JP2004330284A - 熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に対し、離型剤塗布機構を介して離型剤を迅速かつ効率的に塗布する。
【解決手段】アーム機構28を介して熱間型鍛造装置10の上型24と下型18との間に変位自在に設けられる離型剤塗布機構12にノズル32を設け、前記ノズル32の先端に形成される塗布部42に複数の噴射孔44を形成する。そして、ノズル32の内部に形成される連通路と前記噴射孔44とを連通するように形成し、前記連通路を介して離型剤26が噴射孔44より上型24および下型18の鍛造面30a、30bに塗布される。そして、アーム機構28によってノズル32が噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しつつ、上型24と下型18とが対向する間を略水平に変位する。
【選択図】図1
【解決手段】アーム機構28を介して熱間型鍛造装置10の上型24と下型18との間に変位自在に設けられる離型剤塗布機構12にノズル32を設け、前記ノズル32の先端に形成される塗布部42に複数の噴射孔44を形成する。そして、ノズル32の内部に形成される連通路と前記噴射孔44とを連通するように形成し、前記連通路を介して離型剤26が噴射孔44より上型24および下型18の鍛造面30a、30bに塗布される。そして、アーム機構28によってノズル32が噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しつつ、上型24と下型18とが対向する間を略水平に変位する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に対し、離型剤を塗布し、潤滑および冷却を行うための熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一般に、熱間型鍛造プレスにおいて、鍛造成形された成形品を金型から離型させる、高温に加熱された状態で連続的に鍛造成形が行われる金型を冷却する、および前記金型に付着したスケール等を除去することを目的として、上金型および下金型が型開き状態となっている際に前記上金型と下金型の表面に対して潤滑剤を噴射して塗布している。そして、現在では前記上金型および下金型への潤滑剤の噴射作業は自動化され、近年ではその噴射作業のさらなる高速化が求められている。
【0003】
例えば、金型潤滑剤噴射装置の先行技術としては、特許文献1に示されるように、熱間型鍛造プレスにおける上側の金型と下側の金型との間に、アームの先端に設けられ、かつ一定間隔毎に多数配設されたノズルを変位させて、前記上側および下側の金型に対して前記ノズルより潤滑剤を噴射塗布している。そして、前記上側および下側の金型に対して潤滑剤を塗布した後、前記上側および下側の金型によって鍛造成形が行われるのに伴って、その支障となることがないように前記ノズルをアームを介して上側の金型と下側の金型との間から外部へと退避させている。
【0004】
また、例えば、特許文献2に示されるように、下金型を固定する下ダイホルダの側壁に固定された固定フレームを介して移動レバーの一端部側が回動自在に軸支されるとともに、前記移動レバーの他端部側にはスプレーノズルが設けられている。そして、上金型と下金型とからなるプレス金型の開閉動作に連動して、前記スプレーノズルが自動的に前記移動レバーの一端部側を支点としてプレス金型の間に変位し、前記スプレーノズルから潤滑剤を前記上金型および下金型の表面へと噴霧する移動ノズル装置が知られている。
【0005】
さらに、例えば、特許文献3に示されるように、プレスラムにベースを介して揺動自在に揺動レバーの一端部が軸支されるとともに、前記揺動レバーの他端部には、支持レバーの一端部が回動自在に軸支されている。前記支持レバーの中央部には、エアシリンダのロッド部が連結されるとともに、前記支持レバーの他端部には複数の噴孔を有するノズルが略水平に設けられている。そして、エアシリンダを作動させて支持レバーの変位速度を増幅し、ノズルの上金型および下金型に対して離型剤を塗布する変位動作速度を増幅させる離型剤自動塗布装置が知られている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭59−135842号公報(第5頁〜第6頁、図1)
【特許文献2】
実開平1−84840号公報(第3頁左欄〜右欄、図3)
【特許文献3】
実開昭62−61336号公報(第2頁左欄〜右欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に係る金型潤滑剤噴射装置においては、ノズルより潤滑剤を噴射塗布した後、アームを介してノズルを外部へと退避させているため、前記アームおよびノズルの略水平方向への変位ストロークが大きくなる。そのため、装置全体が大型化するとともに、前記ノズルの変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0008】
また、アームを介して変位するノズルの変位ストロークが大きいため、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムにおいて金型に対して潤滑剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。そのため、前記金型に対する潤滑剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0009】
特許文献2に係る移動ノズル装置においては、スプレーノズルによって上金型および下金型の表面に潤滑剤を塗布した後、スプレーノズルを固定フレームに軸支された一端部側を支点としてプレス金型が上下方向に開閉動作を行う際の支障とならない位置まで退避させている。
【0010】
