JP2004328606A - 撮像装置 - Google Patents

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Akio Nakamaru
晃男 中丸
Shinichi Fujii
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Abstract

【課題】AF制御の設定状況に応じて、適正な画像が得られるように画像処理を行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行うコンティニュアスAFモードが設定されている場合は、被写体が動体である可能性が高い。一方、被写体に対する合焦状態が達成されるとレンズ駆動を停止するワンショットAFモードが設定されている場合は、被写体が静止しているものである可能性が高い。そこで、本撮影時に、コンティニュアスAFモードが設定されている場合は、ワンショットAFモードが設定されている場合におけるエッジ強調処理Aよりも、エッジ強調処理の強調の程度が相対的に大きいエッジ強調処理Bを行う。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートフォーカス制御を行う撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD等の撮像素子によって被写体の光学像に基づいた画像信号を得ることにより画像を取得するデジタルカメラが急激に普及してきている。このようなデジタルカメラでは、いわゆる山登り方式のオートフォーカス(AF)制御が一般的に行われており、主に静止している被写体を撮影することを目的とするAF制御(ワンショットAF制御)と、主に動いている被写体に合焦し続けるAF制御(例えば、サーボAF制御、若しくはコンティニュアスAF制御)とを切り替え可能なものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、最近では、撮像素子の画素数の増加により、解像度が飛躍的に上昇し、従来では捉えきれなかった細かな手ぶれや被写体ぶれ等、細部のぼけ等が目立つ傾向にある。よって、このようなぼけ等による画質の劣化を抑制するために、AF制御にはより一層の高精度化が望まれている。
【0004】
このような技術に関する先行技術文献としては、以下のようなものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−181954号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンティニュアスAF制御において、被写体の動きが非常に速い場合等は、レンズ駆動速度、及び各種処理速度等の限界により、完全には被写体に対する合焦状態を保持し続けることができず、ぼけ等の画質劣化を招く傾向にある。ところが、特許文献1に記載されたデジタルカメラ等では、ワンショットAF制御時と、コンティニュアスAF制御時とで、画像処理の内容が変更されることもなく、AF制御の設定状況に応じた画質向上に対する工夫がなされていなかった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、AF制御の設定状況に応じて、適正な画像が得られるように画像処理を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、撮像装置であって、被写体に係る光学像に基づいて画像を取得する撮像手段と、前記画像に対してエッジ強調処理を行う画像処理手段と、被写体に対する合焦状態が達成されるとレンズ駆動を停止する第1のAFモードと、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行う第2のAFモードとを含む複数のAFモードのうちのいずれか一つのAFモードを選択的に設定する設定手段と、前記設定手段によるAFモードの設定状況に基づいて、前記エッジ強調処理の内容を変更する処理変更手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記処理変更手段が、前記設定手段によって、前記第1のAFモードが設定されている場合よりも、前記第2のAFモードが設定されている場合の方が、前記エッジ強調処理の程度が相対的に強くなるようにすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記撮像装置において生じる手ぶれの程度を判定する判定手段を更に備え、前記処理変更手段が、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記第2のAFモードにおける前記エッジ強調処理の内容を変更することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の撮像装置であって、前記処理変更手段が、前記判定手段によって前記手ぶれの程度が所定の程度よりも小さいと判定された場合より、前記所定の程度よりも大きいと判定された場合の方が、前記第2のAFモードにおける前記画像の高周波成分に関するエッジ強調処理の程度を、相対的に弱くなるようにすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記撮像装置において生じる手ぶれを補正する手ぶれ補正手段と、前記設定手段により、前記第1のAFモードが設定された場合と、前記第2のAFモードが設定された場合とで、前記手ぶれ補正手段による手ぶれ補正の内容を変更する補正変更手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<1.第1実施形態>
<デジタルカメラの要部構成>
図1、図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置(ここでは、デジタルカメラ)1の要部構成を示す図であり、図1は上方から見た断面図、図2は側方から見た断面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0015】
図1及び図2に示すように、デジタルカメラ1の前面には、絞りを含む撮影レンズであるマクロ機能付きのズームレンズ301が設けられ、その後方にCCDカラーエリアセンサ(以下、「CCD」と略称する)303が設けられている。また、デジタルカメラ1の前面には、ユーザーがデジタルカメラ1を把持するためのグリップ部GRが設けられている。
【0016】
また、図1に示すように、デジタルカメラ1は、側方より、メモリカード等の記憶媒体MCを着装することが可能であり、デジタルカメラ1で取得された画像を記憶媒体MCに記憶することができる。更に、4本の単三形乾電池El〜E4を直列接続してなる電源電池Eを駆動源として格納可能な構成となっている。
【0017】
また、図2に示すように、デジタルカメラ1の内部には、ズームレンズ301のズーム比の変更や、収容位置と撮影位置との間のレンズ駆動を実現するためのズームモータM1、及びオートフォーカス(AF)動作によるズームレンズ301の合焦駆動を実現するためのAFモータM2が設けられている。
【0018】
また、図2及び図3に示すように、デジタルカメラ1の上面には、ポップアップ形式の内蔵フラッシュ5、シャッタースタートボタン(以下、「シャッターボタン」と略称する)9が設けられている。
【0019】
更に、図3に示すように、デジタルカメラ1の背面の略中央には、画像のモニタ表示及び記憶画像の再生表示等を行なうためのLCD表示部(以下、「LCD」と略称する)10が設けられ、デジタルカメラ1の背面上部には、フレーミングを行うためのEVF20が設けられている。また、EVF20の下方にはEVF20への接眼を検出するための接眼センサ15が設けられており、接眼センサ15による接眼の検出の有無により、フレーミング時のライブビュー表示がLCD10とEVF20のいずれにおいて行われるかが切り替えられる。
【0020】
また、デジタルカメラ1の背面左方には、デジタルカメラ1の電源をON/OFFする電源スイッチ25が設けられ、デジタルカメラ1の背面右方には、デジタルカメラ1の各種設定・操作等を行うための操作部30が設けられている。
【0021】
操作部30は、4連スイッチ31、取消ボタン32、確定ボタン33、メニューボタン34、モードボタン35、AFモード切替ボタン36を備えて構成される。なお、以下では、シャッターボタン9も操作部30に含まれるものとして説明する。
【0022】
4連スイッチ31は、上下左右ボタンU,D,L,Rを有し、左右ボタンL,Rが押下されることにより、ズームモータM1を駆動させてズーミングを行う。
【0023】
また、メニューボタン34が押下されることで、LCD10にデジタルカメラ1の各種動作メニューが表示され、その状態で上下左右ボタンU,D,L,Rが適宜押下されることにより各種操作・設定を選択することができる。また、取消ボタン32は、選択された操作や設定を取り消すためのもので、確定ボタン33は、選択された操作や設定を確定させるためのものである。
