JP2004326983A - パルス幅変調信号生成回路、駆動制御装置、及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PWM信号生成回路12では、ランプ回路27からの出力値にディザ幅設定レジスタ22からの正負のディザ値が所定周期で交互に加算され、加算された出力値に基づいてPWM信号が生成される。これにより、PWM信号のパルス幅に周期的な変動が生じるから、PWM信号のパルス幅が狭すぎることにより生じる不感期間を途切れさせることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、或る信号の振幅に基づいて、所定周期のパルス信号のパルス幅を変調することにより、パルス幅変調信号(以下、PWM(Pulse Width Modulation)信号と称する。)を生成するPWM信号生成回路と、このPWM信号生成回路を備える駆動制御装置と、この駆動制御装置を備える光ディスク装置に関するものである。特に、本発明は、レーザ光を光ディスクに照射してデータの記録及び/または再生を行う光ピックアップに対してフォーカスサーボ制御を行う光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置は、その反射光より得られるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を用いて、目的とするトラックに適当な照射範囲でレーザ光を照射するようにトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御を行う。このトラッキングサーボ制御を行って光ピックアップをディスクの径方向に移動させることで、光ピックアップからのレーザ光がトラック中心位置に照射される。
【0003】
また、フォーカスサーボ制御を行って対物レンズをディスクに対して垂直な方向に移動させることで、光ピックアップからのレーザ光の照射範囲を適当な広さとする。
【0004】
このような光ディスク装置は、その起動時などにおいて、まず、フォーカスサーボ制御を実行できる対物レンズの位置を探し出す(以下、この動作を「フォーカスサーチ動作」と称する。)。このとき、対物レンズの移動制御には、三角波状のランプ波信号が用いられる。フォーカスサーチ動作が行われ、フォーカスエラー信号より合焦点に近づいたことが確認されると、ランプ波信号による制御を停止するとともに、フォーカスエラー信号を用いたフォーカスサーボ制御を開始する。そして、フォーカスサーボ制御により合焦点付近にレーザ光が照射されるようになると、トラッキングエラー信号を用いたトラッキングサーボ制御を行う。
【0005】
従来の技術として、フォーカスサーチ動作を行う場合にはフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を高いサンプリング周波数でデジタル変換し、フォーカスサーボ制御を行う際にはフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を高いサンプリング周波数でデジタル変換するフォーカスサーボ引込装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−178129号公報(1989年7月14日公開)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
また、近年のディスクの大容量化及び高密度化に伴い、光ピックアップや対物レンズ位置の制御処理において、更に高精度な処理が求められている。このためには、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号をサンプリングするためのサンプリング周波数を高く設定することが考えられる。また、光ピックアップを駆動するためのPWM信号を生成するPWM信号生成回路において、或るサンプリング周期での基準クロックの周波数を高くし、かつ、PWM信号を生成するための入力値のデータビット幅を増やすことによって、出力であるPWM信号のデューティ比の分解能を高めることが考えられる。
【0008】
このように、サンプリング周波数を高く設定したり、PWM信号のビット幅を増やすように設定したりすることによって、サンプリング周期を1周期とするPWM信号の周期幅が狭くなる。これにより、1周期のデューティ比によって決定するPWM信号のパルス幅が狭くなるため、デューティ比が最低となるときの最小パルス幅が狭くなる。
【0009】
よって、ランプ波信号を利用したフォーカスサーチ動作が行われるとき、フォーカスサーチ動作のためのフォーカス駆動信号をPWM信号に基づいて出力するPWMドライバは、デューティ比が低いときのPWM信号のパルス幅が狭すぎて、このPWM信号を認識できず、その結果、正常なフォーカスサーチ動作が行われないことがある。
【0010】
即ち、従来のようにサンプリング周波数が低い場合、最小パルス幅となるPWM信号についても反映されるため、対物レンズをディスクの垂直方向に駆動させるフォーカスアクチュエータへのフォーカス駆動信号が、図7(a)のように、時間の経過に応じて徐々に増加するランプ波信号に対応した値となる。このとき、フォーカスエラー信号は、図7(b)のように、フォーカス駆動信号が0となるときの値を基準として対称となるS字を描くため、フォーカスサーチ動作を正常に行うことができる。
【0011】
これに対して、サンプリング周波数が高い場合にランプ波信号を用いてフォーカスサーチ動作を行ったとき、デューティ比が低いときのPWM信号のパルス幅が狭すぎて、図8(a)のように、PWM信号の値がフォーカス駆動信号に反映されない不感期間が発生することがある。このとき、フォーカス駆動信号によって駆動されるフォーカスアクチュエータが無制動の状態となるため、図8(b)のフォーカスエラー信号が示すように、この不感期間において対物レンズが振動し、安定した制御ができなくなり、フォーカスサーチ動作が正常に行われないことがある。
【0012】
