JP2004326960A - 垂直磁気記録ディスクの消磁方法及び製造方法並びに垂直磁気記録ディスクの消磁装置 - Google Patents

垂直磁気記録ディスクの消磁方法及び製造方法並びに垂直磁気記録ディスクの消磁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】垂直磁気記録ディスクを回転させずに高速に確実に消磁する。
【解決手段】垂直磁気記録ディスク1の上面及び下面に、該垂直磁気記録ディスク1を挟んで対をなすと共に、拡径及び縮径が可能であり、且つ、垂直磁気記録ディスク1面に対して垂直方向の磁界を発するリング状の磁石2を配置し、このリング状の磁石2を拡径または縮径させることで垂直磁気記録ディスク1の半径方向に磁石を移動してディスク面の消磁を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁気記録方式HDD(ハードディスクドライブ)などの磁気ディスク装置に搭載される垂直磁気記録ディスクの消磁方法、及び、その消磁方法を含む垂直磁気記録ディスクの製造方法、並びにその実施に使用する消磁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、磁気ディスクの製造においては、以下のような工程を経て製造され市場に出荷されている。即ち、ディスク基板製造工程、成膜工程、検査工程、消磁工程、出荷工程を含む。この後、HDD(ハードディスクドライブ)製造工程によりHDDとして組み立てられ完成する。
ここで前記消磁工程とは、以降の工程(例えば、HDD製造工程におけるサーボライト工程やクロックライト工程など)で障害を起こさないよう、それ以前の工程によってディスク面上に発生或いは記録された磁化信号及び雑音を消去する工程のことである。
ここで消去される信号及び雑音としては、例えば、検査工程において記録再生検査や信号品質検査時に記録されたテストパターン信号や、成膜工程において生成した雑音(その多くはAC雑音)が挙げられる。
消去方法としてはDC消去法やAC消去法が用いられる。(例えば特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開平10−105901号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、HDDを始めとする磁気ディスク装置はIT産業の発達にともない、その記録容量を急速に増大させている。最近の磁気ディスクでは1平方インチ当たり60ギガビット以上の記録容量が実現可能となりつつある。
このような高情報容量は、磁気ディスクの情報記録密度を向上させることにより実現されている。
ところが、このような高い情報記録密度を実現しようとした場合、現在市販されているHDD及び磁気ディスクの記録方式である、面内磁気記録方式(長手磁気記録方式、水平磁気記録方式とも呼称される)を用いては、熱揺らぎ障害の顕在化などの原因により、実現が困難であることが明らかとなってきた。
【0005】
この問題点を解決すべく、面内磁気記録方式に替わって、垂直磁気記録方式用磁気ディスクが盛んに研究されている。垂直磁気記録方式では熱揺らぎ障害が起こり難く、また、高記録密度化に適しているという利点があるからである。
しかし、垂直磁気記録ディスクでは、現在普及している面内磁気記録ディスクに比べて、膜材料や膜厚などの設計思想が大幅に異なることから製造コストが高騰してしまうので面内磁気記録ディスクに替わって市場に普及することが阻害されてしまうという課題がある。
【0006】
ところで、現在、垂直磁気記録ディスクの消磁方法としては、特に新たな方法は実施されておらず、従来の一般的な面内磁気記録ディスク(長手磁気記録ディスクとも呼称する)と同様の、永久磁石によるスパイラル型の消磁方法が適用可能であると思われている。従来の長手磁気記録ディスクに対する永久磁石によるスパイラル型の消磁方法としては、例えば前記特許文献1の技術などが挙げられる。
【0007】
ここでは図10を用いて典型的な長手磁気記録ディスクの消磁方法について説明する。
長手磁気記録ディスクの場合では、図10に示すように、スピンドルモータ35に磁気ディスク31を搭載して回転させ、永久磁石30の磁極からディスク面に沿った方向の磁界(ディスク面に対して平行な磁界)を発生させて、この磁界を磁気ディスク31に、ディスク面に対して作用させながら、永久磁石30を磁気ディスク31の内周側から外周側へ、あるいは、外周側から内周側へ移動させることにより、図11に示すように、磁石の軌跡(=消磁の軌跡)33を、磁気ディスク31上にスパイラル状に描いて消磁するというものである。
