JP2004328825A - Dc−dcコンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はDC−DCコンバータに関し、補正回路に温度特性を持たせると共に、高温時には補正量が大きくなるようにし、低温時には小さくなるような温度特性を持たせることにより、特性の良好なDC−DCコンバータを得る。
【解決手段】トランスT1と、主スイッチM1と、2次側回路2と、3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路3と、電圧検出回路3の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路6と、トランスT1の1次巻線に流れる1次側電流に応じて変動する補正電流を発生させる補正電流発生回路5を備え、補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部に、2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流i3を発生させる機能を備え、補正電流i3に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】トランスT1と、主スイッチM1と、2次側回路2と、3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路3と、電圧検出回路3の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路6と、トランスT1の1次巻線に流れる1次側電流に応じて変動する補正電流を発生させる補正電流発生回路5を備え、補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部に、2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流i3を発生させる機能を備え、補正電流i3に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器(電話交換機、携帯電話機、PHS電話機、遊技機、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等)に利用可能なDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】以下、従来例について説明する。
【0003】
§1:フォワード型DC−DCコンバータの説明
図23は従来例1の説明図である。従来、フォワード型DC−DCコンバータの1例として、図23に示したような構成の回路が知られていた。以下、図23に示したフォワード型DC−DCコンバータについて説明する。
【0004】
(1) :回路構成の説明
図23において、T1はトランス、N1はトランスT1の1次巻線、N2はトランスT1の2次巻線、N3はトランスT1の3次巻線、C1は入力側に設けられた平滑用のコンデンサ、1は発振回路、2は2次側回路(整流平滑回路)、3は電圧検出回路、4は制御部、6は電圧検出用抵抗回路、10は負荷、11はエラーアンプ、Vref は基準電圧を示す。
【0005】
また、M1は主スイッチングトランジスタを構成するNチャンネルMOS−FET(以下、単に「トランジスタ」と記す)、C11はトランジスタM1のゲート・ソース間容量(以下、「コンデンサC11」と記す)、C2は出力側の平滑用コンデンサ、L2は平滑用のチョークコイル、D21、D22、D31、D32はダイオード、Rs2、Rs3は電圧検出用抵抗(以下、単に「抵抗」とも記す)を示す。
【0006】
また、VN1はトランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧、VN2はトランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧、VN3はトランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧であり、図示矢印は前記電圧VN1、VN2、VN3の極性を示す。なお、トランジスタM1は、制御回路4によりオン/オフ駆動されるように構成されており、前記制御回路4にはエラーアンプ11が設けてある。
【0007】
この回路では、入力端子(電圧Vinが印加する端子)とGND間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、前記入力端子にトランスT1を接続する。そして、トランスT1には、1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にはトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0008】
また、トランスT1の2次巻線N2には、チョークコイルL2、コンデンサC2、ダイオードD21、D22を含む2次側回路(整流平滑回路)2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には、電圧検出回路3と、複数の電圧検出用抵抗Rs2、Rs3を有する電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。この場合、エラーアンプ11では、前記入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。
【0009】
(2) :動作の説明
以下、図23に示したフォワード型DC−DCコンバータの動作を説明する。入力端子に直流入力電圧Vinを印加すると、この入力電圧Vinにより、フォワード型DC−DCコンバータが動作を開始し、制御回路1の制御によりトランジスタM1がオン/オフ駆動される。このため、トランスT1の1次巻線N1には間欠的に励磁電流i1が流れ、該トランスT1の巻線を励磁し、2次巻線N2、3次巻線N3に誘起電圧VN2、VN3を発生する。
【0010】
このようにして、トランジスタM1は制御回路1によりオン/オフ駆動され(発振動作)、トランスT1の巻線を励磁する。そして、トランジスタM1がオンになった時、トランスT1の1次巻線N1に励磁電流i1が流れ、トランジスタM1がオフになると、1次巻線N1に流れる電流i1が遮断される。以降、このようなトランジスタM1のオン/オフ動作を繰り返す。
【0011】
このため、トランスT1の2次側に接続された2次側回路(整流平滑回路)2では整流平滑動作が行われ、その時の電流はチョークコイルL2で平滑化されコンデンサC2を充電する。
【0012】
この場合、先ず、トランジスタM1がオンとなり、トランスT1の2次巻線N2に図示矢印と逆方向の電圧VN2が発生すると共に、トランスT1の3次巻線N3にも図示矢印と逆方向の電圧VN3が発生する。この時、2次側回路(整流平滑回路)2では、電圧VN2により、N2→L2→C2→D21→N2の経路で電流が流れ、コンデンサC2が充電される。
【0013】
次に、制御回路1の制御によりトランジスタM1がオフになると、チョークコイルL2の電磁エネルギーにより、L2→C2→D22→L2の経路でフライホイール電流が流れ、コンデンサC2が充電される。そして、コンデンサC2の電圧V2を2次側回路2の出力電圧として負荷10に供給する。この時、負荷10に流れる電流はi2(2次側回路2から出力される負荷電流)である。以降、トランジスタM1のオン/オフ動作により、前記の動作を繰り返す。
【0014】
また、トランジスタM1がオンとなり、トランスT1の3次巻線N3に、図示矢印と逆方向の電圧VN3が誘起すると、この電圧VN3により、N3→D31→L3→C3→N3の経路で電流が流れ、コンデンサC3を充電する。次に、トランジスタM1がオフになると、トランスT1の3次巻線N3に図示矢印方向の電圧VN3が誘起する。この時、チョークコイルL3の電磁エネルギーにより、L3→C3→D32→L3の経路で電流が流れコンデンサC3を充電する。
【0015】
そして、コンデンサC3の端子間に電圧V3が発生し、この電圧V3により、電圧検出用抵抗回路6の検出用抵抗Rs2、Rs3に電流が流れ、該検出用抵抗Rs3の端子電圧(V4)が制御部4のエラーアンプ11へ送られる。制御部4では、エラーアンプ11により前記電圧V4を基準電圧Vref と比較することで、トランジスタM1の制御を行う。
【0016】
§2:従来例2(特許文献1参照)の説明
図24は従来例2の説明図であり、A図は実施形態例の回路図、B図は温度補償回路を示す。以下、特許文献1を従来例2とし、図24に基づいて従来例2を説明する。
【0017】
従来例2は、負荷変動による出力電圧Vout の変動を精度良く補正するDC−DCコンバータに関するものである。このDC−DCコンバータは、図24のA図のように、一時側回路3の通電電流Ircを電圧に変換して検出する抵抗体13を設ける。その検出電圧を電圧検出用回路8の出力電圧に重畳し該重畳電圧に応じた電圧を制御回路10に加える。
【0018】
一時コイルN1の電圧が誘起されて電圧検出用コイルN3に電圧が発生し、電圧検出用回路8は電圧検出用コイルN3の電圧を整流平滑して出力する。該回路8の出力電圧は負荷変動に伴った二次側回路5の通電電流変動に起因した出力電圧VOUT の変動の影響を受けていない。
【0019】
二次側回路5の通電電流に応じた一時側回路3の通電電流Ircの検出電圧を電圧検出用回路8の出力電圧に重畳する。このため、電圧検出用回路8側から制御回路10への入力電圧は負荷変動による出力電圧Vout の変動に応じて変動し、制御回路10の回路動作によって出力電圧Vout の安定化が達成できる。
【0020】
また、温度変動に伴う二次側回路の出力電圧の変動分を相殺するための電圧を上記電圧検出用回路の出力電圧に加えて温度補償するための電圧を制御回路に加える温度補償用回路が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
図24のB図の(a)のように、抵抗体22に温度補償用ダイオード30を直列に接続する。この場合、温度補償用ダイオード30のカソード側は抵抗体22と抵抗体23と制御回路10の入力端子aとの接続部B(以下制御電圧入力部Bと記す)側に向けられる。
【0022】
上記のように温度補償用ダイオード30によって温度補償用回路が構成されている。この温度補償用回路は上記温度変動に起因した出力電圧Vout の変動分を相殺するための電圧ΔV30を電圧検出用回路8の出力電圧に加える。このことにより、温度補償するための電圧が制御回路10に加えられることとなる。
【0023】
この温度補償用回路及び制御回路10の回路動作によって、温度変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout の変動を精度良く補正することができ、オン時変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout の変動が抑制される。これにより、温度補償がなされて出力電圧Vout のより一層の安定化を達成することができる。
【0024】
また、上記温度補償用ダイオード30を抵抗体22に直列接続するのに変えて、図24のB図の(b)のように、温度補償用ダイオード30と抵抗体31の直列接続体を抵抗体22に並列に接続してもよい。この場合にも上記温度補償用ダイオード30のカソード側は上記制御電圧入力部B側に向けられる。
【0025】
上記温度補償用ダイオード30を抵抗体31とによって温度補償用回路が構成されている。この場合にも、上記抵抗体22に温度補償用ダイオード30を直列接続した場合と同様に、温度変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout のより一層の安定化を達成することができる。
【0026】
【特許文献1】
特開2000−156975
【0027】
【発明が解決しようとする課題】前記のような従来のものにおいては、次のような課題があった。
【0028】
(1) :2次側回路の出力電圧を間接的に検出するDC−DCコンバータでは、負荷変動に伴って2次側回路の出力電圧が変動してしまうという課題があった。
【0029】
(2) :また、前記(1) で説明した変動時の変動値には温度特性があり、高温時には変動分が大きく、低温時には小さい傾向がある(これは、パターン抵抗や同期整流を行なっている場合は、MOSFETのオン抵抗が正の温度特性のため)。
【0030】
(3) :従来、入力電流を検出し、出力電圧を補正する回路が提供されているが、本補正回路には温度特性を有していない。従って、高温時における電圧変動分を補正しようとすると、低温時には補正しすぎてしまうという課題があった。また、逆に、低温時における電圧変動分を補正するように補正回路を設定すると、今度は、高温時の変動分が大きいという課題があった。
【0031】
本発明は、このような従来の課題を解決し、補正電流発生回路又は検出用抵抗回路に補正電流の温度補正を行うための温度特性を持たせることで、補正電流の温度補正を確実に行い、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達成するため、次のように構成した。
【0033】
すなわち、第1のDC−DCコンバータは、1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、前記2次巻線に接続された2次側回路と、前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流の変動を補正するための補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備えると共に、前記補正電流発生回路内の一部の素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0034】
また、第2のDC−DCコンバータは、1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、前記2次巻線に接続された2次側回路と、前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流の変動を補正するための補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備え、前記電圧検出用抵抗回路は、一部の素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0035】
また、第3のDC−DCコンバータは、前記第1のDC−DCコンバータにおいて、補正電流発生回路は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせたことを特徴とする。
【0036】
また、第4のDC−DCコンバータは、前記第2のDC−DCコンバータにおいて、電圧検出用抵抗回路は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の一部又は前記抵抗に接続された素子の一部に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0037】
また、第5のDC−DCコンバータは、前記第1又は2のDC−DCコンバータにおいて、前記補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるような温度特性を、低温時には補正量が小さくなるような温度特性を持たせたことを特徴とする。
【0038】
(作用)
前記構成に基づく本発明の作用を図1に基づいて説明する。
【0039】
(1) :第1のDC−DCコンバータでは、補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部を通って2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流i3を発生させる。そして、補正電流発生回路5内の一部の素子に前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせているので、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流i3により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0040】
