JP2004193956A - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像処理を行う際に記録媒体に起因する画像欠陥を精度よく判別する。
【解決手段】記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理装置20において、記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部8、9と、欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部24と、多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別部24とを備えさせる。
【選択図】 図15
【解決手段】記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理装置20において、記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部8、9と、欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部24と、多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別部24とを備えさせる。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真の現像や焼き増しを行う際に、カラー写真フィルム上に形成された画像、あるいは写真印画紙上に形成された画像をR・G・Bの3色の光を透過あるいは反射させ、CCD(Couple charged Device)センサー等で光電的に読み取って、複数の画素の画像信号に変換することが行われている。
【0003】
かかる画像信号は、ネガポジ反転、輝度調整、カラーバランス調整、粒状除去、鮮鋭性強調に代表される種々の画像処理を施された後に、CD−R(CD−Recordable)、フロッピー(登録商標)ディスク、メモリーカード等の媒体やインターネット経由で配布され、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタ等でハードコピー画像として出力されたり、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置装置に表示されたりして鑑賞される。
【0004】
ところで、ネガフィルムやポジフィルムあるいは写真等の保存状態や取り扱い方が悪いと、これらの表面に掻き傷が形成されたり、塵、指紋等の各種汚れが付着する場合がある。これらの記録媒体の欠陥は、画像読取光を屈折させたり吸収したりするので画像信号に影響を及ぼし、出力画像に画像欠陥を生じさせる。
このような記録媒体の欠陥は赤外光(IR:infrared radiation)の透過を妨げるが、他の部分は着色の有無に関わらず赤外光を透過する。これを利用して、画像読取光とは別に記録媒体を赤外光で走査することにより赤外画像信号を得て、この赤外画像信号に基づいて記録媒体の欠陥個所に対応する画素の画像信号を補正することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−28468号公報(特許第2559970号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、赤外画像信号にはCCDセンサによる光電変換時、あるいは信号の増幅時のノイズが含まれるため、上記従来の方法(特許文献1)の様に赤外線画像信号(赤外光のエネルギー強度)と閾値との比較により、記録媒体の欠陥の有無等を判断する方法では、信号強度の弱い欠陥を検出することができなかった。すなわち、指紋のように薄く広域に現れる汚れや弱い掻き傷等のように欠陥部位とその周囲との赤外線画像信号の強度変化が少ない場合には、記録媒体の欠陥を検出するに十分なS/N比が得られず、従来の方法では、これらの弱く広域に渡って形成された欠陥を十分に判別できない恐れがあった。画像欠陥読取光として赤外光の代わりに、紫外光や画像読取用光とは波長が異なる可視光を用いた場合でも、上記と同様に、周囲との信号強度変化の弱い画像欠陥を十分に判別できない恐れがある。
本発明の課題は、記録媒体に起因する画像欠陥を精度よく判別することができる画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理装置において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理方法において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出工程と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換工程と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項9に記載の発明の画像処理プログラムは、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づく画像処理を実行するためのコンピュータに、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出させ、その欠陥検出信号を出力させる欠陥検出機能と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行わせる変換機能と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥を判別させる判別機能と、を実現させることを特徴とする。
【0010】
請求項13に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理部と、画像処理が施された前記画像信号を出力して出力媒体に画像を記録する画像記録部とを有する画像記録装置において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査することにより前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、前記多重解像度変換された信号に基づいて、前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記請求項1、5、9、13のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号の多重解像度変換後の信号に基づいて画像欠陥を判別するので、記録媒体の欠陥部位とその周囲との欠陥検出信号の信号強度の変化が少なく、S/N比の低い場合でも、この記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥の有無、画像上の欠陥の位置、欠陥の特性等を適切に判別することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理方法において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理プラグラムにおいて、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0015】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像記録装置において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0016】
請求項2、6、10、14のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号を多重解像度変換する際に二項ウェーブレット変換を利用するので、欠陥検出信号により形成される欠陥画像をダウンサンプリングする必要がなく、より詳細に欠陥を判別することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理方法において、前記変換工程において、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換が行われ、前記判別工程において、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥が判別されることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像処理プログラムにおいて、前記変換機能を実現させる際に、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行わせ、前記判別機能を実現させる際に、前記二項ウェーブレット変換において得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較させて、前記画像の欠陥を判別させることを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像記録装置において、前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする。
【0021】
請求項3、7、11、15のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルの高域側成分の対応する画素を比較することにより、画像の欠陥を判別するので、第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号(例えば非常に弱い指紋の跡)でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像処理方法において、前記判別工程において判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記判別機能により判別させた画像欠陥を補正させる画像補正機能を実現させることを特徴とする。
【0025】
請求項16に記載の発明は、請求項13〜14のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記画像処理部は、前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0026】
請求項4、8、12、16のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより詳細に判別された画像欠陥を補正するので、各種出力媒体に画像欠陥の無い秀麗な画像を出力することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
本発明は、ネガフィルム、リバーサルフィルム、銀塩印画紙等の各種記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより画像信号を得るに際し、記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥を欠陥検出用光により検出し、その欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行って画像欠陥を判別し、判別された画像欠陥を補正する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像記録装置に係るものである。
【0028】
ここで、画像読取光とは、記録媒体に記録された画像をCCDセンサ等の光電変換素子で光電的に読み取るために画像に照射する光であり、カラー画像の場合、一般的にR・G・Bの3色の可視光が用いられる。
【0029】
画像読取光としてR・G・Bの3色の可視光を用いた場合、画像信号は各色成分毎に得られる。画像信号は、画像を多数の小領域に分割して、その小領域毎の色や明るさを電気信号の信号強度で表したものである。以下、この小領域を画素という。
【0030】
記録媒体の欠陥とは、記録媒体の表面に形成された掻き傷や、表面に付着した塵、指紋等の汚れを指す。これらは画像読取光を屈折させたり、吸収したりするので画像信号に影響を及ぼし、出力画像に画像欠陥を生じさせる。
【0031】
欠陥検出用光とは、上記した記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥を検出するための光であり、例えば、赤外光を用いることができる。記録媒体の欠陥は赤外光の透過を妨げるが、記録媒体の非欠陥部位は着色の有無に関わらず赤外光を透過する。これにより、記録媒体の欠陥、すなわち、画像欠陥のみを抽出した欠陥検出信号を得ることができる(特許文献1参照)。なお、欠陥検出用光は赤外光に限られるものではなく、画像欠陥を検出可能な光であれば如何なるものであってもよく、例えば、紫外光や画像読取光とは異なる波長の可視光を用いることもできる。
【0032】
欠陥検出信号は、記録媒体を透過又は反射した赤外光の光量を光電変換することにより得られた電気信号の信号強度を画素毎に表したものである。
【0033】
多重解像度変換とは、ウェーブレット変換、完全再構成フィルターバンク、ラプラシアンピラミッド等に代表される手法の総称をいい、1回の変換操作により入力信号を周波数の高域側成分信号と低域側成分信号に分解し、得られた低域側成分信号に対して同様の変換操作を行い、周波数帯域が異なる複数の信号からなる多重解像度信号を得る手法である。得られた多重解像度信号を逆多重解像度変換した場合、元の信号が再構成される。こうした手法については、例えば、”Wavelet and Filter Banks” by G. Strang & T. Nguyen, Wellesley−Cambridge Press(邦訳「ウエーブレット解析とフィルタバンク」, G.ストラング・T.グエン共著, 培風館 )に詳細な解説がなされている。
【0034】
本発明では、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより得られる多重解像度信号に基づいて、画像欠陥を判別する。ここで、画像欠陥を判別するとは、画像欠陥の有無を判別することをいい、画像欠陥を有する画素の特定や画像欠陥信号もしくは多重変換後の信号の強度や周波数から画像欠陥の特性を併せて判別するとより好ましい。
【0035】
なお、本実施の形態では、画像信号の多重解像度変換については特に触れていないが、画像欠陥の補正を行うときやその他の画像処理を行う際に、画像信号に対して多重解像度変換を行い、得られた信号に対して処理を施してもよい。
【0036】
次に、上記した多重解像度変換手法のうち、ウェーブレット変換の概要を説明する。ウェーブレット変換とは、図1に例示されるような有限範囲で振動するウェーブレット関数(下記式(1)参照)を用いて、入力信号f(x)に対するウェーブレット変換係数(f,Ψa , b)を下記式(2)で求めることにより、下記式(3)で示されるウェーブレット関数の総和に分解する変換方法である。