これにより、特許文献1に記載のフォーカスサーボ引込装置では、PWM制御によりフォーカスサーチ動作を行う場合に、サンプリング周波数が高いと、フォーカスサーチ動作が正常に行われない可能性が大きい。
【0013】
このような問題点を鑑みて、本発明は、PWM信号に基づいて生成される駆動信号に長期の不感期間が生じることを防止できるPWM信号生成回路および駆動制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、フォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御に用いられるサンプリング周波数が高い場合に、フォーカスサーチ動作を正常に行うことができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のPWM信号生成回路は、或る信号の振幅に基づいて所定周期のパルス信号のパルス幅を変調することにより、PWM信号を生成するPWM信号生成回路において、所定期間における平均値が変化の前後で略一致するように、前記信号の振幅または前記PWM信号のパルス幅を変化させるディザ手段を備えることを特徴としている。
【0015】
ここで、PWM信号の基礎となる信号は、例えば光ディスク装置においてフォーカスサーボ制御を行うために用いられるフォーカスエラー信号のように、PWM信号生成回路の外部から入力される信号の場合もあれば、例えば光ディスク装置においてフォーカスサーチ動作を行うために用いられるランプ波信号のように、PWM信号生成回路の内部で生成される信号の場合もある。
【0016】
また、ディザ手段における変化は、所定の値の加算及び減算を交互に繰り返すことにより行うことが望ましいが、所定期間における平均値が変化の前後で略一致するようにすれば、より乱雑な変化を行うこともできる。
【0017】
上記の構成によると、ディザ手段は、前記信号の振幅または前記PWM信号のパルス幅を変化させる。前記信号の振幅が変化すると、前記信号の振幅に基づいてパルス幅が変調されるPWM信号も変化することになる。すなわち、ディザ手段によって前記信号の振幅と前記PWM信号のパルス幅との何れを変化させても、PWM信号生成回路から出力されるPWM信号のパルス幅が変化することになる。
【0018】
また、この変化は、所定期間における平均値が変化の前後で略一致するようになされるから、元のPWM信号のパルス幅に対して、或る時は増大し、また或る時は減少することになる。したがって、パルス幅が狭すぎることによって生じる図8(a)のような不感期間において、ディザ手段によってパルス幅が増大することにより駆動信号が非零値となり、不感期間が途切れることになる。これにより、駆動信号によって駆動されるアクチュエータなどの駆動装置は、無制動の状態が解消されて、不安定な状態が解消される。
【0019】
したがって、不感期間が途切れて、不感期間が維持される期間が短くなることにより、駆動装置は不安定な状態が維持される期間が短くなり、不安定な状態が維持される期間が長いために生じるフォーカスサーチ動作の失敗のような問題を解消することができる。
【0020】
なお、不感期間は、PWM信号のパルス幅が狭すぎることによって生じるので、前記信号の振幅または前記PWM信号のパルス幅が所定値以下となる場合にディザ手段が作動するようにしても、上記の効果を得ることができる。
【0021】
また、不感期間が途切れる程度のパルス幅の変化量が要求されるから、この変化量を適切なものとするために、変化量の範囲を設定するディザ幅設定手段をさらに備えることが望ましい。
【0022】
また、本発明の駆動制御装置は、駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、上記構成のPWM信号生成回路と、該PWM信号生成回路からのPWM信号に基づいて、前記駆動装置を駆動するための駆動信号を生成するドライバ回路とを備えることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によると、PWM信号生成回路からのPWM信号に基づいてドライバ回路が駆動信号を生成し、この駆動信号によって駆動装置が駆動される。したがって、前述のように、駆動装置は不安定な状態が維持される期間が短くなり、不安定な状態が維持される期間が長いために生じるフォーカスサーチ動作の失敗のような問題を解消することができる。
【0024】
また、本発明の光ディスク装置は、レーザ光を光ディスクに照射することによりデジタルデータの記録及び/または再生を行う光ディスク装置であって、前記レーザ光を前記光ディスクの記録面に集束させる対物レンズと、該対物レンズを光軸方向に駆動するフォーカスアクチュエータと、該フォーカスアクチュエータの駆動を制御する上記構成の駆動制御装置とを備えることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によると、上記の駆動制御装置によってフォーカスアクチュエータの駆動が制御される。これにより、前述のように、フォーカスアクチュエータが不安定な状態に維持される期間が長いために生じるフォーカスサーチ動作の失敗を防止することができる。
【0026】
なお、フォーカスサーチ動作では、フォーカスサーボ制御を実行できる範囲内に対物レンズを移動させるために、ランプ波信号を用いて対物レンズの移動制御が行われる。したがって、ディザ手段が変化させる信号は、前記ランプ波信号であることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本実施形態である光ディスク装置の要部構成を示している。
【0028】
図1の光ディスク装置は、ディスク1にレーザ光を照射する光ピックアップ2と、ディスク1を周方向に回転させるスピンドルモータ3と、不図示のアーム部を介して光ピックアップ2をディスク1の径方向に移動させるスレッドモータ7と、光ピックアップ2がディスク1からの反射光を受光することで得られた信号を処理するRF処理回路8と、RF処理回路8で得られたトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号をデジタル信号に変換するAD変換回路9とを備える。
