JP3957645B2 - ディスク駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光をディスクに照射してデータの記録・再生を行う光ピックアップに対してフォーカスサーボ制御を行うディスク駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ピックアップよりレーザ光を光磁気ディスクや光ディスクに照射することによりデジタルデータの記録又は再生を行うディスク駆動装置は、その反射光より得られるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を用いて、目的とするトラックに適当な範囲のレーザ光を照射するようにトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御を行う。このトラッキングサーボ制御を行って光ピックアップをディスクの径方向に移動させることで、光ピックアップからのレーザ光がトラック中心位置に照射する。又、フォーカスサーボ制御を行って対物レンズをディスクに対して垂直な方向に移動させることで、光ピックアップからのレーザ光の照射範囲を適当な広さとする。
【0003】
このようなディスク駆動装置は、その起動時などにおいて、まず、三角波状のランプ波信号を用いて対物レンズ位置を移動させることによって、フォーカスサーボ制御への引き込みが行われる。フォーカスサーボ制御への引き込みが行われ、フォーカスエラー信号より合焦点に近づいたことが確認されると、ランプ波信号による制御を停止するとともに、フォーカスエラー信号を用いたフォーカスサーボ制御を開始する。そして、フォーカスサーボ制御により合焦点付近にレーザ光が照射されるようになると、トラッキングエラー信号を用いたトラッキングサーボ制御を行う。
【0004】
従来の技術として、フォーカスサーボ制御への引き込みを行う際にはフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を高いサンプリング周波数でデジタル変換し、フォーカスサーボ制御を行う際にはフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を低いサンプリング周波数でデジタル変換するフォーカスサーボ引込装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−178129号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
又、近年のディスクの大容量化及び高密度化に伴い、光ピックアップや対物レンズ位置の制御処理において、更に高精度な処理が求められている。このように制御処理の精度を高めるためには、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号をサンプリングするためのサンプリング周波数を高く設定したり、又は、PWM(Pulse Width Modulation)信号のビット幅を増やすように設定する必要がある。
【0007】
このように、サンプリング周波数を高く設定したり、PWM信号のビット幅を増やすように設定することによって、サンプリング周期を1周期とするPWM信号の周期幅が狭くなる。これにより、1周期のデューティによって決定するPWM信号のパルス幅が狭くなるため、デューティが最低となるときの最小パルス幅が狭くなる。よって、ランプ波信号を利用したフォーカスサーボ制御への引き込みが行われるとき、デューティが低いときのPWM信号のパルス幅が狭く、このPWM信号が認知されず、正常な制御が行えないことがある。
【0008】
即ち、従来のようにサンプリング周波数が低い場合、最小パルス幅となるPWM信号についても反映されるため、対物レンズをディスクの垂直方向に駆動させるフォーカスアクチュエータへのフォーカスドライバ出力が、図6(a)のように、時間の経過に応じて徐々に増加するランプ波信号に対応した値となる。このとき、フォーカスエラー信号は、図6(b)のように、フォーカスドライバ出力が0となるときの値を基準として対照となるS字を描くため、フォーカスサーボ制御への引き込みを正常に行うことができる。
【0009】
それに対して、サンプリング周波数が高い場合、デューティが低いときのPWM信号のパルス幅が狭いことから、ランプ波信号を用いてフォーカスサーボ制御への引き込みを行ったとき、図7(a)のように、PWM信号の値がフォーカスドライバ出力に反映されない不感帯が発生する。このとき、図7(b)のフォーカスエラー信号が示すように、この不感帯において対物レンズが振動し、安定した制御ができなくなり、フォーカスサーボ制御への引き込みが正常に行われないことがある。これにより、特許文献1では、PWM制御を行ってフォーカスサーボ制御への引き込みを行ったとき、サンプリング周波数が高いため、フォーカスサーボ制御への引き込みが正常に行われない可能性が大きい。
