JP2004328137A - 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム - Google Patents

画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2004328137A
JP2004328137A JP2003117113A JP2003117113A JP2004328137A JP 2004328137 A JP2004328137 A JP 2004328137A JP 2003117113 A JP2003117113 A JP 2003117113A JP 2003117113 A JP2003117113 A JP 2003117113A JP 2004328137 A JP2004328137 A JP 2004328137A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
image data
processing
frequency band
sensitivity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003117113A
Other languages
English (en)
Inventor
Chizuko Ikeda
千鶴子 池田
Jo Nakajima
丈 中嶋
Tsukasa Ito
司 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Photo Imaging Inc
Original Assignee
Konica Minolta Photo Imaging Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Photo Imaging Inc filed Critical Konica Minolta Photo Imaging Inc
Priority to JP2003117113A priority Critical patent/JP2004328137A/ja
Publication of JP2004328137A publication Critical patent/JP2004328137A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Image Processing (AREA)
  • Facsimile Image Signal Circuits (AREA)
  • Studio Devices (AREA)

Abstract

【課題】感度の異なる複数の画像データに基づいて、鮮鋭性、ノイズ特性に優れた高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成する。
【解決手段】被写体を撮像して、高感度画像データと低感度画像データを生成する(ステップS1)。次に、高感度画像データと低感度画像データ各々の画像特性に応じて、個々に空間周波数処理条件を設定し(ステップS2)、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理を施す(ステップS3)。そして、処理結果に基づいて広ダイナミックレンジ画像を生成する(ステップS4)。
【選択図】 図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラムに関し、特に、被写体を撮像して得られた複数の画像データから広ダイナミックレンジ画像データを生成する画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ユーザが鑑賞する画像の対象が、銀塩写真フィルムから得られた写真プリントに替わって、デジタルカメラで撮像した画像等のデジタル画像に移行しつつある。デジタル画像は、デジタル化されているため、例えば、デジタル画像データに画像処理を施し、加工した画像を出力したり、インターネット上のホームページに掲載したり、ポストカードに印刷して利用したり等、多様に活用されている。こうした銀塩写真からデジタル画像への移行は、一般ユーザだけでなく、カメラマンをはじめとするプロユーザにおいても同様である。
【0003】
デジタル画像の取得方法としては、被写体を電子スチルカメラ(デジタルカメラ)で撮像したり、銀塩カメラで撮像した銀塩フィルム画像をスキャナ等の撮像機器でデジタル画像としたりする方法が一般的である。このような固体撮像デバイスを有する撮像装置では、固体撮像デバイスのダイナミックレンジが銀塩フィルム、特に、一般ユーザに広く用いられている銀塩ネガフィルムに比べて狭い。そのため、被写体の輝度域が広い場合には露出条件によってハイライト部(被写体の高輝度部分)が潰れたり、撮像時の露出条件が適切でなく画像全体の濃度(明るさ)が適切でない場合に補正が困難であったり、広いダイナミックレンジを有する銀塩ネガフィルムを使用した銀塩システムに劣る点があった。
【0004】
このような状況を受けて、特性の異なる固体撮像素子を併用することで広いダイナミックレンジ画像の取得を可能にした撮像装置が種々提案されている。
【0005】
例えば、高感度の第1の受光素子と、低感度の第2の受光素子を半ピッチずらして隣接配置した撮像装置において、個々の受光素子から信号を取得し、第1の受光素子から得られた信号の飽和レベルを調整して、第2の受光素子から得られた信号と合成して広いダイナミックレンジ画像を生成する撮像装置が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。これにより、合成画像の飽和ムラや偽信号の発生を抑制することができる。
【0006】
また、撮像によって、異なる感度特性の受光素子から得られる高感度映像信号と低感度映像信号を生成し、高感度映像信号を高量子化分解能で、低感度映像信号を低量子化分解能で各々量子化し、高量子化データが飽和している場合は感度比で合算し、高量子化データが飽和してい場合は高量子化データを選択することで広ダイナミックレンジ画像を形成する撮像装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この場合、回路構成が簡易であり、また記録媒体に記録する際に必要な記憶領域が少なくてよいという利点がある。
【0007】
また、異なる特性をもつ独立した複数の撮像光学系と、各撮像光学系から独立に受光・撮像する受光感度の異なる撮像デバイスを有し、複数の撮像信号のうちいずれか一つを選択し、予め決められた画像処理を施して出力する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
これらの技術は、被写体を複数の異なる特性を有する撮像デバイス等を用いて撮像して、同一被写体を表す、異なる感度の画像を複数生成し、これらを合成又はいずれか1つを選択することにより、広ダイナミックレンジ画像を生成することを特徴としている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−125209号公報
【特許文献2】
特開2000−125311号公報
【特許文献3】
特開2001−8104号公報
【特許文献4】
特開2003−18445号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術はいずれも、複数の感度の異なる画像を合成することによる明るさのつながりに違和感はないものの、複数の感度の異なる画像に対して個々の特性に応じた処理、すなわち、鮮鋭化処理や、鑑賞時に不快と感ずるノイズを除去するノイズ除去処理等の、より高画質な合成画像を生成するための処理がなされていないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、感度の異なる複数の画像データに基づいて、鮮鋭性、ノイズ特性に優れた高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能な画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、被写体を撮像し、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを生成する撮像手段と、前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定手段と、前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理手段と、を備えることを特徴とする画像撮像装置である。
【0013】
請求項14に記載の発明は、被写体を撮像して生成された、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを取得する取得手段と、前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定手段と、前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0014】
請求項27に記載の発明は、画像処理を実行するためのコンピュータに、被写体を撮像して生成された、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを取得する取得機能と、前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定機能と、前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理機能と、を実現させるための画像処理プログラムである。
【0015】
請求項1、14、27に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データの特性に応じて個々に設定した条件に従って空間周波数処理を施すことにより、個々の画像データの鮮鋭性やノイズ特性を最適に処理することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成手段を備えることを特徴とする画像撮像装置である。
【0017】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成手段を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0018】
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータに、さらに、前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【0019】
請求項2、15、28に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データに対して、各々の特性に応じた空間周波数処理を施した結果に基づいて、広ダイナミックレンジ画像を生成するので、高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力手段と、を備えることを特徴とする画像撮像装置である。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0022】
請求項29に記載の発明は、請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータに、さらに、前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成機能と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力機能と、を実現させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【0023】
請求項3、16、29に記載の発明によれば、処理済み画像データを生成し、さらに、同一の被写体から得られた複数の処理済み画像データを関連付けて出力することにより、装置内で広ダイナミックレンジ画像を生成する場合と比較して装置の処理負荷が低減され、処理速度が上がる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、を備えることを特徴とする画像撮像装置である。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0026】
請求項30に記載の発明は、請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、前記コンピュータに、さらに、前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成機能と、前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録機能と、を実現させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【0027】
請求項4、17、30に記載の発明によれば、同一の被写体から得られた複数の処理済み画像データを関連付けて記録媒体に記録することにより、ケーブルやネットワーク等でデータ転送が不可能な状況にある画像処理装置において、広ダイナミックレンジ画像の生成が可能となる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0029】
請求項18に記載の発明は、請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0030】
請求項31に記載の発明は、請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0031】
高感度の画像データは低照度で撮像されているためS/N比が低く、強度の鮮鋭化処理を施すと、鮮鋭性が強調されるよりも暗電流ノイズ等のノイズ成分が強調され、ノイズ特性が劣化してしまう。逆に、低感度の画像データはS/N比が高く、主要な被写体が適度な露出条件で撮像されている場合が主であるので、鮮鋭化処理によるノイズ特性の劣化の懸念が小さい。
【0032】
請求項5、18、31に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、空間周波数処理の条件を設定するので、高感度の画像データのノイズ特性の劣化を抑えつつ、低感度の画像データの鮮鋭性を強調することができる。
【0033】
複数の感度の異なる画像データに対する個々の鮮鋭化処理の条件の設定にあたっては、同一の鮮鋭化処理の手法を用いて鮮鋭性強調の強度を変更してもよく、手法そのものを変えてもよい。また、複数の画像データが3つ以上ある場合には、複数の画像データの条件を全て異なるものにしてもよいが、複数の画像データのうち、一部の感度レベルが隣り合う2つ以上の画像データについて同一の条件を設定してもよい。
【0034】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0035】
請求項19に記載の発明は、請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0036】
請求項32に記載の発明は、請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0037】
高感度の画像データは低照度で撮像されておりS/N比が低く、暗電流ノイズ等のノイズが視覚的に目立ちやすいため、ノイズ除去処理を強度に適用する必要がある。それに対して、低感度の画像データはS/N比が高く、また、ノイズが発生していても画像そのものの明るさが比較的明るいため、ノイズは視覚的に目立ちにくい。
【0038】
請求項6、19、32に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定するので、ノイズが視覚的に目立ちやすい高感度の画像データほど強度にノイズを除去することができる。
【0039】
複数の感度の異なる画像データに対する個々のノイズ除去処理の条件の設定にあたっては、同一のノイズ除去処理の手法を用いてノイズ除去の強度を変更してもよく、手法そのものを変えてもよい。また、複数の画像データが3つ以上ある場合には、複数の画像データの条件を全て異なるものにしてもよいが、複数の画像データのうち、一部の感度レベルが隣り合う2つ以上の画像データについて同一の条件を設定してもよい。
【0040】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、前記条件設定手段は、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0041】
請求項20に記載の発明は、請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、前記条件設定手段は、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0042】
請求項33に記載の発明は、請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、前記条件設定機能において、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0043】
各画像データの鮮鋭性やノイズ特性は、各画像データの各周波数帯域成分の強度に密接に関係しており、また、それらの関係は画像データの感度によっても異なる。
