JP2004328324A - データ伝送装置及びデータ伝送システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】符号化されたデータ部分を複数個含んでいるデータを受信する機能を有する通信手段1と、通信手段が受信したデータの各データ部分について誤りを検出する誤り検出手段2と、通信手段が受信したデータに、他のデータ部分の復号に使用される重要なデータ部分が含まれるか否かを判定する判定手段3と、前記誤り検出手段により誤りがあることが検出されたデータ部分が判定手段により前記重要なデータ部分であると判定された場合、通信手段を介してデータの再送を要求する再送要求手段4とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデータ伝送装置及びデータ伝送システム、特に、MPEG規格に従うデータを、無線通信ネットワークを介して伝送するのに好適なデータ伝送装置及びデータ伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
MPEGデータフォーマットの1つであるMPEG−TS(Transport Stream)によれば、番組を構成する複数のストリーム(ビデオストリーム、オーディオストリーム、データストリーム等)を多重化し、1つのTS(Transport Stream)として伝送することが可能であり、さらには複数の番組を多重化することも可能である。各ストリームはパケット列からなり、各ストリームには異なるPID(パケットID)が付与されている。多数に及ぶPIDと内容との関係を記述するため、TSには、番組を構成する複数のストリームのPIDを示すPMT(Program Map Table)やPAT(Program Association Table)等のテーブル情報が含まれている。受信側でこれらのテーブル情報を参照し、PIDフィルタリングを行ってパケットを抽出することにより、目的のストリームを取り出すことができる。TSに含まれる各ストリームの中、ビデオストリームについて以下に説明する。
【0003】
Video−ESと呼ばれるビデオストリームは、フレーム内符号化画像であるIピクチャ(Intra−Picture)、双方向予測符号化画像であるBピクチャ(Bidirectionally Predictive−Picture)、順方向予測符号化画像であるPピクチャ(Predictive−Picture)を含んで構成される。
【0004】
Iピクチャはフレーム間予測を行わずに、単独でエンコード及びデコードされるピクチャである。Pピクチャは前方のIピクチャ及びPピクチャからの予測に基づいてエンコードされ、デコードするには前記のIピクチャ及びPピクチャが必要となる。Bピクチャは前方及び後方のIピクチャ及びPピクチャからの双方向からの予測に基づいてエンコードされ、デコードするには前記のIピクチャ及びPピクチャの両方が必要となる。
【0005】
Video−ESは複数のシーケンスからなり、各シーケンスは1つのIピクチャと複数のBピクチャとPピクチャからなる画像グループを複数含む。各シーケンスの先頭には、当該シーケンスに含まれる画像をデコードするために使用される各種パラメータ(画像サイズ、データレート等)を保持するシーケンスヘッダが位置し、また、各画像グループの先頭には画像グループ単位でのランダムアクセス、編集等に必要なパラメータを格納するGOPヘッダが位置する。更に、各ピクチャの前には画像符号化タイプ等の当該ピクチャに共通のパラメータを格納するピクチャヘッダが位置する。
【0006】
上記構造のMPEG−TSは、例えば、標準規格IEEE802.11aに従う無線LAN(Local Area Network)を介して伝送することができる。IEEE802.11a規格では、実際に伝送されるデータは、物理層であるPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)フレームのPSDU(PLCP Service Data Unit)フィールドに含まれるMAC(Media Access Control)フレーム中のフィールドFrame Bodyに格納される。
【0007】
Frame Bodyは、最大フィールド長が2312オクテットの可変長フィールドであり、伝送するデータに応じてMACフレームおよびPLCPフレームのデータ長は変化する。TSパケット長は188バイト(オクテット)であるため、Frame Bodyには、複数のTSパケットを格納することが可能である。
【0008】