【0010】
このような問題を鑑みて、本発明は、フォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御を行う際のサンプリング周波数が高い場合に、フォーカスサーボ制御への引き込み動作を正常に行うことができるディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のディスク駆動装置は、ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、当該光ピックアップに備えられた対物レンズを移動させて前記ディスクに照射するレーザ光の集光範囲を調整するフォーカスアクチュエータとを備え、前記ディスクからの反射光によって得られるフォーカスエラー信号に基づいてPWM変調した第1PWM信号により前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーボ制御を行うとともに、徐々に値が変化するランプ波信号に基づいてPWM変調した第2PWM信号によりフォーカスサーチを行って前記レーザ光の集光範囲が最適な範囲となる前記対物レンズ位置を確認して前記フォーカスサーボ制御に引き込むディスク駆動装置において、前記第1PWM信号を生成する際の第1基準クロックを分周した第2基準クロックによって前記第2PWM信号を生成し、前記フォーカスサーチを行うことを特徴とする。
【0012】
この構成によると、前記フォーカスサーチを行う際、周波数の低い前記第2基準クロックを用いて前記第2PWM信号を生成するため、当該第2PWM信号によるサーボ出力値を前記ランプ波信号に基づくものとすることができる。又、前記フォーカスサーボ制御を行う際、周波数の高い前記第1基準クロックを用いて前記第1PWM信号を生成するため、サーボ出力値の分解能を高くすることができる。
【0013】
このとき、前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号をサンプリングするためのサンプリング周波数が、前記フォーカスサーボ制御を行う際には前記第1基準クロックに基づいて生成され、又、前記フォーカスサーチを行う際には前記第2基準クロックに基づいて生成される。更に、該フォーカスエラー信号以外のトラッキングエラー信号などについても、前記第1フォーカスエラー信号と同様、前記第1基準クロック又は前記第2基準クロックに基づく前記サンプリング周波数によってサンプリングする。よって、トラッキングサーボ制御を行うとき、周波数の高い前記第1基準クロックによるサンプリング周波数でサンプリングされるため、高密度化したディスクに対応させることができる。
【0014】
又、本発明のディスク駆動装置は、ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、該光ピックアップに備えられた対物レンズを移動させて前記ディスクに照射するレーザ光の集光範囲を調整するフォーカスアクチュエータと、前記ディスクからの反射光による信号が前記光ピックアップより与えられてフォーカスエラー信号を生成するエラー信号生成回路と、PWM変調を行うPWM信号生成回路と、前記フォーカスアクチュエータを駆動制御するドライバとを備える、ディスク駆動装置において、前記PWM信号生成回路が第1基準クロックに基づいて前記エラー信号生成回路からの前記フォーカスエラー信号による第1PWM信号を生成し、前記ドライバが該第1PWM信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーボ制御を行うとともに、前記PWM信号生成回路が前記第1基準クロックを分周した第2基準クロックに基づいて徐々に値が変化するランプ波信号による第2PWM信号を生成し、前記ドライバが該第2PWM信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーチを行って、前記レーザ光の集光範囲が最適な範囲となる前記対物レンズ位置を確認して前記フォーカスサーボ制御に引き込むことを特徴とする。尚、このエラー信号生成回路は、RF処理回路及びデジタルサーボ処理回路によって構成される。
【0015】
このようなディスク駆動装置において、前記PWM信号生成回路が、前記第1基準クロック及び前記第2基準クロックを選択する第1スイッチと、前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号を選択する第2スイッチと、前記第1スイッチで選択された基準クロックに従って所定値までのカウントを巡回して行うカウンタと、前記第2スイッチが選択した信号の値と前記カウンタの出力値とを比較して、前記PWM信号を生成する比較回路と、を備える。
【0016】
