JP2004330455A - トグルリンク軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】トグル部の非常に過酷な使用条件においても、耐摩耗性に優れ、焼き付きにくく、長期間作動することができるトグルリンク軸受を提供する。
【解決手段】トグル式射出成形機に用いられ、トグルブッシュ2と、該トグルブッシュ2の相手材であるリンクピン3とを備えたトグルリンク軸受であって、前記トグルブッシュ2が、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされている。
【選択図】 図1
【解決手段】トグル式射出成形機に用いられ、トグルブッシュ2と、該トグルブッシュ2の相手材であるリンクピン3とを備えたトグルリンク軸受であって、前記トグルブッシュ2が、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トグル式射出成形機のトグルリンク軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、トグルリンク軸受のトグルブッシュの使用条件は、面圧68.6〜98MPa、速度は1.7〜3.1m/mimであり、相手材のリンクピンは焼入鋼にクロムメッキ等が施された硬い材料で、しかも部分的な往復摺動であり非常に過酷な使用条件である。
【0003】
ところで、従来のトグルリンク軸受として、トグルブッシュに軸受鋼を使用し、ブッシュ材の硬さを相手材であるリンクピンの表面硬さより高くしたものが開示されている(例えば特許文献1参照)。また、周知のように、一般に、比較的軟質な銅合金あるいは銅合金に黒鉛等の固体潤滑材が埋め込まれた複合材などがブッシュ材として使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−158501号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の技術では、トグルブッシュが軸受鋼で構成されているため、このようなブッシュ材では耐摩耗性が不足し、しかも、使用条件が過酷なため耐久性が十分ではなく、相手材であるリンクピンとの相性が悪いことと、相手材の方の硬さが高いことなどから、カジリを生じる場合がある。また、銅合金あるいは銅合金に黒鉛を埋め込んだ複合材についても硬さが低く、耐摩耗性が十分ではない。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、トグル部の非常に過酷な使用条件においても、耐摩耗性に優れ、焼き付きにくく、長期間作動することができるトグルリンク軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、トグル式射出成形機に用いられ、トグルブッシュと、該トグルブッシュの相手材であるリンクピンとを備えたトグルリンク軸受であって、
前記トグルブッシュが、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記超硬合金又は前記サーメットの合金中に遊離炭素を析出させ、且つ前記超硬合金の合金炭素量が6.2重量%以上10.0重量%以下とされ、前記サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下とされたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記超硬合金はWC−Co系超硬合金で、Co含有量が6重量%以上25重量%以下とされ、前記サーメットはTiCN−Ni系サーメットで、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下とされたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。
本発明の実施の形態の一例であるトグルリンク軸受は、図1に示すように、ハウジング1に内嵌されたトグルブッシュ2と、該トグルブッシュ2に回転可能に支持された相手材としてのリンクピン3とを備えており、トグルブッシュ2が、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされている。
【0009】
このように、トグルブッシュ2を超硬合金又はサーメットで構成し、且つCoおよびNiの含有量を6重量%以上30重量%以下とすることで、耐摩耗性を有すブッシュ材を提供することができる。
Co及びNiの含有量が6重量%未満の場合には、焼結性が悪く、ポアが著しく多くなるため、強度が極端に低下し、クラックが導入、伝播し易くなり、短時間で寿命になったり、比較的軽荷重でも割れが生じてしまう場合がある。
【0010】
一方、Co及びNiの含有量が30重量%を超える場合には、硬さ、即ち、耐摩耗性が著しく低下するため、アブレッシブ摩耗あるいは凝着摩耗が急激に増加し、短時間で寿命になる場合がある。
特に、TiCN−Ni系のサーメットの場合は、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下、WC−Co系超硬合金の場合は、Co含有量が6重量%以上25重量%以下で、上記の作用により長寿命となる。
【0011】
また、前記超硬合金および前記サーメットの合金中に遊離炭素が析出すると、潤滑効果が生まれて揺動性がさらに向上する。遊離炭素が析出する超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)は、6.2重量%以上10.0重量%以下の範囲とする。合金炭素量が6.2重量%未満だと遊離炭素が析出しないため潤滑効果がない。一方、合金炭素量が10重量%を超える場合、遊離炭素が偏析することにより欠陥となり、強度が低下する。
【0012】
サーメットの合金炭素量については、10.0重量%以上20重量%以下の範囲とする。合金炭素量がl0.0重量%未満だと遊離炭素が析出しないため潤滑効果がない。一方、合金炭素量が20重量%を超える場合、遊離炭素が偏析し、強度が低下する。
前記超硬合金及び前記サーメットは、周期律表で第IVa族、第Va族、第VIa族に属する9種類の金属、即ちW、Cr、Ta、Nb、V、Hf、Zr、Tiの炭化物を対象とし、これらの炭化物粉末をCo,Ni等の鉄族金属で焼結結合した合金である。サーメットは、このうち、主にTiC、TiN、或いはTiCNをNiで結合した焼結合金である。
【0013】
超硬合金を合金系で分類すると、WC−Co系、WC−Cr3 C2 −Co系、WC−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−NbC−Co系、WC−TaC−NbC−Co系、WC−TiC−TaC−NbC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系、WC−ZrC−Co系、WC−TiC―ZrC−Co系、WC−TaC−VC−Co系、WC−TiC−Cr3 C2 −Co系等がある。
【0014】