【数1】
【数2】
【数3】
【0037】
上記(3)式で、aはウェーブレット関数のスケールを表し、bはウェーブレット関数の位置を示す。図1に例示するように、スケールaの値が大きいほどウェーブレット関数Ψa , b(x)の周波数は小さくなり、位置bの値に従ってウェーブレット関数Ψa , b(x)が振動する位置が移動する。
従って、上記式(3)は、入力信号f(x)を種々のスケールと位置を持つウェーブレット関数Ψa , b(x)の総和に分解する事を意味している。
【0038】
ウェーブレット変換を行う際に用いられるウェーブレット関数としては多くのものが知られているが、画像処理分野では特に計算を高速に行うことができる直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換が広く用いられている。また、二項ウェーブレットは、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換と比較すると、変換後の欠陥検出信号に基づいてより高精度に画像欠陥を判別することができるので好ましい。
【0039】
次に、直交ウェーブレット変換および双直交ウェーブレット変換について説明する。直交ウェーブレット変換および双直交ウェーブレット変換では、下記式(4)で定義されるウェーブレット関数を用いる。
【数4】
但し、iは自然数である。
【0040】
前記式(4)と前記式(1)とを比較すると、直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換においては、スケールaの値が2の乗で離散的に定義され、また位置bの最小移動単位が2iで離散的に定義されている事が判る。このiの値はレベルと呼ばれる。
【0041】
また実用的にはレベルiを有限な上限Nまでに制限して、入力信号を下記式(5)、式(6)、式(7)のように変換することが行われる。
【数5】
【数6】
【数7】
【0042】
上記式(5)の第2項は、第1レベルのウェーブレット関数Ψ1 , j(x)の総和で表せない残差の低域側成分を、第1レベルのスケーリング関数φ1 , j(x)の総和で表したものである。スケーリング関数はウェーブレット関数に対応して適切なものが用いられる(前述の参考文献を参照)。式(5)に示す1レベルのウェーブレット変換により入力信号f(x)≡S0は、第1レベルの高域側成分W1と低域側成分S1に信号分解された事になる。
【0043】
なお、画像信号においては、高域側成分は、例えば、髪の毛やまつげの様な微細な構造を表現する成分であり、低域側成分は、例えば、頬の様に信号強度の変化の緩やかな構造を示す成分となる。
【0044】
ウェーブレット関数Ψ1 , j(x)の最小移動単位単位は2iなので、入力信号S0の信号量に対して高域側成分W1と低域側成分S1の信号量は各々1/2となり、高域側成分W1と低域側成分S1の信号量の総和は、入力信号S0の信号量と等しくなる。第1レベルのウェーブレット変換により得られる低域側成分S1は式(6)において、第2レベルの高域側成分W2と低域側成分S2に分解され、以下同様に第Nレベル迄の変換を繰り返すことで、入力信号S0は、式(7)に示すように各レベル1〜Nにおける高域側成分の総和と第Nレベルにおける低域側成分の和に分解される。
【0045】
ここで、前記式(6)で示す1レベルのウェーブレット変換は、図2に示すようにローパスフィルタLPFとハイバスフィルタHPFを用いたフィルタ処理で計算できる事が知られている(段落番号0033に記載の文献を参照)。
【0046】
図2に示すように、入力信号S0をローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFで処理し、信号を1つおきに間引くことにより、第1レベルの直交ウェーブレット変換または第1レベルの双直交ウェーブレット変換により得られる高域側成分と低域側成分に分解することができる。なお、図2において2↓は、信号を1つおきに間引くダウンサンプリングを示している。
【0047】
処理の際に用いるローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFのフィルタ係数はウェーブレット関数に応じて適切に定められる(前述の参考文献を参照)。
【0048】
欠陥検出信号や画像信号のような2次元信号における第1レベルのウェーブレット変換は、図3に示すようなフィルタ処理で行われる。まず、入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFx、ハイパスフィルタHPFxによりフィルタ処理を施し、次にx方向にダウンサンプリング処理を行う。これらの処理により入力信号Sn−1を低域側成分SXnと、高域側成分WXnとに分解する。この低域側成分SXnと高域側成分WXnに対してそれぞれy方向のローパスフィルタLPFyおよびハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理を施し、次いで、y方向にダウンサンプリング処理を行う。
【0049】
これらのフィルタ処理によって、入力信号Sn−1を3つの高域側成分Wvn、Whn、Wdnと1つの低域側成分Snに分解することができる。1回のウェーブレット変換により生成されるWvn、Whn、Wdn、Snの各々の信号量は、変換前の入力信号Sn −1に比べて縦横ともに1/2となるので、分解後の4成分の信号量の総和は、分解前のSn −1の信号と等しくなる。
【0050】
なお、図3においてLPFx、HPFx、2↓xの様に添字で示したxはx方向の処理を示し、LPFy、HPFy、2↓yの様に添字で示したyはy方向の処理を示す。
【0051】
入力信号S0が第1レベル、第2レベル、第3レベルのウェーブレット変換で信号分解される過程を模式的に図4に示す。レベル数iが増大するにつれて、ダウンサンプリングにより画像信号が間引かれ、分解画像が小さくなっていくことが分かる。
【0052】
また、図5に示すように、分解後に生成されたSn、Whn、Wvn、Wdnをフィルタ処理等により行われるウェーブレット逆変換を施すことにより、分解前の信号Sn −1を完全再構成できる事が知られている。なお、図5においてLPF’は逆変換用のローパスフィルタ、HPF’は逆変換用のハイパスフィルタを示している。また2↑は、信号に1つおきにゼロを挿入するアップサンプリングを示す。またLPF’x、HPF’x、2↑xの様に添字で示したxはx方向の処理を示し、LPF’y、HPF’y、2↑yの様に添字で示したyはy方向の処理を示す。
【0053】
図5に示すように、Snをy方向にアップサンプリングしてy方向のローパスフィルタLPF’yで処理することにより得られる信号と、Whnをy方向にアップサンプリングしてy方向のハイパスフィルタHPF’yで処理することにより得られる信号を加算して、SXnを得る。これと同様にして、WvnとWdnからWXnを生成する。
【0054】
さらに、SXnをx方向にアップサンプリングしてx方向のローパスフィルタLPF’xで処理することにより得られる信号と、WXnをx方向にアップサンプリングしてx方向のハイパスフィルタHPF’xで処理することにより得られる信号を加算することにより、分解前の信号Sn−1を再構成することができる。
【0055】
逆変換の際に用いられる各フィルタは、直交ウェーブレット変換の場合には変換する際に用いた係数と同じ係数のフィルタが使用される。双直交ウェーブレット変換の場合には、変換に用いた係数とは異なる係数のフィルタが逆変換の際に使用される(前述の参考文献を参照)。
【0056】
以上説明した多重解像度変換を欠陥検出信号に施すことにより得られる多重解像度信号の高域側成分にはノイズ成分は信号強度としてほとんど発生せず、欠陥検出信号のみが現れるため、記録媒体に指紋のように薄く広域に付着した汚れや弱い掻き傷のようにS/N比が低い欠陥検出信号でも精度よく画像欠陥を判別することができる。例えば、欠陥検出信号の多重解像度変換により得られる高域側成分信号に対してある閾値を設け、閾値を越えた場合には画像欠陥候補と判別することができる。また、多重解像度変換では、画素位置を有した状態で周波数領域に変換することができるので、欠陥位置に対応する画素における画像信号の強度を補正することにより、画像欠陥を無くすことが可能となる。
【0057】
次に、二項ウェーブレット変換について説明する。なお、二項ウェーブレット変換については、”Singularity detection and processing with wavelets” by S.Mallat and W.L.Hwang, IEEE Trans. Inform. Theory 38 617 (1992) や “Characterization of signals from multiscale edges” by S.Mallat and S.Zhong, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel. 13 210 (1992) や ”A wavelet tour of signal processing 2ed.” by S.Mallat, Academic Press に詳細な説明がある。
【0058】
二項ウェーブレット変換で用いられるウェーブレット関数は下記式(8)で定義される。
【数8】
但し、iは自然数である。
【0059】
前述した直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数においてレベルiにおける位置の最小移動単位が2iで離散的に定義されていたのに対し、二項ウェーブレットはレベルiにかかわらず位置の最小移動単位が一定である。
【0060】
すなわち、二項ウェーブレット変換では前記式(1)においてbで示されるウェーブレット関数の位置に、例えば、2iのようにiが現れないため、位置の最小移動単位がレベル数によらず常に一定になる。したがって、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換のように、フィルタ処理により計算する際にダウンサンプリングする必要がなく、この相違により、二項ウェーブレット変換は下記の特徴を有する。
【0061】
第一の特徴として、下記式(9)に示す1レベルの二項ウェーブレット変換で生成する、高域側成分Wiと低域側成分Siの各々の信号量は、変換前の信号Si−1と同一である。
【数9】
【0062】
第二の特徴として、スケーリング関数φi,j(x)とウェーブレット関数Ψi,j(x)の間に下記式(10)の関係が成立する。
【数10】
【0063】
従って、1レベルの二項ウェーブレット変換で生成される高域側成分Wiは、低域側成分Siの1階微分(勾配)を表す。
【0064】
第三の特徴として、ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められた係数γi(段落番号0057に記載の二項ウェーブレットに関する参考文献参照)を高域側成分に乗じたWi・γi(以下、これを補正済高域側成分と呼ぶ)について、入力信号の信号変化の特異性(singularity)に応じて、該変換後の補正済高域側成分Wi・γiの信号強度のレベル間の関係がある一定の法則に従う。
【0065】
例えば、図6の(a)に入力信号S0を、(b)に第1レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W1・γ1を、(c)に第2レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W2・γ2を、(d)に第3レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W3・γ3を、(e)に第4レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W4・γ4を示す。
【0066】
各レベルにおける信号強度の変化を見ると、(a)において、“1”や“4”に示すなだらかな(微分可能な)信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すようにレベル数iが増大するほど信号強度が増大する。
【0067】
入力信号S0において、“2”に示すステップ状の信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiはレベル数iに関わらず信号強度が一定となる。入力信号S0において、“3”に示すδ関数状の信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すように、レベル数iが増大するほど信号強度が減少する。
【0068】
例えば、記録媒体に付着した薄く現れる汚れ等は図6において、“1”や“4”に示すようななだらか波形で、かつ、低い強度で現れる。このような場合であっても、欠陥検出信号に対する多重解像度変換においてレベル数を増大させることにより信号強度を大きくすることができるので、画像欠陥を精度よく判別することができる。
【0069】
また、例えば、ホワイトノイズや粒状ノイズは、(a)において“3”で示される様なδ関数状の信号変化を示すが、これは元々の信号強度が高いため、レベル数iが増大するにつれて信号強度が低下しても十分に判別することができる。また、記録媒体の欠陥の特性によって、欠陥検出信号の信号変化の波形やレベル数iの増大に伴う信号強度の変化が異なるので、欠陥の特性に応じて画像欠陥を適切に補正することができる。
【0070】
第四の特徴として、欠陥検出信号のような2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換は、前述の直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換とは異なり、図7に示す方法で行われる。
【0071】
図7に示すように、1レベルの二項ウェーブレット変換において、入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFxおよびy方向のローパスフィルタLPFyで処理することにより低域側成分Snが得られる。また、入力信号Sn−1をx方向においてハイパスフィルタHPFxで処理することにより一つの高域側成分Wxnが得られ、y方向においてハイパスフィルタHPFyで処理することによりもう一つの高域側成分Wyyが得られる。
【0072】
このように、1レベルの二項ウェーブレット変換により、入力信号Sn−1は2つの高域側成分Wxn、Wynと1つの低域側成分Snに分解される。2つの高域側成分は低域側成分Snの2次元における変化ベクトルVnのx成分とy成分に相当する。変化ベクトルVnの大きさMnと偏角Anは下記式(11)、式(12)で示される。
【数11】
【数12】
【0073】