更に、前記PWM信号生成回路が、前記第1スイッチで選択された基準クロックに基づいてデジタル変換するためのサンプリングクロックを生成するサンプリングクロック生成回路を備え、当該サンプリングクロック生成回路によって生成されたサンプリングクロックに基づいて前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号がサンプリングされる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のディスク駆動装置の内部構成を示すブロック図である。
【0018】
図1のディスク駆動装置は、ディスク1にレーザ光を照射する光ピックアップ2と、ディスク1を周方向に回転させるスピンドルモータ3と、不図示のアーム部を介して光ピックアップ2をディスク1の径方向に移動させるスレッドモータ7と、光ピックアップ2がディスク1からの反射光を受光することで得られた信号を処理するRF処理回路8と、RF処理回路8で得られたトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号をデジタル信号に変換するAD変換回路9とを備える。
【0019】
又、RF処理回路8で得られたデータ信号やスピンドルモータ3の回転位置や回転速度が与えられる信号処理回路10と、信号処理回路10で確認されたスピンドルモータ3の回転位置や回転速度やAD変化回路9からのトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号が与えられるデジタルサーボ処理回路11と、デジタルサーボ処理回路11からのデータよりPWM信号を生成するPWM信号生成回路12と、光ピックアップ2からのレーザ光の光強度を制御する制御用マイコン13とによって、制御回路17を構成する。
【0020】
又、レーザ光をディスク1のトラックに集光させる対物レンズ16と、レーザ光がトラック中心を照射するようにディスク1の径方向に対物レンズ16を移動させるトラッキングアクチュエータ4と、レーザ光の照射範囲を適当な広さとするために対物レンズ16をディスク1に対して垂直な方向に移動させるフォーカスアクチュエータ5と、レーザ光の光強度を調整するLDドライバ6とによって、光ピックアップ2を構成する。
【0021】
又、このディスク駆動装置は、PWM信号生成回路12からのPWM信号によりトラッキングアクチュエータ4及びフォーカスアクチュエータ5及びスレッドモータ7を駆動制御するPWMドライバ14と、スピンドルモータ3からの回転位置検出信号よりスピンドルモータ3の回転位置及び回転速度を検出して信号処理回路10に与えるとともにPWM信号生成回路12からのPWM信号生成回路12からのPWM信号に基づいてスピンドルモータ3を駆動制御するスピンドルモータドライバ15と、信号処理回路10で得られた再生データを外部に出力するインターフェース18とを備える。
【0022】
このように構成されるディスク装置に設置されるディスク1は、記録トラックとして、最内周部から最外周部までスパイラル状に1つの溝(グルーブ)が形成されている。即ち、逆に最内周部から最外周部までスパイラル状に1つの山(ランド)が、互いに隣り合う溝間に形成されている。尚、このランドを、記録トラックとしても用いるようにしても構わない。
【0023】
ディスク再生時に、ディスク1は光ピックアップ2と一定間隔となるように回転駆動させるスピンドルモータ3に保持されているが、ディスク1の反りや、スピンドルモータ3の軸の傾きなどで、ディスク1に面振れが生じる。このディスク1の面に追従させるように、PWMドライバ14がフォーカスアクチュエータ5を駆動制御して、対物レンズ16をディスク1の垂直方向に移動させる。これが、光ピックアップ2に対するフォーカスサーボ制御である。
【0024】
このとき、RF処理回路8で得られたフォーカスエラー信号がAD変換回路9でデジタル信号に変換され、デジタルサーボ処理回路11を介してPWM信号生成回路12に与えられる。そして、PWM信号生成回路12において、フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14において、このフォーカスサーボ制御用のPWM信号に基づいて、垂直方向の対物レンズ駆動信号を生成する。よって、フォーカスアクチュエータ5が駆動制御され、対物レンズ16がディスク1に垂直な方向に上下にシフトされる。
【0025】
このフォーカスサーボ制御を始めるときに、まず、光ピックアップ2とディスク1の最適な距離を探すために、フォーカスサーボ制御への引き込み動作であるフォーカスサーチを行う。このとき、PWM信号生成回路12において、後述するように、緩やかな傾斜を持つ図6(a)のようなランプ波信号に基づいたフォーカスサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14で垂直方向の対物レンズ駆動信号を生成し、フォーカスアクチュエータ5が駆動制御される。よって、光ピックアップ2を上下にシフトさせて、レーザ光の照射範囲が最適となる最良点が確認され、フォーカスサーボ制御が開始する。