また、耐食性を向上させたものには、WC−Ni系、WC−Co−Ni系、WC−Cr3 C2 −Mo2 C−Ni系、WC−TiC−TaC系、WC−TiCN系、Cr3 C2 −Ni系等がある。
サーメットは、TiC−Ni系、TiC−Mo−Ni系、TiC−Co系、TiC−Mo2 C−Ni系、TiCN−Mo2 C−Ni系、TiC−TiN−Mo2 C−TaC−Ni系、TiCN−WC−Ni系、TiC−Mo系、TiCN−Mo系、TiCN―Mo2 C−Ni系、TiC−WC−Ni系等がある。
【0015】
【実施例】
Co(粒度0.5〜2.0μm)およびWC(粒度1〜5μm)の原料粉末と黒鉛粉末(粒度0.5μm)を所定量混合し、金型プレスで成形し、次に、この成形体を脱脂してから、真空炉内で焼結(1350〜1550°C程度の温度)し、研削、研磨して供試体を作製した。
トグルブッシュ材の耐久性を評価するために、図1と同一構造の円筒形状のトグルブッシュ(外径φ40mm,内径φ30mm,軸方向長さ50mm)を表1の材料を用いて複数個(実施例1〜4、比較例1〜8)作製した。
【0016】
【表1】
【0017】
耐久性の試験には電動成形機75t成形機を用いて、図1のように、トグル部に供試体のトグルブッシュを組み込み、耐摩耗性を評価した。試験条件は面圧98MPa,速度3m/mimであり、1万ショツト後のトグルブッシュ材の摩耗量を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。なお、各実施例および各比較例におけるトグルブッシュ材の耐摩耗性は、比較例7の耐摩耗性(試験後の摩耗量)を1とした相対値で示す。
【0018】
表1より、超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされ、更に、超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)が6.2重量%以上10.0重量%以下、サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下とされた実施例1〜4は比較例1〜8に比べて優れた耐摩耗性を示すことが判る。
【0019】
図2に、WC−Co系でCoの含有量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、Coの含有量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
図3に、TiCN−Ni系でNiの含有量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、Niの含有量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
【0020】
図2及び図3より、WC−Co系超硬合金の場合は、Co含有量が6重量%以上25重量%以下、TiCN−Ni系のサーメットの場合は、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下でであれば耐摩耗性が優れることが判る。
図4に、WC−20重量%Coの合金炭素量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
【0021】
図5に、TiCN−20重量%Niの合金炭素量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
図4及び図5より、遊離炭素の析出してない領域でも比較例に比べ優れた耐摩耗性を示すが、超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)が6.2重量%以上10.0重量%以下、サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下であれば遊離炭素の析出により、さらに耐摩耗性が向上するのが判る。
【0022】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、トグル部の非常に過酷な使用条件においても、耐摩耗性に優れ、焼き付きにくく、長期間作動することができるトグルリンク軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例であるトグルリンク軸受を説明するための概略断面図である。
【図2】WC−Co系でCoの含有量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、Coの含有量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図3】TiCN−Ni系でNiの含有量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、Niの含有量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図4】WC−20重量%Coの合金炭素量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図5】TiCN−20重量%Niの合金炭素量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2…トグルブッシュ
3…リンクピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、トグル式射出成形機のトグルリンク軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、トグルリンク軸受のトグルブッシュの使用条件は、面圧68.6〜98MPa、速度は1.7〜3.1m/mimであり、相手材のリンクピンは焼入鋼にクロムメッキ等が施された硬い材料で、しかも部分的な往復摺動であり非常に過酷な使用条件である。
【0003】
ところで、従来のトグルリンク軸受として、トグルブッシュに軸受鋼を使用し、ブッシュ材の硬さを相手材であるリンクピンの表面硬さより高くしたものが開示されている(例えば特許文献1参照)。また、周知のように、一般に、比較的軟質な銅合金あるいは銅合金に黒鉛等の固体潤滑材が埋め込まれた複合材などがブッシュ材として使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−158501号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の技術では、トグルブッシュが軸受鋼で構成されているため、このようなブッシュ材では耐摩耗性が不足し、しかも、使用条件が過酷なため耐久性が十分ではなく、相手材であるリンクピンとの相性が悪いことと、相手材の方の硬さが高いことなどから、カジリを生じる場合がある。また、銅合金あるいは銅合金に黒鉛を埋め込んだ複合材についても硬さが低く、耐摩耗性が十分ではない。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、トグル部の非常に過酷な使用条件においても、耐摩耗性に優れ、焼き付きにくく、長期間作動することができるトグルリンク軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、トグル式射出成形機に用いられ、トグルブッシュと、該トグルブッシュの相手材であるリンクピンとを備えたトグルリンク軸受であって、