(2) :第2のDC−DCコンバータでは、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部を通って、2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流i3を発生させる。そして、電圧検出用抵抗回路6は、前記一部の素子に温度特性を持たせているので、温度が変動した場合、補正電流i3が前記温度特性を持たせた素子中を流れる事により、電圧降下を発生し、これにより負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0041】
(3) :第3のDC−DCコンバータでは、前記第1のDC−DCコンバータの作用において、補正電流発生回路5は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、補正電流i3に対する温度補正を行うための温度特性を持たせている。
【0042】
従って、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流i3により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0043】
(4) :第4のDC−DCコンバータでは、前記第2のDC−DCコンバータの作用において、電圧検出用抵抗回路6は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の内、前記の補正電流i3が流れない抵抗の一部、又は該抵抗に接続された素子の一部に温度特性を持たせているため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする。
【0044】
(5) :第5のDC−DCコンバータでは、前記第1又は2のDC−DCコンバータにおいて、前記補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には補正量が小さくなる温度特性を持たせている。そのため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができ、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
§1:フォワード型DC−DCコンバータ(温度補正を除く)の説明
(1) :回路構成の説明
図1はフォワード型DC−DCコンバータの説明図である。以下、図1に基づいて、温度補正(又は、温度補償)を除いたフォワード型DC−DCコンバータの構成を説明する。
【0047】
図1において、T1はトランス、N1はトランスT1の1次巻線、N2はトランスT1の2次巻線、N3はトランスT1の3次巻線、C1は入力側に設けられた平滑用のコンデンサ、1は発振回路、2は2次側回路(整流平滑回路)、3は電圧検出回路、4は制御部、5は補正電流発生回路、6は電圧検出用抵抗回路、10は負荷、11はエラーアンプを示す。
【0048】
また、M1は主スイッチングトランジスタを構成するNチャンネルMOS−FET(以下、単に「トランジスタ」と記す)、C11はトランジスタM1のゲート・ソース間容量(以下、「コンデンサC11」と記す)、d11は、トランジスタM1の寄生ダイオード又は内蔵ダイオード(以下「ダイオードd11」と記す)、C2は出力側の平滑用コンデンサ、L2は平滑用のチョークコイル、D21、D22、D31、D32はダイオード、Rs1、Rs2、Rs3は電圧検出用抵抗を示す。
【0049】
また、VN1はトランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧、VN2はトランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧、VN3はトランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧であり、図示矢印は前記電圧VN1、VN2、VN3の極性を示す。なお、トランジスタM1は、制御回路4によりオン/オフ駆動されるように構成されている。
【0050】
このフォワード型DC−DCコンバータでは、入力端子(電圧Vinが印加する端子であり、一方の入力端子はGND電位)間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、トランスT1を接続する。そして、トランスT1には1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0051】
また、トランスT1の2次巻線N2にはチョークコイルL2、平滑用のコンデンサC2、ダイオードD21、D22を含む2次側回路(整流平滑回路)2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には電圧検出回路3と、電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。
【0052】
この場合、エラーアンプ11では、入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。また、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を通過した電流i3が補正電流発生回路5へ流れるように構成されている。
【0053】
(2) :動作の説明
前記構成のDC−DCコンバータは、基本的な動作は従来例1と同じであるが、図1に示したフォワード型DC−DCコンバータでは、トランスT1の2次巻線N2に接続された2次側回路2の出力電圧Vout を間接的に検出する電圧検出回路3を3次巻線N3に接続し、該電圧検出回路3の出力電圧V3(この電圧V3を「検出電圧」とする)を、電圧検出用抵抗回路6に入力している。
【0054】
そして、一次側電流i1を検出し、該検出した電流i1に応じた電流i3を生成する補正電流発生回路5を設け、該補正電流発生回路5で発生した補正電流i3を、電圧検出回路3の出力電圧V3を検出している電圧検出用抵抗回路6の電圧検出用抵抗の一部(この例ではRs1)に流す。
【0055】
そして、前記補正電流i3は、2次側回路2の出力電圧Vout が負荷電流iout により変動するのを補正する方向に流すことで、出力電圧V2の安定化を達成する。
【0056】
§2:温度補正を除いた補正電流発生回路の詳細な説明
以下、前記温度補正(又は、温度補償)を除いた補正電流発生回路5について詳細に説明する。
【0057】
(1) :回路例1の説明
図2は補正電流発生回路の説明図であり、図2のA図は回路例1の説明図を示す。図2のA図に示した補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6と結合しており、図示のような構成の回路である。
【0058】
▲1▼:回路構成の説明
図2のA図に示した回路例1は、カーレント・ミラー回路(又は、ウイルソンミラー回路)を含み、該カーレント・ミラー回路(ウイルソンミラー回路)を利用した補正電流発生回路(カーレント・ミラー回路の変形回路)の1例であり、Q51、Q52はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R52は抵抗、D51はダイオードである。なお、Q51、Q52はMOSFETでも同様動作となる。
【0059】
また、i51、i52は定電流源から流れる定電流であり、i1は1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流、i3は電圧検出用抵抗回路6の一部の抵抗を通って流入する電流(補正電流)、V3は電圧検出回路3の出力電圧である。
【0060】
なお、電圧検出用抵抗回路6は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3が直列接続された回路構成であり、抵抗Rs1の一端に前記出力電圧V3(電圧検出回路3の出力電圧)が印加され、抵抗Rs3の一端がGNDに接続されている。また、抵抗Rs2とRs3の接続点から電圧V4が取り出され、この電圧V4が制御部4へ出力されるようになっている。
【0061】
この回路では、定電流源から流れる電流i51、i52と、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した電流i3は、ダイオードD51→トランジスタQ52のコレクタ→エミッタ→抵抗R52→GNDの経路で流れる。
【0062】
この場合、トランジスタQ51のベース・コレクタ間は短絡されているので、該トランジスタQ51はダイオードとして機能し、電流源から流れる電流i51は、トランジスタQ51と抵抗R51を通り、GNDへ流れる。
【0063】
前記のように、トランジスタQ51、Q52のベースを共通に接続したカーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)のトランジスタQ51のエミッタを検出用の抵抗R51の一端(電流流入端)に接続し、かつ、コレクタを定電流源(電流i51の電流源)に接続する。この場合、トランジスタQ51のコレクタとベース間を短絡する。
【0064】
また、トランジスタQ52のエミッタは抵抗R52を介して検出用の抵抗R51の他端(電流流出端)に接続し、前記検出用の抵抗R51を電流i1の検出線路に直列に挿入する。そして、検出用の抵抗R51に流れる被検出電流i1をトランジスタQ52のエミッタ側で検出するように構成している。
【0065】
▲2▼:動作の説明
図2のA図の回路において、電流i1が増加すると、抵抗R51の電圧降下が増加し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が上昇するので、トランジスタQ51に流れる電流が減少し、トランジスタQ52に流れる電流が増加する。従って、この時、補正電流i3は増加する。
【0066】
また、電流i1が減少すると、抵抗R51の電圧降下が減少し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が降下するので、トランジスタQ51に流れる電流が増加し、トランジスタQ52に流れる電流が減少する。従って、この時、補正電流i3は減少する。このようにして、電流i1とi3との関係をリニアにすることができる。
【0067】
なお、カーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)自体は周知の回路である。また、前記カーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)を利用した電流検出回路は、特開平11−160368号公報に記載され、公知である。そして、本発明の補正電流発生回路5は、前記公報記載の電流検出回路に使われているカーレント・ミラー回路の動作原理を利用しているので、該カーレント・ミラー回路の詳細な動作の説明は省略する。
【0068】
(2) :回路例2の説明
図2のB図は回路例2を示した図である。この回路例2は、回路例1のダイオードD51と直列に抵抗R56を接続し、定電流源の代わりに抵抗R53、R54を接続した例であり、他の構成は回路例1と同じである。なお、抵抗R55は電流i3(補正電流)を制限するための抵抗である。
【0069】
(3) :特性データ例の説明
図3は特性データ例を示した図であり、A図は特性データ例1、B図は特性データ例2である。A図に示した特性データ例1は、横軸が電流i1、縦軸が電流i3であり、電流制限がない場合(図2のA図の回路)の特性データ例(▲1▼の特性)と、電流制限抵抗(図2のB図に示したR55)による電流制限がある場合の特性データ例(▲2▼の特性)を示している。
【0070】
また、B図の特性データ例2は、横軸が電流i2、縦軸が電圧Vout であり、電流制限がない場合の特性データ例(▲1▼の特性)と、電流制限抵抗(図2のB図に示したR55)による電流制限がある場合の特性データ例(▲2▼の特性)と、補正しない場合(前記従来例1の回路)の特性データ例(▲3▼の特性)を示す。
【0071】
前記特性データ例において、電流i3が流れる経路に抵抗等による電流制限が無い場合(例えば、図2のA図の回路)は、前記▲1▼の特性のように、電流i3は電流i1と比例関係であり、電圧Vout は電流i2の変化に対して略一定値である。しかし、電流制限がある場合(例えば、図2のB図に示した抵抗R55)は、前記▲2▼の特性のように、電流i3は電流i1が或る値を超えると略一定値となり、電圧V2は、電流i2がある値を超えると、その増加に従って、次第に低下する特性となる。また、前記電圧Vout は、補正しないと、▲3▼の特性のように、電流i2が大きくなるにつれて低下する率も大きくなる。
【0072】
なお、抵抗(例えば、前記R55)により電流i3を制限する目的は次の通りである。例えば、複数のDC−DCコンバータを負荷に対して並列接続して運転する場合、各DC−DCコンバータの出力電圧のバラツキ範囲が異なっていたとする。このような場合、負荷に供給する電力が不揃いになる。
【0073】
そして、出力電圧が大きいDC−DCコンバータから負荷に電力を供給してしまうことになる。このような事態を防止するため、電流i3(補正電流)を或る一定値に制限する必要があるためである。
【0074】
§3:補正電流発生回路による温度補正の説明
図4は補正電流発生回路の説明図である。この図は、図1に示した回路の補正電流発生回路5の1例である。以下、図4に基づいて補正電流発生回路による温度補正(又は温度補償)について説明する。
【0075】
(1) :回路構成の説明
この回路例は、図2のA図に示した回路例の抵抗R52と直列に、抵抗R53と負の温度係数を有するサーミスタTH51の並列回路を接続して温度補正を行う回路例である。図4において、Q51、Q52はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R52、R53は抵抗、D51はダイオード、TH51はサーミスタである。
【0076】
また、i51、i52は定電流源から流れる定電流であり、i1は1次巻線N1及びトランジスタM1(図1参照)を流れる電流、i3は電圧検出用抵抗回路6の一部の抵抗を通って流入する電流(補正電流)、V3は電圧検出回路3(図1参照)の出力電圧(この電圧V3を「検出電圧」とする)である。
【0077】
電圧検出用抵抗回路6は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3が直列接続された回路構成であり、抵抗Rs1の一端に前記出力電圧V3(電圧検出回路3の出力電圧)が印加され、抵抗Rs3の一端がGND(接地電位)に接続されている。また、抵抗Rs2とRs3の接続点から電圧V4が取り出され、この電圧V4が制御部4(図1参照)へ出力されるようになっている。
【0078】
この回路では、定電流源から流れる電流i51、i52と、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した電流i3は、ダイオードD51→トランジスタQ52のコレクタ→エミッタ→抵抗R52→抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路→GNDの経路で流れる。
【0079】
この場合、トランジスタQ51のベース・コレクタ間は短絡されているので、該トランジスタQ51はダイオードとして機能し、電流源から流れる電流i51は、トランジスタQ51と抵抗R51を通り、GNDへ流れる。
【0080】
前記のように、トランジスタQ51、Q52のベースを共通に接続したトランジスタQ51のエミッタを検出用の抵抗R51の一端(電流流入端)に接続し、かつ、コレクタを定電流源(電流i51の電流源)に接続する。この場合、トランジスタQ51のコレクタとベース間を短絡する。