【0026】
又、連続的に再生を行う場合には、ディスク1のスパイラル状に形成された記録トラックにレーザ光を追従させるように、PWMドライバ14がトラッキングアクチュエータ4を駆動制御して、対物レンズ16をディスク1の径方向にシフトさせる。これが、光ピックアップ2に関するトラッキングサーボ制御である。このとき、RF処理回路8で得られたトラッキングエラー信号が、フォーカスエラー信号と同様、AD変換回路9でデジタル信号に変換され、デジタルサーボ処理回路11を介してPWM信号生成回路12に与えられる。
【0027】
そして、PWM信号生成回路12において、トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキングサーボ制御用のPWM信号が生成され、PWMドライバ14において、このトラッキングサーボ制御用のPWM信号に基づいて径方向の対物レンズ駆動信号を生成する。よって、トラッキングアクチュエータ4が駆動制御され、対物レンズ16がディスク1の径方向にシフトされる。
【0028】
このようにトラッキングサーボ制御が行われているとき、対物レンズ16のシフト量が一定量に達すると、PWMドライバ14からスレッドモータ用駆動信号が発生する。即ち、スレッドモータ7はコギングを有するため、対物レンズ16のシフト量がある一定量に達すると駆動されて光ピックアップ2をディスク1の径方向に移動させる。このとき、光ピックアップ2においてシフトしていた対物レンズ16が初期設定位置である中心位置に戻るように、トラッキングアクチュエータ4が動作する。
【0029】
又、このように動作しているとき、光ピックアップ2は、レーザ光をディスク1の記録トラックに照射し、その反射光を検出して各光検出信号として出力する。この各光検出信号はRF処理回路8に送られ、電流信号から電圧信号にIV変換される。このとき、RF信号に対応する光検出信号は位相が正反対の2つの信号からなり、RF処理回路8に送られた後、RF処理回路8にて、その2つの信号から差信号が求められ、続いて、AGC(Auto Gain Control)処理が施されて信号処理回路10に送出される。
【0030】
そして、信号処理回路10では、RF処理回路8より与えられたデータ信号に対して、エラー訂正、デインタリーブ、NRZI変換、ビタビ複合等が施され、後段接続用のインターフェース18に送出される。又、エラー信号に対応する光検出信号もRF処理回路8に送られ、RF処理回路8にてトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が生成され、AD変換回路9でデジタル信号に変換される。
【0031】
又、デジタルサーボ処理回路11は主にDSP(Digital Signal Processor)で構成され、RF処理回路8においてRF信号から得られた同期信号に対し、マスタークロックを基にPLL処理して、同期を安定化している。又、スピンドルモータドライバ15は、スピンドルモータ3の回転速度及び回転位置を確認し、信号処理回路10及び制御用マイコン13に与える。
【0032】
そして、信号処理回路10を介してデジタルサーボ処理回路11にスピンドルモータ3の回転速度及び回転位置が与えられると、このPLL処理された信号に基づいてスピンドルモータ3を駆動するための信号を生成し、PWM信号生成回路12に与える。よって、PWM変調されたスピンドルモータ駆動信号が、スピンドルモータドライバ15を介してスピンドルモータ3に与えられ、スピンドルモータ3が回転制御される。又、制御用マイコン13では、スピンドルモータ3の回転速度を確認すると、レーザ光がその回転速度に応じた光強度となるように、LDドライバ6を制御する。
【0033】
このように図1の構成のディスク駆動装置が動作するときのフォーカスサーボ制御について、以下に、図面を参照して説明する。尚、図2は、PWM信号生成回路12におけるフォーカスサーボ制御を行うために使用する部分を示すブロック図である。
【0034】
PWM信号生成回路12は、フォーカスサーボ制御を行うブロックとして、PWM信号を生成するためのPWM用基準クロックを発生するクロック発生回路21と、クロック発生回路21からのPWM用基準クロックの周波数を1/2分周する分周回路22と、クロック発生回路21からのPWM用基準クロック及び分周回路22で1/2分周されたPWM用基準クロックを選択するスイッチ23と、スイッチ23で選択されたPWM基準クロックに基づいてサンプリングクロックを生成して信号処理回路10及びデジタルサーボ処理回路11に送出するサンプリングクロック生成部24と、スイッチ23で選択されたPWM基準クロックに基づいて計数を行うカウンタ25と、デジタルサーボ処理回路11より与えられるフォーカスエラー信号を一時格納する設定用レジスタ26と、ランプ波信号を生成するランプ回路27と、設定用レジスタ26からのデータ及びランプ回路27からのデータを選択するスイッチ28と、スイッチ28で選択されたデータとPWMカウンタ25の計数値とを比較する比較回路29とを備える。