【0008】
しかし、上述した従来の長手磁気記録ディスクと同様の方法を垂直磁気記録ディスクの消磁に応用する場合、例えば2.5インチ型磁気ディスクの場合では、ディスク面全体を消去するのに10秒前後の長い時間を要すると考えられる。
また、消し残りの発生を確実に防止するためには、磁石のエッジ部分において、多少オーバーラップする領域を設ける必要があるため、そこでさらに余分な時間が必要となり、結局、消磁時間がかかり過ぎるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮し、従来の長手磁気記録媒体に対する消磁方法よりも遙かに高速に且つ消し残り無くディスク全面を簡便に消磁することのできる垂直磁気記録ディスクの消磁方法及び消磁装置を提供することを第1の目的とする。
さらに、本発明の消磁方法または消磁装置に基づき、製造タクトの短い、即ち生産効率の高い垂直磁気記録ディスクの製造方法を提供することにより、廉価な垂直磁気記録ディスクの提供を可能とし、垂直磁気記録ディスクの普及に資することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、垂直磁気記録ディスクの記録再生方式に着目し、この記録再生方式を利用することで、簡便かつ高性能の垂直磁気記録ディスク用の消磁方法が開発できないかと研究を重ねたところ、以下の発明によれば上記課題を解決できることを発見し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
垂直磁気記録ディスクの表面を透して垂直方向の磁界を発する、ディスク面を挟んで対をなす磁極を、ディスク面上で移動させることにより、該ディスク面の記録信号及び/又は雑音を消去することを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
(構成2)
構成1に記載の垂直磁気記録ディスクは、ディスク基板上に少なくとも軟磁性下地層と強磁性垂直磁気記録層が形成されていることを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
(構成3)
構成1又は2に記載の垂直磁気記録ディスクの消磁方法を含む消磁工程を備えることを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの製造方法。
(構成4)
垂直磁気記録ディスクの主表面に対して垂直方向の磁界を発する、ディスク面を挟んで対をなすリング状磁極を、拡径または縮径させることにより、ディスク面の半径方向に該磁極を移動させて、該主表面の記録信号及び/又は雑音を消去することを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁装置。
本発明はさらに以下の構成を含む。
(構成5)
構成1に記載の垂直磁気記録ディスクの消磁方法であって、
垂直磁気記録ディスクの上面及び下面に、該垂直磁気記録ディスクを挟んで対をなすと共に、拡径及び縮径が可能であり、且つ、垂直磁気記録ディスク面に対して垂直方向の磁界を発するリング状の磁石を配置し、このリング状の磁石を拡径または縮径させることで、垂直磁気記録ディスクの半径方向に磁石を移動して、ディスク面の消磁を行うことを特徴とする垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
(構成6)
構成1〜3のいずれかに記載の垂直磁気記録ディスクは、ディスク基板と軟磁性下地層との間に軟磁性下地層の磁化を固定するピン層が形成されていることを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
(構成7)
構成4に記載の垂直磁気記録ディスクの消磁装置であって、
垂直磁気記録ディスクの上面及び下面に、該垂直磁気記録ディスクを挟んで対をなすと共に、拡径及び縮径が可能であり、且つ、垂直磁気記録ディスク面に対して垂直方向の磁界を発するリング状の磁石を配置し、このリング状の磁石を拡径または縮径させることで、垂直磁気記録ディスクの半径方向に磁石を移動して、ディスク面の消磁を行う磁石移動機構を設けたことを特徴とする垂直磁気記録ディスクの消磁装置。
(構成8)
構成7記載の垂直磁気記録ディスクの消磁装置であって、
前記リング状の磁石として、多数の小磁石を回動自在に連結することにより、縮径形状と拡径形状の2態様の間で変形可能とされたチェーン状の磁石を使用したことを特徴とする垂直磁気記録ディスクの消磁装置。
(構成9)
請求項7記載の垂直磁気記録ディスクの消磁装置であって、
