JP2004327610A - 半導体ウエハのフォトレジスト除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハにおいて、Ru膜が受けるダメージを抑制するとともにフォトレジストを確実に除去することができる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法を提供する。
【解決手段】基板31上にRu膜32が形成され、前記Ru膜32上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜32が表面に露出している部分とフォトレジスト34が表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジスト34を除去すること、またはpHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジスト34を除去することを特徴とする半導体ウエハのフォトレジスト除去方法。
【選択図】 図1
【解決手段】基板31上にRu膜32が形成され、前記Ru膜32上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜32が表面に露出している部分とフォトレジスト34が表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジスト34を除去すること、またはpHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジスト34を除去することを特徴とする半導体ウエハのフォトレジスト除去方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルテニウム膜が形成され、前記ルテニウム膜上にフォトレジストパターンが形成され、前記ルテニウム膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジストを除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハの製造プロセスにおけるフォトレジスト除去方法としては、酸素プラズマやオゾンガスによるアッシング方法が知られている(非特許文献1参照。)。しかし、ルテニウム(以下、Ruという)膜を含むパターンを形成する場合、酸素プラズマやオゾンガスによるアッシング方法では、RuがRuO4に酸化され気化するため(RuO4の沸点は40℃)、Ru膜がダメージを受けるという問題がある。
【0003】
Ru膜にダメージを与えることなく、フォトレジストを除去する方法として、たとえば、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、180℃〜280℃の範囲で1分〜3分程度オゾンアッシングする方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかし、かかる方法では、180℃〜280℃の高温にしなければ、フォトレジストを除去することができないという問題がある。
【0004】
また、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、フッ化水素(HF)と界面活性剤と過酸化水素(H2O2)とを含む電子部品洗浄液で洗浄後、オゾン水で洗浄する方法が提案されている(特許文献2参照。)。しかし、かかる方法では、オゾン水のみで洗浄を行なう際にRu膜がダメージを受けるという問題が残る。
【0005】
さらに、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、濃硫酸中に浸漬させて、濃硫酸中にオゾンガスを吹き出す方法が提案されている(特許文献3参照。)。しかし、かかる方法では、濃硫酸はオゾンの溶解度が低くためレジスト除去速度が向上しない、また高濃度の薬液を用いるため環境負荷が高いという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−189303号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−261069号公報
【0008】
【特許文献3】
特開昭53−076754号公報
【0009】
【非特許文献1】
松下、他1名、「アッシング装置」、月刊Semiconductor World、株式会社プレスジャーナル、1993年7月、p.164−175
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するため、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハにおいて、Ru膜が受けるダメージを抑制するとともにフォトレジストを確実に除去することができる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去することを特徴とする。また、本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジストを除去することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去するものである。pHが4以下のオゾン水を用いることにより、Ruの除去速度が低下するため、180℃以下においてもRu膜のダメージを抑制することができる。上記観点から、pHは2以下であることが好ましい。また、pHが4以下のオゾン水を用いることにより、オゾン水中の溶存オゾン濃度が大きくなるため、フォトレジストの除去速度が増大する。
【0013】
ここで、本発明は、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハに対して広く適用できる。本発明が適用される半導体ウエハは、たとえば、図1を参照して、基板31上にRu膜32が形成され、前記Ru膜32上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜32が表面に露出している部分とフォトレジスト34が表面に露出している部分を有する半導体ウエハ1,11である。図1(a)は、Ru膜32の上に直接フォトレジスト34が積層されている場合を示し、図1(b)は、Ru膜32の上に、絶縁膜または半導体膜などで形成される中間層33を介してフォトレジスト34が積層されている場合を示す。いずれの半導体ウエハ1,11に対しても本発明が適用できる。