【0035】
このように構成されるPWM信号生成回路12において、フォーカスサーボ制御を行うブロックが備えられるとき、その分解能を9ビット分と設定すると、サンプリングクロック生成部24では、サンプリング周期がPWM用基準クロックの256周期分に相当するように、1周期がPWM用基準クロックの256周期分となるサンプリングクロックを生成する。又、PWMカウンタ25では、PWM用基準クロックが1クロック入力される毎に1つ計数し、0〜255となる値を繰り返し出力する。
【0036】
更に、設定用レジスタ26に、その値として−256〜256をとるフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から入力され、又、ランプ回路27からは、その値が−256から256に徐々に変化するランプ波信号が出力される。このとき、設定用レジスタ26及びランプ回路27からスイッチ28を介して比較回路29に与えられるデータは、PWM用基準クロックの256周期分に相当するサンプリング周期毎に変化するとともに、このサンプリング周期が1周期分経過するまでラッチされて、PWMカウンタ25からの計数値0〜255全てと比較される。
【0037】
又、比較回路29からは、対物レンズ16をディスク1から近づける方向にシフトさせるためのF側PWM信号と、対物レンズ16をディスク1に遠ざける方向にシフトさせるためのR側PWM信号とが出力されて、PWMドライバ14に与えられる。そして、PWMドライバ14では、比較回路29から与えられるF側PWM信号及びR側PWM信号それぞれから、F側対物レンズ駆動信号及びR側対物レンズ駆動信号を生成してフォーカスアクチュエータ5に送出し、フォーカスアクチュエータ5を駆動制御する。このように2信号をフォーカスアクチュエータ5に与えることで、対物レンズ16を上下にシフトさせることができる。
【0038】
そして、このPWM信号生成回路12には、デジタルサーボ処理回路11よりスイッチ23,28を切り換えるためのフォーカスサーチフラグが与えられる。このフォーカスサーチフラグがハイとなるとき、フォーカスサーボ制御への引き込み動作となるフォーカスサーチが行われ、逆に、フォーカスサーチフラグがローとなるとき、フォーカスエラー信号を利用したフォーカスサーボ制御が行われる。
【0039】
即ち、フォーカスサーチフラグがハイとなるとき、スイッチ23が分周回路22からのPWM用基準クロックを選択するとともに、スイッチ28がランプ回路27で分周されたランプ波信号を選択する。又、フォーカスサーチフラグがローとなるとき、スイッチ23がクロック発生回路21からのPWM用基準クロックを選択するとともに、スイッチ28が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号を選択する。以下では、このようにスイッチ23,28がフォーカスサーチフラグによって切り換えられたときのフォーカスサーボ制御動作及びフォーカスサーチ動作について説明する。
【0040】
まず、フォーカスサーチフラグがローとされるフォーカスサーボ制御動作について、以下に説明する。このとき、前述したように、スイッチ23がクロック発生回路21からのPWM用基準クロックを選択してサンプリングクロック生成部24及びPWMカウンタ25に送出するとともに、スイッチ28が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号を選択して比較回路29に送出する。尚、フォーカスエラー信号は、デジタルサーボ処理回路11によって設定用レジスタ26に順に書き込まれる。
【0041】
このとき、PWM用基準クロックがサンプリングクロック生成部24に与えられ、1周期がPWM用基準クロックの256周期分にあたるサンプリングクロックが生成されて出力される。又、PWM用基準クロックがPWMカウンタ25に与えられ、PWMカウンタ25において、0からPWM用基準クロック1周期分毎に1つずつ計数が行われて255まで計数された後に再び0にリセットするという動作が繰り返される。
【0042】
そして、サンプリングクロックが信号処理回路10及びデジタルサーボ処理回路11に与えられ、その動作基準となるサンプリング周期がPWM用基準クロックの256周期分とされる。よって、サンプリング周期毎にフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から設定用レジスタ26に与えられる。即ち、PWM用基準クロック256周期分毎にフォーカスエラー信号がデジタルサーボ処理回路11から設定用レジスタ26に与えられる。又、比較回路29に、PWM用基準クロック毎に値が0〜255で巡回して変化するPWMカウンタ25からの出力が与えられる。
