JP2004200790A - 画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置 - Google Patents

画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置 Download PDF

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千鶴子 池田
Jo Nakajima
丈 中嶋
Tsukasa Ito
司 伊藤
Takeshi Hattori
毅 服部
Shoichi Nomura
庄一 野村
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Abstract

【課題】圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像の画像劣化に対する補正機能の向上を図る。
【解決手段】画像調整処理部704は、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像信号を輝度信号と色差信号に変換し、輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して、多重解像度変換(例えば、二項ウェーブレット変換)を施すことによって、圧縮符号化に起因する画像劣化の箇所を抽出し、抽出された画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の高周波帯域成分信号を用いて、その画像劣化画素の高周波帯域成分信号の信号値の1階微分値が連続するように、画像劣化を補正する処理をする。
【選択図】図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルスチルカメラや銀塩カメラで撮像したフィルム画像をデジタル画像データとして提供するフィルムデジタイズサービスが普及してきる。これに伴い、一般ユーザがデジタル画像データを扱う機会が増えてきており、例えば、CD−R等の記録媒体に記録、保存してある画像データを、ディスプレイモニタに表示して鑑賞したり、手持ちのプリンタで出力したり、銀塩プリントの出力を店舗に依頼したりと、複数の出力媒体を介して出力して鑑賞することが可能になっている。また、画像データをインターネット上のホームページに掲載したりすることも可能になっている。
【0003】
このような背景から、画像の高画質化が要求されるようになり、デジタルカメラ等の撮影画像の画素数が増大してきている。このように画像データの画素数が大きくなると、画像データの容量は増大し、インターネット等を介して画像データのやりとりをする際の通信負荷が大きくなる。このため、画像データに対して圧縮符号化処理を施すことが一般化している。
【0004】
一般に、画像データに対して高い圧縮率で圧縮符号化処理が施された後に復号化処理が施された画像には、ブロックノイズやモスキートノイズなど、圧縮符号化に起因する画像劣化が生じることが知られている。このため、従来から、このような画像劣化を抽出して補正する画像処理技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献1には、圧縮符号化処理により画質劣化が生じた画像信号をフィルタリングによって処理することにより画質向上を図る技術が提案されている。この特許文献1では、画質劣化が生じた画像信号を複数の正方ブロックに分割し、分割された画像領域内の濃度変化がなだらかであるか急峻であるか否かを判定し、濃度変化がなだらかである場合をブロックノイズ、濃度変化が急峻である場合をモスキートノイズとして抽出し、抽出されたノイズに対して平滑化処理を施している。
【0006】
また、特許文献2では、圧縮符号化処理により発生したブロックノイズを除去するために、劣化された画像にウェーブレット変換を施すことによってエッジ部を検出し、ブロックノイズを抽出する技術が提案されている。特許文献2では、"Characterization of signals from multiscale edges" by S.Mallat and S.Zhong, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel. 14 710 (1992)に記載されているウェーブレット変換を使用することによって、画像中のエッジを抽出し、抽出したノイズに補正処理を施している。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−130797号公報
【特許文献2】
米国特許第6389177号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の技術にあっては、以下のような問題があった。
特許文献1に開示された技術では、抽出されたノイズに対し、正方ブロック内で平滑化処理を施しているために、画像劣化の補正処理後に、複数のブロックをまたぐ被写体や、広範囲にグラデーションをもって広がる青空等の被写体において、不連続性を誘発することが考慮されていなかった。従って、画像劣化が補正された画像に不自然さが残ってしまうという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に開示された技術では、圧縮符号化に起因するノイズやアーティファクトを抽出する際、ノイズの発生する振る舞いが、輝度と色差で異なることや、圧縮符号化処理の種類や圧縮率によって、発生するノイズの特性が異なることが考慮されていないため、画像劣化が十分に補正されているとは言えなかった。また、特許文献2の技術では、圧縮符号化処理の原理を利用して、数画素×数画素の大きさのブロック内で画像劣化の補正処理を行っているため、特許文献1と同様に、複数のブロックをまたぐ被写体や、広範囲にグラデーションをもって広がる青空等の被写体において、不連続性を誘発することが考慮されていなかった。
【0010】
本発明の課題は、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像の画像劣化に対する補正機能の向上を図ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得工程と、前記画像信号取得工程において取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換工程と、前記画像信号取得工程において取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出工程と、前記抽出工程における抽出結果に基づいて、前記変換工程において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正工程と、を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得部と、前記画像信号取得部により取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換部と、前記画像信号取得部により取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出部と、前記抽出部による抽出結果に基づいて、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項15に記載の発明は、画像処理を実行するためのコンピュータに、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得させる画像信号取得機能と、前記画像信号取得機能において取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換させる変換機能と、前記画像信号取得機能において取得された画像信号から、画像劣化を抽出させる抽出機能と、前記抽出機能における抽出結果に基づいて、前記変換機能において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正させる補正機能と、を実現させる。
【0014】
請求項22に記載の発明は、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得部と、前記画像信号取得部により取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換部と、前記画像信号取得部により取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出部と、前記抽出部による抽出結果に基づいて、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正部と、前記補正部により補正された画像を表す画像信号を出力して出力媒体に記録する画像記録部と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項1、8、15、22に記載の発明によれば、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像信号を輝度信号と色差信号に変換し、これらの一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように画像劣化を補正することにより、画像劣化の補正機能が向上し、違和感のない良好な補正画像を得ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項に1記載の画像処理方法において、前記抽出工程において、前記変換工程において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化が抽出されることを特徴としている。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像処理装置において、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出することを特徴としている。
【0018】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像処理プログラムにおいて、前記抽出機能を実現させる際に、前記変換機能において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出させることを特徴としている。
【0019】
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の画像記録装置において、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出することを特徴としている。
【0020】
請求項2、9、16、23に記載の発明によれば、輝度信号と色差信号の一方又は双方に多重解像度変換を施すことによって画像劣化を抽出することにより、特性の異なる画像劣化(ブロックノイズ、モスキートノイズ、リンギング等)であっても十分に補正することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理方法において、前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置において、前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の画像処理プログラムにおいて、前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0024】
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の画像記録装置において、前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0025】