例えば、画像データを複数の周波数帯域別成分に分離した場合、デジタルカメラで撮像した画像データに生じるノイズの1つである暗電流ノイズは、高周波数帯域成分に相当する。また、被写体に人物が撮影されている場合、その髪や目等の細かい構造は、中周波数帯域成分に相当する。高周波数帯域成分のノイズは除去し、中周波数帯域成分の細かい構造は鮮鋭化することが望ましい。
【0044】
請求項7、20、33に記載の発明によれば、感度の異なる画像データを複数の周波数帯域成分に分離し、鮮鋭性強調やノイズ除去処理をする画素や画素領域に対応する周波数帯域成分に対して処理を施すことができるので、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性を調整するのに効率的である。
【0045】
複数の感度の異なる画像データに対する個々の周波数帯域別処理の条件の設定にあたっては、同一の周波数帯域成分の調整の強度を変更してもよく、調整する周波数帯域を変更してもよい。また、複数の画像データが3つ以上ある場合には、複数の画像データの条件を全て異なるものにしてもよいが、複数の画像データのうち、一部の感度レベルが隣り合う2つ以上の画像データについて同一の条件を設定してもよい。また、画像データを複数の周波数帯域成分に分離する手法は、複数の周波数帯域成分に対して共通のものを用いることが計算効率上好ましいが、各周波数帯域成分に対して異なる手法を用いてもよい。
【0046】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像撮像装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0047】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の画像処理装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0048】
請求項34に記載の発明は、請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0049】
複数の感度の異なる画像データの高周波数帯域成分は、その画像データの感度が高ければ高いほど、暗電流ノイズ等のノイズ成分が多く含まれている。一方、感度が低い画像データの高周波数帯域成分は、ノイズ成分は少なく、細かい構造に相当する成分が多くを占めている。
【0050】
請求項8、21、34に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど高周波数帯域成分の信号強度を抑制するので、ノイズが目立つ高感度画像データからはノイズの除去が可能となり、同時に、低感度画像データは細かい微細構造を損なわず、白とび等の極端に強いノイズのみを除去することができる。
【0051】
複数の感度の異なる画像データに対する個々の高周波数帯域成分の信号強度を抑制する条件の設定にあたっては、複数の感度の異なる画像データにおける同一の高周波数帯域成分の信号強度を、高感度の場合には抑制するように、低感度の場合にはより弱く抑制するように設定すればよい。
【0052】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像撮像装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0053】
請求項22に記載の発明は、請求項20に記載の画像処理装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0054】
請求項35に記載の発明は、請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0055】
複数の感度の異なる画像データの中周波数帯域成分は、被写体を画像中で視認する上で重要視される細かい構造、例えば、人物の顔における目等の構造に相当する。画像データの感度が高いほど、画像全体の中から、その重要視される細かい構造を視認することが困難である。
【0056】
請求項9、22、35に記載の発明によれば、画像データの中周波数帯域成分の信号強度を、感度が高い画像データほど強調することにより、画像中で重要視される細かい構造を見やすくすることができる。
【0057】
複数の感度の異なる画像データに対する個々の中周波数帯域成分の信号強度を強調する条件の設定にあたっては、複数の感度の異なる画像データにおける同一の中周波数帯域成分の信号強度を、高感度の場合にはより強く強調するように、低感度の場合にはより弱く強調するように設定すればよい。
【0058】
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の画像撮像装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置である。
【0059】
請求項23に記載の発明は、請求項20に記載の画像処理装置において、前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置である。
【0060】
請求項36に記載の発明は、請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラムである。
【0061】
請求項10、23、36に記載の発明によれば、高周波数帯域成分と中周波数帯域成分の信号強度の調整を合わせて行うことにより、画像の鮮鋭化と、ノイズの除去が可能となる。したがって、全体にバランスのよい広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能となる。
【0062】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜10のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像撮像装置である。
【0063】
請求項24に記載の発明は、請求項20〜23のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像処理装置である。
【0064】
請求項37に記載の発明は、請求項33〜36のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像処理プログラムである。
【0065】
高感度画像データと低感度画像データの鮮鋭性の差や、発生するノイズの強度差は、輝度成分においてその差が顕著に現れる。
【0066】
請求項11、24、37に記載の発明によれば、各感度画像データの輝度成分に対して周波数帯域別処理を施すことにより、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性の調整により効果がある。
【0067】
なお、除去する対象のノイズが色ムラ等、輝度成分ではなく、色差成分に起因するものの場合、画像データから輝度成分を抽出する際に、同時に色差成分を抽出し、色差成分における高周波数帯域成分を輝度成分と同様に調整することが好ましい。
【0068】
請求項12に記載の発明は、請求項7〜11のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像撮像装置である。
【0069】
請求項25に記載の発明は、請求項20〜24のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像処理装置である。
【0070】
請求項38に記載の発明は、請求項33〜37のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像処理プログラムである。
【0071】
請求項12、25、38に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データに対し、多重解像度変換を行って各周波数帯域成分を算出し、各成分の信号強度を調整する処理を行うことにより、鮮鋭性を劣化させずに、かつ高精度にノイズを除去することができる。
【0072】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像撮像装置において、多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像撮像装置である。
【0073】
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の画像処理装置において、多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理装置である。
【0074】
請求項39に記載の発明は、請求項38に記載の画像処理プログラムにおいて、多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理プログラムである。
【0075】
二項ウェーブレット変換は、直交・双直交ウェーブレット等のウェーブレット変換と異なり、画像を間引くことがなく、ノイズの抽出が高精度に得られる。また、急峻な濃度勾配をもつエッジと緩やかな濃度勾配をもつエッジ等、画像の濃度勾配を分別することが可能となる。
【0076】
請求項13、26、39に記載の発明によれば、二項ウェーブレット変換を用いることにより、各感度の画像データに異なる条件で処理をしているにも関わらず、画像データから高精度にノイズを除去することができ、かつ、ノイズ除去後の画像において質感のつながりを自然で、違和感のないものにすることができる。また、画像中で鮮鋭化がなされた箇所についても、周囲から浮いたような不自然さがなく、自然な質感を保つことができる。
【0077】
次に、本発明において使用される語句について詳細に説明する。
【0078】
本発明の記載における「画像撮像装置」とは、光電変換機能を有する撮像素子(イメージセンサ)を備えた装置であって、デジタルカメラやスキャナがこれに含まれる。撮像素子としては、CCD(電荷結合素子(Charge Coupled Device))とシフトレジスタと呼ばれる電荷転送機構と、市松模様のカラーフィルタとを組み合わせ、感色性を付与したCCD型撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型撮像素子が挙げられるが、本発明における撮像素子は、感度の異なる少なくとも2種類の撮像素子を組み合わせて用いることを特徴とする。
【0079】
このような感度の異なる撮像素子を組み合わせた例として、特開2000−125209号公報には、図13に示すように、低感度撮像素子18と、高感度撮像素子19とを、撮像素子の幾何学的な形状の中心が互いに行(水平)方向及び/又は列(垂直)方向に受光素子の間隔を示すピッチの半分、すなわち1/2ピッチずらしてハニカム状に配置された固体撮像素子が記載されている。本発明の撮像素子は、低感度撮像素子と高感度撮像素子とをハニカム状に配置することが望ましい。
【0080】
本発明の記載における「感度」とは、被写体の明るさ(輝度)に対する応答特性を表す指標であり、より高感度な撮像素子ほど、より暗い被写体に対して応答することができることを意味する。一般に撮像素子の感度は、撮像素子の受光面積に比例して増大する。また撮像素子は、光が完全に遮断された状態でも微弱なノイズ信号(暗電流ノイズ、あるいはホワイトノイズと称される。)を発し、このノイズ信号は撮像素子の感度利得を調整するゲイン値に比例して増大する。光が遮断された状態で撮像素子が発するノイズ信号の強度は、受光面積に反比例する特性を有する。
【0081】
したがって、低感度と高感度の2種類の撮像素子で構成する場合、高感度の撮像素子は、低感度の撮像素子に比べ受光面積が大きい、あるいは単位面積当りに配置される数が多いことが望ましい。また、高感度の撮像素子は感色性(色弁別能)を有さず、被写体の輝度にのみ応答するモノクロの素子であることが望ましい。
【0082】
本発明の記載における「ダイナミックレンジ」とは、被写体の明るさ(輝度)の範囲に対する応答特性を表す指標であり、より広ダイナミックレンジな撮像素子ほど、より暗い被写体からより明るい被写体に対して応答することができる。一般に、撮像素子のダイナミックレンジは、撮像素子の受光部の材質や構造に依存し、フォトダイオード等の半導体を用いた素子では十分なダイナミックレンジを得ることができない。
【0083】
また、高感度の撮像素子ほど、より暗い被写体に対して応答することができるが、より明るい被写体に対してはダイナミックレンジが不足し、信号が飽和しやすい。一方、低感度の撮像素子は、より明るい被写体に対しても信号が飽和しにくく、応答することができるが、より暗い被写体に対して感度が不足する。したがって、低感度と高感度の2種類の撮像素子で構成し、よりダイナミックレンジを拡大する場合、各々のダイナミックレンジの重なりを最小にすることが望ましい。
【0084】
本発明の記載における「鮮鋭化処理」とは、目的に応じて画像を見やすくするために、画像におけるエッジを強調する処理のことであり、当業界で知られる種々の手法を選択することができる。具体的な手法については、例えば、1次微分演算による強調や2次微分演算(ラプラシアン)による強調等があるが、これらに限定されるものではない。比較的自然な強調処理を行うことができるため、ラプラシアンによる強調、あるいはアンシャープマスクによる処理が広く用いられている。こうした公知の鮮鋭性強調技法は、例えば「C言語で学ぶ実践画像処理(オーム社,井上誠喜・八木伸行・林正樹・中須英輔・三谷公二・奥井誠人 共著)」等に詳細な解説がなされている。
【0085】
ラプラシアンによる処理は、原画像の画像データにおける各画素値から、その画像データの各画素におけるラプラシアンをマイナスすることによってエッジの強調が行われる。原画像の画像データにおける各画素値、すなわち原信号をf(i,j)(i,jは座標を表す。)、ラプラシアンによる処理が施された後の各画素値、すなわち処理済信号をF(i,j)とすると、ラプラシアンによる鮮鋭化処理は、下記式(1)で表される。
F(i,j)=f(i,j)−∇f(i,j) (1)
【0086】
本発明の記載における「ノイズ除去処理」は、例えば、LPF(ローパスフィルタ)やHPF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ処理や、DCT(Discrete Cosine Transform)等の直交変換やフーリエ変換、あるいは双直交ウェーブレット変換等の多重解像度変換によって画像データを各周波数領域に分割し、画像の平滑化を周波数領域の低域フィルタを用いて行う等、当業界で知られる種々の手法を選択することができる。
【0087】
具体的には、例えば、直交変換による基底画像において、原点を中心とする半径R以内の成分を完全に保存するとともに、その他の成分を除去することによって画像の平滑化を行う手法や、あるいは、多重解像度変換によって得た特定の解像度に対し、所定の閾値以下を、例えばゼロにするコアリング処理を行って画像の平滑化を行う手法や、特開2000−69291号公報に記載のように、画像データのノイズ特性に基づいて、マスクサイズ、マスク形状及び闘値を変更する平滑化フィルタを用いる手法や、特開2001−356432号公報に記載のようにデジタル画像データを輝度情報と色情報に分離し、色情報にのみ平滑化処理を施してノイズ(色ムラ)を低減する手法等、種々の手法を用いることができる。
【0088】
請求項7、20、33に記載の発明において、画像データを周波数帯域別の成分に分離する手法としては、例えば、LPFやHPF等のフィルタ処理や、DCT等の直交変換やフーリエ変換、あるいは双直交ウェーブレット変換等の多重解像度変換によって画像データを各周波数領域に分割することが可能であるが、これらに限定されるものではなく、当業界で知られる手法を用いることができる。
【0089】
請求項8、21、34に記載の発明において、信号強度を抑制する高周波数帯域成分は、デジタルカメラ等の固体撮像素子を用いる撮像装置により得られた画像データに発生するノイズの特性を考慮し、複数ある周波数帯域成分のうち、最も高い周波数帯域成分であることが好ましい。さらに、除去したいノイズの特性に合わせて、最も高い周波数帯域以外の周波数帯域成分の信号強度を抑制の対象としてもよい。
【0090】
例えば、複数の感度の異なる画像データがNs個あり、その最高周波数帯域成分の強度Ih(i)を画像データの感度に応じて抑制し、処理済みの信号強度Ih(i)を得るには、下記の式(2)に従って抑制すればよい。
Ih(i)=Ih(i)×f(S(i)) (2)
ただし、iは1からNsまでの整数である。
【0091】
ここで、S(i)は、iに対応する画像データの感度である。また、f(S(i))は、S(i)に応じて変化する所定の抑制調整関数で、感度が高ければ強く抑制し、感度が低ければ抑制を弱める働きをもつ。
【0092】
図1に、抑制調整関数の例を示す。i,i’を1からNsまでの整数として、画像データiが画像データi’より感度が高い場合、すなわち、
S(i)>S(i’) (3)
のとき、
f(S(i))≦f(S(i’)) (4)
を満たす。
ただし、抑制処理において信号強度を調整する手法は上記のものに限らず、当業界で知られる種々の手法を選択することができる。
【0093】
請求項9、22、35に記載の発明において、信号強度を強調する中周波数帯域成分として、画像データを複数の周波数帯域に分割する場合は、最高周波数帯域成分と最低周波数帯域成分を除いた周波数帯域成分を対象とすることが可能であり、また、周波数帯域を2つに分割する場合には、低周波数帯域成分を中周波数帯域成分とすればよい。
【0094】
