JP2004326859A - 光磁気ディスクおよびその再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小径で高密度記録と大容量化が可能であり、不正なコピーを有効に防止できる光磁気ディスクと、その再生方法を提供する。
【解決手段】基板上に磁性膜からなる記録層を有し、記録層の主記録領域2および副記録領域3にトラックが同心円状または螺旋状に形成されている光磁気ディスクであって、主記録領域に形成され、情報信号が記録される第1の記録領域と、副記録領域に形成された第2の記録領域と、主記録領域に形成され、トラックに沿った反射率の変調信号に情報信号のアドレス情報が記録されている第1のウォブリンググルーブGwと、副記録領域に第2の記録領域と重ねて形成され、ディスク識別情報信号が記録された第3の記録領域と、トラックの一部に形成され、反射率の変調信号にディスク識別情報信号のアドレス情報が記録された第4の記録領域Gwとを有する光磁気ディスクおよびその再生方法。
【選択図】 図4
【解決手段】基板上に磁性膜からなる記録層を有し、記録層の主記録領域2および副記録領域3にトラックが同心円状または螺旋状に形成されている光磁気ディスクであって、主記録領域に形成され、情報信号が記録される第1の記録領域と、副記録領域に形成された第2の記録領域と、主記録領域に形成され、トラックに沿った反射率の変調信号に情報信号のアドレス情報が記録されている第1のウォブリンググルーブGwと、副記録領域に第2の記録領域と重ねて形成され、ディスク識別情報信号が記録された第3の記録領域と、トラックの一部に形成され、反射率の変調信号にディスク識別情報信号のアドレス情報が記録された第4の記録領域Gwとを有する光磁気ディスクおよびその再生方法。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気ディスクおよびその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報量の増大に伴い光ディスクの高密度化、デジタル情報処理技術が進み、DVD(デジタル多用途ディスク)ではMPEG2の圧縮技術を採用し、ディスク1枚に2〜4時間録画が可能となってきている。デジタル映像は、データコピーによる劣化がないために、不正にコピーが行われると、その映像の著作権が著しく侵害されてしまう。また、不正なコピーによる著作権の侵害は、映像だけでなく、例えばコンピュータプログラム等でも問題となる。
【0003】
そのために、DVDでは、ディスク1枚毎に異なるディスク識別情報(メディアID)を記録し、使用する記録再生装置にてメディアIDを管理することにより著作権を保護している。上記のようなメディアIDを記録する方法は、特許文献1〜3等に開示されている。これらの方法によれば、ディスク内周側にBCA(Burst Cutting Area)またはPCA(Post Cutting Area)と呼ばれるストライプ状のマーク列を形成し、メディアIDを記録する。
【0004】
特許文献1には、相変化による反射率の変化を利用して記録を行う光ディスクに、BCAを形成する方法が記載されている。この方法によれば、例えばDVDの記録層に、記録層の少なくとも一部が結晶化するような強度でレーザ光を照射して、BCAを形成する。この場合、光ディスクに記録されるユーザデータの信号とBCAの信号が、いずれも反射率の検出によって再生される。DVDでは、BCAのストライプ状のマークの長さはディスク半径方向で1.3mmに設定されている。
【0005】
また、特許文献1には、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜の一部に、高パワーのレーザ光を照射することにより、BCAとして膜面垂直方向の磁気異方性が小さい複数のマークを形成した光磁気ディスクも開示されている。この場合のBCAのマークは、レーザ光の照射により磁性膜の異方性が劣化したり、あるいはキュリー温度以上に到達したりして、磁化状態が変化した部分である。このようにして形成されたBCAから信号を再生するときは、レーザ光を照射し、反射光を互いに直交する2つの偏光成分に分けて、それぞれの強度の差から磁化状態に応じた電気信号を取り出す(差動検出)。
【0006】