請求項3、10、17、24に記載の発明によれば、復号化処理が施された画像の輝度信号と色差信号の一方又は双方にウェーブレット変換を施すことにより、特性の異なる画像劣化を十分に補正することができる。また、自然な質感を有する補正画像を得ることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理方法において、前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像処理装置において、前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0028】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の画像処理プログラムにおいて、前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0029】
請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の画像記録装置において、前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴としている。
【0030】
請求項4、11、18、25に記載の発明によれば、復号化処理が施された画像の輝度信号と色差信号の一方又は双方に、二項ウェーブレット変換を施すことにより、双直交ウェーブレット変換等の他のウェーブレット変換を適用した場合より、一層自然な質感を有する補正画像を得ることができる。特に、青空等の明るさの変化がなめらかである同系色の画像や、アップで撮影された人物の肌部の画像や、グラデーションが一方向に向いている画像の補正に効果的である。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理方法において、前記変換工程において、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式が決定されることを特徴としている。
【0032】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11の何れか一項に記載の画像処理装置において、前記変換部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することを特徴としている。
【0033】
請求項19に記載の発明は、請求項15〜18の何れか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記変換機能を実現させる際に、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定させることを特徴としている。
【0034】
請求項26に記載の発明は、請求項22〜25の何れか一項に記載の画像記録装置において、前記変換部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することを特徴としている。
【0035】
請求項5、12、19、26に記載の発明によれば、圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することにより、画像劣化が生じた表色系と同一の表色系で補正処理を施すことが可能になり、補正効果が向上し、より自然な補正画像を得ることができる。
【0036】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理方法において、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容が決定されることを特徴としている。
【0037】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12の何れか一項に記載の画像処理装置において、前記補正部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定することを特徴としている。
【0038】
請求項20に記載の発明は、請求項15〜19の何れか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正機能を実現させる際に、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定させることを特徴としている。
【0039】
請求項27に記載の発明は、請求項22〜26の何れか一項に記載の画像記録装置において、前記補正部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定することを特徴としている。
【0040】
請求項6、13、20、27に記載の発明によれば、圧縮符号化処理の原理や圧縮符号化処理の条件によって、圧縮符号化処理に起因する画像劣化の発生強度や画像中の発生場所や特性が変化することから、圧縮符号化処理の内容に応じて画像劣化の補正処理の内容を変更することにより、良好な補正画像を得ることができる。
【0041】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像処理方法において、前記補正工程において、補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容が決定されることを特徴としている。
【0042】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13の何れか一項に記載の画像処理装置において、前記補正部は、補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定することを特徴としている。
【0043】
請求項21に記載の発明は、請求項15〜20の何れか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正機能を実現させる際に、前記補正機能における補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定させることを特徴としている。
【0044】
請求項28に記載の発明は、請求項22〜27の何れか一項に記載の画像記録装置において、前記補正部は、前記補正部による補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定することを特徴としている。
【0045】
請求項7、14、21、28に記載の発明によれば、補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて、画像劣化の補正処理の内容が決定されることにより、効率的に画像劣化を補正することができる。
【0046】
次に、本発明において使用される語句について詳細に説明する。
【0047】
本願明細書の記載において「圧縮符号化」とは、カラー画像を圧縮することを示し、例えば、JPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)方式、JPEG2000方式等の圧縮技術を示す。
【0048】
また、「画像劣化」とは、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像に、圧縮符号化処理のアルゴリズムに起因する劣化が生じることを示す。例えば、JPEG方式等の圧縮符号化後に復号化処理が施された画像には、一般に、ブロックノイズと呼ばれる、画像一面に格子状にエッジ状の画像劣化が生じることが知られている。また、JPEG方式での圧縮率を高くしてファイル容量を小さくしたとき、高域成分を含んだ映像やエッジ部分に、モスキートノイズと呼ばれる画像劣化が生じる。
【0049】
更に、「画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する」操作とは、例えば、画像を表すRGBの3色の強度信号を、当業者間で公知のYIQ基底、HSV基底、YUV基底、YCrCb基底等に変換するか、sRGBやNTSCなどに規格に基づいて、CIE1931表色系のXYZ基底、CIE1976の勧告するL*a*b*基底、L*u*v*基底等に変換する操作を意味する。本発明における輝度信号と色差信号の分離は色彩学的に完全に緻密な変換でなくてもよく、例えば、特開昭63−26783号公報の実施例に見られるようなRGBの平均値を輝度信号とし、これに直交する2軸を色差信号とするような変換も含まれる。
【0050】
また、本願明細書の記載において「1階微分値が連続する」とは、画像信号(輝度信号、色差信号)の画素間における信号強度の変化(傾き)が、滑らかに連続的になる状態をいう。
【0051】
ここで、「輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように」復号化された画像を補正するのは、圧縮符号化に起因する画像劣化の発生状況が、輝度信号と色差信号で異なっていることによる。例えば、圧縮符号化処理の種類や条件、画像の構成(被写体)によって、ブロックノイズの発生の様子(例えば、格子の大きさ、更には1つの格子の中に更に小さい格子状のノイズが重畳する様子)は変化し、その変化の様子も輝度信号と色差信号で異なっている。
【0052】
例えば、輝度信号では、8画素×8画素のブロックノイズが目立ち、色差信号では、16画素×16画素のブロックノイズが目立っていたものが、圧縮符号化処理の処理条件を変更することで、色差信号に生ずるブロックノイズのみ格子の大きさが8画素×8画素に変換するなど、輝度信号と色差信号で異なる。
【0053】
輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値を連続させるには、以下の手法を採用する。例えば、ブロックノイズが抽出された場合、輝度信号、色差信号毎に、抽出された画像劣化画素の周辺の非画像劣化画素の信号値を用いて、画像劣化画素の信号値の1階微分値が連続するように、各画像劣化画素に対する補間処理をする。
【0054】
モスキートノイズやリンギングが抽出された場合、これらの画像劣化が画像中の急峻な濃度変化を有するエッジの近傍に発生することから、画像劣化画素の信号値の1階微分値を、エッジの急峻さに応じて補正するようにしてもよい。特に、色差信号に関しては、画像劣化画素の周辺の非画像劣化画像の信号値を用いて、画像劣化画素の信号値の1階微分値が連続するように、各画像劣化画素に対する補間処理をする。輝度信号に関しては、画像劣化画素の信号値の1階微分値を0にするか、エッジの急峻さに応じて画像劣化画素の信号値の1階微分値を減衰させるようにすればよい。なお、エッジを検出する方法は、ソベール(Sobel)フィルタやラプラシアンフィルタを用いるなど、当業界で広く知られている手法をとることが可能である。
【0055】
なお、1階微分値を連続させる処理を、輝度信号と色差信号の一方に適用するか双方に適用するかは、補正を施す対象となる画像劣化の特性に応じて選択されることが好ましい。
【0056】
請求項2、9、16、23に記載された「多重解像度変換」とは、ウェーブレット変換、完全再構成フィルタバンク、ラプラシアンピラミッド等に代表される手法の総称をいい、1回の変換操作により入力信号を低周波帯域成分信号と高周波帯域成分信号に分解し、得られた低周波帯域成分信号に対して同様の変換操作を行い、周波数帯域が異なる複数の信号からなる多重解像度信号を得るものである。得られた多重解像度信号を加工せずにそのまま逆多重解像度変換した場合、元の信号が再構成される。こうした手法については、例えば、“Wavelet and Filter Banks" by G. Strang & T. Nguyen, Wellesley-Cambridge Press(邦訳 「ウェーブレット解析とフィルタバンク」, G.ストラング・T.グエン共著, 培風館)に詳細な解説がなされている。
【0057】