前記リング状の磁石として、周長が伸縮可能な弾性体磁石を使用したことを特徴とする垂直磁気記録ディスクの消磁装置。
【0011】
本発明の垂直磁気記録ディスクの消磁方法は、例えば、図1に示すように、垂直磁気記録ディスク1の両主表面(図1では上面及び下面)に、該垂直磁気記録ディスク1を挟んで対をなすと共に、拡径及び縮径が可能であり、且つ、垂直磁気記録ディスク1面に対して、ディスク面を通過してディスク面に対して垂直方向の磁界を発するリング状の磁極(例えば磁石)2を配置し、このリング状の磁極2を拡径または縮径させることで、垂直磁気記録ディスク1面上を半径方向に磁極2を移動させて、ディスク面の消磁を行うことができる。
【0012】
この場合、垂直磁気記録ディスク1面に対して垂直方向の磁界を発生させるため、両主表面(図1では上面及び下面)の磁極は互いに反転した磁化を備える。具体的には上面の磁極のN極(S極)と下面の磁極のS極(N極)を対向させる。
このような消磁方法とすることで、簡便かつ高速に垂直磁気記録ディスクの特性を利用した消磁方法を実施することができる。
【0013】
本発明の消磁方法に基づけば、垂直磁気記録ディスク上に形成された垂直磁気記録層の記録信号及び/又は雑音を効率よく消去することができる。
特に、前記対をなす磁極がディスク面上を移動するとき、対をなす両主表面上の磁極(互いに反転した磁化を備える)の磁化を固定することにより、DC消去(直流消去)が可能となる。DC消去を行なうことにより垂直磁気記録層にはDC成分による一様な消去が実施されるので、記録再生検査や信号品質検査時に記録されたテストパターン信号や、成膜工程において生成した雑音(その多くはAC雑音)を確実に消去することができる。
【0014】
本発明の垂直磁気記録ディスクの消磁方法を実現する消磁装置の態様としては、例えば、垂直磁気記録ディスクの両主表面(例えば上面及び下面)に、該垂直磁気記録ディスクを挟んで対をなすと共に、拡径及び縮径が可能であり、且つ、垂直磁気記録ディスク面に対して垂直方向の磁界を発するリング状の磁極(例えば磁石)を配置し、このリング状の磁極を拡径または縮径させることで、垂直磁気記録ディスクの半径方向に磁極を移動して、ディスク面の消磁を行う磁石移動機構を設ける態様が挙げられる。
【0015】
具体的には、前記リング状の磁極として、多数の小磁石を回動自在に連結することにより、縮径形状と拡径形状の2態様の間で変形可能とされたチェーン状の磁石を使用した態様や、前記リング状の磁極として、周長が伸縮可能な弾性体磁石を使用した態様を好ましく挙げることができる。
本発明によれば、リング状の磁極(例えば磁石)を拡径または縮径させることで、磁極を垂直磁気記録ディスクの半径方向に移動するため、垂直磁気記録ディスクを回転させずとも、ディスク全面を、高速に消し残り無く、消磁することができる。
また、本発明は、ディスクの回転動作を必要不可欠としないので例えばディスク基板をガラスディスクとした場合であっても、万一キズが入り、割れて破片が飛散するような危険が無いので、危険防止のための防御カバーを敢えて省略することもできる。なお、リング状の磁極としては、リング状の磁石(永久磁石または電磁石)を配置することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は第1実施形態の消磁装置におけるリング状の磁石12の構成を示す。このリング状の磁石12は、(b)のように多数の小磁石12aを回動自在に順次連結することにより、(a)のようなチェーン形状に構成したものであり、折り畳むことで縮径形状となり、広げることで拡径形状となる。そして、折り畳まれたり、広げられたりすることによって、リング状の磁石12が、垂直磁気記録ディスク1の外周側から内周側へ、また、内周側から外周側へ、半径方向(矢印方向)に移動することができるようになっている。
【0017】
図3はリング状の磁石12を、拡径または縮径させることで、垂直磁気記録ディスク1の半径方向に移動する磁石移動機構10の一例を示している。この機構10において、リング状の磁石12の高さ位置は固定となっており、拡径及び縮径することにより半径方向にのみ移動できるようになっている。
このリング状の磁石12を移動するために、磁石移動機構10は傘の骨状の構造を採用している。即ち、この磁石移動機構10は、垂直磁気記録ディスク1の中心線上にガイドロッド13を配置し、該ガイドロッド13に上下スライド自在にスライド環14を設け、該スライド環14に回動自在に多数の骨材15の基端を連結し、各骨材15の先端に回動自在にリング状の磁石12を連結した構造をなしている。
【0018】