【0081】
また、トランジスタQ52のエミッタには抵抗R52の一端が直列に接続され、該抵抗R52の他端には、抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路の一端が接続され、該抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路の他端は、検出用の抵抗R51の他端(電流流出端)とGNDに接続し、前記検出用の抵抗R51を電流i1の検出線路に直列に挿入する。そして、検出用の抵抗R51に流れる被検出電流i1をトランジスタQ52のエミッタ側で検出するように構成している。
【0082】
▲2▼:動作の説明
図4の回路において、電流i1が増加すると、抵抗R51の電圧降下が増加し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が上昇するので、トランジスタQ51に流れる電流が減少し、トランジスタQ52に流れる電流が増加する。従って、この時、補正電流i3は増加する。
【0083】
また、電流i1が減少すると、抵抗R51の電圧降下が減少し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が降下するので、トランジスタQ51に流れる電流が増加し、トランジスタQ52に流れる電流が減少する。従って、この時、補正電流i3は減少する。このようにして、電流i1とi3との関係をリニアにすることができる。
【0084】
前記のような動作において、環境温度が変化した場合、抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路を付加してあるので、この回路で電流i3(補正電流)に対する温度補償動作を行う。
【0085】
(2) :フォワード型DC−DCコンバータにおける温度補正の説明
図1に示したフォワード型DC−DCコンバータにおける温度補正(又は、温度補償)は次の通りである。なお、本発明における温度補正は、例えば、電話交換機の試験方法として規格化された内容によるものであり、DC−DCコンバータでは、試験温度を、−40°C〜+85°Cの範囲で実行することが決められている。従って、本発明では前記温度範囲におて、規定された温度補正(又は、温度補償)を行なえるようにするものである。
【0086】
すなわち、図1に示したフォワード型DC−DCコンバータでは、トランスT1の2次側回路2の出力電圧Vout を間接的に検出する検出回路3を設ける。該検出回路3の出力電圧V3は、負荷電流i2の変動に伴った2次側回路2の出力電圧V2の変動の影響を受けていない。
【0087】
1次側電流i1を検出し、該検出した電流に応じた電流i3を生成する補正電流発生回路5を設ける。該補正電流発生回路5で発生した補正電流i3を検出回路3の出力電圧V3を検出している検出抵抗6の一部に流す。補正電流i3は、2次側回路2の出力電圧Vout が負荷電流により変動するのを補正する方向に流すことにより、出力電圧Vout の安定化が達成される。
【0088】
また、補正電流i3に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧Vout の変動分が少なくなるようにすることで、出力電圧Vout の安定化が達成される。或いは、検出抵抗6の一部であるRs1に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧Vout の変動分が少なくなるようにすることで、出力電圧Vout の安定化が達成される。
【0089】
このような試験に合格させるための手段として、例えば、図4に示した温度補償回路付きの補正電流発生回路5を、図1に示した補正電流発生回路5に使用して温度補償するものである。
【0090】
§4:温度による補正の説明
(1) :温度により補正量を変化させる理由の説明
図5は補正の説明図であり、A図は従来例の補正量、B図は本発明の補正量、C図は温度により補正量を変化させる理由の説明図である。なお、図5のA図、B図において、横軸は出力電流Iout 、縦軸は検出電圧(図1の出力電圧V3のこと)の変動分ΔV3であり、図5のC図において、横軸は出力電流Iout 、縦軸は出力電圧Vout である。また、点線の特性は高温時の特性、実線の特性は常温時の特性、鎖線の特性は低温時の特性を示す。
【0091】
従来の補正量は図5のA図に示したように、温度に関わらず一定であった(点線や鎖線の特性が無い)。これに対して本発明の補正量は、図5のB図に示したように、温度により変化させている。すなわち、出力電流Iout が増加するにつれてΔV3の値は少しづつ増加するが、高温時には点線のように補正がかかり、低温時には鎖線のように補正がかかるようになっている。
【0092】
ところで、温度により補正量を変化させる理由は次の通りである。
【0093】
すなわち、ロードレギュレーションを良好にするため、従来では出力電流が大きくなるにつれ、補正量が大きくなるように補正していた。出力電流の大きさにより補正量を変化させているのは、以下の理由による。
【0094】
トランスの2次側回路2には、プリント基板のパターン抵抗が存在する。また、同期整流を行なっている場合は整流器に使用しているMOSFETのオン抵抗が存在し、これらの抵抗の影響により出力電圧が低下し、その低下量は出力電流が大きい程大きくなる。その結果、出力電流が大きくなると出力電圧が大きく低下し、ロードレギュレーション特性が悪くなる。
【0095】
これに対して従来では、出力電流が大きくなるにつれ、補正量を大きくすることにより、ロードレギュレーションを改善していた。ところで、出力電圧の低下に影響を与えているパターン抵抗やMOSFETのオン抵抗は、正の温度特性を有している。従って、温度が高い場合、これら抵抗の値は大きくなり、出力電圧の低下が大きくなり、逆に、温度が低い場合には小さくなる。
【0096】
よって、従来の補正方法だと、高温時にロードレギュレーションが悪くなってしまう。或いは、高温時のロードレギュレーションが良好になる様に補正量を設定すると(補正量を多くすると)、、低温時のロードレギュレーションが正の特性になってしまう(正の特性とは、出力電流が大きくなるにつれ、出力電圧が上昇する特性)。
【0097】
ロードレギュレーションが正の特性の場合、DC−DCコンバータの並列運転を行う場合、電流バランスがとれなくなるという問題がある。これらの問題を解決するため、本発明の補正量は、図5のB図のように温度により変化させていた。この場合、図5のB図において、実線は常温時、点線は高温時、鎖線は低温時の特性である。
【0098】
そして、本発明では、出力電圧Vout と出力電流Iout の関係は図5のC図の負の特性のようにする。例えば、出力電流Iout の増加に対し出力電圧Vout を少し増加させる正の特性と、出力電流Iout の増加に対し出力電圧Vout を少し減少させる負の特性とがあるが、DC−DCコンバータを並列運転する場合は、並列運転の際、電流のバランスをとるため、負の特性にすることが望ましい。
【0099】
§5:具体的な温度補正の説明
図6は温度補正の説明図(その1)である。以下、具体的な温度補正について説明する。なお、図6において、各特性図の縦軸は2次側出力電圧Vout 、横軸は出力電流Iout を示す。また、点線の特性は高温時、実線の特性は常温時、鎖線は低温時の各特性である。
【0100】
(1) :図6のA図は、温度補正無し、負荷電流補正なしの場合の特性を示す。このように、負荷電流補正が無い場合、2次側のパターン抵抗や整流素子として使用されているMOSFETのオン抵抗の影響で、負荷電流が大きくなると、出力電圧Vout が低下していく。また、これらの抵抗は、正の温度特性を持っている(温度が高くなると抵抗値が大きくなる)。従って、出力電圧Vout の負荷電流(=出力電流Iout )による低下は、温度によって異なってくる。
【0101】
(2) :また、図6のA図では、温度補正が無いため、設定電圧(例えば、負荷電流=0のとき)の電圧が温度により変動する。そのため、設定電圧は上昇する。
【0102】
(3) :図6のB図は、前記A図の特性に、温度補正を付加した場合の特性、すなわち、温度補正あり、負荷電流補正なしの特性である。図6のA図の場合に対し、温度補正を行うと、前記(2) が補正できるので、図示の特性になる。この場合、図6のB図では、負荷電流=0の時の出力電圧の変動をなくしている。
【0103】
(4) :図6のC図は、図6のB図の特性に対し、負荷電流補正を付加した時の特性である。すなわち、図6のC図の特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり(但し、負荷電流補正の温度特性は無し)。
【0104】
図6のB図の特性に対し、更に、負荷電流補正を行うと図6のC図のようになる。但し、負荷電流に対する補正量は負荷に応じて変化するが、温度に対しては一定である。なお、図6のC図の特性で示す補正は従来例でも行なっていた。
【0105】
(5) :図6のD図に示す特性は、図6のC図の特性に対して、更に、前記負荷電流補正に温度補正を付加している(この補正からは本発明に特有の特性であり、従来例では行なっていない。
【0106】
図6のD図に示す特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり、負荷電流補正の温度補正ありの特性である。図6のC図の特性に対し、更に、負荷電流補正の温度補正を行うと、図6のD図の特性になる。温度補正は、温度が高い時補正量を大きくし、逆に、温度が低い時は補正量を小さくする。
【0107】
§6:図6の補足説明
図7は温度補正の説明図(その2)である。以下、図7に基づいて、図6の特性の補足説明を行う。なお、図7のA図、B図、C図、D図の各左側の図は、それぞれ図6のA図、B図、C図、D図の特性に対応している。また、図7のA図、B図、C図、D図の右側に示した図は、特性図(縦軸は検出電圧V3の変動分ΔV3、横軸は出力電流Iout )として新たに付け加えた図である。
【0108】
(1) :図7のA図の左側の図は、温度補正無し、負荷電流補正なしの場合の特性を示す。このように、負荷電流補正が無い場合、2次側のパターン抵抗や整流素子として使用されているMOSFETのオン抵抗の影響で、負荷電流が大きくなると、出力電圧が低下していく。
【0109】
また、これらの抵抗は、正の温度特性を持っている(温度が高くなると抵抗値が大きくなる)。従って、出力電圧の負荷電流による低下は、温度によって異なってくる。
【0110】
この場合、図7のA図の右側の図に示すように、補正量なしである。従って、出力電流Iout が増加しても、検出電圧V3の変動分ΔV3の値は変化しない(ΔV3=0のまま)。
【0111】
(2) :また、図7のA図の左側の図では、温度補正が無いため、設定電圧(例えば、負荷電流=0のとき)の電圧が温度により変動する。そのため、設定電圧は上昇する。
【0112】
(3) :図7のB図の左側の図は、前記A図の特性に、温度補正を付加した場合の特性、すなわち、温度補正あり、負荷電流補正なしの特性である。図7のA図の左側の図の場合に対し、温度補正を行うと、前記(2) が補正できるので、図示の特性になる。この場合、図7のB図では、負荷電流=0の時の出力電圧の変動をなくしている。
【0113】
この場合、図7のB図の右側の図では、出力電流Iout の増加に対して、検出電圧V3の変動分ΔV3の値は変わらない(=Oのまま)である。そして、低温時には、Iout の増加に対しΔV3の値は+側の値となり、高温時には、Iout の増加に対しΔV3の値は−側の一定の値となって変わらない。
【0114】
(4) :図7のC図の左側の図は、図7のB図の左側の図の特性に対し、負荷電流補正を付加した時の特性である。すなわち、図7のC図の左側の図の特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり(但し、負荷電流補正の温度特性は無し)。なお、図7のC図の特性で示す補正は、従来例でも行なっていた。
【0115】
図7のC図の右側の図は、図7のB図の左側の図(設定電圧の温度補正)と、図5のA図(従来の補正量)を足し合わせたものである。ちなみに、図5のA図の従来の補正量とは、負荷電流に応じ補正しているロードレギュレーションを改善するための補正である。
【0116】
このように、図7のC図の右側の図では、出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値は少しずつ上昇する。しかも、常温時だけでなく、高温時でも低温時でも同じである。出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値は少しずつ上昇する。
【0117】
(5) :図7のD図の左側の図に示す特性は、図7のC図の左側の図の特性に対して、更に、前記負荷電流補正に温度補正を付加している。図7のD図の右側の図は、図7のB図の右側の図(設定電圧の温度補正)と、図5のB図(本発明の補正量)を足し合わせたものである。
【0118】
ちなみに、図5のB図の本発明の補正量とは、負荷電流(=出力電流Iout )に応じ補正しているロードレギュレーション改善のための補正で、温度により補正量を変化させたことが特徴である。
【0119】
図7のD図の右側の図に示すように、出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値も上昇する。この場合、補正電流i3に対する温度補正は、常温時に比べ、高温時には補正量が大きくなるような温度特性を、低温時には補正量が小さくなるような温度特性を持たせている。
【0120】
このように、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には小さくなるように温度特性を持たせることで、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができる。従って、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【0121】
§7:補正電流発生回路の変形例の説明
図8乃至図17は、補正電流発生回路の変形例(1乃至10)である。以下、これらの図に基づいて補正電流発生回路の変形例を説明する。なお、以下に説明するNTCサーミスタ(負の温度係数を有するサーミスタ)は、Negative temperature coefficient thermistor の略であり、PTCサーミスタ(正の温度係数を有するサーミスタ)は、Positive temperature coefficient thermistor の略である。
【0122】
(1) :変形例1
図8に示した変形例1は、図2のA図に示した回路例1の抵抗R52を、NTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。このような回路により補正電流i3の温度補正を行うことができる。
【0123】
(2) :変形例2
図9に示した変形例2は、図2のB図に示した回路例2の抵抗R52を、NTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0124】
(3) :変形例3
図10に示した変形例3において、Q51、Q52、Q53はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R53、R54、R55は抵抗、R52はNTCサーミスタ、D51はダイオードである。
【0125】
この回路では、抵抗R53、R54を介して電流が流れると、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した補正電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した補正電流i3は、抵抗R55→ダイオードD51→トランジスタQ53のコレクタ→エミッタ→トランジスタQ52のコレクタ(及びベース)→エミッタ→R52→GNDの経路で流れる。
【0126】