【0024】
モードボタン35は、ユーザーによる押下操作に基づいて、静止画や動画の撮影を行うモード(以下、「撮影モード」と称する)と、記憶媒体MC等に格納された画像をLCD10やEVF20に再生表示するモード(以下、「再生モード」と称する)とを切替設定するためのものである。なお、デジタルカメラ1の電源投入時には、自動的に撮影モードが選択設定され、モードボタン35が押下される毎に再生モードと撮影モードとが切り替えられる。また、モードボタン35の押下操作により動画撮影モードに設定できるようにしても良い。
【0025】
AFモード切替ボタン36は、ユーザーによる押下操作に基づいて、被写体に対する合焦状態が達成されるとズームレンズ301(特にズームレンズ301内のフォーカシングレンズ)のレンズ駆動を停止する第1のAFモード(ここでは、所謂、ワンショットAFモード)と、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにズームレンズ301(特にズームレンズ301内のフォーカシングレンズ)のレンズ駆動を行う第2のAFモード(ここでは、所謂、コンティニュアスAFモード)とを切替設定するものである。つまり、デジタルカメラ1は、第1及び第2のAFモードを含む複数のAFモードを備えており、AFモード切替ボタン36を押下操作することで、複数(ここでは、2つ)のAFモードのうちのいずれか一つのAFモードを選択的に設定することができる。
【0026】
なお、AFモード切替ボタン36からの信号を受けて、後述する全体制御部211が、AFモードの設定状況を管理するとともに、設定されたAFモードに応じたAF制御を行う。
【0027】
<デジタルカメラの機能構成>
図4は、デジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
CCD303は、ズームレンズ301により結像された被写体の光学像を、R(赤).G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。つまり、CCD303が、被写体に係る光学像に基づいて、画像信号(画像)を取得する手段として機能する。
【0029】
タイミングジェネレータ214は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものであり、タイミング制御回路202から送信される基準クロックに基づいてCCD303の駆動制御信号を生成する。このタイミングジェネレータ214は、例えば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。よって、例えば、CCD303の露光量、即ち、シャッタースピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節することができる。
【0030】
デジタルカメラ1における露出制御は、ズームレンズ301の絞りと、シャッタースピードとを調節して行われるが、被写体輝度が低く、適切なシャッタースピードが設定できない場合には、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行うことにより、露光不足による不適正露出を補正することができる。即ち、低輝度時には、シャッタースピードとゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行われる。なお、画像信号のレベル調整は、信号処理回路213内のAGC回路のゲイン調整によって実施される。
【0031】
信号処理回路213は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路213は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行うとともに、AGC回路のゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。
【0032】
A/D変換器205は、信号処理回路213から出力される画像信号の各画素信号を12ビットのデジタル信号に変換するものである。このA/D変換器205は、タイミング制御回路202から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を12ビットのデジタル信号に変換する。なお、タイミングジェネレータ214、及びA/D変換器205に対するクロックを生成するタイミング制御回路202は、全体制御部211内の基準クロックにより制御される。
【0033】
黒レベル補正回路206は、A/D変換器205でA/D変換された画素信号の黒レベルを基準の黒レベルに補正し、補正後の信号をホワイトバランス(WB)回路207に出力する。
【0034】
WB回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換を行うものである。WB回路207は、全体制御部211によって設定されるレベル変換テーブルに基づいて、R,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換し、変換後のデータを画素補間回路208に出力する。なお、レベル変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は全体制御部211により画像毎に設定される。
【0035】
画素補間回路208は、各画素に対して欠落した色の情報を周辺の画素値を基に推測することによって補間処理を行い、処理後のデータをγ補正回路209に出力する。
【0036】
γ補正回路209は、画素データのγ特性を補正し、補正後のデータをエッジ強調制御部210に出力する。
【0037】
エッジ強調制御部210は、画像データに対して画像処理の一環であるエッジ強調(輪郭強調)処理を行うためのものであり、実際にエッジ強調処理を行うエッジ強調部と、撮影条件に基づいてエッジ強調処理の内容を選択・変更するエッジ強調選択部とをその機能として有している。つまり、エッジ強調部を含むエッジ強調制御部210が、画像に対してエッジ強調処理を行う手段として機能する。なお、エッジ強調部による具体的なエッジ強調処理の手法、及びエッジ強調選択部によるエッジ強調処理の内容の選択・変更については、後程詳述する。
【0038】
画像メモリ212は、エッジ強調制御部210から出力される画素データを一時的に記憶するものである。画像メモリ212は、1フレーム分の記憶容量を有している。即ち、画像メモリ212は、CCD303の画素数(例えば、1600×1200個)に対応する画素データを格納可能な記憶容量を有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0039】
LCD用のVRAM213Lは、LCD10に再生表示される画像データのバッファメモリである。VRAM213Lは、LCD10の画素数(例えば、400×300個)に対応した画像データの記憶容量を有している。また、EVF用のVRAM213Eは、EVF20に再生表示される画像データのバッファメモリである。VRAM213Eは、EVF20の画素数(例えば、640×480個)に対応した画像データの記憶容量を有している。
【0040】
撮影モードでは、撮影待機状態において、1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素データがA/D変換器205からエッジ強調制御部210により所定の信号処理を施された後、画像メモリ212に一時記憶されるとともに、全体制御部211を介してVRAM213L,213Eに転送され、LCD10やEVF20に表示される(ライブビュー表示)。これによりユーザーは被写体像を視認することができる。
【0041】
また、再生モードでは、記憶媒体MCから読出された画像が、全体制御部211において所定の信号処理を施された後、VRAM213L,213Eに転送され、LCD10やEVF20に再生表示される。
【0042】
カードI/F215は、記憶媒体MCへの画像データ(画像)の書込み及び画像データの読出しを行うためのインターフェースである。
【0043】
RTC219は、撮影日時を管理するための時計回路であり、図示していない別の電源で駆動される。
【0044】
操作部30は、上述した、シャッターボタン9、4連スイッチ31、取消ボタン32、確定ボタン33、メニューボタン34、モードボタン35、及びAFモード切替ボタン36を備えて構成され、各種ボタンの操作に基づいた信号を全体制御部211に送信する。
【0045】
シャッターボタン9は、銀塩カメラ等で採用されているような半押し状態(以下、「Sl状態」と称する)と押し込んだ状態(以下、「S2状態」と称する)とが検出可能な2段階スイッチになっている。
【0046】
撮影モードにおける撮影待機状態でシャッターボタン9を半押ししてSl状態にすると、全体制御部211の制御下で、AF動作を行う。具体的には、シャッターボタン9がS1状態となると、AFモータM2によりズームレンズ301がAFのためのレンズ駆動を開始し、全体制御部211によって画像メモリ212内の画像のコントラストを評価しながら、コントラストが最も高くなるようにレンズ駆動させる。