具体的に、強調処理の強度を調整するには、例えば、複数の感度の異なる画像データがNs個あり、その中周波数帯域成分の強度Im(i)を画像データの感度に応じて強調し、処理済みの信号強度Im(i)を得るには、下記の式(5)に従って強調すればよい。
Im(i)=Im(i)×g(S(i)) (5)
ただし、iは1からNsまでの整数である。
【0095】
ここで、S(i)は、iに対応する画像データの感度である。また、g(S(i))は、S(i)に応じて変化する所定の強調調整関数で、感度が高ければ強く強調し、感度が低ければ弱く強調する働きをもつ。
【0096】
図2に、強調調整関数の例を示す。i,i’を1からNsまでの整数として、画像データiが画像データi’より感度が高い場合、すなわち、
S(i)>S(i’) (6)
のとき、
g(S(i))≧g(S(i’)) (7)
を満たす。
ただし、強調処理において信号強度を調整する手法は上記に限らず、当業界で知られる種々の手法を選択することができる。
【0097】
請求項11、24、37に記載の発明において、画像信号を輝度信号と色差信号に変換する操作として、例えば画像を表すR(Red)・G(Green)・B(Blue)の3色の強度信号を、公知のYIQ基底・HSV基底・YUV基底・YCrCb基底等に変換する操作や、あるいはsRGBやNTSC等の規格に基づきCIE1931表色系のXYZ基底・CIE1976の勧告するL*a*b*基底・L*u*v*基底等に変換する操作を用いることができる。本発明における輝度信号と色差信号の分離は色彩学的に完全に緻密な変換でなくても十分な効果を発揮するので、例えば特開昭63−26783号公報の実施例に見られるようなRGBの平均値を輝度信号とし、これに直交する2軸を色差信号とするような変換を行ってもよい。
【0098】
本発明で用いられる「多重解像度変換」とは、ウェーブレット変換、完全再構成フィルタバンク、ラプラシアンピラミッド等に代表される手法の総称をいい、1回の変換操作により入力信号を低周波成分信号と高周波成分信号とに分解し、得られた低周波成分信号に対して同様の変換操作を行い、周波数帯域が異なる複数の信号からなる多重解像度信号を得る手法である。得られた多重解像度信号を加工せずにそのまま多重解像度逆変換した場合、元の信号が再構成される。こうした手法については、例えば、“Wavelet and Filter Banks”by G. Strang & T. Nguyen, Wellesley−Cambridge Press(邦訳「ウェーブレット解析とフィルタバンク」,G.ストラング・T.グエン共著,培風館)に詳細な解説がなされている。
【0099】
多重解像度変換を使用することで、違和感のない鮮鋭化が得られ、鮮鋭性を劣化させずにノイズの除去が可能であるという効果は、多重解像度変換の中でも特にウェーブレット変換を使用することで、より向上し、好ましい。ウェーブレット変換について、以下に概要を説明する。
【0100】
「ウェーブレット変換」とは、図3に例示されるような有限範囲で振動するウェーブレット関数(下記式(8)参照。)を用いて、入力信号f(x)に対するウェーブレット変換係数<f,ψa,b>を下記式(9)で求めることにより、入力信号を下記式(10)で示されるウェーブレット関数の総和に分解する変換である。
【数1】
Figure 2004328137
【数2】
Figure 2004328137
【数3】
Figure 2004328137
【0101】
上記式(8)〜(10)において、aはウェーブレット関数のスケールを表し、bはウェーブレット関数の位置を示す。図3に例示するように、スケールaの値が大きいほどウェーブレット関数ψa,b(x)の周波数は小さくなり、位置bの値に従ってウェーブレット関数ψa,b(x)が振動する位置が移動する。従って、上記式(10)は、入力信号f(x)を種々のスケールと位置を持つウェーブレット関数ψa,b(x)の総和に分解することを意味している。
【0102】
上述のような変換を可能にするウェーブレット変換は、多くのものが知られているが、画像処理分野では、計算が高速な直交ウェーブレット(orthogonal wavelet)変換、双直交ウェーブレット(biorthogonal wavelet)変換が広く用いられている。
【0103】
以下、直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換の概要を説明する。直交ウェーブレット変換及び双直交ウェーブレット変換のウェーブレット関数は、下記式(11)のように定義される。
【数4】
Figure 2004328137
ただし、iは自然数である。
【0104】
前記式(11)と前記式(8)とを比較すると、直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換では、スケールaの値が2のi乗で離散的に定義され、また位置bの最小移動単位が2で離散的に定義されていることが判る。このiの値はレベルと呼ばれる。
【0105】
また実用的にはレベルiを有限な上限Nまでに制限して、入力信号を下記式(12)、式(13)、式(14)のように変換することが行われる。
【数5】
Figure 2004328137
【数6】
Figure 2004328137
【数7】
Figure 2004328137
【0106】
上記式(12)の第2項は、レベル1のウェーブレット関数ψ1,j(x)の総和で表せない残差の低周波成分を、レベル1のスケーリング関数φ1,j(x)の総和で表したものである。スケーリング関数はウェーブレット関数に対応して適切なものを用いる。上記式(12)に示す1レベルのウェーブレット変換により入力信号f(x)≡Sは、レベル1の高周波成分Wと低周波成分Sに信号分解されたことになる。
【0107】
ウェーブレット関数ψi,j(x)の最小移動単位は2なので、入力信号Sの信号量に対して高周波成分Wと低周波成分Sの信号量は各々1/2となり、高周波成分Wと低周波成分Sの信号量の総和は、入力信号Sの信号量と等しくなる。レベル1の低周波成分Sは式(13)において、レベル2の高周波成分Wと低周波成分Sに分解され、以下同様にレベルN迄の変換を繰り返すことで、入力信号Sは、式(14)に示すように各レベル1〜Nの高周波成分の総和とレベルNの低周波成分の和に分解される。
【0108】
ここで、前記式(13)で示す1レベルのウェーブレット変換は、図4に示すようなフィルタ処理で計算することができる。図4において、LPFはローパスフィルタ、HPFはハイパスフィルタを示している。ローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFのフィルタ係数は、ウェーブレット関数に応じて適切に定められる。また、2↓は、信号を1つおきに間引くダウンサンプリング処理を示す。
【0109】
画像信号のような2次元信号における1レベルのウェーブレット変換は、図5に示すようなフィルタ処理で計算される。図5に示すように、まず入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFx、ハイパスフィルタHPFxによりフィルタ処理を行い、x方向にダウンサンプリング処理を行う。これにより入力信号Sn−1はSXとWXとに分解される。このSXとWXに対して、各々y方向のローパスフィルタLPFy、ハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理を行い、y方向にダウンサンプリング処理を行う。
【0110】
この1レベルのウェーブレット変換により、入力信号Sn−1は3つの高周波成分Wv,Wh,Wdと1つの低周波成分Sに分解される。1回のウェーブレット変換により生成されるWv,Wh,Wd,Sの各々の信号量は、分解前のSn−1に比べて縦横ともに1/2となるので、分解後の4成分の信号量の総和は、分解前のSn−1の信号と等しくなる。
【0111】
なお、図5において、LPFx,HPFx,2↓xのように添え字で示したxはx方向の処理を示し、LPFy,HPFy,2↓yのように添え字で示したyはy方向の処理を示す。
【0112】
図6に、入力信号Sが3レベルのウェーブレット変換で信号分解される過程の模式図を示す。レベル数iが増えるに従って、ダウンサンプリング処理により画像信号が間引かれ、分解画像が小さくなっていくことがわかる。
【0113】
また、図7に示すように、分解で生成したWv,Wh,Wd,Sにフィルタ処理で計算されるウェーブレット逆変換を施すことにより、分解前の信号Sn−1を完全再構成できることが知られている。図7において、LPF’は逆変換用のローパスフィルタ、HPF’は逆変換用のハイパスフィルタを示している。また、2↑は、信号に1つおきにゼロを挿入するアップサンプリング処理を示す。また、LPF’x,HPF’x,2↑xのように添え字で示したxはx方向の処理を示し、LPF’y,HPF’y,2↑yのように添え字で示したyはy方向の処理を示す。
【0114】
図7に示すように、Sをy方向にアップサンプリング処理及び逆変換用のローパスフィルタLPF’yによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号と、Whをy方向にアップサンプリング処理及び逆変換用のハイパスフィルタHPF’yによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号とを加算してSXを得る。これと同様にして、WvとWdからWXを生成する。
【0115】
さらに、SXをx方向にアップサンプリング処理及び逆変換用のローパスフィルタLPF’xによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号と、WXをx方向にアップサンプリング処理及び逆変換用のハイパスフィルタHPF’xによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号とを加算することにより分解前の信号Sn−1を得ることができる。
【0116】
この逆変換の際に用いられるフィルタ係数は、直交ウェーブレットの場合にはウェーブレット変換に用いた係数と同じ係数が使用されるが、双直交ウェーブレットの場合にはウェーブレット変換に用いた係数とは異なる係数が使用される。
【0117】
本発明で利用する「二項ウェーブレット(Dyadic Wavelet)変換」については、“Singularity detection and processing with wavelets” by S.Mallat and W.L.Hwang, IEEE Trans. Inform. Theory 38 617 (1992)や“Characterization of signals from multiscale edges” by S.Mallat and S.Zhong, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel. 14 710 (1992) や“A wavelet tour of signal processing 2ed” by S.Mallat, Academic Pressに詳細な説明がある。
【0118】
二項ウェーブレット変換のウェーブレット関数は下記式(15)のように定義される。
【数8】
Figure 2004328137
ただし、iは自然数である。
【0119】
前述した直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換のウェーブレット関数は、レベルiにおける位置の最小移動単位が2で離散的に定義されていたのに対し、二項ウェーブレット変換のウェーブレット関数は、レベルiにかかわらず位置の最小移動単位が一定である。この相違により、二項ウェーブレット変換は、下記の特徴を有する。
【0120】
第一の特徴として、下記式(16)に示す1レベルの二項ウェーブレット変換で生成する、高周波成分Wと低周波成分Sの各々の信号量は、変換前の信号Si−1と同一である。
【数9】
Figure 2004328137
【0121】
第二の特徴として、スケーリング関数φi,j(x)とウェーブレット関数ψi,j(x)の間に、下記式(17)の関係が成立する。
【数10】
Figure 2004328137
したがって、二項ウェーブレット変換で生成される高周波成分Wは、低周波成分Sの一回微分(勾配)を表す。
【0122】
第三の特徴として、ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められた係数γを高周波成分に乗じたW・γ(以下、これを補正済高周波成分という。)について、入力信号の信号変化の特異性(singularity)に応じて、該変換後の補正済高周波成分W・γの信号強度のレベル間の関係が一定の法則に従う。
【0123】
図8に、入力信号Sの波形と、ウェーブレット変換により得られる各レベルの補正済高周波成分W・γの波形を示す。図8において、(a)は入力信号Sを示し、(b)はレベル1の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波成分W・γを示し、(c)はレベル2の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波成分W・γを示し、(d)はレベル3の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波成分W・γを示し、(e)はレベル4の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波成分W・γを示す。
【0124】
各レベルにおける信号強度の変化を見ると、(a)において、“1”や “4”に示すなだらかな(微分可能な)信号変化に対応する補正済高周波成分W・γは、(b)→(e)に示すようにレベル数iが増大するほど信号強度が増大する。
【0125】
入力信号Sにおいて、“2”に示すステップ状の信号変化に対応する補正済高周波成分W・γは、レベル数iに関わらず信号強度が一定となる。入力信号Sにおいて、“3”に示すδ関数状の信号変化に対応する補正済高周波成分W・γは、(b)→(e)に示すように、レベル数iが増大するほど信号強度が減少する。
【0126】
第四の特徴として、画像信号のような2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換の方法は、図9に示すような方法で行われる。図9に示すように、1レベルのウェーブレット変換において、入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFx及びy方向のローパスフィルタLPFyで処理することにより、低周波成分Sが得られる。また、入力信号Sn−1をx方向のハイパスフィルタHPFxで処理することにより、高周波成分Wxが得られ、入力信号Sn−1をy方向のハイパスフィルタHPFyで処理することにより、高周波成分Wyが得られる。
【0127】
このように、1レベルの二項ウェーブレット変換により、入力信号Sn−1は、2つの高周波成分Wx,Wyと1つの低周波成分Sに分解される。2つの高周波成分Wx,Wyは低周波成分Sの2次元における変化ベクトルVのx成分とy成分に相当する。変化ベクトルVの大きさMと偏角Aは下記式(18)及び(19)で与えられる。
【数11】
Figure 2004328137
【数12】
Figure 2004328137
【0128】
二項ウェーブレット変換で得られた2つの高周波成分Wx,Wyと1つの低周波成分Sに、図10に示す二項ウェーブレット逆変換を施すことにより、変換前の信号Sn−1を再構成することができる。すなわち、低周波成分Sに対してx方向におけるローパスフィルタLPFx及びy方向におけるローパスフィルタLPFyで処理することにより得られる信号と、高周波成分Wxに対してx方向における逆変換用のハイパスフィルタHPF’x及びy方向における逆変換用のローパスフィルタLPF’yで処理することにより得られる信号と、高周波成分Wyに対してx方向における逆変換用のローパスフィルタLPF’x及びy方向における逆変換用のハイパスフィルタHPF’yで処理することにより得られる信号と加算することにより分解前の信号Sn−1を得ることができる。
【0129】
本発明における二項ウェーブレット変換処理の概念を、図11に示す。入力信号S(本発明においては感度の異なる画像データの信号)に対して第Nレベルの二項ウェーブレット変換を行い、高周波数帯域〜低周波数帯域までの各周波数帯域成分を得る。その中で高周波数帯域成分と中周波数帯域成分について、上述したような抑制処理・強調処理等の空間周波数処理を施せばよい。空間周波数空間において広ダイナミックレンジ画像への合成処理を行う際には、同じレベルの周波数帯域成分を加算した後に、二項ウェーブレット逆変換を施すことで広ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【0130】
図11において、LPFは変換用ローパスフィルタ、HPFは変換用ハイパスフィルタを示している。これらのフィルタ係数はウェーブレット関数に応じて適切に定められる(前述の参考文献を参照。)。また、LPFx,HPFxはx方向の処理を示し、LPFy,HPFyはy方向の処理を示す。また二項ウェーブレット変換においては、レベル毎にフィルタ係数が異なり、レベルnのフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照。)。
【0131】