二項ウェーブレット変換で得られた2つの高域側成分Wxn、Wynと1つの低域側成分Snに図8に示す二項ウェーブレット逆変換を施す事で、変換前の信号Sn −1を再構成できる事が知られている。すなわち、Snに対してx方向およびy方向における順変換時に用いたローパスフィルタLPFx、LPFyで処理することにより得られる信号と、Wxnに対してx方向における逆変換用のハイパスフィルタHPFx’とy方向における逆変換用のローパスフィルタLPFy’で処理することにより得られる信号と、Wynに対してx方向における逆変換用のローパスフィルタLPFx’とy方向における逆変換用のハイパスフィルタHPFy’で処理することにより得られる信号とを加算することによって、変換前の信号Sn−1を構成することができる。
【0074】
以上説明したように、二項ウェーブレット変換は直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換等と同様にS/N比が低い欠陥検出信号でも画像欠陥を判別することができるのは勿論のこと、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換のように画像をダウンサンプリングする(間引く)ことがないためより高精度に画像欠陥を判別することができる。したがって、欠陥検出信号を二項ウェーブレット変換することにより得られる高域側成分信号において、画像欠陥と判別された画素に対応する画像信号を補正することで、秀麗な画像を各種出力媒体に出力することができる。
【0075】
また、本発明においては、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、各レベルにおいて得られる高域側成分の信号強度を比較することにより、ある画素位置に現れる欠陥検出信号が画像上の欠陥を示すものであるかどうかを判別すると好ましい。
【0076】
次に、図9に基づいて、欠陥検出信号S0(入力信号)に対して第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う方法を説明する。
入力信号S0に対する第1レベルのウェーブレット変換は、図7と同様のフィルタ処理により、入力信号S0を2つの高域側成分Wx1、Wy1と低域側成分S1に分解する。第2レベルのウェーブレット変換は、第1レベルのウェーブレット変換で得られた低域側成分S1に対して同様のフィルタ処理によって、さらに2つの高域側成分Wx2、Wy2と低域側成分S2に分解する。第3レベルのウェーブレット変換は、第2レベルのウェーブレット変換で得られた低域側成分S2を同様のフィルタ処理によってさらに2つの高域側成分Wx3、Wy3と低域側成分S3に分解する。
【0077】
これらのフィルタ係数はウェーブレット関数に応じて適切に定められる(前述の参考文献を参照)。また二項ウェーブレットにおいては、レベル毎に用いるフィルタのフィルタ係数が異なる。レベルnにおいて使用するフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照)。
【0078】
本発明においては、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルのx、y両方向の高域側成分信号Wx1とWx2、Wy1とWy2の対応する画素を比較し、x、y両方とも第2レベルの信号強度が第1レベルの信号強度よりも大きくなっていた場合に画像欠陥の候補とする。
【0079】
第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号(例えば非常に弱い指紋の跡)でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。特にS/N比の低い欠陥検出信号に対しては、第1レベルと第3レベルの高域側成分を比較することが好ましく、更に好ましくは第1、第2、第3レベルの各レベルの高域側成分を比較することが好ましい。
【0080】
次に、以上説明した欠陥検出信号に対する多重解像度変換を実行する画像処理部(画像処理装置)を有する画像記録装置について説明する。図10に本実施の形態における画像記録装置1の外観構成例を示す。
【0081】
図10に示すように、画像記録装置1は、筐体2の一側面に備えられたマガジン装填部3と、筐体2の内側に備えられる露光処理部4およびプリント作成部5を有している。筐体2の他側面にはプリント排出用のトレー6が設けられている。筐体2の上部には、表示装置としてのCRT(Cathode Ray Tube)8、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9、操作部10が設けられている。操作部10はタッチパネルなどから構成される入力手段11を有している。また、筐体2には、フロッピー(登録商標)ディスク等の各種デジタル記録媒体に記録された画像情報を読み取り可能な画像読取部13、フロッピー(登録商標)ディスク等の各種出力媒体に画像信号を書き込み(出力)可能な画像書込部14が備えられている。さらに、図11に示すように、筐体2の内部には、これら各部を集中制御する制御部15が備えられている。
【0082】
マガジン装填部3には画像出力媒体としての感光材料が装填されている。感光材料は、例えば、ハロゲン化銀感光性熱現像材料等からなる銀塩印画紙から構成することができる。マガジン装填部3には、サービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ、A4サイズ、名刺サイズ等の各種サイズの感光材料を装填することができる。図示しない搬送手段は、制御部15の指令に従い、所定のサイズの感光材料をマガジン装填部3から取り出して露光処理部4に搬送する。
【0083】
露光処理部4は、画像信号に基づいて感光材料を露光し、感光材料に潜像を形成する。露光処理後、感光材料はプリント作成部5に搬送される。感光材料のサイズに応じて、図11に示すようにサービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ等のプリントP1、A4サイズのプリントP2、名刺サイズのプリントP3等の各種サイズのプリントが作成される。
【0084】
プリント作成部5は、搬送された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントを作成する。作成されたプリントはトレー6から排出される。
【0085】
なお、図10には、画像記録装置1として感光材料に露光して現像し、プリントを作成するものを例示しているが、これに限らず、画像信号に基づいて画像を形成する装置であればよく、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式、昇華方式のプリント作成装置であってもよい。
【0086】
CRT7は、制御部15からの指令に従い、画像処理後の画像や各種操作内容等の表示を行う。なお、表示装置としてはCRTに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ(LD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等であってもよい。
【0087】
フィルムスキャナ部8は、図11に示すように、アナログカメラ等により撮像された画像が現像されたネガフィルムやリバーサルフィルムなどの透過性記録媒体Nから、画像および記録媒体の欠陥を読み取るための装置であり、フィルムスキャナーを備えている。
【0088】
フィルムスキャナーは、画像読取光源、欠陥検出用光源、これらから照射される画像読取光および欠陥検出用光を走査させるための走査手段、記録媒体を透過した画像読取光や欠陥検出用光を集光するための集光手段、CCD等の光電変換素子等から構成される。
【0089】
フィルムスキャナーは、透過性記録媒体Nを画像読取光および欠陥検出用光で走査し、透過性記録媒体Nを透過した画像読取光および欠陥検出用光を集光手段により集光し、光電変換素子で光電変換することにより電気信号として画像信号および欠陥検出信号を得る。得られた画像信号および欠陥検出信号は制御部15へ転送される。
【0090】
反射原稿入力部9は、アナログカメラ等により撮像された画像が現像(出力)された銀塩印画紙やカラーペーパー等の非透過性記録媒体Pから、画像および記録媒体の欠陥を読み取るための装置であり、フラットベットスキャナーを備えている。
【0091】
フラットベットスキャナーは、フィルムスキャナ部8と同様に、画像読取光光源、欠陥検出用光源、走査手段、集光手段、CCDセンサ等から構成される。
反射原稿入力部9では、フラットベットスキャナーにより画像読取光および欠陥検出信号で記録媒体を走査し、その反射光を集光手段により集光し、CCDで光電変換することにより画像信号および欠陥検出信号を得る。得られた画像信号および欠陥検出信号は制御部15へ転送される。
【0092】
フィルムスキャナ部8および反射原稿入力部9では、R・G・Bの3色の可視光が画像読取光として用いられる。また、フィルムスキャナ部8および反射原稿入力部9では、赤外光を欠陥検出用光として用いている。
【0093】
画像読込部13は、デジタルカメラ等で撮像した駒画像情報を各種デジタル記録媒体16a、16bを介して画像記録装置1に入力するための装置である。
画像読込部13には、PCカード用アダプタ13a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ13bが備えられ、PCカード16aやフロッピー(登録商標)ディスク16bに記録された駒画像情報を読み取り、取得した画像情報を制御部15へ転送する。なお、PCカード用アダプタ13aとしては、例えばPCカードリーダやPCカードスロット等が用いられる。
【0094】
この画像読込部13から読入力される画像信号はフィルムスキャナ部8や反射原稿入力部9から入力される画像信号と同様に適宜信号処理が施され、感光材料等に出力することができる。
【0095】
さらに、画像記録装置1は、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9、画像読込部13から入力された駒画像情報に画像処理等を行った上で、感光材料、CRT7の他に、画像書込部14を介して各種出力媒体17a、17b、17cに画像を出力することができる。
【0096】
画像書込部14にはフロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14a、MO用アダプタ14b、光ディスク用アダプタ14cが備えられており、出力媒体としてはフロッピー(登録商標)ディスク17a、MO(光磁気型記憶装置)17、光ディスク17c等を使用することができる。
【0097】
さらに、制御部15には図12に示す通信手段18が設けられており、この通信手段18によりLAN、WAN、インターネット等の通信ネットワーク等を介して他のコンピュータから直接、撮像画像を表す画像信号とプリント命令を受信し、所謂ネットワークプリンタ装置として機能することが可能になっている。本発明の画像処理を施した後の撮影画像を表す画像信号と付帯するオーダー情報を、施設内の別のコンピュータやインターネット等を介した遠方のコンピュータに対して送付することも可能になっている。
【0098】
次に、制御部15について説明する。制御部15は画像処理部20を有し、この画像処理部20においてROM(図示せず。)等の記憶装置に記憶された欠陥判別プログラム、画像処理プログラム等の各種制御プログラムとCPU(図示せず。)との協働により、欠陥検出信号の多重解像度変換を行い、判別された欠陥画素に対応する画像信号に信号処理を施し、出力用の画像信号を生成する。
【0099】
画像処理部20は、図12に示すように、フィルムスキャンデータ処理部21、反射原稿スキャンデータ処理部22、画像データ書式解読処理部23、画像調整処理部24、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成処理部28を有している。
【0100】
フィルムスキャンデータ処理部21では、フィルムスキャナ部8から入力された画像信号に対して、フィルムスキャナ部8固有の校正操作、ネガ原稿の場合のネガポジ反転、グレーバランス調整、コントラスト調整などの各種信号処理を施し、画像調整処理部24に送る。また、フィルムサイズ、ネガポジ種別、フィルムに光学的或いは磁気的に記録されたISO感度、メーカー名、主要被写体に関わる情報、撮影条件に関する情報(例えばAPSの記載情報内容)なども、併せて画像調整処理部24に送る。
【0101】
反射原稿スキャンデータ処理部22では、反射原稿入力部9から入力された画像信号に対して、反射原稿入力部9固有の校正操作、ネガ原稿の場合のネガポジ反転、グレーバランス調整、コントラスト調整などを施し、画像調整処理部24に送る。
【0102】
画像データ書式解読処理部23は、画像読込部13や通信手段18から入力された画像信号のデータ書式が解読され、その信号のデータ書式に従い必要に応じて圧縮符号の復元・色信号の表現方法の変換等を行い、画像調整処理部24内の演算に適したデータ形式に画像信号を変換して画像調整処理部24に送る。
【0103】
画像調整処理部24では、操作部10又は制御部15の指令に基づき、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9から受け取った欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行うことにより得た多重解像度信号に基づいて画像欠陥を判別し、画像信号の画像欠陥に対応する画素における信号強度を補正する処理を行い、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成部27に処理済みの画像信号を送出する。
【0104】
なお、画像読込部13、通信手段18から送られた画像情報に欠陥検出信号が含まれる場合には、同様に画像結果を有する画素を判別し、当該欠陥画素の信号強度を補正する画像処理を行う。
【0105】
CRT固有処理部25では、画像調整処理部24から受け取った補正済みの画像信号に対して、必要に応じて画素数変更、カラーマッチング等の処理を行い、制御情報等表示が必要な情報と合成した表示用の信号をCRT7に送出する。
【0106】
第一のプリンタ固有処理部で26は、必要に応じて露光処理部4固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行い、露光処理部4に画像信号を送出する。
【0107】
本実施の形態の画像記録装置1に、更に大判インクジェットプリンタなど、外部プリンタ装置29を接続する場合には、接続するプリンタ装置ごとに第二のプリンタ固有処理部27のようにプリンタ固有処理部を設け、プリンタ固有の適正な校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行なうようにする。
【0108】