【0029】
また、光ディスク装置は制御回路17を備える。制御回路17は、RF処理回路8で得られたデータ信号やスピンドルモータ3の回転位置や回転速度が与えられる信号処理回路10と、信号処理回路10で確認されたスピンドルモータ3の回転位置や回転速度やAD変換回路9からのトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号が与えられるデジタルサーボ処理回路11と、デジタルサーボ処理回路11からのデータよりPWM信号を生成するPWM信号生成回路12と、光ピックアップ2からのレーザ光の光強度を制御する制御用マイコン13とによって構成される。
【0030】
また、光ピックアップ2は、レーザ光をディスク1のトラックに集光させる対物レンズ16と、レーザ光がトラック中心を照射するようにディスク1の径方向に対物レンズ16を移動させるトラッキングアクチュエータ4と、レーザ光の照射範囲を適当な広さとするために対物レンズ16をディスク1に対して垂直な方向に移動させるフォーカスアクチュエータ5と、レーザ光の光強度を調整するLDドライバ6とによって構成される。
【0031】
また、この光ディスク装置は、PWM信号生成回路12からのPWM信号によりトラッキングアクチュエータ4及びフォーカスアクチュエータ5及びスレッドモータ7を駆動制御するPWMドライバ14と、スピンドルモータ3からの回転位置検出信号よりスピンドルモータ3の回転位置及び回転速度を検出して信号処理回路10に与えるとともにPWM信号生成回路12からのPWM信号に基づいてスピンドルモータ3を駆動制御するスピンドルモータドライバ15と、信号処理回路10で得られた再生データを外部に出力するインターフェース18とを備える。
【0032】
このように構成されるディスク装置に設置されるディスク1は、記録トラックとして、最内周部から最外周部までスパイラル状に1つの溝(グルーブ)が形成されている。即ち、逆に最内周部から最外周部までスパイラル状に1つの山(ランド)が、互いに隣り合う溝間に形成されている。尚、このランドを、記録トラックとしても用いることもできる。
【0033】
ディスク再生時に、ディスク1は光ピックアップ2と一定間隔となるように回転駆動させるスピンドルモータ3に保持されているが、ディスク1の反りや、スピンドルモータ3の軸の傾きなどで、ディスク1に面振れが生じる。このディスク1の面に追従させるように、PWMドライバ14がフォーカスアクチュエータ5を駆動制御して、対物レンズ16をディスク1の垂直方向に移動させる。これが、光ピックアップ2に対するフォーカスサーボ制御である。
【0034】
このとき、RF処理回路8で得られたフォーカスエラー信号がAD変換回路9でデジタル信号に変換され、デジタルサーボ処理回路11を介してPWM信号生成回路12に与えられる。そして、PWM信号生成回路12において、フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14において、このフォーカスサーボ制御用のPWM信号に基づいて、垂直方向の対物レンズ駆動信号を生成する。よって、フォーカスアクチュエータ5が駆動制御され、対物レンズ16がディスク1に垂直な方向に上下にシフトされる。
【0035】
このフォーカスサーボ制御を始めるときに、まず、光ピックアップ2およびディスク1間の最適な距離を探すために、フォーカスサーチ動作を行う。このとき、PWM信号生成回路12において、後述するように、緩やかな傾斜を持つ図7(a)のようなランプ波信号に基づいたフォーカスサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14で垂直方向の対物レンズ駆動信号が生成され、フォーカスアクチュエータ5が駆動制御される。よって、光ピックアップ2を上下にシフトさせて、レーザ光の照射範囲が最適となる最良点が確認され、フォーカスサーボ制御が開始される。
【0036】
また、連続的に再生を行う場合には、ディスク1のスパイラル状に形成された記録トラックにレーザ光を追従させるように、PWMドライバ14がトラッキングアクチュエータ4を駆動制御して、対物レンズ16をディスク1の径方向にシフトさせる。これが、光ピックアップ2に関するトラッキングサーボ制御である。このとき、RF処理回路8で得られたトラッキングエラー信号が、フォーカスエラー信号と同様、AD変換回路9でデジタル信号に変換され、デジタルサーボ処理回路11を介してPWM信号生成回路12に与えられる。
【0037】
そして、PWM信号生成回路12において、トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキングサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14において、このトラッキングサーボ制御用のPWM信号に基づいて径方向の対物レンズ駆動信号を生成する。よって、トラッキングアクチュエータ4が駆動制御され、対物レンズ16がディスク1の径方向にシフトされる。
【0038】
このようにトラッキングサーボ制御が行われているとき、対物レンズ16のシフト量が一定量に達すると、PWMドライバ14からスレッドモータ用駆動信号が発生する。即ち、スレッドモータ7はコギングを有するため、対物レンズ16のシフト量がある一定量に達すると駆動されて光ピックアップ2をディスク1の径方向に移動させる。このとき、光ピックアップ2においてシフトしていた対物レンズ16が初期設定位置である中心位置に戻るように、トラッキングアクチュエータ4が動作する。
【0039】
また、このように動作しているとき、光ピックアップ2は、レーザ光をディスク1の記録トラックに照射し、その反射光を検出して各光検出信号として出力する。この各光検出信号はRF処理回路8に送られ、電流信号から電圧信号にIV変換される。このとき、RF信号に対応する光検出信号は位相が正反対の2つの信号からなり、RF処理回路8に送られた後、RF処理回路8にて、その2つの信号から差信号が求められ、続いて、AGC(Auto Gain Control)処理が施されて信号処理回路10に送出される。