【0047】
ここで、ワンショットAFモードが設定されている場合は、一旦、コントラストが最も高くなる合焦位置までレンズ駆動されると、レンズ駆動が停止される。一方、コンティニュアスAFモードが設定されている場合は、S1状態にある間は、合焦位置までレンズ駆動させる動作が繰り返し行われる。
【0048】
また、全体制御部211の制御下で、S1状態において、画像メモリ212内の画像データの輝度レベルを判定することで、シャッタースピードと絞り値とが決定され、更にWB回路207におけるWBの補正値をも決定する。
【0049】
また、シャッターボタン9が全押しされることで、S1状態からS2状態となることによる撮影指示がなされると、記憶媒体MCに画像を記憶するための本撮影が行われる。
【0050】
全体制御部211は、マイクロコンピュータ(CPU)、ROM、RAM等を備えて構成され、デジタルカメラ1の各部の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ1の撮影動作等を統括制御するものである。なお、全体制御部211における各種制御や機能は、ROM内に格納されるプログラムがCPU内に読み込まれることで実現される。
【0051】
また、全体制御部211は、シャッタースピードと絞り値等の露出を制御するための値(露出制御値)を設定するために、被写体の輝度を判定する部位(輝度判定部)と実際に露出制御値を設定する部位(露光量設定部)とをその機能として備えている。なお、露出制御値に含まれる各値(シャッタースピードや絞り等)は操作部30等の操作により変更可能となっている。また、フラッシュ撮影時には、露出制御値には内蔵フラッシュ5の発光量も含まれる。
【0052】
更に、全体制御部211は、本撮影において記憶媒体MCに画像を記憶するために、フィルタリング処理を行うフィルタ部と、サムネイル画像及び圧縮画像を生成するための記憶画像生成部と、記憶媒体MCに記憶される画像をLCD10やEVF20に再生表示するために再生画像を生成するための再生画像生成部とをその機能として備えている。
【0053】
フィルタ部は、デジタルフィルタにより記憶媒体MCに記憶すべき画像の高周波成分を補正して輪郭に関する画質の補正を行なうものである。
【0054】
記憶画像生成部は、画像メモリ212から画素データを読み出して記憶媒体MCに記憶すべきサムネイル画像と圧縮画像とを生成する。例えば、記憶画像生成部は、画像メモリ212から横及び縦の両方向についてそれぞれ8画素毎に画素データを読み出し、順次、記憶媒体MCに転送することで、サムネイル画像を生成しつつ記憶媒体MCに記憶する。また、記憶画像生成部は、画像メモリ212から全画素データを読み出し、これらの画素データに2次元DCT変換、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮率の圧縮処理を施して圧縮画像データを生成し、記憶媒体MCに記憶する。
【0055】
全体制御部211は、撮影モードにおいて、シャッターボタン9の全押しに基づく撮影指示なされると、撮影指示後に画像メモリ212に取り込まれた画像データのサムネイル画像とJPEG方式により圧縮された圧縮画像とを生成し、画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタースピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオンオフのデータ、シーン情報、画像の判定結果等の情報)とともに両画像を記憶媒体MCに記憶する。つまり、デジタルカメラ1による本撮影動作によって、各コマについて、タグの部分とJPEG形式で圧縮された高解像度の画像データ(例えば、1600×1200画素)とサムネイル表示用の画像データ(例えば、80×60画素)が記憶媒体MCに記憶される。
【0056】
また、モードボタン35の押下操作に基づいて再生モードが選択された場合には、記憶媒体MC内のコマ番号の最も大きな画像データが読出され、再生画像生成部でデータ伸張され、これがVRAM213L,213Eに転送されることにより、LCD10やEVF20に、直近に撮影された画像(コマ番号の最も大きな画像)が表示される。そして、4連スイッチ31の左ボタンLが押下されると、順次1つだけコマ番号の小さな画像が表示され、右ボタンRが押下されると、順次1つだけコマ番号の大きな画像が表示される。
【0057】
調光回路304は、全体制御部211の制御下で、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量を設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影においては、露出開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力され、この発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ5の発光が強制的に停止される。このような動作により内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0058】
絞り制御ドライバー204は、全体制御部211の制御下で、ズームレンズ301に含まれる絞りの開/閉駆動を制御し、絞り値を変化させるものである。
【0059】
また、全体制御部211は、AF動作等、ズームレンズ301の駆動を制御するための機能を有し、ズームモータM1、及びAFモータM2の駆動を制御することで、ズームレンズ301のレンズ駆動を制御する。そして、全体制御部211は、ワンショットAFモードとコンティニュアスAFモードとを含む複数のAFモードのそれぞれの制御が可能な手段として機能し、AFモード切替ボタン36の押下操作に応答して、複数(ここでは、ワンショットAFモードとコンティニュアスAFモードの2つ)のAFモードのうちのいずれか一つのAFモードを選択的に設定する手段として機能する。
【0060】
<エッジ強調処理の手法>
図5は、エッジ強調制御部210のエッジ強調部におけるエッジ強調処理の手法を説明するための図である。
【0061】
エッジ強調部では、入力される画像データのうちのG色成分のデータ(以下、「Gデータ」と称する)について、ハイパスフィルタ(HPF)40により高周波成分を抽出する。続いて、抽出した高周波成分に対してコアリング部41において所定のレベル以下の周波数成分を除去する。更に、コアリング部41から出力される高周波成分に対してゲイン調整部42において所定の増幅率でレベル調整を行う。そして、レベル調整されたGデータの高周波成分を、エッジ強調部に元々入力されたGデータに対して加算する。また、エッジ強調部に入力されたR色成分のデータ(以下、「Rデータ」と称する)及びB色成分のデータ(以下、「Bデータ」と称する)に対しても、レベル調整されたGデータの高周波成分を加算する。
【0062】
このように、エッジ強調部では、G色成分の高周波成分を利用して、レベル調整されたGデータの高周波成分を元の画像データに加算することで、エッジ強調処理を行う。
【0063】
図6は、エッジ強調処理の処理特性を示す図である。図6では、コアリング部41及びゲイン調整部42におけるGデータの入力レベルと出力レベルとの関係を示すラインL1を示している。具体的には、コアリング部41における所定レベル以下の周波数成分の除去と、ゲイン調整部42におけるレベル調整についての特性を示している。
【0064】
図6に示すように、HPF(High Pass Filter)40で抽出されてコアリング部41に入力されるGデータの高周波成分について、ある周波数成分の入力レベルgが所定値V1に対し、−V1<g<V1の関係にあれば、コアリング部41は、その周波数成分のレベルを0に変換、即ち、その周波数成分を除去する。また、入力レベルgが所定値V1に対し、g≦−V1,V1≦gの関係にあれば、コアリング部41では、その周波数成分を除去せず、ゲイン調整部42が、図6に示すような入出力レベルの関係となるようにGデータのレベル調整を行う。つまり、ここでは、図6に示す線L1の傾きに応じたレベル調整が行われる。
【0065】
よって、ここでは、線L1の傾きを大きくすれば、ゲイン調整部42から出力されるGデータのレベルが高くなるため、RGBの各色データに加算されるGデータの高周波成分のレベルが高くなり、その結果、エッジ強調処理の強調の程度(エッジ強調処理の程度)を強めることができる。一方、線L1の傾きを小さくすれば、ゲイン調整部42から出力されるGデータのレベルが低くなるため、RGBの各色データに加算されるGデータの高周波成分のレベルが低くなり、その結果、エッジ強調処理の強調の程度を弱めることができる。
【0066】
<エッジ強調処理内容の選択・変更>