【0043】
このとき、比較回路29では、サンプリング周期毎に設定用レジスタ26からフォーカスエラー信号が与えられて、このフォーカスエラー信号の値の絶対値が、その値がPWM用基準クロック毎に0〜255で順番に変化するPWMカウンタ25の出力と比較される。この比較回路29において、設定用レジスタ26から与えられるフォーカスエラー信号が負の値となるときは、F側PWM信号を常にローとし、R側PWM信号をフォーカスエラー信号の値に応じたデューティ比の信号とする。又、設定用レジスタ26から与えられるフォーカスエラー信号が正の値となるときは、R側PWM信号を常にローとし、F側PWM信号をフォーカスエラー信号の値に応じたデューティ比の信号とする。
【0044】
即ち、フォーカスエラー信号が負の値である場合、比較回路26は、サンプリング周期が開始してからPWMカウンタ25の出力が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号の絶対値以上となるまで、R側PWM信号をハイとする。そして、PWMカウンタ25の出力がフォーカスエラー信号の絶対値以上となると、サンプリング周期が終了するまで、R側PWM信号をローとする。このとき、上述したように、F側PWM信号は常にローである。
【0045】
又、フォーカスエラー信号が正の値である場合、比較回路26は、サンプリング周期が開始してからPWMカウンタ25の出力が設定用レジスタ26からのフォーカスエラー信号の絶対値以上となるまで、F側PWM信号をハイとする。そして、PWMカウンタ25の出力がフォーカスエラー信号の絶対値以上となると、サンプリング周期が終了するまで、F側PWM信号をローとする。このとき、上述したように、R側PWM信号は常にローである。
【0046】
よって、設定用レジスタ26から出力されるフォーカスエラー信号とF側PWM信号及びR側PWM信号それぞれのデューティ比率との関係が、図3のように表される。即ち、図3(a)のように、フォーカスエラー信号の値が−256〜0のときは、デューティ比率が0%であり、フォーカスエラー信号の値が0以上となるとき、デューティ比率がフォーカスエラー信号の値に対して比例的に増加し、フォーカスエラー信号が256のときデューティ比率が100%となる。
【0047】
又、図3(b)のように、フォーカスエラー信号の値が0〜256のときは、デューティ比率が0%であり、フォーカスエラー信号の値が0以下となるとき、デューティ比率がフォーカスエラー信号の値に対して比例的に減少し、フォーカスエラー信号が−256のときデューティ比率が100%となる。尚、デューティ比率が0%のとき、サンプリング周期1周期分ローとなり、デューティ比率が100%のとき、サンプリング周期1周期分ハイとなる。
【0048】
このように各ブロックが動作するため、例えば、128となるフォーカスエラー信号が設定用レジスタ26に与えられるとき、PWMカウンタ25の出力が0〜127の間はフォーカスエラー信号の絶対値の方が大きいのでF側PWM信号がハイとなり、PWMカウンタ25の出力が128〜255の間はF側PWM信号がローとなる。よって、図4のように、サンプリング周期1周期が経過する間に、R側PWM信号が常にローであるとともに、F側PWM信号のデューティ比率が50%となる。そして、−64となるフォーカスエラー信号が設定用レジスタ26に与えられるとき、PWMカウンタ25の出力が0〜63の間はフォーカスエラー信号の絶対値の方が大きいのでR側PWM信号がハイとなり、PWMカウンタ25の出力が64〜255の間はR側PWM信号がローとなる。よって、図4のように、次のサンプリング周期1周期が経過する間に、F側PWM信号が常にローであるとともに、R側PWM信号のデューティ比率が25%となる。
【0049】
次に、フォーカスサーチフラグがハイとされるフォーカスサーチ動作について、以下に説明する。このとき、前述したように、スイッチ23が分周回路22からのPWM用基準クロックを選択してサンプリングクロック生成部24及びPWMカウンタ25に送出するとともに、スイッチ28がランプ回路27からのランプ波信号を選択して比較回路29に送出する。即ち、分周回路22で周波数が1/2分周されたPWM用基準クロックが選択されるため、クロック発生回路21からのPWM用基準クロックの周期の倍となるPWM用基準クロックに基づいて動作することとなる。又、サンプリングクロック生成部24からランプ回路27にサンプリングクロックが与えられる。
【0050】
よって、サンプリングクロック生成部24で生成されるサンプリングクロックに基づくサンプリング周期の長さが、フォーカスサーボ制御動作を行うときの2倍となるとともに、PWMカウンタ25で計数するタイミングの周期も2倍となる。そのため、フォーカスサーボ制御動作を行うときのサンプリング周期T及びPWM信号の最小パルス幅tが図5(a)のようになるとき、フォーカスサーチ動作を行ったとき、図5(b)のように、サンプリング周期が2×TとなるとともにPWM信号の最小パルス幅が2×tとなる。尚、Tは、256×tに相当する。