特許文献2記載の光記録媒体によれば、複数のセクタに分割された、ディスク最内周付近の環状部分のうち、少なくとも1つのセクタを除く部分にBCAが形成される。予めBCAが形成されない1つのセクタは、BCAを追記できる領域である。光記録媒体の再生時には、セクタからアドレスを読み出し、読み出されたアドレスを用いて、BCA信号を再生する。
【0007】
特許文献3記載の方法によれば、光ディスクの反射膜であるアルミ層にレーザ光を照射してレーザトリミングを行い、形成された無反射部をPCAとして用いている。
【0008】
上記の特許文献1〜3では、メディアIDを記録するためのBCAまたはPCAと呼ばれるマーク列が、いずれもディスク内周側に形成される。一方、特許文献4には、磁界を印加しながら、書き換え可能なマークを形成する場合よりも高パワーのレーザ光を照射して、磁化方向が不可逆的に変化したマークを形成することによりメディアIDを記録する方法が記載されている。特許文献4では、ID信号を記録する位置がディスク内周部に限定されない。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−162031号公報
【特許文献2】
特開平10−188361号公報
【特許文献3】
特開2000−222783号公報
【特許文献4】
特許第2771462号公報
【特許文献5】
特開平6−290496号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスクの高密度化が実現できると、モバイル用途として小径ディスクを用い、動画を記録できるようになる。モバイル用途としては、DVD−RAMディスクにおいて直径8cmのものが提案されている。動画カメラなどの小型化を行う上では、さらに直径の小さいディスクが望まれている。
【0011】
しかしながら、小径の光ディスクに、従来のBCAによってディスク半径方向での長さが1.3mmであるマークを形成して、メディアIDを記録しようとすると、記録容量の確保が困難となる。従来のBCAストライプは、トラッキングをかけない状態(トラッキングオフ)で再生することを前提としている。通常、BCAストライプは例えば特許文献1および特許文献3に記載されているように、ディスク内周部のグルーブがないミラーに形成される。したがって、トラッキングをかけてBCA信号を再生することができない。
【0012】
小径の光ディスクにおいてマークを1.3mmより短くして記録容量を確保しようとすると、光学ヘッドや光ディスク装置と光ディスクとの位置精度が不足して、BCA信号を正確に再生できなくなる。トラッキングオフでBCAを再生する場合、ディスクの偏芯や、光ディスク装置でのディスク取り付け位置の誤差の影響を低減するために、所定のマーク長さ(ディスク半径方向の長さ、BCA幅)が必要となる。小径のディスクにおいて、トラッキングオフでの再生に必要とされるBCA幅を確保しようとすると、実際に使用できる記録領域(ユーザデータの記録領域)が減少し、高密度記録が実現できない。
【0013】
特許文献2には、トラッキングをかけてBCA信号を再生することが記載されている。しかしながら、特許文献2記載の光記録媒体では、BCAを形成しないセクタとBCAが形成されるセクタがディスク円周方向に並ぶため、BCAの記録開始位置を制御して、所定のセクタ以外のセクタにBCAが形成されないようにする必要がある。すなわち、BCAの形成時に、ディスク半径方向での位置だけでなく、ディスク円周方向での位置も正確に認識できる手段が必要となる。
【0014】
また、特許文献2記載の光記録媒体によれば、セクタにアドレスが記録されるが、ディスクのコントロールデータ等はセクタに記録されない。したがって、複数のセクタに分割されている環状部分以外に、コントロールデータ等を記録するための領域を設ける必要がある。したがって、ディスクが小径の場合、記録容量を大きくすることが困難である。
【0015】
特許文献2記載の光記録媒体はBCAの追記が可能であり、このBCAは特許文献3記載のBCAと同様に、レーザ光により反射膜の一部を除去したものである。したがって、レーザ光の照射によりBCAの改ざんも可能である。磁気記録によりBCAストライプを形成する場合も、磁気記録に可逆性がある場合はデータの改ざんを防止できない。
【0016】
また、反射率の変化を検出してデータ信号を再生する光ディスクでは、ピット上にBCAが記録されると、ピットに記録された情報は再生できなくなる。例えば特許文献1の図27には、ピットとBCAが重なる部分で再生信号のコンパレートを行い、ピット信号の成分を排除してBCAの信号を再生した例が示されている。しかしながら、この場合には、BCAと重なる部分のピットに記録された情報を再生できない。