エッジ強調制御部210のエッジ強調選択部では、現在設定されているAFモードに基づいて、エッジ強調部におけるエッジ強調処理の程度を選択・変更する。つまり、エッジ強調選択部を含むエッジ強調制御部210が、AFモードの設定状況に基づいて、エッジ強調処理の内容を変更する手段として機能する。そして、ここでは、ワンショットAFモードが主に静止している被写体を撮影するもので、コンティニュアスAFモードが主に動体を撮影するものであるため、その用途に対応させて、エッジ強調処理の程度を選択・変更する。
【0067】
一般に、静止している被写体よりも動体を撮影する場合の方が、撮影によって取得される画像のエッジに”ぶれ”や”ぼけ”が生じ易い。そこで、ここでは、ぶれやぼけの生じ易いコンティニュアスAFモードにおけるエッジ強調処理の程度を、ワンショットAFモードにおけるエッジ強調処理の程度よりも相対的に強くしている。
【0068】
このように、ぶれやぼけが比較的多いと考えられる状況において、エッジ強調処理の程度を相対的に強くすることで、ぶれやぼけが見かけ上減少したような適正な画像を得ることができる。なお、ぶれやぼけの比較的少ないと考えられる状況において、エッジ強調処理の程度を強くしないのは、不必要なエッジ強調処理を過度に実施することによって、エッジが強調され過ぎたような不自然な画像となるのを防止するためである。
【0069】
具体的には、全体制御部211の制御下で、エッジ強調選択部により、ワンショットAFモードが設定されている場合は、エッジ強調処理の程度が強くない(通常の)エッジ強調処理(以下、「エッジ強調処理A」と称する)が選択され、コンティニュアスAFモードが設定されている場合は、エッジ強調処理の程度が比較的強いエッジ強調処理(以下、「エッジ強調処理B」と称する)が選択される。
【0070】
換言すれば、AFモードの設定に応じて、エッジ強調処理A又はエッジ強調処理Bを選択的に設定し変更する。つまり、ここでは、エッジ強調選択部を含むエッジ強調制御部210が、ワンショットAFモードが設定されている場合よりも、コンティニュアスAFモードが設定されている場合の方が、エッジ強調処理の程度が相対的に強くなるようにする。
【0071】
図7は、本撮影時における動作フローを示すフローチャートであり、本撮影が開始される直前のS1状態からの動作フローを示している。なお、本動作フローは、全体制御部211によって制御される。
【0072】
以下、図7に示す本撮影時の動作フローを説明しつつ、本撮影時におけるエッジ強調処理の変更及び実行について説明する。
【0073】
シャッターボタン9がユーザーによって全押しされて、S2状態となると(ステップS1)、本撮影動作を開始し、ステップS2に進む。
【0074】
ステップS2では、CCD303の露光及び遮光等を含む一連の撮影動作が行われ、ステップS3に進む。ここでは、CCD303において、被写体に係る光学像が光電変換されて電荷信号が蓄積される。
【0075】
ステップS3では、CCD303から画像データを読出し、ステップS4に進む。ここでは、CCD303に蓄積された電荷信号を画像信号(画像データ)として読出し、引き続き、信号処理回路213から黒レベル補正回路206において、アナログ信号処理、A/D変換、及び黒レベル補正が画像データに施され、WB回路207に出力される。
【0076】
ステップS4では、WB回路207により画像データに対してWB補正が行われ、ステップS5に進む。
【0077】
ステップS5では、画素補間回路208により画像データに対して画素補間処理が行われるともに、γ補正回路209により画像データに対してγ補正が行われ、ステップS6に進む。
【0078】
ステップS6では、現在の設定されているAFモードがコンティニュアスAFモードであるか否か判別する。ここでは、コンティニュアスAFモードが設定されていない場合は、ステップS7に進み、設定されている場合は、ステップS8に進む。
【0079】
ステップS7では、エッジ強調処理の程度が通常のエッジ強調処理Aを行い、ステップS9に進む。ここでは、ワンショットAFモードが設定されているため、エッジ強調選択部により、エッジ強調処理Aが選択・設定され、エッジ強調部において、画像データに対してエッジ強調処理Aが行われる。
【0080】
ステップS8では、エッジ強調処理の程度が比較的強いエッジ強調処理Bを行い、ステップS9に進む。ここでは、コンティニュアスAFモードが設定されているため、エッジ強調選択部により、エッジ強調処理Bが選択・設定され、エッジ強調部において、画像データに対してエッジ強調処理Bが行われる。
【0081】
ステップS9では、全体制御部211により画像データに対して圧縮処理が施され、ステップS10に進む。
【0082】
ステップS10では、記憶媒体MCに、ステップS9において圧縮処理が施された画像データ(高解像度の圧縮画像データ)を書き込み、本撮影動作を終了する。なお、ステップS10では、記憶媒体MCに対して、高解像度の圧縮画像データが記憶されるとともに、その画像データについてのサムネイル画像データ、及びタグ情報も記憶される。
【0083】
以上のように、第1実施形態に係るデジタルカメラ1では、全体制御部211の制御下で、エッジ強調制御部210が、全ての画像に対して一律に同様なエッジ強調処理を施すのではなく、AFモードの設定状況に基づいて、画像に対するエッジ強調処理の内容を変更する。具体的には、ワンショットAFモードが設定されている場合よりも、コンティニュアスAFモードが設定されている場合の方が、画像に対するエッジ強調処理の程度を相対的に強くする。その結果、AF制御(ここでは、AFモード)の設定状況に応じて、適正な画像が得られるような画像処理を行うことができ、特に、被写体の動きが大きいと考えられる状況に対応して適正な画像処理を行うことができる。
【0084】
また、2フレーム以上の画像を比較することなく、単にAFモードの設定状況に基づいて、エッジ強調処理の内容を変更するため、短時間で簡易的に状況に応じた画像処理を選択し、実行することができる。よって、ユーザーによるシャッターボタン9の全押し操作から実際の撮影動作までに、2フレーム以上の画像を比較したりすることによって生じるタイムラグを発生させることなく、所望の画像を得ることができる。更に、2フレーム以上の画像を比較するための特別な処理ユニット等も不必要であるため、デジタルカメラ1の小型・軽量化ならびに低コスト化を図ることもできる。
【0085】
<2.第2実施形態>
第1実施形態に係るデジタルカメラ1では、AFモードの設定状況に基づいて、単純に画像に対するエッジ強調処理の内容を変更したが、第2実施形態に係る撮像装置(ここでは、デジタルカメラ)1Aでは、更に、ぶれの程度も考慮して、エッジ強調処理の内容を変更する。具体的には、デジタルカメラ1Aでは、コンティニュアスAFモードが設定されている場合には、ぶれの程度に対応させて、エッジ強調処理の対象となる周波数帯域や強調レベルといったエッジ強調処理の内容を変更する。
【0086】
また、第2実施形態に係るデジタルカメラ1Aでは、画像解像度の上昇に伴うぶれの顕在化に対応させて、CCD303の位置を手ぶれに合わせて移動させる手ぶれ補正動作も併せて行う。
【0087】
<デジタルカメラの機能構成>
図8は、第2実施形態に係るデジタルカメラ1Aの機能構成を示すブロック図である。第2実施形態に係るデジタルカメラ1Aでは、大部分が第1実施形態に係るデジタルカメラ1と同様の構成となっているため、以下、デジタルカメラ1と異なる点について主に説明し、同様な部分については、同様な符合を付して説明を省略する。
【0088】
デジタルカメラ1Aでは、ぶれの程度も考慮してエッジ強調処理の内容を変更するため、図8において、エッジ強調制御部210Aをデジタルカメラ1とは異なる符合を付して示している。なお、エッジ強調制御部210Aにおけるエッジ強調処理の内容の変更は、第1実施形態のエッジ強調制御部210におけるものと異なるが、エッジ強調処理の手法については全く同様となるため、説明を省略する。なお、本実施形態に係るエッジ強調処理の内容の変更については後程詳述する。
【0089】
エッジ強調制御部210Aのエッジ強調選択部では、全体制御部211で制御・算出・管理される、AFモードの設定状況、シャッタースピード、ズームレンズ301の焦点距離、その他設定、及び後述するぶれ判定結果に関する情報を、全体制御部211より受け取り、それらの情報に基づいて、エッジ強調処理の内容を選択・変更する。
【0090】
また、デジタルカメラ1Aは、手ぶれによる振動に起因する画像のぶれやぼけ等を抑制するための手ぶれ補正機構を有している。この手ぶれ補正機構は、ジャイロ等を含む手ぶれ検出部410と、CCD303を移動させるアクチュエータ等を含む手ぶれ補正部430と、手ぶれ補正の補正特性の切替え及び手ぶれ補正部430の駆動等を制御する手ぶれ補正制御部420とを備えて構成される。つまり、この手ぶれ補正機構が、デジタルカメラ1Aにおいて生じる手ぶれを補正する手段として機能し、手ぶれ補正制御部420が、手ぶれ補正機構による手ぶれ補正動作を制御する手段として機能する。なお、全体制御部211は、手ぶれ補正機構による手ぶれ補正動作を制御するための機能を有している。
