、例えば、図3に示すような方式の酸素富化装置2が考えられる。図3(a)は、透過膜方式による酸素富化装置の概念図を示している。この透過膜方式自体は、よく知られた方式である。例えば、ポリカーボネートシリコン共重合体より形成された透過膜10の片側に空気を導入し、この透過膜10を空気が透過することによって、酸素富化空気が得られる。この場合、空気導入側を正圧状態にし、酸素富化空気側を負圧状態にする。その結果、透過膜10の両界面部間には、その時の分圧差に応じて高圧(正圧)側から低圧(負圧)側への主として酸素分子の透過が行われる。この透過は、具体的には、溶解と拡散の組合せによって生じる。
【0016】
即ち、ポリカーボネートシリコン共重合体よりなる透過膜10の表面に空気が接すると、空気中の酸素分子及び窒素分子は先ず透過膜10の表面に吸着し、次いで分子移動により内部に溶け込む溶解作用を生じる。溶解作用によって透過膜10内部に侵入した酸素分子と窒素分子は、拡散作用によって更に膜10の内部に移動し、やがて膜10の低圧側から脱離して出て行き、これらの作用の連続により全体として気体分子の透過現象が生じる。
【0017】
この場合、酸素及び窒素の各気体分子の透過量は、気体分子の透過係数、圧力差、通過面積、時間及び膜厚の諸因子によって決められる。したがって、圧力差、通過面積、時間及び膜厚を所定の数値で与えると、透過量は気体分子の透過係数によって決められる。この透過係数は、透過膜10の組成によって決められ、例えば、ポリカーボネートシリコン共重合体のものでは、酸素分子の透過係数が窒素分子の透過係数に比べて約3倍程大きい。したがって、透過膜10を透過した空気は、酸素富化空気が得られる。
この酸素濃度は、膜の前後の供給側と取出側の圧力差、即ち分圧比によって決定することができ、これにより、供給酸素の絶対量を供給側のブロワと取出側の真空ポンプを制御することで任意にコントロールすることができるものである。
【0018】
図3(b)は、周知のボンベ方式又は薬品方式による酸素富化装置2を示しており、ボンベ方式では、工業的に製造された酸素を充填したボンベ20から、必要に応じ酸素を噴射させるようにしたものである。また薬品方式による酸素富化装置2は、2つの物質による化学反応によって酸素を取り出すものであり、例えば硫酸酸性の過酸化水素水21に過マンガン酸カリウム水溶液22を滴下するようにして酸素を取り出したり、酸化マンガンで過酸化水素を分解して酸素を取り出したりする等の周知の方法を用いればよいものである。
【0019】
図3(c)は、公知の窒素吸着分離方式(PSA方式)による酸素富化装置2の概念図を示している。この窒素吸着分離方式の酸素富化装置2は、例えばモレキュラシーブス(米国ユニオンカーバイト社の商品名)と呼ばれる人造ゼオライトよりなる窒素吸着剤31を内蔵した容器30A,30Bを2つ並列に配置し、弁の切り替えにより、これらの容器30A,30Bに交互にポンプ32より空気を供給することで、窒素を吸着剤31に吸着させて酸素を送り出すようにするものである。この場合、一方の容器30Aで窒素の吸着作用を行っているときは、他方の容器30Bでは、窒素吸着剤31のパージを行って、窒素を排出させるようにする。
【0020】
このモレキュラシーブスは、合成結晶アルミノシリケートの含水金属塩よりなり、金属塩に含まれている多量の結晶水を加熱脱離することによって形成されたもので、結晶水の除去によって形成された結晶格子による所定径の多数の空洞の内壁に被吸着分子を吸着するようになっている。この結晶格子はポリアニンよりなり、一般に窒素は、酸素に比較してポリアニンに対する親和性が高い。したがって、容器30A内に導入された空気は、ポリアニンとの親和性の高い分子(窒素分子)だけが吸着されることになり(分子ふるい作用)、一方、酸素は窒素よりもポリアニンとの親和性が低いために吸着されない。従って、窒素吸着剤31中に取り込まれた窒素を一定周期でパージしてやると、吸着状態で滞留する窒素は排出口側から外部に放出されると共に、酸素取出口側からは通過分離された酸素のみを連続的に取り出して、車室内に供給することができる。
なお、この窒素吸着分離方式による酸素富化装置2においても、ポンプ32による空気の供給量を変えることによって、その酸素の供給量を任意にコントロールすることができる。
【0021】