本発明において、多重解像度変換は、画像劣化の抽出及び補正のために用いられる。具体的には、輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、信号中の高周波帯域成分を算出し、算出された高周波帯域成分から画像劣化を抽出する。そして、抽出された画像劣化画素の高周波帯域信号を、画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の高周波帯域成分を用いて補間する処理を行う。
【0058】
次に、請求項3、10、17、24に記載されたウェーブレット変換の概要を説明する。ウェーブレット変換とは、図1に例示されるような有限範囲で振動するウェーブレット関数(下記式(1))を用いて、入力信号f(x)に対するウェーブレット変換係数〈f、ψa,b〉を、下記式(2)のように求めることにより、下記式(3)で示されるウェーブレット関数の総和に分解する変換である。
【数1】
Figure 2004200790
【数2】
Figure 2004200790
【数3】
Figure 2004200790
【0059】
上記式(1)〜(3)において、aはウェーブレット関数のスケールを表し、bはウェーブレット関数の位置を示す。図1に例示するように、スケールaの値が大きいほどウェーブレット関数ψa,b(x)の周波数は小さくなり、位置bの値に従ってウェーブレット関数ψa,b(x)が振動する位置が移動する。従って、上記式(3)は、入力信号f(x)を、種々のスケールと位置を有するウェーブレット関数ψa,b(x)の総和に分解することを意味している。
【0060】
上述のような変換を可能にするウェーブレット関数は多くのものが知られているが、画像処理分野では計算が高速な直交ウェーブレット(orthogonal wavelet)変換、双直交ウェーブレット(biorthogonal wavelet)変換が広く用いられている。以下、直交ウェーブレット・双直交ウェーブレットの変換計算の概要を説明する。
【0061】
直交ウェーブレット変換及び双直交ウェーブレット変換のウェーブレット関数は、下記式(4)のように定義される。
【数4】
Figure 2004200790
但し、iは自然数である。
【0062】
式(4)と式(1)を比べると、直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換においては、スケールaの値が2のi乗で離散的に定義され、また位置bの最小移動単位が2iで離散的に定義されていることがわかる。このiの値はレベルと呼ばれる。
【0063】
レベルiを有限な上限Nまでに制限すると、入力信号f(x)は、下記式(5)〜(7)のように表される。
【数5】
Figure 2004200790
【数6】
Figure 2004200790
【数7】
Figure 2004200790
【0064】
式(5)の第2項は、レベル1のウェーブレット関数ψ1,j(x)の総和で表せない残差の低周波数帯域成分を、レベル1のスケーリング関数φ1,j(x)の総和で表したものである。スケーリング関数はウェーブレット関数に対応して適切なものが用いられる(段落番号0056に記載の文献を参照)。式(5)に示すレベル1のウェーブレット変換によって、入力信号f(x)=S0は、レベル1の高周波数帯域成分W1と低周波数帯域成分S1に信号分解されたことになる。
【0065】
ウェーブレット関数ψi,j(x)の最小移動単位は2iゆえ、入力信号S0の信号量に対して、高周波数帯域成分W1と低周波数帯域成分S1の信号量は各々1/2となり、高周波数帯域成分W1と低周波数帯域成分S1の信号量の総和は、入力信号S0の信号量と等しくなる。レベル1の低周波数帯域成分S1は、式(6)でレベル2の高周波数帯域成分W2と低周波数帯域成分S2に分解され、以下同様にレベルN迄の変換を繰り返すことで、入力信号S0は、式(7)に示すように、レベル1〜Nの高周波数帯域成分の総和と、レベルNの低周波数帯域成分の和に分解される。
【0066】
ここで、式(6)で示す1レベルのウェーブレット変換は、図2に示すようなフィルタ処理で計算できることが知られている。図2において、LPFはローパスフィルタ、HPFはハイパスフィルタを示している。ローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFのフィルタ係数は、ウェーブレット関数に応じて適切に定められる(段落番号0056に記載の文献を参照)。図2において、2↓は、信号を1つおきに間引くダウンサンプリングを示す。
【0067】
図2に示すように、入力信号Sn-1を、ローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFで処理して、信号を1つおきに間引くことにより、入力信号Sn-1を、高周波帯域成分Wnと低周波帯域成分Snに分解することができる。
【0068】
画像信号のような2次元信号における1レベルのウェーブレット変換は、図3に示すようなフィルタ処理で計算される。図3において、LPFx、HPFx、2↓xはx方向の処理を示し、LPFy、HPFy、2↓yは、y方向の処理を示す。まず、入力信号Sn-1をx方向のローパスフィルタLPFx、ハイパスフィルタHPFxによりフィルタ処理を行い、x方向にダウンサンプリングする。これにより、入力信号Sn-1は、低周波帯域成分SXnと高周波帯域成分WXnに分解される。低周波帯域成分SXnと高周波帯域成分WXnの各々に対して、y方向のローパスフィルタLPFy、ハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理を行い、y方向にダウンサンプリングする。
【0069】
この1レベルのウェーブレット変換により、低周波数帯域成分Sn-1は、3つの高周波数帯域成分Wvn、Whn、Wdnと、1つの低周波数帯域成分Snに分解される。分解で生成されるWvn、Whn、Wdn、Snの各々の信号量は、分解前のSn-1に比べて縦横ともに1/2となるため、分解後の4成分の信号量の総和は、分解前のSn-1の信号と等しくなる。
【0070】
入力信号S0が3レベルのウェーブレット変換で信号分解される過程を模式的に図4に示す。図4に示すように、レベル数が大きくなるにつれて、ダウンサンプリングにより画像信号が間引かれ、分解画像が小さくなっていくことがわかる。
【0071】
また、図5に示すように、分解によって生成したWvn, Whn, Wdn, Snに対し、フィルタ処理で計算されるウェーブレット逆変換を施すことにより、分解前の信号Sn-1を完全再構成できることが知られている。図5において、LPF'は、逆変換用のローパスフィルタ、HPF'は、逆変換用のハイパスフィルタを示している。また、2↑は、信号に1つおきにゼロを挿入するアップサンプリング処理を示す。また、LPF'x、HPF'x、2↑xは、x方向の処理を示し、LPF'y、HPF'y、2↑yはy方向の処理を示す。
【0072】
図5に示すように、Snをy方向にアップサンプリング処理及びローパスフィルタLPF'yによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号と、Whnをy方向におけるアップサンプリング処理及びハイパスフィルタHPF'yによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号とを加算してSXnを得る。これと同様にして、WvnとWdnからWXnを生成する。
【0073】
さらに、SXnをx方向においてアップサンプリング処理及びローパスフィルタLPF'xによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号と、WXnをx方向においてアップサンプリング処理及びハイパスフィルタHPF'xによるフィルタ処理を施すことにより得られる信号とを加算することにより、分解前の信号Sn-1を再構成することができる。
【0074】
ウェーブレット逆変換の際に用いられるフィルタは、直交ウェーブレット変換の場合には変換する際に用いた係数と同じ係数のフィルタが使用される。双直交ウェーブレット変換の場合には、変換に用いた係数とは異なる係数のフィルタが逆変換の際に使用される(段落番号0056に記載の文献を参照)。
【0075】
ウェーブレット変換によって抽出された画像劣化を補正するには、以下の方法を用いることができる。例えば、ブロックノイズを補正するのであれば、輝度信号と色差信号の一方又は双方について、画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の高周波帯域成分信号を用いて画像劣化画素の補間処理をすればよい。
【0076】
また、モスキートノイズやリンギングを補正する場合も、輝度信号と色差信号の一方又は双方について、画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の高周波帯域成分信号を用いて画像劣化画素を補間処理をすればよい。特に、輝度信号については、画像劣化画素の信号値の1階微分値を0にするか、エッジの急峻さに応じて画像劣化画素の信号値の1階微分値を減衰させるようにすればよい。
【0077】
なお、このような1階微分値を連続させることを目的とする高周波帯域成分に関わる処理を、輝度信号と色差信号の一方に適用するか双方に適用するかは、補正を施す対象となる画像劣化の特性に応じて選択されることが好ましい。
【0078】
次に、請求項4、11、18、25に記載された二項ウェーブレット変換について説明する。二項ウェーブレット(Dyadic Wavelet)変換については、“Singularity detection and processing with wavelets" by S.Mallat and W.L.Hwang, IEEE Trans. Inform. Theory 38 617 (1992) や "Characterization of signals from multiscale edges" by S.Mallat and S.Zhong, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel. 14 710 (1992) や “A wavelet tour of signal processing 2ed." by S.Mallat, Academic Press に詳細な説明があるが、以下にその概要を説明する。
【0079】
二項ウェーブレット変換で用いられるウェーブレット関数は下記式(8)のように定義される。
【数8】
Figure 2004200790
但し、iは自然数である。
【0080】
直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換のウェーブレット関数は、上述のように、レベルiにおける位置の最小移動単位が2iで離散的に定義されていたのに対し、二項ウェーブレット変換は、レベルiにかかわらず位置の最小移動単位が一定である。この相違により、二項ウェーブレット変換は、下記の特徴を有する。
【0081】
第一の特徴として、下記式(9)に示す1レベルの二項ウェーブレット変換で生成する、高周波数帯域成分Wiと低周波数帯域成分Siの各々の信号量は、変換前の信号Si-1と同一である。
【数9】
Figure 2004200790
【0082】
二項ウェーブレット変換の第二の特徴として、スケーリング関数φi,j(x)とウェーブレット関数ψi,j(x)の間に、下記の関係式(10)が成立する。
【数10】
Figure 2004200790
従って、二項ウェーブレット変換で生成する、高周波数帯域成分Wiは、低周波数帯域成分Siの1階微分(勾配)で表される。
【0083】