図11における入力信号Sは、上記に説明したように感度の異なる画像データの信号を指すが、ノイズ除去と鮮鋭化の効果をより効果的にするためには、画像データの信号を輝度成分と色差成分に変換し、少なくとも輝度成分である輝度信号に対し二項ウェーブレット変換を行い、本発明における高周波数帯域成分の抑制処理や中周波数帯域成分の強調処理を適用することが好ましく、さらには、輝度信号とあわせて、色差信号についても入力信号Sとし、二項ウェーブレット変換を行い、本発明における高周波数帯域成分に対する抑制処理を適用することがより好ましい。
【0132】
本発明において、二項ウェーブレット変換を用いるにあたっては、画像データの信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行うことが好ましい。例えば、第2レベルまで変換を行った場合には、第1レベルの高周波成分が高周波数帯域成分に、第2レベルの高周波成分が中周波数帯域成分に、第2レベルの低周波成分が低周波数帯域成分に相当する。
【0133】
さらに、本発明における高周波数帯域成分の抑制処理、中周波数帯域成分の強調処理を行うにあたっては、画像中の特定の画素を設定することなく一律に処理を施してもよいが、少なくとも任意の第Pレベル(P≦N)の高周波成分Wxp及びWypの信号強度が特定条件を充たす場合に、その画素をノイズ画素と認識し信号強度を抑制する等、処理を施す画素を特定する手段を用いることが好ましい。
【0134】
その場合、例えば、デジタルカメラのCCD面に付着するホコリや、ある一部の領域のCCDの損傷等が原因でない限り、感度が異なる画像データであっても、同じ画素位置にノイズが発生するとは限らない。よって、各画像データについてノイズ位置を検出し、検出したノイズに対応する画素位置の高周波数帯域成分の信号強度を抑制すればよく、その画像データの感度に応じて抑制の度合いを調整すればよい。
【0135】
具体的なノイズ検出の手法としては、二項ウェーブレット変換の特性を利用し、例えば、画像データの信号、好ましくは画像データの信号を変換して得た輝度信号と色差信号に対し、少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルのx,y両方向の高周波成分信号WxとWx、WyとWyの対応する画素を比較し、x,yの両方について第2レベルの信号強度が第1レベルの信号強度よりも大きくなっていた場合にノイズの候補として検出する等の手法を用いることができる。ただし、これに限定するものではない。
【0136】
また、特願2001−329205に記述されているように、ノイズ信号の信号強度に応じて抑制の強度を変化させるコアリング処理の手法を用いることも好ましい。一般に入力信号に対してある閾値以下で出力信号を抑制する処理をコアリング処理という。
【0137】
本発明において、具体的には、(第(P+1)レベルの補正済輝度高周波成分の信号強度)/(第Pレベルの補正済輝度高周波成分の信号強度)≦閾値Aである場合に、画像ノイズである可能性が高いが、ノイズでない画像要素である可能性が若干あるので、第Pレベルの高周波成分の信号強度を0にするのではなく抑制し、かつ(第(P+1)レベルの補正済輝度高周波成分の信号強度)/(第Pレベルの補正済輝度高周波成分の信号強度)≦閾値B(B<A)である場合には、該当する信号はノイズとして判断し、第Pレベルの輝度高周波成分の信号強度を実質的に0とする。また、閾値Aと閾値B間で、閾値Bに近い方が画像ノイズである可能性が高くなるので、閾値Bに近づくにつれて抑制量を増大させることが好ましい。ただし、閾値Aが1より大きく1.2以下とし、かつ閾値Bが0.8以上1未満とすることが好ましい。
【0138】
この手法を用いる場合には、感度の異なる画像データを処理する際に、個々に閾値A、Bを設定することにより、本発明が達成される。より具体的には、低感度画像データに適用する閾値A<高感度画像データに適用する閾値A、かつ、低感度画像データに適用する閾値B<高感度画像データに適用する閾値Bを満たすことが好ましい。これは、低感度画像データと高感度画像データの高周波成分を比較した場合、信号値がノイズである確率が高感度画像データの高周波成分の方が高く、信号値が被写体の構造を表すものである確率が低感度画像データの高周波成分の方が高いからである。
【0139】
次に、中周波数帯域成分に対する強調処理であるが、複数レベルの中から中周波数帯域成分を選択するには、Nレベルの二項ウェーブレット変換処理を適用した場合には第2レベル以上(N−1)以下のレベルの高周波成分を中周波成分とすることが好ましい。例えば、3レベルまでの変換処理をした場合には、第2レベルの高周波成分を中周波数帯域成分とすればよい。
【0140】
ただし、処理時間や処理装置の環境等の制約がある場合は、第1レベルまでの二項ウェーブレット変換を行うことも可能であり、その場合には、第1レベルの高周波成分を高周波数帯域成分として、第1レベルの低周波成分を中周波数帯域成分として設定するか、第1レベルの高周波成分を高周波数帯域成分として設定し、上記説明したコアリング処理等、画像の中からノイズを抽出し選択的に信号強度を抑制する処理を施した後の高周波成分を中周波数帯域信号とみなし、画像データの感度に応じた強調処理を施してもよい。
【0141】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0142】
[第1の実施の形態]
<画像撮像装置100の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態の画像撮像装置100について説明する。
図12に、画像撮像装置100のブロック図を示す。
【0143】
画像撮像装置100の光学系は、フォーカスの調節が可能なレンズ1と、光量を調節する絞り2と、被写体情報を電気信号に変換する固体撮像素子(CCD)3と、を備えている。
【0144】
CCD3は、レンズ1及び絞り2を介してCCD3の受光面に結像される被写体情報を、CCD3内のセンサ毎に光の入射光量に応じた量の電気的な信号へと光電変換する。CCD3は、制御部11から出力される信号に従ってCCD駆動回路10から出力されるタイミングパルスに基づいて、CCD3に蓄積された電気的な信号をアナログ処理回路4に順次出力する。
【0145】
CCD3は、図13に示すように、低感度撮像素子18と、高感度撮像素子19とがハニカム状に配置されて構成されている。図14は、低感度撮像素子18、高感度撮像素子19によって得られる画像データのダイナミックレンジの概念図である。具体的には、低感度撮像素子18、高感度撮像素子19が受光する被写体の輝度に対する信号電荷量を各々グラフDL、DHで示している。グラフDHに示すように、高感度撮像素子19は、より暗い被写体に対して反応することができるが、より明るい被写体に対しては信号が飽和してしまう。一方、グラフDLに示すように、低感度撮像素子18は、より明るい被写体に対して応答することができるが、より暗い被写体に対して感度が不足する。
【0146】
アナログ処理回路4は、CCD3によって得られた各画像データのR・G・B信号の増幅やノイズの低減処理を行う。
A/D変換器5は、アナログ処理回路4により処理されたR・G・B信号をデジタルのR・G・B信号に変換して出力する。
一時記憶メモリ6は、A/D変換器5から出力された低感度撮像素子18と高感度撮像素子19からのR・G・B信号を一時的に格納する。
【0147】
制御部11は、ROM(Read Only Memory)等の記憶部(図示略)に記憶されている各種制御プログラムと、CPU(Central Processing Unit)(図示略)との協働により、画像撮像装置100を構成する各部の動作を制御する。具体的には、制御部11は、レンズ1の焦点距離とフォーカス(ピント)を調節するモータ20の制御を行う自動焦点駆動回路13、焦点距離調整回路12、CCD駆動回路10、アナログ処理回路4、一時記憶メモリ6、画像処理部7、出力部8、記憶デバイス9、操作部14、表示部15、ストロボ17を駆動させるストロボ駆動回路16等を制御する。
【0148】
操作部14には、図示しないボタン、カーソルキー等が設けられ、設定された操作情報は制御部11に送られる。
【0149】
表示部15はデジタル画像データを表示するとともに、ユーザが撮影に関する設定や条件を確認する用途に用いる。
【0150】
画像処理部7は、一時記憶メモリ6に記憶されたR・G・B信号に画像処理を施す。画像処理部7は、高感度画像データと低感度画像データに対する空間周波数処理の条件設定、空間周波数処理、表示部15に表示されるデジタル画像データの階調補正、分光感度のクロストーク補正、暗電流ノイズ抑制、鮮鋭化、ホワイトバランス調整、彩度調整等の画質向上処理の他、画像サイズの変更、トリミング、アスペクト変換等の処理を行う。これらの処理結果や、処理済み画像データ又は合成された広ダイナミックレンジ画像は、必要に応じて、記憶デバイス9により記憶メディアに保存されるか、あるいは、続いて処理をするために、出力部8により画像処理装置(図示せず)に出力される。
【0151】
出力部8は、ネットワークケーブル、ケーブル又は無線LAN(Local Area Network)等を介して、画像処理を施した後の画像データを画像処理装置やコンピュータに出力する通信手段である。
【0152】
記憶デバイス9は、デジタル画像データや、画像撮像装置100の制御プログラムの記録及び/又は読み出しを行うことが可能な記憶手段である。記憶デバイス9は、メモリカード、CD−R(Compact Disk−Recordable)、DVD−R(Digital Versatile Disk−Recordable)等の各種記録媒体に画像データを記録する。
【0153】
<画像処理部7の処理>
次に、画像撮像装置100の画像処理部7における処理の概要を説明する。
【0154】
まず、図15に示すように、画像撮像装置100により、被写体が撮像され、高感度画像データと低感度画像データが生成される(ステップS1)。次に、高感度画像データと低感度画像データ各々の画像特性に応じて、個々に空間周波数処理条件が設定される(ステップS2)。設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS3)。そして、処理結果に基づいて広ダイナミックレンジ画像が生成される(ステップS4)。
【0155】
次に、同一の被写体を表す高感度画像データと、低感度画像データに対して周波数帯域別処理を施して、広ダイナミックレンジ画像を生成する処理についてより詳細に説明する。
図16は、本発明を特徴づける広ダイナミックレンジ画像生成処理1のフローチャートである。
【0156】
まず、高感度画像データと低感度画像データが取得される(ステップS11)。第1の実施の形態の画像撮像装置100においては、被写体を撮像することにより、各感度の画像データが取得される。次に、各々の画像データのR・G・Bの信号値が、下記式(20)に従って輝度信号Yと色差信号Cr・Cbに変換される(ステップS12)。ただし、この変換方式に限定されるものではなく、当業界で知られる種々の手法を選択することができる。
Figure 2004328137
【0157】
次に、高感度画像データ、低感度画像データ各々から変換された輝度信号について多重解像度変換が施され、3つの周波数帯域成分に分解される(ステップS13)。最高周波数帯域の成分が高周波数帯域成分、次に高い周波数帯域の成分が中周波数帯域成分と設定される(ステップS14)。ただし、ステップS13において周波数帯域成分に分解するにあたっては、3つの周波数帯域成分に分解することには限定されず、それ以上に分解されることとしてもよい。また、ステップS14において1つ又は複数の周波数帯域の成分を、高周波数帯域成分、中周波数帯域成分と設定してもよい。
【0158】
次に、各感度画像データに対応する、高周波数帯域成分に対する抑制処理の処理条件と、中周波数帯域成分に対する強調処理の処理条件と、が設定される(ステップS15)。高周波数帯域成分に対する抑制処理としては、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、信号強度を抑制するように設定される。中周波数帯域成分に対する強調処理としては、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、信号強度を強調するように設定される。設定された条件に従って、各感度の画像データに対応する輝度信号の高周波数帯域成分について抑制処理が施され(ステップS16−1,S16−2)、中周波数帯域成分について強調処理が施される(ステップS17−1,S17−2)。
【0159】
次に、各感度画像データの輝度信号の処理済み高周波数帯域成分が加算合成されて広ダイナミックレンジ輝度信号の高周波数帯域成分が生成される(ステップS18−1)。同様に、各感度画像データの輝度信号の処理済み中周波数帯域成分が加算合成されて広ダイナミックレンジ輝度信号の中周波数帯域成分が生成される(ステップS18−2)。同様に別途、各感度画像データの輝度信号の未処理の低周波数帯域成分が加算合成されて広ダイナミックレンジ輝度信号の低周波数帯域成分が生成される(図示せず)。
【0160】
そして、広ダイナミックレンジ輝度信号の各周波数帯域成分に対して多重解像度逆変換が施され、処理済み広ダイナミックレンジ画像の輝度信号Y’が得られる(ステップS19)。この処理済み広ダイナミックレンジ画像の輝度信号Y’と、高感度画像データと低感度画像データの色差信号を合成して得られた広ダイナミックレンジ画像の色差信号Cr’・Cb’と、が下記式(21)に従って変換され、広ダイナミックレンジ画像R’・G’・B’が生成される(ステップS20)。
Figure 2004328137
【0161】
(双直交ウェーブレット変換)
次に、図17を参照して、各感度の画像データの輝度成分に対して施される多重解像度変換に、1レベルの双直交ウェーブレット変換を採用した場合の、本発明における高周波数帯域成分に対する抑制処理、中周波数帯域成分に対する強調処理について説明する。
【0162】
図17では、各感度の画像データの輝度成分の信号Sに対し、1レベルの双直交ウェーブレット変換を行う。フィルタとしては図18に示す係数のフィルタ(Cohen, Daubechies, Feauveau5−3)を用いる。
【0163】
図17に示すように、信号Sに対して図18のフィルタを用いて1レベルの双直交ウェーブレット変換を施すことで、低周波成分信号S、高周波成分信号Wh,Wv,Wdが得られる。この場合、本発明における高周波数帯域成分は、高周波成分信号Wh,Wv,Wdと設定する。Wh,Wv,Wdに対して、前述の式(2)に従って高周波数帯域成分に対する抑制処理を施し、抑制処理済みの信号強度Wh’,Wv’,Wd’を算出する。
Figure 2004328137
ただし、iは高感度又は低感度を指す。
【0164】
次に、中周波数帯域成分に対する強調処理であるが、上記のように分離した周波数帯域が2つしかないので、ノイズ成分を除去した高周波成分Wh’,Wv’,Wd’を中周波数帯域成分として扱い、前述の式(5)に従って強調処理済みの信号強度、Wh’’,W’’v,W’’dを算出する。
Figure 2004328137
ただし、iは高感度又は低感度を指す。
【0165】
こうして得られたWh’’,Wv’’,Wd’’と、未処理の低周波成分Sをもとにウェーブレット逆変換を行い、各感度毎に設定された条件に応じて抑制処理と強調処理が施された信号値S’が算出される。
【0166】
このように、各感度の画像データ毎に上記処理を適用すればよいが、処理済みの各感度画像データ(各感度画像データの輝度成分)を合成して広ダイナミックレンジ画像(広ダイナミックレンジ画像の輝度成分)を生成するにあたっては、空間周波数空間において行われることとしてもよい。
【0167】
多重解像度変換に双直交ウェーブレットを採用する場合、各感度に対応して処理済みの高周波数帯域成分(各感度におけるWh’’,Wv’’,Wd’’)と、未処理の低周波数帯域成分(各感度におけるS)と、を合成することにより、広ダイナミックレンジにおける高周波数帯域成分と低周波数帯域成分が算出され、これを双直交ウェーブレット逆変換することにより、実空間における広ダイナミックレンジ画像(広ダイナミックレンジ画像の輝度成分)を算出することができる。
【0168】
以上、1レベルの双直交ウェーブレット変換を採用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、レベル数やフィルタ係数等、種々の形態をとることが可能である。
【0169】
上記のように、1レベルの双直交ウェーブレットを採用して生成された広ダイナミックレンジ画像を出力し確認したところ、各感度画像データに空間周波数処理を施さない場合と比較して、鮮鋭性を劣化させることなくノイズが除去されていることが確認された。また、各感度画像データに同一の条件で空間周波数処理を施し広ダイナミックレンジ画像データを生成した場合と比較したところ、シャドウ部とハイライト部の質感に違和感のない鮮鋭化、ノイズ除去がなされていることが確認された。
【0170】
(二項ウェーブレット変換)
次に、図19を参照して、各感度の画像データの輝度成分に対して施される多重解像度変換に、2レベルの二項ウェーブレット変換を採用した場合の、本発明における高周波数帯域成分に対する抑制処理、中周波数帯域成分に対する強調処理について説明する。
【0171】
図19に示すように、各感度の画像データの輝度成分の信号Sに対し、2レベルの二項ウェーブレット変換を行う。
【0172】
フィルタとしては、図20に示す係数のフィルタを用いる。図20において、x=0のフィルタ係数は、現在処理している画素に対するフィルタ係数で、x=−1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ前の画素に対するフィルタ係数で、x=1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ後の画素に対するフィルタ係数である(以下同様)。