【0091】
この手ぶれ補正動作では、全体制御部211が、手ぶれ検出部410によって検出される手ぶれに応じた2つの角速度に基づいて、手ぶれ(振動)による被写体像のぶれ量及びその向きに対応するCCD303の移動すべき位置を導出する。そして、全体制御部211の制御下で、手ぶれ検出部410で検出された手ぶれを打ち消すように、手ぶれ補正部430がCCD303を移動させることで、手ぶれ補正動作を実現する。この手ぶれ補正動作の補正特性は、AFモードの設定状況等に基づいて変更される。なお、手ぶれ補正機構等による手ぶれ補正動作、及び補正特性の変更については後程詳述する。
【0092】
<エッジ強調処理の内容の選択・変更>
図9は、本撮影時における動作フローを示すフローチャートであり、図10は、ぶれ判定の動作フローを示すフローチャートである。なお、図9に示す動作フローのうち、エッジ強調処理の内容の選択・変更、及びエッジ強調処理そのものに関する部分以外は、図7で示した第1実施形態の本撮影時における動作フローと同様となるため、同様なステップについては同様な符合を付して説明を省略する。また、図9に示すフローチャートは、図7と同様に本撮影が開始される直前におけるS1状態からの動作フローを示している。そして、図9及び図10に示す動作フローは、全体制御部211によって制御される。
【0093】
図9に示す本撮影時の動作フローでは、その途中において、図10に示すぶれ判定の結果に基づいて、エッジ強調処理の程度を選択・変更する。以下、図9及び図10に従って、本撮影時におけるエッジ強調処理の内容の選択・変更について説明する。
【0094】
ステップS5では、画素補間回路208により画像データに対して画素補間処理が行われるともに、γ補正回路209により画像データに対してγ補正が行われ、ステップS61に進む。
【0095】
ステップS61では、現在の設定されているAFモードがコンティニュアスAFモードであるか否か判別する。ここでは、コンティニュアスAFモードが設定されていない場合は、ステップS62に進み、設定されている場合は、ステップS63に進む。
【0096】
ステップS62では、図7におけるステップS7と同様に、エッジ強調処理の程度が通常のエッジ強調処理Aを行い、ステップS9に進む。
【0097】
ステップS63では、手ぶれ及び被写体ぶれの判定(ぶれ判定)を行い、ステップS64に進む。ここでは、図10に示す動作フローが行われる。
【0098】
ぶれ判定が開始するとステップS71に進む。
【0099】
ステップS71では、シャッタースピード(SS)が、1/30秒以下であるか否かを判別する。ここでは、SS≦1/30秒でない場合は、ステップS72に進み、SS≦1/30秒である場合は、ステップS73に進む。
【0100】
ステップS72では、ぶれの程度が大きいものと判定し、ぶれ判定を終了する。ここでは、コンティニュアスAFモードに設定されているため、被写体が動体である可能性が高く、更に、シャッタースピードが非常に長い。このため、手ぶれ及び被写体ぶれによる大きな影響が画像に対して生じ易いものと考えられるため、ぶれの程度が大きいものと判定する。
【0101】
ステップS73では、手ぶれ補正機構による手ぶれ補正動作が非能動状態であるか否かを判別する。デジタルカメラ1Aでは、手ぶれ補正機構を有しているが、手ぶれ補正動作の能動/非能動状態は、操作部30の操作に基づいて、設定可能となっている。よって、ここでは、手ぶれ補正動作が非能動状態である場合は、ステップS74に進み、手ぶれ補正動作が能動状態である場合は、ステップS75に進む。なお、ステップS73で、手ぶれ補正動作の有無によって、ぶれ判定の結果を異ならせるのは、手ぶれ補正動作が行われている場合には、特に画像における手ぶれの影響が小さくなるためである。よって、ステップS74以降では、手ぶれ補正動作の有無を加味して、ぶれ判定を行う。
【0102】
ステップS74では、シャッタースピード(SS)が手ぶれ補正動作が行われていない場合の手ぶれ限界値TVhよりも小さいか否かを判別する。ここでは、SS<TVhでない場合は、ステップS76に進み、SS<TVhである場合は、ステップS77に進む。なお、ここで言う手ぶれ補正動作が行われていない場合の手ぶれ限界値TVhは、ズームレンズ301の焦点距離等によって一義的に決まるもので、撮影倍率によって変化するが、撮影倍率が1.0倍の場合には、例えば、約1/35秒程度の値となる。
【0103】
ステップS75では、シャッタースピード(SS)が手ぶれ補正動作が行われている場合の手ぶれ限界値TVh’よりも小さいか否かを判別する。ここでは、SS<TVh’でない場合は、ステップS76に進み、SS<TVh’である場合は、ステップS77に進む。なお、手ぶれ補正動作が行われている場合の手ぶれ限界値TVh’は、例えば、手ぶれ補正動作が行われていない場合の手ぶれ限界値TVhの約2〜4倍程度の値となる。
【0104】
ステップS76では、ぶれの程度が中位であると判定し、ぶれ判定を終了する。ここでは、コンティニュアスAFモードに設定されているため、被写体が動体である可能性が高く、シャッタースピードが比較的長い。このため、手ぶれ及び被写体ぶれによる影響が画像に対してある程度生じ易いものと考えられるため、ぶれの程度が中位であると判定する。
【0105】
ステップS77では、ぶれの程度が小さいものと判定し、ぶれ判定を終了する。ここでは、コンティニュアスAFモードに設定され、被写体が動体である可能性が高いが、シャッタースピードが比較的短い。このため、手ぶれ及び被写体ぶれによる影響が画像に対して生じ難いものと考えられるため、ぶれの程度が小さいものと判定する。
【0106】
ここでは、上述したように、全体制御部211が、シャッタースピードと、所定の手ぶれ限界値TVh,TVh’とに基づいて、ぶれの程度を判定するため、手ぶれ量等を直接検出する装置を設けることなく、ぶれの程度を判定することができる。なお、本実施形態では、手ぶれ量を検出することができる手ぶれ補正機構を有しているが、この手ぶれ補正機構を設けることなく、図10に示す動作フローのうち、ステップS75を除いたような動作フローによって、ぶれ判定を行うこともできる。
【0107】
更に、ここでは、手ぶれ補正動作の有無によって、シャッタースピードに対する手ぶれ限界値、即ち、ぶれ判定の所定の閾値を切り替えるため、ぶれ判定の結果の精度や信頼性を高めることができる。
【0108】
図9に戻って、説明を続ける。
【0109】
図10に示す動作フローの如く、ステップS63においてぶれ判定を行った後に、ステップS64に進む。
【0110】
ステップS64では、ステップS63におけるぶれ判定の結果に基づいて、ぶれの程度が大きいか否かを判別する。ここでは、ステップS63において、ぶれの程度が大きいものと判定されなかった場合は、ステップS65に進み、ぶれの程度が大きいものと判定された場合は、ステップS66に進む。
【0111】
ステップS65では、ステップS63におけるぶれ判定の結果に基づいて、ぶれの程度が中位であるか否かを判別する。ここでは、ステップS63において、ぶれの程度が中位であるものと判定された場合は、ステップS67に進み、ぶれの程度が中位であるものと判定されなかった場合は、ステップS68に進む。
【0112】
ステップS66では、エッジ強調処理Cを行い、ステップS9に進み、ステップS67では、エッジ強調処理Bを行い、ステップS9に進み、ステップS68では、エッジ強調処理ABを行い、ステップS9に進む。
【0113】
図11は、エッジ強調処理A,AB,B,Cの特性、即ち内容を示す図であり、併せて、被写体の状況とぶれの程度との関係も示している。図11では、上から順に、各エッジ強調処理に対する、考えられる被写体の状況(被写体状況)と判定されたぶれの程度、HPF40の特性、及びゲイン調整部42における強調レベルについて示している。
【0114】
エッジ強調処理Aは、上述したように、ワンショットAFモードが設定されている場合に行われる処理である。この処理が行われる場合は、被写体は静止しているものと考えられるため、HPF40では、Gデータの高周波成分を抽出する通常の処理が行われ、ゲイン調整部42では、Gデータに対して比較的強くない通常程度の増幅(レベル調整)が行われる。
【0115】
エッジ強調処理Bは、コンティニュアスAFモードが設定され、ぶれの程度が中位であると判定された場合に行われる処理である。この処理が行われる場合は、ぶれの程度がある程度大きなことに対応させて、HPF40では、Gデータの高周波成分を抽出する通常の処理が行われ、ゲイン調整部42では、Gデータに対して比較的強めの増幅が行われる。
【0116】
エッジ強調処理ABは、コンティニュアスAFモードが設定され、ぶれの程度が小さいと判定された場合に行われる処理である。この処理が行われる場合は、ぶれの程度が比較的小さいことに対応させて、HPF40では、Gデータの高周波成分を抽出する通常の処理が行われ、ゲイン調整部42では、Gデータに対して若干強めの増幅が行われる。このゲイン調整部42でのレベル調整の程度は、エッジ強調処理Aでのレベル調整の程度とエッジ強調処理Bでのレベル調整の程度との中間的なものとなっている。