二項ウェーブレット変換の第三の特徴として、ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められた係数γi(上述の二項ウェーブレットに関する参考文献を参照)を高周波数帯域成分に乗じたWi・γi(以下、これを補正済高周波数帯域成分と称す)について、入力信号の信号変化の特異性(singularity)に応じて、該変換後の補正済高周波数帯域成分Wi・γiの信号強度のレベル間の関係が一定の法則に従う。
【0084】
図6に、入力信号S0の波形と、ウェーブレット変換により得られる各レベルの補正済高周波数帯域成分の波形を示す。図6において、(a)は入力信号S0を示し、(b)はレベル1の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波数帯域成分W1・γ1を示し、(c)はレベル2の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波数帯域成分W2・γ2を示し、(d)はレベル3の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波数帯域成分W3・γ3を示し、(e)はレベル4の二項ウェーブレット変換により得られる補正済高周波数帯域成分W・γ4を示す。
【0085】
各レベルにおける信号強度の変化を見ると、(a)において、“1”や“4”に示すなだらかな(微分可能な)信号変化に対応する補正済高周波数帯域成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すようにレベル数iが増大するほど信号強度が増大する。
【0086】
入力信号S0において、“2”に示すステップ状の信号変化に対応する補正済高周波数帯域成分Wi・γiは、レベル数iに関わらず信号強度が一定となる。入力信号S0において、“3”に示すδ関数状の信号変化に対応する補正済高周波数帯域成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すように、レベル数iが増大するほど信号強度が減少する。
【0087】
二項ウェーブレット変換における第四の特徴として、画像信号のような2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換の方法は、上述の直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換と異なり、図7に示す方法で行われる。
【0088】
図7に示すように、1レベルの二項ウェーブレット変換により、入力信号Sn-1を、x方向のローパスフィルタ及びy方向のローパスフィルタで処理することにより、低周波数帯域成分Snが得られる。また、入力信号Sn-1を、x方向のハイパスフィルタで処理することにより、高周波数帯域成分Wxnが得られる。更に、入力信号Sn-1を、y方向のハイパスフィルタで処理することにより、もう一つの高周波数帯域成分Wynが得られる。
【0089】
このように、1レベルの二項ウェーブレット変換により、入力信号Sn-1は、2つの高周波数帯域成分Wxn、Wynと、1つの低周波数帯域成分Snに分解される。2つの高周波数帯域成分Wxn、Wynは、低周波数帯域成分Snの2次元における変化ベクトルVnのx成分とy成分に相当する。変化ベクトルVnの大きさMnと偏角Anは下記式(11)及び(12)で与えられる。
【数11】
Figure 2004200790
【数12】
Figure 2004200790
【0090】
また二項ウェーブレット変換で得られた2つの高周波数帯域成分Wxn、Wynと1つの低周波数帯域成分Snに、図8に示す二項ウェーブレット逆変換を施すことにより、変換前の信号Sn-1を再構成することができる。すなわち、Snをx方向のローパスフィルタLPFx及びy方向のローパスフィルタLPFyで処理することにより得られる信号と、Wxnをx方向のハイパスフィルタHPFx及びy方向のローパスフィルタLPFyで処理することにより得られる信号と、Wynをx方向のローパスフィルタLPFx及びハイパスフィルタHPFyで処理することにより得られる信号と、を加算することによって、二項ウェーブレット変換前の信号Sn-1を得ることができる。
【0091】
次に、図9のブロック図に基づいて、入力信号S0に対する二項ウェーブレット変換から、画像劣化が補正された信号S0'を得るまでの方法について説明する。本発明において、入力信号S0は、圧縮符号化後に復号化処理が施された画像信号の輝度信号又は色差信号を示すものとする。
【0092】
入力信号S0に対するレベル1の二項ウェーブレット変換によって、入力信号S0は、2つの高周波数帯域成分Wx1、Wy1と低周波数帯域成分S1に分解される。レベル2のウェーブレット変換によって、レベル1の二項ウェーブレット変換で得られた低周波数帯域成分S1は、更に2つの高周波数帯域成分Wx2、Wy2と低周波数帯域成分S2に分解される。この様な分解操作をレベルnまで繰り返すことにより、入力信号S0は、複数の高周波数帯域成分Wx1、Wx2、…、Wxn、Wy1、Wy2、…、Wynと、1つの低周波数帯域成分Snとに分解される。
【0093】
このようにして得られた高周波数帯域成分Wx1、Wx2、…、Wxn、Wy1、Wy2、…、Wyn、低周波数帯域成分Snから、画像劣化が抽出され、画像劣化に対する補正処理が行われ、補正された高周波数帯域成分Wx1'、Wx2'、…、Wxn'、Wy1'、Wy2'、…、Wyn'、低周波数帯域成分Sn'が得られる。
【0094】
そして、これら高周波数帯域成分Wx1'、Wx2'、…、Wxn'、Wy1'、Wy2'、…、Wyn'、低周波数帯域成分Sn'に、二項ウェーブレット逆変換が施される。すなわち、補正後のレベルnにおける2つの高周波数帯域成分Wxn’、Wyn’と低周波数帯域成分Sn’から、補正されたレベルn−1の低周波数帯域成分Sn-1’が構成される。このような操作を繰り返し、補正後のレベル2における2つの高周波数帯域成分Wx2’、Wy2’と低周波数帯域成分S2’から、補正されたレベル1の低周波数帯域成分S1’が構成される。この低周波数帯域成分S1’と、レベル1における2つの高周波数帯域成分Wx1’、Wy1’から、補正後の画像信号S0’が構成される。
【0095】
なお、図9において用いられる各フィルタのフィルタ係数は二項ウェーブレット変換に応じて適切に定められる。また二項ウェーブレット変換においては、レベル毎に用いるフィルタのフィルタ係数が異なる。レベルnにおいて使用するフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n-1−1個のゼロを挿入したものが用いられる。
【0096】
二項ウェーブレット変換によって抽出された画像劣化を補正するには、以下の方法を用いることができる。輝度信号や色差信号の1階微分値を連続させるように、二項ウェーブレット変換によって得られた高周波数帯域成分(Wxn, Wyn)から算出される変化ベクトルVnの大きさMn(式11参照)と偏角An(式12参照)の一方又は双方を補正するのが好ましい。より詳細には、画像劣化画素の輝度信号と色差信号の一方又は双方について、変化ベクトルVnの大きさMnや偏角Anの値を、画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の変化ベクトルの大きさや偏角の値を用いて補間処理をすればよい。なお、補間処理の方法は、当業界で知られる手法が選択され、上述の方法に限定されるものではない。
【0097】
請求項5、12、19、26に記載の発明において、「圧縮符号化処理の内容」とは、圧縮符号化時に自動的に又はユーザが選択した圧縮符号化処理に含まれる各処理工程(例えばJPEG方式の圧縮符号化処理の場合、RGB信号を輝度信号及び色差信号に変換する変換処理、サンプリング処理、離散コサイン変換処理、符号化処理等)の内容及びそれら各処理工程の処理条件を意味する。この処理条件は、圧縮符号化処理時に自動的に又はユーザによって、圧縮率やサンプリング条件として選択された内容を反映し変更、決定される。
【0098】
画像信号を輝度信号と色差信号に変換する方法は多種あるが、例えば、JPEG方式で圧縮符号化処理が施されていた場合、始めにRGBで表されている画像信号をYCbCr表色系に変換し、その後、サンプリング、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)、量子化、符号化等の各処理を適用している。圧縮符号化処理に起因するノイズの抽出においては、圧縮符号化時に高周波成分が除去されたなど、ノイズが発生する起因となった処理が行われた表色系で行うのが有効である。
【0099】
例えば、JPEG方式では、圧縮符号化処理時にYCbCr表色系を採用しているため、JPEG方式による圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を輝度信号と色差信号に変換する際には、YCbCr表色系に変換するのが好ましい。これは一例であり、他の圧縮符号化方式が採用されている場合には、その方式に見合った変換方式を選択するのが好ましい。
【0100】
請求項6、13、20、27に記載の発明においては、例えば、圧縮符号化処理の内容に応じて、画像劣化を補正する際に用いる多重解像度変換を適用するレベルを決定することが好ましい。例えば、圧縮符号化処理を実行する際、圧縮率を選択することができるが、圧縮率に応じて、種々の圧縮符号化処理が起因となって発生する画像劣化の特性が異なるため、高精度に画像劣化を補正できるレベルも異なる。よって、圧縮率や、サンプリング比に応じて多重解像度変換を適用するレベルを決定することが好ましい。また、多重解像度変換を適用するレベルの変更に応じて、各レベルの補正処理の内容を適宜変更することが好ましいことは言うまでもない。
【0101】
圧縮符号化処理の内容は、例えば、復号化処理がなされていない圧縮符号化画像を取得したのであれば、その画像ファイルの拡張子などから推定される。また、圧縮符号化の圧縮率は、復号化処理前後の画像ファイルの大きさを比較することで推定できるが、これに限定するものではなく、当業界で知られる種々の方法を採用して推定することができる。また、適宜、使用する頻度が高い圧縮符号化の方式や処理条件をデフォルトとして設定しておくことも可能である。
【0102】
請求項7、14、21、28に記載の発明において、出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて決定される補正処理の内容としては、以下のものがある。▲1▼輝度信号と色差信号の一方に対して補正処理を行うか、双方に対して補正処理を行うかを選択する。▲2▼多重解像度変換を適用するレベルを選択する。▲3▼多重解像度変換として、双直交ウェーブレット変換を用いるか、二項ウェーブレット変換を用いるかを選択する。例えば、出力画像が低解像度であり、かつ出力サイズが小さければ、輝度信号に対してのみレベル1の双直交ウェーブレット変換を用いて補正処理を施せばよい。また、高解像度であり、かつ出力サイズが大きければ、輝度信号と色差信号の双方についてレベル2以上の二項ウェーブレット変換を適用して補正処理を施せばよい。
【0103】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0104】
〈画像記録装置1の外観構成〉
まず、画像記録装置1の構成を説明する。
【0105】
図10は、本実施の形態における画像記録装置1の外観構成を示す斜視図である。画像記録装置1は、図10に示すように、筐体2の一側面に、感光材料を装填するためのマガジン装填部3が備えられている。筐体2の内側には、感光材料に露光する露光処理部4と、露光された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントを作成するためのプリント作成部5が備えられている。筐体2の他側面には、プリント作成部5で作成されたプリントを排出するためのトレー6が備えられている。
【0106】
