JP2004330033A - 凝集濾過処理装置のpH調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理水のpHを調整する際、pH調整剤の使用量を低減することが可能な凝集濾過処理装置のpH調整方法を提供する。
【解決手段】被処理水Wに凝集剤を添加した後、被処理水Wを膜モジュール2で膜濾過する凝集濾過処理装置1において、膜モジュール2の上流側で、凝集剤を添加した被処理水Wに対して曝気を行い、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が曝気空気A中の二酸化炭素の濃度よりも低い被処理水Wを対象にした場合、曝気によって被処理水WのpHを酸性側へ変移させ、また、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が曝気空気A中の二酸化炭素の濃度よりも高い被処理水Wを対象にした場合、曝気によって被処理水WのpHをアルカリ性側へ変移させ、これにより、pHの調整を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理水Wに凝集剤を添加した後、被処理水Wを膜モジュール2で膜濾過する凝集濾過処理装置1において、膜モジュール2の上流側で、凝集剤を添加した被処理水Wに対して曝気を行い、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が曝気空気A中の二酸化炭素の濃度よりも低い被処理水Wを対象にした場合、曝気によって被処理水WのpHを酸性側へ変移させ、また、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が曝気空気A中の二酸化炭素の濃度よりも高い被処理水Wを対象にした場合、曝気によって被処理水WのpHをアルカリ性側へ変移させ、これにより、pHの調整を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上水(浄水)処理,下水・廃水処理,海水淡水化処理等において、比較的清澄な被処理水に凝集剤を添加して膜モジュールで膜濾過する凝集濾過処理装置のpH調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の凝集濾過処理装置としては、例えば図2に示すように、炭酸が溶解した低濁度の清澄な被処理水Wを混和槽31内に導入し、混和槽31内の被処理水Wに凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)を添加して凝集フロックを生成し、その後、上記被処理水Wを混和槽31から膜モジュール32へ供給して膜濾過するものがある。上記混和槽31内には、被処理水Wと凝集剤とを攪拌混合させる回転翼を備えた混合機33が設けられている。
【0003】
これによると、被処理水Wに凝集剤を添加すると、被処理水WのpHが凝集剤の凝集反応に適した値から変動してしまい、上記凝集反応が妨げられる恐れがあった。この対策として、混和槽31内の被処理水WにpH調整剤(アルカリ剤,酸剤)を添加して、被処理水WのpHを調整することが考えられる。尚、このように被処理水WにpH調整剤を添加してpHを調整する方法としては、例えば下記特許文献1がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−23634号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、低濁度の清澄な被処理水WはpHの干渉能が低くて不安定なため、上記pH調整剤を添加してpHを調整することが技術的に難しいといった問題がある。また、pH調整のすべての場合に対してpH調整剤を使用するため多大なランニングコストを要するといった問題もある。
【0006】
本発明は、被処理水のpHを調整する際、pH調整剤の使用量を低減することが可能な凝集濾過処理装置のpH調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、被処理水に対して凝集剤を添加した後、この被処理水を膜モジュールで膜濾過する凝集濾過処理装置のpH調整方法であって、
膜モジュールの上流側で、上記凝集剤を添加した被処理水に対して曝気を行い、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも低い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHを酸性側へ変移させ、
溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも高い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHをアルカリ性側へ変移させるものである。
【0008】
これによると、凝集剤を添加した被処理水に対して曝気を行う場合、被処理水と曝気空気との間には以下のような平衡関係が保たれる。
CO2(気体)+H2O=H2CO3=H++HCO3 −=2H++CO3 2−
この際、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水を対象にしている場合、曝気空気中の二酸化炭素が被処理水中に溶け込んで、上記平衡関係は右へ進み、被処理水中のH+イオンが増加して、被処理水のpHが低くなる(酸性側になる)。
【0009】
▲2▼反対に、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水を対象にしている場合、被処理水中に溶け込んでいる二酸化炭素が曝気空気に移動して被処理水中から放出され、上記平衡関係は左へ進み、被処理水中のH+イオンが減少して、被処理水のpHが高くなる(アルカリ性側になる)。
【0010】