この磁石移動機構10によれば、(a)に示すように、スライド環14を上にスライドさせることで、リング状の磁石12を窄める(縮径形状にする)ことができる。また、(b)に示すように、スライド環14を下にスライドさせることで、リング状の磁石12を広げる(拡径形状にする)ことができる。
本実施形態の消磁装置は、上記のリング状の磁石12を、垂直磁気記録ディスク1の両主表面(例えば上面及び下面)に互いに対をなすように配置する。また、磁石移動機構10も同様に配置する。この場合、垂直磁気記録ディスク1の上面と下面のリング状の磁石12は、垂直磁気記録ディスク面に対して垂直方向の磁界を発するように磁極を配置する。また、上下のリング状の磁石12が対をなして連動的に移動するように、上下の磁石移動機構10は連動手段で連携させておく。
【0019】
このような構成において、磁石移動機構10のスライド環14のスライド操作により、リング状の磁石12を拡径または縮径させる。そうすると、リング状の磁石12が、垂直磁気記録ディスク1の半径方向に移動することにより、垂直磁気記録ディスク1を回転させずに、ディスク全面を、高速に消し残り無く、消磁することができる。また、垂直磁気記録ディスク1の回転動作を必要としないため、ガラスディスクに万一キズが入っていても、割れて破片が飛散するような危険が無く、危険防止のための防御カバーを敢えて省略することもできる。
なお、リング状の磁石12としては、永久磁石を想定しているが、電磁石を使用することもできる。
【0020】
図4は第2実施形態の消磁装置におけるリング状の磁石22の構成を示す。このリング状の磁石22は、ゴムのように伸縮する弾性材料に磁性素材を混ぜ込んだ弾性体磁石である。このリング状の磁石22は、(a)のように、自身の弾性に従って周長が縮まることで縮径形状となり、自身の弾性により周長を伸長させることで拡径形状となる。そして、縮めたり伸ばしたりすることによって、リング状の磁石22が、垂直磁気記録ディスク1の外周側から内周側へ、また、内周側から外周側へ、半径方向(矢印方向)に移動することができるようになっている。このリング状の磁石22は、(b)に示すように、厚み方向に磁化されたリング状の薄板磁石22aを複数枚積層することにより、所定の磁力を発生するように構成することができる。
【0021】
本実施形態の消磁装置は、上記のリング状の磁石22を、垂直磁気記録ディスク1の両主表面(例えば上面及び下面)に互いに対をなすように配置する。また、前述した磁石移動機構10をリング状の磁石22に組み付けて同様に配置する。
この場合も、垂直磁気記録ディスク1の上面と下面のリング状の磁石22は、垂直磁気記録ディスク面に対して垂直方向の磁界を発するように磁極を配置する。
また、上下のリング状の磁石22が対をなして連動的に移動するように、上下の磁石移動機構10は連動手段で連携させておく。
このような構成において、磁石移動機構10のスライド環14のスライド操作により、リング状の磁石22を磁石22自体の弾性を利用して拡径または縮径させる。
そうすると、リング状の磁石22が、垂直磁気記録ディスク1の半径方向に移動することにより、垂直磁気記録ディスク1を回転させずに、ディスク全面を、高速に消し残り無く、消磁することができる。また、垂直磁気記録ディスク1の回転動作を必要としないため、ガラスディスクに万一キズが入っていても、割れて破片が飛散するような危険が無く、危険防止のための防御カバーを敢えて省略することもできる。
【0022】
本発明はディスク基板上に少なくとも垂直磁気記録層が形成された垂直磁気記録ディスクに対して用いることができる。本発明によれば、垂直磁気記録層の消磁(記録信号及び/又は雑音の消去)を効率良く短時間に行なうことができるからである。
【0023】
更に、本発明は特に、ディスク基板と垂直磁気記録層との間に軟磁性下地層が介挿されている垂直磁気記録ディスクに対して用いると好適であり、更に、ディスク基板とこの軟磁性下地層との間にピン層(軟磁性下地層の磁化を固定するための層)が介挿されている垂直磁気記録ディスクに対して用いると優れた作用を得ることができる。本発明によれば、垂直磁気記録層の消磁を効率良く短時間に行なうことができるとともに、併せて、軟磁性下地層が発するスパイク状雑音も効果的に消去することができるからである。
【0024】
このような膜構成の垂直磁気記録ディスクに対して、本発明による消磁方法を適用すると、軟磁性下地層から発生するスパイク状雑音を消す作用があることが確認された。図10に示す従来の消磁では、図7(a)に示すように軟磁性下地層が発するスパイク状雑音が見られたが、図7(b)に示すように、本発明の消磁では、スパイク状雑音を消去することができた。