図4は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の別の実施形態の作動を示すフローチャートである。即ち、先ずステップS10で、ナビゲーション装置1により車両の位置情報を検出する。次いで、ナビゲーション装置1はステップS11で検出された位置情報から予め入力されている道路地図データに基づいて、長距離トンネルを走行中であるかどうかを推定する。次いで、ステップS12で長距離トンネルを走行中であると判定されたときは、ステップS13に移り、ナビゲーション装置1は、信号を発信して酸素富化装置2を作動させ、車室内に酸素を供給する。一方、ステップS12で長距離トンネルを走行中でないと判定されたときは、ステップS14に移り、酸素富化装置2を作動させないで、ルーチンはスタートへと戻る。
【0022】
このように長距離トンネル内のように排気ガスが充満し、車室内に外気を導入することで車室内の酸素濃度を維持することができない環境をナビゲーション装置1の道路地図情報により、見つけ出し車室内に酸素を供給することで、車室内の環境の悪化を防止できる。
【0023】
また、酸素富化装置2に加えて、メントール系等の香りを放出する香り発生器(図示せず)を車室内に装備し、ナビゲーション装置1内の制御手段により、酸素富化装置2を作動させるときに、一緒に香り発生器を作動させるようにしてもよい。これにより、車室内に酸素を供給すると共に、メントール系等の香りを発生させることで、乗員の覚醒度を向上させ、酸素富化の効果をよりアピールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の車両用酸素富化装置の制御装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動を示すフローチャートである。
【図3】車両用酸素富化装置の3つの方式である、(a)透過膜方式、(b)ボンベ方式、薬品方式及び(c)窒素分離吸着(PSA)方式を説明する図である。
【図4】本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動における別の実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ナビゲーション装置
2…酸素富化装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の乗員に対して快適な車室内環境を提供するために、車室内に十分な酸素を供給する車両用酸素富化装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両、特に自動車においては、気候(例えば気温)や走行条件に関係なく乗員に対して、疲労回復、眠気、乗物酔い等の防止を図れる快適な環境を提供することが大切である。
ところで、一般に地球上の酸素濃度は21%程度と言われており、この中で人間は肺を通してこの割合に応じた酸素圧力によって血液中に酸素を取り込んでいる。また、この酸素濃度が20.5%程度まで低下してくると運動能力等に低下が生じると言われている。
【0003】
そのため、車室内に酸素富化装置を設けて、窒素成分が除去された酸素富化空気を車室内に供給することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、自動車の車室内は喫煙の可能性もあり、余りに酸素濃度を高くすることは好ましくない。そのため、上記特許文献1による公知の技術では、車室内に酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を設け、この検出値に基づいて酸素富化装置の作動を制御して車室内の酸素濃度を所定値になるようにしている。
しかしながら、この特許文献1のものでは、新らたに車室内に酸素濃度検出手段を設ける必要があるという問題がある。
【0004】
また、運転者の運転に対する集中力を回復させ、長時間にわたって持続させることができる運転環境制御装置も知られている(例えば特許文献2参照。)。この特許文献2による公知の運転環境制御装置は、車速センサ、ナビゲーション装置、ライトスィッチ等の車両の走行状態を計測する走行状態計測手段による情報に基づいて、単調運転の度合いを判定し、この度合いに応じて酸素提供装置、香り提供装置、イオン提供装置等の環境提供手段を作動させて、車室内の環境を変え運転者の運転に対する集中力を回復させ、長時間にわたって持続させるようにしたものである。この場合、ナビゲーション装置を使用して車両の現在位置を検出し、高速道路走行、一般道路走行、渋滞走行、交通規制走行、昼間走行、夜間走行などの車両の走行条件を検出して、環境提供手段を作動させているが、車室内の酸素濃度等の車室内の環境を直接に判断する手段がないために、車室内環境と環境提供手段の作動とのずれが生じる恐れがある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−43812号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−178744号公報(第3,4,5頁、第1,5図)