また、筐体2の上部には、表示装置としてのCRT(Cathode Ray Tube)8、透過原稿を読み込む装置であるフィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、操作部11が備えられている。このCRT8が、プリントを作成しようとする画像情報の画像を画面に表示する表示手段を構成している。更に、筐体2には、各種デジタル記録媒体に記録された画像情報を読み取り可能な画像読込部14、各種デジタル記録媒体に画像信号を書き込み(出力)可能な画像書込部15が備えられている。また、筐体2の内部には、これらの各部を集中制御する制御部7が備えられている。
【0107】
画像読込部14には、PCカード用アダプタ14a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14bが備えられ、PCカード13aやフロッピーディスク13bが差し込み可能になっている。PCカード13aは、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像の情報が記録されたメモリを有する。フロッピーディスク13bには、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像の情報が記録される。
【0108】
画像書込部15には、フロッピーディスク用アダプタ15a、MO用アダプタ15b、光ディスク用アダプタ15cが備えられ、それぞれ、FD16a、MO16b、光ディスク16cが差し込み可能になっている。光ディスク16cとしては、CD−R、DVD−R等がある。
【0109】
なお、図10では、操作部11、CRT8、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像読込部14が、筐体2に一体的に備えられた構造となっているが、これらの何れか1つ以上を別体として設けるようにしてもよい。
【0110】
なお、図10に示した画像記録装置1では、感光材料に露光して現像してプリントを作成するものが例示されているが、プリント作成方式はこれに限定されず、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式、昇華方式等の方式を用いてもよい。
【0111】
〈画像記録装置1の内部構成〉
図11は、画像記録装置1の内部構成を示すブロック図である。画像記録装置1は、図11に示すように、制御部7、露光処理部4、プリント生成部5、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像読込部14、通信手段(入力)32、画像書込部15、データ蓄積手段71、操作部11、CRT8、通信手段(出力)33から構成される。
【0112】
制御部7は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM(Read Only Memory)等の記憶部(図示略)に記憶されている画像処理プログラム等の各種制御プログラムと、CPU(Central Processing Unit)(図示略)との協働により、画像記録装置1を構成する各部の動作を制御する。
【0113】
制御部7は、本発明の画像処理装置に係る画像処理部70を有し、操作部12からの入力信号(指令情報)に基づいて、フィルムスキャナ部9や反射原稿入力装置10により取得した画像データ、画像読込部14から読み込まれた画像データ、外部機器から通信手段32を介して入力された画像データに対して、本発明の画像処理を施して露光用画像情報を形成し、露光処理部4に出力する。また、画像処理部70は、画像処理された画像データに対して出力形態に応じた変換処理を施して出力する。画像処理部70の出力先としては、CRT8、画像書込部15、通信手段(出力)33等がある。
【0114】
露光処理部4は、感光材料に画像の露光を行い、この感光材料をプリント作成部5に出力する。プリント作成部5は、露光された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントP1、P2、P3を作成する。プリントP1は、サービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ等のプリントであり、プリントP2は、A4サイズのプリントであり、プリントP3は、名刺サイズのプリントである。
【0115】
フィルムスキャナ部9は、アナログカメラにより撮像されてネガフィルムを現像して得られる現像済みのネガフィルムNからの駒画像データを読み込む。反射原稿入力装置10は、駒画像を印画紙に焼き付けて現像処理したプリントPからの駒画像データを読み込む。
【0116】
フィルムスキャナ部9や反射原稿入力装置10から読み込まれる原稿としては、写真感光材料があり、この写真感光材料としては、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム等がある。この写真感光材料には、アナログカメラにより撮像した駒画像情報が記録される。フィルムスキャナ部9のフィルムスキャナにより、画像読み取り信号を得ることができる。また、写真感光材料がカラーペーパーの場合、反射原稿入力装置10のフラットベットスキャナにより、画像読み取り信号を得ることができる。
【0117】
画像読込部14は、PCカード13aやフロッピーディスク13bに記録された駒画像情報を読み出して制御部7に転送する。この画像読込部14は、画像転送手段30として、PCカード用アダプタ14a、フロッピーディスク用アダプタ14b等を有する。画像読込部14は、PCカード用アダプタ14aに差し込まれたPCカード13aや、フロッピーディスク用アダプタ14bに差し込まれたフロッピーディスク13bに記録された駒画像情報を読み取り、制御部7に転送する。PCカード用アダプタ14aとしては、例えばPCカードリーダやPCカードスロット等が用いられる。
【0118】
通信手段(入力)32は、画像記録装置1が設置された施設内の別のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータから、撮像画像を表す画像信号やプリント命令信号を受信する。
【0119】
画像書込部15は、画像搬送部31として、フロッピーディスク用アダプタ15a、MO用アダプタ15b、光ディスク用アダプタ15cを備えている。画像書込部15は、制御部7から入力される書込信号に従って、フロッピーディスク用アダプタ15aに差し込まれたフロッピーディスク16a、MO用アダプタ15bに差し込まれたMO16b、光ディスク用アダプタ15cに差し込まれた光ディスク16cに、本発明における画像処理方法によって生成されたデータを書き込む。
【0120】
データ蓄積手段71は、画像情報とそれに対応する注文情報(どの駒の画像から何枚プリントを作成するかの情報、プリントサイズの情報等)とを記憶し、順次蓄積する。
【0121】
操作部11は、情報入力手段12を有する。情報入力手段12は、例えば、タッチパネル等により構成されており、情報入力手段12の押下信号を入力信号として制御部7に出力する。なお、操作部11は、キーボードやマウス等を備えて構成するようにしてもよい。CRT8は、制御部7から入力された表示制御信号に従って、画像情報等を表示する。
【0122】
通信手段(出力)33は、本発明の画像処理を施した後の撮影画像を表す画像信号と、それに付帯するオーダー情報を、画像記録装置1が設置された施設内の他のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータに対して送信する。
【0123】
〈画像処理部70の構成〉
図12は、本発明の画像処理装置に係る画像処理部70の機能的構成を示すブロック図である。画像処理部70は、図12に示すように、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703、画像調整処理部704、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部706、プリント固有処理部707、画像データ書式作成処理部708から構成される。
【0124】
フィルムスキャンデータ処理部701は、フィルムスキャナ部9から入力された画像情報に対し、フィルムスキャナ部9固有の校正操作・ネガ原稿の場合のネガポジ反転・グレーバランス調整・コントラスト調整等を施し、画像調整処理部704に出力する。また、フィルムスキャンデータ処理部701は、フィルムサイズ・ネガポジ種別・フィルムに光学的或いは磁気的に記録されたISO感度、メーカー名、主要被写体に関わる情報・撮影条件に関する情報(例えばAPSの記載情報内容)なども併せて画像調整処理部704に出力する。
【0125】
反射原稿スキャンデータ処理部702は、反射原稿入力装置10から入力された画像情報に対し、反射原稿入力装置10固有の校正操作・ネガ原稿の場合のネガポジ反転・グレーバランス調整・コントラスト調整等を施し、画像調整処理部704に出力する。
【0126】
画像データ書式解読処理部703は、画像転送手段30や通信手段(入力)32から入力された画像データのデータ書式に従って、圧縮符号の復元、色データの表現方法の変換等を行い、画像調整処理部704に出力する。
【0127】
画像調整処理部704に、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703において処理された画像情報を出力するほかに、操作部11の操作によって、主要被写体に関わる情報及び撮影条件に関する情報を出力することが可能である。
【0128】
画像調整処理部704は、操作部11又は制御部7の指令に基づいて、圧縮符号化後に復号化された画像信号を輝度信号と色差信号に変換し、輝度信号、色差信号の一方又は双方に対して、多重解像度変換(双直交ウェーブレット変換又は二項ウェーブレット変換)を施すことによって、圧縮符号化に起因する画像劣化の箇所を抽出する。そして、画像調整処理部704は、抽出された画像劣化画素に隣接する非画像劣化画素の高周波帯域成分信号を用いて、その画像劣化画素の高周波帯域成分信号の信号値の1階微分値が連続するように、画像劣化を補正する処理を行い、補正処理が施された画像信号を、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部706、プリンタ固有処理部707、画像データ書式作成部708、データ蓄積手段71に出力する。
【0129】
CRT固有処理部705は、画像調整処理部704から入力された補正処理済みの画像信号に対して、必要に応じて画素数変更・カラーマッチング等の処理を施し、制御情報等表示が必要な情報と合成した表示用の信号をCRT8に出力する。
【0130】
プリンタ固有処理部706は、画像調整処理部704から入力された補正処理済みの画像信号に対して、必要に応じてプリンタ固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行い、露光処理部4に出力する。
【0131】
本実施の形態の画像記録装置1に、大判インクジェットプリンタ等の外部プリンタ34が接続されている場合には、接続されたプリンタ毎にプリンタ固有処理部707が設けられている。このプリンタ固有処理部707は、画像調整処理部704から入力された補正処理済みの画像に対して、適正なプリンタ固有の校正処理・カラーマッチング・画素数変更等を行う。
【0132】
画像データ書式作成処理部708は、画像調整処理部704から入力された補正処理済みの画像信号に対して、必要に応じてJPEG、TIFF(Tagged Image File Format)、Exif(Exchangeable Image File Format)等に代表される各種の汎用画像フォーマットへの変換を行い、画像搬送部31や通信手段(出力)33に出力する。
【0133】