なお、図10では、R52をNTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0127】
(4) :変形例4
図11に示した変形例4は、図9に示した回路において、トランジスタQ51をダイオードD52で置き換えた例であり、他の構成は図9と同じである。なお、図11では、R52の素子を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0128】
(5) :変形例5
図12に示した変形例5は、図9に示した回路のトランジスタQ51のエミッタに抵抗R56を接続した例であり、他の構成は図9と同じである。なお、図12では、前記R52の素子を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかで置き換えた例である。
【0129】
(6) :変形例6
図13に示した変形例6は、図12に示した回路において、トランジスタQ51のエミッタに接続されていた抵抗R56を、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えると共に、素子R52を抵抗にした例である。
【0130】
(7) :変形例7
図14に示した変形例7は、図10に示した変形例3において、トランジスタQ51のエミッタに、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを接続すると共に、素子R52の代わりに、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを接続した例である。
【0131】
(8) :変形例8
図15に示した変形例8は、図11に示した回路において、ダイオードD52のカソードに素子R56を接続すると共に、該素子R56として、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いる。
【0132】
また、素子R52の代わりに、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いた例である。
【0133】
(9) :変形例9
図16に示した変形例9は、図2のA図の回路において、抵抗R52を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いると共に、トランジスタQ51とQ52のエミッタ間にコンデンサC51を接続した例である。
【0134】
(10):変形例10
図17に示した変形例10は、図2のA図に示した回路例1において、R51の素子を、PTCサーミスタの外、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路などで置き換えた例である。
【0135】
§8:電圧検出用抵抗回路の変形例の説明
図18は電圧検出用抵抗回路の変形例1、図19は電圧検出用抵抗回路の変形例2、図20は電圧検出用抵抗回路の変形例3である。以下、図18乃至図20に基づいて電圧検出用抵抗回路の変形例を説明する。
【0136】
(1) :変形例1
図18に示した変形例1は、図2のA図に示した回路において、補正電流発生回路5の温度補正は行なわずに、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いた例である。この回路により、電圧検出用抵抗回路6において、前記補正電流i3に対する温度補正を行う。
【0137】
(2) :変形例2
図19に示した変形例2は、図2のB図に示した回路例2において、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs2と並列に、ダイオードDs1と抵抗Rs4の直列回路を接続し、抵抗Rs1とDs1の接続点から補正電流i3を流している。この場合、前記補正電流i3は、V3→Rs1→補正電流発生回路5の経路で流しており、この経路を流れる際に温度補正が行なわれる。
【0138】
(3) :変形例3
図20に示した変形例13は、図2のB図に示した回路例2において、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs2と並列に、ダイオードD51、Ds1、抵抗Rs4の直列回路を接続し、ダイオードD51、Ds1の接続点から補正電流i3を流している。この場合、前記補正電流i3は、V3→Rs1→D51→補正電流発生回路5の経路で流しており、この経路を流れる際に温度補正が行なわれる。
【0139】
§9:温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図の説明
図21は、温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図である。
【0140】
このフォワード型DC−DCコンバータは、図1に示した回路の補正電流発生回路5に、図9に示した変形例2の回路で置き換えた例である。
【0141】
すなわち、入力端子間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、トランスT1を接続する。そして、トランスT1には1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0142】
また、トランスT1の2次巻線N2にはチョークコイルL2、平滑用のコンデンサC2を含む2次側回路2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には電圧検出回路3と、電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。
【0143】
この場合、エラーアンプ11では、入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。また、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を通過した電流が補正電流発生回路5へ流れるように構成され、この回路で、補正電流の温度補正が行なわれるようになっている。
【0144】
§10:設定電圧の補正の説明
図22は設定電圧の補正の説明図であり、A図は電圧検出用抵抗回路、B図は電圧検出用抵抗回路の変形例である。以下、図22を参照しながら、設定電圧の補正(図7のB図の右側の図参照)について説明する。
【0145】
説明を簡単にするため、ロードレギュレーションを改善するための電流i3がゼロの時(補正電流発生回路5が無い時)について説明する。図22のA図は、設定電圧の補正が無い時の例である。この場合、検出電圧V3は、以下の様に表すことができる。
【0146】
先ず、V4の電圧は、コントロール部分で参照電圧Vref と等しくなるよう制御している(図1参照)ので、次のように表せる。
【0147】
V4=Vref ・・・式1
従って、抵抗Rs3に流れる電流をIs3は、
Is3=Vref /Rs3・・・式2
抵抗Rs1に流れる電流Is1及び抵抗Rs2に流れる電流Is2は、Is3とほぼ等しい。すなわち、
Is1=Is2=Is3・・・式3
抵抗Rs1の両端の電圧をVs1、抵抗Rs2の両端の電圧をVs2とすると、V3は以下のように表せる。
【0148】
V3=Vs1+Vs2+V4・・・式4
前記式1、式2、式3、式4よりV3を求めると、
V3=(Vref /Rs3)・(Rs1+Rs2+Rs3)・・・式5
となる。
【0149】
前記式5よりV3は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3の抵抗値やVref が温度により大きく変化しないので、検出電圧V3は温度により変化しないことを表している。
【0150】
続いて、図22のB図について同様にV3を求める。図7のA図と同様に以下のことが言える。
【0151】
V4=Vref ・・・式11
Is3=Vref /Rs3・・・式12
V3=Vs1+Vs2+V4・・・式14
また、抵抗Rs2に流れる電流をIs2、Rs4に流れる電流をIs4とすると、
Is1=Is3=Is2+Is4
ダイオードDs1の順方向電圧をVfとすると、前記式11、式12、式14よりV3を求めると、
V3=(Vref /Rs3)・{Rs1+Rs3+(Rs2・Rs4)/(Rs2+Rs4)}+{Rs2/(Rs2+Rs4)}・Vf・・・式15
となる。
【0152】
Vfは、負の温度特性を有しているので、前記式15よりV3は、温度が高い時小さくなり、温度が低いと高くなることを表している。
【0153】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次のような効果がある。
【0154】
(1) :請求項1では、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流を発生させる。そして、補正電流発生回路5内の一部の素子に前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせているので、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0155】
(2) :請求項2では、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる。そして、電圧検出用抵抗回路は、前記一部の素子に温度特性を持たせているので、温度が変動した場合、補正電流が前記温度特性を持たせた素子中を流れる事により、電圧降下を発生し、これにより負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0156】
(3) :請求項3では、補正電流発生回路は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせている。
【0157】
従って、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流により、負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0158】
(4) :請求項4では、電圧検出用抵抗回路は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の内、前記の補正電流が流れない抵抗の一部、又は該抵抗に接続された素子の一部に温度特性を持たせているため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする。
【0159】
(5) :請求項5では、補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には補正量が小さくなる温度特性を持たせている。そのため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができ、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるフォワード型DC−DCコンバータの説明図である。
【図2】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の説明図であり、A図は回路例1の説明図、B図は回路例2の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態における特性データ例であり、A図は特性データ例1、B図は特性データ例2である。
【図4】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態における補正の説明図であり、A図は従来例の補正量、B図は本発明の補正量、C図は温度により補正量を変化させる理由の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における温度補正の説明図(その1)である。
【図7】本発明の実施の形態における温度補正の説明図(その2)である。
【図8】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例1である。
【図9】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例2である。
【図10】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例3である。
【図11】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例4である。
【図12】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例5である。
【図13】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例6である。
【図14】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例7である。
【図15】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例8である。
【図16】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例9である。
【図17】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例10である。
【図18】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例1である。
【図19】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例2である。
【図20】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例3である。
【図21】本発明の実施の形態における温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図である。
【図22】本発明の実施の形態における設定電圧の補正の説明図であり、A図は電圧検出用抵抗回路、B図は電圧検出用抵抗回路の変形例である。
【図23】従来例1の説明図である。
【図24】従来例2の説明図であり、A図は実施形態の回路図、B図は温度補償回路である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 2次側回路(整流平滑回路)
3 電圧検出回路
4 制御部
5 補正電流発生回路
6 電圧検出用抵抗回路
10 負荷
11 エラーアンプ
T1 トランス
N1 トランスT1の1次巻線
N2 トランスT1の2次巻線
N3 トランスT1の3次巻線
C1、C2 平滑用のコンデンサ
M1、M2、M3、M4、M5 NチャンネルMOS−FET(MOS型電界効果トランジスタ)
C11 トランジスタM1のゲート・ソース間容量
d11、d21、d31 トランジスタM1の寄生ダイオード又は内蔵ダイオード
L2 平滑用のチョークコイル
D21、D22、D31、D32 ダイオード
Rs1、Rs2、Rs3 電圧検出用抵抗
VN1 トランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧
VN2 トランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧
VN3 トランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧
R51、R52、R53、R54、R55、R56 抵抗
V3 電圧検出回路の出力電圧
V4 エラーアンプの入力電圧
i1 1次側電流
i3 補正電流
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器(電話交換機、携帯電話機、PHS電話機、遊技機、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等)に利用可能なDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】以下、従来例について説明する。