【0006】
即ち、車両室内においては、外部との換気が十分に行われている場合、人体の近辺の酸素濃度は21%程度になっており、乗員にとって特に問題はないが、車両が走行する地域によってそのようにならない場合がある。例えば、海抜1000m以上の高地を走行する場合、気圧は何%のオーダーで低下し、その場合体内の肺胞にかかる圧力が低下し、それに準じて酸素圧力も低下し、体内への酸素取り込みが見掛け上、20.5%を下回る場合も出てくる。
また、高速道路の長距離トンネルを走行する場合、外気が排気ガスで充満しているので外気の導入を行うことが出来ず、車室内の酸素濃度が低下する場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両内に新らたな酸素濃度検出手段を設けることなく、車室内の酸素濃度を推定することができ、例えば高度地域の走行中等において、乗員に十分な酸素量を供給でき、乗員の酸素吸収を促進させ、覚醒度の向上を図ることができる車両用酸素富化装置の制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載の車両用酸素富化装置の制御装置を提供する。
請求項1に記載の車両用酸素富化装置の制御装置は、ナビゲーション装置等の車両の位置情報に基づいて車室内酸素濃度を推定し、これが所定値以下と推定されるときに、車両に搭載された酸素富化装置を作動させて車室内に酸素を供給するようにしたものである。これにより、新らたに酸素濃度検出手段を設けることなく、既存のナビゲーション装置等車両の位置情報を利用して、車室内の環境を把握し乗員に十分な酸素を供給することができる。
【0009】
請求項2の該制御装置は、車両の位置情報として車両が走行する地域の高度位置情報を利用するようにしたものであり、これにより、車両が酸素濃度が薄い高地を走行するような場合でも、車室内に酸素を供給して乗員の運動能力等の低下を防止することができる。
請求項3の該制御装置は、車両の位置情報として外気を導入するのに不適当な地域の位置情報を利用するようにしたものであり、これにより、長距離トンネルのような外気が車両の排気ガスが充満していて外気を導入するのが不可能な地域においても、酸素富化装置を作動させて、乗員に十分な酸素を供給することができる。
【0010】
請求項4の該制御装置は、車両が酸素富化装置に加えて、香り発生装置を備えていて、酸素富化装置の作動と共に香り発生装置も作動させ、メントール系のような覚醒度を上げる香りを車室内に供給させるようにしたものであり、これにより、酸素と同時にメントール系の香りを供給できるので、乗員の酸素吸収を促進させ、覚醒度の一層の向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態の車両用酸素富化装置の制御装置について説明する。図1は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置における全体構成を示す概念図である。符号1は、車両の位置情報を検出し出力するナビゲーション装置を示しており、符号2は車室内に酸素を供給する酸素富化装置を示しており、符号3は酸素富化装置2から車室内に供給される酸素を示している。
【0012】
本発明のナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出すると共に、この検出した現在位置と道路地図データとに基づいて、車両の現在地の高度位置を推定する推定手段と、該推定手段によって得られた推定値と所定の高度であることを示す、予め定められた所定値とを比較する比較手段と、該比較手段による比較結果に基づき、酸素富化装置2の作動を制御する制御手段とを含んでいる。この推定手段及び比較手段は、例えば、予め緯度・経度に対する位置情報に対し、そこが所定高度以上であるか否かの情報をインプットしておき、位置に対する高度判定ができるようにしておけばよい。
【0013】