画像データ書式作成処理部28においては、画像調整処理部24から受け取った画像信号に対して、必要に応じてJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、Exif(Exchangeable Image File Format)等に代表される各種の汎用画像フオーマットへの変換を行い、画像書込部14や通信手段18へ画像信号を転送する。
【0109】
以上説明したフィルムスキャンデータ処理部21、反射原稿スキャンデータ処理部22、画像データ書式解読処理部23、画像調整処理部24、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成処理部28という区分は、本実施の形態における画像処理部20の機能の理解を助ける為に設けた区分であり、必ずしも物理的に独立したデバイスとして実現される必要はなく、単一のCPUにおけるソフトウエア処理の種類の区分として実現されてもよい。
【0110】
次に、図12における画像調整部24において実行される欠陥検出信号の多重解像度変換について実施例1〜実施例3を挙げて説明する。
【0111】
〈実施例1〉
本実施例1では、欠陥検出信号の多重解像度変換に双直交ウェーブレット変換を用いた。図13に本実施例1における画像調整処理部24における欠陥検出信号の双直交ウェーブレット変換に係るシステムブロック図を示す。
【0112】
欠陥検出信号S0の第1レベルの双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算した。図13に示すように、まず、欠陥検出信号S0に対して、x方向において、ローパスフィルタLPFxおよびハイパスフィルタHPFxによるフィルタ処理とダウンサンプリング処理とを行うことにより、低域側成分SX1と高域側成分WX1に分解した。
【0113】
続いて、低域側成分SX1および高域側成分WX1の双方にそれぞれy方向におけるローパスフィルタLPFyおよびハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理とダウンサンプリング処理を施すことにより低域側成分S1と3つの高域側成分Wh1、Wv1、Wd1を得た。
【0114】
なお、フィルターは表1に示す下記の係数(Cohen, Daubechies, Feauveau 5−3)を有するものを用いた。
【表1】
【0115】
但し、上記表1において、x=0のフィルター係数は、現在処理している画素に対する係数であり、x=−1は一つ前の画素に対する係数、x=1は1つ後の画素に対する係数である(以下、同じ)。
【0116】
以上のフィルタ処理により得られた高域側成分信号Wh1,Wv1,Wd1のそれぞれの信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号(R・G・Bの3色であれば、それぞれの信号に対して)に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号強度に基づいて補正した。
【0117】
本実施例1において、欠陥検出信号S0に対して第1レベルの双直交ウェーブレット変換を行い、得られた高域側成分の信号強度を比較することにより、画像中の弱い傷や指紋等の周囲との信号強度変化が小さい場合でも欠陥として判別することができ、その判別結果から欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0118】
なお、本例では第1レベルの高域側成分で欠陥判別を行ったが、第2レベル以上の高域側成分と組み合わせて判別することも、より欠陥検出精度を高める上で好ましい。
【0119】
〈実施例2〉
次に、実施例2について説明する。本実施例2では、欠陥検出信号の多重解像度変換に第1レベルの二項ウェーブレット変換を行い実行した。
【0120】
図14に本実施例2における画像調整処理部24における欠陥検出信号の多重解像度変換に係るシステムブロック図を示す。図14に示すように第1レベルの二項ウェーブレット変換を行うに際して、まず、欠陥検出信号S0を第1レベル用のフィルタ係数を有するx方向およびy方向のハイパスフィルタHPF1x、HPF1yおよびローパスフィルタLPF1x、LPF1yによりフィルタ処理を行い、欠陥検出信号S0を2つの高域側成分WX1、WY1と1つの低域側成分S1とに分解した。なお、各フィルタの係数は表2に示すものを用いた。
【表2】
【0121】
なお、本実施例においては第1レベルの二項ウェーブレット変換を行ったが、次に説明する実施例3のように、複数のレベルにおいて二項ウェーブレット変換を行う場合は、レベル毎に異なる係数のフィルタを用いる。第nレベルのフィルタ係数は、第1レベルのフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照)。
【0122】
また二項ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められる補正係数γiは、下記表3で示される。
【表3】
【0123】
図14に示すフィルタ処理により得られた高域側成分信号Wx1,Wy1の信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号の信号強度に基づいて補正処理を行った。
【0124】
本実施例2により、画像中の弱い傷や指紋等の信号強度変化が小さい画像欠陥でも画像欠陥として判別することができ、かつ二項ウェーブレット変換では画像を間引くことがないため、高域側成分信号で画像欠陥と判別された画素の画像信号を補正することで、より好ましく画像欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0125】
また、本実施例2では第1レベルの二項ウェーブレット変換により得られた高域側成分で欠陥判別を行ったが、第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行う事により得られる高域側成分と組み合わせて判別することも、より欠陥検出精度を高める上で好ましい。
【0126】
〈実施例3〉
次に、実施例3について説明する。本実施例3では欠陥検出信号S0の多重解像度変換に第3レベルの二項ウェーブレット変換を行った。
【0127】
図15に本実施例3における画像調整処理部24における欠陥検出信号の多重解像度変換に係るシステムブロック図を示す。図15に示すように、欠陥検出信号S0の第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う手順に際して、まず、実施例2と同様の方法で第1レベルの二項ウェーブレット変換を行い、欠陥検出信号S0を2つの高域側成分WX1、WY1と低域側成分S1とに分解した。
【0128】
次に得られた低域側成分S1に対して、同様の方法で、二項ウェーブレット変換を行い、第2レベルにおける2つの高域側成分WX2、WY2と低域側成分S2とに分解した。さらに、低域側成分S2に対して、同様の方法で二項ウェーブレット変換を行い、第3レベルにおける2つの高域側成分WX3、WY3と低域側成分S3に分解した。なお、本実施例3に用いる二項ウェーブレットのフィルターとして、表3に示したものと同様のものを使用した。
【0129】
各レベルにおいてそれぞれ2つ得られた高域側成分信号Wx1,Wy1,Wx2,Wy2,Wx3,Wy3のx,yそれぞれの信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを実施例2と同様の方法により判別した。さらに、レベルが高くなるほど信号強度が増大している画素の場合は欠陥候補として追加判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号(R・G・Bの3色であれば、それぞれの信号に対して)に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号の信号強度に基づいて、欠陥画素の信号強度が隣接する比欠陥画素の信号強度の平均値になるように補正処理を行った。
【0130】
本実施例3により、画像中の非常に弱い傷や指紋等の更に信号強度変化が小さい画像欠陥でも画像欠陥として精度よく判別することができ、その判別結果から欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0131】
【発明の効果】
請求項1、5、9、13のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号の多重解像度変換後の信号に基づいて画像欠陥を判別するので、記録媒体の欠陥部位とその周囲との欠陥検出信号の信号強度の変化が少なく、S/N比の低い場合でも、この記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥の有無、画像上の欠陥の位置、欠陥の特性等を適切に判別することができる。
【0132】
請求項2、6、10、14のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項1、5、9、13のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号を多重解像度変換する際に二項ウェーブレット変換を利用するので、欠陥検出信号により形成される欠陥画像をダウンサンプリングする必要がなく、より詳細に欠陥を判別することができる。
【0133】
請求項3、7、11、15のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項2、6、10、14のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルの高域側成分の対応する画素を比較することにより、画像の欠陥を判別するので、第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。
【0134】
請求項4、8、12、16のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項1〜3、5〜7、9〜11、13〜15のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより詳細に判別された画像欠陥を補正するので、各種出力媒体に画像欠陥の無い秀麗な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る欠陥検出信号の多重解像度変換において用いられるウェーブレット関数を示した図である。
【図2】第1レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図3】2次元信号における第1レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図4】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換において、入力信号が第3レベルのウェーブレット変換において信号が分解される過程を示した模式図である。
【図5】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換により分解された入力信号Sn−1をフィルタ処理による逆ウェーブレット変換を行うことにより再構成する方法を示したブロック図である。
【図6】入力信号S0の波形と、ウェーブレット変換により得られる高域側成分の各レベル毎の波形を示した図である。
【図7】第1レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図8】2次元信号における第1レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図9】2次元信号における第3レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図10】本発明の一例の画像記録装置を示した斜視図である。
【図11】図10に示した画像記録装置の機能的構成を示したブロック図である。
【図12】図11に示した画像処理部の機能的構成を示したブロック図である。
【図13】実施例1において欠陥検出信号の第1レベルの双直交ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図14】実施例2において欠陥検出信号の第1レベルの二項ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図15】実施例3において欠陥検出信号の第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
4 露光処理部(画像記録部)
5 プリント作成部(画像記録部)
8 フィルムスキャナ部(欠陥検出部)
9 反射画像読込部(欠陥検出部)
13 画像読込部
14 画像書込部
15 制御部
18 通信手段
20 画像処理部(画像処理装置)
21 フィルムスキャンデータ処理部
22 反射原稿スキャンデータ処理部
24 画像調整処理部(変換部、判別部)
25 CRT固有処理部
26 第一のプリンタ固有処理部
27 第二のプリンタ固有処理部
28 画像データ書式作成処理部
29 外部プリンタ
N 記録媒体
P 記録媒体
LPF ローパスフィルタ(変換部)
HPF ハイパスフィルタ(変換部)
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真の現像や焼き増しを行う際に、カラー写真フィルム上に形成された画像、あるいは写真印画紙上に形成された画像をR・G・Bの3色の光を透過あるいは反射させ、CCD(Couple charged Device)センサー等で光電的に読み取って、複数の画素の画像信号に変換することが行われている。
【0003】
かかる画像信号は、ネガポジ反転、輝度調整、カラーバランス調整、粒状除去、鮮鋭性強調に代表される種々の画像処理を施された後に、CD−R(CD−Recordable)、フロッピー(登録商標)ディスク、メモリーカード等の媒体やインターネット経由で配布され、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタ等でハードコピー画像として出力されたり、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置装置に表示されたりして鑑賞される。
【0004】
ところで、ネガフィルムやポジフィルムあるいは写真等の保存状態や取り扱い方が悪いと、これらの表面に掻き傷が形成されたり、塵、指紋等の各種汚れが付着する場合がある。これらの記録媒体の欠陥は、画像読取光を屈折させたり吸収したりするので画像信号に影響を及ぼし、出力画像に画像欠陥を生じさせる。