またIEEE802.11a規格では、データ伝送時、MACフレームのフィールドFCSのデータを用いて誤り検出を行う。FCSフィールドは誤り検出のみに用いられる。即ち、誤りが検出された場合、フレームは再送されるのみであり、誤り訂正は行われない。
【0009】
誤りが検出されたパケットを全て再送するようにすれば、データの信頼性は確保されるが、スループットが低下し、ノイズの多い環境下で映像データを伝送する場合には動画再生時のフレームレートが低下することがある。
【0010】
そのため、誤りが検出されたパケットを全て再送するのでなく、視聴者にとって重要な画面の中心付近を表示するデータを含むパケットに誤りが発生したときにのみ再送し、画面の周辺を表示する重要度の低いデータを含むパケットに誤りが発生しても再送を行わないようにするものもある(例えば特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−331839号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
受信したMPEG−TSデータをデコードして映像を再生する際、受信データに誤りがあっても、その再生画像に及ぼす影響は誤りの発生した位置やデータ欠落が発生した位置のデータの内容によって大きく異なる。例えば、映像そのものを構成するピクチャデータ(画素データ)の一部に誤りが発生した場合はブロックノイズが生じるだけで済む場合が多く、比較的品質の低下は小さいが、受信データ中の重要な部分、例えば、ビデオストリーム中のヘッダ情報を含むシーケンスヘッダやGOPヘッダに誤りが発生すると、そのヘッダに格納されるパラメータを用いてデコードされる一連のピクチャ群の再生が不可能となる場合が多く、画質が大きく低下する。また、画像グループ中のIピクチャに誤りが生じた場合、Iピクチャだけでなく、そのIピクチャを用いてデコードされるBピクチャ及びPピクチャも再生品質が低下してしまう。この問題は上記特許文献1に記載の構成によっても解消されない。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、受信データの重要な部分に誤りが発生した場合にも映像を高品質に再生することの可能な高スループットのデータ伝送装置及びデータ伝送システムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明のデータ伝送装置は、
符号化されたデータ部分を複数個含んでいるデータを受信する機能を有する通信手段と、
前記通信手段が受信したデータの各データ部分について誤りを検出する誤り検出手段と、
前記通信手段が受信したデータに、他のデータ部分の復号に使用される重要なデータ部分が含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記誤り検出手段により誤りがあることが検出されたデータ部分が前記判定手段により前記重要なデータ部分であると判定された場合、前記通信手段を介して前記データの再送を要求する再送要求手段と
を備える。
【0015】
上記目的を達成すべく、本発明の他のデータ伝送装置は、
符号化され、誤り訂正符号が付されたデータ部分を複数個含んでいるデータを受信する機能を有する通信手段と、
前記通信手段が受信したデータの各データ部分について誤り訂正処理を施し、該誤り訂正処理後に誤りを検出する誤り訂正手段と、
前記受信手段が受信したデータに、他のデータ部分の復号に使用される重要なデータ部分が含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記誤り訂正手段により誤りがあることが検出されたデータ部分が前記判定手段により重要なデータ部分であると判定された場合、前記通信手段を介して前記データの再送を要求する再送要求手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のデータ伝送システムは、上記構成のデータ伝送装置とネットワークを介して接続された他のデータ伝送装置とから構成される。ネットワークは例えば無線ネットワークであり、該システムで伝送されるデータは例えばMPEG−TSである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るデータ伝送装置6が無線ネットワーク8を介して相手側データ伝送装置7との間でデータを送受信する様子を示している。データ伝送装置6は、無線通信部1、誤り検出部2、ヘッダ検出部3、再送要求部4、及びMPEG−TS出力部5を含む。
【0018】