【0051】
このように、全ての周期がフォーカスサーボ制御動作の2倍の長さで動作するフォーカスサーチ動作が開始されると、サンプリング周期毎に、ランプ回路27から与えられるランプ波信号の値が−256から1つずつ計数されて比較回路29に与えられる。即ち、値がkとなるランプ波信号がランプ回路27より比較回路29に与えられると、PWMカウンタ25から出力される0〜255の値と比較される。そして、サンプリング周期1周期分が経過し、PWMカウンタ25の出力が0にリセットされると、次に、値がk+1となるランプ波信号がランプ回路27より比較回路29に与えられる。
【0052】
このとき、比較回路29は、フォーカスサーボ制御動作のときと同様に、ランプ波信号の正負を確認するとともにランプ波信号の絶対値とPWMカウンタ25の出力とを比較して、その結果に応じたF側PWM信号及びR側PWM信号を出力する。即ち、サンプリング周期毎に、F側PWM信号を図3(a)に応じたデューティ比率とするとともにR側PWM信号を図3(b)に応じたデューティ比率として、PWMドライバ14に出力する。尚、このとき、図3の横軸は、ランプ波信号の値を表す。
【0053】
このようにフォーカスサーチ動作及びフォーカスサーボ制御動作が行われるとき、まず、デジタルサーボ処理回路11はフォーカスサーチフラグをハイとして、フォーカスサーチ動作を行う。このフォーカスサーチ動作が行われている間に、得られたフォーカスエラー信号よりディスク1の記録トラックに適当なレーザ光を集光していることをデジタルサーボ処理回路11確認すると、フォーカスサーチフラグをローとして、フォーカスサーボ制御動作を開始する。そして、フォーカスサーボ制御動作が確立した後、トラッキングエラーサーボ制御動作を開始する。
【0054】
本実施形態のように構成することで、フォーカスサーチ動作において、フォーカスサーボ制御動作を行うときよりも長い周期のPWM用基準クロックが与えられるため、上述したように、PWM信号の最小パルス幅の長さを長くすることができる。よって、ランプ波信号に基づいてフォーカスサーチ動作を行うときに、従来のように、PWM基準クロックの周波数が高く、ランプ波信号の値が0付近となるときに図7のように不感帯ができることを防ぐことができる。
【0055】
尚、本実施形態において、フォーカスサーチ動作を行うときにPWM用基準クロックを分周する分周率を1/2としたが、1/2の分周率でも不感帯が発生する場合は更に分周率を低くしてPWM用基準クロックの周期を長くしても構わない。
【0056】
又、本実施形態では、ディスク駆動装置をディスクの再生のみを行う構成としたが、記録装置としても構わない。例えば、光磁気ディスクを用いる場合、ディスク1を挟んで光ピックアップ2の対物レンズ16と対照となる位置に設置されるとともに光ピックアップ2とともに移動する磁気ヘッドを設けることにより実現することができる。このように構成した場合、ディスク1への記録動作が行われるとき、光ピックアップ2から出射されるレーザ光の光強度を再生動作時よりも強くするとともに、磁気ヘッドをディスク1に近接させる。このとき、インターフェース18を通じて外部より入力されるデータを信号処理回路10を介して磁気ヘッドに与えることにより、データをディスク1の記録トラックに記録することができる。又、光磁気ディスクの例を挙げたが、DVD(Digital Versatile Disk)などのような光ディスクの記録再生を行うことができるディスク装置についても同様である。
【0057】
【発明の効果】
本発明によると、通常サーボ時に基準クロックを高く設定したとき、フォーカスサーチ時には基準クロックを分周して利用するため、PWM出力の最小パルス幅を通常サーボ時より大きくすることができる。よって、フォーカスアクチュエータを駆動制御するドライバの出力が反応しない不感帯を無くすことができ、安定したフォーカスサーチが可能となる。又、基準クロックを高く設定することができるため、サンプリング周波数を高くすることができ、ディスクの大容量化及び高密度化に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク駆動装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】フォーカスサーボ制御を行う部分の構成を示すブロック図。
【図3】フォーカスエラー信号又はランプ波信号とPWM信号のデューティ比率との関係を示すグラフ。
【図4】F側PWM信号及びR側PWM信号の状態の一例を示す図。
【図5】フォーカスサーボ制御動作時及びフォーカスサーチ動作時それぞれにおけるサンプリング周期とPWM信号の最小パルス幅の関係を示す図。