このような記録媒体の欠陥は赤外光(IR:infrared radiation)の透過を妨げるが、他の部分は着色の有無に関わらず赤外光を透過する。これを利用して、画像読取光とは別に記録媒体を赤外光で走査することにより赤外画像信号を得て、この赤外画像信号に基づいて記録媒体の欠陥個所に対応する画素の画像信号を補正することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−28468号公報(特許第2559970号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、赤外画像信号にはCCDセンサによる光電変換時、あるいは信号の増幅時のノイズが含まれるため、上記従来の方法(特許文献1)の様に赤外線画像信号(赤外光のエネルギー強度)と閾値との比較により、記録媒体の欠陥の有無等を判断する方法では、信号強度の弱い欠陥を検出することができなかった。すなわち、指紋のように薄く広域に現れる汚れや弱い掻き傷等のように欠陥部位とその周囲との赤外線画像信号の強度変化が少ない場合には、記録媒体の欠陥を検出するに十分なS/N比が得られず、従来の方法では、これらの弱く広域に渡って形成された欠陥を十分に判別できない恐れがあった。画像欠陥読取光として赤外光の代わりに、紫外光や画像読取用光とは波長が異なる可視光を用いた場合でも、上記と同様に、周囲との信号強度変化の弱い画像欠陥を十分に判別できない恐れがある。
本発明の課題は、記録媒体に起因する画像欠陥を精度よく判別することができる画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像記録装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理装置において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理方法において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出工程と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換工程と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項9に記載の発明の画像処理プログラムは、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づく画像処理を実行するためのコンピュータに、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出させ、その欠陥検出信号を出力させる欠陥検出機能と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行わせる変換機能と、前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥を判別させる判別機能と、を実現させることを特徴とする。
【0010】
請求項13に記載の発明は、記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理部と、画像処理が施された前記画像信号を出力して出力媒体に画像を記録する画像記録部とを有する画像記録装置において、前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査することにより前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、前記多重解像度変換された信号に基づいて、前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記請求項1、5、9、13のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号の多重解像度変換後の信号に基づいて画像欠陥を判別するので、記録媒体の欠陥部位とその周囲との欠陥検出信号の信号強度の変化が少なく、S/N比の低い場合でも、この記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥の有無、画像上の欠陥の位置、欠陥の特性等を適切に判別することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理方法において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理プラグラムにおいて、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0015】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像記録装置において、前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする。
【0016】
請求項2、6、10、14のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号を多重解像度変換する際に二項ウェーブレット変換を利用するので、欠陥検出信号により形成される欠陥画像をダウンサンプリングする必要がなく、より詳細に欠陥を判別することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理方法において、前記変換工程において、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換が行われ、前記判別工程において、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥が判別されることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像処理プログラムにおいて、前記変換機能を実現させる際に、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行わせ、前記判別機能を実現させる際に、前記二項ウェーブレット変換において得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較させて、前記画像の欠陥を判別させることを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像記録装置において、前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする。
【0021】
請求項3、7、11、15のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルの高域側成分の対応する画素を比較することにより、画像の欠陥を判別するので、第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号(例えば非常に弱い指紋の跡)でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像処理方法において、前記判別工程において判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、前記判別機能により判別させた画像欠陥を補正させる画像補正機能を実現させることを特徴とする。
【0025】
請求項16に記載の発明は、請求項13〜14のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記画像処理部は、前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする。
【0026】
請求項4、8、12、16のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより詳細に判別された画像欠陥を補正するので、各種出力媒体に画像欠陥の無い秀麗な画像を出力することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
本発明は、ネガフィルム、リバーサルフィルム、銀塩印画紙等の各種記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより画像信号を得るに際し、記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥を欠陥検出用光により検出し、その欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行って画像欠陥を判別し、判別された画像欠陥を補正する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像記録装置に係るものである。
【0028】
ここで、画像読取光とは、記録媒体に記録された画像をCCDセンサ等の光電変換素子で光電的に読み取るために画像に照射する光であり、カラー画像の場合、一般的にR・G・Bの3色の可視光が用いられる。
【0029】
画像読取光としてR・G・Bの3色の可視光を用いた場合、画像信号は各色成分毎に得られる。画像信号は、画像を多数の小領域に分割して、その小領域毎の色や明るさを電気信号の信号強度で表したものである。以下、この小領域を画素という。
【0030】
記録媒体の欠陥とは、記録媒体の表面に形成された掻き傷や、表面に付着した塵、指紋等の汚れを指す。これらは画像読取光を屈折させたり、吸収したりするので画像信号に影響を及ぼし、出力画像に画像欠陥を生じさせる。
【0031】
欠陥検出用光とは、上記した記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥を検出するための光であり、例えば、赤外光を用いることができる。記録媒体の欠陥は赤外光の透過を妨げるが、記録媒体の非欠陥部位は着色の有無に関わらず赤外光を透過する。これにより、記録媒体の欠陥、すなわち、画像欠陥のみを抽出した欠陥検出信号を得ることができる(特許文献1参照)。なお、欠陥検出用光は赤外光に限られるものではなく、画像欠陥を検出可能な光であれば如何なるものであってもよく、例えば、紫外光や画像読取光とは異なる波長の可視光を用いることもできる。
【0032】
欠陥検出信号は、記録媒体を透過又は反射した赤外光の光量を光電変換することにより得られた電気信号の信号強度を画素毎に表したものである。
【0033】
多重解像度変換とは、ウェーブレット変換、完全再構成フィルターバンク、ラプラシアンピラミッド等に代表される手法の総称をいい、1回の変換操作により入力信号を周波数の高域側成分信号と低域側成分信号に分解し、得られた低域側成分信号に対して同様の変換操作を行い、周波数帯域が異なる複数の信号からなる多重解像度信号を得る手法である。得られた多重解像度信号を逆多重解像度変換した場合、元の信号が再構成される。こうした手法については、例えば、”Wavelet and Filter Banks” by G. Strang & T. Nguyen, Wellesley−Cambridge Press(邦訳「ウエーブレット解析とフィルタバンク」, G.ストラング・T.グエン共著, 培風館 )に詳細な解説がなされている。
【0034】
本発明では、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより得られる多重解像度信号に基づいて、画像欠陥を判別する。ここで、画像欠陥を判別するとは、画像欠陥の有無を判別することをいい、画像欠陥を有する画素の特定や画像欠陥信号もしくは多重変換後の信号の強度や周波数から画像欠陥の特性を併せて判別するとより好ましい。
【0035】
なお、本実施の形態では、画像信号の多重解像度変換については特に触れていないが、画像欠陥の補正を行うときやその他の画像処理を行う際に、画像信号に対して多重解像度変換を行い、得られた信号に対して処理を施してもよい。
【0036】
次に、上記した多重解像度変換手法のうち、ウェーブレット変換の概要を説明する。ウェーブレット変換とは、図1に例示されるような有限範囲で振動するウェーブレット関数(下記式(1)参照)を用いて、入力信号f(x)に対するウェーブレット変換係数(f,Ψa , b)を下記式(2)で求めることにより、下記式(3)で示されるウェーブレット関数の総和に分解する変換方法である。
【数1】
【数2】
【数3】
【0037】
上記(3)式で、aはウェーブレット関数のスケールを表し、bはウェーブレット関数の位置を示す。図1に例示するように、スケールaの値が大きいほどウェーブレット関数Ψa , b(x)の周波数は小さくなり、位置bの値に従ってウェーブレット関数Ψa , b(x)が振動する位置が移動する。
従って、上記式(3)は、入力信号f(x)を種々のスケールと位置を持つウェーブレット関数Ψa , b(x)の総和に分解する事を意味している。
【0038】
ウェーブレット変換を行う際に用いられるウェーブレット関数としては多くのものが知られているが、画像処理分野では特に計算を高速に行うことができる直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換が広く用いられている。また、二項ウェーブレットは、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換と比較すると、変換後の欠陥検出信号に基づいてより高精度に画像欠陥を判別することができるので好ましい。
【0039】
次に、直交ウェーブレット変換および双直交ウェーブレット変換について説明する。直交ウェーブレット変換および双直交ウェーブレット変換では、下記式(4)で定義されるウェーブレット関数を用いる。
【数4】
但し、iは自然数である。
【0040】
前記式(4)と前記式(1)とを比較すると、直交ウェーブレット変換、双直交ウェーブレット変換においては、スケールaの値が2の乗で離散的に定義され、また位置bの最小移動単位が2iで離散的に定義されている事が判る。このiの値はレベルと呼ばれる。
【0041】
また実用的にはレベルiを有限な上限Nまでに制限して、入力信号を下記式(5)、式(6)、式(7)のように変換することが行われる。
【数5】
【数6】
【数7】
【0042】
上記式(5)の第2項は、第1レベルのウェーブレット関数Ψ1 , j(x)の総和で表せない残差の低域側成分を、第1レベルのスケーリング関数φ1 , j(x)の総和で表したものである。スケーリング関数はウェーブレット関数に対応して適切なものが用いられる(前述の参考文献を参照)。式(5)に示す1レベルのウェーブレット変換により入力信号f(x)≡S0は、第1レベルの高域側成分W1と低域側成分S1に信号分解された事になる。
【0043】
なお、画像信号においては、高域側成分は、例えば、髪の毛やまつげの様な微細な構造を表現する成分であり、低域側成分は、例えば、頬の様に信号強度の変化の緩やかな構造を示す成分となる。
【0044】
ウェーブレット関数Ψ1 , j(x)の最小移動単位単位は2iなので、入力信号S0の信号量に対して高域側成分W1と低域側成分S1の信号量は各々1/2となり、高域側成分W1と低域側成分S1の信号量の総和は、入力信号S0の信号量と等しくなる。第1レベルのウェーブレット変換により得られる低域側成分S1は式(6)において、第2レベルの高域側成分W2と低域側成分S2に分解され、以下同様に第Nレベル迄の変換を繰り返すことで、入力信号S0は、式(7)に示すように各レベル1〜Nにおける高域側成分の総和と第Nレベルにおける低域側成分の和に分解される。