前記トグルブッシュが、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記超硬合金又は前記サーメットの合金中に遊離炭素を析出させ、且つ前記超硬合金の合金炭素量が6.2重量%以上10.0重量%以下とされ、前記サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下とされたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記超硬合金はWC−Co系超硬合金で、Co含有量が6重量%以上25重量%以下とされ、前記サーメットはTiCN−Ni系サーメットで、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下とされたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。
本発明の実施の形態の一例であるトグルリンク軸受は、図1に示すように、ハウジング1に内嵌されたトグルブッシュ2と、該トグルブッシュ2に回転可能に支持された相手材としてのリンクピン3とを備えており、トグルブッシュ2が、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされている。
【0009】
このように、トグルブッシュ2を超硬合金又はサーメットで構成し、且つCoおよびNiの含有量を6重量%以上30重量%以下とすることで、耐摩耗性を有すブッシュ材を提供することができる。
Co及びNiの含有量が6重量%未満の場合には、焼結性が悪く、ポアが著しく多くなるため、強度が極端に低下し、クラックが導入、伝播し易くなり、短時間で寿命になったり、比較的軽荷重でも割れが生じてしまう場合がある。
【0010】
一方、Co及びNiの含有量が30重量%を超える場合には、硬さ、即ち、耐摩耗性が著しく低下するため、アブレッシブ摩耗あるいは凝着摩耗が急激に増加し、短時間で寿命になる場合がある。
特に、TiCN−Ni系のサーメットの場合は、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下、WC−Co系超硬合金の場合は、Co含有量が6重量%以上25重量%以下で、上記の作用により長寿命となる。
【0011】
また、前記超硬合金および前記サーメットの合金中に遊離炭素が析出すると、潤滑効果が生まれて揺動性がさらに向上する。遊離炭素が析出する超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)は、6.2重量%以上10.0重量%以下の範囲とする。合金炭素量が6.2重量%未満だと遊離炭素が析出しないため潤滑効果がない。一方、合金炭素量が10重量%を超える場合、遊離炭素が偏析することにより欠陥となり、強度が低下する。
【0012】
サーメットの合金炭素量については、10.0重量%以上20重量%以下の範囲とする。合金炭素量がl0.0重量%未満だと遊離炭素が析出しないため潤滑効果がない。一方、合金炭素量が20重量%を超える場合、遊離炭素が偏析し、強度が低下する。
前記超硬合金及び前記サーメットは、周期律表で第IVa族、第Va族、第VIa族に属する9種類の金属、即ちW、Cr、Ta、Nb、V、Hf、Zr、Tiの炭化物を対象とし、これらの炭化物粉末をCo,Ni等の鉄族金属で焼結結合した合金である。サーメットは、このうち、主にTiC、TiN、或いはTiCNをNiで結合した焼結合金である。
【0013】
超硬合金を合金系で分類すると、WC−Co系、WC−Cr3 C2 −Co系、WC−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−NbC−Co系、WC−TaC−NbC−Co系、WC−TiC−TaC−NbC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系、WC−ZrC−Co系、WC−TiC―ZrC−Co系、WC−TaC−VC−Co系、WC−TiC−Cr3 C2 −Co系等がある。
【0014】
また、耐食性を向上させたものには、WC−Ni系、WC−Co−Ni系、WC−Cr3 C2 −Mo2 C−Ni系、WC−TiC−TaC系、WC−TiCN系、Cr3 C2 −Ni系等がある。
サーメットは、TiC−Ni系、TiC−Mo−Ni系、TiC−Co系、TiC−Mo2 C−Ni系、TiCN−Mo2 C−Ni系、TiC−TiN−Mo2 C−TaC−Ni系、TiCN−WC−Ni系、TiC−Mo系、TiCN−Mo系、TiCN―Mo2 C−Ni系、TiC−WC−Ni系等がある。
【0015】
【実施例】
Co(粒度0.5〜2.0μm)およびWC(粒度1〜5μm)の原料粉末と黒鉛粉末(粒度0.5μm)を所定量混合し、金型プレスで成形し、次に、この成形体を脱脂してから、真空炉内で焼結(1350〜1550°C程度の温度)し、研削、研磨して供試体を作製した。
トグルブッシュ材の耐久性を評価するために、図1と同一構造の円筒形状のトグルブッシュ(外径φ40mm,内径φ30mm,軸方向長さ50mm)を表1の材料を用いて複数個(実施例1〜4、比較例1〜8)作製した。
【0016】
【表1】
【0017】
耐久性の試験には電動成形機75t成形機を用いて、図1のように、トグル部に供試体のトグルブッシュを組み込み、耐摩耗性を評価した。試験条件は面圧98MPa,速度3m/mimであり、1万ショツト後のトグルブッシュ材の摩耗量を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。なお、各実施例および各比較例におけるトグルブッシュ材の耐摩耗性は、比較例7の耐摩耗性(試験後の摩耗量)を1とした相対値で示す。
【0018】
表1より、超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下とされ、更に、超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)が6.2重量%以上10.0重量%以下、サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下とされた実施例1〜4は比較例1〜8に比べて優れた耐摩耗性を示すことが判る。
【0019】
図2に、WC−Co系でCoの含有量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、Coの含有量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