なお、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703、画像調整処理部704、CRT固有処理部705、プリンタ固有処理部706及び707、画像データ書式作成処理部708という区分は、本実施の形態の画像処理部70の機能の理解を助ける為に設けた区分であり、必ずしも物理的に独立したデバイスとして実現される必要はなく、例えば、単一のCPUにおけるソフトウエア処理の種類の区分として実現されてもよい。また、本実施の形態における画像記録装置1は、上述の内容に限定されるものではなく、デジタルフォトプリンタ、プリンタドライバ、各種の画像処理ソフトのプラグイン等、種種の形態に適用することができる。
【0134】
次に、本実施の形態において適用される多重解像度変換として、双直交ウェーブレット変換及び二項ウェーブレット変換について説明する。
【0135】
図13は、画像調整処理部704において実行されるレベル1の双直交ウェーブレット変換、画像劣化抽出、画像劣化補正及びレベル1の双直交ウェーブレット逆変換に係るシステムブロック図の一例である。なお、レベル1の双直交ウェーブレット変換及び双直交ウェーブレット逆変換に用いられるフィルタのフィルタ係数は、表1に示すものを用いるものとする(Cohen,Daubechies,Feauveau5-3)。
【表1】
Figure 2004200790
表1において、x=0のフィルタ係数は、現在処理している画素に対するフィルタ係数で、x=−1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ前の画素のフィルタ係数で、x=+1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ後の画素に対するフィルタ係数である(以下同様)。
【0136】
画像調整処理部704は、圧縮符号化されて復号化された画像を表す画像信号を、輝度信号と色差信号に変換し、これらの信号の双方(又は一方)に対して、レベル1の双直交ウェーブレット変換を施す。輝度信号も色差信号も、双直交ウェーブレット変換処理の形態は同様であるため、図13においては、輝度信号、色差信号の各信号をS0と図示している。
【0137】
画像調整処理部704は、レベル1の双直交ウェーブレット変換により得られた高周波帯域成分信号Wh1,Wv1,Wd1から、画像劣化を有する画素を抽出し、抽出された画素の各高周波帯域成分信号Wh1,Wv1,Wd1に対して補正処理を施して、信号Wh' 1,Wv' 1,Wd' 1を生成する。その後、画像調整処理部704は、画像劣化が補正された高周波帯域成分信号Wh' 1,Wv' 1,Wd' 1に対して、ウェーブレット逆変換を施して、画像劣化が補正された信号S' 0を得る。そして、画像調整処理部704は、画像劣化が補正された輝度信号及び色差信号S' 0をRGB信号に変換し、画像劣化が補正された画像信号を得る。
【0138】
図14は、画像調整処理部704において実行されるレベル1の二項ウェーブレット変換、画像劣化抽出、画像劣化補正及びレベル1の二項ウェーブレット逆変換に係るシステムブロック図の一例である。これら二項ウェーブレット変換及び二項ウェーブレット逆変換で用いられるフィルタの係数は、表2に示すものを用いるものとする。
【表2】
Figure 2004200790
表2において、x=0のフィルタ係数は、現在処理している画素に対するフィルタ係数で、x=−1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ前の画素のフィルタ係数で、x=+1のフィルタ係数は、現在処理している画素の1つ後の画素に対するフィルタ係数である。
【0139】
図14では、レベル1の二項ウェーブレット変換を示しているが、一般的な二項ウェーブレット変換においては、レベル毎にフィルタ係数が異なる。レベルnのフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n-1−1個のゼロを挿入したものが用いられる。
【0140】
また二項ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められる補正係数γiは、下記の表3で示される。
【表3】
Figure 2004200790
【0141】
画像調整処理部704は、圧縮符号化されて復号化された画像を表す画像信号を、輝度信号と色差信号に変換し、これらの信号の双方(又は一方)に対して、レベル1の二項ウェーブレット変換を施す。輝度信号も色差信号も、二項ウェーブレット変換処理の形態は同様であるため、図14においては、輝度信号、色差信号の各信号をS0と図示している。
【0142】
画像調整処理部704は、S0にレベル1の二項ウェーブレット変換を行い、得られた低周波帯域成分信号S1、高周波帯域成分信号Wx1,Wy1に基づいて変化ベクトルV1を算出し、この算出された変化ベクトルV1の大きさM1と偏角A1に基づいて画像劣化を抽出する。画像調整処理部704は、画像劣化が抽出された画素の信号S1、Wx1,Wy1に対して補正を施した後に、二項ウェーブレット逆変換を行い、画像劣化が補正された信号S' 0を得る。そして、画像調整処理部704は、画像劣化が補正された輝度信号及び色差信号をRGB信号に変換し、画像劣化が補正された画像信号を得る。
【0143】
なお、双直交ウェーブレット変換や二項ウェーブレット変換を施すレベルはレベル1に限定するものではない。例えば、圧縮符号化処理の内容に応じて、ウェーブレット変換に適用されるレベルを決定するのが好ましい。実際、単純に大きいレベルまで計算すれば抽出精度が高まるわけではなく、処理負荷を増大させないためにも、抽出したい画像劣化の特性や復号化画像の解像度などの諸条件に応じて、適宜適したレベルを適用することが好ましい。二項ウェーブレット変換を複数レベル適用する場合には、高周波成分を自分以外のレベルの高周波成分と比較して画像劣化を抽出することが好ましい。
【0144】
次に、本実施の形態における動作を説明する。
図15は、画像処理部70において実行される画像処理を示すフローチャートである。
【0145】
まず、フィルムスキャンデータ処理部701、反射原稿スキャンデータ処理部702、画像データ書式解読処理部703の何れか1つから画像信号が取得されると(ステップS1)、この画像信号に対する復号化処理の必要の有無が判定される(ステップS2)。
【0146】
ステップS2において、ステップS1で取得した画像信号に圧縮符号化処理がなされており、復号化処理を施す必要があると判定された場合(ステップS2;YES)、当該画像信号に対して復号化処理が施され(ステップS3)、復号化された画像信号が取得される(ステップS4)。ステップS2において、ステップS1で取得した画像信号に復号化処理を施す必要がないと判定された場合(ステップS2;NO)、当該画像が復号化画像として認識される(ステップS4)。
【0147】
次いで、復号化画像を表す画像信号が、輝度信号と色差信号に変換される(ステップS5)。復号化画像は、昨今広く用いられているJPEG方式によって圧縮符号化処理、復号化処理が施されている可能性が高いことから、変換方式は、以下の式(13)〜(15)に従って、RGBで表されている画像信号をYCbCr(Y:輝度、Cr、Cb:色差)に変換する処理をデフォルトとする。但し、JPEG方式と異なる圧縮符号化方式であることが認識された場合、変換方式は適宜変更される(変更する工程は省略)ことが好ましい。
【数13】
Y = 0.299R+0.587G+0.114B (13)
【数14】
Cr = 0.500R-0.419G-0.081B (14)
【数15】
Cb = -0.169R-0.332G+0.500B (15)
【0148】
次いで、輝度信号と色差信号に対して多重解像度変換が施され、輝度信号及び色差信号の各々は、低周波帯域成分と高周波帯域成分に分解される(ステップS6及びS11)。次いで、輝度信号の高周波帯域成分に基づいて、輝度信号に画像劣化を有する画素が抽出される(ステップS7)。また、色差信号の高周波帯域成分に基づいて、輝度信号に画像劣化を有する画素が抽出される(ステップS12)。
【0149】
次いで、輝度信号に画像劣化を有する画素に対し、輝度信号の高周波帯域成分を用いて、画像劣化の補正処理が施される(ステップS8)。また、色差信号に画像劣化を有する画素に対し、色差信号の高周波帯域成分を用いて、画像劣化の補正処理が施される(ステップS13)。
【0150】
輝度信号の低周波帯域成分及び補正処理が施された高周波帯域成分に対し、多重解像度逆変換が施され、画像劣化が補正された輝度信号が生成される(ステップS9)。また、色差信号の低周波帯域成分及び補正処理が施された高周波帯域成分に対し、多重解像度逆変換が施され、画像劣化が補正された色差信号が生成される(ステップS14)。
【0151】
次いで、ステップS9において画像劣化が補正された輝度信号(Y)と、ステップS14において画像劣化が補正された色差信号(Cr、Cb)が、以下の式(16)〜(18)に従ってRGB信号に変換されることにより、輝度信号と色差信号が合成された画像が生成され(ステップS10)、画像劣化が補正された画像が生成される。
【数16】
R = Y+1.402Cr (16)
【数17】
G = Y-0.714Cr-0.344Cb (17)
【数18】
B = Y+1.772Cb (18)
【0152】
なお、図15に示したフローチャートでは、簡単のため、画像劣化の抽出と補正を各1工程として連続して作用するように記述したが、特性の異なる2種以上の画像劣化(例えば、画像劣化A、画像劣化B、…)を抽出して補正する場合は、画像劣化Aの抽出工程、画像劣化Aの補正工程、画像劣化Bの抽出工程、画像劣化Bの補正工程、…のように、内容の異なる抽出処理の工程と補正処理の工程を設けることが可能であることはいうまでもない。また、抽出処理及び補正処理の工程の順番を適宜変更することができる。
【0153】
また、図15に示したフローチャートでは、輝度信号、色差信号の双方に対して多重解像度変換を施す場合を示したが、処理時間や処理機能の制限がある場合や、画像劣化の特性に応じて、輝度信号、色差信号の一方に対して多重解像度変換を施すようにしてもよい。
【0154】
次に、図16及び図17のフローチャートを参照して、図15における画像劣化の抽出及び補正の工程(ステップS7、S8、S12、S13)の詳細について説明する。以下のフローチャートでは、多重解像度変換として二項ウェーブレット変換が適用された場合を示す。
【0155】
図16は、輝度信号における画像劣化(ブロックノイズ及びモスキートノイズ・リンギング)の抽出・補正処理を示すフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートは、色差信号における画像劣化の抽出及び補正についても適用される。
【0156】
まず、図14に示すように、輝度信号S0に対するレベル1の二項ウェーブレット変換により、高周波帯域成分信号Wx1,Wy1が取得される(ステップS21)。次いで、ステップS21において取得された高周波帯域成分信号Wx1,Wy1から、低周波数帯域成分S1の変化ベクトルV1の大きさM1と偏角A1が算出される(ステップS22)。
【0157】
次いで、ステップS22において算出された変化ベクトルV1の大きさM1と偏角A1に基づいて、ブロックノイズの抽出及び補正が行われ、M1とA1が補正されたM1'とA1'が生成される(ステップS23)。
【0158】
次いで、ステップS23において生成されたM1'とA1'に基づいて、モスキートノイズ・リンギングの抽出及び補正が行われ、M1'とA1'が補正されたM1"とA1"が生成される(ステップS24)。
【0159】
次いで、ステップS24で生成されたM1"と偏角A1"から、補正された高周波帯域成分信号Wx1'、Wy1'が算出される(ステップS25)。
【0160】
なお、図16に示したフローチャートでは、ブロックノイズの抽出、補正の後に、モスキートノイズ・リンギングの抽出、補正を施す手順をとっているが、この手順に限定されるものではない。
【0161】
次に、図17のフローチャートを参照して、図16のステップS23におけるブロックノイズの抽出・補正処理について説明する。図17では、輝度信号に対するブロックノイズの抽出・補正処理を示しているが、色差信号に対しても適用される。