【0045】
ここで、前記式(6)で示す1レベルのウェーブレット変換は、図2に示すようにローパスフィルタLPFとハイバスフィルタHPFを用いたフィルタ処理で計算できる事が知られている(段落番号0033に記載の文献を参照)。
【0046】
図2に示すように、入力信号S0をローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFで処理し、信号を1つおきに間引くことにより、第1レベルの直交ウェーブレット変換または第1レベルの双直交ウェーブレット変換により得られる高域側成分と低域側成分に分解することができる。なお、図2において2↓は、信号を1つおきに間引くダウンサンプリングを示している。
【0047】
処理の際に用いるローパスフィルタLPFとハイパスフィルタHPFのフィルタ係数はウェーブレット関数に応じて適切に定められる(前述の参考文献を参照)。
【0048】
欠陥検出信号や画像信号のような2次元信号における第1レベルのウェーブレット変換は、図3に示すようなフィルタ処理で行われる。まず、入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFx、ハイパスフィルタHPFxによりフィルタ処理を施し、次にx方向にダウンサンプリング処理を行う。これらの処理により入力信号Sn−1を低域側成分SXnと、高域側成分WXnとに分解する。この低域側成分SXnと高域側成分WXnに対してそれぞれy方向のローパスフィルタLPFyおよびハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理を施し、次いで、y方向にダウンサンプリング処理を行う。
【0049】
これらのフィルタ処理によって、入力信号Sn−1を3つの高域側成分Wvn、Whn、Wdnと1つの低域側成分Snに分解することができる。1回のウェーブレット変換により生成されるWvn、Whn、Wdn、Snの各々の信号量は、変換前の入力信号Sn −1に比べて縦横ともに1/2となるので、分解後の4成分の信号量の総和は、分解前のSn −1の信号と等しくなる。
【0050】
なお、図3においてLPFx、HPFx、2↓xの様に添字で示したxはx方向の処理を示し、LPFy、HPFy、2↓yの様に添字で示したyはy方向の処理を示す。
【0051】
入力信号S0が第1レベル、第2レベル、第3レベルのウェーブレット変換で信号分解される過程を模式的に図4に示す。レベル数iが増大するにつれて、ダウンサンプリングにより画像信号が間引かれ、分解画像が小さくなっていくことが分かる。
【0052】
また、図5に示すように、分解後に生成されたSn、Whn、Wvn、Wdnをフィルタ処理等により行われるウェーブレット逆変換を施すことにより、分解前の信号Sn −1を完全再構成できる事が知られている。なお、図5においてLPF’は逆変換用のローパスフィルタ、HPF’は逆変換用のハイパスフィルタを示している。また2↑は、信号に1つおきにゼロを挿入するアップサンプリングを示す。またLPF’x、HPF’x、2↑xの様に添字で示したxはx方向の処理を示し、LPF’y、HPF’y、2↑yの様に添字で示したyはy方向の処理を示す。
【0053】
図5に示すように、Snをy方向にアップサンプリングしてy方向のローパスフィルタLPF’yで処理することにより得られる信号と、Whnをy方向にアップサンプリングしてy方向のハイパスフィルタHPF’yで処理することにより得られる信号を加算して、SXnを得る。これと同様にして、WvnとWdnからWXnを生成する。
【0054】
さらに、SXnをx方向にアップサンプリングしてx方向のローパスフィルタLPF’xで処理することにより得られる信号と、WXnをx方向にアップサンプリングしてx方向のハイパスフィルタHPF’xで処理することにより得られる信号を加算することにより、分解前の信号Sn−1を再構成することができる。
【0055】
逆変換の際に用いられる各フィルタは、直交ウェーブレット変換の場合には変換する際に用いた係数と同じ係数のフィルタが使用される。双直交ウェーブレット変換の場合には、変換に用いた係数とは異なる係数のフィルタが逆変換の際に使用される(前述の参考文献を参照)。
【0056】
以上説明した多重解像度変換を欠陥検出信号に施すことにより得られる多重解像度信号の高域側成分にはノイズ成分は信号強度としてほとんど発生せず、欠陥検出信号のみが現れるため、記録媒体に指紋のように薄く広域に付着した汚れや弱い掻き傷のようにS/N比が低い欠陥検出信号でも精度よく画像欠陥を判別することができる。例えば、欠陥検出信号の多重解像度変換により得られる高域側成分信号に対してある閾値を設け、閾値を越えた場合には画像欠陥候補と判別することができる。また、多重解像度変換では、画素位置を有した状態で周波数領域に変換することができるので、欠陥位置に対応する画素における画像信号の強度を補正することにより、画像欠陥を無くすことが可能となる。
【0057】
次に、二項ウェーブレット変換について説明する。なお、二項ウェーブレット変換については、”Singularity detection and processing with wavelets” by S.Mallat and W.L.Hwang, IEEE Trans. Inform. Theory 38 617 (1992) や “Characterization of signals from multiscale edges” by S.Mallat and S.Zhong, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel. 13 210 (1992) や ”A wavelet tour of signal processing 2ed.” by S.Mallat, Academic Press に詳細な説明がある。
【0058】
二項ウェーブレット変換で用いられるウェーブレット関数は下記式(8)で定義される。
【数8】
但し、iは自然数である。
【0059】
前述した直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数においてレベルiにおける位置の最小移動単位が2iで離散的に定義されていたのに対し、二項ウェーブレットはレベルiにかかわらず位置の最小移動単位が一定である。
【0060】
すなわち、二項ウェーブレット変換では前記式(1)においてbで示されるウェーブレット関数の位置に、例えば、2iのようにiが現れないため、位置の最小移動単位がレベル数によらず常に一定になる。したがって、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換のように、フィルタ処理により計算する際にダウンサンプリングする必要がなく、この相違により、二項ウェーブレット変換は下記の特徴を有する。
【0061】
第一の特徴として、下記式(9)に示す1レベルの二項ウェーブレット変換で生成する、高域側成分Wiと低域側成分Siの各々の信号量は、変換前の信号Si−1と同一である。
【数9】
【0062】
第二の特徴として、スケーリング関数φi,j(x)とウェーブレット関数Ψi,j(x)の間に下記式(10)の関係が成立する。
【数10】
【0063】
従って、1レベルの二項ウェーブレット変換で生成される高域側成分Wiは、低域側成分Siの1階微分(勾配)を表す。
【0064】
第三の特徴として、ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められた係数γi(段落番号0057に記載の二項ウェーブレットに関する参考文献参照)を高域側成分に乗じたWi・γi(以下、これを補正済高域側成分と呼ぶ)について、入力信号の信号変化の特異性(singularity)に応じて、該変換後の補正済高域側成分Wi・γiの信号強度のレベル間の関係がある一定の法則に従う。
【0065】
例えば、図6の(a)に入力信号S0を、(b)に第1レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W1・γ1を、(c)に第2レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W2・γ2を、(d)に第3レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W3・γ3を、(e)に第4レベルの二項ウェーブレット変換により得られる補正済高域側成分W4・γ4を示す。
【0066】
各レベルにおける信号強度の変化を見ると、(a)において、“1”や“4”に示すなだらかな(微分可能な)信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すようにレベル数iが増大するほど信号強度が増大する。
【0067】
入力信号S0において、“2”に示すステップ状の信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiはレベル数iに関わらず信号強度が一定となる。入力信号S0において、“3”に示すδ関数状の信号変化に対応する補正済高域側成分Wi・γiは、(b)→(e)に示すように、レベル数iが増大するほど信号強度が減少する。
【0068】
例えば、記録媒体に付着した薄く現れる汚れ等は図6において、“1”や“4”に示すようななだらか波形で、かつ、低い強度で現れる。このような場合であっても、欠陥検出信号に対する多重解像度変換においてレベル数を増大させることにより信号強度を大きくすることができるので、画像欠陥を精度よく判別することができる。
【0069】
また、例えば、ホワイトノイズや粒状ノイズは、(a)において“3”で示される様なδ関数状の信号変化を示すが、これは元々の信号強度が高いため、レベル数iが増大するにつれて信号強度が低下しても十分に判別することができる。また、記録媒体の欠陥の特性によって、欠陥検出信号の信号変化の波形やレベル数iの増大に伴う信号強度の変化が異なるので、欠陥の特性に応じて画像欠陥を適切に補正することができる。
【0070】
第四の特徴として、欠陥検出信号のような2次元信号における1レベルの二項ウェーブレット変換は、前述の直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換とは異なり、図7に示す方法で行われる。
【0071】
図7に示すように、1レベルの二項ウェーブレット変換において、入力信号Sn−1をx方向のローパスフィルタLPFxおよびy方向のローパスフィルタLPFyで処理することにより低域側成分Snが得られる。また、入力信号Sn−1をx方向においてハイパスフィルタHPFxで処理することにより一つの高域側成分Wxnが得られ、y方向においてハイパスフィルタHPFyで処理することによりもう一つの高域側成分Wyyが得られる。
【0072】
このように、1レベルの二項ウェーブレット変換により、入力信号Sn−1は2つの高域側成分Wxn、Wynと1つの低域側成分Snに分解される。2つの高域側成分は低域側成分Snの2次元における変化ベクトルVnのx成分とy成分に相当する。変化ベクトルVnの大きさMnと偏角Anは下記式(11)、式(12)で示される。
【数11】
【数12】
【0073】
二項ウェーブレット変換で得られた2つの高域側成分Wxn、Wynと1つの低域側成分Snに図8に示す二項ウェーブレット逆変換を施す事で、変換前の信号Sn −1を再構成できる事が知られている。すなわち、Snに対してx方向およびy方向における順変換時に用いたローパスフィルタLPFx、LPFyで処理することにより得られる信号と、Wxnに対してx方向における逆変換用のハイパスフィルタHPFx’とy方向における逆変換用のローパスフィルタLPFy’で処理することにより得られる信号と、Wynに対してx方向における逆変換用のローパスフィルタLPFx’とy方向における逆変換用のハイパスフィルタHPFy’で処理することにより得られる信号とを加算することによって、変換前の信号Sn−1を構成することができる。
【0074】
以上説明したように、二項ウェーブレット変換は直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換等と同様にS/N比が低い欠陥検出信号でも画像欠陥を判別することができるのは勿論のこと、直交ウェーブレット変換や双直交ウェーブレット変換のように画像をダウンサンプリングする(間引く)ことがないためより高精度に画像欠陥を判別することができる。したがって、欠陥検出信号を二項ウェーブレット変換することにより得られる高域側成分信号において、画像欠陥と判別された画素に対応する画像信号を補正することで、秀麗な画像を各種出力媒体に出力することができる。
【0075】
また、本発明においては、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、各レベルにおいて得られる高域側成分の信号強度を比較することにより、ある画素位置に現れる欠陥検出信号が画像上の欠陥を示すものであるかどうかを判別すると好ましい。
【0076】
次に、図9に基づいて、欠陥検出信号S0(入力信号)に対して第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う方法を説明する。
入力信号S0に対する第1レベルのウェーブレット変換は、図7と同様のフィルタ処理により、入力信号S0を2つの高域側成分Wx1、Wy1と低域側成分S1に分解する。第2レベルのウェーブレット変換は、第1レベルのウェーブレット変換で得られた低域側成分S1に対して同様のフィルタ処理によって、さらに2つの高域側成分Wx2、Wy2と低域側成分S2に分解する。第3レベルのウェーブレット変換は、第2レベルのウェーブレット変換で得られた低域側成分S2を同様のフィルタ処理によってさらに2つの高域側成分Wx3、Wy3と低域側成分S3に分解する。
【0077】
これらのフィルタ係数はウェーブレット関数に応じて適切に定められる(前述の参考文献を参照)。また二項ウェーブレットにおいては、レベル毎に用いるフィルタのフィルタ係数が異なる。レベルnにおいて使用するフィルタ係数は、レベル1のフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照)。
【0078】
本発明においては、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルのx、y両方向の高域側成分信号Wx1とWx2、Wy1とWy2の対応する画素を比較し、x、y両方とも第2レベルの信号強度が第1レベルの信号強度よりも大きくなっていた場合に画像欠陥の候補とする。
【0079】