【0017】
特許文献3には、リードインデータ領域のピットと重ねて形成されたPCAの信号再生が可能であることが示されている。しかしながら、PCA信号が反射率の変調信号であることから、一定の条件下でピットによる信号とPCA信号が同じパルス幅となると、両者の弁別ができない。
【0018】
一方、特許文献1記載の光磁気ディスクの場合には、第1記録領域に記録されたデータ信号と、第2記録領域に記録されたBCA信号が、いずれも差動検出で再生される。したがって、BCAストライプの一部が位置誤差により第2記録領域を越え、第1記録領域に重なって形成された場合には、BCAと重なる部分に記録されたデータ信号を再生できない。
【0019】
これを防止する方法として、BCA幅を短くする方法と、第1記録領域と第2記録領域の間にスペースを設ける方法が考えられる。しかしながら、BCA幅を短くすると、前述したように、トラッキングオフでBCAを再生したときの再生エラーが多くなる。また、第1記録領域と第2記録領域の間にスペースを設けることは、特に小径のディスクにおいて、大容量化に不利となる。特許文献1には、小径のディスクで記録容量を確保しながら、BCAを形成できる方法は示されていない。
【0020】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、小径で高密度記録と大容量化が可能であり、不正なコピーを有効に防止できる光磁気ディスクを提供することを目的とする。
また、本発明は、小径のディスクにおいても、不正なコピーを防止するためのディスク識別情報を用いて再生の制御を行うことができる光磁気ディスクの再生方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の光磁気ディスクは、基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成されている光磁気ディスクであって、前記主記録領域に形成され、情報信号が光を用いて記録される第1の記録領域と、前記副記録領域に形成された第2の記録領域と、前記主記録領域の前記トラックに沿って形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記情報信号のアドレス情報が記録されている第1のウォブリンググルーブと、前記副記録領域に前記第2の記録領域と重ねて形成され、ディスク識別情報信号が記録された第3の記録領域と、前記トラックの一部に形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記ディスク識別情報信号のアドレス情報が記録された第4の記録領域とを有することを特徴とする。
【0022】
好適には、前記ディスク識別情報信号は、前記トラックに沿って円周上に形成された複数の第1のマークからなる第1のマーク列により記録される。
好適には、前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブである。
【0023】
あるいは、前記副記録領域の前記トラックの少なくとも一部に、前記トラックに沿った反射率の変調がないストレートグルーブが形成されていてもよい。この場合、前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブを前記第4の記録領域として用いることができる。
【0024】
あるいは、前記トラックに沿って形成された複数の第2のマークからなる第2のマーク列により前記ディスク識別情報のアドレス信号や、前記光磁気ディスクのコントロールデータ信号を記録してもよい。
また、前記ディスク識別情報の記録の際に、前記第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を用いるトラッキングを行うことにより、記録位置の誤差が低減されるため、前記第3の記録領域のディスク半径方向での長さを短くできる。したがって、光磁気ディスクを大容量化できる。
【0025】
上記の本発明の光磁気ディスクによれば、第2の記録領域と第3の記録領域が重ねて形成され、トラッキングをかけた状態(トラッキングオンの状態)でディスク識別情報信号が再生される。したがって、ディスク識別情報信号を記録する第1のマークのディスク半径方向での長さを短くしても、高いトラッキング精度でディスク識別情報信号を再生できる。また、副記録領域の一部の磁性をなくすか、あるいは劣化させてディスク識別情報信号を不可逆的に記録することにより、ディスク識別情報信号の改ざんを防止でき、不正なコピーをより有効に防止できる。