【0014】
ここで、所定pHのオゾン水を調製する方法としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、たとえば、pHを調整した水に、放電法または電解法などにより得られたオゾンガスを溶解させる方法などがある。
【0015】
水のpHを調整するための薬品(以下、pH調整剤という)としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、酸としては、塩酸、硝酸などの各種無機酸、またはギ酸、酢酸などの各種有機酸を用いることができ、塩基としては、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHという)などを用いることができる。上記の2以上の酸または塩基を併用することもできる。また、オゾン水のpH調整をより容易に行なうため、金属塩を含まないpH緩衝剤を用いることもできる。
【0016】
また、上記pH調整後の水に、放電法または電解法により作られたオゾンガスを溶解させる方法として、オゾンガスを気泡状にして水に接触させる気泡溶解法、多孔質のテフロン(R)膜に水を流しその外側にオゾンガスを流して水中にオゾンを吸収させる隔膜溶解法、充填層の上部から水を流し下部からオゾンガスを流して充填層内で気液向流式に水にオゾンを溶解させる充填層溶解法など種々の方法を採用することができる。
【0017】
本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジストを除去するものである。オゾンガスとともに、pHが4以下の水蒸気を供給することにより、フォトレジストを除去する際、Ru膜のダメージを抑制することができるとともに、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。
【0018】
所定のpHの水蒸気を調製する方法は、本発明の目的に反さない限り特に制限は無く、たとえば、所定のpHの水にガスをバブリングして、水を飛沫気化させて所定のpHを有する水蒸気を得ることができる。また、オゾンガスを調製する方法は、本発明の目的に反さない限り特に制限は無く、無声放電法または沿面放電法などにより酸素含有ガス中で放電を起こさせる放電法、水中に電解質膜を挟んで両極間に直流電圧をあける電解法、紫外線を酸素含有ガスに照射させる紫外線ランプ法などを用いることができる。
【0019】
(実施形態1)
半導体ウエハの本発明にかかる一のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図2に示すような除去装置を用いて行なうことができる。図2に示す除去装置は、オゾンガス発生装置4で発生したオゾンガスを、オゾンガス供給管5を経由して所定のpHに調整した水で満たした処理槽2に供給して、半導体ウエハ1を処理するためのオゾン水3を形成する構造を有している。
【0020】
図1(a)を参照して、直径8インチ(20.32cm)のシリコン基板(基板31)上に、Ru膜32を100nm成膜した後、その上にフォトレジストを塗布し、1000nmのフォトレジスト膜を形成した。さらに、そのサンプルを露光、現像し、表面にフォトレジスト34が露出している部分とRu膜32が露出している部分を形成された半導体ウエハ1を作製した。
【0021】
図2を参照して、pH調整剤として塩酸とTMAHを用いて所定のpHに調整した3×10−3m3の水で満たした処理槽2に、上記半導体ウエハ1を浸漬した。次に、処理槽2にオゾンガス発生装置4で発生したオゾンガス濃度250g/Nm3(11.7体積%に相当)のガスを、3×10−3m3/minで供給してオゾン水3とし、雰囲気温度20℃で20分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗いした。その結果、pHが4以下の場合、Ru膜がダメージを受けることなく、フォトレジストを除去することができた。しかし、pHが4より大きい場合、フォトレジストを除去することはできたが、Ru膜はダメージを受けた。なお、単位g/Nm3とは、原料ガスのオゾンガス濃度を表す単位であり、標準状態(0℃、1013hPa)のガス中に含まれるオゾンガスの質量を表す。なお、原料ガス中のオゾンガス以外のガスはほとんど酸素ガスである。
【0022】
ここで、フォトレジストの除去速度とRuの除去速度を比較するために、シリコン基板上にRu膜を100nm成膜したサンプルとシリコン基板上にフォトレジスト膜1000nmを形成したサンプルを上記と同様にして処理し、処理前後でのフォトレジストの膜厚を触針式膜厚計(アルバック製Dektak3030ST)で、Ruの膜厚を蛍光X線分析装置(リガク製RIX2000)で測定した。このときのフォトレジストおよびRuの除去速度を図3に示す。図3に示すように、オゾン水のpHが4以下の条件では、Ruの除去速度は中性または塩基性の場合と比べて低下した。一方、フォトレジストの除去速度は中性または塩基性の場合と比べて向上した。そのため、pHが4以下のオゾン水を用いることにより、Ru膜のダメージを抑制するとともに、フォトレジストの除去速度を向上させることができた。pH2以下のオゾン水を用いると、Ru除去速度はさらに低下し、フォトレジスト除去速度はさらに向上した。そのため、Ru膜のダメージをさらに抑制するとともに、フォトレジスト除去速度をさらに向上させることができた。
【0023】
さらに、オゾン水のpHとオゾン水中の溶存オゾン濃度との関係を図4に示す。図4に示すように、オゾン水のpHを低下させることは、溶存オゾン濃度を向上させ、フォトレジスト除去速度を向上させることがわかる。特に、オゾン水のpHを塩基性領域にした場合、オゾン水中の水酸化物イオンとオゾンが反応し、オゾンが消費されるため、溶存オゾン濃度が低下し、フォトレジスト除去速度は低下する。