【図6】正常に動作しているときのフォーカスドライバ出力及びフォーカスエラー信号の状態を示す図。
【図7】サンプリング周波数が高いときのフォーカスドライバ出力及びフォーカスエラー信号の状態を示す図。
【符号の説明】
1 ディスク
2 光ピックアップ
3 スピンドルモータ
4 トラッキングアクチュエータ
5 フォーカスアクチュエータ
6 LDドライバ
7 スレッドモータ
8 RF処理回路
9 AD変換回路
10 信号処理回路
11 デジタルサーボ処理回路
12 PWM信号生成回路
13 制御用マイコン
14 PWMドライバ
15 スピンドルモータドライバ
16 対物レンズ
17 制御回路
18 インターフェース

Claims (5)

  1. ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、当該光ピックアップに備えられた対物レンズを移動させて前記ディスクに照射するレーザ光の集光範囲を調整するフォーカスアクチュエータとを備え、前記ディスクからの反射光によって得られるフォーカスエラー信号に基づいてPWM変調した第1PWM信号により前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーボ制御を行うとともに、徐々に値が変化するランプ波信号に基づいてPWM変調した第2PWM信号によりフォーカスサーチを行って前記レーザ光の集光範囲が最適な範囲となる前記対物レンズ位置を確認して前記フォーカスサーボ制御に引き込むディスク駆動装置において、
    前記第1PWM信号を生成する際の第1基準クロックを分周した第2基準クロックによって前記第2PWM信号を生成し、前記フォーカスサーチを行うことを特徴とするディスク駆動装置。
  2. 前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号をサンプリングするためのサンプリング周波数が、前記フォーカスサーボ制御を行う際には前記第1基準クロックに基づいて生成され、又、前記フォーカスサーチを行う際には前記第2基準クロックに基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  3. ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、該光ピックアップに備えられた対物レンズを移動させて前記ディスクに照射するレーザ光の集光範囲を調整するフォーカスアクチュエータと、前記ディスクからの反射光による信号が前記光ピックアップより与えられてフォーカスエラー信号を生成するエラー信号生成回路と、PWM変調を行うPWM信号生成回路と、前記フォーカスアクチュエータを駆動制御するドライバとを備える、ディスク駆動装置において、
    前記PWM信号生成回路が第1基準クロックに基づいて前記エラー信号生成回路からの前記フォーカスエラー信号による第1PWM信号を生成し、前記ドライバが該第1PWM信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーボ制御を行うとともに、
    前記PWM信号生成回路が前記第1基準クロックを分周した第2基準クロックに基づいて徐々に値が変化するランプ波信号による第2PWM信号を生成し、前記ドライバが該第2PWM信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータを駆動制御することでフォーカスサーチを行って、前記レーザ光の集光範囲が最適な範囲となる前記対物レンズ位置を確認して前記フォーカスサーボ制御に引き込むことを特徴とするディスク駆動装置。
  4. 前記PWM信号生成回路が、
    前記第1基準クロック及び前記第2基準クロックを選択する第1スイッチと、
    前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号を選択する第2スイッチと、
    前記第1スイッチで選択された基準クロックに従って所定値までのカウントを巡回して行うカウンタと、
    前記第2スイッチが選択した信号の値と前記カウンタの出力値とを比較して、前記PWM信号を生成する比較回路と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のディスク駆動装置。
  5. 前記PWM信号生成回路が、前記第1スイッチで選択された基準クロックに基づいてデジタル変換するためのサンプリングクロックを生成するサンプリングクロック生成回路を備え、当該サンプリングクロック生成回路によって生成されたサンプリングクロックに基づいて前記フォーカスエラー信号及び前記ランプ波信号がサンプリングされることを特徴とする請求項4に記載のディスク駆動装置。
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