【0173】
二項ウェーブレット変換においては、レベル毎にフィルタ係数が異なり、レベルnのフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照。)。また、二項ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められる補正係数γは、図21に示す値を用いる。
【0174】
図19に示すように、信号Sに2レベルの二項ウェーブレット変換を施すことで、高周波側から、WxとWy、WxとWy、Sの3つの周波数帯域成分に分割されるが、抑制処理の対象となる高周波帯域成分信号はWx,Wy、強調処理の対象となる中周波数帯域成分信号はWx,Wyと設定する。各信号値に対する具体的な抑制処理、強調処理は多重解像度変換として双直交ウェーブレット変換を用いた場合と同様に施せばよい。Wx,Wyに抑制処理を施して得られたWx’,Wyと、Wx,Wyに強調処理を施して得られたWx’,Wy’と、未処理のSと、をもとに二項ウェーブレット逆変換を施し、抑制処理と強調処理が各感度毎に設定された条件に応じて施された信号値S’が算出される。
【0175】
このように、各感度の画像データ(画像データの輝度成分)毎に上記処理を適用すればよいが、処理済みの各感度画像データ(各感度画像データの輝度成分)を合成して広ダイナミックレンジ画像(広ダイナミックレンジ画像の輝度成分)を生成するにあたっては、空間周波数空間において行われることとしてもよい。
【0176】
多重解像度変換として、2レベルの二項ウェーブレット変換を採用する場合、各感度に対応して処理済みの高周波数帯域成分(各感度におけるWx’,Wy’)と中周波数帯域成分(各感度におけるWx’,Wy’)、未処理の低周波数帯域成分(各感度におけるS)について、合成することにより、広ダイナミックレンジにおける高周波数帯域成分と低周波数帯域成分が算出され、これらを二項ウェーブレット逆変換することにより、実空間における広ダイナミックレンジ画像(広ダイナミックレンジ画像の輝度成分)を算出することができる。
【0177】
以上、2レベルの二項ウェーブレット変換を採用する態様を説明したが、具体的態様はこれに限定されるものではなく、レベル数やフィルタ係数等、種々の形態をとることが可能である。
【0178】
上記のように、2レベルの二項ウェーブレットを採用して生成された広ダイナミックレンジ画像を出力し確認したところ、ノイズ除去後の画像の質感のつながりが自然で違和感がなく、鮮鋭化がなされた箇所についても、周囲から浮いたような不自然さがなく、双直交ウェーブレット変換を用いた例と比較して、さらに自然な質感と、人物等の主要な被写体を浮き立たせる立体感を有する広ダイナミックレンジ画像が得られることが確認された。
【0179】
第1の実施の形態の画像撮像装置100によれば、高感度画像データと低感度画像データ各々の特性に応じて個々に設定した条件に従って空間周波数処理を施すことにより、個々の画像データの鮮鋭性やノイズ特性を最適に処理することができるので、この処理結果に基づいて、視覚的・感覚的に高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【0180】
また、高感度画像データと低感度画像データを複数の周波数帯域成分に分離し、鮮鋭性強調やノイズ除去処理をする画素や画素領域に対応する周波数帯域成分に対して処理を施すことができるので、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性を調整するのに効率的である。
【0181】
例えば、画像データの感度が高いほど高周波数帯域成分の信号強度を抑制するので、ノイズが目立つ高感度画像データからはノイズの除去が可能となり、同時に、低感度画像データは細かい微細構造を損なわず、白とび等の極端に強いノイズのみを除去することができる。
【0182】
また、画像データの中周波数帯域成分の信号強度を、感度が高い画像データほど強調することにより、画像中で重要視される細かい構造を見やすくすることができる。したがって、これらの処理結果に基づいて生成した広ダイナミックレンジ画像は、従来と比較して、シャドウ部からハイライト部まであらゆる明るさの領域について細かい構造の被写体が見やすくなる。
【0183】
このように、高周波数帯域成分と中周波数帯域成分の信号強度の調整を合わせて行うことにより、画像の鮮鋭化と、ノイズの除去が可能となる。したがって、全体にバランスのよい広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能となる。特に、シャドウ部のベタ領域のノイズ除去効果に、高周波数帯域成分、中周波数帯域成分、単独の信号強度の調整から得られる効果を足し合わせた以上の相乗効果が見られる。
【0184】
また、各感度画像データの輝度成分に対して周波数帯域別処理を施すことにより、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性の調整により効果がある。
【0185】
また、高感度画像データと低感度画像データに対し、多重解像度変換を行って各周波数帯域成分を算出し、各成分の信号強度を調整する処理を行うことにより、鮮鋭性を劣化させずに、かつ高精度にノイズを除去することができる。したがって、この結果に基づいて、違和感のない鮮鋭化が施された広ダイナミックレンジ画像の生成が可能となる。
【0186】
また、鮮鋭性、ノイズ特性といった個々の特性の向上だけでなく、広ダイナミックレンジ画像における処理後の自然な質感や、違和感のない立体感を得ることができる。
【0187】
近年、デジタル画像を扱うユーザは増加してきており、さらに、デジタル画像処理に対する習熟度は初心者からプロユーザまで幅広い。初心者にとっては、多岐にわたる選択肢がある画像撮像装置よりも、自動的に高画質な画像が得られることが望ましい。また、撮影を業務で行う場合にも、得られる画像が高画質であれば、その手段は自動化されていることが好ましい。本発明によれば、幅広いユーザが満足することができる高画質な広ダイナミックレンジ画像を簡便に提供することができる。
【0188】
なお、図16に示したような、空間周波数処理の処理結果をもとに空間周波数空間において加算合成し、空間周波数空間における広ダイナミックレンジ画像を算出し、これを変換処理し、実空間における広ダイナミックレンジ画像データを生成する方法は、処理負荷の点で好ましいが、図22に示すように、各感度の異なる画像データに施した空間周波数処理の処理結果を、実空間に変換し画像データにした後に、加算合成することにより広ダイナミックレンジ画像を生成してもよい。
【0189】
図22は、広ダイナミックレンジ画像生成処理2のフローチャートである。図22において、図16と同様の処理を示す部分は、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0190】
各感度画像データに対応する処理済みの高周波数帯域成分及び中周波数帯域成分と、未処理の低周波数帯域成分とに基づいて、多重解像度逆変換が施され、各感度に対応する処理済み輝度信号が生成される(ステップS21−1,S21−2)。各感度に対応する処理済み輝度信号と未処理の色差信号とが前述の式(21)に従って変換され、処理済み高感度画像データ及び処理済み低感度画像データが生成される(ステップS22−1,S22−2)。
【0191】
さらに、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとが加算合成されることにより、広ダイナミックレンジ画像データが生成される(ステップS23)。
【0192】
図22に示した方法は、処理済みの各感度画像データをモニタ等の表示デバイスに出力し、視覚的に確認する等の目的において有効である。
【0193】
また、図16のステップS18−1,S18−2や、図22のステップS23における感度の異なる画像に対応する信号の合成方法は、低感度画像に対応する信号値と、高感度画像に対応する信号値を比較し、所定の閾値に従ってどちらか一方の値を選択すればよい。ただし、合成の方法は、これに限定されるものではなく、例えば、特開2001−8104号公報に記載されている高感度映像信号を高量子化分解能で、低感度映像信号を低量子化分解能で各々量子化し、高量子化データが飽和している場合は感度比で合算し、高量子化データが飽和してい場合は高量子化データを選択する方法、特開2003−18445号公報に記載されている複数の撮像信号のうちいずれか一つを選択する方法、特開200−125209号公報等に記載されている第1の受光素子から得られた信号の飽和レベルを調整して、第2の受光素子から得られた信号と合成する方法をはじめ、いずれかの信号を選択する手法だけでなく、重みを付けて加算する方法等、種々の手法を採用することができる。
【0194】
また、図16のステップS16−1,S16−2,S17−1,S17−2の処理において生成された各感度の画像データの処理結果を、画像撮像装置100とは物理的に独立した画像処理装置に出力し、その後の処理を画像処理装置において行うこととしてもよい。これにより、空間周波数処理が施された結果に基づいて広ダイナミックレンジ画像を生成する処理を終えるのを待たずに次の撮像を開始することが可能となる。
【0195】
画像処理装置に処理結果を出力するには、例えば、画像撮像装置100において処理結果が記録媒体に記録され、記録媒体を介して画像処理装置が処理結果を取得することとしてもよいし、画像撮像装置100が画像処理装置とケーブルを介して有線状態で接続、又は通信やインターネットを介して無線状態で接続され、画像撮像装置100が出力した処理結果を画像処理装置が取得することとしてもよい。この場合、画像処理装置は、画像撮像装置100と離れた場所に設置されていてもよい。
【0196】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態の画像撮像装置100について説明する。第2の実施の形態における画像撮像装置100の構成及び機能については、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態と同一の符号を付し、その図示及び説明を省略する。
【0197】
図23は、画像撮像装置100の画像処理部7において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【0198】
まず、図23に示すように、画像撮像装置100により、被写体が撮像され、高感度画像データと低感度画像データが生成される(ステップS31)。
【0199】
次に、高感度画像データに対する鮮鋭化処理の鮮鋭性強調の効果が、低感度画像データに対する鮮鋭性強調の効果より小さくなるように、空間周波数処理条件が設定される(ステップS32)。この鮮鋭化処理として、1次微分演算による強調や2次微分演算(ラプラシアン)による強調等が挙げられる。
【0200】
そして、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS33)。
【0201】
高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データが生成される(ステップS34)。
【0202】
そして、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとが関連付けられて、ネットワークケーブル、ケーブル又は無線LAN等を介して画像処理装置に出力される(ステップS35)。ここで、「関連付ける」とは、同一の被写体から得られたという情報が画像データのタグ情報に記載される等、同一の被写体から同時に得られた画像データの組であることを示すことをいう。
【0203】
第2の実施の形態の画像撮像装置100によれば、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データを生成し、さらに、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとを関連付けて出力することにより、画像撮像装置100内で広ダイナミックレンジ画像を生成する場合と比較して画像撮像装置100の処理負荷が低減され、処理速度が上がり、広ダイナミックレンジ画像を生成する処理を終えるのを待たずに次の撮像を開始することが可能となる。
【0204】
また、後に、各処理済み画像データをモニタに表示する等して、ユーザが画像の内容を確認したり管理したりする際に使いやすい。また、各感度の画像データ又は最初に生成した広ダイナミックレンジ画像をモニタ等で確認した時に、処理結果が不満であれば、特定の感度の画像に処理を加えたり、処理条件を変更したりする等、処理の追加や補正を施した後に、広ダイナミックレンジ画像を再生成することが可能になる。
【0205】
また、プロユーザのように、扱う画像データのサイズ容量が大きく、撮影シーンが多い状況では、種々の画像処理の処理負荷が高いため、撮像装置が広ダイナミックレンジ画像を生成する処理を行わず、本実施の形態のように、空間周波数処理済み画像データを生成する処理(図23のステップS34)までを行い、撮像装置とは物理的に異なる画像処理装置により広ダイナミックレンジ画像の生成が行われることが好ましい。
【0206】
また、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように空間周波数処理の条件を設定するので、高感度画像データのノイズ特性の劣化を抑えつつ、低感度画像データの鮮鋭性を強調することができる。
【0207】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態の画像撮像装置100について説明する。第3の実施の形態における画像撮像装置100の構成及び機能については、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態と同一の符号を付し、その図示及び説明を省略する。
【0208】
図24は、画像撮像装置100の画像処理部7において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【0209】
まず、図24に示すように、画像撮像装置100により、被写体が撮像され、高感度画像データと低感度画像データが生成される(ステップS41)。
【0210】
次に、高感度画像データに対するノイズ除去の効果が、低感度画像データに対するノイズ除去の効果より大きくなるように、空間周波数処理条件が設定される(ステップS42)。このノイズ除去処理として、LPFやHPF等のフィルタ処理や、DCT等の直交変換やフーリエ変換、あるいは双直交ウェーブレット変換等の多重解像度変換によって画像データを各周波数領域に分割し、画像の平滑化を周波数領域の低域フィルタを用いて行う等の方法が挙げられる。
【0211】
そして、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS43)。
【0212】
高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データが生成される(ステップS44)。
【0213】
処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データは、同一の被写体から得られた処理済み画像データ同士が関連付けられて、記録媒体に記録される(ステップS45)。記録媒体としては、メモリカード、CD−R、DVD−R等が用いられる。
【0214】
第3の実施の形態の画像撮像装置100によれば、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとを関連付けて記録媒体に記録することにより、ケーブルやネットワーク等でデータ転送が不可能な状況にある画像処理装置においても、広ダイナミックレンジ画像の生成が可能となる。
【0215】
また、第2の実施の形態と同様に、各処理済み画像データをモニタに表示する等して、ユーザが画像の内容を確認したり管理したりする際に使いやすい。また、特定の感度の画像に対する処理の追加や補正が容易となる。
【0216】
また、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように空間周波数処理の条件を設定するので、ノイズが視覚的に目立ちやすい高感度の画像データほど強度にノイズを除去することができる。
【0217】
[第4の実施の形態]
<画像処理装置200の構成>
次に、図25〜図27を参照して、本発明の第4の実施の形態の画像処理装置200について説明する。
図25は、画像処理装置200の概観構成を示す斜視図である。画像処理装置200は、出力デバイスとして画像を形成する画像記録手段と、表示デバイスとしてCRTディスプレイモニタと、を備える。
【0218】
図25に示すように、画像処理装置200には、本体202の一側面にマガジン装填部203が備えられている。本体202の内側には、出力メディアである銀塩印画紙に露光する露光処理部204と、露光された銀塩印画紙を現像処理して乾燥し、プリントを作成するプリント作成部205が備えられ、作成されたプリントは、本体202の他側面に設けられたトレー206に排出される。
【0219】