以降の説明では、データ伝送装置6とデータ伝送装置7は、無線通信規格IEEE802.11aに準拠してデータの送受信を行うものとするが、本発明は特定の通信方式に限定されるものではない。
【0019】
IEEE802.11a規格に則り、データ伝送装置7からMPEG−TSデータをデータ伝送装置6に伝送する手順を図2の通信シーケンスを参照して以下に説明する。
【0020】
先ず、データ伝送装置7はデータ伝送装置6に対し、送信したいデータがあることを伝えるためにRTS(Request to Send)フレームを送信する。データ伝送装置6はこのRTSフレームを受信すると、データ伝送装置7に対し送信を許可することを伝えるためにCTS(Clear to Send)フレームを送信する。データ伝送装置7はこのCTSフレームを受信するとデータフレームDATAを送信する。データ伝送装置6は、DATAフレームを正常に受信できたときには、そのことを示すACK(Acknowledge)フレームをデータ伝送装置7に送信する。
【0021】
DATAフレームはMACフレームの1種であり、図3(a)に示すPLCPフレームのPSDUフィールド63に格納される。送信データは図3(b)に示すDATAフレームのFrame Bodyフィールド64に格納される。
【0022】
DATAフレームには、誤り検出用のデータが格納されているFCS(Frame Check Sequence)フィールド66が存在し、このFCSフィールドを用いることにより誤り検出を行うことができる。
【0023】
データ伝送装置7は、DATAフレームのFrame Bodyフィールド64にMPEG−TSが格納されたデータを、無線通信ネットワーク8を経由して、データ伝送装置6へ送信する。
【0024】
データ伝送装置6の無線通信部1は、データ伝送装置7から送信されたDATAフレームから、そのFrame Bodyフィールド64に格納されているMPEG−TSを抽出し、誤り検出部2へ送る。ただし、無線通信部1が受信したDATAフレームには、無線通信ネットワーク8におけるノイズやフェージングにより生じた誤りが存在していることがある。したがって、DATAフレームから抽出されたMPEG−TS内に誤りが存在している場合がある。
【0025】
誤り検出部2は、無線通信部1から送られたMPEG−TSに対し、誤り検出処理を行う。誤り検出部2は、誤りが検出されなかった場合には、このMPEG−TSをそのままMPEG−TS出力部5へ送る。
【0026】
MPEG−TS内に誤りが存在する場合、誤り検出部2は、誤りを含むMPEG−TSパケットを、そのトランスポートエラーインジケータに“1”を書き込んでからヘッダ検出部3に送る。図4にTSパケットの構造を示す。同図に示すようにトランスポートエラーインジケータは、MPEG−TSパケットの先頭にあるシンクバイトの直後に位置するフィールドである。
【0027】
ヘッダ検出部3は、誤り検出部2から送られたパケットに、シーケンスヘッダ、GOPヘッダ、ピクチャヘッダなどのヘッダ情報が含まれているか否かを調べる。MPEG−TSは、映像ストリーム、音声ストリーム、各種テーブルなどで構成されているが、ヘッダ情報は、映像信号のエレメンタリーストリームであるVIDEO−ESに含まれている。従って、ヘッダ検出部3は、MPEG−TSに含まれているPATテーブルおよびPMTテーブルから、VIDEO−ESのPID値を獲得し、各MPEG−TSパケットに対してPIDフィルタリングを行い、このPID値を有するパケットを、VIDEO−ESを構成するMPEG−TSパケットとして抽出する。
【0028】
シーケンスヘッダはシーケンスヘッダコードから始まるデータである。シーケンスヘッダコードは32ビットのデータであり、その値は0x000001B3である(0xは16進表記であることを表す)。GOPヘッダはグループスタートコードから始まるデータである。グループスタートコードは32ビットのデータであり、その値は0x000001B8である。ピクチャヘッダはピクチャスタートコードから始まるデータである。ピクチャスタートコードは32ビットのデータであり、その値は0x00000100である。
【0029】
ヘッダ検出部3は、シーケンスヘッダ、GOPヘッダ、およびピクチャヘッダの中、少なくとも1種類以上のヘッダ情報を検出する機能を持つ。以降の説明では、ヘッダ検出部3はシーケンスヘッダのみを検出する機能を持つものとして説明するが、それに限定されるものではない。
【0030】
ヘッダ検出部3は、VIDEO−ESを構成するMPEG−TSパケット内からシーケンスヘッダコードを検索し、検索結果と共に該MPEG−TSパケットを再送要求部4へ送る。