スパイク状雑音が消滅する理由は、次のように考えられる。
【0025】
そもそもスパイク状雑音は、信号再生時に、磁気ヘッドのリード素子に用いられている磁気抵抗効果型素子(MR型素子)が、図8のように軟磁性下地層の磁壁を通過することによって生じる。図6に示すような軟磁性下地層が半径方向に磁気異方性を持つ垂直磁気記録ディスクに対して従来の消磁方法を用いると、消磁できなかったり、円周方向、すなわち磁化困難軸方向に消磁した場合、図9(a)のように磁化方向が揃わず、磁壁が発生してしまう。しかし、本発明の方法によって、半径方向すなわち磁化容易軸方向に磁化した場合には、(b)のように磁化方向が揃うため、磁壁は発生しないものと考えられる。そして、消磁後もピン層(反強磁性層)によって軟磁性下地層の磁化状態は保持される。従って、本発明によれば、軟磁性下地層を具備する垂直磁気記録ディスクを高速且つ消し残り無く確実に消磁することができるとともに、併せて、スパイク状雑音も効果的の消磁することができると考えられる。
以下、本発明の消磁方法、消磁装置を用いた垂直磁気記録ディスクの製造方法を実施例を挙げて説明する。
【0026】
(実施例1)
図5に本実施例の垂直磁気記録ディスク500の模式的断面図を掲げる。少なくとも、ディスク基板51と、記録再生が行なわれる垂直磁気記録層56を備えてなる。
垂直磁気記録層56は本発明になる消磁によりDC消去(直流消去)されている。
図5において、51はガラスからなるディスク基板である。52はガラスディスク基板51と上層との付着を促進させる作用を備える密着層である。53は軟磁性下地層54の磁化をピニング(pining)する作用を備えるピン層である。54は軟磁性体からなる軟磁性下地層であり、ディスク半径方向の磁気異方性を備える(即ち、磁化容易軸が半径方向に付与されている)とともに、垂直磁気記録層56への垂直磁気記録を鏡像効果を基にして促進する作用を備える。55は非磁性体からなる非磁性下地層であり、垂直磁気記録層56の垂直配向性を促進させる作用を備える。56は強磁性体からなる垂直磁気記録層である。57は衝撃から垂直磁気記録層56を防護するための保護層である。58は外部衝撃を緩和するための潤滑層である。
以下、本発明の垂直磁気記録ディスク500の製造方法を説明する。
【0027】
(ディスク基板製造工程)
まず、鏡面研磨されたアルミノシリケートガラスからなる2.5インチ型ディスク(外形65mm、内径20mm、ディスク厚0.635mm)を化学強化して磁気ディスク用ガラスディスク基板51を得た。
(成膜工程)
このガラスディスク基板51上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、順次密着層52〜保護層57を成膜して形成した。まず、Tiからなるhcp結晶構造の密着層52、FeMn合金からなる反強磁性体のピン層53、CoTaZr合金からなる軟磁性下地層54、NiTa合金からなる非磁性下地層55、CoPtCr合金からなる垂直磁気記録層56、水素化炭素からなる保護層57を成膜した。
次に、ディップ法によりアルコール変性パーフルオロポリエーテル潤滑剤を塗布して潤滑層58を形成した。以上のようにして成膜された垂直磁気ディスクを得た。
【0028】
(検査工程と消磁工程)
得られた垂直磁気記録ディスクが、垂直磁気記録ディスクとしての機能を保持しているかを検査するため、グライド検査、記録再生検査、信号品質検査(エラー検査)を順次行なった。記録再生検査の前には、前記図2で説明した態様の消磁方法を行い、成膜時に生成された雑音(その多くはAC雑音)をDC消去した。また、信号品質検査の前にも前記図2で説明した態様に消磁方法を行い、記録再生検査時の記録信号や雑音をDC消去した。最後に、前記図4で説明した態様の消磁方法を行い、信号品質検査時の記録信号や雑音をDC消去した。
なお、各々の消磁方法に要した時間は各1秒であったので、全消磁工程では3秒を要した。
検査工程においては、垂直磁気記録ディスクに不良は認められず、良質な垂直磁気記録ディスクであることが分かった。さらに、消去工程後において、垂直磁気記録層が発する、けし残りの記録信号等は観察されず、また雑音もDC雑音を残してAC雑音は消去されていた。更に、軟磁性下地層が発するスパイク状雑音も観察されなかった。なお、前記図10で説明した長手磁気記録媒体(面内磁気記録媒体)の消磁方法に基づいて消磁を行なったところ、消磁には各10秒を要したので、全消磁工程では30秒を要した。
【0029】