【0024】
ここで、図5にRuのpH電位図(出典:M.Pourbaix :“Atras of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions”,Pergamon Press,London (1966))を示す。図5において、太い破線で示したのは、下式の反応におけるオゾンの酸化還元電位E0(V)である。
【0025】
O2+H2O→O3+2H++2e− ;E0=2.076−0.0591pH
これより、オゾン水が中性領域にある場合、Ruがオゾンに酸化されRuO4になり、腐食されることがわかる。特に、pHが12以上になると、Ruがイオン化されることから、腐食されることがわかる。一方、pHが4以下の場合であっても、溶存オゾン濃度が向上するため、オゾンによるRuの酸化反応が進み、ルテニウムの腐食が促進されることも予想される。しかし、発明者らは、pH4以下においては、上記のようにRuのオゾンによる酸化反応が低下することを見出し、本願発明を完成させたものである。
【0026】
したがって、オゾン水のpHを4以下、好ましくはpHを2以下にすることにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジストの除去速度を向上させることができる。また、本実施形態においては、処理温度が20℃と低い点、酸の使用量が少なく、またオゾンはフォトレジストと反応後酸素に分解するので環境負荷が低い点も、利点である。
【0027】
pH調整剤として、塩酸の代わりに酢酸を用いた場合も同様の効果が得られた。しかし、pH調整剤として硫酸を用いた場合は、Ru膜のダメージは防止できたが、フォトレジスト除去速度を向上させることはできなかった。これは、塩酸、硝酸などの無機酸、ギ酸、酢酸などの有機酸では、その濃度の上昇に従って溶存オゾン濃度も向上するが、硫酸では、その濃度の上昇に従って溶存オゾン濃度は低下するためである。
【0028】
なお、本実施形態においては、図2を参照して、pH調整した水にオゾンガス発生装置4で発生したオゾンガスを処理槽2に供給したが、オゾン水製造装置(図示せず)で生成したオゾン水を処理槽2に供給してもよい。
【0029】
(実施形態2)
半導体ウエハの本発明にかかる別のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図6に示す除去装置を用いて行なうことができる。図6に示す除去装置は、図2に示す除去装置に、処理層のpHを一定に保持するためのpH調整装置6が加えられたものである。ここで、pH調整装置とは、pHセンサーとそのpH値に応じて適宜酸または塩基を供給できる機構を有するものであれば、特に制限無く本発明に用いることができる。かかるpH調整装置を用いることにより、オゾン水のpHが一定に保たれ、安定してフォトレジストを除去することができる。
【0030】
(実施形態3)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図7に示す除去装置を用いて行なうことができる。図7に示す除去装置は、所定のpHに調整したバブリング水7で満たしたバブリングタンク17に、オゾンガス発生装置4からオゾンガス供給管5を経てオゾンガスを供給し、オゾンガスとバブリングタンク17で発生した所定のpHを有する水蒸気(オゾンガスおよび水蒸気13)を、オゾンガスおよび水蒸気供給管15を経て、処理槽12に供給し、処理槽12内の半導体ウエハ1を処理する構造を有する。また、処理槽12およびバブリングタンク17には、それぞれヒーター22およびヒータ27が設置されており、それぞれ半導体ウエハ1およびバブリングタンク17内のバブリング水7の温度を任意の温度にすることができる。また、オゾンガスおよび水蒸気供給管15には、供給管内で水蒸気の凝縮を防止するため、供給管を加熱する装置(図示せず)が設置することもできる。
【0031】
実施形態1と同様に、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハ1を処理槽12に設置し、半導体ウエハ1の温度が50℃になるように、ヒーター22で処理槽12を加熱した。バブリングタンク17に所定のpHに調整したバブリング水7を入れ、バブリング水7の温度が60℃になるように、ヒータ27でバブリングタンク17を加熱した。バブリングタンク17に、オゾン発生装置4で発生させたオゾンガス濃度250g/Nm3のガスを3×10−3m3/minで供給し、雰囲気温度50℃で3分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗した。処理前後でのフォトレジストおよびRu膜の膜厚を測定し、除去速度を求めたところ、Ru除去速度はほぼ同等の値を示すとともに、フォトレジスト除去速度は図2で示した値の約10倍の値を示した。
【0032】
したがって、バブリングタンクに入れるバブリング水のpHを4以下、好ましくは2以下にすることにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。また、本実施形態においては、半導体ウエハの温度は50℃でありオゾンアッシング法に比べて低い点、酸の使用量も少なく、またオゾンはフォトレジストと反応後酸素に分解するので環境負荷が低い点も利点である。なお、半導体ウエハ温度を上昇させるほど、フォトレジストとオゾンの酸化反応が進むため、フォトレジスト除去速度が向上する。
【0033】
また、本実施形態では、半導体ウエハに水蒸気を供給する方法として、オゾンガスによるバブリング方式を用いたが、水蒸気供給方法は他の方法でもよく、たとえば、超音波を用いて霧化する方法を用いることもできる。
【0034】