図2は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動を説明するフローチャートである。まず、ナビゲーション装置1がステップS1で車両の緯度・経度等の位置情報を検出する。次いで、ナビゲーション装置1は、この検出された位置情報に基づいて、この位置の高度を推定する(ステップS2)。次いでナビゲーション装置1はステップS3で、ステップS2で得られた推定値と予め決められた高度の所定値とを比較し、推定値が所定値以上であるかどうかを判定する。判定結果がYESの場合は、ステップS4でナビゲーション装置1の制御手段は、信号を出力し酸素富化装置2を作動し、車室内に酸素を供給する。判定結果がNOの場合は、ステップS5で酸素富化装置2を作動させず、ルーチンはスタート位置に戻る。
【0014】
このようにして、ナビゲーション装置1の車両の位置情報により、この車両の位置の高度を推定し、これから車室内の酸素濃度を推定するようにしている。したがって、車両が酸素濃度が低い高地を走行しているときに、車室内に確実に酸素を供給することができ、乗員の酸素不足による運動能力等の低下を防止することができる。
【0015】
本発明に用いられる酸素富化装置2は、車両に搭載可能であればいずれの方式を採用した酸素富化装置2であってもよいが、例えば、図3に示すような方式の酸素富化装置2が考えられる。図3(a)は、透過膜方式による酸素富化装置の概念図を示している。この透過膜方式自体は、よく知られた方式である。例えば、ポリカーボネートシリコン共重合体より形成された透過膜10の片側に空気を導入し、この透過膜10を空気が透過することによって、酸素富化空気が得られる。この場合、空気導入側を正圧状態にし、酸素富化空気側を負圧状態にする。その結果、透過膜10の両界面部間には、その時の分圧差に応じて高圧(正圧)側から低圧(負圧)側への主として酸素分子の透過が行われる。この透過は、具体的には、溶解と拡散の組合せによって生じる。
【0016】
即ち、ポリカーボネートシリコン共重合体よりなる透過膜10の表面に空気が接すると、空気中の酸素分子及び窒素分子は先ず透過膜10の表面に吸着し、次いで分子移動により内部に溶け込む溶解作用を生じる。溶解作用によって透過膜10内部に侵入した酸素分子と窒素分子は、拡散作用によって更に膜10の内部に移動し、やがて膜10の低圧側から脱離して出て行き、これらの作用の連続により全体として気体分子の透過現象が生じる。
【0017】
この場合、酸素及び窒素の各気体分子の透過量は、気体分子の透過係数、圧力差、通過面積、時間及び膜厚の諸因子によって決められる。したがって、圧力差、通過面積、時間及び膜厚を所定の数値で与えると、透過量は気体分子の透過係数によって決められる。この透過係数は、透過膜10の組成によって決められ、例えば、ポリカーボネートシリコン共重合体のものでは、酸素分子の透過係数が窒素分子の透過係数に比べて約3倍程大きい。したがって、透過膜10を透過した空気は、酸素富化空気が得られる。
この酸素濃度は、膜の前後の供給側と取出側の圧力差、即ち分圧比によって決定することができ、これにより、供給酸素の絶対量を供給側のブロワと取出側の真空ポンプを制御することで任意にコントロールすることができるものである。
【0018】
図3(b)は、周知のボンベ方式又は薬品方式による酸素富化装置2を示しており、ボンベ方式では、工業的に製造された酸素を充填したボンベ20から、必要に応じ酸素を噴射させるようにしたものである。また薬品方式による酸素富化装置2は、2つの物質による化学反応によって酸素を取り出すものであり、例えば硫酸酸性の過酸化水素水21に過マンガン酸カリウム水溶液22を滴下するようにして酸素を取り出したり、酸化マンガンで過酸化水素を分解して酸素を取り出したりする等の周知の方法を用いればよいものである。
【0019】
図3(c)は、公知の窒素吸着分離方式(PSA方式)による酸素富化装置2の概念図を示している。この窒素吸着分離方式の酸素富化装置2は、例えばモレキュラシーブス(米国ユニオンカーバイト社の商品名)と呼ばれる人造ゼオライトよりなる窒素吸着剤31を内蔵した容器30A,30Bを2つ並列に配置し、弁の切り替えにより、これらの容器30A,30Bに交互にポンプ32より空気を供給することで、窒素を吸着剤31に吸着させて酸素を送り出すようにするものである。この場合、一方の容器30Aで窒素の吸着作用を行っているときは、他方の容器30Bでは、窒素吸着剤31のパージを行って、窒素を排出させるようにする。
【0020】