【0040】
そして、信号処理回路10では、RF処理回路8より与えられたデータ信号に対して、エラー訂正、デインタリーブ、NRZI変換、ビタビ復号等が施され、後段接続用のインターフェース18に送出される。また、エラー信号に対応する光検出信号もRF処理回路8に送られ、RF処理回路8にてトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が生成され、AD変換回路9でデジタル信号に変換される。
【0041】
また、デジタルサーボ処理回路11は主にDSP(Digital Signal Processor)で構成され、RF処理回路8においてRF信号から得られた同期信号に対し、マスタークロックを基にPLL処理して、同期を安定化している。また、スピンドルモータドライバ15は、スピンドルモータ3の回転速度及び回転位置を確認し、信号処理回路10及び制御用マイコン13に与える。
【0042】
そして、スピンドルモータドライバ15から信号処理回路10を介してデジタルサーボ処理回路11にスピンドルモータ3の回転速度及び回転位置が与えられると、このPLL処理された信号に基づいてスピンドルモータ3を駆動するための信号を生成し、PWM信号生成回路12に与える。よって、PWM化されたスピンドルモータ駆動信号が、スピンドルモータドライバ15を介してスピンドルモータ3に与えられ、スピンドルモータ3が回転制御される。また、制御用マイコン13では、スピンドルモータ3の回転速度を確認すると、レーザ光がその回転速度に応じた光強度となるように、LDドライバ6を制御する。
【0043】
このように図1の構成の光ディスク装置が動作するときのフォーカスサーボ制御について、以下に、図面を参照して説明する。尚、図2は、PWM信号生成回路12において、フォーカスサーボ制御を行うために使用される部分を示している。
【0044】
PWM信号生成回路12は、フォーカスサーボ制御を行うブロックとして、PWM信号を生成するためのPWM用基準クロックを発生するクロック発生回路21と、PWM用基準クロックに基づいてサンプリングクロックを生成して信号処理回路10及びデジタルサーボ処理回路11に送出するサンプリングクロック生成回路24と、PWM用基準クロックに基づいて計数を行うPWMカウンタ25と、デジタルサーボ処理回路11より与えられるフォーカスエラー信号を一時格納する設定用レジスタ26と、ランプ波信号を生成するランプ回路27と、そのランプ波信号に正負のディザ値を交互にある一定の間隔で加えるためのディザ幅設定レジスタ22および加算回路23と、設定用レジスタ26からのデータ及びランプ回路27からのデータを選択するスイッチ28と、スイッチ28で選択されたデータとPWMカウンタ25の計数値とを比較する比較回路29とを備える。
【0045】
このようにフォーカスサーボ制御を行うブロックを備えたPWM信号生成回路12において、その分解能を9ビット分と設定すると、サンプリングクロック生成回路24では、1周期がPWM用基準クロックの256周期分となるサンプリングクロックを生成する。また、PWMカウンタ25では、PWM用基準クロックが1クロック入力される毎に1つ計数し、0〜255となる値を繰り返し出力する。
【0046】
更に、設定用レジスタ26に、その値として−256〜256をとるフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から入力され、また、ランプ回路27からは、その値が−256から256に徐々に変化するランプ波信号が出力される。このとき、設定用レジスタ26及びランプ回路27からスイッチ28を介して比較回路29に与えられるデータは、PWM用基準クロックの256周期分に相当するサンプリング周期毎に変化するとともに、このサンプリング周期が1周期分経過するまでラッチされて、PWMカウンタ25からの計数値0〜255全てと比較される。
【0047】
また、比較回路29からは、対物レンズ16をディスク1に近づける方向にシフトさせるためのF側PWM信号と、対物レンズ16をディスク1から遠ざける方向にシフトさせるためのR側PWM信号とが出力されて、PWMドライバ14に与えられる。そして、PWMドライバ14では、比較回路29から与えられるF側PWM信号及びR側PWM信号それぞれから、F側対物レンズ駆動信号及びR側対物レンズ駆動信号を生成してフォーカスアクチュエータ5に送出し、フォーカスアクチュエータ5を駆動制御する。このように2信号をフォーカスアクチュエータ5に与えることで、対物レンズ16を上下にシフトさせることができる。
【0048】
そして、このPWM信号生成回路12には、デジタルサーボ処理回路11よりスイッチ28を切り換えるためのフォーカスサーチフラグが与えられる。このフォーカスサーチフラグがハイとなるとき、フォーカスサーチ動作が行われ、逆に、フォーカスサーチフラグがローとなるとき、フォーカスエラー信号を利用したフォーカスサーボ制御が行われる。
【0049】
即ち、フォーカスサーチフラグがハイとなるとき、スイッチ28がランプ回路27からのランプ波信号を選択する。また、フォーカスサーチフラグがローとなるとき、スイッチ28が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号を選択する。以下では、このようにスイッチ28がフォーカスサーチフラグによって切り換えられたときのフォーカスサーボ制御動作及びフォーカスサーチ動作について説明する。
【0050】
まず、フォーカスサーチフラグがローとなるときのフォーカスサーボ制御動作について、以下に説明する。このとき、前述したように、スイッチ28が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号を選択して比較回路29に送出する。尚、フォーカスエラー信号は、デジタルサーボ処理回路11によって設定用レジスタ26に順次書き込まれる。
【0051】