その際、スプレーノズルは、水平方向に加えて上下方向にも若干変位するため、スプレーノズルを変位させる際に前記上金型および下金型に接触することがないように前記上金型および下金型を予め上下方向に大きく離間させておく必要がある。その結果、上金型および下金型の上下方向への開閉ストロークが大きくなり、それに伴って装置が大型化するとともに、前記上金型および下金型の変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0011】
また、移動レバーを介して変位するスプレーノズルの略水平方向への変位ストロークが大きいため、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムにおいて金型に対して潤滑剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。その結果、前記金型に対する潤滑剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0012】
さらに、特許文献3に係る離型剤自動塗布装置においては、ノズルによって上金型および下金型の表面に離型剤を塗布した後、鍛造成形を行う際の支障とならないようにノズルを外部へと退避させている。詳細には、支持アームに軸支された揺動レバーが一端部を支点として揺動し、ノズルを上金型および下金型の間から外部へと変位させているため、前記ノズルの略水平方向への変位ストロークが大きくなる。その結果、装置全体が大型化するとともに、前記揺動レバーが外部側へ膨らむように変位するため、前記ノズルの変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0013】
また、支持レバーおよび揺動レバーを介して変位するノズルの変位ストロークが大きいため、鍛造成形を行う際のサイクルタイムにおいて上金型および下金型に対して離型剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。その結果、前記上金型および下金型に対する離型剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0014】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に対して離型剤を迅速かつ効率的に塗布することが可能な熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に離型剤を塗布する離型剤塗布機構において、
前記上型または下型を保持するダイホルダに装着され、複数の多肢を介して揺動・旋回自在に設けられるアーム機構と、
前記アーム機構にシャフト部を介して連結されるノズルと、
前記ノズルにおける前記上型および下型の凹凸状の鍛造面に対応する位置に複数形成される噴射孔と、
を備え、
前記ノズルが対向して配設される前記上型の鍛造面と下型の鍛造面との間に変位して、前記上型および下型の金型温度の変動に応じて噴射量が制御された離型剤を前記ノズルの噴射孔より噴射して、前記上型および下型の鍛造面に塗布することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ダイホルダに装着されたアーム機構によって変位自在にノズルが設けられ、前記ノズルは、複数の噴射孔より離型剤を噴射した状態を維持しながら上型の鍛造面と下型の鍛造面との間を変位する。その結果、ノズルが離型剤を塗布するために上型の鍛造面と下型の鍛造面との間に位置している時間を短縮することができる。
【0017】
従って、上型および下型の各鍛造面に対して離型剤を迅速に塗布して、前記上型および下型の冷却および潤滑を行うことができるとともに、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮化することができる。
【0018】
また、熱間型鍛造プレスによる連続成形によって上型および下型の金型温度が変動する場合であっても、前記上型および下型に噴射される離型剤の噴射量を制御することにより、上型および下型の金型温度の上昇を好適に抑制することができるため、熱間型鍛造プレスによる連続成形を好適に行うことができ、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【0019】
さらに、ノズルの噴射孔の個数、位置および直径を、前記上型および下型の鍛造面における凹凸形状に応じて設定することにより、前記上型および下型への離型剤の塗布をより一層好適に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構12を備えた熱間型鍛造装置(熱間型鍛造プレス)を示す。
【0022】
この熱間型鍛造装置10は、基台14の上面に固定される下ダイホルダ16と、前記下ダイホルダ16の略中央上部に一体的に固定される下型18と、図示しない昇降手段の作用下に下方に向かって加圧するプレス部20と、前記プレス部20の下面に一体的に連結される上ダイホルダ22と、前記上ダイホルダ22の略中央下部に前記下型18と対向するように連結される上型24と、前記上型24と下型18とが型開きした際、前記上型24と下型18との間に変位し、前記上型24および下型18の成形面に前記離型剤26を塗布する離型剤塗布機構12と、前記離型剤塗布機構12を前記上型24と下型18との間へと変位させるアーム機構28とからなる。
【0023】
前記下型18の上面および上型24の下面には、鍛造成形によって成形される所望のワークの形状に対応した凹凸状の鍛造面30a、30bがそれぞれ形成されている。
【0024】
離型剤塗布機構12は断面略鍵状に形成され(図3および図4参照)、図1および図2に示されるように、アーム機構28の作用下に熱間型鍛造装置10における上型24と下型18との間に変位自在に設けられるノズル32と、前記ノズル32の端部とアーム機構28とを連結する連結部材34と、前記連結部材34の内部に形成され、前記ノズル32の内部に形成される連通路36(図4参照)へ離型剤26を供給する供給用チューブ38(図5参照)とからなる。