上記のように曝気を行うことによって、上記▲1▼のような被処理水の場合には、被処理水のpHを酸性側へ調整することができ、また、上記▲2▼のような被処理水の場合には、被処理水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、従来の方法に比べてpH調整剤の使用量を低減することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
1は、炭酸が溶解した低濁度の清澄な被処理水W(例えば伏流水,井水,清流水等の水道原水)を凝集濾過処理して水道水にする凝集濾過処理装置である。
【0012】
この凝集濾過処理装置1は、膜モジュール2と、この膜モジュール2の上流側に設置された混和槽3とを具備している。上記膜モジュール2の入口部と混和槽3との間には供給流路4が設けられ、この供給流路4には、混和槽3内の被処理水Wを膜モジュール2へ供給する供給ポンプ5が設けられている。上記混和槽3内に導入された被処理水Wに対して凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)を添加する添加部7が設けられている。
【0013】
また、上記混和槽3には曝気装置8が設けられている。この曝気装置8は、混和槽3内の底部に配置されて混和槽3内の被処理水Wに曝気用の空気Aを噴出する散気管9と、混和槽3外に設置されて上記散気管9に空気を送るブロワ10とで構成されている。尚、上記散気管9には、複数の空気噴出孔11が形成されている。また、混和槽3内の被処理水WのpHを検出するpH計12が設けられている。
【0014】
以下、上記構成における作用を説明する。
混和槽3内に導入された被処理水Wに対して、添加部7から凝集剤が添加され、凝集反応が起こって、上記被処理水W中に凝集フロックが生成される。さらに、ブロワ10から散気管9へ送られた空気が空気噴出孔11から噴出し、混和槽3内の被処理水Wが曝気される。この際、混和槽3内の被処理水Wと上記空気噴出孔11から噴出された曝気用の空気Aとの間には以下のような平衡関係が保たれる。
CO2(気体)+H2O=H2CO3=H++HCO3 −=2H++CO3 2−
この際、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水Wを対象にしている場合、曝気空気A中の二酸化炭素が被処理水W中に溶け込んで、上記平衡関係は右へ進み、被処理水W中のH+イオンが増加して、被処理水WのpHが低くなる(酸性側になる)。
【0015】
▲2▼反対に、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水Wを対象にしている場合、被処理水W中に溶け込んでいる二酸化炭素が曝気空気Aに移動して被処理水W中から放出され、上記平衡関係は左へ進み、被処理水W中のH+イオンが減少して、被処理水WのpHが高くなる(アルカリ性側になる)。
【0016】
上記のように曝気を行うことによって、上記▲1▼のような被処理水Wの場合には、被処理水WのpHを酸性側へ調整することができ、また、上記▲2▼のような被処理水Wの場合には、被処理水WのpHをアルカリ性側へ調整することができる。したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、全ての場合においてpH調整剤を用いる従来の方法に比べて、pH調整剤の使用量を低減することが可能となり、凝集濾過処理装置1のランニングコストを減らすことができる。
【0017】
また、上記▲1▼,▲2▼で示すように空気噴出孔11から曝気空気Aを噴出させて曝気を行うことにより、混和槽3内の被処理水Wに循環流が生じ、凝集剤が被処理水Wに十分に攪拌され混合される。これにより、従来のような混合機33(図2参照)を不要にすることも可能となる。その後、被処理水Wは、混和槽3から膜モジュール2へ供給され、膜モジュール2で膜濾過される。
【0018】
例えば、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを用いた場合、凝集反応に最適なpH値(最適凝集pH値)は約6.5〜7.0であり、これに対してpH計12で検出された被処理水WのpH値が仮に7.5である場合、上記被処理水Wを酸性側へ変移させればよい。すなわち、被処理水W中に溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い場合、上記被処理水Wに対して曝気を行うことにより、上記▲1▼に記載したように被処理水W中のH+イオンが増加して、被処理水WのpHが低くなる(酸性側になる)。そして、pH計12で検出された被処理水WのpH値が6.5〜7の範囲内まで下がった時点で、ブロワ10を停止して曝気を止める。
【0019】
尚、上記とは反対に、上記のような被処理水W[すなわち、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水W]をアルカリ性側へ変移させる場合には、曝気では不可であるため、pH調整剤を用いる。
【0020】
また、pH計12で検出された被処理水WのpH値が仮に6.0である場合、上記被処理水Wをアルカリ性側へ変移させればよい。すなわち、被処理水W中に溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い場合、上記被処理水Wに対して曝気を行うことにより、上記▲2▼に記載したように被処理水W中のH+イオンが減少して、被処理水WのpHが高くなる(アルカリ性側になる)。そして、pH計12で検出された被処理水WのpH値が6.5〜7の範囲内まで上がった時点で、ブロワ10を停止して曝気を止める。
【0021】
尚、上記とは反対に、上記のような被処理水W[すなわち、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水W]を酸性側へ変移させる場合には、曝気では不可であるため、pH調整剤を用いる。
【0022】