このとき、PWM用基準クロックがサンプリングクロック生成回路24に与えられ、1周期がPWM用基準クロックの256周期分にあたるサンプリングクロックが生成されて出力される。また、PWM用基準クロックがPWMカウンタ25に与えられ、PWMカウンタ25において、0からPWM用基準クロック1周期分毎に1つずつ計数が行われて255まで計数された後に再び0にリセットするという動作が繰り返される。
【0052】
そして、サンプリングクロックが信号処理回路10及びデジタルサーボ処理回路11に与えられ、その動作基準となるサンプリング周期がPWM用基準クロックの256周期分となる。よって、サンプリング周期毎にフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から設定用レジスタ26に与えられる。即ち、PWM用基準クロック256周期分毎にフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から設定用レジスタ26に与えられる。また、比較回路29に、PWM用基準クロック毎に値が0〜255で巡回して変化するPWMカウンタ25からの出力が与えられる。
【0053】
このとき、比較回路29では、サンプリング周期毎に設定用レジスタ26からフォーカスエラー信号が与えられると共に、PWM用基準クロック毎に0から255まで順次変化するPWMカウンタ25のカウント出力が与えられ、フォーカスエラー信号の値の絶対値がカウント出力と比較される。この比較回路29において、設定用レジスタ26から与えられるフォーカスエラー信号が負の値となるときは、F側PWM信号を常にローとし、R側PWM信号をフォーカスエラー信号の値に応じたデューティ比の信号とする。また、設定用レジスタ26から与えられるフォーカスエラー信号が正の値となるときは、R側PWM信号を常にローとし、F側PWM信号をフォーカスエラー信号の値に応じたデューティ比の信号とする。
【0054】
即ち、フォーカスエラー信号が負の値である場合、比較回路26は、サンプリング周期を開始してからPWMカウンタ25の出力が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号の絶対値以上となるまで、R側PWM信号をハイとする。そして、PWMカウンタ25の出力がフォーカスエラー信号の絶対値以上となると、サンプリング周期が終了するまで、R側PWM信号をローとする。このとき、上述したように、F側PWM信号は常にローである。
【0055】
また、フォーカスエラー信号が正の値である場合、比較回路26は、サンプリング周期を開始してからPWMカウンタ25の出力が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号の絶対値以上となるまで、F側PWM信号をハイとする。そして、PWMカウンタ25の出力がフォーカスエラー信号の絶対値以上となると、サンプリング周期が終了するまで、F側PWM信号をローとする。このとき、上述したように、R側PWM信号は常にローである。
【0056】
よって、設定用レジスタ26から出力されるフォーカスエラー信号とF側PWM信号及びR側PWM信号それぞれのデューティ比との関係が、図3(a)(b)のように表される。即ち、F側PWM信号は、図3(a)のように、フォーカスエラー信号の値が−256〜0のときにはデューティ比が0(0%)となり、フォーカスエラー信号の値が0以上となるときにはフォーカスエラー信号の値に比例してデューティ比が増加し、フォーカスエラー信号の値が256のときにはデューティ比が1(100%)となる。
【0057】
一方、R側PWM信号は、図3(b)のように、フォーカスエラー信号の値が−256のときにはデューティ比が1(100%)となり、フォーカスエラー信号の値が−256〜0のときにはフォーカスエラー信号の値に比例してデューティ比が減少し、フォーカスエラー信号の値が0以上となるときにはデューティ比が0(0%)となる。尚、デューティ比が0%のとき、サンプリング周期1周期分ローとなり、デューティ比が100%のとき、サンプリング周期1周期分ハイとなる。
【0058】
このように各ブロックが動作するため、例えば、128となるフォーカスエラー信号が設定用レジスタ26に与えられるとき、PWMカウンタ25の出力が0〜127の間はフォーカスエラー信号の絶対値の方が大きいのでF側PWM信号がハイとなり、PWMカウンタ25の出力が128〜255の間はF側PWM信号がローとなる。よって、図4のように、サンプリング周期1周期が経過する間に、R側PWM信号が常にローであるとともに、F側PWM信号のデューティ比が50%となる。
【0059】
そして、次のサンプリング周期1周期において、−64となるフォーカスエラー信号が設定用レジスタ26に与えられるとき、PWMカウンタ25の出力が0〜63の間はフォーカスエラー信号の絶対値の方が大きいのでR側PWM信号がハイとなり、PWMカウンタ25の出力が64〜255の間はR側PWM信号がローとなる。よって、図4のように、次のサンプリング周期1周期が経過する間に、F側PWM信号が常にローであるとともに、R側PWM信号のデューティ比が25%となる。
【0060】
次に、フォーカスサーチフラグがハイとなるときのフォーカスサーチ動作について、以下に説明する。このとき、前述したように、PWM用基準クロックを発生するクロック発生回路21からPWM用基準クロックをサンプリングクロック生成回路24及びPWMカウンタ25に送出するとともに、スイッチ28がランプ回路27からのランプ波信号を選択して比較回路29に送出する。また、サンプリングクロック生成回路24からランプ回路27にサンプリングクロックが与えられる。
【0061】
このように、フォーカスサーチ動作が開始されると、サンプリング周期毎に、ランプ回路27から与えられるランプ波信号の値が−256から1つずつ計数されて比較回路29に与えられる。即ち、値がkとなるランプ波信号がランプ回路27より比較回路29に与えられると、PWMカウンタ25から出力される0〜255の値と比較される。そして、サンプリング周期1周期分が経過し、PWMカウンタ25の出力が0にリセットされると、次に、値がk+1となるランプ波信号がランプ回路27より比較回路29に与えられる。