【0026】
上記の目的を達成するため、本発明の光磁気ディスクの再生方法は、基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成された光磁気ディスクにおいて、前記主記録領域内の第1の記録領域に磁気記録された情報信号を、前記第1の記録領域に入射した光の偏光方向の回転に基づいて再生する光磁気ディスクの再生方法であって、前記副記録領域内の第2の記録領域に記録された、前記光磁気ディスクの物理的属性を示すコントロールデータ信号を再生する工程と、前記主記録領域に形成された第1のウォブリンググルーブの前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記情報信号のアドレス信号の再生と、前記情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、前記副記録領域内の第3の記録領域に記録されているディスク識別情報信号を再生するため、前記トラックの一部に形成された第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記ディスク識別情報信号のアドレス信号の再生と、前記ディスク識別情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、前記ディスク識別情報信号を再生し、再生された前記ディスク識別情報信号による制御を行って前記情報信号を再生する工程とを有し、前記第2の記録領域と前記第3の記録領域は少なくとも一部が重なり、前記第2の記録領域と前記第3の記録領域が重なる部分においても、前記コントロールデータ信号の再生と、前記ディスク識別情報信号の再生を行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、小径のディスクに形成されたディスク識別情報信号であっても、正確に再生することが可能となる。本発明の光磁気ディスクの再生方法によれば、トラッキングをかけてディスク識別情報信号を再生するため、ディスクの偏芯や、再生装置への光磁気ディスクの取り付け誤差の影響による再生エラーを防止できる。また、ディスク半径方向のマーク長さを短くできるため、小径のディスクにおいて記録容量を確保できる。
【0028】
好適には、前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブであり、前記ディスク識別情報の再生において、前記第2のウォブリンググルーブの反射率の変調信号を用いてトラッキングを行う。
【0029】
第3の記録領域に記録されたディスク識別情報信号と、第1の記録領域に記録された情報信号は差動検出を行って再生する。副記録領域には第2の記録領域と第3の記録領域が重ねて形成され、これらの記録領域には互いに異なる信号が記録されるが、一方は反射率、他方は偏光方向の回転を検出して信号の再生が行われる。したがって、両方の信号を再生できる。
【0030】
あるいは、前記第4の記録領域は前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブであり、前記ディスク識別情報信号の再生において、前記第3のウォブリンググルーブの反射率の変調信号を用いてトラッキングを行うこともできる。
【0031】
この場合、副記録領域の少なくとも一部のトラックにストレートグルーブが形成されていても、識別情報信号を再生できる。第1のマーク列と重なる部分のトラックにストレートグルーブが形成されている場合、ジッタの防止に特に有効である。
【0032】
あるいは、前記副記録領域にピットからなる第2のマーク列によりコントロールデータ信号を記録しておき、コントロールデータを反射率の変調信号により再生するときに、ピットの反射率の変調信号を用いて、ディスク識別情報を再生するためのトラッキングを行ってもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光磁気ディスクおよびその再生方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の光磁気ディスクの記録領域を示す概略図である。本実施形態の光磁気ディスク1は、第1の記録領域としての主記録領域2と、第2および第3の記録領域としての副記録領域3を有する。