上記実施の形態では、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いたが、これに限定されるものではなく、下記のような物質を凝集剤として用い、被処理水Wを下記物質の最適凝集pH値に調整してもよい。
【0023】
凝集剤 最適凝集pH値
・硫酸バンド(硫酸アルミ,アラム) 6〜8
・塩化第2鉄 3.5以上
・ポリシリカ鉄(PSI) 5〜7
また、上記実施の形態では、被処理水Wを凝集剤の最適凝集pH値に調整しているが、最適凝集pH値以外の目標値に調整してもよい。
【0024】
さらに、上記実施の形態では、曝気によって被処理水WのpHを調整する場合、被処理水WのpHが最適凝集pH値に達すると曝気を停止しているが、曝気によるpH調整可能な範囲は狭い範囲に限られているため、下流側の処理工程に特に問題がない場合は、被処理水WのpHが最適凝集pH値に達した時点で曝気を停止せず、曝気を続行してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明では、曝気を行うことによって、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水の場合、被処理水のpHを酸性側へ調整することができ、また、▲2▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水の場合、被処理水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。
【0026】
したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、従来に比べてpH調整剤の使用量を低減することが可能となり、凝集濾過処理装置のランニングコストを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集濾過処理装置の図である。
【図2】従来の凝集濾過処理装置の図である。
【符号の説明】
1 凝集濾過処理装置
2 膜モジュール
A 曝気空気
W 被処理水W
【発明の属する技術分野】
本発明は、上水(浄水)処理,下水・廃水処理,海水淡水化処理等において、比較的清澄な被処理水に凝集剤を添加して膜モジュールで膜濾過する凝集濾過処理装置のpH調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の凝集濾過処理装置としては、例えば図2に示すように、炭酸が溶解した低濁度の清澄な被処理水Wを混和槽31内に導入し、混和槽31内の被処理水Wに凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)を添加して凝集フロックを生成し、その後、上記被処理水Wを混和槽31から膜モジュール32へ供給して膜濾過するものがある。上記混和槽31内には、被処理水Wと凝集剤とを攪拌混合させる回転翼を備えた混合機33が設けられている。
【0003】
これによると、被処理水Wに凝集剤を添加すると、被処理水WのpHが凝集剤の凝集反応に適した値から変動してしまい、上記凝集反応が妨げられる恐れがあった。この対策として、混和槽31内の被処理水WにpH調整剤(アルカリ剤,酸剤)を添加して、被処理水WのpHを調整することが考えられる。尚、このように被処理水WにpH調整剤を添加してpHを調整する方法としては、例えば下記特許文献1がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−23634号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、低濁度の清澄な被処理水WはpHの干渉能が低くて不安定なため、上記pH調整剤を添加してpHを調整することが技術的に難しいといった問題がある。また、pH調整のすべての場合に対してpH調整剤を使用するため多大なランニングコストを要するといった問題もある。
【0006】
本発明は、被処理水のpHを調整する際、pH調整剤の使用量を低減することが可能な凝集濾過処理装置のpH調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、被処理水に対して凝集剤を添加した後、この被処理水を膜モジュールで膜濾過する凝集濾過処理装置のpH調整方法であって、
膜モジュールの上流側で、上記凝集剤を添加した被処理水に対して曝気を行い、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも低い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHを酸性側へ変移させ、
溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも高い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHをアルカリ性側へ変移させるものである。
【0008】
これによると、凝集剤を添加した被処理水に対して曝気を行う場合、被処理水と曝気空気との間には以下のような平衡関係が保たれる。
CO2(気体)+H2O=H2CO3=H++HCO3 −=2H++CO3 2−
この際、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水を対象にしている場合、曝気空気中の二酸化炭素が被処理水中に溶け込んで、上記平衡関係は右へ進み、被処理水中のH+イオンが増加して、被処理水のpHが低くなる(酸性側になる)。
【0009】
▲2▼反対に、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水を対象にしている場合、被処理水中に溶け込んでいる二酸化炭素が曝気空気に移動して被処理水中から放出され、上記平衡関係は左へ進み、被処理水中のH+イオンが減少して、被処理水のpHが高くなる(アルカリ性側になる)。