また、本体202の上部には、表示装置としてのCRT(Cathode Ray Tube)208、透過原稿を読み込む装置であるフィルムスキャナ部209、反射原稿入力装置210、操作部211が備えられている。このCRT208が、プリントを作成しようとする画像情報の画像を画面に表示する表示手段を構成している。さらに、本体202には、各種デジタル記録媒体に記録された画像情報を読み取り可能な画像読込部214、各種デジタル記録媒体に画像信号を書き込み(出力)可能な画像書込部215が備えられている。また、本体202の内部には、これらの各部を集中制御する制御部207が備えられている。
【0220】
画像読込部214には、PCカード用アダプタ214a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ214bが備えられ、PCカード213aやフロッピーディスク213bが差し込み可能になっている。PCカード213aは、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像データが記録されたメモリを有する。フロッピーディスク213bには、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像データが記録されている。その他、駒画像データを有する記録媒体としては、マルチメディアカード、メモリースティック、MD(Mini Disc)データ、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等が挙げられる。
【0221】
画像書込部215には、フロッピーディスク用アダプタ215a、MO用アダプタ215b、光ディスク用アダプタ215cが備えられ、各々、FD216a、MO216b、光ディスク216cが差し込み可能になっており、画像情報を画像記録メディアに書き込むことができるようになっている。光ディスク216cとしては、CD−R(Compact Disk−Recordable)、DVD−R(Digital Versatile Disk−Recordable)等がある。
【0222】
なお、図25では、操作部211、CRT208、フィルムスキャナ部209、反射原稿入力装置210、画像読込部214が、本体202に一体的に備えられた構造となっているが、これらのいずれか1つ以上を別体として設けるようにしてもよい。
【0223】
なお、図25に示した画像処理装置200では、感光材料に露光して現像してプリントを作成するものが例示されているが、プリント作成方式はこれに限定されず、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式、昇華方式等の方式を用いてもよい。
【0224】
<画像処理装置200の内部構成>
図26は、画像処理装置200の内部構成を示すブロック図である。画像処理装置200は、図26に示すように、制御部207、露光処理部204、プリント作成部205、フィルムスキャナ部209、反射原稿入力装置210、画像読込部214、通信手段(入力)232、画像書込部215、データ蓄積手段271、操作部211、CRT208、通信手段(出力)233から構成される。
【0225】
制御部207は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM等の記憶部(図示略)に記憶されている画像処理プログラム等の各種制御プログラムと、CPU(図示略)との協働により、画像処理装置200を構成する各部の動作を制御する。
【0226】
制御部207は、本発明の画像処理装置に係る画像処理部270を有し、操作部211からの入力信号(指令情報)に基づいて、フィルムスキャナ部209や反射原稿入力装置210により取得した画像データ、画像読込部214から読み込まれた画像データ、外部機器から通信手段(入力)232を介して入力された画像データに対して、画像処理を施して出力用画像データ生成し、露光処理部204に出力する。また、画像処理部270は、画像処理された画像データに対して出力形態に応じた変換処理を施して出力する。画像処理部270の出力先としては、CRT208、画像書込部215、通信手段(出力)233等がある。
【0227】
露光処理部204は、感光材料に画像の露光を行い、この感光材料をプリント作成部205に出力する。プリント作成部205は、露光された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントP1、P2、P3を作成する。プリントP1は、サービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ等のプリントであり、プリントP2は、A4サイズのプリントであり、プリントP3は、名刺サイズのプリントである。
【0228】
フィルムスキャナ部209は、アナログカメラにより撮像されてネガフィルムを現像して得られる現像済みのネガフィルムNからの駒画像データを読み込む。反射原稿入力装置210は、駒画像を印画紙に焼き付けて現像処理したプリントPからの駒画像データを読み込む。
【0229】
フィルムスキャナ部209や反射原稿入力装置210から読み込まれる原稿としては、写真感光材料があり、この写真感光材料としては、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、白黒ネガフィルム、白黒リバーサルフィルム等がある。この写真感光材料には、アナログカメラにより撮像した駒画像情報が記録される。フィルムスキャナ部209のフィルムスキャナにより、デジタル画像データに変換し、駒画像データとすることができる。また、写真感光材料が銀塩印画紙であるカラーペーパーの場合、反射原稿入力装置210のフラットベットスキャナにより、駒画像データに変換することができる。
【0230】
画像読込部214は、PCカード213aやフロッピーディスク213bに記録された駒画像データを読み出して制御部207に転送する。この画像読込部214は、画像転送手段230として、PCカード用アダプタ214a、フロッピーディスク用アダプタ214b等を有する。画像読込部214は、PCカード用アダプタ214aに差し込まれたPCカード213aや、フロッピーディスク用アダプタ214bに差し込まれたフロッピーディスク213bに記録された駒画像データを読み取り、制御部207に転送する。PCカード用アダプタ214aとしては、例えばPCカードリーダやPCカードスロット等が用いられる。
【0231】
通信手段(入力)232は、画像処理装置200が設置された施設内の別のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータから、撮像画像を表す画像データやプリント命令信号を受信する。
【0232】
画像書込部215は、画像搬送部231として、フロッピーディスク用アダプタ215a、MO用アダプタ215b、光ディスク用アダプタ215cを備えている。画像書込部215は、制御部207から入力される書込信号に従って、フロッピーディスク用アダプタ215aに差し込まれたフロッピーディスク216a、MO用アダプタ215bに差し込まれたMO216b、光ディスク用アダプタ215cに差し込まれた光ディスク216cに、生成された画像データを書き込む。
【0233】
データ蓄積手段271は、画像データとそれに対応する注文情報(どの駒の画像から何枚プリントを作成するかの情報、プリントサイズの情報等)とを記憶し、順次蓄積する。
【0234】
操作部211は、情報入力手段212を有する。情報入力手段212は、例えば、タッチパネル等により構成されており、情報入力手段212の押下信号を入力信号として制御部207に出力する。なお、操作部211は、キーボードやマウス等を備えて構成するようにしてもよい。CRT208は、制御部207から入力された表示制御信号に従って、画像データ等を表示する。
【0235】
通信手段(出力)233は、本発明の画像処理を施した後の撮影画像を表す画像データと付帯するオーダー情報を、画像処理装置200が設置された施設内の他のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータに対して送信する。
【0236】
このように画像処理装置200は、各種デジタルメディアの画像や画像原稿を分割測光して得られた画像情報を取り込む画像入力手段と、複数の感度の異なる画像データに対し、個々に空間周波数処理の条件を設定し、設定された条件に従って画像データに空間周波数処理を施し、さらに、処理結果に基づいて、広ダイナミックレンジ画像データを生成する、又は処理済み画像データを生成する等、本発明の特徴となる画像処理を施す画像処理手段と、広ダイナミックレンジ画像や処理済み画像データ等の処理済みの画像を表示、又はプリント出力、あるいは画像記録メディアに書き込む画像出力手段と、通信回線を介して施設内の別のコンピュータやインターネット等を介した遠方のコンピュータに対して画像データと付帯するオーダー情報を送信する手段とを有する。
【0237】
<画像処理部270の構成>
図27は、画像処理装置200の画像処理部270の機能的構成を示すブロック図である。画像処理部270は、図27に示すように、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703、画像調整処理部704、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部(1)706、プリンタ固有処理部(2)707、画像データ書式作成処理部708から構成される。
【0238】
フィルムスキャンデータ処理部701は、フィルムスキャナ部209から入力された画像データに対し、フィルムスキャナ部209固有の校正操作・ネガ原稿の場合のネガポジ反転、ゴミキズ除去、グレーバランス調整、コントラスト調整、粒状ノイズ除去、鮮鋭化強調等を施し、画像調整処理部704に出力する。また、フィルムスキャンデータ処理部701は、フィルムサイズ、ネガポジ種別、フィルムに光学的あるいは磁気的に記録されたISO感度、メーカー名、主要被写体に関わる情報・撮影条件に関する情報(例えばAPSの記載情報内容)等も併せて画像調整処理部704に出力する。
【0239】
反射原稿スキャンデータ処理部702は、反射原稿入力装置210から入力された画像データに対し、反射原稿入力装置210固有の校正操作、ネガ原稿の場合のネガポジ反転、ゴミキズ除去、グレーバランス調整、コントラスト調整、ノイズ除去、鮮鋭化強調等を施し、画像調整処理部704に出力する。
【0240】
画像データ書式解読処理部703は、画像転送手段230や通信手段(入力)232から入力された画像データのデータ書式に従って、必要に応じて圧縮符号の復元、色データの表現方法の変換等を行い、画像処理部270内の演算に適したデータ形式に変換し、画像調整処理部704に出力する。
【0241】
この他、フィルムスキャナ部209、反射原稿入力装置210、画像転送手段230、通信手段(入力)232からの主要被写体に関わる情報及び撮影条件に関する情報を補足・補充する形で、操作部211から該情報を画像調整処理部704に送ることもできる。
【0242】
出力画像の大きさについての指定は操作部211から入力される。この他に、通信手段(入力)232から取得した出力画像の大きさについて指定があった場合や、画像転送手段230が取得した画像データのヘッダ情報やタグ情報に埋め込まれた出力画像の大きさについての指定があった場合には、画像データ書式解読処理部703が該情報を検出し、画像調整処理部704へ出力する。
【0243】
画像調整処理部704は、操作部211又は制御部207の指令に基づいて、フィルムスキャナ部209、反射原稿入力装置210、画像転送手段230、通信手段(入力)232から受け取った画像情報に対して、複数の感度の異なる空間周波数処理の条件を設定し、設定された条件に従った空間周波数処理を行い、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部(1)706、プリンタ固有処理部(2)707、画像データ書式作成処理部708、データ蓄積手段271へ処理済みの画像信号を送出する。
【0244】
CRT固有処理部705は、画像調整処理部704から入力された画像データに対して、必要に応じて画素数変更やカラーマッチング等の処理を施し、制御情報等表示が必要な情報と合成した表示用の画像データをCRT208に出力する。
【0245】
プリンタ固有処理部(1)706は、画像調整処理部704から入力された画像データに対して、必要に応じてプリンタ固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行い、露光処理部204に出力する。
【0246】
画像処理装置200に、大判インクジェットプリンタ等の外部プリンタ234が接続されている場合には、接続されたプリンタ毎にプリンタ固有処理部(2)707が設けられている。このプリンタ固有処理部(2)707は、画像調整処理部704から入力された画像データに対して、適正なプリンタ固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行う。
【0247】
画像データ書式作成処理部708は、画像調整処理部704から入力された画像データに対して、必要に応じてJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、Exif(Exchangeable Image File Format)等に代表される各種の汎用画像フォーマットへの変換を行い、画像搬送部231や通信手段(出力)233に出力する。
【0248】
なお、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703、画像調整処理部704、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部(1)706、プリンタ固有処理部(2)707、画像データ書式作成処理部708という区分は、画像処理部270の機能の理解を助けるために設けた区分であり、必ずしも物理的に独立したデバイスとして実現される必要はなく、例えば、単一のCPUにおけるソフトウエア処理の種類の区分として実現されてもよい。また、本実施の形態における画像処理装置200は、上述の内容に限定されるものではなく、デジタルフォトプリンタ、プリンタドライバ、各種の画像処理ソフトのプラグイン等、種々の形態に適用することができる。
【0249】
<画像調整処理部704の処理>
次に、画像処理装置200の画像調整処理部704における処理の概要を説明する。
【0250】
まず、図28に示すように、画像処理装置200により、高感度画像データと低感度画像データが取得される(ステップS51)。画像データの取得方法としては、画像読込部214からデジタル画像データが読み込まれることとしてもよいし、外部機器から通信手段(入力)232を介して入力されてもよい。ここで、同一の被写体から得られた画像データ同士はタグ情報に記載される等の方法により関連付けられている。
【0251】
次に、高感度画像データと低感度画像データ各々の画像特性に応じて、個々に空間周波数処理条件が設定される(ステップS52)。
【0252】
そして、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS53)。そして、処理結果に基づいて広ダイナミックレンジ画像が生成される(ステップS54)。
【0253】
高感度画像データと、低感度画像データから広ダイナミックレンジ画像を生成する一連の処理については、第1の実施の形態において説明した広ダイナミックレンジ画像生成処理1(図16)や広ダイナミックレンジ画像生成処理2(図22)と同様であるので、説明を省略する。
【0254】
第4の実施の形態の画像処理装置200によれば、高感度画像データと低感度画像データ各々の特性に応じて個々に設定した条件に従って空間周波数処理を施すことにより、個々の画像データの鮮鋭性やノイズ特性を最適に処理することができるので、この処理結果に基づいて、視覚的・感覚的に高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【0255】
また、図16や図22に示す処理と同様に、高感度画像データと低感度画像データを複数の周波数帯域成分に分離し、鮮鋭性強調やノイズ除去処理をする画素や画素領域に対応する周波数帯域成分に対して処理を施すことにより、効率的に鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性を調整することができる。
【0256】
例えば、画像データの感度が高いほど高周波数帯域成分の信号強度を抑制することにより、ノイズが目立つ高感度画像データからはノイズの除去が可能となり、同時に、低感度画像データは細かい微細構造を損なわず、白とび等の極端に強いノイズのみを除去することができる。
【0257】
また、画像データの中周波数帯域成分の信号強度を、感度が高い画像データほど強調することにより、画像中で重要視される細かい構造を見やすくすることができる。
【0258】
このように、高周波数帯域成分と中周波数帯域成分の信号強度の調整を合わせて行うことにより、画像の鮮鋭化と、ノイズの除去が可能となる。したがって、全体にバランスのよい広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能となる。
【0259】
また、各感度画像データの輝度成分に対して周波数帯域別処理を施すことにより、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性の調整により効果がある。
【0260】
また、高感度画像データと低感度画像データに対し、多重解像度変換を行って各周波数帯域成分を算出し、各成分の信号強度を調整する処理を行うことにより、鮮鋭性を劣化させずに、かつ高精度にノイズを除去することができる。