【0034】
第1の記録領域にはユーザデータが記録される。第2の記録領域3aには、ディスクの物理的属性を示すコントロールデータが記録される。第3の記録領域3bにはディスク識別情報が記録される。図1に示すように、第2の記録領域3aは環状に形成され、第3の記録領域3bは塗りつぶし部分に形成される。第3の記録領域3bは環状の第2の記録領域3a上の少なくとも一部に形成され、第3の記録領域3bのディスク円周方向での長さは図1の例に限定されない。例えば、第3の記録領域3bが副記録領域3の全体に環状に形成されていてもよい。主記録領域2より外周側と副記録領域3より内周側は非記録領域4である。
【0035】
副記録領域3には第2の記録領域3aと第3の記録領域3bが重ねて設けられるが、第2の記録領域3aと第3の記録領域3bでは記録再生方式が異なる。したがって、第2および第3の記録領域3a、3bに記録された情報をそれぞれ独立に読み出すことができる。なお、図1には副記録領域3がディスク内周側に設けられた例を示すが、副記録領域3は記録再生装置のアクセスが可能であれば、どこにあっても構わない。
【0036】
本実施形態の光磁気ディスク1には、主記録領域2にウォブリンググルーブ(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブのウォブル(蛇行)の周波数と振幅は、アドレス情報に対応している。第1のウォブリンググルーブのトラックに沿った反射率の変化を検出することにより、アドレス信号の再生や、ユーザデータを再生するためのトラッキングが行われる。
【0037】
本実施形態の光磁気ディスク1は、モバイル用途に特に好適な小径ディスクで、大容量を実現することができる磁気超解像(MSR;Magnetically induced Super Resolution)再生方式を採用した光磁気ディスクである。基板形状はミニディスク(Mini Disc)のものであり、直径が64mmである。
【0038】
副記録領域3は半径14.5mm〜16mmの位置に形成される。なお、DVD規格の場合、BCAは半径22.3mm〜23.5mmの位置に形成され、トラッキングオフでディスク識別情報信号を再生しても、位置誤差による再生エラーは少ない。それに対し、本実施形態の光磁気ディスク1ではDVDの場合よりもディスク内周側にディスク識別情報が記録されるため、DVDと同様にトラッキングオフでディスク識別情報を再生すると、小径ディスクに対応した小型光ピックアップのアクセス精度の問題で、安定した再生ができない。
【0039】
第3の記録領域3bに記録されるディスク識別情報は、ディスク毎に固有の情報であり、使用する光磁気記録再生装置によって再生可能で、ディスクの管理に使用するための情報である。ディスク識別情報は、ディスク上に記録する画像や映像、音声、データなどの著作権を保護する目的で使用される。
【0040】
ディスク識別情報は、主記録領域2にユーザデータを再生および記録する際の暗号鍵の機能を有する。例えば、著作権で保護されるユーザデータを主記録領域2に暗号化して記録し、暗号化されたユーザデータとディスク識別情報が互いに認証し合った場合のみ、暗号が解除されてユーザデータを再生できるような機能を、ディスク識別情報にもたせることができる。
【0041】
光磁気ディスクの主記録領域2はユーザによるデータの書き換えが可能であるが、著作権で保護されるデータの記録および再生は、ディスク識別情報により制限される。不正なデータコピーを行うには、主記録領域2に記録されるユーザデータと、ディスク識別情報の両方を完全にコピーする必要がある。したがって、ユーザによる記録や改ざんが困難な方法でディスク識別情報を記録すれば、より有効に不正コピーを防止できる。ディスク識別情報を利用した、ユーザデータの記録および再生の管理は、例えば特許文献1に記載された方法と同様の方法で行うことができる。
【0042】
図2は、図1の光磁気ディスク1の副記録領域3と第3の記録領域3bを模式的に示す図である。図2に示すように、ディスク識別情報は副記録領域3bにストライプ状のマーク列として記録される。マーク列を構成する個々のマーク5(第1のマーク)は、磁性が失われているか、劣化した部分である。
【0043】