【0062】
このとき、比較回路29は、フォーカスサーボ制御動作のときと同様に、ランプ波信号の正負を確認するとともにランプ波信号の絶対値とPWMカウンタ25の出力とを比較して、その結果に応じたF側PWM信号及びR側PWM信号を出力する。即ち、サンプリング周期毎に、F側PWM信号を図3(a)に応じたデューティ比とするとともにR側PWM信号を図3(b)に応じたデューティ比として、PWMドライバ14に出力する。尚、このとき、図3の横軸は、ランプ波信号の値を表す。
【0063】
ところが、近年のディスクの高密度化に伴って高精度な処理を行うために、サンプリング周波数が高くなっており、PWM信号生成回路12から生成されたPWM信号の最小パルス幅は非常に小さいものとなっている。パルス幅が小さすぎると、PWMドライバ14は、内部のゲート遅延などにより、入力値として認識できなかったり、出力値として確定できなかったりして、結果的に出力されないことになる。
【0064】
特に、ランプ回路27から出力されるランプ波信号は、出力が三角波のようにゆっくりと増減するので、デューティ比が小さい0付近でPWMドライバ14の出力値が0になってしまい、この不感期間が長く発生してしまう時には、フォーカスアクチュエータ5が無制動の状態となり、光ピックアップ2の対物レンズ16が振動して、フォーカスサーチ動作に失敗してしまう。
【0065】
そこで、図2のように、不感期間を細分化する目的で、ディザ幅設定レジスタ22により設定された正負のディザ設定値によるオフセットを交互にある一定の間隔でランプ回路27の出力値に加算し、この不感期間をできる限り小さくし、フォーカスアクチュエータ5の無制動な状態での挙動を抑えるようにした。
【0066】
図5は、フォーカスサーチ動作において4サンプリング周期でランプ回路27の出力値が増加している場合に、該出力値が0付近であるときのPWM信号生成用入力値の変化の様子を示している。同図(a)はディザ幅設定レジスタ22の値が0のときの例であり、同図(b)はディザ幅設定レジスタ22の値が1のときの例であり、かつ同図(c)はディザ幅設定レジスタ22の値が2のときの例である。
【0067】
図5(a)の場合は、ディザ幅設定レジスタ22の値が0であるので、ランプ回路27の値がそのままPWM信号生成用入力値として入力される。図5(b)の場合は、ディザ幅設定レジスタ22の値が1であるので、ランプ回路27の出力値が−2のときには、ランプ回路27の出力値に+1と−1を交互に加えた値がPWM信号生成用入力値となり、結果的に−1と−3が入力され、ランプ回路27の出力値が−1のときは結果的に0と−2が入力され、ランプ回路27の出力値が0のときは結果的に+1と−1が入力され、ランプ回路27の出力値が+1のときは結果的に+2と0が入力され、ランプ回路27の出力値が+2のときは結果的に+3と+1が入力される。図5(c)の場合はディザ幅設定レジスタ22の値が2であるので、上記と同じく、ランプ回路27の出力値に+2と−2を交互に加えた値がPWM信号生成用入力値となる。
【0068】
図5(a)〜(c)のそれぞれに示したPWM信号生成用入力値に基づいて、PWM信号生成回路12がPWM信号を出力した場合に、PWMドライバ14が出力するフォーカス駆動信号の時間変化を図6(a)〜(c)に示す。なお、同図(a)〜(c)の破線は、不感期間が発生しない場合におけるフォーカス駆動信号の時間変化を示している。
【0069】
図6(a)は、ディザ設定値が0の場合におけるフォーカス駆動信号の時間変化を示している。この信号の波形は、不感期間が発生しないときには、図7(a)に示す従来の場合と同様に、原点を通り傾きが一定である直線となる。一方、不感期間が発生するときには、図8(a)に示す従来の場合と同様に、長い不感期間が発生する。
【0070】
図6(b)は、ディザ設定値が1の場合におけるフォーカス駆動信号の時間変化を示している。この信号の波形は、不感期間が発生しないときには、図7(a)に示す従来の波形を中心にして上下に振動する波形となる。このため、不感期間となるフォーカス駆動信号の値の範囲から出たり入ったりを繰り返すので、不感期間が、図8(a)に示す従来の場合と比べて、分割され分散されることになる。
【0071】
図6(c)は、ディザ設定値が2の場合におけるフォーカス駆動信号の時間変化を示している。この信号の波形は、不感期間が発生しないときには、図6(b)に示す波形よりも振幅がさらに大きな波形となる。このため、不感期間が、図6(b)に示す場合と比べてさらに分割され分散されることになる。
【0072】
したがって、ランプ回路27の出力値に正負のディザ設定値を交互に加算することにより、フォーカス駆動信号の不感期間が分割され分散されて、連続した不感期間が長く発生することが無くなる。また、正負のディザ設定値を交互に加算する周期はサンプリング周期のような極めて短い周期であるため、重い光ピックアップ2やフォーカスアクチュエータ5が反応して動くことはほとんど無く、光ピックアップ2は本来のランプ回路の出力に応じた直線的な動作を行う。
【0073】
上記の構成により、本実施形態の光ディスク装置は、長い不感期間は発生しなくなるので、前記対物レンズの振動を抑え、安定した制御ができ、正常なフォーカスサーチ動作を行うことが可能となる。
【0074】
なお、前記ディザ設定値は、不感期間の影響を受けないような値に設定することが望ましい。また、上記実施形態は、フォーカスサーチ動作のランプ波形全般にディザ設定値を加えたものであるが、不感期間となるフォーカス駆動信号の値の範囲のみに加える方法もある。
【0075】
このようにフォーカスサーチ動作及びフォーカスサーボ制御動作が行われるとき、まず、デジタルサーボ処理回路11はフォーカスサーチフラグをハイとして、フォーカスサーチ動作を行う。このフォーカスサーチ動作が行われている間に、得られたフォーカスエラー信号よりディスク1の記録トラックに適当なレーザ光を集光していることをデジタルサーボ処理回路11が確認すると、フォーカスサーチフラグをローとして、フォーカスサーボ制御動作を開始する。そして、フォーカスサーボ制御動作が確立した後、トラッキングエラーサーボ制御動作を開始する。