第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号(例えば非常に弱い指紋の跡)でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。特にS/N比の低い欠陥検出信号に対しては、第1レベルと第3レベルの高域側成分を比較することが好ましく、更に好ましくは第1、第2、第3レベルの各レベルの高域側成分を比較することが好ましい。
【0080】
次に、以上説明した欠陥検出信号に対する多重解像度変換を実行する画像処理部(画像処理装置)を有する画像記録装置について説明する。図10に本実施の形態における画像記録装置1の外観構成例を示す。
【0081】
図10に示すように、画像記録装置1は、筐体2の一側面に備えられたマガジン装填部3と、筐体2の内側に備えられる露光処理部4およびプリント作成部5を有している。筐体2の他側面にはプリント排出用のトレー6が設けられている。筐体2の上部には、表示装置としてのCRT(Cathode Ray Tube)8、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9、操作部10が設けられている。操作部10はタッチパネルなどから構成される入力手段11を有している。また、筐体2には、フロッピー(登録商標)ディスク等の各種デジタル記録媒体に記録された画像情報を読み取り可能な画像読取部13、フロッピー(登録商標)ディスク等の各種出力媒体に画像信号を書き込み(出力)可能な画像書込部14が備えられている。さらに、図11に示すように、筐体2の内部には、これら各部を集中制御する制御部15が備えられている。
【0082】
マガジン装填部3には画像出力媒体としての感光材料が装填されている。感光材料は、例えば、ハロゲン化銀感光性熱現像材料等からなる銀塩印画紙から構成することができる。マガジン装填部3には、サービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ、A4サイズ、名刺サイズ等の各種サイズの感光材料を装填することができる。図示しない搬送手段は、制御部15の指令に従い、所定のサイズの感光材料をマガジン装填部3から取り出して露光処理部4に搬送する。
【0083】
露光処理部4は、画像信号に基づいて感光材料を露光し、感光材料に潜像を形成する。露光処理後、感光材料はプリント作成部5に搬送される。感光材料のサイズに応じて、図11に示すようにサービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ等のプリントP1、A4サイズのプリントP2、名刺サイズのプリントP3等の各種サイズのプリントが作成される。
【0084】
プリント作成部5は、搬送された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントを作成する。作成されたプリントはトレー6から排出される。
【0085】
なお、図10には、画像記録装置1として感光材料に露光して現像し、プリントを作成するものを例示しているが、これに限らず、画像信号に基づいて画像を形成する装置であればよく、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式、昇華方式のプリント作成装置であってもよい。
【0086】
CRT7は、制御部15からの指令に従い、画像処理後の画像や各種操作内容等の表示を行う。なお、表示装置としてはCRTに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ(LD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等であってもよい。
【0087】
フィルムスキャナ部8は、図11に示すように、アナログカメラ等により撮像された画像が現像されたネガフィルムやリバーサルフィルムなどの透過性記録媒体Nから、画像および記録媒体の欠陥を読み取るための装置であり、フィルムスキャナーを備えている。
【0088】
フィルムスキャナーは、画像読取光源、欠陥検出用光源、これらから照射される画像読取光および欠陥検出用光を走査させるための走査手段、記録媒体を透過した画像読取光や欠陥検出用光を集光するための集光手段、CCD等の光電変換素子等から構成される。
【0089】
フィルムスキャナーは、透過性記録媒体Nを画像読取光および欠陥検出用光で走査し、透過性記録媒体Nを透過した画像読取光および欠陥検出用光を集光手段により集光し、光電変換素子で光電変換することにより電気信号として画像信号および欠陥検出信号を得る。得られた画像信号および欠陥検出信号は制御部15へ転送される。
【0090】
反射原稿入力部9は、アナログカメラ等により撮像された画像が現像(出力)された銀塩印画紙やカラーペーパー等の非透過性記録媒体Pから、画像および記録媒体の欠陥を読み取るための装置であり、フラットベットスキャナーを備えている。
【0091】
フラットベットスキャナーは、フィルムスキャナ部8と同様に、画像読取光光源、欠陥検出用光源、走査手段、集光手段、CCDセンサ等から構成される。
反射原稿入力部9では、フラットベットスキャナーにより画像読取光および欠陥検出信号で記録媒体を走査し、その反射光を集光手段により集光し、CCDで光電変換することにより画像信号および欠陥検出信号を得る。得られた画像信号および欠陥検出信号は制御部15へ転送される。
【0092】
フィルムスキャナ部8および反射原稿入力部9では、R・G・Bの3色の可視光が画像読取光として用いられる。また、フィルムスキャナ部8および反射原稿入力部9では、赤外光を欠陥検出用光として用いている。
【0093】
画像読込部13は、デジタルカメラ等で撮像した駒画像情報を各種デジタル記録媒体16a、16bを介して画像記録装置1に入力するための装置である。
画像読込部13には、PCカード用アダプタ13a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ13bが備えられ、PCカード16aやフロッピー(登録商標)ディスク16bに記録された駒画像情報を読み取り、取得した画像情報を制御部15へ転送する。なお、PCカード用アダプタ13aとしては、例えばPCカードリーダやPCカードスロット等が用いられる。
【0094】
この画像読込部13から読入力される画像信号はフィルムスキャナ部8や反射原稿入力部9から入力される画像信号と同様に適宜信号処理が施され、感光材料等に出力することができる。
【0095】
さらに、画像記録装置1は、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9、画像読込部13から入力された駒画像情報に画像処理等を行った上で、感光材料、CRT7の他に、画像書込部14を介して各種出力媒体17a、17b、17cに画像を出力することができる。
【0096】
画像書込部14にはフロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14a、MO用アダプタ14b、光ディスク用アダプタ14cが備えられており、出力媒体としてはフロッピー(登録商標)ディスク17a、MO(光磁気型記憶装置)17、光ディスク17c等を使用することができる。
【0097】
さらに、制御部15には図12に示す通信手段18が設けられており、この通信手段18によりLAN、WAN、インターネット等の通信ネットワーク等を介して他のコンピュータから直接、撮像画像を表す画像信号とプリント命令を受信し、所謂ネットワークプリンタ装置として機能することが可能になっている。本発明の画像処理を施した後の撮影画像を表す画像信号と付帯するオーダー情報を、施設内の別のコンピュータやインターネット等を介した遠方のコンピュータに対して送付することも可能になっている。
【0098】
次に、制御部15について説明する。制御部15は画像処理部20を有し、この画像処理部20においてROM(図示せず。)等の記憶装置に記憶された欠陥判別プログラム、画像処理プログラム等の各種制御プログラムとCPU(図示せず。)との協働により、欠陥検出信号の多重解像度変換を行い、判別された欠陥画素に対応する画像信号に信号処理を施し、出力用の画像信号を生成する。
【0099】
画像処理部20は、図12に示すように、フィルムスキャンデータ処理部21、反射原稿スキャンデータ処理部22、画像データ書式解読処理部23、画像調整処理部24、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成処理部28を有している。
【0100】
フィルムスキャンデータ処理部21では、フィルムスキャナ部8から入力された画像信号に対して、フィルムスキャナ部8固有の校正操作、ネガ原稿の場合のネガポジ反転、グレーバランス調整、コントラスト調整などの各種信号処理を施し、画像調整処理部24に送る。また、フィルムサイズ、ネガポジ種別、フィルムに光学的或いは磁気的に記録されたISO感度、メーカー名、主要被写体に関わる情報、撮影条件に関する情報(例えばAPSの記載情報内容)なども、併せて画像調整処理部24に送る。
【0101】
反射原稿スキャンデータ処理部22では、反射原稿入力部9から入力された画像信号に対して、反射原稿入力部9固有の校正操作、ネガ原稿の場合のネガポジ反転、グレーバランス調整、コントラスト調整などを施し、画像調整処理部24に送る。
【0102】
画像データ書式解読処理部23は、画像読込部13や通信手段18から入力された画像信号のデータ書式が解読され、その信号のデータ書式に従い必要に応じて圧縮符号の復元・色信号の表現方法の変換等を行い、画像調整処理部24内の演算に適したデータ形式に画像信号を変換して画像調整処理部24に送る。
【0103】
画像調整処理部24では、操作部10又は制御部15の指令に基づき、フィルムスキャナ部8、反射原稿入力部9から受け取った欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行うことにより得た多重解像度信号に基づいて画像欠陥を判別し、画像信号の画像欠陥に対応する画素における信号強度を補正する処理を行い、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成部27に処理済みの画像信号を送出する。
【0104】
なお、画像読込部13、通信手段18から送られた画像情報に欠陥検出信号が含まれる場合には、同様に画像結果を有する画素を判別し、当該欠陥画素の信号強度を補正する画像処理を行う。
【0105】
CRT固有処理部25では、画像調整処理部24から受け取った補正済みの画像信号に対して、必要に応じて画素数変更、カラーマッチング等の処理を行い、制御情報等表示が必要な情報と合成した表示用の信号をCRT7に送出する。
【0106】
第一のプリンタ固有処理部で26は、必要に応じて露光処理部4固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行い、露光処理部4に画像信号を送出する。
【0107】
本実施の形態の画像記録装置1に、更に大判インクジェットプリンタなど、外部プリンタ装置29を接続する場合には、接続するプリンタ装置ごとに第二のプリンタ固有処理部27のようにプリンタ固有処理部を設け、プリンタ固有の適正な校正処理、カラーマッチング、画素数変更等を行なうようにする。
【0108】
画像データ書式作成処理部28においては、画像調整処理部24から受け取った画像信号に対して、必要に応じてJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、Exif(Exchangeable Image File Format)等に代表される各種の汎用画像フオーマットへの変換を行い、画像書込部14や通信手段18へ画像信号を転送する。
【0109】
以上説明したフィルムスキャンデータ処理部21、反射原稿スキャンデータ処理部22、画像データ書式解読処理部23、画像調整処理部24、CRT固有処理部25、第一のプリンタ固有処理部26、第二のプリンタ固有処理部27、画像データ書式作成処理部28という区分は、本実施の形態における画像処理部20の機能の理解を助ける為に設けた区分であり、必ずしも物理的に独立したデバイスとして実現される必要はなく、単一のCPUにおけるソフトウエア処理の種類の区分として実現されてもよい。
【0110】
次に、図12における画像調整部24において実行される欠陥検出信号の多重解像度変換について実施例1〜実施例3を挙げて説明する。
【0111】
〈実施例1〉
本実施例1では、欠陥検出信号の多重解像度変換に双直交ウェーブレット変換を用いた。図13に本実施例1における画像調整処理部24における欠陥検出信号の双直交ウェーブレット変換に係るシステムブロック図を示す。
【0112】
欠陥検出信号S0の第1レベルの双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算した。図13に示すように、まず、欠陥検出信号S0に対して、x方向において、ローパスフィルタLPFxおよびハイパスフィルタHPFxによるフィルタ処理とダウンサンプリング処理とを行うことにより、低域側成分SX1と高域側成分WX1に分解した。
【0113】
続いて、低域側成分SX1および高域側成分WX1の双方にそれぞれy方向におけるローパスフィルタLPFyおよびハイパスフィルタHPFyによるフィルタ処理とダウンサンプリング処理を施すことにより低域側成分S1と3つの高域側成分Wh1、Wv1、Wd1を得た。
【0114】
なお、フィルターは表1に示す下記の係数(Cohen, Daubechies, Feauveau 5−3)を有するものを用いた。
【表1】
【0115】
但し、上記表1において、x=0のフィルター係数は、現在処理している画素に対する係数であり、x=−1は一つ前の画素に対する係数、x=1は1つ後の画素に対する係数である(以下、同じ)。
【0116】
以上のフィルタ処理により得られた高域側成分信号Wh1,Wv1,Wd1のそれぞれの信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号(R・G・Bの3色であれば、それぞれの信号に対して)に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号強度に基づいて補正した。
【0117】
本実施例1において、欠陥検出信号S0に対して第1レベルの双直交ウェーブレット変換を行い、得られた高域側成分の信号強度を比較することにより、画像中の弱い傷や指紋等の周囲との信号強度変化が小さい場合でも欠陥として判別することができ、その判別結果から欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0118】
なお、本例では第1レベルの高域側成分で欠陥判別を行ったが、第2レベル以上の高域側成分と組み合わせて判別することも、より欠陥検出精度を高める上で好ましい。
【0119】
〈実施例2〉
次に、実施例2について説明する。本実施例2では、欠陥検出信号の多重解像度変換に第1レベルの二項ウェーブレット変換を行い実行した。