【0025】
ノズル32は、図3および図4に示されるように、金属製材料よりプレート状に形成され、その一端部側には前記連結部材34が一体的に装着される取付部40と、その他端部側に前記取付部40より幅狭に形成される塗布部42とからなる。前記塗布部42の先端部は、その角部が所定角度傾斜したテーパ状に面取りされている。
【0026】
前記塗布部42における上面および下面には、それぞれ離型剤26を噴射する複数(例えば、10個)の噴射孔44が互いに所定間隔離間して形成されている。また、前記噴射孔44は、ノズル32の軸線に対して対称となる位置に形成されている。
【0027】
例えば、図4に示されるように、塗布部42に形成される10個の前記噴射孔44は、ノズル32の軸線上に所定間隔離間して2個設けられ、前記軸線より所定間隔離間した両側部に2個ずつ設けられるとともに、前記塗布部42の先端側の軸線の近傍に2個、その外側に所定間隔離間してさらに2個形成されている。
【0028】
また、前記噴射孔44は、塗布部42の上面と下面とで同一となる位置に形成してもよいし、対峙する上型24および下型18の鍛造面30a、30bの凹凸形状に対応して上面側と下面側とで異なる配置としてもよい。
【0029】
さらに、前記噴射孔44の直径は、その塗布部42に形成されている噴射孔44の位置に応じて上型24および下型18に最適な離型剤26の量を噴射できる大きさの直径に設定されている。すなわち、離型剤26を多く噴射したい上型24および下型18の鍛造面30a、30bの部位に対峙する噴射孔44の直径を大きく形成する一方、離型剤26を少量噴射すればよい上型24および下型18の鍛造面30a、30bの部位に対峙する噴射孔44の直径は小さく形成する。
【0030】
前記噴射孔44は、それぞれノズル32の内部に画成される連通路36と連通している。前記連通路36は、ノズル32の取付部40の端面の略中央部に開口するように形成されるとともに、取付部40側から塗布部42側に向かって延在している。そして、前記塗布部42の内部において枝状に分岐して各噴射孔44とそれぞれ連通している。
【0031】
すなわち、前記連通路36の端部に接続部材46(図5参照)を介して接続された供給用チューブ38より離型剤26が連通路36へと供給され、前記離型剤26が連通路36を介して噴射孔44より外部へと噴射される(図1参照)。
【0032】
また、その際、前記噴射孔44は、図5に示されるように、その孔形状が上面および下面側に向かって縮径したテーパ状に形成されている。換言すると、噴射孔44の孔径は外部側に向かって絞られた状態にある。
【0033】
そして、連通路36を介して前記噴射孔44より外部へと噴射される離型剤26は、上型24および下型18の鍛造面30a、30bに向かって放射状に噴射される(図1参照)。そのため、前記噴射孔44より噴射される離型剤26を鍛造面30a、30bに対して広範囲にかつ略均一に塗布することができる。
【0034】
さらに、離型剤26の図示しないタンクから供給用チューブ38を介して前記連通路36に供給される離型剤26の量は、図示しない制御部によって制御されている。すなわち、熱間型鍛造装置10によって連続成形が行われ、それに伴って上型24および下型18の金型温度が上昇した際、図示しない温度センサを介して前記金型温度を検知し、その金型温度に応じて供給用チューブ38を介して供給される離型剤26の量を増大させて噴射孔44より鍛造面30a、30bへと噴射される噴射量を増大させる。その結果、離型剤26の噴射作用下に上型24および下型18の金型温度の上昇が好適に抑制され、熱間型鍛造装置10による連続成形を好適に行うことができるため、前記熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮することができる。
【0035】
アーム機構28は、下ダイホルダ16の側面に一体的に装着され(図示せず)、複数の多肢を有する多軸型ロボットからなる。そして、前記複数の多肢が揺動・旋回自在に設けられるアーム機構28には、シャフト部48を介して離型剤塗布機構12が略水平な状態で連結されるとともに、熱間型鍛造装置10における上型24と下型18とが型開きした際、図示しない駆動源による駆動作用下に熱間型鍛造装置10における上型24と下型18との間に離型剤塗布機構12を略水平な状態で直線的に変位させる(図1参照)。
【0036】
本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構12を備えた熱間型鍛造装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0037】
まず、図1に示されるように、熱間型鍛造装置10のプレス部20を図示しない昇降手段の駆動作用下に上方へと変位させ、上型24と下型18とが上下方向に所定間隔離間した型開き状態とする。その際、前記離型剤塗布機構12は、上型24および下型18の外部に位置した状態とする(図1の二点鎖線形状)。
【0038】
次に、アーム機構28を介して離型剤塗布機構12を上型24および下型18の方向(矢印A方向)に向かって略水平な状態で直線的に変位させる。その際、前記離型剤塗布機構12のノズル32は、上型24および下型18のそれぞれと等間隔離間した位置を維持しながら変位する。なお、ノズル32の連通路36(図5参照)には、図示しない離型剤タンクより離型剤26が供給されていない状態にある。
【0039】
そして、前記ノズル32の塗布部42が上型24および下型18の端部に対向する位置へと到達した際、前記供給用チューブ38を介してノズル32の連通路36へ離型剤26が供給される。前記離型剤26は、ノズル32の内部の連通路36を介して塗布部42の上面および下面に形成された噴射孔44へとそれぞれ供給され、前記噴射孔44を介して上型24および下型18の鍛造面30a、30bへと噴射される。その際、離型剤26は前記噴射孔44より鍛造面30a、30bに対して放射状に噴射されるため、前記鍛造面30a、30bに対して広範囲かつ略均一に塗布することができる。