【0010】
上記のように曝気を行うことによって、上記▲1▼のような被処理水の場合には、被処理水のpHを酸性側へ調整することができ、また、上記▲2▼のような被処理水の場合には、被処理水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、従来の方法に比べてpH調整剤の使用量を低減することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
1は、炭酸が溶解した低濁度の清澄な被処理水W(例えば伏流水,井水,清流水等の水道原水)を凝集濾過処理して水道水にする凝集濾過処理装置である。
【0012】
この凝集濾過処理装置1は、膜モジュール2と、この膜モジュール2の上流側に設置された混和槽3とを具備している。上記膜モジュール2の入口部と混和槽3との間には供給流路4が設けられ、この供給流路4には、混和槽3内の被処理水Wを膜モジュール2へ供給する供給ポンプ5が設けられている。上記混和槽3内に導入された被処理水Wに対して凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)を添加する添加部7が設けられている。
【0013】
また、上記混和槽3には曝気装置8が設けられている。この曝気装置8は、混和槽3内の底部に配置されて混和槽3内の被処理水Wに曝気用の空気Aを噴出する散気管9と、混和槽3外に設置されて上記散気管9に空気を送るブロワ10とで構成されている。尚、上記散気管9には、複数の空気噴出孔11が形成されている。また、混和槽3内の被処理水WのpHを検出するpH計12が設けられている。
【0014】
以下、上記構成における作用を説明する。
混和槽3内に導入された被処理水Wに対して、添加部7から凝集剤が添加され、凝集反応が起こって、上記被処理水W中に凝集フロックが生成される。さらに、ブロワ10から散気管9へ送られた空気が空気噴出孔11から噴出し、混和槽3内の被処理水Wが曝気される。この際、混和槽3内の被処理水Wと上記空気噴出孔11から噴出された曝気用の空気Aとの間には以下のような平衡関係が保たれる。
CO2(気体)+H2O=H2CO3=H++HCO3 −=2H++CO3 2−
この際、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水Wを対象にしている場合、曝気空気A中の二酸化炭素が被処理水W中に溶け込んで、上記平衡関係は右へ進み、被処理水W中のH+イオンが増加して、被処理水WのpHが低くなる(酸性側になる)。
【0015】
▲2▼反対に、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が上記曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水Wを対象にしている場合、被処理水W中に溶け込んでいる二酸化炭素が曝気空気Aに移動して被処理水W中から放出され、上記平衡関係は左へ進み、被処理水W中のH+イオンが減少して、被処理水WのpHが高くなる(アルカリ性側になる)。
【0016】
上記のように曝気を行うことによって、上記▲1▼のような被処理水Wの場合には、被処理水WのpHを酸性側へ調整することができ、また、上記▲2▼のような被処理水Wの場合には、被処理水WのpHをアルカリ性側へ調整することができる。したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、全ての場合においてpH調整剤を用いる従来の方法に比べて、pH調整剤の使用量を低減することが可能となり、凝集濾過処理装置1のランニングコストを減らすことができる。
【0017】
また、上記▲1▼,▲2▼で示すように空気噴出孔11から曝気空気Aを噴出させて曝気を行うことにより、混和槽3内の被処理水Wに循環流が生じ、凝集剤が被処理水Wに十分に攪拌され混合される。これにより、従来のような混合機33(図2参照)を不要にすることも可能となる。その後、被処理水Wは、混和槽3から膜モジュール2へ供給され、膜モジュール2で膜濾過される。
【0018】
例えば、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを用いた場合、凝集反応に最適なpH値(最適凝集pH値)は約6.5〜7.0であり、これに対してpH計12で検出された被処理水WのpH値が仮に7.5である場合、上記被処理水Wを酸性側へ変移させればよい。すなわち、被処理水W中に溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い場合、上記被処理水Wに対して曝気を行うことにより、上記▲1▼に記載したように被処理水W中のH+イオンが増加して、被処理水WのpHが低くなる(酸性側になる)。そして、pH計12で検出された被処理水WのpH値が6.5〜7の範囲内まで下がった時点で、ブロワ10を停止して曝気を止める。
【0019】
尚、上記とは反対に、上記のような被処理水W[すなわち、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水W]をアルカリ性側へ変移させる場合には、曝気では不可であるため、pH調整剤を用いる。
【0020】
また、pH計12で検出された被処理水WのpH値が仮に6.0である場合、上記被処理水Wをアルカリ性側へ変移させればよい。すなわち、被処理水W中に溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い場合、上記被処理水Wに対して曝気を行うことにより、上記▲2▼に記載したように被処理水W中のH+イオンが減少して、被処理水WのpHが高くなる(アルカリ性側になる)。そして、pH計12で検出された被処理水WのpH値が6.5〜7の範囲内まで上がった時点で、ブロワ10を停止して曝気を止める。
【0021】