なお、本実施形態では、pH調整剤として塩酸を用いたが、酢酸を用いた場合も同様の効果が得られた。しかし、pH調整剤として硫酸を用いた場合は、Ru膜のダメージを防止することもできなかった。本実施形態においては、バブリングタンク内のバブリング水が蒸発し、半導体ウエハ表面で凝縮することにより、Ru膜へのダメージ抑制およびフォトレジストの加水分解を行うが、硫酸は揮発性が低く半導体ウエハ表面にほとんど供給されず、pHを低下させることができないため、Ru膜のダメージを抑制することができなかった。そのため、本実施形態においては、pH調整剤としては、揮発性の高い酸、たとえば、塩酸などの無機酸、またはギ酸、酢酸などの有機酸を用いることが好ましい。
【0035】
(実施形態4)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法について説明する。図7を参照して、オゾン発生装置4として無声放電式のオゾン発生装置を用い、大部分の組成が酸素ガスである原料ガスに窒素(以下N2という)ガスを添加し、オゾンガスを発生させ、バブリングタンク17にバブリング水7として超純水を入れた以外は、実施形態3と同様に半導体ウエハを処理した。
【0036】
原料ガスにN2ガスを0.1体積%以上添加することにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上することができた。ここで、無声放電式のオゾン発生装置を用いた場合、原料ガスにN2ガスを添加することにより、オゾンとともに窒素酸化物(いわゆるNOx)が生成される。この窒素酸化物がバブリングタンク17内のバブリンブ水7である超純水に溶解して、硝酸となり、バブリング水7のpHが低下し、水蒸気のpHが低下する。これにより、実施形態3と同様に、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。また、オゾン発生器の原料ガスにN2ガスを添加するだけであるので、バブリング水のpHを調整する必要がない点も利点である。
【0037】
ここで、本実施態様における原料ガス中のN2ガス濃度(体積%)とバブリング水のpHとの関係を図9に示す。図9に示すように、原料ガス中にN2ガスを0.1体積%添加したときのバブリンブ水のpHは4であり、このときの水蒸気中のpHは4と推定される。また、N2ガスに替えて、二酸化炭素(CO2)ガスを添加することもできる。CO2ガスはバブリング水に溶解して炭酸(H2CO3)を生じて、バブリング水のpHが低下する。
【0038】
(実施形態5)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法について説明する。図8に示す除去装置は、図7に示す除去装置に酸性ガス供給管8が加えられたものである。図8を参照して、実施形態3と同様にして、表面にRu膜が露出した部分とフォトレジストが露出した部分の両方を有する半導体ウエハ1を処理槽12に設置し、半導体ウエハの温度が50℃になるよう、ヒータ22で反応槽12を加熱した。バブリングタンク17にバブリング水7として超純水を入れ、超純水の温度が60℃になるようにバブリングタンク17を加熱した。バブリングタンク17にオゾン発生装置4で発生させたオゾンガス濃度250g/Nm3のガスを3×10−3m3/minで供給するとともに、酸性ガス供給管8を通じて処理槽12に酸性ガスとして二酸化窒素(以下、NO2という)ガスを供給した。雰囲気温度50℃で3分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗した。処理前後でのフォトレジストおよびRu膜の膜厚を測定し、除去速度を求めたところ、NO2ガスの流量0.05×10−3m3/min以上の場合、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができた。これは、NO2が半導体ウエハ上で凝縮した水に溶解し、硝酸となってpHを低下させるためである。
【0039】
ここで、本実施態様におけるNO2ガス流量(m3/min)とバブリング水のpHとの関係を図10に示す。図10に示すように、NO2ガス流量が0.05×10−3m3/minのとき、バブリンブ水のpHは4であり、このときの水蒸気中のpHは4と推定される。なお、本実施形態においては、酸性ガスとしてNO2ガスを用いたが、二酸化炭素(CO2)ガス、塩素(Cl2)ガスを用いることもできる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0041】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジストを除去する際、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去することにより、またはpHが4以下の水蒸気およびオゾンガスを用いてフォトレジストを除去することにより、Ru膜が受けるダメージを抑制するとともにフォトレジストを確実に除去することができる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明が適用される一の半導体ウエハの模式図であり、
(b)は本発明が適用される別の半導体ウエハの模式図である。
【図2】本発明にかかる半導体ウエハの一のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図3】オゾン水のpHとフォトレジスト除去速度またはRu除去速度との関係を示す図である。
【図4】オゾン水のpHとオゾン水中の溶存オゾン濃度またはフォトレジスト除去速度との関係を示す図である。
【図5】RuのpH電位図である。
【図6】本発明にかかる半導体ウエハの別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図7】本発明にかかる半導体ウエハのさらに別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図8】本発明にかかる半導体ウエハのさらに別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図9】原料ガス中のN2ガス濃度とバブリング水のpHとの関係を示す図である。