【0040】
そして、前記噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しながら、ノズル32が上型24と下型18とが対向する熱間型鍛造装置10の略中央部に向かって(矢印A方向)さらに略水平な状態で直線的に変位する。その際、前記ノズル32は、塗布部42の噴射孔44を介して上型24および下型18の鍛造面30a、30bへ離型剤26を塗布しながら変位している状態にある。
【0041】
そして、前記ノズル32が略中央部に到達した後、多軸型ロボットからなるアーム機構28によって前記ノズル32を再び矢印B方向へと変位させる。その際も同様に、前記噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しながら、ノズル32が上型24および下型18と対向する端部までさらに略水平な状態で直線的に変位する。
【0042】
次に、前記ノズル32における塗布部42が上型24と下型18との端部に対向する端部に到達した際、供給用チューブ38を介してノズル32へ供給されている離型剤26の供給を停止する。
【0043】
そして、ノズル32に対する離型剤26の供給が停止された後、前記ノズル32が上型24と下型18とが対向した端部よりさらに熱間型鍛造装置10の外部側(矢印B方向)へと変位する。
【0044】
最後に、前記離型剤塗布機構12によって離型剤26が好適に塗布された下型18の鍛造面30aに鍛造素材を載置し、プレス部20による下方への加圧作用下に上型24の鍛造面30bを下型18の鍛造面30aへと当接させる。
【0045】
そして、図示しない昇降手段の駆動作用下に上型24を上方へと変位させることにより、上型24が下型18から離間して前記鍛造素材から鍛造成形されたワークを上型24および下型18から取り出すことができる。
【0046】
その際、上型24および下型18の鍛造面30a、30bには、離型剤塗布機構12によって離型剤26が好適に塗布されているため、鍛造成形されたワークを上型24および下型18より容易に離型させることができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態では、熱間型鍛造装置10における上型24と下型18とが対向する位置に到達した際にノズル32の噴射孔44から離型剤26を噴射させ、前記離型剤26の噴射状態を維持しつつ、前記ノズル32をさらに上型24および下型18の略中央部に向かって略水平な状態で直線的に変位させている。また、上型24および下型18の略中央部に到達したノズル32を、前記離型剤26の噴射状態を維持しつつ、上型24および下型18の略中央部より離間する方向に変位させる。
【0048】
すなわち、離型剤26を塗布する上型24と下型18との間をノズル32が変位している間、常に離型剤26をノズル32の塗布部42より噴射している状態とすることにより、離型剤26を上型24および下型18の鍛造面30a、30bに対して短時間で効率的に塗布することができる。
【0049】
また、離型剤26の塗布作業を短縮化することにより、離型剤26を塗布するために上型24と下型18とを型開きしている時間を短縮することができる。その結果、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮化することができ、熱間型鍛造装置10による生産性を向上させることができる。
【0050】
さらに、熱間型鍛造装置10で連続成形を行い、上型24および下型18の金型温度が変動する場合であっても、前記上型24および下型18の金型温度に対応して離型剤26の噴射量を制御することにより、前記上型24および下型18の金型温度の上昇を好適に抑制させることができる。その結果、熱間型鍛造装置10によって連続成形を行った際の上型24および下型18の温度上昇を抑制することができるため、好適に連続成形を行うことができ、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮することができる。
【0051】
さらにまた、前記ノズル32は、アーム機構28によって略水平な状態を維持したまま上型24と下型18との間から外部の間を直線的にストローク変位するため、前記ノズル32が変位する際の時間のロスがなく、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮化することができる。
【0052】
またさらに、ノズル32の塗布部42に形成される複数の噴射孔44の位置、直径、個数を、上型24および下型18の鍛造面30a、30bの凹凸形状に対応させて設定することにより、上型24および下型18の鍛造面30a、30bに対して離型剤26を最適な状態(塗布量、塗布位置)で塗布することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0054】
すなわち、ノズルが噴射孔より離型剤を噴射した状態を維持しながら上型と下型との間を変位するため、前記ノズルが離型剤を塗布するために上型と下型との間に位置している時間を短縮することができ、上型および下型の鍛造面に対して離型剤を迅速に塗布することができる。
【0055】
また、上型および下型に噴射される離型剤の噴射量を制御することにより、上型および下型の金型温度の上昇を好適に抑制させることができるため、熱間型鍛造プレスによる連続成形を行うことができ、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構を備えた熱間型鍛造装置の側面図である。
【図2】図1に示す離型剤塗布機構の平面図である。
【図3】図1に示す離型剤塗布機構におけるノズルの斜視図である。
【図4】図3に示すノズルの平面図である。
【図5】図4に示すノズルの縦断面図である。
【符号の説明】
10…熱間型鍛造装置 12…離型剤塗布機構
16…下ダイホルダ 18…下型