【0031】
再送要求部4は、ヘッダ検出部3からMPEG−TSパケットとこのMPEG−TSパケットにシーケンスヘッダが含まれているか否かを示す情報とを受け取ると、該MPEG−TSパケットのトランスポートエラーインジケータの値を確認し、該MPEG−TSパケットに誤りがあるか否かを判断する。
【0032】
再送要求部4は、上記情報がMPEG−TSパケットにシーケンスヘッダが含まれていないことを示す場合には、受け取ったMPEG−TSをMPEG−TS出力部5へ送る。一方、上記情報がMPEG−TSパケットにシーケンスヘッダが含まれていることを示し、且つ、このMPEG−TSパケットに誤りがあると判断した場合には、無線通信部1に対し、このMPEG−TSパケットの再送をデータ伝送装置7に要求するように指示する。
【0033】
この指示を受け、無線通信部1は、データ伝送装置7に対し、誤りのあったMPEG−TSパケットの再送を要求する。無線通信部1がデータ伝送装置7に対して、再送を要求する代表的な方法としては、(1)データ伝送装置7に対し、ACKフレームを送信しない、(2)データ伝送装置7にNAK(Negative ACK)フレームを送信する、(3)所定の形式の再送要求データを含むDATAフレームをデータ伝送装置7に送信する、といったものがある。再送要求を行う方法は他にもあり、本発明はこれらの方法に限定されるものではないが、上記の3つの方法について以下に具体的に説明する。
【0034】
最初に、ACKフレームを送信しない方法について図5の通信シーケンスを参照して説明する。無線通信部1はDATAフレーム81を受信した後、再送を要求する場合にはACKフレームを送信しない。データ伝送装置7はDATAフレーム81の送信後、所定の期間内にACKフレームを受信しなかった場合には、DATAフレーム81の送信が正常に完了せず、データ伝送装置6が再送を要求していると判断し、DATAフレーム82として再送する。
【0035】
次に、NAKフレームを送信する方法について図6の通信シーケンスを参照して説明する。無線通信部1はDATAフレーム91を受信した後、再送を要求する場合には一定の時間内にNAKフレームを送信する。データ伝送装置7はDATAフレーム91の送信後、所定の期間内にNAKフレームを受信した場合には、DATAフレーム91の送信が正常に完了せず、データ伝送装置6が再送を要求していると判断し、このデータフレームをDATAフレーム92として再送する。
【0036】
次に、所定の形式の再送要求データを含むDATAフレームを送信する方法について図7の通信シーケンスを参照して説明する。無線通信部1はDATAフレーム101を受信した後、再送を要求する場合であっても一定の時間内にACKフレームを送信し、この通信シーケンスを終了させる。この後、データ伝送装置6は、データ伝送装置7に対する新たな通信シーケンスを開始する。即ち、無線通信部1は、前回の通信シーケンスで受信したDATAフレーム101の再送を要求するメッセージを、新たな通信シーケンスのDATAフレーム102に格納し、データ伝送装置7に送信する。データ伝送装置7はこの要求に応じ、新たな通信シーケンスを開始し、再送要求のあったDATAフレームをデータフレーム103として再送する。
【0037】
いずれかの方法により再送されたDATAフレームを受信した無線通信部1は、正常にDATAフレームを受信した場合と同様に、受信したDATAフレームのFrame Bodyフィールドに格納されているMPEG−TSを抽出し、誤り検出部2へ送る。以降、上に説明した動作が繰り返される。MPEG−TS出力部5は、誤り検出部2または再送要求部4から送られたMPEG−TSを外部に出力する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態は受信したパケットに誤りがある場合、それがヘッダ情報を含むものである場合に限り再送を行うようにしたので、ノイズの多い環境下でデータを伝送する場合にもスループットは低下せず、再生レートの低下が避けられる。また、ヘッダ情報を含むパケットは全て誤りなく伝送するので、同じヘッダ情報を必要とする一群のピクチャが全て再生不可となる状況が発生することを防止できる。
【0039】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係るデータ伝送装置16が無線ネットワーク18を介して相手側データ伝送装置17との間でデータを送受信する様子を示している。データ伝送装置16は、無線通信部11、誤り訂正部12、ヘッダ検出部3、再送要求部4、及びMPEG−TS出力部5を含む。図8において、図1に示した要素と同じ構成・機能を有するものには同じ参照番号を付している。