【0003】
§1:フォワード型DC−DCコンバータの説明
図23は従来例1の説明図である。従来、フォワード型DC−DCコンバータの1例として、図23に示したような構成の回路が知られていた。以下、図23に示したフォワード型DC−DCコンバータについて説明する。
【0004】
(1) :回路構成の説明
図23において、T1はトランス、N1はトランスT1の1次巻線、N2はトランスT1の2次巻線、N3はトランスT1の3次巻線、C1は入力側に設けられた平滑用のコンデンサ、1は発振回路、2は2次側回路(整流平滑回路)、3は電圧検出回路、4は制御部、6は電圧検出用抵抗回路、10は負荷、11はエラーアンプ、Vref は基準電圧を示す。
【0005】
また、M1は主スイッチングトランジスタを構成するNチャンネルMOS−FET(以下、単に「トランジスタ」と記す)、C11はトランジスタM1のゲート・ソース間容量(以下、「コンデンサC11」と記す)、C2は出力側の平滑用コンデンサ、L2は平滑用のチョークコイル、D21、D22、D31、D32はダイオード、Rs2、Rs3は電圧検出用抵抗(以下、単に「抵抗」とも記す)を示す。
【0006】
また、VN1はトランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧、VN2はトランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧、VN3はトランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧であり、図示矢印は前記電圧VN1、VN2、VN3の極性を示す。なお、トランジスタM1は、制御回路4によりオン/オフ駆動されるように構成されており、前記制御回路4にはエラーアンプ11が設けてある。
【0007】
この回路では、入力端子(電圧Vinが印加する端子)とGND間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、前記入力端子にトランスT1を接続する。そして、トランスT1には、1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にはトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0008】
また、トランスT1の2次巻線N2には、チョークコイルL2、コンデンサC2、ダイオードD21、D22を含む2次側回路(整流平滑回路)2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には、電圧検出回路3と、複数の電圧検出用抵抗Rs2、Rs3を有する電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。この場合、エラーアンプ11では、前記入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。
【0009】
(2) :動作の説明
以下、図23に示したフォワード型DC−DCコンバータの動作を説明する。入力端子に直流入力電圧Vinを印加すると、この入力電圧Vinにより、フォワード型DC−DCコンバータが動作を開始し、制御回路1の制御によりトランジスタM1がオン/オフ駆動される。このため、トランスT1の1次巻線N1には間欠的に励磁電流i1が流れ、該トランスT1の巻線を励磁し、2次巻線N2、3次巻線N3に誘起電圧VN2、VN3を発生する。
【0010】
このようにして、トランジスタM1は制御回路1によりオン/オフ駆動され(発振動作)、トランスT1の巻線を励磁する。そして、トランジスタM1がオンになった時、トランスT1の1次巻線N1に励磁電流i1が流れ、トランジスタM1がオフになると、1次巻線N1に流れる電流i1が遮断される。以降、このようなトランジスタM1のオン/オフ動作を繰り返す。
【0011】
このため、トランスT1の2次側に接続された2次側回路(整流平滑回路)2では整流平滑動作が行われ、その時の電流はチョークコイルL2で平滑化されコンデンサC2を充電する。
【0012】
この場合、先ず、トランジスタM1がオンとなり、トランスT1の2次巻線N2に図示矢印と逆方向の電圧VN2が発生すると共に、トランスT1の3次巻線N3にも図示矢印と逆方向の電圧VN3が発生する。この時、2次側回路(整流平滑回路)2では、電圧VN2により、N2→L2→C2→D21→N2の経路で電流が流れ、コンデンサC2が充電される。
【0013】
次に、制御回路1の制御によりトランジスタM1がオフになると、チョークコイルL2の電磁エネルギーにより、L2→C2→D22→L2の経路でフライホイール電流が流れ、コンデンサC2が充電される。そして、コンデンサC2の電圧V2を2次側回路2の出力電圧として負荷10に供給する。この時、負荷10に流れる電流はi2(2次側回路2から出力される負荷電流)である。以降、トランジスタM1のオン/オフ動作により、前記の動作を繰り返す。
【0014】
また、トランジスタM1がオンとなり、トランスT1の3次巻線N3に、図示矢印と逆方向の電圧VN3が誘起すると、この電圧VN3により、N3→D31→L3→C3→N3の経路で電流が流れ、コンデンサC3を充電する。次に、トランジスタM1がオフになると、トランスT1の3次巻線N3に図示矢印方向の電圧VN3が誘起する。この時、チョークコイルL3の電磁エネルギーにより、L3→C3→D32→L3の経路で電流が流れコンデンサC3を充電する。
【0015】
そして、コンデンサC3の端子間に電圧V3が発生し、この電圧V3により、電圧検出用抵抗回路6の検出用抵抗Rs2、Rs3に電流が流れ、該検出用抵抗Rs3の端子電圧(V4)が制御部4のエラーアンプ11へ送られる。制御部4では、エラーアンプ11により前記電圧V4を基準電圧Vref と比較することで、トランジスタM1の制御を行う。
【0016】
§2:従来例2(特許文献1参照)の説明
図24は従来例2の説明図であり、A図は実施形態例の回路図、B図は温度補償回路を示す。以下、特許文献1を従来例2とし、図24に基づいて従来例2を説明する。
【0017】
従来例2は、負荷変動による出力電圧Vout の変動を精度良く補正するDC−DCコンバータに関するものである。このDC−DCコンバータは、図24のA図のように、一時側回路3の通電電流Ircを電圧に変換して検出する抵抗体13を設ける。その検出電圧を電圧検出用回路8の出力電圧に重畳し該重畳電圧に応じた電圧を制御回路10に加える。
【0018】
一時コイルN1の電圧が誘起されて電圧検出用コイルN3に電圧が発生し、電圧検出用回路8は電圧検出用コイルN3の電圧を整流平滑して出力する。該回路8の出力電圧は負荷変動に伴った二次側回路5の通電電流変動に起因した出力電圧VOUT の変動の影響を受けていない。
【0019】
二次側回路5の通電電流に応じた一時側回路3の通電電流Ircの検出電圧を電圧検出用回路8の出力電圧に重畳する。このため、電圧検出用回路8側から制御回路10への入力電圧は負荷変動による出力電圧Vout の変動に応じて変動し、制御回路10の回路動作によって出力電圧Vout の安定化が達成できる。
【0020】
また、温度変動に伴う二次側回路の出力電圧の変動分を相殺するための電圧を上記電圧検出用回路の出力電圧に加えて温度補償するための電圧を制御回路に加える温度補償用回路が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
図24のB図の(a)のように、抵抗体22に温度補償用ダイオード30を直列に接続する。この場合、温度補償用ダイオード30のカソード側は抵抗体22と抵抗体23と制御回路10の入力端子aとの接続部B(以下制御電圧入力部Bと記す)側に向けられる。
【0022】
上記のように温度補償用ダイオード30によって温度補償用回路が構成されている。この温度補償用回路は上記温度変動に起因した出力電圧Vout の変動分を相殺するための電圧ΔV30を電圧検出用回路8の出力電圧に加える。このことにより、温度補償するための電圧が制御回路10に加えられることとなる。
【0023】
この温度補償用回路及び制御回路10の回路動作によって、温度変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout の変動を精度良く補正することができ、オン時変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout の変動が抑制される。これにより、温度補償がなされて出力電圧Vout のより一層の安定化を達成することができる。
【0024】
また、上記温度補償用ダイオード30を抵抗体22に直列接続するのに変えて、図24のB図の(b)のように、温度補償用ダイオード30と抵抗体31の直列接続体を抵抗体22に並列に接続してもよい。この場合にも上記温度補償用ダイオード30のカソード側は上記制御電圧入力部B側に向けられる。
【0025】
上記温度補償用ダイオード30を抵抗体31とによって温度補償用回路が構成されている。この場合にも、上記抵抗体22に温度補償用ダイオード30を直列接続した場合と同様に、温度変動に起因した二次側回路5の出力電圧Vout のより一層の安定化を達成することができる。
【0026】
【特許文献1】
特開2000−156975
【0027】
【発明が解決しようとする課題】前記のような従来のものにおいては、次のような課題があった。
【0028】
(1) :2次側回路の出力電圧を間接的に検出するDC−DCコンバータでは、負荷変動に伴って2次側回路の出力電圧が変動してしまうという課題があった。
【0029】
(2) :また、前記(1) で説明した変動時の変動値には温度特性があり、高温時には変動分が大きく、低温時には小さい傾向がある(これは、パターン抵抗や同期整流を行なっている場合は、MOSFETのオン抵抗が正の温度特性のため)。
【0030】
(3) :従来、入力電流を検出し、出力電圧を補正する回路が提供されているが、本補正回路には温度特性を有していない。従って、高温時における電圧変動分を補正しようとすると、低温時には補正しすぎてしまうという課題があった。また、逆に、低温時における電圧変動分を補正するように補正回路を設定すると、今度は、高温時の変動分が大きいという課題があった。
【0031】
本発明は、このような従来の課題を解決し、補正電流発生回路又は検出用抵抗回路に補正電流の温度補正を行うための温度特性を持たせることで、補正電流の温度補正を確実に行い、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達成するため、次のように構成した。
【0033】
すなわち、第1のDC−DCコンバータは、1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、前記2次巻線に接続された2次側回路と、前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流の変動を補正するための補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備えると共に、前記補正電流発生回路内の一部の素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0034】
また、第2のDC−DCコンバータは、1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、前記2次巻線に接続された2次側回路と、前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流の変動を補正するための補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備え、前記電圧検出用抵抗回路は、一部の素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0035】
また、第3のDC−DCコンバータは、前記第1のDC−DCコンバータにおいて、補正電流発生回路は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせたことを特徴とする。
【0036】
また、第4のDC−DCコンバータは、前記第2のDC−DCコンバータにおいて、電圧検出用抵抗回路は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の一部又は前記抵抗に接続された素子の一部に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする。
【0037】
また、第5のDC−DCコンバータは、前記第1又は2のDC−DCコンバータにおいて、前記補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるような温度特性を、低温時には補正量が小さくなるような温度特性を持たせたことを特徴とする。
【0038】
(作用)
前記構成に基づく本発明の作用を図1に基づいて説明する。
【0039】
(1) :第1のDC−DCコンバータでは、補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部を通って2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流i3を発生させる。そして、補正電流発生回路5内の一部の素子に前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせているので、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流i3により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0040】
(2) :第2のDC−DCコンバータでは、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路6の抵抗の一部を通って、2次側回路2の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流i3を発生させる。そして、電圧検出用抵抗回路6は、前記一部の素子に温度特性を持たせているので、温度が変動した場合、補正電流i3が前記温度特性を持たせた素子中を流れる事により、電圧降下を発生し、これにより負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0041】
(3) :第3のDC−DCコンバータでは、前記第1のDC−DCコンバータの作用において、補正電流発生回路5は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、補正電流i3に対する温度補正を行うための温度特性を持たせている。
【0042】
従って、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流i3により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0043】
(4) :第4のDC−DCコンバータでは、前記第2のDC−DCコンバータの作用において、電圧検出用抵抗回路6は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の内、前記の補正電流i3が流れない抵抗の一部、又は該抵抗に接続された素子の一部に温度特性を持たせているため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする。
【0044】
(5) :第5のDC−DCコンバータでは、前記第1又は2のDC−DCコンバータにおいて、前記補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には補正量が小さくなる温度特性を持たせている。そのため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができ、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