22…上ダイホルダ 24…上型
26…離型剤 28…アーム機構
30a、30b…鍛造面 32…ノズル
36…連通路 38…供給用チューブ
42…塗布部 44…噴射孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に対し、離型剤を塗布し、潤滑および冷却を行うための熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一般に、熱間型鍛造プレスにおいて、鍛造成形された成形品を金型から離型させる、高温に加熱された状態で連続的に鍛造成形が行われる金型を冷却する、および前記金型に付着したスケール等を除去することを目的として、上金型および下金型が型開き状態となっている際に前記上金型と下金型の表面に対して潤滑剤を噴射して塗布している。そして、現在では前記上金型および下金型への潤滑剤の噴射作業は自動化され、近年ではその噴射作業のさらなる高速化が求められている。
【0003】
例えば、金型潤滑剤噴射装置の先行技術としては、特許文献1に示されるように、熱間型鍛造プレスにおける上側の金型と下側の金型との間に、アームの先端に設けられ、かつ一定間隔毎に多数配設されたノズルを変位させて、前記上側および下側の金型に対して前記ノズルより潤滑剤を噴射塗布している。そして、前記上側および下側の金型に対して潤滑剤を塗布した後、前記上側および下側の金型によって鍛造成形が行われるのに伴って、その支障となることがないように前記ノズルをアームを介して上側の金型と下側の金型との間から外部へと退避させている。
【0004】
また、例えば、特許文献2に示されるように、下金型を固定する下ダイホルダの側壁に固定された固定フレームを介して移動レバーの一端部側が回動自在に軸支されるとともに、前記移動レバーの他端部側にはスプレーノズルが設けられている。そして、上金型と下金型とからなるプレス金型の開閉動作に連動して、前記スプレーノズルが自動的に前記移動レバーの一端部側を支点としてプレス金型の間に変位し、前記スプレーノズルから潤滑剤を前記上金型および下金型の表面へと噴霧する移動ノズル装置が知られている。
【0005】
さらに、例えば、特許文献3に示されるように、プレスラムにベースを介して揺動自在に揺動レバーの一端部が軸支されるとともに、前記揺動レバーの他端部には、支持レバーの一端部が回動自在に軸支されている。前記支持レバーの中央部には、エアシリンダのロッド部が連結されるとともに、前記支持レバーの他端部には複数の噴孔を有するノズルが略水平に設けられている。そして、エアシリンダを作動させて支持レバーの変位速度を増幅し、ノズルの上金型および下金型に対して離型剤を塗布する変位動作速度を増幅させる離型剤自動塗布装置が知られている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭59−135842号公報(第5頁〜第6頁、図1)
【特許文献2】
実開平1−84840号公報(第3頁左欄〜右欄、図3)
【特許文献3】
実開昭62−61336号公報(第2頁左欄〜右欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に係る金型潤滑剤噴射装置においては、ノズルより潤滑剤を噴射塗布した後、アームを介してノズルを外部へと退避させているため、前記アームおよびノズルの略水平方向への変位ストロークが大きくなる。そのため、装置全体が大型化するとともに、前記ノズルの変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0008】
また、アームを介して変位するノズルの変位ストロークが大きいため、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムにおいて金型に対して潤滑剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。そのため、前記金型に対する潤滑剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0009】
特許文献2に係る移動ノズル装置においては、スプレーノズルによって上金型および下金型の表面に潤滑剤を塗布した後、スプレーノズルを固定フレームに軸支された一端部側を支点としてプレス金型が上下方向に開閉動作を行う際の支障とならない位置まで退避させている。
【0010】
その際、スプレーノズルは、水平方向に加えて上下方向にも若干変位するため、スプレーノズルを変位させる際に前記上金型および下金型に接触することがないように前記上金型および下金型を予め上下方向に大きく離間させておく必要がある。その結果、上金型および下金型の上下方向への開閉ストロークが大きくなり、それに伴って装置が大型化するとともに、前記上金型および下金型の変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0011】
また、移動レバーを介して変位するスプレーノズルの略水平方向への変位ストロークが大きいため、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムにおいて金型に対して潤滑剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。その結果、前記金型に対する潤滑剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0012】
さらに、特許文献3に係る離型剤自動塗布装置においては、ノズルによって上金型および下金型の表面に離型剤を塗布した後、鍛造成形を行う際の支障とならないようにノズルを外部へと退避させている。詳細には、支持アームに軸支された揺動レバーが一端部を支点として揺動し、ノズルを上金型および下金型の間から外部へと変位させているため、前記ノズルの略水平方向への変位ストロークが大きくなる。その結果、装置全体が大型化するとともに、前記揺動レバーが外部側へ膨らむように変位するため、前記ノズルの変位スペースを含めた広い設置スペースが必要となるという不具合がある。