【0117】
つまり、エッジ強調処理B,ABに着目すると、コンティニュアスAFモードが設定された場合、ぶれの程度がより小さいものと判定されたときには、エッジ強調処理の程度をより弱めるようにエッジ強調処理の内容を変更する。これは、ぶれの程度が小さければ、画像中のエッジ付近のぶれやぼけが弱まるために、過度にエッジ強調処理を行わないように、エッジ強調処理の程度をより弱める。
【0118】
エッジ強調処理Cは、コンティニュアスAFモードが設定され、ぶれの程度が大きいと判定された場合に行われる処理である。ぶれの程度が大きい場合は、画像データ中に高周波成分がほとんど存在しないために、高周波成分のみを強調してもあまり意味をなさないことから、HPF40では、Gデータの高周波成分ではなく、若干低めの周波数成分を主に対象とする抽出処理が行われる。
【0119】
更に、ぶれが大きい場合は、画像中の被写体について、複数のエッジが交錯したり近接したりするような状況となる。よって、このような状況で、いたずらに強めのエッジ強調処理を行うと、交錯・近接するエッジが相互に影響し合って、エッジ強調処理前の画像と大きくかけ離れた不自然な画像となる。そこで、エッジ強調処理Cでは、ゲイン調整部42で、Gデータに対して比較的弱めの増幅が行われる。
【0120】
このように、ここでは、全体制御部211が、デジタルカメラ1において生じる手ぶれや被写体ぶれの程度を判定する手段として機能する。そして、エッジ強調選択部を含むエッジ強調制御部210が、全体制御部211によるぶれ判定結果に基づいて、コンティニュアスAFモードにおけるエッジ強調処理の対象周波数帯域や程度の強弱といった処理内容を変更する手段として機能する。その結果、手ぶれに応じた画像処理を行うことができ、所望の適正な画像を取得することができる確率を高くすることができる。
【0121】
また、特に、全体制御部211によって手ぶれの程度が所定の程度よりも小さいと判定された場合より、所定の程度よりも大きいと判定された場合の方が、コンティニュアスAFモードにおける画像の高周波成分に関するエッジ強調処理の程度を相対的に弱くなるように、エッジ強調制御部210が処理内容を変更する。その結果、非常に手ぶれが大きな場合に、不自然な画像が生成されることを抑制し、適正な画像が得られるように画像処理を行うことができる。
【0122】
即ち、被写体ぶれや手ぶれを判定し、その判定結果を、エッジ強調処理の内容に反映させることで、単に、AFモードの設定状況だけに対応させてエッジ強調処理の内容を変更するよりも、より適正なエッジ強調処理による画像処理を行うことができる。
【0123】
<手ぶれ補正動作の補正特性>
動いている被写体を追う動作(例えば、パンニングやティルティング)を入れながら撮影する場合と、静止している被写体を撮影する場合とで、手ぶれの傾向は異なる。一般に、手ぶれ(振動)の周波数は比較的高い領域のものである一方、ユーザーが意図した被写体を追う動作による手ぶれ(振動)の周波数は比較的低い領域のものとなる傾向がある。
【0124】
そして、もしも、ユーザーが意図した被写体を追う動作による手ぶれを補正するとすれば、ユーザーが意図した動作に反して手ぶれ補正が行われてしまい、所望の画像を得ることができない。よって、ユーザーがパンニング等の追い写しを行っている際には、手ぶれの低周波領域を補正しないよう高周波成分に補正の重点をおいた処理とすれば、より適切な手ぶれ補正を行うことができる。
【0125】
そこで、ここでは、動体を撮影する可能性が高いコンティニュアスAFモードに設定されている場合と、静止している被写体を撮影する可能性が高いワンショットAFモードに設定されている場合とで、手ぶれ補正動作の補正特性を変更する。
【0126】
まず、手ぶれ補正動作の補正特性の変更について説明する。
【0127】
図12は、手ぶれ補正の補正特性について説明するための図である。図12では、S1状態、即ち撮影準備状態における補正特性を示す曲線CS1、ワンショットAFモードに設定された場合の本撮影時における補正特性を示す曲線CS2、及びコンティニュアスAFモードに設定された場合の本撮影時における補正特性を示す曲線CCAを示している。
【0128】
また、図12では、横軸が手ぶれ(振動)の周波数、縦軸が補正の割合RAを示している。ここで言う補正の割合RA[%]とは、「ぶれ補正がない場合のぶれ量」に対する「ぶれ補正した場合のぶれ量」の割合であり、下式(1)で示され、全くぶれ補正をしなかった場合には、割合RA=100%となり、全てのぶれを補正した場合には、割合RA=0%となる。
【0129】
割合RA[%]=(ぶれ補正した場合のぶれ量)/(ぶれ補正がない場合のぶれ量)×100 ・・・(1)。
【0130】
一般的に、筋肉が緊張すること等により生じる所謂手ぶれの周波数は主に約10Hz付近の高周波領域にあたり、パンニング等の被写体を追う動作により生じる手ぶれの周波数は主に低周波領域にあたる。
【0131】
そこで、図12に示すように、S1状態においては、一般的な手ぶれ補正動作と同様に、フレーミングのし易さを優先させるために、高周波成分(10Hz付近)に補正の重点を置き、低周波成分の補正は比較的軽めに行う。これは、例えば、LCD10等に表示されるライブビュー画像が、ユーザーの意図した撮影方向の移動に対して、若干遅れて追従するような状況になるのを防ぐためである。
【0132】
また、ワンショットAFモード設定時のS2状態においては、手ぶれによる影響を幅広く補正するために、10Hz〜1Hz付近の広い周波数成分に補正の重点を置く。
【0133】
一方、コンティニュアスAFモード設定時のS2状態においては、動体を撮影し、パンニング等の追い写しを行っている可能性が高い。そのため、ユーザーが意図した被写体を追う動作に起因する手ぶれを補正しないように、S1状態における補正特性に近づけた補正特性とする。つまり、パンニング等に起因する低周波成分の手ぶれを極力補正しないように、高周波成分に重点を置いた補正特性とする。
【0134】
ただ、ここで、S1状態と比較して、コンティニュアスAFモード設定時のS2状態では、若干、1Hz付近の低周波成分まで幅広く重点を置いた補正となっている。このような補正特性とするのは、コンティニュアスAFモードに設定されている場合に、すべての被写体が動体とは限らず、また、手ぶれによる影響を幅広く補正して、綺麗な画像を得るといった観点より、好ましいと考えられるからである。
【0135】
<手ぶれ補正動作の機能構成>
図13は、手ぶれ補正の回路構成を示すブロック図である。上述したように、手ぶれ補正機構は、ジャイロ等を含む手ぶれ検出部410と、CCD303を移動させるアクチュエータ等を含む手ぶれ補正部430と、手ぶれ補正の補正特性の切替え及び手ぶれ補正部430の駆動等を制御する手ぶれ補正制御部420とを備えて構成される。更に、手ぶれ補正制御部420が、全体制御部211と協働して、手ぶれ補正動作を実現する。
【0136】
以下、図13に従って、手ぶれ補正の回路構成について説明する。
【0137】
手ぶれ検出部410は、ジャイロ411、及びジャイロ信号処理回路412とを備えて構成される。
【0138】
ジャイロ411は、デジタルカメラ1Aの手ぶれによる揺れ(振動)を検出するセンサであり、2つの角速度センサ(第1角速度センサ及び第2角速度センサ)を備えている。そして、ジャイロ411では、第1角速度センサにて水平方向の軸を中心とした回転振動(ピッチング)Piの角速度が検出され、第2角速度センサにて垂直方向の軸を中心とした回転振動(ヨーイング)Yaの角速度を検出する。そして、ジャイロ411は、検出した角速度を示す手ぶれ信号をジャイロ信号処理回路412に出力する。
【0139】
ジャイロ信号処理回路412は、手ぶれ信号に対してフィルタリング処理や増幅処理を施し、手ぶれ補正制御部420に出力する。
【0140】
手ぶれ補正部430は、主に、補正駆動メカニズム431、位置検出部432、位置検出処理回路433、ドライバIC434、及びアクチュエータ435を備えて構成される。
【0141】
補正駆動メカニズム431は、CCD303を水平及び垂直方向に移動させる相対的移動手段として機能するものであり、CCD303が、補正駆動メカニズム431に固設される。
【0142】
位置検出部432は、補正駆動メカニズム431、即ちCCD303の現在位置を検出して、位置情報を示す信号(位置信号)を位置検出処理回路433を介して手ぶれ補正制御部420に出力する。
【0143】
位置検出部432は、例えば、発光ダイオード等で構成される2つの投光部と、フォトダイオード等で構成される2つの受光部とを備えている。2つの投光部はCCD303の裏面側に固設される一方、2つの受光部は2つの投光部にそれぞれ対向するようにデジタルカメラ1Aのハウジングに固設される。2つの投光部から投光された光は、対応する受光部にて受光可能となっており、この受光部にて受光する光の位置の変化から、CCD303の位置を、水平及び垂直方向の2軸についての座標位置として求めることができる。なお、位置検出処理回路433は、位置信号に対してフィルタリング処理や増幅処理を施す。