§1:フォワード型DC−DCコンバータ(温度補正を除く)の説明
(1) :回路構成の説明
図1はフォワード型DC−DCコンバータの説明図である。以下、図1に基づいて、温度補正(又は、温度補償)を除いたフォワード型DC−DCコンバータの構成を説明する。
【0047】
図1において、T1はトランス、N1はトランスT1の1次巻線、N2はトランスT1の2次巻線、N3はトランスT1の3次巻線、C1は入力側に設けられた平滑用のコンデンサ、1は発振回路、2は2次側回路(整流平滑回路)、3は電圧検出回路、4は制御部、5は補正電流発生回路、6は電圧検出用抵抗回路、10は負荷、11はエラーアンプを示す。
【0048】
また、M1は主スイッチングトランジスタを構成するNチャンネルMOS−FET(以下、単に「トランジスタ」と記す)、C11はトランジスタM1のゲート・ソース間容量(以下、「コンデンサC11」と記す)、d11は、トランジスタM1の寄生ダイオード又は内蔵ダイオード(以下「ダイオードd11」と記す)、C2は出力側の平滑用コンデンサ、L2は平滑用のチョークコイル、D21、D22、D31、D32はダイオード、Rs1、Rs2、Rs3は電圧検出用抵抗を示す。
【0049】
また、VN1はトランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧、VN2はトランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧、VN3はトランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧であり、図示矢印は前記電圧VN1、VN2、VN3の極性を示す。なお、トランジスタM1は、制御回路4によりオン/オフ駆動されるように構成されている。
【0050】
このフォワード型DC−DCコンバータでは、入力端子(電圧Vinが印加する端子であり、一方の入力端子はGND電位)間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、トランスT1を接続する。そして、トランスT1には1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0051】
また、トランスT1の2次巻線N2にはチョークコイルL2、平滑用のコンデンサC2、ダイオードD21、D22を含む2次側回路(整流平滑回路)2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には電圧検出回路3と、電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。
【0052】
この場合、エラーアンプ11では、入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。また、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を通過した電流i3が補正電流発生回路5へ流れるように構成されている。
【0053】
(2) :動作の説明
前記構成のDC−DCコンバータは、基本的な動作は従来例1と同じであるが、図1に示したフォワード型DC−DCコンバータでは、トランスT1の2次巻線N2に接続された2次側回路2の出力電圧Vout を間接的に検出する電圧検出回路3を3次巻線N3に接続し、該電圧検出回路3の出力電圧V3(この電圧V3を「検出電圧」とする)を、電圧検出用抵抗回路6に入力している。
【0054】
そして、一次側電流i1を検出し、該検出した電流i1に応じた電流i3を生成する補正電流発生回路5を設け、該補正電流発生回路5で発生した補正電流i3を、電圧検出回路3の出力電圧V3を検出している電圧検出用抵抗回路6の電圧検出用抵抗の一部(この例ではRs1)に流す。
【0055】
そして、前記補正電流i3は、2次側回路2の出力電圧Vout が負荷電流iout により変動するのを補正する方向に流すことで、出力電圧V2の安定化を達成する。
【0056】
§2:温度補正を除いた補正電流発生回路の詳細な説明
以下、前記温度補正(又は、温度補償)を除いた補正電流発生回路5について詳細に説明する。
【0057】
(1) :回路例1の説明
図2は補正電流発生回路の説明図であり、図2のA図は回路例1の説明図を示す。図2のA図に示した補正電流発生回路5は、電圧検出用抵抗回路6と結合しており、図示のような構成の回路である。
【0058】
▲1▼:回路構成の説明
図2のA図に示した回路例1は、カーレント・ミラー回路(又は、ウイルソンミラー回路)を含み、該カーレント・ミラー回路(ウイルソンミラー回路)を利用した補正電流発生回路(カーレント・ミラー回路の変形回路)の1例であり、Q51、Q52はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R52は抵抗、D51はダイオードである。なお、Q51、Q52はMOSFETでも同様動作となる。
【0059】
また、i51、i52は定電流源から流れる定電流であり、i1は1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流、i3は電圧検出用抵抗回路6の一部の抵抗を通って流入する電流(補正電流)、V3は電圧検出回路3の出力電圧である。
【0060】
なお、電圧検出用抵抗回路6は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3が直列接続された回路構成であり、抵抗Rs1の一端に前記出力電圧V3(電圧検出回路3の出力電圧)が印加され、抵抗Rs3の一端がGNDに接続されている。また、抵抗Rs2とRs3の接続点から電圧V4が取り出され、この電圧V4が制御部4へ出力されるようになっている。
【0061】
この回路では、定電流源から流れる電流i51、i52と、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した電流i3は、ダイオードD51→トランジスタQ52のコレクタ→エミッタ→抵抗R52→GNDの経路で流れる。
【0062】
この場合、トランジスタQ51のベース・コレクタ間は短絡されているので、該トランジスタQ51はダイオードとして機能し、電流源から流れる電流i51は、トランジスタQ51と抵抗R51を通り、GNDへ流れる。
【0063】
前記のように、トランジスタQ51、Q52のベースを共通に接続したカーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)のトランジスタQ51のエミッタを検出用の抵抗R51の一端(電流流入端)に接続し、かつ、コレクタを定電流源(電流i51の電流源)に接続する。この場合、トランジスタQ51のコレクタとベース間を短絡する。
【0064】
また、トランジスタQ52のエミッタは抵抗R52を介して検出用の抵抗R51の他端(電流流出端)に接続し、前記検出用の抵抗R51を電流i1の検出線路に直列に挿入する。そして、検出用の抵抗R51に流れる被検出電流i1をトランジスタQ52のエミッタ側で検出するように構成している。
【0065】
▲2▼:動作の説明
図2のA図の回路において、電流i1が増加すると、抵抗R51の電圧降下が増加し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が上昇するので、トランジスタQ51に流れる電流が減少し、トランジスタQ52に流れる電流が増加する。従って、この時、補正電流i3は増加する。
【0066】
また、電流i1が減少すると、抵抗R51の電圧降下が減少し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が降下するので、トランジスタQ51に流れる電流が増加し、トランジスタQ52に流れる電流が減少する。従って、この時、補正電流i3は減少する。このようにして、電流i1とi3との関係をリニアにすることができる。
【0067】
なお、カーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)自体は周知の回路である。また、前記カーレント・ミラー回路(ウイルソン・ミラー回路)を利用した電流検出回路は、特開平11−160368号公報に記載され、公知である。そして、本発明の補正電流発生回路5は、前記公報記載の電流検出回路に使われているカーレント・ミラー回路の動作原理を利用しているので、該カーレント・ミラー回路の詳細な動作の説明は省略する。
【0068】
(2) :回路例2の説明
図2のB図は回路例2を示した図である。この回路例2は、回路例1のダイオードD51と直列に抵抗R56を接続し、定電流源の代わりに抵抗R53、R54を接続した例であり、他の構成は回路例1と同じである。なお、抵抗R55は電流i3(補正電流)を制限するための抵抗である。
【0069】
(3) :特性データ例の説明
図3は特性データ例を示した図であり、A図は特性データ例1、B図は特性データ例2である。A図に示した特性データ例1は、横軸が電流i1、縦軸が電流i3であり、電流制限がない場合(図2のA図の回路)の特性データ例(▲1▼の特性)と、電流制限抵抗(図2のB図に示したR55)による電流制限がある場合の特性データ例(▲2▼の特性)を示している。
【0070】
また、B図の特性データ例2は、横軸が電流i2、縦軸が電圧Vout であり、電流制限がない場合の特性データ例(▲1▼の特性)と、電流制限抵抗(図2のB図に示したR55)による電流制限がある場合の特性データ例(▲2▼の特性)と、補正しない場合(前記従来例1の回路)の特性データ例(▲3▼の特性)を示す。
【0071】
前記特性データ例において、電流i3が流れる経路に抵抗等による電流制限が無い場合(例えば、図2のA図の回路)は、前記▲1▼の特性のように、電流i3は電流i1と比例関係であり、電圧Vout は電流i2の変化に対して略一定値である。しかし、電流制限がある場合(例えば、図2のB図に示した抵抗R55)は、前記▲2▼の特性のように、電流i3は電流i1が或る値を超えると略一定値となり、電圧V2は、電流i2がある値を超えると、その増加に従って、次第に低下する特性となる。また、前記電圧Vout は、補正しないと、▲3▼の特性のように、電流i2が大きくなるにつれて低下する率も大きくなる。
【0072】
なお、抵抗(例えば、前記R55)により電流i3を制限する目的は次の通りである。例えば、複数のDC−DCコンバータを負荷に対して並列接続して運転する場合、各DC−DCコンバータの出力電圧のバラツキ範囲が異なっていたとする。このような場合、負荷に供給する電力が不揃いになる。
【0073】
そして、出力電圧が大きいDC−DCコンバータから負荷に電力を供給してしまうことになる。このような事態を防止するため、電流i3(補正電流)を或る一定値に制限する必要があるためである。
【0074】
§3:補正電流発生回路による温度補正の説明
図4は補正電流発生回路の説明図である。この図は、図1に示した回路の補正電流発生回路5の1例である。以下、図4に基づいて補正電流発生回路による温度補正(又は温度補償)について説明する。
【0075】
(1) :回路構成の説明
この回路例は、図2のA図に示した回路例の抵抗R52と直列に、抵抗R53と負の温度係数を有するサーミスタTH51の並列回路を接続して温度補正を行う回路例である。図4において、Q51、Q52はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R52、R53は抵抗、D51はダイオード、TH51はサーミスタである。
【0076】
また、i51、i52は定電流源から流れる定電流であり、i1は1次巻線N1及びトランジスタM1(図1参照)を流れる電流、i3は電圧検出用抵抗回路6の一部の抵抗を通って流入する電流(補正電流)、V3は電圧検出回路3(図1参照)の出力電圧(この電圧V3を「検出電圧」とする)である。
【0077】
電圧検出用抵抗回路6は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3が直列接続された回路構成であり、抵抗Rs1の一端に前記出力電圧V3(電圧検出回路3の出力電圧)が印加され、抵抗Rs3の一端がGND(接地電位)に接続されている。また、抵抗Rs2とRs3の接続点から電圧V4が取り出され、この電圧V4が制御部4(図1参照)へ出力されるようになっている。
【0078】
この回路では、定電流源から流れる電流i51、i52と、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した電流i3は、ダイオードD51→トランジスタQ52のコレクタ→エミッタ→抵抗R52→抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路→GNDの経路で流れる。
【0079】
この場合、トランジスタQ51のベース・コレクタ間は短絡されているので、該トランジスタQ51はダイオードとして機能し、電流源から流れる電流i51は、トランジスタQ51と抵抗R51を通り、GNDへ流れる。
【0080】
前記のように、トランジスタQ51、Q52のベースを共通に接続したトランジスタQ51のエミッタを検出用の抵抗R51の一端(電流流入端)に接続し、かつ、コレクタを定電流源(電流i51の電流源)に接続する。この場合、トランジスタQ51のコレクタとベース間を短絡する。
【0081】
また、トランジスタQ52のエミッタには抵抗R52の一端が直列に接続され、該抵抗R52の他端には、抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路の一端が接続され、該抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路の他端は、検出用の抵抗R51の他端(電流流出端)とGNDに接続し、前記検出用の抵抗R51を電流i1の検出線路に直列に挿入する。そして、検出用の抵抗R51に流れる被検出電流i1をトランジスタQ52のエミッタ側で検出するように構成している。
【0082】
▲2▼:動作の説明
図4の回路において、電流i1が増加すると、抵抗R51の電圧降下が増加し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が上昇するので、トランジスタQ51に流れる電流が減少し、トランジスタQ52に流れる電流が増加する。従って、この時、補正電流i3は増加する。
【0083】
また、電流i1が減少すると、抵抗R51の電圧降下が減少し、その分、トランジスタQ51のエミッタ電位が降下するので、トランジスタQ51に流れる電流が増加し、トランジスタQ52に流れる電流が減少する。従って、この時、補正電流i3は減少する。このようにして、電流i1とi3との関係をリニアにすることができる。
【0084】
前記のような動作において、環境温度が変化した場合、抵抗R53とサーミスタTH51の並列回路を付加してあるので、この回路で電流i3(補正電流)に対する温度補償動作を行う。
【0085】
(2) :フォワード型DC−DCコンバータにおける温度補正の説明
図1に示したフォワード型DC−DCコンバータにおける温度補正(又は、温度補償)は次の通りである。なお、本発明における温度補正は、例えば、電話交換機の試験方法として規格化された内容によるものであり、DC−DCコンバータでは、試験温度を、−40°C〜+85°Cの範囲で実行することが決められている。従って、本発明では前記温度範囲におて、規定された温度補正(又は、温度補償)を行なえるようにするものである。
【0086】
すなわち、図1に示したフォワード型DC−DCコンバータでは、トランスT1の2次側回路2の出力電圧Vout を間接的に検出する検出回路3を設ける。該検出回路3の出力電圧V3は、負荷電流i2の変動に伴った2次側回路2の出力電圧V2の変動の影響を受けていない。
【0087】