【0120】
図14に本実施例2における画像調整処理部24における欠陥検出信号の多重解像度変換に係るシステムブロック図を示す。図14に示すように第1レベルの二項ウェーブレット変換を行うに際して、まず、欠陥検出信号S0を第1レベル用のフィルタ係数を有するx方向およびy方向のハイパスフィルタHPF1x、HPF1yおよびローパスフィルタLPF1x、LPF1yによりフィルタ処理を行い、欠陥検出信号S0を2つの高域側成分WX1、WY1と1つの低域側成分S1とに分解した。なお、各フィルタの係数は表2に示すものを用いた。
【表2】
【0121】
なお、本実施例においては第1レベルの二項ウェーブレット変換を行ったが、次に説明する実施例3のように、複数のレベルにおいて二項ウェーブレット変換を行う場合は、レベル毎に異なる係数のフィルタを用いる。第nレベルのフィルタ係数は、第1レベルのフィルタの各係数の間に2n−1−1個のゼロを挿入したものが用いられる(前述の参考文献を参照)。
【0122】
また二項ウェーブレット変換のレベルiに応じて定められる補正係数γiは、下記表3で示される。
【表3】
【0123】
図14に示すフィルタ処理により得られた高域側成分信号Wx1,Wy1の信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号の信号強度に基づいて補正処理を行った。
【0124】
本実施例2により、画像中の弱い傷や指紋等の信号強度変化が小さい画像欠陥でも画像欠陥として判別することができ、かつ二項ウェーブレット変換では画像を間引くことがないため、高域側成分信号で画像欠陥と判別された画素の画像信号を補正することで、より好ましく画像欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0125】
また、本実施例2では第1レベルの二項ウェーブレット変換により得られた高域側成分で欠陥判別を行ったが、第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行う事により得られる高域側成分と組み合わせて判別することも、より欠陥検出精度を高める上で好ましい。
【0126】
〈実施例3〉
次に、実施例3について説明する。本実施例3では欠陥検出信号S0の多重解像度変換に第3レベルの二項ウェーブレット変換を行った。
【0127】
図15に本実施例3における画像調整処理部24における欠陥検出信号の多重解像度変換に係るシステムブロック図を示す。図15に示すように、欠陥検出信号S0の第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う手順に際して、まず、実施例2と同様の方法で第1レベルの二項ウェーブレット変換を行い、欠陥検出信号S0を2つの高域側成分WX1、WY1と低域側成分S1とに分解した。
【0128】
次に得られた低域側成分S1に対して、同様の方法で、二項ウェーブレット変換を行い、第2レベルにおける2つの高域側成分WX2、WY2と低域側成分S2とに分解した。さらに、低域側成分S2に対して、同様の方法で二項ウェーブレット変換を行い、第3レベルにおける2つの高域側成分WX3、WY3と低域側成分S3に分解した。なお、本実施例3に用いる二項ウェーブレットのフィルターとして、表3に示したものと同様のものを使用した。
【0129】
各レベルにおいてそれぞれ2つ得られた高域側成分信号Wx1,Wy1,Wx2,Wy2,Wx3,Wy3のx,yそれぞれの信号強度を比較し、ある特定画素が欠陥候補であるかどうかを実施例2と同様の方法により判別した。さらに、レベルが高くなるほど信号強度が増大している画素の場合は欠陥候補として追加判別した。欠陥候補であると判別された場合には、対応する画素の画像信号(R・G・Bの3色であれば、それぞれの信号に対して)に対して、隣接する非欠陥画素の画像信号の信号強度に基づいて、欠陥画素の信号強度が隣接する比欠陥画素の信号強度の平均値になるように補正処理を行った。
【0130】
本実施例3により、画像中の非常に弱い傷や指紋等の更に信号強度変化が小さい画像欠陥でも画像欠陥として精度よく判別することができ、その判別結果から欠陥を補正する画像処理が可能であった。
【0131】
【発明の効果】
請求項1、5、9、13のいずれか一項に記載の発明によれば、欠陥検出信号の多重解像度変換後の信号に基づいて画像欠陥を判別するので、記録媒体の欠陥部位とその周囲との欠陥検出信号の信号強度の変化が少なく、S/N比の低い場合でも、この記録媒体の欠陥に起因する画像欠陥の有無、画像上の欠陥の位置、欠陥の特性等を適切に判別することができる。
【0132】
請求項2、6、10、14のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項1、5、9、13のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号を多重解像度変換する際に二項ウェーブレット変換を利用するので、欠陥検出信号により形成される欠陥画像をダウンサンプリングする必要がなく、より詳細に欠陥を判別することができる。
【0133】
請求項3、7、11、15のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項2、6、10、14のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号に対して少なくとも第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行った後、少なくとも2つのレベル、例えば第1レベルと第2レベルの高域側成分の対応する画素を比較することにより、画像の欠陥を判別するので、第1レベルの二項ウェーブレット変換において画像欠陥と検出されなかったS/N比の低い欠陥検出信号でも、レベルを上げることにより信号強度が高くなるので画像欠陥として検出することが可能となり、より高精度に画像欠陥を判別することができる。
【0134】
請求項4、8、12、16のいずれか一項に記載の発明によれば、請求項1〜3、5〜7、9〜11、13〜15のいずれか一項と同様の効果が得られるのは勿論のこと、欠陥検出信号を多重解像度変換することにより詳細に判別された画像欠陥を補正するので、各種出力媒体に画像欠陥の無い秀麗な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る欠陥検出信号の多重解像度変換において用いられるウェーブレット関数を示した図である。
【図2】第1レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図3】2次元信号における第1レベルの直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図4】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換において、入力信号が第3レベルのウェーブレット変換において信号が分解される過程を示した模式図である。
【図5】直交ウェーブレット変換又は双直交ウェーブレット変換により分解された入力信号Sn−1をフィルタ処理による逆ウェーブレット変換を行うことにより再構成する方法を示したブロック図である。
【図6】入力信号S0の波形と、ウェーブレット変換により得られる高域側成分の各レベル毎の波形を示した図である。
【図7】第1レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図8】2次元信号における第1レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図9】2次元信号における第3レベルの二項ウェーブレット変換をフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図10】本発明の一例の画像記録装置を示した斜視図である。
【図11】図10に示した画像記録装置の機能的構成を示したブロック図である。
【図12】図11に示した画像処理部の機能的構成を示したブロック図である。
【図13】実施例1において欠陥検出信号の第1レベルの双直交ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図14】実施例2において欠陥検出信号の第1レベルの二項ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【図15】実施例3において欠陥検出信号の第3レベルの二項ウェーブレット変換を行う際にフィルタ処理により計算する方法を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
4 露光処理部(画像記録部)
5 プリント作成部(画像記録部)
8 フィルムスキャナ部(欠陥検出部)
9 反射画像読込部(欠陥検出部)
13 画像読込部
14 画像書込部
15 制御部
18 通信手段
20 画像処理部(画像処理装置)
21 フィルムスキャンデータ処理部
22 反射原稿スキャンデータ処理部
24 画像調整処理部(変換部、判別部)
25 CRT固有処理部
26 第一のプリンタ固有処理部
27 第二のプリンタ固有処理部
28 画像データ書式作成処理部
29 外部プリンタ
N 記録媒体
P 記録媒体
LPF ローパスフィルタ(変換部)
HPF ハイパスフィルタ(変換部)
Claims (16)
- 記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理装置において、
前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、
前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、
前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項2に記載の画像処理装置において、
前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、
前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする画像処理装置。 - 記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理方法において、
前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出工程と、
前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換工程と、
前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥の判別を行う判別工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項5に記載の画像処理方法において、
前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項6に記載の画像処理方法において、
前記変換工程において、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換が行われ、
前記判別工程において、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥が判別されることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像処理方法において、
前記判別工程において判別された画像欠陥を補正することを特徴とする画像処理方法。 - 記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づく画像処理を実行するためのコンピュータに、
前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査して前記画像の欠陥を検出させ、その欠陥検出信号を出力させる欠陥検出機能と、
前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行わせる変換機能と、
前記多重解像度変換された信号に基づいて前記画像の欠陥を判別させる判別機能と、
を実現させるための画像処理プログラム。 - 請求項9に記載の画像処理プラグラムにおいて、
前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像処理プログラム。 - 請求項10に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記変換機能を実現させる際に、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行わせ、
前記判別機能を実現させる際に、前記二項ウェーブレット変換において得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較させて、前記画像の欠陥を判別させることを特徴とする画像処理プログラム。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記判別機能により判別させた画像欠陥を補正させる画像補正機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。 - 記録媒体に記録された画像を画像読取光で走査することにより得られる画像信号に基づいて画像処理を行う画像処理部と、画像処理が施された前記画像信号を出力して出力媒体に画像を記録する画像記録部とを有する画像記録装置において、
前記記録媒体に記録された画像を欠陥検出用光で走査することにより前記画像の欠陥を検出し、その欠陥検出信号を出力する欠陥検出部と、
前記欠陥検出信号に対して多重解像度変換を行う変換部と、
前記多重解像度変換された信号に基づいて、前記画像の欠陥の判別を行う判別部と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 請求項13に記載の画像記録装置において、
前記多重解像度変換は二項ウェーブレット変換であることを特徴とする画像記録装置。 - 請求項14に記載の画像記録装置において、
前記変換部は、前記欠陥検出信号に対して第2レベル以上の二項ウェーブレット変換を行い、
前記判別部は、前記二項ウェーブレット変換により得られた各レベルの高域側成分において、少なくとも2つのレベルの対応する画素の信号強度を比較することにより、前記画像の欠陥を判別することを特徴とする画像記録装置。 - 請求項13〜14のいずれか一項に記載の画像記録装置において、
前記画像処理部は、前記判別部により判別された画像欠陥を補正することを特徴とする画像記録装置。
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