図3に、TiCN−Ni系でNiの含有量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、Niの含有量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
【0020】
図2及び図3より、WC−Co系超硬合金の場合は、Co含有量が6重量%以上25重量%以下、TiCN−Ni系のサーメットの場合は、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下でであれば耐摩耗性が優れることが判る。
図4に、WC−20重量%Coの合金炭素量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
【0021】
図5に、TiCN−20重量%Niの合金炭素量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示す。試験条件は表1の条件と同じであり、比較例7の耐摩耗性を1とした相対値で示す。
図4及び図5より、遊離炭素の析出してない領域でも比較例に比べ優れた耐摩耗性を示すが、超硬合金の合金炭素量(WC中換算値)が6.2重量%以上10.0重量%以下、サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下であれば遊離炭素の析出により、さらに耐摩耗性が向上するのが判る。
【0022】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、トグル部の非常に過酷な使用条件においても、耐摩耗性に優れ、焼き付きにくく、長期間作動することができるトグルリンク軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例であるトグルリンク軸受を説明するための概略断面図である。
【図2】WC−Co系でCoの含有量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、Coの含有量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図3】TiCN−Ni系でNiの含有量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、Niの含有量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図4】WC−20重量%Coの合金炭素量を変化させた超硬合金でトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【図5】TiCN−20重量%Niの合金炭素量を変化させたサーメットでトグルブッシュ材を形成したときの、合金炭素量と摩耗量との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2…トグルブッシュ
3…リンクピン
Claims (3)
- トグル式射出成形機に用いられ、トグルブッシュと、該トグルブッシュの相手材であるリンクピンとを備えたトグルリンク軸受であって、
前記トグルブッシュが、CoおよびNiの少なくとも一つを含有する超硬合金又はサーメットで構成され、且つCoおよびNiの含有量が6重量%以上30重量%以下であることを特徴とするトグルリンク軸受。 - 前記超硬合金又は前記サーメットの合金中に遊離炭素を析出させ、且つ前記超硬合金の合金炭素量が6.2重量%以上10.0重量%以下とされ、前記サーメットの合金炭素量が10.0重量%以上20重量%以下とされたことを特徴とする請求項1記載のトグルリンク軸受。
- 前記超硬合金はWC−Co系超硬合金で、Co含有量が6重量%以上25重量%以下とされ、前記サーメットはTiCN−Ni系サーメットで、Ni含有量が10重量%以上30重量%以下とされたことを特徴とする請求項1又は2記載のトグルリンク軸受。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003125749A JP2004330455A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | トグルリンク軸受 |
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JP2003125749A JP2004330455A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | トグルリンク軸受 |
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JP2004330455A true JP2004330455A (ja) | 2004-11-25 |
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JP2003125749A Pending JP2004330455A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | トグルリンク軸受 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009285983A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Nissei Plastics Ind Co | 射出成形機の関節部構造 |
EP3165782A1 (de) * | 2015-11-04 | 2017-05-10 | Heraeus Deutschland GmbH & Co. KG | Cermet-lager, insbesondere für ein implantierbares medizinisches gerät |
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2003
- 2003-04-30 JP JP2003125749A patent/JP2004330455A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009285983A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Nissei Plastics Ind Co | 射出成形機の関節部構造 |
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US10156256B2 (en) * | 2015-11-04 | 2018-12-18 | Heraeus Deutschland GmbH & Co. KG | Cermet bearing, in particular for an implantable medical device |
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