【0144】
アクチュエータ435は、ドライバIC434からの駆動パルスを圧電素子に印加して、駆動パルスに応じた量及び向きにCCD303を補正駆動メカニズム431ごと水平(ヨー)及び垂直(ピッチ)方向に駆動させる。
【0145】
手ぶれ補正制御部420は、主に、A/D変換器421と補正特性切替え部422とを含む補正位置演算部425、A/D変換器423、及び駆動制御部424を備えて構成される。
【0146】
A/D変換器421は、ジャイロ信号処理回路412からのアナログ信号の手ぶれ信号をデジタル信号に変換し、補正特性切り替え部422に出力する。
【0147】
補正特性切り替え部422は、全体制御部211との交信によってAFモードの設定状況、S1状態、S2状態、及び手ぶれ補正動作の有無に関する情報を取得して、図12に示すように、状況に応じた補正特性を設定する。つまり、補正特性切り替え部422が、ワンショットAFモードが設定された場合と、コンティニュアスAFモードが設定された場合とで、手ぶれ補正動作の内容を変更する手段として機能する。
【0148】
そして、補正位置演算部425は、手ぶれ信号、及び補正特性に基づいて、手ぶれによる被写体像のぶれ量及びその向きに対応するCCD303の移動すべき位置(移動先位置)を算出する。
【0149】
また、A/D変換器423は、位置検出処理回路433からのアナログ信号の位置信号をデジタル信号に変換し、補正位置演算部425に出力する。
【0150】
そして、補正位置演算部425は、位置信号、即ちCCD303の現在位置と、算出した移動先位置(目標位置)とを比較して、CCD303の移動すべき移動量及び向きを導出する。更に、導出した移動量及び向きに応じた駆動パルスを駆動制御部424で生成し、この駆動パルスをドライバIC434を介して、アクチュエータ435に送信することにより、CCD303を移動先位置に移動させる。
【0151】
そして、デジタルカメラ1Aにおいて生じる手ぶれに応じた移動先位置を算出し、CCD303の現在位置と移動先位置とを比較してCCD303の位置を移動先位置に順次移動させるクローズドループ制御が行われることにより、画像中の被写体像のぶれが補正されることとなる。
【0152】
なお、図13では、駆動制御部424、ドライバIC434を各1つずつしか示していないが、実際には、ヨー、及びピッチ方向の2系統が必要である。
【0153】
このように、デジタルカメラ1Aでは、AFモードの設定状況に応じて補正特性を切替え、サーボ制御にて手ぶれ補正動作を行う。
【0154】
図14は、手ぶれ補正、及び補正特性切替の動作に係るデータ処理の流れに着目した機能構成を例示するブロック図である。ここでは、説明を簡略化するために、ピッチ方向の1系統に関する手ぶれ補正に関するもののみを示しているが、実施には、ヨー方向に対しても同様な機能構成となる。
【0155】
手ぶれ補正動作は、上述したように、ジャイロ411で検出した手ぶれ(振動)を打ち消すようにアクチュエータ435でCCD303を移動させることによって行われる。また、CCD303の位置制御については、CCD303の移動位置を位置検出部432で検出し、これをフィードバックすることで行われる。
【0156】
具体的には、ジャイロ411で検出されたアナログ信号の手ぶれ信号は、ジャイロ信号処理回路412において、バンドパスフィルターによるフィルタリング、及び増幅処理がなされ、A/D変換器421でデジタルの手ぶれ信号に変換される。そして、補正特性切り替え部422によって、補正特性の切替・設定が行われ、HPF部426において、切替・設定された補正特性に応じたフィルタリング処理を行う。このフィルタリング処理では、図12で示したように、S1状態、S2状態、及びAFモードの設定状況に対応した手ぶれ補正の補正特性に応じた周波数成分の手ぶれ信号(角速度信号)が抽出される。
【0157】
そして、位相補償部427で、HPF部426におけるフィルタリング処理によって、手ぶれ信号に生じた位相のずれを補償し、ゲイン調整部428で、信号の増幅処理が行われ、処理された信号を積分部429で積分して角度信号(移動先位置の信号)を生成する。この際、ゲイン調整部428では、全体制御部211からの焦点距離情報と、ジャイロ411や位置検出部432の感度等の情報に基づき、積分部429での積分値を適正な補正位置信号(補正された角度信号)に変換するための処理を行う。
【0158】
上述したように、CCD303の位置は、位置検出部432によって検出され、位置検出処理回路433で信号処理が施された後に、A/D変換器423によってデジタル信号に変換される。
【0159】
そして、ジャイロ411からの手ぶれ信号に対してHPF部426〜積分部429で処理が施されて生成された補正位置信号と位置検出部432からの位置信号とを減算部480で減算し、その差に基づきPID部440、駆動制御部424、及びドライバIC434によってアクチュエータ435を制御してCCD303を移動させる。即ち、PID部440、駆動制御部424、ドライバIC434、アクチュエータ435、CCD303、位置検出部432、位置検出処理回路433、A/D変換器423、及び減算部480によって、CCD303の位置制御を行うためのフィードバックループが構成されることとなる。
【0160】
なお、PID部440は、減算部480からの出力信号に対して比例制御(P)、積分制御(I)および微分制御(D)を行い、CCD303を含めたアクチュエータ435の遅れ伝達特性を補償する。
【0161】
図15は、本撮影における手ぶれ補正動作の補正特性の切替動作フローを示すフローチャートである。本動作フローは全体制御部211と補正特性切り替え部422とが協働することによって実現される。なお、ここでは、本撮影が開始される直前におけるS1状態からの動作フローを示している。
【0162】
シャッターボタン9がユーザーによって全押しされて、S2状態となると(ステップS91)、補正特性の切替を実施すべく、ステップS92に進む。
【0163】
ステップS92では、現在のAFモードがコンティニュアスAFモードであるか否かを判別する。ここでは、現在のAFモードがコンティニュアスAFモードであると判別された場合は、ステップS93に進み、コンティニュアスAFモードでないと判別された場合は、ステップS94に進む。
【0164】
ステップS93では、図12の曲線CCAに示すような補正特性が得られるように、手ぶれ信号に対する高周波重視の補正特性に設定され、ステップS95に進む。
【0165】
ステップS94では、図12の曲線CS2に示すような補正特性が得られるように、通常のS2状態における補正特性に設定され、ステップS95に進む。
【0166】
ステップS95では、ステップS93又はステップS94で設定された補正特性に基づいて、本撮影時(CCD303の露光時)における手ぶれ補正動作が開始され、手ぶれ補正動作の補正特性の切替動作フローが終了される。
【0167】
以上のように、第2実施形態に係るデジタルカメラ1Aでは、AFモードの設定、及びぶれ判定結果に基づいて、画像に対するエッジ強調処理の内容を変更する。更に、ワンショットAFモードが設定されている場合と、コンティニュアスAFモードが設定されている場合とで、手ぶれ補正動作の内容を変更する。具体的には、コンティニュアスAFモードが設定されている場合の方が、ワンショットAFモードが設定されている場合よりも、相対的に、ぶれ信号の高周波成分を重視した手ぶれ補正動作を行う。その結果、AF制御(ここでは、AFモード)の設定状況に応じて、画像処理と手ぶれ補正処理の両方を考慮した上での処理を行うため、手ぶれ補正処理と画像処理との相乗効果で、更に所望の適正な画像を取得することができる。
【0168】
<3.変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0169】
◎例えば、上述した第2実施形態では、図9のステップS63において、図10に示すように、シャッタースピードに基づいてぶれの程度を判定したが、これに限られるものではなく、例えば、手ぶれ補正機構によって検出される手ぶれの量に基づいてぶれの程度を判定しても良い。
【0170】
図16は、手ぶれ検出部410によって検出される手ぶれの量に基づいたぶれ判定の動作フローを示すフローチャートである。なお、図16に示す動作フローは、全体制御部211によって制御される。
【0171】
まず、ぶれ判定が開始するとステップS101に進む。
【0172】
ステップS101では、手ぶれ状態を検出し、ステップS102に進む。ここでは、全体制御部211が、手ぶれ補正機構によって検出された手ぶれ量を検出する。
【0173】
ステップS102では、ステップS101で検出された手ぶれ量が所定の閾値以下であるか否か判別する。ここでは、手ぶれ量が所定の閾値以下でなければステップS103に進み、所定の閾値以下であればステップS104に進む。なお、ここで言う所定の閾値は、デジタルカメラ1Aに固有の値であっても良いし、ユーザーが操作部30を種々操作することで変更できる値であっても良い。