【図10】NO2ガス流量とバブリング水のpHとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1,11 半導体ウエハ、2,12 処理槽、3 オゾン水、4 オゾン発生装置、5 オゾン供給管、6 pH調整装置、7 バブリング水、8 酸性ガス供給管、13 オゾンガスおよび水蒸気、15 オゾンガスおよび水蒸気供給管、17 バブリングタンク、22,27 ヒータ、31 基板、32 Ru膜、33 中間層、34 フォトレジスト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルテニウム膜が形成され、前記ルテニウム膜上にフォトレジストパターンが形成され、前記ルテニウム膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジストを除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハの製造プロセスにおけるフォトレジスト除去方法としては、酸素プラズマやオゾンガスによるアッシング方法が知られている(非特許文献1参照。)。しかし、ルテニウム(以下、Ruという)膜を含むパターンを形成する場合、酸素プラズマやオゾンガスによるアッシング方法では、RuがRuO4に酸化され気化するため(RuO4の沸点は40℃)、Ru膜がダメージを受けるという問題がある。
【0003】
Ru膜にダメージを与えることなく、フォトレジストを除去する方法として、たとえば、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、180℃〜280℃の範囲で1分〜3分程度オゾンアッシングする方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかし、かかる方法では、180℃〜280℃の高温にしなければ、フォトレジストを除去することができないという問題がある。
【0004】
また、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、フッ化水素(HF)と界面活性剤と過酸化水素(H2O2)とを含む電子部品洗浄液で洗浄後、オゾン水で洗浄する方法が提案されている(特許文献2参照。)。しかし、かかる方法では、オゾン水のみで洗浄を行なう際にRu膜がダメージを受けるという問題が残る。
【0005】
さらに、Ru膜上にフォトレジストが残存している半導体ウエハを、濃硫酸中に浸漬させて、濃硫酸中にオゾンガスを吹き出す方法が提案されている(特許文献3参照。)。しかし、かかる方法では、濃硫酸はオゾンの溶解度が低くためレジスト除去速度が向上しない、また高濃度の薬液を用いるため環境負荷が高いという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−189303号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−261069号公報
【0008】
【特許文献3】
特開昭53−076754号公報
【0009】
【非特許文献1】
松下、他1名、「アッシング装置」、月刊Semiconductor World、株式会社プレスジャーナル、1993年7月、p.164−175
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するため、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハにおいて、Ru膜が受けるダメージを抑制するとともにフォトレジストを確実に除去することができる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去することを特徴とする。また、本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジストを除去することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去するものである。pHが4以下のオゾン水を用いることにより、Ruの除去速度が低下するため、180℃以下においてもRu膜のダメージを抑制することができる。上記観点から、pHは2以下であることが好ましい。また、pHが4以下のオゾン水を用いることにより、オゾン水中の溶存オゾン濃度が大きくなるため、フォトレジストの除去速度が増大する。
【0013】
ここで、本発明は、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハに対して広く適用できる。本発明が適用される半導体ウエハは、たとえば、図1を参照して、基板31上にRu膜32が形成され、前記Ru膜32上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜32が表面に露出している部分とフォトレジスト34が表面に露出している部分を有する半導体ウエハ1,11である。図1(a)は、Ru膜32の上に直接フォトレジスト34が積層されている場合を示し、図1(b)は、Ru膜32の上に、絶縁膜または半導体膜などで形成される中間層33を介してフォトレジスト34が積層されている場合を示す。いずれの半導体ウエハ1,11に対しても本発明が適用できる。
【0014】
ここで、所定pHのオゾン水を調製する方法としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、たとえば、pHを調整した水に、放電法または電解法などにより得られたオゾンガスを溶解させる方法などがある。
【0015】
水のpHを調整するための薬品(以下、pH調整剤という)としては、本発明の目的に反さない限り特に制限はなく、酸としては、塩酸、硝酸などの各種無機酸、またはギ酸、酢酸などの各種有機酸を用いることができ、塩基としては、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHという)などを用いることができる。上記の2以上の酸または塩基を併用することもできる。また、オゾン水のpH調整をより容易に行なうため、金属塩を含まないpH緩衝剤を用いることもできる。
【0016】