尚、上記とは反対に、上記のような被処理水W[すなわち、溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気A中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水W]を酸性側へ変移させる場合には、曝気では不可であるため、pH調整剤を用いる。
【0022】
上記実施の形態では、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いたが、これに限定されるものではなく、下記のような物質を凝集剤として用い、被処理水Wを下記物質の最適凝集pH値に調整してもよい。
【0023】
凝集剤 最適凝集pH値
・硫酸バンド(硫酸アルミ,アラム) 6〜8
・塩化第2鉄 3.5以上
・ポリシリカ鉄(PSI) 5〜7
また、上記実施の形態では、被処理水Wを凝集剤の最適凝集pH値に調整しているが、最適凝集pH値以外の目標値に調整してもよい。
【0024】
さらに、上記実施の形態では、曝気によって被処理水WのpHを調整する場合、被処理水WのpHが最適凝集pH値に達すると曝気を停止しているが、曝気によるpH調整可能な範囲は狭い範囲に限られているため、下流側の処理工程に特に問題がない場合は、被処理水WのpHが最適凝集pH値に達した時点で曝気を停止せず、曝気を続行してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明では、曝気を行うことによって、▲1▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも低い被処理水の場合、被処理水のpHを酸性側へ調整することができ、また、▲2▼溶け込んでいる炭酸イオン(CO3 2−)又は重炭酸イオン(HCO3 −)の濃度が曝気空気中の二酸化炭素(CO2)の濃度よりも高い被処理水の場合、被処理水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。
【0026】
したがって、pH調整時、上記▲1▼,▲2▼の場合は特別なpH調整剤を必要とせず、▲1▼,▲2▼以外の場合のみpH調整剤を必要とするため、従来に比べてpH調整剤の使用量を低減することが可能となり、凝集濾過処理装置のランニングコストを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集濾過処理装置の図である。
【図2】従来の凝集濾過処理装置の図である。
【符号の説明】
1 凝集濾過処理装置
2 膜モジュール
A 曝気空気
W 被処理水W
Claims (1)
- 被処理水に対して凝集剤を添加した後、この被処理水を膜モジュールで膜濾過する凝集濾過処理装置のpH調整方法であって、
膜モジュールの上流側で、上記凝集剤を添加した被処理水に対して曝気を行い、溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも低い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHを酸性側へ変移させ、
溶け込んでいる炭酸イオン又は重炭酸イオンの濃度が上記曝気空気中の二酸化炭素の濃度よりも高い被処理水を対象にした場合、上記曝気によって被処理水のpHをアルカリ性側へ変移させることを特徴とする凝集濾過処理装置のpH調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003127624A JP2004330033A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 凝集濾過処理装置のpH調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003127624A JP2004330033A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 凝集濾過処理装置のpH調整方法 |
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JP2004330033A true JP2004330033A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33504054
Family Applications (1)
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JP2003127624A Withdrawn JP2004330033A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 凝集濾過処理装置のpH調整方法 |
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JP (1) | JP2004330033A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008279413A (ja) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Kurita Water Ind Ltd | 凝集装置 |
-
2003
- 2003-05-06 JP JP2003127624A patent/JP2004330033A/ja not_active Withdrawn
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JP2008279413A (ja) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Kurita Water Ind Ltd | 凝集装置 |
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