図3は、ディスク識別情報を記録するマーク列の拡大図である。図3に示すように、各マーク5は微視的には、レーザーのビームスポットでほぼ形状が決まるマーク要素6が少なくともディスク半径方向に複数繋がった形状を有する。マーク5の太さによっては、ディスク円周方向にも複数のマーク要素6が並べられた形状で、マーク5が形成される。
【0044】
次に、ディスク識別情報を記録する手順を説明する。まず、基板上に少なくとも希土類金属と遷移金属との合金あるいは積層による記録層を備えた光磁気ディスクを用意する。この光磁気ディスクをディスク識別装置にセットする。このディスク識別装置は、ディスクを回転させるスピンドルモータと、フォーカスサーボ機構と、光ピックアップと、ディスク面に対して垂直方向に一様な磁界を印加できる手段と、ディスクを半径方向に移動させるステージを有する。
【0045】
ディスク識別装置の光ピックアップは、ビームスポットがディスク半径方向に長い楕円状となるものであり、ディスク半径方向でのビームスポットの長さは例えば200μmとする。この場合のビームスポットは、通常の光ディスクや光磁気ディスクにおいて記録や再生に用いられるビームスポットの大きさより著しく大きい。
【0046】
ディスク識別装置にセットしたディスクを回転させながら、フォーカスをかけ、ディスクにレーザービームを照射する。このとき、記録されるディスク識別情報に対応してパワー変調されたレーザービームをディスクに照射する。マーク5が形成される箇所には、記録層の磁性を劣化させるのに十分なパワーでレーザービームを照射する。
【0047】
レーザビームの照射により記録層が局所的に加熱される。熱処理された部分では、垂直磁気異方性およびカー回転角が小さくなる。本明細書において、このような変化を磁性の劣化とする。磁性の劣化が著しく、記録層に垂直な方向の残留磁化がなくなると、光磁気記録を行うことができない。本明細書において、このような状態を磁性が不可逆的に消失した状態とする。
【0048】
記録層の材料や、光磁気ディスクの層構成等に応じて、記録層の磁性が消失あるいは劣化するレーザパワーは異なる。特許文献1に示されるように、熱処理により磁性が劣化すると、磁化あるいはカー回転角のヒステリシスループが変化する。
【0049】
このようなヒステリシスループを用いて、マーク5(図2または図3参照)の形成に必要なレーザパワーを決定できる。また、特許文献4に示されているように、レーザパワーに依存してマークの再生波形が変化する。したがって、ディスク識別情報の再生信号のC/Nが良好となるように、レーザパワーを決定してもよい。
【0050】
マーク5が形成されない箇所には、レーザービームを照射しないか、記録層の磁性が劣化しないパワーでレーザービームを照射する。これにより、ディスク中心からの距離がほぼ一定である複数の箇所で記録層の磁性が劣化する。その後、引き続きディスクを回転させながら、ディスクを半径方向に移動させ、パワー変調されたレーザービームをディスクに照射する。なお、ディスクを半径方向に移動させるかわりに、光ピックアップから導かれるレーザービームの位置をディスク半径方向で移動させてもよい。
【0051】
図3に示すように、ディスク半径方向に所定の長さを有するマーク5が形成されるまで、ディスク(またはレーザービームの位置)を半径方向に順次移動させ、レーザービームを照射する。その後、副記録領域3を着磁すると、マーク5の部分は磁性が劣化しているため着磁されず、マーク5以外の部分が着磁される。磁性層の磁性が消失または劣化せず、かつ磁性層がキュリー温度に達するようなパワーでレーザービームを照射し、磁界を印加することにより、マーク5以外の部分の副記録領域3を着磁できる。
【0052】
但し、磁性が消失または劣化していない部分に、例えば高パワーのレーザービームを照射することにより、ディスク識別情報の改ざんが行われる可能性がある。そこで、マーク列において磁性を消失または劣化させる部分を反転させ、図2および図3に示すマーク5の部分を磁性層に垂直に一様な方向で着磁して、マーク5以外の部分の磁性を消失または劣化させてもよい。
【0053】
この場合、マーク5以外の部分に磁性が消失または劣化するような高パワーでレーザービームを照射する。一方、マーク5を形成する部分には、磁性層がキュリー温度に達するようなパワーでレーザービームを照射し、磁界を印加して着磁する。
【0054】
以上のように、マーク5とそれ以外の部分の一方で磁性を消失または劣化させ、他方で磁性層を着磁すれば、マーク5とそれ以外の部分を識別できる。マーク5の磁性を消失または劣化させるか、あるいはマーク5の部分を着磁するかは、ストライプ状のマーク列の長さや構成から、ディスク識別情報の改ざんがより困難となる方を選択すればよい。また、ディスク識別情報の記録が容易な方を選択してもよい。