このモレキュラシーブスは、合成結晶アルミノシリケートの含水金属塩よりなり、金属塩に含まれている多量の結晶水を加熱脱離することによって形成されたもので、結晶水の除去によって形成された結晶格子による所定径の多数の空洞の内壁に被吸着分子を吸着するようになっている。この結晶格子はポリアニンよりなり、一般に窒素は、酸素に比較してポリアニンに対する親和性が高い。したがって、容器30A内に導入された空気は、ポリアニンとの親和性の高い分子(窒素分子)だけが吸着されることになり(分子ふるい作用)、一方、酸素は窒素よりもポリアニンとの親和性が低いために吸着されない。従って、窒素吸着剤31中に取り込まれた窒素を一定周期でパージしてやると、吸着状態で滞留する窒素は排出口側から外部に放出されると共に、酸素取出口側からは通過分離された酸素のみを連続的に取り出して、車室内に供給することができる。
なお、この窒素吸着分離方式による酸素富化装置2においても、ポンプ32による空気の供給量を変えることによって、その酸素の供給量を任意にコントロールすることができる。
【0021】
図4は、本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の別の実施形態の作動を示すフローチャートである。即ち、先ずステップS10で、ナビゲーション装置1により車両の位置情報を検出する。次いで、ナビゲーション装置1はステップS11で検出された位置情報から予め入力されている道路地図データに基づいて、長距離トンネルを走行中であるかどうかを推定する。次いで、ステップS12で長距離トンネルを走行中であると判定されたときは、ステップS13に移り、ナビゲーション装置1は、信号を発信して酸素富化装置2を作動させ、車室内に酸素を供給する。一方、ステップS12で長距離トンネルを走行中でないと判定されたときは、ステップS14に移り、酸素富化装置2を作動させないで、ルーチンはスタートへと戻る。
【0022】
このように長距離トンネル内のように排気ガスが充満し、車室内に外気を導入することで車室内の酸素濃度を維持することができない環境をナビゲーション装置1の道路地図情報により、見つけ出し車室内に酸素を供給することで、車室内の環境の悪化を防止できる。
【0023】
また、酸素富化装置2に加えて、メントール系等の香りを放出する香り発生器(図示せず)を車室内に装備し、ナビゲーション装置1内の制御手段により、酸素富化装置2を作動させるときに、一緒に香り発生器を作動させるようにしてもよい。これにより、車室内に酸素を供給すると共に、メントール系等の香りを発生させることで、乗員の覚醒度を向上させ、酸素富化の効果をよりアピールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の車両用酸素富化装置の制御装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動を示すフローチャートである。
【図3】車両用酸素富化装置の3つの方式である、(a)透過膜方式、(b)ボンベ方式、薬品方式及び(c)窒素分離吸着(PSA)方式を説明する図である。
【図4】本発明の車両用酸素富化装置の制御装置の作動における別の実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ナビゲーション装置
2…酸素富化装置
Claims (4)
- 車両に搭載された酸素富化装置を、車室内環境に応じて作動させ、車室内に酸素を供給する車両用酸素富化装置の制御装置において、
前記車室内環境である車室内酸素濃度を、ナビゲーション装置等の車両の位置情報に基づいて推定し、前記車室内酸素濃度が所定値以下と推定されるときに、前記酸素富化装置を作動させて車室内に酸素を供給するようにしたことを特徴とする車両用酸素富化装置の制御装置。 - 車両の前記位置情報が、車両が走行する地域の高度位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の車両用酸素富化装置の制御装置。
- 車両の前記位置情報が、車両が走行する地域が外気を導入するのに不適当な地域の位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の車両用酸素富化装置の制御装置。
- 車両が更に香り発生装置を備えていて、前記酸素富化装置が車室内に酸素を供給すると同時に、前記香り発生装置を作動して、メントール系のような覚醒度を上げる香りを車室内に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用酸素富化装置の制御装置。
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- 2003-05-07 JP JP2003129085A patent/JP2004330867A/ja active Pending
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