【0076】
本実施形態のように構成することで、フォーカスサーチ動作において、ランプ波信号に正負のオフセットを交互に加えることにより、図8のようなフォーカス駆動信号における不感期間の発生を抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態では、光ディスク装置をディスクの再生のみを行う構成としたが、記録装置としても構わない。例えば、光磁気ディスクを用いる場合、ディスク1を挟んで光ピックアップ2の対物レンズ16と対向する位置に設置されるとともに光ピックアップ2とともに移動する磁気ヘッドを設けることにより実現することができる。このように構成した場合、ディスク1への記録動作が行われるとき、光ピックアップ2から出射されるレーザ光の光強度を再生動作時よりも強くするとともに、磁気ヘッドをディスク1に近接させる。このとき、インターフェース18を通じて外部より入力されるデータを信号処理回路10を介して磁気ヘッドに与えることにより、データをディスク1の記録トラックに記録することができる。また、光磁気ディスクの例を挙げたが、DVD(Digital Versatile Disk)などのような光ディスクの記録再生を行うディスク装置についても同様である。
【0078】
また、本実施形態では、ランプ回路27からのランプ波信号に対して正負のディザ値を加算することによりPWM信号を変化させているが、比較回路29からの出力信号であるPWM信号に対して正負のディザ値を加算することによりPWM信号を変化させることもできる。
【0079】
また、ランプ波信号の電圧が所定範囲内にあるときのみディザ幅設定レジスタ22を作動するように、ランプ回路27がディザ幅設定レジスタ22を制御してもよい。
【0080】
最後に、上記の実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、以下のように構成することができる。
【0081】
即ち、本発明の光ディスク装置は、ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、当該光ピックアップに備えられた対物レンズを移動させて前記ディスクに照射するレーザ光の集光範囲を調整するフォーカスアクチュエータとを備え、前記ディスクからの反射光によって得られるフォーカスエラー信号に基づいてPWM変調したPWM信号によりPWMドライバを経由して前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーボ制御を行うとともに、徐々に値が変化するランプ波信号に基づいてPWM変調したPWM信号により前記PWMドライバを経由してフォーカスサーチを行って前記レーザ光の集光範囲が最適な範囲となる前記対物レンズ位置を確認して前記フォーカスサーボ制御に引き込む光ディスク装置において、零ボルト近傍に対応する前記PWM信号を前記PWMドライバに入力しても出力信号が反応しない時、替わりに作動するPWM信号を組み合わせて前記アクチュエータに印加せしめる構成である。
【0082】
さらに、本発明の光ディスク装置は、上記の構成において、前記フォーカスサーチ時に、前記PWMドライバに出力信号が反応するPWM信号の値を設定する目的で、前記ランプ波信号に正負のディザ値を交互に加え、前記フォーカスアクチュエータが反応しない一定の間隔で加えたランプ波信号を持ち合わせる構成である。
【0083】
上記の構成では、前記フォーカスサーチ時のランプ波信号に、交互にオフセットを与える目的で、正負のディザ値を交互にある一定の間隔で加えたPWM信号の値をフォーカス駆動信号に反映させることにより、大きな不感期間は発生しなくなり、前記対物レンズの振動を抑え、安定した制御ができ、前記フォーカスサーボ制御への正常な引き込みが可能となる。
【0084】
すなわち、上記の構成によると、フォーカスサーチ時に、ランプ波信号に正負のオフセットを交互に加えることにより、フォーカスアクチュエータを駆動制御するドライバの出力が反応しない不感期間を細分化でき、安定したフォーカスサーチが可能となる。また、基準クロックを高く設定することができるため、サンプリング周波数を高くすることができ、ディスクの大容量化及び高密度化に対応させることができる。
【0085】
なお、前記ディザ値は不感期間の影響を受けないような値に設定することが必要であり、前記ディザ値を加えることによるフォーカス駆動信号の値の変動分はサンプリング周期などの早い周期であるため、これの影響で重いフォーカスアクチュエータが動くことは無く、光ピックアップは本来のランプ回路の出力に応じた動作をする。
【0086】
さらに、本発明のディスク装置は、上記の構成において、PWM信号生成回路が、前記フォーカスエラー信号及び前記PWMドライバに出力信号が反応するPWM信号を足し合わせたランプ波信号を前記フォーカスサーチ時に設定されるフォーカスサーチフラグにより選択するスイッチと、クロック発生回路から出力された基準クロックに従って所定値までのカウントを巡回して行うカウンタと、前記スイッチが選択した信号の値と前記カウンタの出力値とを比較して、前記PWM信号を生成する比較回路と、を備える構成である。
【0087】
さらに、本発明のディスク装置は、上記の構成において、前記PWMドライバに出力信号が反応するPWM信号の値を設定可能なレジスタを持ち合わせる構成である。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明のPWM信号生成回路は、所定期間における平均値が変化の前後で略一致するように、前記信号の振幅または前記PWM信号のパルス幅を変化させるディザ手段を備える構成である。
【0089】
これにより、PWM信号生成回路から出力されるPWM信号のパルス幅が元のパルス幅に対して、或る時は増大し、また或る時は減少することになるから、パルス幅が狭すぎることによって生じる不感期間が途切れることになる。したがって、不感期間が途切れて、不感期間が短くなることにより、駆動装置は不安定な状態が維持される期間が短くなり、不安定な状態が維持される期間が長いために生じる問題を解消できる効果を奏する。