【0055】
上記のように、ディスク識別装置においてディスクを回転させながら、マーク5の形成を行う際には、必ずしもトラッキングを行う必要はない。ディスクの偏芯やディスク回転時の軸振れ等により、マーク5の位置がディスク半径方向にわずかにずれる場合があるが、ディスク識別情報の再生時にトラッキングをかけることにより、このような位置ずれに再生用のレーザービームを追従させることができる。
【0056】
但し、ディスク識別情報の記録時にトラッキングを行ってもよく、この場合には、ディスクの偏芯や回転時の軸振れ等によるマーク位置のずれが大幅に低減されるため、副記録領域3の幅(ディスク半径方向における大きさ)を縮小し、記録容量をさらに大きくできる。
【0057】
なお、前述した特許文献2記載の光ディスクでは、ディスク識別情報を記録しないセクタを設ける必要があることから、ディスク識別情報の記録開始位置を制御する必要がある。一方、本実施形態の光磁気ディスクによれば、ディスク識別情報のアドレス情報や、光磁気ディスクのコントロールデータがディスク識別情報と重ね書きされても、重ね書きされた両方の情報を再生できる。したがって、ディスク識別情報の記録開始位置を制御して、ストライプ状のマーク列が形成される位置をディスク円周方向において限定する必要はない。これにより、ディスク識別装置の構成を簡素化できる。
【0058】
また、特許文献2記載の光ディスクでは、アドレスを記録するためのセクタが設けられるのに対し、本実施形態の光磁気ディスクによれば、ウォブリンググルーブにアドレス情報を記録するため、アドレスを記録するセクタを設けない分、記録領域を確保できる。
【0059】
図4は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図4に示すように、副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。
【0060】
本実施形態の光磁気ディスクの副記録領域3には、基板上のトラックに沿うようにウォブリングされたグルーブ(ウォブリンググルーブGw)が形成されている。副記録領域3に形成されたウォブリンググルーブGw(第2のウォブリンググルーブ)には、第3の記録領域に記録されているディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。ウォブリンググルーブGwでは、トラック幅の変動が例えばプッシュプル法により反射率の変化として検出され、この変化がウォブル信号として処理される。
【0061】
副記録領域3の基板上に、記録層の磁性を劣化させたストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成されている。各マーク5はディスク半径方向に長く、数トラックに跨って形成されている。ストライプ状のマーク列によりディスク識別情報が記録されている。
【0062】
ストライプ状のマーク列によって記録されたディスク識別情報を再生する場合には、マーク列が記録されたトラックに対して、光磁気ヘッドによりトラッキングをかける。このときの再生信号を図5に示す。図5に示すように、マーク5の箇所では信号レベルが高くなり、H1とH2の間となる。
【0063】
一方、マーク5以外の箇所では信号レベルが低くなり、L1とL2の間となる。マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0064】
このときに、ウォブル信号を検出し、トラックアドレスを認識することにより、ディスク識別信号に容易にアクセスすることが可能になると共に、ディスク偏芯やディスクの取り付け位置の誤差によるディスク識別情報の再生エラーを抑制することができる。再生されたディスク識別情報は、前述したように、主記録領域2におけるユーザデータの記録および再生の制御に用いられる。
【0065】
図6に、本実施形態の光磁気ディスクの断面図を示す。MSR再生方式が採用されている光磁気ディスクでは、記録層が少なくとも3層の磁性層から構成される。図6に示すように、基板11上に第1の誘電体層12が形成されている。その上層に、第1の磁性層13a、第2の磁性層13bおよび第3の磁性層13bが順に積層された記録層13が形成されている。記録層13の上層に第2の誘電体層14、熱拡散層15および保護膜16が順に積層されている。