1次側電流i1を検出し、該検出した電流に応じた電流i3を生成する補正電流発生回路5を設ける。該補正電流発生回路5で発生した補正電流i3を検出回路3の出力電圧V3を検出している検出抵抗6の一部に流す。補正電流i3は、2次側回路2の出力電圧Vout が負荷電流により変動するのを補正する方向に流すことにより、出力電圧Vout の安定化が達成される。
【0088】
また、補正電流i3に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧Vout の変動分が少なくなるようにすることで、出力電圧Vout の安定化が達成される。或いは、検出抵抗6の一部であるRs1に温度特性を持たせ、温度が変動しても出力電圧Vout の変動分が少なくなるようにすることで、出力電圧Vout の安定化が達成される。
【0089】
このような試験に合格させるための手段として、例えば、図4に示した温度補償回路付きの補正電流発生回路5を、図1に示した補正電流発生回路5に使用して温度補償するものである。
【0090】
§4:温度による補正の説明
(1) :温度により補正量を変化させる理由の説明
図5は補正の説明図であり、A図は従来例の補正量、B図は本発明の補正量、C図は温度により補正量を変化させる理由の説明図である。なお、図5のA図、B図において、横軸は出力電流Iout 、縦軸は検出電圧(図1の出力電圧V3のこと)の変動分ΔV3であり、図5のC図において、横軸は出力電流Iout 、縦軸は出力電圧Vout である。また、点線の特性は高温時の特性、実線の特性は常温時の特性、鎖線の特性は低温時の特性を示す。
【0091】
従来の補正量は図5のA図に示したように、温度に関わらず一定であった(点線や鎖線の特性が無い)。これに対して本発明の補正量は、図5のB図に示したように、温度により変化させている。すなわち、出力電流Iout が増加するにつれてΔV3の値は少しづつ増加するが、高温時には点線のように補正がかかり、低温時には鎖線のように補正がかかるようになっている。
【0092】
ところで、温度により補正量を変化させる理由は次の通りである。
【0093】
すなわち、ロードレギュレーションを良好にするため、従来では出力電流が大きくなるにつれ、補正量が大きくなるように補正していた。出力電流の大きさにより補正量を変化させているのは、以下の理由による。
【0094】
トランスの2次側回路2には、プリント基板のパターン抵抗が存在する。また、同期整流を行なっている場合は整流器に使用しているMOSFETのオン抵抗が存在し、これらの抵抗の影響により出力電圧が低下し、その低下量は出力電流が大きい程大きくなる。その結果、出力電流が大きくなると出力電圧が大きく低下し、ロードレギュレーション特性が悪くなる。
【0095】
これに対して従来では、出力電流が大きくなるにつれ、補正量を大きくすることにより、ロードレギュレーションを改善していた。ところで、出力電圧の低下に影響を与えているパターン抵抗やMOSFETのオン抵抗は、正の温度特性を有している。従って、温度が高い場合、これら抵抗の値は大きくなり、出力電圧の低下が大きくなり、逆に、温度が低い場合には小さくなる。
【0096】
よって、従来の補正方法だと、高温時にロードレギュレーションが悪くなってしまう。或いは、高温時のロードレギュレーションが良好になる様に補正量を設定すると(補正量を多くすると)、、低温時のロードレギュレーションが正の特性になってしまう(正の特性とは、出力電流が大きくなるにつれ、出力電圧が上昇する特性)。
【0097】
ロードレギュレーションが正の特性の場合、DC−DCコンバータの並列運転を行う場合、電流バランスがとれなくなるという問題がある。これらの問題を解決するため、本発明の補正量は、図5のB図のように温度により変化させていた。この場合、図5のB図において、実線は常温時、点線は高温時、鎖線は低温時の特性である。
【0098】
そして、本発明では、出力電圧Vout と出力電流Iout の関係は図5のC図の負の特性のようにする。例えば、出力電流Iout の増加に対し出力電圧Vout を少し増加させる正の特性と、出力電流Iout の増加に対し出力電圧Vout を少し減少させる負の特性とがあるが、DC−DCコンバータを並列運転する場合は、並列運転の際、電流のバランスをとるため、負の特性にすることが望ましい。
【0099】
§5:具体的な温度補正の説明
図6は温度補正の説明図(その1)である。以下、具体的な温度補正について説明する。なお、図6において、各特性図の縦軸は2次側出力電圧Vout 、横軸は出力電流Iout を示す。また、点線の特性は高温時、実線の特性は常温時、鎖線は低温時の各特性である。
【0100】
(1) :図6のA図は、温度補正無し、負荷電流補正なしの場合の特性を示す。このように、負荷電流補正が無い場合、2次側のパターン抵抗や整流素子として使用されているMOSFETのオン抵抗の影響で、負荷電流が大きくなると、出力電圧Vout が低下していく。また、これらの抵抗は、正の温度特性を持っている(温度が高くなると抵抗値が大きくなる)。従って、出力電圧Vout の負荷電流(=出力電流Iout )による低下は、温度によって異なってくる。
【0101】
(2) :また、図6のA図では、温度補正が無いため、設定電圧(例えば、負荷電流=0のとき)の電圧が温度により変動する。そのため、設定電圧は上昇する。
【0102】
(3) :図6のB図は、前記A図の特性に、温度補正を付加した場合の特性、すなわち、温度補正あり、負荷電流補正なしの特性である。図6のA図の場合に対し、温度補正を行うと、前記(2) が補正できるので、図示の特性になる。この場合、図6のB図では、負荷電流=0の時の出力電圧の変動をなくしている。
【0103】
(4) :図6のC図は、図6のB図の特性に対し、負荷電流補正を付加した時の特性である。すなわち、図6のC図の特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり(但し、負荷電流補正の温度特性は無し)。
【0104】
図6のB図の特性に対し、更に、負荷電流補正を行うと図6のC図のようになる。但し、負荷電流に対する補正量は負荷に応じて変化するが、温度に対しては一定である。なお、図6のC図の特性で示す補正は従来例でも行なっていた。
【0105】
(5) :図6のD図に示す特性は、図6のC図の特性に対して、更に、前記負荷電流補正に温度補正を付加している(この補正からは本発明に特有の特性であり、従来例では行なっていない。
【0106】
図6のD図に示す特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり、負荷電流補正の温度補正ありの特性である。図6のC図の特性に対し、更に、負荷電流補正の温度補正を行うと、図6のD図の特性になる。温度補正は、温度が高い時補正量を大きくし、逆に、温度が低い時は補正量を小さくする。
【0107】
§6:図6の補足説明
図7は温度補正の説明図(その2)である。以下、図7に基づいて、図6の特性の補足説明を行う。なお、図7のA図、B図、C図、D図の各左側の図は、それぞれ図6のA図、B図、C図、D図の特性に対応している。また、図7のA図、B図、C図、D図の右側に示した図は、特性図(縦軸は検出電圧V3の変動分ΔV3、横軸は出力電流Iout )として新たに付け加えた図である。
【0108】
(1) :図7のA図の左側の図は、温度補正無し、負荷電流補正なしの場合の特性を示す。このように、負荷電流補正が無い場合、2次側のパターン抵抗や整流素子として使用されているMOSFETのオン抵抗の影響で、負荷電流が大きくなると、出力電圧が低下していく。
【0109】
また、これらの抵抗は、正の温度特性を持っている(温度が高くなると抵抗値が大きくなる)。従って、出力電圧の負荷電流による低下は、温度によって異なってくる。
【0110】
この場合、図7のA図の右側の図に示すように、補正量なしである。従って、出力電流Iout が増加しても、検出電圧V3の変動分ΔV3の値は変化しない(ΔV3=0のまま)。
【0111】
(2) :また、図7のA図の左側の図では、温度補正が無いため、設定電圧(例えば、負荷電流=0のとき)の電圧が温度により変動する。そのため、設定電圧は上昇する。
【0112】
(3) :図7のB図の左側の図は、前記A図の特性に、温度補正を付加した場合の特性、すなわち、温度補正あり、負荷電流補正なしの特性である。図7のA図の左側の図の場合に対し、温度補正を行うと、前記(2) が補正できるので、図示の特性になる。この場合、図7のB図では、負荷電流=0の時の出力電圧の変動をなくしている。
【0113】
この場合、図7のB図の右側の図では、出力電流Iout の増加に対して、検出電圧V3の変動分ΔV3の値は変わらない(=Oのまま)である。そして、低温時には、Iout の増加に対しΔV3の値は+側の値となり、高温時には、Iout の増加に対しΔV3の値は−側の一定の値となって変わらない。
【0114】
(4) :図7のC図の左側の図は、図7のB図の左側の図の特性に対し、負荷電流補正を付加した時の特性である。すなわち、図7のC図の左側の図の特性は、温度補正あり、負荷電流補正あり(但し、負荷電流補正の温度特性は無し)。なお、図7のC図の特性で示す補正は、従来例でも行なっていた。
【0115】
図7のC図の右側の図は、図7のB図の左側の図(設定電圧の温度補正)と、図5のA図(従来の補正量)を足し合わせたものである。ちなみに、図5のA図の従来の補正量とは、負荷電流に応じ補正しているロードレギュレーションを改善するための補正である。
【0116】
このように、図7のC図の右側の図では、出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値は少しずつ上昇する。しかも、常温時だけでなく、高温時でも低温時でも同じである。出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値は少しずつ上昇する。
【0117】
(5) :図7のD図の左側の図に示す特性は、図7のC図の左側の図の特性に対して、更に、前記負荷電流補正に温度補正を付加している。図7のD図の右側の図は、図7のB図の右側の図(設定電圧の温度補正)と、図5のB図(本発明の補正量)を足し合わせたものである。
【0118】
ちなみに、図5のB図の本発明の補正量とは、負荷電流(=出力電流Iout )に応じ補正しているロードレギュレーション改善のための補正で、温度により補正量を変化させたことが特徴である。
【0119】
図7のD図の右側の図に示すように、出力電流Iout が増加すると、その増加に伴って、ΔV3の値も上昇する。この場合、補正電流i3に対する温度補正は、常温時に比べ、高温時には補正量が大きくなるような温度特性を、低温時には補正量が小さくなるような温度特性を持たせている。
【0120】
このように、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には小さくなるように温度特性を持たせることで、温度が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができる。従って、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【0121】
§7:補正電流発生回路の変形例の説明
図8乃至図17は、補正電流発生回路の変形例(1乃至10)である。以下、これらの図に基づいて補正電流発生回路の変形例を説明する。なお、以下に説明するNTCサーミスタ(負の温度係数を有するサーミスタ)は、Negative temperature coefficient thermistor の略であり、PTCサーミスタ(正の温度係数を有するサーミスタ)は、Positive temperature coefficient thermistor の略である。
【0122】
(1) :変形例1
図8に示した変形例1は、図2のA図に示した回路例1の抵抗R52を、NTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。このような回路により補正電流i3の温度補正を行うことができる。
【0123】
(2) :変形例2
図9に示した変形例2は、図2のB図に示した回路例2の抵抗R52を、NTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0124】
(3) :変形例3
図10に示した変形例3において、Q51、Q52、Q53はバイポーラ型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」と記す)、R51、R53、R54、R55は抵抗、R52はNTCサーミスタ、D51はダイオードである。
【0125】
この回路では、抵抗R53、R54を介して電流が流れると、トランスT1の1次巻線N1及びトランジスタM1を流れる電流i1と、電流検出用抵抗回路6から流入した補正電流i3が補正電流発生回路5に流れる。この場合、電流i1は抵抗R51を通り、GNDへ流れる。また、電圧検出用抵抗回路6から流入した補正電流i3は、抵抗R55→ダイオードD51→トランジスタQ53のコレクタ→エミッタ→トランジスタQ52のコレクタ(及びベース)→エミッタ→R52→GNDの経路で流れる。
【0126】
なお、図10では、R52をNTCサーミスタ(負の温度計数を有する素子)、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0127】
(4) :変形例4
図11に示した変形例4は、図9に示した回路において、トランジスタQ51をダイオードD52で置き換えた例であり、他の構成は図9と同じである。なお、図11では、R52の素子を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えた例である。
【0128】
(5) :変形例5
図12に示した変形例5は、図9に示した回路のトランジスタQ51のエミッタに抵抗R56を接続した例であり、他の構成は図9と同じである。なお、図12では、前記R52の素子を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかで置き換えた例である。
【0129】
(6) :変形例6
図13に示した変形例6は、図12に示した回路において、トランジスタQ51のエミッタに接続されていた抵抗R56を、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路などのいずれかで置き換えると共に、素子R52を抵抗にした例である。
【0130】
(7) :変形例7
図14に示した変形例7は、図10に示した変形例3において、トランジスタQ51のエミッタに、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを接続すると共に、素子R52の代わりに、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを接続した例である。
【0131】
(8) :変形例8
図15に示した変形例8は、図11に示した回路において、ダイオードD52のカソードに素子R56を接続すると共に、該素子R56として、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いる。
【0132】
また、素子R52の代わりに、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いた例である。
【0133】
(9) :変形例9
図16に示した変形例9は、図2のA図の回路において、抵抗R52を、NTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路、ダイオードと抵抗の直列回路、抵抗と並列にNTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いると共に、トランジスタQ51とQ52のエミッタ間にコンデンサC51を接続した例である。
【0134】
(10):変形例10
図17に示した変形例10は、図2のA図に示した回路例1において、R51の素子を、PTCサーミスタの外、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路などで置き換えた例である。