【0090】
なお、不感期間は、PWM信号のパルス幅が狭すぎることによって生じるので、前記信号の振幅または前記PWM信号のパルス幅が所定値以下となる場合にディザ手段が作動するようにしても、上記の効果を得ることができる。
【0091】
また、不感期間が途切れる程度のパルス幅の変化量が要求されるから、この変化量を適切なものとするために、変化量の範囲を設定するディザ幅設定手段をさらに備えることが望ましい。
【0092】
また、本発明の駆動制御装置は、以上のように、上記構成のPWM信号生成回路と、該PWM信号生成回路からのPWM信号に基づいて、前記駆動装置を駆動するための駆動信号を生成するドライバ回路とを備える構成である。
【0093】
これにより、駆動装置は不安定な状態が維持される期間が短くなり、不安定な状態が維持される期間が長いために生じるフォーカスサーチ動作の失敗のような問題を解消する効果を奏する。
【0094】
また、本発明の光ディスク装置は、以上のように、レーザ光を光ディスクの記録面に集束させる対物レンズと、該対物レンズを光軸方向に駆動するフォーカスアクチュエータと、該フォーカスアクチュエータの駆動を制御する上記構成の駆動制御装置とを備える構成である。
【0095】
これにより、フォーカスアクチュエータが不安定な状態に維持される期間が長いために生じるフォーカスサーチ動作の失敗を防止する効果を奏する。
【0096】
なお、フォーカスサーチ動作を行う場合には、PWM信号生成回路は、フォーカスサーボ制御を実行できる範囲内に対物レンズを移動するために用いられるランプ波信号に基づいてPWM信号を生成するから、ディザ手段が変化させる信号は、前記ランプ波信号であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である光ディスク装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記光ディスク装置のPWM信号生成回路においてフォーカスサーボ制御に関する構成を示すブロック図である。
【図3】フォーカスエラー信号またはランプ波信号とPWM信号のデューティ比との関係を示すグラフであり、同図(a)はF側PWM信号の場合であり、同図(b)はR側PWM信号の場合である。
【図4】F側PWM信号及びR側PWM信号の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
【図5】フォーカスサーチ動作時においてランプ回路出力値にディザ設定値を加算したランプ回路修正出力値の時間変化を示すタイムチャートである。
【図6】ディザ設定値に基づいてフォーカス駆動信号が変化する様子を示すグラフであり、同図(a)はディザ設定値が0の場合であり、同図(b)はディザ設定値が1の場合であり、かつ同図(c)はディザ設定値が2の場合である。
【図7】フォーカスサーチ動作が正常な場合における信号の時間変化を示すグラフであり、同図(a)はフォーカス駆動信号の場合であり、同図(b)はフォーカスエラー信号の場合である。
【図8】サンプリング周波数が高い場合における信号の時間変化を示すグラフであり、同図(a)はフォーカス駆動信号の場合であり、同図(b)はフォーカスエラー信号の場合である。
【符号の説明】
1 光ディスク
5 フォーカスアクチュエータ
12 PWM信号生成回路
14 PWMドライバ(ドライバ回路)
16 対物レンズ
22 ディザ幅設定レジスタ(ディザ手段、ディザ幅設定手段)
23 加算回路(ディザ手段)
27 ランプ回路(ディザ作動制御手段)
Claims (7)
- 或る信号の振幅に基づいて所定周期のパルス信号のパルス幅を変調することにより、パルス幅変調信号を生成するパルス幅変調信号生成回路において、
所定期間における平均値が変化の前後で略一致するように、前記信号の振幅または前記パルス幅変調信号のパルス幅を変化させるディザ手段を備えることを特徴とするパルス幅変調信号生成回路。 - 前記信号の振幅または前記パルス幅変調信号のパルス幅が所定値以下となる場合に前記ディザ手段が作動するように制御するディザ作動制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変調信号生成回路。
- 前記ディザ手段が前記信号の振幅または前記パルス幅変調信号のパルス幅を変化させる量の範囲を設定するディザ幅設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変調信号生成回路。
- 前記ディザ手段は、前記信号の振幅または前記パルス幅変調信号のパルス幅に対して、所定値の加算および減算を前記所定周期ごとに交互に行うことを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変調信号生成回路。
- 駆動装置の駆動を制御する駆動制御装置であって、
請求項1ないし4の何れか1項に記載のパルス幅変調信号生成回路と、
該パルス幅変調信号生成回路からのパルス幅変調信号に基づいて、前記駆動装置を駆動するための駆動信号を生成するドライバ回路とを備えることを特徴とする駆動制御装置。 - レーザ光を光ディスクに照射することによりデジタルデータの記録及び/または再生を行う光ディスク装置であって、
前記レーザ光を前記光ディスクの記録面に集束させる対物レンズと、
該対物レンズを光軸方向に駆動するフォーカスアクチュエータと、
該フォーカスアクチュエータの駆動を制御する請求項5に記載の駆動制御装置とを備えることを特徴とする光ディスク装置。 - 前記駆動制御装置におけるパルス幅変調信号生成回路のディザ手段が変化させる信号は、フォーカスサーボ制御を実行できる範囲内に対物レンズを移動するために用いられるランプ波信号であることを特徴とする請求項6に記載の光ディスク装置。
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