また、上記pH調整後の水に、放電法または電解法により作られたオゾンガスを溶解させる方法として、オゾンガスを気泡状にして水に接触させる気泡溶解法、多孔質のテフロン(R)膜に水を流しその外側にオゾンガスを流して水中にオゾンを吸収させる隔膜溶解法、充填層の上部から水を流し下部からオゾンガスを流して充填層内で気液向流式に水にオゾンを溶解させる充填層溶解法など種々の方法を採用することができる。
【0017】
本発明にかかる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法は、基板上にRu膜が形成され、前記Ru膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジストを除去するものである。オゾンガスとともに、pHが4以下の水蒸気を供給することにより、フォトレジストを除去する際、Ru膜のダメージを抑制することができるとともに、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。
【0018】
所定のpHの水蒸気を調製する方法は、本発明の目的に反さない限り特に制限は無く、たとえば、所定のpHの水にガスをバブリングして、水を飛沫気化させて所定のpHを有する水蒸気を得ることができる。また、オゾンガスを調製する方法は、本発明の目的に反さない限り特に制限は無く、無声放電法または沿面放電法などにより酸素含有ガス中で放電を起こさせる放電法、水中に電解質膜を挟んで両極間に直流電圧をあける電解法、紫外線を酸素含有ガスに照射させる紫外線ランプ法などを用いることができる。
【0019】
(実施形態1)
半導体ウエハの本発明にかかる一のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図2に示すような除去装置を用いて行なうことができる。図2に示す除去装置は、オゾンガス発生装置4で発生したオゾンガスを、オゾンガス供給管5を経由して所定のpHに調整した水で満たした処理槽2に供給して、半導体ウエハ1を処理するためのオゾン水3を形成する構造を有している。
【0020】
図1(a)を参照して、直径8インチ(20.32cm)のシリコン基板(基板31)上に、Ru膜32を100nm成膜した後、その上にフォトレジストを塗布し、1000nmのフォトレジスト膜を形成した。さらに、そのサンプルを露光、現像し、表面にフォトレジスト34が露出している部分とRu膜32が露出している部分を形成された半導体ウエハ1を作製した。
【0021】
図2を参照して、pH調整剤として塩酸とTMAHを用いて所定のpHに調整した3×10−3m3の水で満たした処理槽2に、上記半導体ウエハ1を浸漬した。次に、処理槽2にオゾンガス発生装置4で発生したオゾンガス濃度250g/Nm3(11.7体積%に相当)のガスを、3×10−3m3/minで供給してオゾン水3とし、雰囲気温度20℃で20分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗いした。その結果、pHが4以下の場合、Ru膜がダメージを受けることなく、フォトレジストを除去することができた。しかし、pHが4より大きい場合、フォトレジストを除去することはできたが、Ru膜はダメージを受けた。なお、単位g/Nm3とは、原料ガスのオゾンガス濃度を表す単位であり、標準状態(0℃、1013hPa)のガス中に含まれるオゾンガスの質量を表す。なお、原料ガス中のオゾンガス以外のガスはほとんど酸素ガスである。
【0022】
ここで、フォトレジストの除去速度とRuの除去速度を比較するために、シリコン基板上にRu膜を100nm成膜したサンプルとシリコン基板上にフォトレジスト膜1000nmを形成したサンプルを上記と同様にして処理し、処理前後でのフォトレジストの膜厚を触針式膜厚計(アルバック製Dektak3030ST)で、Ruの膜厚を蛍光X線分析装置(リガク製RIX2000)で測定した。このときのフォトレジストおよびRuの除去速度を図3に示す。図3に示すように、オゾン水のpHが4以下の条件では、Ruの除去速度は中性または塩基性の場合と比べて低下した。一方、フォトレジストの除去速度は中性または塩基性の場合と比べて向上した。そのため、pHが4以下のオゾン水を用いることにより、Ru膜のダメージを抑制するとともに、フォトレジストの除去速度を向上させることができた。pH2以下のオゾン水を用いると、Ru除去速度はさらに低下し、フォトレジスト除去速度はさらに向上した。そのため、Ru膜のダメージをさらに抑制するとともに、フォトレジスト除去速度をさらに向上させることができた。
【0023】
さらに、オゾン水のpHとオゾン水中の溶存オゾン濃度との関係を図4に示す。図4に示すように、オゾン水のpHを低下させることは、溶存オゾン濃度を向上させ、フォトレジスト除去速度を向上させることがわかる。特に、オゾン水のpHを塩基性領域にした場合、オゾン水中の水酸化物イオンとオゾンが反応し、オゾンが消費されるため、溶存オゾン濃度が低下し、フォトレジスト除去速度は低下する。
【0024】
ここで、図5にRuのpH電位図(出典:M.Pourbaix :“Atras of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions”,Pergamon Press,London (1966))を示す。図5において、太い破線で示したのは、下式の反応におけるオゾンの酸化還元電位E0(V)である。
【0025】
O2+H2O→O3+2H++2e− ;E0=2.076−0.0591pH
これより、オゾン水が中性領域にある場合、Ruがオゾンに酸化されRuO4になり、腐食されることがわかる。特に、pHが12以上になると、Ruがイオン化されることから、腐食されることがわかる。一方、pHが4以下の場合であっても、溶存オゾン濃度が向上するため、オゾンによるRuの酸化反応が進み、ルテニウムの腐食が促進されることも予想される。しかし、発明者らは、pH4以下においては、上記のようにRuのオゾンによる酸化反応が低下することを見出し、本願発明を完成させたものである。
【0026】