【0162】
まず、図16のステップS22で算出されたM1、A1が取得される(ステップS31)。まず、復号化処理が施された画像が本来有する明らかなエッジを除外するために、M1値が、予め設定された閾値C1以下である画素が抽出される(ステップS32)。
【0163】
次いで、ステップS32において抽出された画素の中から、水平方向または垂直方向にほぼ同値のM1値を有する画素が、ブロックノイズ画素として抽出される(ステップS33)。また、ステップS33において抽出された水平方向の画素群の間隔が、8画素または8の倍数の画素数である条件を満たす画素が、ブロックノイズ画素群として決定される。ここで、ほぼ同値とは、隣り合う画素のM1の値の差が、予め設定された閾値C2以下である条件を満たすことを意味する。また、8画素又は8の倍数の画素数である条件を満たす画素を、ブロックノイズ画素群としているのは、JPEG方式で圧縮符号化された画像を復号化した場合、8画素×8画素単位の格子状のブロックノイズが生じることによる。
【0164】
次いで、ステップS33において抽出されたブロックノイズ画素の各々に対し、ブロックノイズ画素の周辺画素のうち、補正対象となるブロックノイズ画素と同じブロックノイズ画素群に属する画素を除く画素のM1の値を用いて、ブロックノイズ画素の信号値の1階微分値が連続するように補間処理が行われることにより、ブロックノイズ画素位置のM1の補正後の値M1'が算出される(ステップS34)。
【0165】
ステップS31において取得されたA1についても、M1と同様の工程をもってブロックノイズの抽出及び補正処理が行われる。但し、A1はM1と異なり、ある閾値以上が明確なエッジをさすといった特性をもたないため、ステップS32における工程は削除される。以下、A1に対するブロックノイズの抽出及び補正処理について説明する。
【0166】
まず、水平方向または垂直方向にほぼ同値のA1値を有する画素が、ブロックノイズ画素として抽出される(ステップS35)。また、ステップS35において抽出された水平方向の画素群の間隔が、8画素又は8の倍数の画素数である条件を満たす画素が、ブロックノイズ画素群として決定される。ここで、ほぼ同値とは、隣り合う画素のA1の値の差が、予め設定された閾値C2以下である条件を満たすことを意味する。
【0167】
次いで、ステップS35において抽出されたブロックノイズ画素に対し、補正対象となるブロックノイズ画素の周辺画素のうち、補正対象となるブロックノイズ画素と同じブロックノイズ画素群に属する画素を除く画素のA1の値を用いて、ブロックノイズ画素の信号値の1階微分値が連続するように補間処理が行われることにより、ブロックノイズ画素位置のA1の補正後の値A1'が算出される(ステップS36)。
【0168】
なお、ブロックノイズの補正処理の方法は、ステップS34及びS36に示した方法に限定されず、当業界における公知公用の方法を採用することができる。また、色差信号について、ブロックノイズを抽出する際には、前述した圧縮符号化処理の際のサンプリング比が輝度信号とは異なる事情を考慮して、抽出条件(例えば、図17のステップS32、S33、S35に相当)を変更することが有効である。
【0169】
次に、図18のフローチャートを参照して、図16のステップS24におけるモスキートノイズ・リンギングの抽出・補正処理について説明する。
【0170】
まず、図17のブロックノイズの抽出・補正処理によってブロックノイズが補正された輝度信号におけるM1'とA1'が取得される(ステップS41)。次いで、M1'が予め設定された閾値C2以上である画素を抽出することにより、モスキートノイズやリンギングが発生しやすい濃度勾配が急峻な部分(エッジ部)が抽出される(ステップS42)。
【0171】
次いで、ステップS42で抽出されたエッジ部の近傍領域について、予め設定された閾値C3以下のM1’値を有する画素がモスキートノイズ・リンギング画素として抽出される(ステップS43)。
【0172】
次いで、モスキートノイズ・リンギング画素の周辺画素のうち、補正対象となるモスキートノイズ・リンギング画素を除く画素のM1’の値を用いて補間処理が行われ、モスキートノイズ・リンギング画素のM1’値が補正されたM1"'が算出される(ステップS44)。
【0173】
次いで、ステップS42で抽出されたエッジに対応する画素の信号値の強度をM1edgeとし、このM1edgeと、所定の関数g(M1edge)を用いて、以下の式(19)のように、M1"'が補正されたM1"が算出される(ステップS45)。
【数19】
1"= M1"'+(M1'-M1"')・g(M1edge) (19)
【0174】
g(M1edge)は、0から1までの値を有し、M1edgeの値の増大とともに0に減衰する減衰関数であり、例えば、g(M1edge)=(1/M1edge)・αのように表される。ここで、αは所定の係数である。
【0175】
ステップS41で取得されたA1’については、モスキートノイズ・リンギング画素のA1’の値が、補正後の値A1"として決定される(ステップS46)。なお、図18では、モスキートノイズ、リンギングの特性と処理時間の制限から、A1についての補正処理を省略したが、圧縮符号化処理の条件や補正対象画像の構成等の諸条件を考慮して、より高い補正効果が得られると判断されれば、A1についても画像劣化の抽出処理及び補正処理を行い、変化ベクトルの偏角における画像劣化抽出処理及び補正処理を行うことが可能であるのは言うまでもない。
【0176】
このように、本実施の形態においては、圧縮符号化処理の条件や補正対象となる画像の構成、画像劣化の特性、処理環境等の種々の条件を考慮し、輝度信号と色差信号、変化ベクトルのVnの大きさMnと偏角An(二項ウェーブレット変換の場合)から、補正対象となる信号や補正処理に利用するパラメータを適宜選択することが可能である。
【0177】
なお、モスキートノイズ・リンギングの抽出・補正処理の方法は、図18に示した方法に限定されず、当業界における公知公用の方法を採用することができる。また、図18では、輝度信号についてのみ、モスキートノイズ・リンギングの抽出・補正が施される場合を示したが、これは、モスキートノイズ・リンギングについては、輝度信号における劣化が、画像を観察するユーザにとって不快と感ずる主要因であることを考慮したためであり、計算負荷を低減させる観点から色差信号における画像劣化の抽出、補正処理を省略したものである。よって、用途、目的によっては、色差信号についても、図18と同様の処理が施されることが可能であることはいうまでもない。
【0178】
更に、圧縮符号化処理の内容に応じて、ウェーブレット変換を適用するレベルを決定することができる。更に、ウェーブレットを適用するレベルの変更に応じて補正処理の内容を変更することができる。二項ウェーブレット変換を複数レベル適用する場合には、高周波成分を自分以外のレベルの高周波成分と比較して画像劣化を抽出することが好ましい。
【0179】
また、補正処理後に出力される画像の解像度及び/又は出力サイズに基づいて、補正処理の内容を決定することが可能である。例えば、補正処理の内容としては、▲1▼輝度信号と色差信号の一方に対して補正処理を行うか、双方に対して補正処理を行うかを選択する、▲2▼多重解像度変換を適用するレベルを選択する、▲3▼多重解像度変換として、双直交ウェーブレット変換を用いるか、二項ウェーブレット変換を用いるかを選択する等がある。例えば、出力画像が低解像度であり、かつ出力サイズが小さければ、輝度信号に対してのみレベル1の双直交ウェーブレット変換を用いて補正処理を施せばよい。また、高解像度であり、かつ出力サイズが大きければ、輝度信号と色差信号の双方についてレベル2以上の二項ウェーブレット変換を適用して補正処理を施せばよい。
【0180】
以上のように、本実施の形態の画像記録装置1によれば、圧縮符号化後に復号化された画像の画像信号を輝度信号と色差信号に変換して、輝度信号と色差信号の一方又は双方に対してウェーブレット変換を施すことによって、復号化画像中の画像劣化を抽出し、画像劣化画素の信号値の1階微分値が連続するように画像劣化を補正することにより、画像劣化の補正機能を向上させることができ、自然な質感を有する良好な補正画像を得ることができる。また、特性の異なる画像劣化(例えば、ブロックノイズ、モスキートノイズ等)であっても十分に補正することができる。
【0181】
特に、ウェーブレット変換として、二項ウェーブレット変換を用いることにより、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換を適用した場合より、一層自然な質感を有する補正画像を得ることができる。特に、青空等の明るさの変化がなめらかである同系色の画像や、アップで撮影された人物の肌部の画像や、グラデーションが一方向に向いている画像の補正に効果的である。
【0182】
更に、復号化された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する場合、圧縮符号化の方式がJPEGである場合には、YCbCr表色系に変換する等、圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することにより、補正効果が向上し、より自然な補正画像を得ることができる。
【0183】
また、圧縮符号化処理の内容に応じて、ウェーブレット変換を適用するレベルを決定したり、ウェーブレットを適用するレベルの変更に応じて補正処理の内容を変更可能にしたりすることにより、補正効果が乏しい余分な計算を削除し、補正処理の処理負荷を低減させることができる。
【0184】
更に、補正後に出力される画像の解像度及び/又は出力サイズに基づいて画像劣化の補正処理の内容が決定されることにより、効率的に画像劣化を補正することができる。
【0185】
なお、本実施の形態における記述内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0186】
【発明の効果】
請求項1、8、15、22に記載の発明によれば、圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像信号を輝度信号と色差信号に変換し、これらの一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように画像劣化を補正することにより、画像劣化の補正機能が向上し、違和感のない良好な補正画像を得ることができる。
【0187】
請求項2、9、16、23に記載の発明によれば、輝度信号と色差信号の一方又は双方に多重解像度変換を施すことによって画像劣化を抽出することにより、特性の異なる画像劣化であっても十分に補正することができる。
【0188】
請求項3、10、17、24記載の発明によれば、復号化処理が施された画像の輝度信号と色差信号の一方又は双方にウェーブレット変換を施すことにより、特性の異なる画像劣化を十分に補正することができる。また、自然な質感を有する補正画像を得ることができる。
【0189】
請求項4、11、18、25に記載の発明によれば、復号化処理が施された画像の輝度信号と色差信号の一方又は双方に、二項ウェーブレット変換を施すことにより、双直交ウェーブレット変換等の他のウェーブレット変換を適用した場合より、一層自然な質感を有する補正画像を得ることができる。
【0190】
請求項5、12、19、26記載の発明によれば、圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することにより、補正効果が向上し、より自然な補正画像を得ることができる。
【0191】
請求項6、13、20、27に記載の発明によれば、圧縮符号化処理の内容に応じて、画像劣化の補正処理の内容を決定することにより、良好な補正画像を得ることができる。
【0192】