【0040】
以降の説明では、データ伝送装置16とデータ伝送装置17は、無線通信規格IEEE802.11aに準拠してデータの送受信を行うものとするが、本発明は特定の通信方式に限定されるものではない。
【0041】
IEEE802.11a規格に則り、データ伝送装置17からデータ伝送装置16に訂正符号付きのMPEG−TSデータを伝送する手順を以下に説明する。この場合の通信シーケンスは図2に示したものと同じである。
【0042】
先ず、データ伝送装置17はデータ伝送装置16に対し、送信したいデータがあることを伝えるためにRTSフレームを送信する。データ伝送装置16はこのRTSフレームを受信すると、データ伝送装置17に対し送信を許可することを伝えるためにCTSフレームを送信する。データ伝送装置17はこのCTSフレームを受信するとデータフレームDATAを送信する。データ伝送装置16は、DATAフレームを正常に受信できたときには、そのことを示すACKフレームをデータ伝送装置17に送信する。
【0043】
データ伝送装置16の無線通信部11は、データ伝送装置17から伝送されたDATAフレームから、そのFrame Bodyフィールドに格納されている誤り訂正符号付きのMPEG−TSを抽出し、誤り訂正部12へ送る。無線通信部11が受信したDATAフレームには、無線通信ネットワーク18におけるノイズやフェージングにより生じた誤りが存在していることがあり、そのためDATAフレームから抽出された誤り訂正符号付きのMPEG−TS内に誤りが存在している場合がある。
【0044】
誤り訂正部12は、無線通信部11から送られた誤り訂正符号付きのMPEG−TSに対し、誤り訂正処理を行う。一般に、送信データに有限の個数の誤り訂正用パリティビットを付加する誤り訂正符号方式では、訂正可能な誤り数は有限であり、送信データまたは該送信データに付加されているパリティビットに存在する誤りの数が多いときには、誤りを全て訂正することができず、元のデータを復元することが不可能になる場合がある。
【0045】
誤り訂正部12は、復号したMPEG−TSに誤りが残らなかった場合、つまり、MPEG−TSに存在していた誤りを全て訂正できた場合には、該MPEG−TSをMPEG−TS出力部5へ送る。一方、復号したMPEG−TSに誤りが残ってしまった場合、つまり、MPEG−TSに存在していた誤りを訂正しきれなかった場合には、誤りを含むMPEG−TSパケットを、そのトランスポートエラーインジケータに“1”を書き込んでからヘッダ検出部3に送る。図4を参照して前に説明したように、トランスポートエラーインジケータは、MPEG−TSパケットの先頭のシンクバイトの直後に位置するフィールドである。
【0046】
以降の動作は実施の形態1と同様である。簡単に説明すると、ヘッダ検出部3は、該MPEG−TSパケットからシーケンスヘッダを検索し、検索結果と共に該MPEG−TSパケットを再送要求部4へ送る。
【0047】
再送要求部4は、MPEG−TSパケットにシーケンスヘッダが含まれていない場合には、受け取ったMPEG−TSをMPEG−TS出力部5へ送る。一方、MPEG−TSパケットシーケンスヘッダが含まれ、且つこのパケットに誤りがあると判断した場合には、無線通信部11対し、このMPEG−TSパケットの再送をデータ伝送装置17に要求するように指示する。
【0048】
この指示を受け、無線通信部11は、データ伝送装置17に対し、誤りのあったMPEG−TSパケットの再送を要求する。この要求に応じ、データ伝送装置17はMPEG−TSパケットを再送する。再送手順は実施の形態1で説明したものと同様であるので説明は省略する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態は受信したパケットの誤りを訂正しきれなかた場合、それがヘッダ情報を含むものである場合に限り再送を行うようにしたので、ノイズの多い環境下でデータを伝送する場合にもスループットは低下せず、再生レートの低下が避けられる。また、ヘッダ情報を含むパケットは全て誤りなく伝送するので、同じヘッダ情報を必要とする一群のピクチャが全て再生不可となる状況が発生することを防止できる。