したがって、オゾン水のpHを4以下、好ましくはpHを2以下にすることにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジストの除去速度を向上させることができる。また、本実施形態においては、処理温度が20℃と低い点、酸の使用量が少なく、またオゾンはフォトレジストと反応後酸素に分解するので環境負荷が低い点も、利点である。
【0027】
pH調整剤として、塩酸の代わりに酢酸を用いた場合も同様の効果が得られた。しかし、pH調整剤として硫酸を用いた場合は、Ru膜のダメージは防止できたが、フォトレジスト除去速度を向上させることはできなかった。これは、塩酸、硝酸などの無機酸、ギ酸、酢酸などの有機酸では、その濃度の上昇に従って溶存オゾン濃度も向上するが、硫酸では、その濃度の上昇に従って溶存オゾン濃度は低下するためである。
【0028】
なお、本実施形態においては、図2を参照して、pH調整した水にオゾンガス発生装置4で発生したオゾンガスを処理槽2に供給したが、オゾン水製造装置(図示せず)で生成したオゾン水を処理槽2に供給してもよい。
【0029】
(実施形態2)
半導体ウエハの本発明にかかる別のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図6に示す除去装置を用いて行なうことができる。図6に示す除去装置は、図2に示す除去装置に、処理層のpHを一定に保持するためのpH調整装置6が加えられたものである。ここで、pH調整装置とは、pHセンサーとそのpH値に応じて適宜酸または塩基を供給できる機構を有するものであれば、特に制限無く本発明に用いることができる。かかるpH調整装置を用いることにより、オゾン水のpHが一定に保たれ、安定してフォトレジストを除去することができる。
【0030】
(実施形態3)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法は、たとえば、図7に示す除去装置を用いて行なうことができる。図7に示す除去装置は、所定のpHに調整したバブリング水7で満たしたバブリングタンク17に、オゾンガス発生装置4からオゾンガス供給管5を経てオゾンガスを供給し、オゾンガスとバブリングタンク17で発生した所定のpHを有する水蒸気(オゾンガスおよび水蒸気13)を、オゾンガスおよび水蒸気供給管15を経て、処理槽12に供給し、処理槽12内の半導体ウエハ1を処理する構造を有する。また、処理槽12およびバブリングタンク17には、それぞれヒーター22およびヒータ27が設置されており、それぞれ半導体ウエハ1およびバブリングタンク17内のバブリング水7の温度を任意の温度にすることができる。また、オゾンガスおよび水蒸気供給管15には、供給管内で水蒸気の凝縮を防止するため、供給管を加熱する装置(図示せず)が設置することもできる。
【0031】
実施形態1と同様に、Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハ1を処理槽12に設置し、半導体ウエハ1の温度が50℃になるように、ヒーター22で処理槽12を加熱した。バブリングタンク17に所定のpHに調整したバブリング水7を入れ、バブリング水7の温度が60℃になるように、ヒータ27でバブリングタンク17を加熱した。バブリングタンク17に、オゾン発生装置4で発生させたオゾンガス濃度250g/Nm3のガスを3×10−3m3/minで供給し、雰囲気温度50℃で3分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗した。処理前後でのフォトレジストおよびRu膜の膜厚を測定し、除去速度を求めたところ、Ru除去速度はほぼ同等の値を示すとともに、フォトレジスト除去速度は図2で示した値の約10倍の値を示した。
【0032】
したがって、バブリングタンクに入れるバブリング水のpHを4以下、好ましくは2以下にすることにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。また、本実施形態においては、半導体ウエハの温度は50℃でありオゾンアッシング法に比べて低い点、酸の使用量も少なく、またオゾンはフォトレジストと反応後酸素に分解するので環境負荷が低い点も利点である。なお、半導体ウエハ温度を上昇させるほど、フォトレジストとオゾンの酸化反応が進むため、フォトレジスト除去速度が向上する。
【0033】
また、本実施形態では、半導体ウエハに水蒸気を供給する方法として、オゾンガスによるバブリング方式を用いたが、水蒸気供給方法は他の方法でもよく、たとえば、超音波を用いて霧化する方法を用いることもできる。
【0034】
なお、本実施形態では、pH調整剤として塩酸を用いたが、酢酸を用いた場合も同様の効果が得られた。しかし、pH調整剤として硫酸を用いた場合は、Ru膜のダメージを防止することもできなかった。本実施形態においては、バブリングタンク内のバブリング水が蒸発し、半導体ウエハ表面で凝縮することにより、Ru膜へのダメージ抑制およびフォトレジストの加水分解を行うが、硫酸は揮発性が低く半導体ウエハ表面にほとんど供給されず、pHを低下させることができないため、Ru膜のダメージを抑制することができなかった。そのため、本実施形態においては、pH調整剤としては、揮発性の高い酸、たとえば、塩酸などの無機酸、またはギ酸、酢酸などの有機酸を用いることが好ましい。
【0035】
(実施形態4)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法について説明する。図7を参照して、オゾン発生装置4として無声放電式のオゾン発生装置を用い、大部分の組成が酸素ガスである原料ガスに窒素(以下N2という)ガスを添加し、オゾンガスを発生させ、バブリングタンク17にバブリング水7として超純水を入れた以外は、実施形態3と同様に半導体ウエハを処理した。
【0036】