【0261】
また、デジタルカメラ等の撮像装置側の処理負荷を低減させることができるため、撮像装置の小サイズ化・軽量化を図ることができる。
【0262】
なお、図28のステップS53の処理において生成された各感度の画像データの処理結果を、画像処理装置200とは物理的に独立した画像処理装置に出力し、その後の処理を別の画像処理装置において行うこととしてもよい。
【0263】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態の画像処理装置200について説明する。第5の実施の形態における画像処理装置200の構成及び機能については、第4の実施の形態と同様であるので、第4の実施の形態と同一の符号を付し、その図示及び説明を省略する。
【0264】
図29は、画像処理装置200の画像調整処理部704において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【0265】
まず、図29に示すように、画像処理装置200により、高感度画像データと低感度画像データが取得される(ステップS61)。
【0266】
次に、高感度画像データに対する鮮鋭化処理の鮮鋭性強調の効果が、低感度画像データに対する鮮鋭性強調の効果より小さくなるように、空間周波数処理条件が設定される(ステップS62)。
【0267】
そして、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS63)。
【0268】
高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データが生成される(ステップS64)。
【0269】
そして、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとが関連付けられて、ネットワークケーブル、ケーブル又は無線LAN等を介して別の画像処理装置に出力される(ステップS65)。
【0270】
第5の実施の形態の画像処理装置200によれば、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データを生成し、さらに、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとを関連付けて出力することにより、画像処理装置200内で広ダイナミックレンジ画像を生成する場合と比較して画像処理装置200の処理負荷が低減され、処理速度が上がる。
【0271】
また、各処理済み画像データをモニタに表示する等して、ユーザが画像の内容を確認したり管理したりする際に使いやすい。また、特定の感度の画像に対する処理の追加や補正が容易となる。
【0272】
また、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように空間周波数処理の条件を設定するので、高感度画像データのノイズ特性の劣化を抑えつつ、低感度画像データの鮮鋭性を強調することができる。
【0273】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態の画像処理装置200について説明する。第6の実施の形態における画像処理装置200の構成及び機能については、第4の実施の形態と同様であるので、第4の実施の形態と同一の符号を付し、その図示及び説明を省略する。
【0274】
図30は、画像処理装置200の画像調整処理部704において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【0275】
まず、図30に示すように、画像処理装置200により、高感度画像データと低感度画像データが取得される(ステップS71)。
【0276】
次に、高感度画像データに対するノイズ除去の効果が、低感度画像データに対するノイズ除去の効果より大きくなるように、空間周波数処理条件が設定される(ステップS72)。
【0277】
そして、設定された条件に基づいて、高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施される(ステップS73)。
【0278】
高感度画像データと低感度画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データが生成される(ステップS74)。
【0279】
処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データは、同一の被写体から得られた処理済み画像データ同士が関連付けられて、記録媒体に記録される(ステップS75)。記録媒体としては、メモリカード、CD−R、DVD−R等が用いられる。
【0280】
第6の実施の形態の画像処理装置200によれば、同一の被写体から得られた処理済み高感度画像データと処理済み低感度画像データとを関連付けて記録媒体に記録することにより、ケーブルやネットワーク等でデータ転送が不可能な状況にある別の画像処理装置において、広ダイナミックレンジ画像の生成が可能となる。
【0281】
また、第5の実施の形態と同様に、各処理済み画像データをモニタに表示する等して、ユーザが画像の内容を確認したり管理したりする際に使いやすい。また、特定の感度の画像に対する処理の追加や補正が容易となる。
【0282】
また、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように空間周波数処理の条件を設定するので、ノイズが視覚的に目立ちやすい高感度の画像データほど強度にノイズを除去することができる。
【0283】
なお、上記の各実施の形態においては、画像撮像装置100により撮像される画像データ又は画像処理装置200により取得される画像データの感度が、高感度画像データと低感度画像データの2つの場合について説明したが、感度の異なる画像データは3つ以上であってもよい。
【0284】
また、上記の各実施の形態においては、感度の異なる画像データから合成される広ダイナミックレンジ画像データが1つの場合について説明したが、感度の異なる複数の画像データのうち、任意の画像データを組み合わせて合成し、複数の広ダイナミックレンジ画像データを生成することとしてもよい。
【0285】
また、上記の各実施の形態において、複数の感度の異なる画像データに対する個々の周波数帯域別処理の条件の設定にあたっては、同一の周波数帯域成分の調整の強度を変更してもよく、調整する周波数帯域を変更してもよい。また、複数の画像データが3つ以上ある場合には、複数の画像データの条件を全て異なるものにしてもよいが、複数の画像データのうち、一部の感度レベルが隣り合う2つ以上の画像データについて同一の条件を設定してもよい。
【0286】
また、上記の各実施の形態において、画像データ等の取得、記録又は保存に用いられる記録媒体は、コンパクトフラッシュ、メモリースティック、スマートメディア、マルチメディアカード、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気記憶媒体(MO)、CD−R等、いずれであってもよい。また、記録媒体に画像データ等を書き込むユニットは、画像撮像装置100や画像処理装置200と一体であってもよいし、コードを介して有線状態で接続された書き込みユニットであってもよいし、通信やインターネットを介して無線状態で接続された独立のユニットであってもよいし、あるいは遠隔地に設置されたユニット等であってもよい。さらに、画像データのファイル形式は、撮像装置固有の形式ではなく、TIFF、JPEG、Exif等の規格化された汎用のファイル形式で記録媒体に記録されるのが好ましい。
【0287】
【発明の効果】
請求項1、14、27に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データの特性に応じて個々に設定した条件に従って空間周波数処理を施すことにより、個々の画像データの鮮鋭性やノイズ特性を最適に処理することができる。
【0288】
請求項2、15、28に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データに対して、各々の特性に応じた空間周波数処理を施した結果に基づいて、広ダイナミックレンジ画像を生成するので、高画質な広ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【0289】
請求項3、16、29に記載の発明によれば、処理済み画像データを生成し、さらに、同一の被写体から得られた複数の処理済み画像データを関連付けて出力することにより、装置内で広ダイナミックレンジ画像を生成する場合と比較して装置の処理負荷が低減され、処理速度が上がる。
【0290】
請求項4、17、30に記載の発明によれば、同一の被写体から得られた複数の処理済み画像データを関連付けて記録媒体に記録することにより、ケーブルやネットワーク等でデータ転送が不可能な状況にある画像処理装置において、広ダイナミックレンジ画像の生成が可能となる。
【0291】
請求項5、18、31に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、空間周波数処理の条件を設定するので、高感度の画像データのノイズ特性の劣化を抑えつつ、低感度の画像データの鮮鋭性を強調することができる。
【0292】
請求項6、19、32に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定するので、ノイズが視覚的に目立ちやすい高感度の画像データほど強度にノイズを除去することができる。
【0293】
請求項7、20、33に記載の発明によれば、感度の異なる画像データを複数の周波数帯域成分に分離し、鮮鋭性強調やノイズ除去処理をする画素や画素領域に対応する周波数帯域成分に対して処理を施すことができるので、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性を調整するのに効率的である。
【0294】
請求項8、21、34に記載の発明によれば、画像データの感度が高いほど高周波数帯域成分の信号強度を抑制するので、ノイズが目立つ高感度画像データからはノイズの除去が可能となり、同時に、低感度画像データは細かい微細構造を損なわず、白とび等の極端に強いノイズのみを除去することができる。
【0295】
請求項9、22、35に記載の発明によれば、画像データの中周波数帯域成分の信号強度を、感度が高い画像データほど強調することにより、画像中で重要視される細かい構造を見やすくすることができる。
【0296】
請求項10、23、36に記載の発明によれば、高周波数帯域成分と中周波数帯域成分の信号強度の調整を合わせて行うことにより、画像の鮮鋭化と、ノイズの除去が可能となる。したがって、全体にバランスのよい広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能となる。
【0297】
請求項11、24、37に記載の発明によれば、各感度画像データの輝度成分に対して周波数帯域別処理を施すことにより、鮮鋭性やノイズ除去等の画像特性の調整により効果がある。
【0298】
請求項12、25、38に記載の発明によれば、感度の異なる複数の画像データに対し、多重解像度変換を行って各周波数帯域成分を算出し、各成分の信号強度を調整する処理を行うことにより、鮮鋭性を劣化させずに、かつ高精度にノイズを除去することができる。
【0299】
請求項13、26、39に記載の発明によれば、二項ウェーブレット変換を用いることにより、各感度の画像データに異なる条件で処理をしているにも関わらず、画像データから高精度にノイズを除去することができ、かつ、ノイズ除去後の画像において質感のつながりを自然で、違和感のないものにすることができる。また、画像中で鮮鋭化がなされた箇所についても、周囲から浮いたような不自然さがなく、自然な質感を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抑制調整関数の例を示す図である。
【図2】強調調整関数の例を示す図である。
【図3】ウェーブレット変換において用いられるウェーブレット関数を示した図である。
【図4】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換におけるフィルタ処理を示す図である。
【図5】2次元信号における1レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換を示す図である。
【図6】3レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換で信号分解される過程を示す模式図である。
【図7】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換で分解された信号をウェーブレット逆変換により再構成する方法を示す図である。
【図8】入力信号Sの波形と、二項ウェーブレット変換により得られる各レベルの補正済高周波成分の波形を示す図である。
【図9】2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換を示す図である。
【図10】2次元信号における1レベル二項ウェーブレット逆変換を示す図である。
【図11】2次元信号における二項ウェーブレット変換処理の概念を示す図である。
【図12】画像撮像装置100のブロック図である。
【図13】画像撮像装置100のCCD3における撮像素子の配置を示す図である。
【図14】低感度撮像素子18、高感度撮像素子19によって得られる画像データのダイナミックレンジの概念図である。
【図15】第1の実施の形態における画像撮像装置100の画像処理部7において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図16】広ダイナミックレンジ画像生成処理1のフローチャートである。
【図17】多重解像度変換に、1レベルの双直交ウェーブレット変換を採用した場合の高周波数帯域成分に対する抑制処理、中周波数帯域成分に対する強調処理について説明する図である。
【図18】図17の双直交ウェーブレット変換におけるフィルタ係数を示す図である。
【図19】多重解像度変換に、2レベルの二項ウェーブレット変換を採用した場合の高周波数帯域成分に対する抑制処理、中周波数帯域成分に対する強調処理について説明する図である。
【図20】図19の二項ウェーブレット変換におけるフィルタ係数を示す図である。
【図21】図19の二項ウェーブレット変換における補正係数γを示す図である。
【図22】広ダイナミックレンジ画像生成処理2のフローチャートである。
【図23】第2の実施の形態における画像撮像装置100の画像処理部7において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図24】第3の実施の形態における画像撮像装置100の画像処理部7において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図25】画像処理装置200の概観構成を示す斜視図である。
【図26】画像処理装置200の内部構成を示すブロック図である。
【図27】画像処理装置200の画像処理部270の機能的構成を示すブロック図である。
【図28】第4の実施の形態における画像処理装置200の画像調整処理部704において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図29】第5の実施の形態における画像処理装置200の画像調整処理部704において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図30】第6の実施の形態における画像処理装置200の画像調整処理部704において実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 画像撮像装置
1 レンズ
2 絞り
3 CCD
4 アナログ処理回路
5 A/D変換器
6 一時記憶メモリ
7 画像処理部
8 出力部
9 記憶デバイス
10 CCD駆動回路
11 制御部
14 操作部
15 表示部
18 低感度撮像素子
19 高感度撮像素子
200 画像処理装置
204 露光処理部
205 プリント作成部
207 制御部
208 CRT
209 フィルムスキャナ部
210 反射原稿入力装置
211 操作部
214 画像読込部
215 画像書込部
230 画像転送手段
231 画像搬送部
232 通信手段(入力)
233 通信手段(出力)
234 外部プリンタ
270 画像処理部
271 データ蓄積手段
701 フィルムスキャンデータ処理部
702 反射原稿スキャンデータ処理部
703 画像データ書式解読処理部
704 画像調整処理部
705 CRT固有処理部
706 プリンタ固有処理部(1)
707 プリンタ固有処理部(2)
708 画像データ書式作成処理部

Claims (39)

  1. 被写体を撮像し、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを生成する撮像手段と、
    前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定手段と、
    前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理手段と、
    を備えることを特徴とする画像撮像装置。
  2. 請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成手段を備えることを特徴とする画像撮像装置。