【0135】
§8:電圧検出用抵抗回路の変形例の説明
図18は電圧検出用抵抗回路の変形例1、図19は電圧検出用抵抗回路の変形例2、図20は電圧検出用抵抗回路の変形例3である。以下、図18乃至図20に基づいて電圧検出用抵抗回路の変形例を説明する。
【0136】
(1) :変形例1
図18に示した変形例1は、図2のA図に示した回路において、補正電流発生回路5の温度補正は行なわずに、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を、PTCサーミスタ、2つの抵抗を直列接続し一方の抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路、抵抗と並列にPTCサーミスタを接続した回路のいずれかを用いた例である。この回路により、電圧検出用抵抗回路6において、前記補正電流i3に対する温度補正を行う。
【0137】
(2) :変形例2
図19に示した変形例2は、図2のB図に示した回路例2において、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs2と並列に、ダイオードDs1と抵抗Rs4の直列回路を接続し、抵抗Rs1とDs1の接続点から補正電流i3を流している。この場合、前記補正電流i3は、V3→Rs1→補正電流発生回路5の経路で流しており、この経路を流れる際に温度補正が行なわれる。
【0138】
(3) :変形例3
図20に示した変形例13は、図2のB図に示した回路例2において、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs2と並列に、ダイオードD51、Ds1、抵抗Rs4の直列回路を接続し、ダイオードD51、Ds1の接続点から補正電流i3を流している。この場合、前記補正電流i3は、V3→Rs1→D51→補正電流発生回路5の経路で流しており、この経路を流れる際に温度補正が行なわれる。
【0139】
§9:温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図の説明
図21は、温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図である。
【0140】
このフォワード型DC−DCコンバータは、図1に示した回路の補正電流発生回路5に、図9に示した変形例2の回路で置き換えた例である。
【0141】
すなわち、入力端子間に平滑用のコンデンサC1を接続し、更に、トランスT1を接続する。そして、トランスT1には1次巻線N1と、2次巻線N2、3次巻線N3を設けると共に、1次巻線N1にトランジスタM1(主スイッチングトランジスタ)を直列接続する。
【0142】
また、トランスT1の2次巻線N2にはチョークコイルL2、平滑用のコンデンサC2を含む2次側回路2が接続されている。更に、トランスT1の3次巻線N3には電圧検出回路3と、電圧検出用抵抗回路6が接続され、該電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs3の端子電圧V4が制御部4のエラーアンプ11へ入力するように構成されている。
【0143】
この場合、エラーアンプ11では、入力電圧V4を基準電圧Vref と比較し、その比較結果を出力するように構成されている。また、電圧検出用抵抗回路6の抵抗Rs1を通過した電流が補正電流発生回路5へ流れるように構成され、この回路で、補正電流の温度補正が行なわれるようになっている。
【0144】
§10:設定電圧の補正の説明
図22は設定電圧の補正の説明図であり、A図は電圧検出用抵抗回路、B図は電圧検出用抵抗回路の変形例である。以下、図22を参照しながら、設定電圧の補正(図7のB図の右側の図参照)について説明する。
【0145】
説明を簡単にするため、ロードレギュレーションを改善するための電流i3がゼロの時(補正電流発生回路5が無い時)について説明する。図22のA図は、設定電圧の補正が無い時の例である。この場合、検出電圧V3は、以下の様に表すことができる。
【0146】
先ず、V4の電圧は、コントロール部分で参照電圧Vref と等しくなるよう制御している(図1参照)ので、次のように表せる。
【0147】
V4=Vref ・・・式1
従って、抵抗Rs3に流れる電流をIs3は、
Is3=Vref /Rs3・・・式2
抵抗Rs1に流れる電流Is1及び抵抗Rs2に流れる電流Is2は、Is3とほぼ等しい。すなわち、
Is1=Is2=Is3・・・式3
抵抗Rs1の両端の電圧をVs1、抵抗Rs2の両端の電圧をVs2とすると、V3は以下のように表せる。
【0148】
V3=Vs1+Vs2+V4・・・式4
前記式1、式2、式3、式4よりV3を求めると、
V3=(Vref /Rs3)・(Rs1+Rs2+Rs3)・・・式5
となる。
【0149】
前記式5よりV3は、抵抗Rs1、Rs2、Rs3の抵抗値やVref が温度により大きく変化しないので、検出電圧V3は温度により変化しないことを表している。
【0150】
続いて、図22のB図について同様にV3を求める。図7のA図と同様に以下のことが言える。
【0151】
V4=Vref ・・・式11
Is3=Vref /Rs3・・・式12
V3=Vs1+Vs2+V4・・・式14
また、抵抗Rs2に流れる電流をIs2、Rs4に流れる電流をIs4とすると、
Is1=Is3=Is2+Is4
ダイオードDs1の順方向電圧をVfとすると、前記式11、式12、式14よりV3を求めると、
V3=(Vref /Rs3)・{Rs1+Rs3+(Rs2・Rs4)/(Rs2+Rs4)}+{Rs2/(Rs2+Rs4)}・Vf・・・式15
となる。
【0152】
Vfは、負の温度特性を有しているので、前記式15よりV3は、温度が高い時小さくなり、温度が低いと高くなることを表している。
【0153】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次のような効果がある。
【0154】
(1) :請求項1では、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように補正電流を発生させる。そして、補正電流発生回路5内の一部の素子に前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせているので、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流により負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0155】
(2) :請求項2では、補正電流発生回路は、電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる。そして、電圧検出用抵抗回路は、前記一部の素子に温度特性を持たせているので、温度が変動した場合、補正電流が前記温度特性を持たせた素子中を流れる事により、電圧降下を発生し、これにより負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0156】
(3) :請求項3では、補正電流発生回路は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、少なくとも、前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせている。
【0157】
従って、温度が変動した場合でも、温度補正された補正電流により、負荷電流に起因した出力電圧の変動分を少なくする。
【0158】
(4) :請求項4では、電圧検出用抵抗回路は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、前記複数個の抵抗の内、前記の補正電流が流れない抵抗の一部、又は該抵抗に接続された素子の一部に温度特性を持たせているため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする。
【0159】
(5) :請求項5では、補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるように、低温時には補正量が小さくなる温度特性を持たせている。そのため、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくすることができ、特性の良好なDC−DCコンバータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるフォワード型DC−DCコンバータの説明図である。
【図2】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の説明図であり、A図は回路例1の説明図、B図は回路例2の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態における特性データ例であり、A図は特性データ例1、B図は特性データ例2である。
【図4】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態における補正の説明図であり、A図は従来例の補正量、B図は本発明の補正量、C図は温度により補正量を変化させる理由の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における温度補正の説明図(その1)である。
【図7】本発明の実施の形態における温度補正の説明図(その2)である。
【図8】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例1である。
【図9】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例2である。
【図10】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例3である。
【図11】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例4である。
【図12】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例5である。
【図13】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例6である。
【図14】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例7である。
【図15】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例8である。
【図16】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例9である。
【図17】本発明の実施の形態における補正電流発生回路の変形例10である。
【図18】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例1である。
【図19】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例2である。
【図20】本発明の実施の形態における電圧検出用抵抗回路の変形例3である。
【図21】本発明の実施の形態における温度補正した同期整流型DC−DCコンバータの全体図である。
【図22】本発明の実施の形態における設定電圧の補正の説明図であり、A図は電圧検出用抵抗回路、B図は電圧検出用抵抗回路の変形例である。
【図23】従来例1の説明図である。
【図24】従来例2の説明図であり、A図は実施形態の回路図、B図は温度補償回路である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 2次側回路(整流平滑回路)
3 電圧検出回路
4 制御部
5 補正電流発生回路
6 電圧検出用抵抗回路
10 負荷
11 エラーアンプ
T1 トランス
N1 トランスT1の1次巻線
N2 トランスT1の2次巻線
N3 トランスT1の3次巻線
C1、C2 平滑用のコンデンサ
M1、M2、M3、M4、M5 NチャンネルMOS−FET(MOS型電界効果トランジスタ)
C11 トランジスタM1のゲート・ソース間容量
d11、d21、d31 トランジスタM1の寄生ダイオード又は内蔵ダイオード
L2 平滑用のチョークコイル
D21、D22、D31、D32 ダイオード
Rs1、Rs2、Rs3 電圧検出用抵抗
VN1 トランスT1の1次巻線N1に誘起する電圧
VN2 トランスT1の2次巻線N2に誘起する電圧
VN3 トランスT1の3次巻線N3に誘起する電圧
R51、R52、R53、R54、R55、R56 抵抗
V3 電圧検出回路の出力電圧
V4 エラーアンプの入力電圧
i1 1次側電流
i3 補正電流
Claims (5)
- 1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、
前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、
前記2次巻線に接続された2次側回路と、
前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、
前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流を検出して補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、
前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備えると共に、
前記補正電流発生回路内の一部の素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせ、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とするDC−DCコンバータ。 - 1次巻線、2次巻線及び3次巻線を有するトランスと、
前記1次巻線に直列接続され、制御手段によりオン/オフ駆動される主スイッチと、
前記2次巻線に接続された2次側回路と、
前記3次巻線に誘起する電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路の出力電圧を検出するための複数の抵抗を有する電圧検出用抵抗回路と、
前記トランスの1次巻線に流れる1次側電流を検出して補正電流を発生させる補正電流発生回路を備えたDC−DCコンバータであって、
前記補正電流発生回路は、前記電圧検出用抵抗回路の抵抗の一部を通って、前記2次側回路の負荷電流の変動に起因した出力電圧の変動を補正するように前記補正電流を発生させる機能を備え、
前記電圧検出用抵抗回路は、前記一部の素子に温度特性を持たせ、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とするDC−DCコンバータ。 - 前記補正電流発生回路は、1個又は複数個のトランジスタと、その他の複数個の素子を含んで構成され、
前記トランジスタのいずれかに接続された素子に、前記補正電流に対する温度補正を行うための温度特性を持たせたことを特徴とする請求項1記載のDC−DCコンバータ。 - 前記電圧検出用抵抗回路は、電圧を検出するための複数個の抵抗を含んで構成され、
前記複数個の抵抗の内、前記補正電流が流れない抵抗の一部又は該抵抗に接続された素子の一部に温度特性を持たせ、温度と負荷電流が変動しても出力電圧の変動分を少なくする機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。 - 前記補正電流に対する温度補正は、常温時に比べて、高温時には補正量が大きくなるような温度特性を、低温時には補正量が小さくなるような温度特性を持たせたことを特徴とする請求項1記載のDC−DCコンバータ。
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