原料ガスにN2ガスを0.1体積%以上添加することにより、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上することができた。ここで、無声放電式のオゾン発生装置を用いた場合、原料ガスにN2ガスを添加することにより、オゾンとともに窒素酸化物(いわゆるNOx)が生成される。この窒素酸化物がバブリングタンク17内のバブリンブ水7である超純水に溶解して、硝酸となり、バブリング水7のpHが低下し、水蒸気のpHが低下する。これにより、実施形態3と同様に、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができる。また、オゾン発生器の原料ガスにN2ガスを添加するだけであるので、バブリング水のpHを調整する必要がない点も利点である。
【0037】
ここで、本実施態様における原料ガス中のN2ガス濃度(体積%)とバブリング水のpHとの関係を図9に示す。図9に示すように、原料ガス中にN2ガスを0.1体積%添加したときのバブリンブ水のpHは4であり、このときの水蒸気中のpHは4と推定される。また、N2ガスに替えて、二酸化炭素(CO2)ガスを添加することもできる。CO2ガスはバブリング水に溶解して炭酸(H2CO3)を生じて、バブリング水のpHが低下する。
【0038】
(実施形態5)
半導体ウエハの本発明にかかるさらに別のフォトレジスト除去方法について説明する。図8に示す除去装置は、図7に示す除去装置に酸性ガス供給管8が加えられたものである。図8を参照して、実施形態3と同様にして、表面にRu膜が露出した部分とフォトレジストが露出した部分の両方を有する半導体ウエハ1を処理槽12に設置し、半導体ウエハの温度が50℃になるよう、ヒータ22で反応槽12を加熱した。バブリングタンク17にバブリング水7として超純水を入れ、超純水の温度が60℃になるようにバブリングタンク17を加熱した。バブリングタンク17にオゾン発生装置4で発生させたオゾンガス濃度250g/Nm3のガスを3×10−3m3/minで供給するとともに、酸性ガス供給管8を通じて処理槽12に酸性ガスとして二酸化窒素(以下、NO2という)ガスを供給した。雰囲気温度50℃で3分間処理した後、半導体ウエハ1を水洗した。処理前後でのフォトレジストおよびRu膜の膜厚を測定し、除去速度を求めたところ、NO2ガスの流量0.05×10−3m3/min以上の場合、Ru膜のダメージを抑制し、フォトレジスト除去速度を向上させることができた。これは、NO2が半導体ウエハ上で凝縮した水に溶解し、硝酸となってpHを低下させるためである。
【0039】
ここで、本実施態様におけるNO2ガス流量(m3/min)とバブリング水のpHとの関係を図10に示す。図10に示すように、NO2ガス流量が0.05×10−3m3/minのとき、バブリンブ水のpHは4であり、このときの水蒸気中のpHは4と推定される。なお、本実施形態においては、酸性ガスとしてNO2ガスを用いたが、二酸化炭素(CO2)ガス、塩素(Cl2)ガスを用いることもできる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0041】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、前記Ru膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジストを除去する際、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去することにより、またはpHが4以下の水蒸気およびオゾンガスを用いてフォトレジストを除去することにより、Ru膜が受けるダメージを抑制するとともにフォトレジストを確実に除去することができる半導体ウエハのフォトレジスト除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明が適用される一の半導体ウエハの模式図であり、
(b)は本発明が適用される別の半導体ウエハの模式図である。
【図2】本発明にかかる半導体ウエハの一のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図3】オゾン水のpHとフォトレジスト除去速度またはRu除去速度との関係を示す図である。
【図4】オゾン水のpHとオゾン水中の溶存オゾン濃度またはフォトレジスト除去速度との関係を示す図である。
【図5】RuのpH電位図である。
【図6】本発明にかかる半導体ウエハの別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図7】本発明にかかる半導体ウエハのさらに別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図8】本発明にかかる半導体ウエハのさらに別のフォトレジスト除去装置を示す図である。
【図9】原料ガス中のN2ガス濃度とバブリング水のpHとの関係を示す図である。
【図10】NO2ガス流量とバブリング水のpHとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1,11 半導体ウエハ、2,12 処理槽、3 オゾン水、4 オゾン発生装置、5 オゾン供給管、6 pH調整装置、7 バブリング水、8 酸性ガス供給管、13 オゾンガスおよび水蒸気、15 オゾンガスおよび水蒸気供給管、17 バブリングタンク、22,27 ヒータ、31 基板、32 Ru膜、33 中間層、34 フォトレジスト。
Claims (2)
- 基板上にルテニウム膜が形成され、前記ルテニウム膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記ルテニウム膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下のオゾン水を用いてフォトレジストを除去することを特徴とする半導体ウエハのフォトレジスト除去方法。
- 基板上にルテニウム膜が形成され、前記ルテニウム膜上でフォトレジストパターンが形成され、前記ルテニウム膜が表面に露出している部分とフォトレジストが表面に露出している部分を有する半導体ウエハのフォトレジスト除去方法であって、pHが4以下の水蒸気とオゾンガスを用いてフォトレジストを除去することを特徴とする半導体ウエハのフォトレジスト除去方法。
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