【0050】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係るデータ伝送装置21が無線ネットワーク18を介して相手側データ伝送装置17との間でデータを送受信する様子を示している。データ伝送装置21は、無線通信部11、誤り訂正部12、Iピクチャ検出部19、再送要求部20、及びMPEG−TS出力部5を含む。図9において、図1または図8に示した要素と同じ構成・機能を有するものには同じ参照番号を付している。
【0051】
本実施形態における通信シーケンスは図2を参照して既に説明したものと同じであり、誤り訂正処理も実施の形態2の場合と同様であるので、以下では主にIピクチャ検出部19及び再送要求部20の動作について説明する。
【0052】
Iピクチャ及びピクチャのタイプを示すピクチャヘッダは、ビデオストリームVIDEO−ESに含まれている。従ってIピクチャ検出部19はMPEG−TSに含まれるPATテーブルおよびPMTテーブルから、VIDEO−ESのPID値を獲得し、誤り訂正部12から送られる各MPEG−TSパケットに対してPIDフィルタリングを行い、このPID値を有するパケットを、VIDEO−ESを構成するMPEG−TSパケットとして抽出する。
【0053】
Iピクチャ検出部19は、抽出したVIDEO−ESを構成するMPEG−TSパケットにIピクチャが含まれるかどうかを判定するために、各ピクチャのピクチャヘッダのPCT(Picture Coding Type)フィールドを調べる。PCTは、3ビットのデータであり、その値が2進表記で001ならば、そのピクチャタイプはIピクチャであると判定することができる。
【0054】
Iピクチャ検出部19は、抽出したVIDEO−ESを構成するMPEG−TSパケットのPCT値に基づき、該MPEG−TSパケットの中にIピクチャが含まれるか否かを調べ、該MPEG−TSパケットをその中にIピクチャが含まれるか否かを示す情報と共に再送要求部20へ送る。
【0055】
再送要求部20は、MPEG−TSパケットと上記情報を受け取ると、該MPEG−TSパケットのトランスポートエラーインジケータの値を確認することにより、該MPEG−TSパケットに誤りが含まれているかどうかを調べる。
【0056】
再送要求部20は、上記情報がMPEG−TSパケットにIピクチャは含まれていないことを示す場合には、このMPEG−TSをMPEG−TS出力部5へ送る。一方、上記情報がMPEG−TSパケットにIピクチャが含まれていることを示しており、且つ、且つその中に誤りがあると判定した場合には、無線通信部11対し、このMPEG−TSパケットの再送をデータ伝送装置17に要求するように指示する。以降の動作は実施の形態1及び2と同様であるので説明は省略する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態は受信したパケットの誤りを訂正しきれなかた場合、それがIピクチャを含むものである場合に限り再送を行うようにしたので、ノイズの多い環境下でデータを伝送する場合にもスループットは低下せず、再生レートの低下が避けられる。また、Iピクチャは全て誤りなく伝送するので、同じIピクチャを用いてデコードされる一群のピクチャの再生品質が全て低下するような状況が発生することを防止できる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、受信データの重要な部分に誤りが発生した場合にも映像を高品質に再生することを可能にする高スループットのデータ伝送装置及びデータ伝送システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るデータ伝送装置の内部構成及び該データ伝送装置を含むデータ伝送システムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムにおけるデータ伝送手順を示す通信シーケンス図である。
【図3】無線通信規格IEEE802.11aに従うPLCPフレームの構造及び該PLCPフレームに含まれるDATAフレーム(MACフレーム)の構造を示す図である。
【図4】MPEG−TSパケットの構造を示す図である。
【図5】ACKフレームを送信しないことによりパケット再送を行う手順を示す通信シーケンス図である。
【図6】NAKフレームを送信することによりパケット再送を行う手順を示す通信シーケンス図である。