  3. 請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする画像撮像装置。
  4. 請求項1に記載の画像撮像装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、
    を備えることを特徴とする画像撮像装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、
    前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、
    前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、
    前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像撮像装置。
  8. 請求項7に記載の画像撮像装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置。
  9. 請求項7に記載の画像撮像装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置。
  10. 請求項7に記載の画像撮像装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像撮像装置。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、
    前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像撮像装置。
  12. 請求項7〜11のいずれか一項に記載の画像撮像装置において、
    前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像撮像装置。
  13. 請求項12に記載の画像撮像装置において、
    多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像撮像装置。
  14. 被写体を撮像して生成された、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを取得する取得手段と、
    前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定手段と、
    前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  15. 請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
  16. 請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  17. 請求項14に記載の画像処理装置において、さらに、
    前記空間周波数処理手段により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成手段と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  18. 請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置。
  19. 請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置。
  20. 請求項14〜17のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、
    前記条件設定手段は、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像処理装置。
  21. 請求項20に記載の画像処理装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置。
  22. 請求項20に記載の画像処理装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置。
  23. 請求項20に記載の画像処理装置において、
    前記条件設定手段は、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理装置。
  24. 請求項20〜23のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像処理装置。
  25. 請求項20〜24のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
    前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像処理装置。
  26. 請求項25に記載の画像処理装置において、
    多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理装置。
  27. 画像処理を実行するためのコンピュータに、
    被写体を撮像して生成された、同一の被写体を表す感度の異なる複数の画像データを取得する取得機能と、
    前記複数の画像データの各々に施す空間周波数処理の条件を個々に設定する条件設定機能と、
    前記設定された空間周波数処理条件に従って、前記複数の画像データに空間周波数処理を施す空間周波数処理機能と、
    を実現させるための画像処理プログラム。
  28. 請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記コンピュータに、さらに、
    前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、少なくとも1つの広ダイナミックレンジ画像を生成する画像合成機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。
  29. 請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記コンピュータに、さらに、
    前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成機能と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて出力する出力機能と、
    を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。
  30. 請求項27に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記コンピュータに、さらに、
    前記空間周波数処理機能により前記複数の画像データに空間周波数処理が施された結果に基づいて、複数の処理済み画像データを生成する処理済み画像データ生成機能と、
    前記複数の処理済み画像データを、関連付けて記録媒体に記録する記録機能と、
    を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。
  31. 請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記空間周波数処理には少なくとも鮮鋭化処理が含まれており、
    前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、鮮鋭性強調の効果が小さくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  32. 請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記空間周波数処理には少なくともノイズ除去処理が含まれており、
    前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、ノイズ除去の効果が大きくなるように、前記空間周波数処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  33. 請求項27〜30のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記空間周波数処理には少なくとも周波数帯域別処理が含まれており、
    前記条件設定機能において、前記複数の画像データの各々に施す周波数帯域別処理の条件を個々に設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  34. 請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  35. 請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  36. 請求項33に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記条件設定機能において、設定の対象となる画像データの感度が高いほど、高周波数帯域成分の信号強度を抑制し、かつ、中周波数帯域成分の信号強度を強調するように、前記周波数帯域別処理の条件を設定することを特徴とする画像処理プログラム。
  37. 請求項33〜36のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記周波数帯域別処理は、前記複数の画像データの輝度成分に対して施されることを特徴とする画像処理プログラム。
  38. 請求項33〜37のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記周波数帯域別処理は、多重解像度変換を用いて行うことを特徴とする画像処理プログラム。
  39. 請求項38に記載の画像処理プログラムにおいて、
    多重解像度変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理プログラム。
JP2003117113A 2003-04-22 2003-04-22 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム Pending JP2004328137A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003117113A JP2004328137A (ja) 2003-04-22 2003-04-22 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003117113A JP2004328137A (ja) 2003-04-22 2003-04-22 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004328137A true JP2004328137A (ja) 2004-11-18

Family

ID=33497111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003117113A Pending JP2004328137A (ja) 2003-04-22 2003-04-22 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004328137A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007129533A1 (ja) * 2006-05-09 2007-11-15 Sharp Kabushiki Kaisha 撮像装置
US10621711B2 (en) 2015-10-02 2020-04-14 Sony Semiconductor Solutions Corporation Image processing device and image processing method for synthesizing plurality of images
CN115242968A (zh) * 2022-06-10 2022-10-25 浙江大华技术股份有限公司 一种摄像设备的聚焦方法、装置和计算机可读存储介质

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007129533A1 (ja) * 2006-05-09 2007-11-15 Sharp Kabushiki Kaisha 撮像装置
US10621711B2 (en) 2015-10-02 2020-04-14 Sony Semiconductor Solutions Corporation Image processing device and image processing method for synthesizing plurality of images
CN115242968A (zh) * 2022-06-10 2022-10-25 浙江大华技术股份有限公司 一种摄像设备的聚焦方法、装置和计算机可读存储介质

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI467495B (zh) 利用全彩像素映射邊緣
JP5291084B2 (ja) パンクロマティック画素を組み込むエッジマッピング
US7260266B2 (en) Image processing method, image processing apparatus, image processing program and image recording apparatus
JP2004517384A (ja) 動的な画像訂正および画像システム
JP2002300402A (ja) 画像処理装置、方法及び記録媒体
US7548656B2 (en) Method and apparatus for processing image signals by applying a multi-resolution conversion processing for reducing the image size and applying a dyadic wavelet transform
US20230062438A1 (en) Information processing apparatus, information processing system, information processing method, and storage medium
JP2004096506A (ja) 画像形成方法、画像処理装置及び画像記録装置
JP2005196270A (ja) 画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラム
JP7296745B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
US20120057808A1 (en) Image processing apparatus and method for controlling image processing apparatus
JP2004193957A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像記録装置
JP2004328137A (ja) 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム
JP4040528B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体、および画像処理装置を備えた画像形成装置
JP2004240732A (ja) 画像合成方法、画像合成装置、画像合成プログラム及び画像記録装置
JP4337386B2 (ja) 画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置
US20040213477A1 (en) Image-processing method and apparatus, computer program for executing image processing and image-recording apparatus
JP2004240955A (ja) 画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置
JP2004193956A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像記録装置
JP2004328534A (ja) 画像形成方法、画像処理装置及び画像記録装置
JP2004328132A (ja) 画像撮像装置、画像処理装置及び画像処理プログラム
JP2004194225A (ja) 画像処理方法、画像処理装置、プログラム及び画像記録装置
JP2005141659A (ja) 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像処理プログラムを記録した記録媒体
JP2005031809A (ja) 画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラム
JP2004200790A (ja) 画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040830