請求項7、14、21、28に記載の発明によれば、補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて、画像劣化の補正処理の内容が決定されることにより、効率的に画像劣化を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多重解像度変換において用いられるウェーブレット関数を示す図である。
【図2】1レベルのウェーブレット変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図3】2次元信号における1レベルのウェーブレット変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図4】入力信号S0が、レベル1〜3の直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換により信号分解される過程を示す模式図である。
【図5】レベル1のウェーブレット逆変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図6】入力信号S0の波形と、ウェーブレット変換により得られる各レベルの補正済高周波数帯域成分W・γの波形を示す図である。
【図7】2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図8】2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット逆変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図9】入力信号S0に対する二項ウェーブレット変換から、画像劣化が補正された信号S0'を得るまでの処理を示すシステムブロック図である。
【図10】本実施の形態における画像記録装置1の外観構成を示す斜視図である。
【図11】画像記録装置1の内部構成を示すブロック図である。
【図12】図11の画像処理部70の機能的構成を示すブロック図である。
【図13】レベル1の双直交ウェーブレット変換及び双直交ウェーブレット逆変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図14】レベル1の二項ウェーブレット変換及び二項ウェーブレット逆変換のフィルタ処理を示すシステムブロック図である。
【図15】画像処理部70において実行される画像処理を示すフローチャートである。
【図16】画像調整処理部704において実行される、輝度信号における画像劣化(ブロックノイズ及びモスキートノイズ・リンギング)の抽出・補正処理を示すフローチャートである。
【図17】図16のステップS23におけるブロックノイズの抽出・補正処理を示すフローチャートである。
【図18】図16のステップS24におけるモスキートノイズ・リンギングの抽出・補正処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像記録装置
4 露光処理部(画像記録部)
5 プリント作成部(画像記録部)
7 制御部
8 CRT
9 フィルムスキャナ部(画像信号取得部)
10 反射原稿入力装置(画像信号取得部)
11 操作部
12 情報入力手段
14 画像読込部(画像信号取得部)
15 画像書込部(画像記録部)
30 画像転送手段
31 画像搬送部
32 通信手段(入力)
33 通信手段(出力)
34 外部プリンタ
70 画像処理部(画像処理装置)
701 フィルムスキャンデータ処理部
702 反射原稿スキャンデータ処理部
703 画像データ書式解読処理部
704 画像調整処理部(変換部、抽出部、補正部)
705 CRT固有処理部
706、707 プリント固有処理部
708 画像データ書式作成処理部
71 データ蓄積手段

Claims (28)

  1. 圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得工程と、
    前記画像信号取得工程において取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換工程と、
    前記画像信号取得工程において取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程における抽出結果に基づいて、前記変換工程において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正工程と、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  2. 前記抽出工程において、前記変換工程において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化が抽出されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  3. 前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
  4. 前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理方法。
  5. 前記変換工程において、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式が決定されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理方法。
  6. 前記補正工程において、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容が決定されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理方法。
  7. 前記補正工程において、補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容が決定されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像処理方法。
  8. 圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得部と、
    前記画像信号取得部により取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換部と、
    前記画像信号取得部により取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出部と、
    前記抽出部による抽出結果に基づいて、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正部と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  9. 前記抽出部は、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記変換部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することを特徴とする請求項8〜11の何れか一項に記載の画像処理装置。
  13. 前記補正部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定することを特徴とする請求項8〜12の何れか一項に記載の画像処理装置。
  14. 前記補正部は、前記補正部による補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定することを特徴とする請求項8〜13の何れか一項に記載の画像処理装置。
  15. 画像処理を実行するためのコンピュータに、
    圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得させる画像信号取得機能と、
    前記画像信号取得機能において取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換させる変換機能と、
    前記画像信号取得機能において取得された画像信号から、画像劣化を抽出させる抽出機能と、
    前記抽出機能における抽出結果に基づいて、前記変換機能において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正させる補正機能と、
    を実現させるための画像処理プログラム。
  16. 前記抽出機能を実現させる際に、前記変換機能において変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出させることを特徴とする請求項15に記載の画像処理プログラム。
  17. 前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項16に記載の画像処理プログラム。
  18. 前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項17に記載の画像処理プログラム。
  19. 前記変換機能を実現させる際に、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定させることを特徴とする請求項15〜18の何れか一項に記載の画像処理プログラム。
  20. 前記補正機能を実現させる際に、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定させることを特徴とする請求項15〜19の何れか一項に記載の画像処理プログラム。
  21. 前記補正機能を実現させる際に、前記補正機能における補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定させることを特徴とする請求項15〜20の何れか一項に記載の画像処理プログラム。
  22. 圧縮符号化処理後に復号化処理が施された画像を示す画像信号を取得する画像信号取得部と、
    前記画像信号取得部により取得された画像信号を、輝度信号と色差信号に変換する変換部と、
    前記画像信号取得部により取得された画像信号から、画像劣化を抽出する抽出部と、
    前記抽出部による抽出結果に基づいて、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方の信号値の1階微分値が連続するように、前記復号化処理が施された画像を補正する補正部と、
    前記補正部により補正された画像を表す画像信号を出力して出力媒体に記録する画像記録部と、
    を備えることを特徴とする画像記録装置。
  23. 前記抽出部は、前記変換部により変換された輝度信号と色差信号の一方又は双方に対して多重解像度変換を施すことにより、前記画像劣化を抽出することを特徴とする請求項22に記載の画像記録装置。
  24. 前記多重解像度変換は、ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項23に記載の画像記録装置。
  25. 前記ウェーブレット変換は、二項ウェーブレット変換であることを特徴とする請求項24に記載の画像記録装置。
  26. 前記変換部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて、輝度信号と色差信号に変換する方式を決定することを特徴とする請求項22〜25の何れか一項に記載の画像記録装置。
  27. 前記補正部は、前記圧縮符号化処理の内容に応じて補正処理の内容を決定することを特徴とする請求項22〜26の何れか一項に記載の画像記録装置。
  28. 前記補正部は、前記補正部による補正後に出力される画像の解像度と出力サイズの一方又は双方に基づいて補正処理の内容を決定することを特徴とする請求項22〜27の何れか一項に記載の画像記録装置。
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