即ち、本発明の消磁を用いれば、本実施例の場合、消磁に要する時間ロスを2.5インチ型ディスク一枚当たりで27秒短縮することができる。
この場合、1000枚のディスクを製造しようとした場合、27000秒、即ち、7時間30分の時間短縮が可能となるので、ほぼ1日分の勤務時間を短縮することが可能となる。
以上のようにして出荷可能な垂直磁気記録ディスク10が完成した。こののち、垂直磁気記録ディスクをケースに収納して真空梱包を行い市場に出荷した。
【0030】
なお、本発明の垂直磁気記録ディスクの層素材としては、例えば、密着層2としてTiの他にTiCr合金などを選択しても良い。また、ピン層3としてはFeMn合金の他に、IrMn合金、PtMn合金などを選択しても良い、また、軟磁性下地層4としてはCoTaZr合金の他に、FeCoB合金やNiFe合金などを選択してもよい。さらに、非磁性下地層5としては例えば、CrTi合金やRu合金などを選択してもよい。また垂直磁気記録層6としては例えばCoPtCr合金のほかに、CoPtCrTa合金やCoPtCrB合金などを選択してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば垂直磁気記録ディスクの消磁(記録信号及び/又は雑音の消去)を効率良く簡便な方法により提供できるので、以って垂直磁気記録ディスクの生産効率を向上させ、廉価な垂直磁気記録ディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明に使用する図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の消磁装置におけるリング状の磁石の説明図であり、(a)は平面図、(b)はその要素の拡大斜視図である。
【図3】同消磁装置における磁石移動機構の概要図で、(a)はリング状の磁石を縮径させた状態、(b)は拡径させた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の消磁装置におけるリング状の磁石の説明図であり、(a)は平面図、(b)はその要素の拡大図であり(a)のIVb−IVb矢視図である。
【図5】垂直磁気記録ディスクの膜構成の一例を示す説明図である。
【図6】軟磁性下地層の磁気異方性方向の説明図である。
【図7】従来の消磁方法と本発明の消磁方法による消磁効果の違いを比較して示す図である。
【図8】スパイク状雑音と磁壁の説明図である。
【図9】従来の消磁方法と本発明の消磁方法による消磁後の磁化方向と磁壁の関係を比較して示す図である。
【図10】従来の消磁方法の説明のために示す側面図である。
【図11】従来の消磁方法の説明のために示す平面図である。
【符号の説明】
1 垂直磁気記録ディスク
2 リング状の磁石
12 チェーン状の磁石
10 磁石移動機構
22 弾性体磁石
51 ディスク基板
52 密着層
53 ピン層
54 軟磁性下地層
55 非磁性下地層
56 垂直磁気記録層
57 保護層
58 潤滑層
500 垂直磁気記録ディスク

Claims (4)

  1. 垂直磁気記録ディスクの表面を透して垂直方向の磁界を発する、ディスク面を挟んで対をなす磁極を、ディスク面上で移動させることにより、該ディスク面の記録信号及び/又は雑音を消去することを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
  2. 請求項1に記載の垂直磁気記録ディスクは、少なくとも軟磁性下地層と強磁性垂直磁気記録層が形成されていることを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁方法。
  3. 請求項1又は2に記載の垂直磁気記録ディスクの消磁方法を含む消磁工程を備えることを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの製造方法。
  4. 垂直磁気記録ディスクの主表面に対して垂直方向の磁界を発する、ディスク面を挟んで対をなすリング状磁極を、拡径または縮径させることにより、ディスク面の半径方向に該磁極を移動させて、該主表面の記録信号及び/又は雑音を消去することを特徴とする、垂直磁気記録ディスクの消磁装置。
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JP2011161768A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Toppan Forms Co Ltd 帳票体の製造方法

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