【0013】
また、支持レバーおよび揺動レバーを介して変位するノズルの変位ストロークが大きいため、鍛造成形を行う際のサイクルタイムにおいて上金型および下金型に対して離型剤を噴射塗布する十分な時間を確保することが困難である。その結果、前記上金型および下金型に対する離型剤の噴射塗布作業が不十分になるおそれがある。
【0014】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に対して離型剤を迅速かつ効率的に塗布することが可能な熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に離型剤を塗布する離型剤塗布機構において、
前記上型または下型を保持するダイホルダに装着され、複数の多肢を介して揺動・旋回自在に設けられるアーム機構と、
前記アーム機構にシャフト部を介して連結されるノズルと、
前記ノズルにおける前記上型および下型の凹凸状の鍛造面に対応する位置に複数形成される噴射孔と、
を備え、
前記ノズルが対向して配設される前記上型の鍛造面と下型の鍛造面との間に変位して、前記上型および下型の金型温度の変動に応じて噴射量が制御された離型剤を前記ノズルの噴射孔より噴射して、前記上型および下型の鍛造面に塗布することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ダイホルダに装着されたアーム機構によって変位自在にノズルが設けられ、前記ノズルは、複数の噴射孔より離型剤を噴射した状態を維持しながら上型の鍛造面と下型の鍛造面との間を変位する。その結果、ノズルが離型剤を塗布するために上型の鍛造面と下型の鍛造面との間に位置している時間を短縮することができる。
【0017】
従って、上型および下型の各鍛造面に対して離型剤を迅速に塗布して、前記上型および下型の冷却および潤滑を行うことができるとともに、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮化することができる。
【0018】
また、熱間型鍛造プレスによる連続成形によって上型および下型の金型温度が変動する場合であっても、前記上型および下型に噴射される離型剤の噴射量を制御することにより、上型および下型の金型温度の上昇を好適に抑制することができるため、熱間型鍛造プレスによる連続成形を好適に行うことができ、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【0019】
さらに、ノズルの噴射孔の個数、位置および直径を、前記上型および下型の鍛造面における凹凸形状に応じて設定することにより、前記上型および下型への離型剤の塗布をより一層好適に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構12を備えた熱間型鍛造装置(熱間型鍛造プレス)を示す。
【0022】
この熱間型鍛造装置10は、基台14の上面に固定される下ダイホルダ16と、前記下ダイホルダ16の略中央上部に一体的に固定される下型18と、図示しない昇降手段の作用下に下方に向かって加圧するプレス部20と、前記プレス部20の下面に一体的に連結される上ダイホルダ22と、前記上ダイホルダ22の略中央下部に前記下型18と対向するように連結される上型24と、前記上型24と下型18とが型開きした際、前記上型24と下型18との間に変位し、前記上型24および下型18の成形面に前記離型剤26を塗布する離型剤塗布機構12と、前記離型剤塗布機構12を前記上型24と下型18との間へと変位させるアーム機構28とからなる。
【0023】
前記下型18の上面および上型24の下面には、鍛造成形によって成形される所望のワークの形状に対応した凹凸状の鍛造面30a、30bがそれぞれ形成されている。
【0024】
離型剤塗布機構12は断面略鍵状に形成され(図3および図4参照)、図1および図2に示されるように、アーム機構28の作用下に熱間型鍛造装置10における上型24と下型18との間に変位自在に設けられるノズル32と、前記ノズル32の端部とアーム機構28とを連結する連結部材34と、前記連結部材34の内部に形成され、前記ノズル32の内部に形成される連通路36(図4参照)へ離型剤26を供給する供給用チューブ38(図5参照)とからなる。
【0025】
ノズル32は、図3および図4に示されるように、金属製材料よりプレート状に形成され、その一端部側には前記連結部材34が一体的に装着される取付部40と、その他端部側に前記取付部40より幅狭に形成される塗布部42とからなる。前記塗布部42の先端部は、その角部が所定角度傾斜したテーパ状に面取りされている。
【0026】
前記塗布部42における上面および下面には、それぞれ離型剤26を噴射する複数(例えば、10個)の噴射孔44が互いに所定間隔離間して形成されている。また、前記噴射孔44は、ノズル32の軸線に対して対称となる位置に形成されている。
【0027】
例えば、図4に示されるように、塗布部42に形成される10個の前記噴射孔44は、ノズル32の軸線上に所定間隔離間して2個設けられ、前記軸線より所定間隔離間した両側部に2個ずつ設けられるとともに、前記塗布部42の先端側の軸線の近傍に2個、その外側に所定間隔離間してさらに2個形成されている。
【0028】
また、前記噴射孔44は、塗布部42の上面と下面とで同一となる位置に形成してもよいし、対峙する上型24および下型18の鍛造面30a、30bの凹凸形状に対応して上面側と下面側とで異なる配置としてもよい。
【0029】
さらに、前記噴射孔44の直径は、その塗布部42に形成されている噴射孔44の位置に応じて上型24および下型18に最適な離型剤26の量を噴射できる大きさの直径に設定されている。すなわち、離型剤26を多く噴射したい上型24および下型18の鍛造面30a、30bの部位に対峙する噴射孔44の直径を大きく形成する一方、離型剤26を少量噴射すればよい上型24および下型18の鍛造面30a、30bの部位に対峙する噴射孔44の直径は小さく形成する。