【0174】
ステップS103では、図10のステップS73と同様に、手ぶれ補正機構による手ぶれ補正動作が能動状態であるか否かを判別する。ここでは、手ぶれ補正動作が能動状態である場合は、ステップS105に進み、手ぶれ補正動作が非能動状態である場合は、ステップS106に進む。
【0175】
ステップS104では、ステップS102において手ぶれ量が所定の閾値以下であると判別されたため、ぶれ(手ぶれ及び被写体ぶれ)の量、即ち、ぶれの程度が小さなものと判定し、ぶれ判定を終了する。なお、ここでは、被写体ぶれよりも手ぶれの方が画像のぼけに対して影響が大きいと仮定して、手ぶれ量が、ぶれの程度を律則しているものしている。
【0176】
ステップS105では、ぶれの程度が中位であると判定し、ぶれ判定を終了する。ここでは、ステップS102において手ぶれ量が所定の閾値以下ではないと判別されたが、手ぶれ補正動作によって、画像における手ぶれの影響が小さくなるため、ぶれの程度が中位であると判定する。
【0177】
ステップS106では、ぶれの程度が大きいものと判定し、ぶれ判定を終了する。ここでは、ステップS102において手ぶれ量が所定の閾値以下ではないと判別され、手ぶれ補正動作も行わないため、ぶれの程度が大きいものと判定する。
【0178】
このように、シャッタースピードに基づいて、手ぶれ等の程度の大小を間接的に予測するのではなく、検出された手ぶれ量から直接的にぶれの程度を判定することで、ぶれ判定の精度をより高めることができる。その結果、手ぶれに応じた画像処理を適切に行うことができ、適正な画像を取得することができる確率を更に高めることができる。
【0179】
◎また、上述した第2実施形態では、補正特性切り替え部422によって、補正特性の切替・設定が行われ、HPF部426において、切替・設定された補正特性に応じたフィルタリング処理を行うことで、手ぶれ補正動作における補正特性の変更を行ったが、これに限られるものではなく、例えば、HPF部426では、一様な処理を行い、積分部429において、S1及びS2状態と、AFモードの設定状況とに応じた補正特性に対応させた積分を行うようにすることで、手ぶれ補正動作における補正特性の変更を行うようにしても良い。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明によれば、AFモードの設定状況に基づいて、画像に対するエッジ強調処理の内容を変更するため、AF制御の設定状況に応じて、適正な画像が得られるような画像処理を行うことができる。
【0181】
特に、請求項2に記載の発明によれば、被写体に対する合焦状態が達成されるとレンズ駆動を停止するAFモードが設定されている場合よりも、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行うAFモードが設定されている場合の方が、画像に対するエッジ強調処理の程度を相対的に強くするため、被写体の動きが大きいと考えられる状況に対応して適正な画像処理を行うことができる。
【0182】
また、請求項3に記載の発明によれば、撮像装置における手ぶれの程度の判定結果に基づいて、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行うAFモードにおけるエッジ強調処理の内容を変更するため、手ぶれに応じた画像処理を行うことができ、適正な画像を取得することができる確率を高くすることができる。
【0183】
また、請求項4に記載の発明によれば、撮像装置における手ぶれが所定の程度よりも大きいと判定された場合は、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行うAFモードにおいて、画像の高周波成分に関するエッジ強調処理の程度を、撮像処理における手ぶれが所定の程度よりも小さいと判定された場合よりも相対的に弱くすることにより、非常に手ぶれが大きな場合に、不自然な画像が生成されることを抑制し、適正な画像が得られるように画像処理を行うことができる。
【0184】
また、請求項5に記載の発明によれば、AFモードの設定に基づいて、画像に対するエッジ強調処理の内容を変更するとともに、被写体に対する合焦状態が達成されるとレンズ駆動を停止するAFモードが設定されている場合と、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行うAFモードが設定されている場合とで、手ぶれ補正の内容を変更するため、AF制御の設定状況に応じて、手ぶれ補正処理と画像処理との相乗効果で、更に適正な画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るデジタルカメラの要部構成を示す上方断面図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタルカメラの要部構成を示す側方断面図である。
【図3】第1実施形態に係るデジタルカメラの要部構成を示す背面図である。
【図4】第1実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示すブロック図である。
【図5】エッジ強調処理の手法を説明するための図である。
【図6】エッジ強調処理の処理特性を示す図である。
【図7】撮影時における動作フローを示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示すブロック図である。
【図9】本撮影時における動作フローを示すフローチャートである。
【図10】ぶれ判定の動作フローを示すフローチャートである。
【図11】エッジ強調処理の内容を示す図である。
【図12】手ぶれ補正の補正特性について説明するための図である。
【図13】手ぶれ補正の回路構成を示すブロック図である。
【図14】手ぶれ補正、及び補正特性切替の動作に係る機能構成を例示するブロック図である。
【図15】手ぶれ補正動作の補正特性の切替動作フローを示すフローチャートである。
【図16】変形例に係るぶれ判定の動作フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,1A 撮像装置(デジタルカメラ)
36 AFモード切替ボタン
210,210A エッジ強調制御部(画像処理手段、処理変更手段)
211 全体制御部(設定手段、判定手段)
303 CCD(撮像手段)
410 手ぶれ検出部(手ぶれ補正手段)
420 手ぶれ補正制御部(手ぶれ補正手段)
422 補正特性切り替え部(補正変更手段)
430 手ぶれ補正部(手ぶれ補正手段)

Claims (5)

  1. 撮像装置であって、
    被写体に係る光学像に基づいて画像を取得する撮像手段と、
    前記画像に対してエッジ強調処理を行う画像処理手段と、
    被写体に対する合焦状態が達成されるとレンズ駆動を停止する第1のAFモードと、被写体に対する合焦状態を保持し続けるようにレンズ駆動を行う第2のAFモードとを含む複数のAFモードのうちのいずれか一つのAFモードを選択的に設定する設定手段と、
    前記設定手段によるAFモードの設定状況に基づいて、前記エッジ強調処理の内容を変更する処理変更手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記処理変更手段が、
    前記設定手段によって、前記第1のAFモードが設定されている場合よりも、前記第2のAFモードが設定されている場合の方が、前記エッジ強調処理の程度が相対的に強くなるようにすることを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記撮像装置において生じる手ぶれの程度を判定する判定手段、
    を更に備え、
    前記処理変更手段が、
    前記判定手段による判定結果に基づいて、前記第2のAFモードにおける前記エッジ強調処理の内容を変更することを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項3に記載の撮像装置であって、
    前記処理変更手段が、
    前記判定手段によって前記手ぶれの程度が所定の程度よりも小さいと判定された場合より、前記所定の程度よりも大きいと判定された場合の方が、前記第2のAFモードにおける前記画像の高周波成分に関するエッジ強調処理の程度を、相対的に弱くなるようにすることを特徴とする撮像装置。
  5. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記撮像装置において生じる手ぶれを補正する手ぶれ補正手段と、
    前記設定手段により、前記第1のAFモードが設定された場合と、前記第2のAFモードが設定された場合とで、前記手ぶれ補正手段による手ぶれ補正の内容を変更する補正変更手段と、
    を更に備えることを特徴とする撮像装置。
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