【図7】所定の形式の再送要求データを含むDATAフレームを送信することによりパケット再送を行う手順を示す通信シーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るデータ伝送装置の内部構成及び該データ伝送装置を含むデータ伝送システムの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るデータ伝送装置の内部構成及び該データ伝送装置を含むデータ伝送システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 無線通信部、 2 誤り検出部、 3 ヘッダ検出部、 4,20 再送要求部、 5 MPEG−TS出力部、 6,7,16,17,21 データ伝送装置、 8,18 無線ネットワーク、 12 誤り訂正部、 19 Iピクチャ検出部。
Claims (8)
- 符号化されたデータ部分を複数個含んでいるデータを受信する機能を有する通信手段と、
前記通信手段が受信したデータの各データ部分について誤りを検出する誤り検出手段と、
前記通信手段が受信したデータに、他のデータ部分の復号に使用される重要なデータ部分が含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記誤り検出手段により誤りがあることが検出されたデータ部分が前記判定手段により前記重要なデータ部分であると判定された場合、前記通信手段を介して前記データの再送を要求する再送要求手段と
を備えることを特徴とするデータ伝送装置。 - 前記符号化されたデータ部分を複数個含んでいるデータはビデオストリームを含むMPEG−TSであり、前記重要なデータ部分は前記ビデオストリームのシーケンスヘッダ、GOPヘッダ、及びピクチャヘッダのいずれかを含むパケットであることを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
- 符号化され、誤り訂正符号が付されたデータ部分を複数個含んでいるデータを受信する機能を有する通信手段と、
前記通信手段が受信したデータの各データ部分について誤り訂正処理を施し、該誤り訂正処理後に誤りを検出する誤り訂正手段と、
前記受信手段が受信したデータに、他のデータ部分の復号に使用される重要なデータ部分が含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記誤り訂正手段により誤りがあることが検出されたデータ部分が前記判定手段により重要なデータ部分であると判定された場合、前記通信手段を介して前記データの再送を要求する再送要求手段と
を備えることを特徴とするデータ伝送装置。 - 前記符号化され、誤り訂正符号が付されたデータ部分を複数個含んでいるデータはビデオストリームを含むMPEG−TSであり、前記重要なデータ部分は前記ビデオストリームのシーケンスヘッダ、GOPヘッダ、及びピクチャヘッダのいずれかを含むパケットであることを特徴とする請求項3に記載のデータ伝送装置。
- 前記符号化され、誤り訂正符号が付されたデータ部分を複数個含んでいるデータはビデオストリームを含むMPEG−TSであり、前記重要なデータ部分は前記ビデオストリームのIピクチャを含むパケットであることを特徴とする請求項3に記載のデータ伝送装置。
- 請求項1または2に記載のデータ伝送装置と、ネットワークを介して前記データ伝送装置に接続され、符号化されたデータ部分を複数個含んでいるデータを前記データ伝送装置に送信し、前記再送要求に応じて該データを再送する第2のデータ伝送装置とを備えることを特徴とするデータ伝送システム。
- 請求項3から5のいずれか一項に記載のデータ伝送装置と、ネットワークを介して前記データ伝送装置に接続され、符号化され、誤り訂正符号が付されたデータ部分を複数個含んでいるデータを前記データ伝送装置に送信し、前記再送要求に応じて該データを再送する第2のデータ伝送装置とを備えることを特徴とするデータ伝送システム。
- 前記ネットワークは無線ネットワークであることを特徴とする請求項6または7に記載のデータ伝送システム。
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JP2003119539A JP2004328324A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | データ伝送装置及びデータ伝送システム |
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WO2007078702A1 (en) * | 2005-12-30 | 2007-07-12 | Intel Corporation | Techniques to improve time seek operations |
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