【0030】
前記噴射孔44は、それぞれノズル32の内部に画成される連通路36と連通している。前記連通路36は、ノズル32の取付部40の端面の略中央部に開口するように形成されるとともに、取付部40側から塗布部42側に向かって延在している。そして、前記塗布部42の内部において枝状に分岐して各噴射孔44とそれぞれ連通している。
【0031】
すなわち、前記連通路36の端部に接続部材46(図5参照)を介して接続された供給用チューブ38より離型剤26が連通路36へと供給され、前記離型剤26が連通路36を介して噴射孔44より外部へと噴射される(図1参照)。
【0032】
また、その際、前記噴射孔44は、図5に示されるように、その孔形状が上面および下面側に向かって縮径したテーパ状に形成されている。換言すると、噴射孔44の孔径は外部側に向かって絞られた状態にある。
【0033】
そして、連通路36を介して前記噴射孔44より外部へと噴射される離型剤26は、上型24および下型18の鍛造面30a、30bに向かって放射状に噴射される(図1参照)。そのため、前記噴射孔44より噴射される離型剤26を鍛造面30a、30bに対して広範囲にかつ略均一に塗布することができる。
【0034】
さらに、離型剤26の図示しないタンクから供給用チューブ38を介して前記連通路36に供給される離型剤26の量は、図示しない制御部によって制御されている。すなわち、熱間型鍛造装置10によって連続成形が行われ、それに伴って上型24および下型18の金型温度が上昇した際、図示しない温度センサを介して前記金型温度を検知し、その金型温度に応じて供給用チューブ38を介して供給される離型剤26の量を増大させて噴射孔44より鍛造面30a、30bへと噴射される噴射量を増大させる。その結果、離型剤26の噴射作用下に上型24および下型18の金型温度の上昇が好適に抑制され、熱間型鍛造装置10による連続成形を好適に行うことができるため、前記熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮することができる。
【0035】
アーム機構28は、下ダイホルダ16の側面に一体的に装着され(図示せず)、複数の多肢を有する多軸型ロボットからなる。そして、前記複数の多肢が揺動・旋回自在に設けられるアーム機構28には、シャフト部48を介して離型剤塗布機構12が略水平な状態で連結されるとともに、熱間型鍛造装置10における上型24と下型18とが型開きした際、図示しない駆動源による駆動作用下に熱間型鍛造装置10における上型24と下型18との間に離型剤塗布機構12を略水平な状態で直線的に変位させる(図1参照)。
【0036】
本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構12を備えた熱間型鍛造装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0037】
まず、図1に示されるように、熱間型鍛造装置10のプレス部20を図示しない昇降手段の駆動作用下に上方へと変位させ、上型24と下型18とが上下方向に所定間隔離間した型開き状態とする。その際、前記離型剤塗布機構12は、上型24および下型18の外部に位置した状態とする(図1の二点鎖線形状)。
【0038】
次に、アーム機構28を介して離型剤塗布機構12を上型24および下型18の方向(矢印A方向)に向かって略水平な状態で直線的に変位させる。その際、前記離型剤塗布機構12のノズル32は、上型24および下型18のそれぞれと等間隔離間した位置を維持しながら変位する。なお、ノズル32の連通路36(図5参照)には、図示しない離型剤タンクより離型剤26が供給されていない状態にある。
【0039】
そして、前記ノズル32の塗布部42が上型24および下型18の端部に対向する位置へと到達した際、前記供給用チューブ38を介してノズル32の連通路36へ離型剤26が供給される。前記離型剤26は、ノズル32の内部の連通路36を介して塗布部42の上面および下面に形成された噴射孔44へとそれぞれ供給され、前記噴射孔44を介して上型24および下型18の鍛造面30a、30bへと噴射される。その際、離型剤26は前記噴射孔44より鍛造面30a、30bに対して放射状に噴射されるため、前記鍛造面30a、30bに対して広範囲かつ略均一に塗布することができる。
【0040】
そして、前記噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しながら、ノズル32が上型24と下型18とが対向する熱間型鍛造装置10の略中央部に向かって(矢印A方向)さらに略水平な状態で直線的に変位する。その際、前記ノズル32は、塗布部42の噴射孔44を介して上型24および下型18の鍛造面30a、30bへ離型剤26を塗布しながら変位している状態にある。
【0041】
そして、前記ノズル32が略中央部に到達した後、多軸型ロボットからなるアーム機構28によって前記ノズル32を再び矢印B方向へと変位させる。その際も同様に、前記噴射孔44より離型剤26を噴射した状態を維持しながら、ノズル32が上型24および下型18と対向する端部までさらに略水平な状態で直線的に変位する。
【0042】
次に、前記ノズル32における塗布部42が上型24と下型18との端部に対向する端部に到達した際、供給用チューブ38を介してノズル32へ供給されている離型剤26の供給を停止する。
【0043】
そして、ノズル32に対する離型剤26の供給が停止された後、前記ノズル32が上型24と下型18とが対向した端部よりさらに熱間型鍛造装置10の外部側(矢印B方向)へと変位する。
【0044】
最後に、前記離型剤塗布機構12によって離型剤26が好適に塗布された下型18の鍛造面30aに鍛造素材を載置し、プレス部20による下方への加圧作用下に上型24の鍛造面30bを下型18の鍛造面30aへと当接させる。
【0045】
そして、図示しない昇降手段の駆動作用下に上型24を上方へと変位させることにより、上型24が下型18から離間して前記鍛造素材から鍛造成形されたワークを上型24および下型18から取り出すことができる。
【0046】
その際、上型24および下型18の鍛造面30a、30bには、離型剤塗布機構12によって離型剤26が好適に塗布されているため、鍛造成形されたワークを上型24および下型18より容易に離型させることができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態では、熱間型鍛造装置10における上型24と下型18とが対向する位置に到達した際にノズル32の噴射孔44から離型剤26を噴射させ、前記離型剤26の噴射状態を維持しつつ、前記ノズル32をさらに上型24および下型18の略中央部に向かって略水平な状態で直線的に変位させている。また、上型24および下型18の略中央部に到達したノズル32を、前記離型剤26の噴射状態を維持しつつ、上型24および下型18の略中央部より離間する方向に変位させる。
【0048】
すなわち、離型剤26を塗布する上型24と下型18との間をノズル32が変位している間、常に離型剤26をノズル32の塗布部42より噴射している状態とすることにより、離型剤26を上型24および下型18の鍛造面30a、30bに対して短時間で効率的に塗布することができる。
【0049】
また、離型剤26の塗布作業を短縮化することにより、離型剤26を塗布するために上型24と下型18とを型開きしている時間を短縮することができる。その結果、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮化することができ、熱間型鍛造装置10による生産性を向上させることができる。
【0050】
さらに、熱間型鍛造装置10で連続成形を行い、上型24および下型18の金型温度が変動する場合であっても、前記上型24および下型18の金型温度に対応して離型剤26の噴射量を制御することにより、前記上型24および下型18の金型温度の上昇を好適に抑制させることができる。その結果、熱間型鍛造装置10によって連続成形を行った際の上型24および下型18の温度上昇を抑制することができるため、好適に連続成形を行うことができ、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮することができる。
【0051】
さらにまた、前記ノズル32は、アーム機構28によって略水平な状態を維持したまま上型24と下型18との間から外部の間を直線的にストローク変位するため、前記ノズル32が変位する際の時間のロスがなく、熱間型鍛造装置10のサイクルタイムを短縮化することができる。
【0052】
またさらに、ノズル32の塗布部42に形成される複数の噴射孔44の位置、直径、個数を、上型24および下型18の鍛造面30a、30bの凹凸形状に対応させて設定することにより、上型24および下型18の鍛造面30a、30bに対して離型剤26を最適な状態(塗布量、塗布位置)で塗布することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0054】
すなわち、ノズルが噴射孔より離型剤を噴射した状態を維持しながら上型と下型との間を変位するため、前記ノズルが離型剤を塗布するために上型と下型との間に位置している時間を短縮することができ、上型および下型の鍛造面に対して離型剤を迅速に塗布することができる。
【0055】
また、上型および下型に噴射される離型剤の噴射量を制御することにより、上型および下型の金型温度の上昇を好適に抑制させることができるため、熱間型鍛造プレスによる連続成形を行うことができ、熱間型鍛造プレスのサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る離型剤塗布機構を備えた熱間型鍛造装置の側面図である。
【図2】図1に示す離型剤塗布機構の平面図である。
【図3】図1に示す離型剤塗布機構におけるノズルの斜視図である。
【図4】図3に示すノズルの平面図である。
【図5】図4に示すノズルの縦断面図である。
【符号の説明】
10…熱間型鍛造装置 12…離型剤塗布機構
16…下ダイホルダ 18…下型
22…上ダイホルダ 24…上型
26…離型剤 28…アーム機構
30a、30b…鍛造面 32…ノズル
36…連通路 38…供給用チューブ
42…塗布部 44…噴射孔
Claims (2)
- 熱間型鍛造プレスにおける上型および下型に離型剤を塗布する離型剤塗布機構において、
前記上型または下型を保持するダイホルダに装着され、複数の多肢を介して揺動・旋回自在に設けられるアーム機構と、
前記アーム機構にシャフト部を介して連結されるノズルと、
前記ノズルにおける前記上型および下型の凹凸状の鍛造面に対応する位置に複数形成される噴射孔と、
を備え、
前記ノズルが対向して配設される前記上型の鍛造面と下型の鍛造面との間に変位して、前記上型および下型の金型温度の変動に応じて噴射量が制御された離型剤を前記ノズルの噴射孔より噴射して、前記上型および下型の鍛造面に塗布することを特徴とする熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構。 - 請求項1記載の熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構において、
前記ノズルの噴射孔は、前記上型および下型の鍛造面における凹凸形状に応じて個数、位置および直径が設定されることを特徴とする熱間型鍛造プレスの離型剤塗布機構。
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-
2003
- 2003-05-12 JP JP2003132845A patent/JP2004330284A/ja active Pending
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