【0066】
第1の誘電体層12には、厚さ70nmのシリコン窒化膜(SiN膜)を用いた。第1の磁性層13aには、厚さ30nmのGdFe層を用いた。第2の磁性層13bには、厚さ20nmのTbFeAl層を用いた。第3の磁性層13bには、厚さ55nmのTbFeCo層を用いた。第2の誘電体層14には、厚さ30nmのSiN膜を用いた。熱拡散層15には、厚さ7nmのAlTi合金層を用いた。保護膜16には、紫外線硬化型樹脂の層を用いた。
【0067】
主記録領域でユーザデータの記録再生を行う場合、基板11側に光ピックアップが配置され、保護膜16側に磁気ヘッドが配置される。レーザ光は基板11側から照射され、光磁気ディスクからの戻り光の偏光面の回転角が光ピックアップを用いて検出される。MSR再生方式では、レーザ光の照射により記録層13を局所的に加熱し、さらに必要に応じて磁気ヘッドにより外部磁界を印加して、ビームスポットより小さい記録マークを再生できる。
【0068】
第1〜第3の磁性層13a〜13cのうち、第2の磁性層13bのキュリー温度が最も低い。本実施形態の光磁気ディスクでは、MSR再生方式の一つであるDWDD方式(domain wall displacement detection)(特許文献5参照)が採用されている。DWDD方式では、第3の磁性層(記録層)13cから第2の磁性層(切断層)13bを介して第1の磁性層(再生層)13aに転写された磁区を、レーザ光照射により生じる温度勾配を利用して、レーザースポット内で磁壁移動させる。これにより、磁区を拡大させて再生する。
【0069】
したがって、ビームスポットより小さい記録マークを再生でき、光磁気ディスクの記録密度を高くすることができる。本実施形態の光磁気ディスクは、副記録領域に第2の記録領域と第3の記録領域を重ねて設けることだけでなく、上記のようなMSR再生方式を採用することによっても大容量化されている。
【0070】
(実施形態2)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有するが、副記録領域3にストレートグルーブGsが形成されている点で実施形態1の光磁気ディスクと異なる。本実施形態の光磁気ディスクの主記録領域2には、実施形態1の光磁気ディスクと同様にウォブリンググルーブGw(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブからのウォブル信号は、主記録領域2に記録されたユーザデータを再生する際のトラッキングに用いられる。
【0071】
図7は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図7に示すように、副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。図8にストレートグルーブ上に記録されたストライプ状のマーク列の再生信号を示す。なお、光磁気ディスクの層構成は図6に示す実施形態1の層構成と同様にした。
【0072】
図8に示すように、本実施形態の光磁気ディスクにおいても、マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0073】
実施形態1ではウォブルの周期により再生信号が変調され、振幅変動が観測される。ストライプ状のマークを再生する場合には、振幅レベルに対してある閾値レベル(L2とH1)を設け、信号をコンパレートすることで情報の再生を行う。振幅レベルが変動すると、閾値レベルの設定によってはジッタ成分が生じる。
【0074】
したがって、振幅変動が大きい場合には、誤ったデータが再生される。このようなジッタ成分の影響を防止するには、ディスク識別情報をウォブルグルーブ上に記録する(実施形態1の場合)よりも、ストレートグルーブ上に記録するほう(実施形態2)がより好ましい。
【0075】
但し、本実施形態の光磁気ディスクの副記録領域3には、ウォブルによりディスク識別情報のアドレス情報を記録することができない。そこで、主記録領域2のウォブリンググルーブの一部(第3のウォブリンググルーブ)にディスク識別情報のアドレス情報を記録する。第3のウォブリンググルーブに記録されたアドレス情報を再生し、副記録領域3上のディスク識別情報を読み出す位置をシークする。
【0076】
このシークにクロストラック信号を利用することにより、シーク精度が向上する。副記録領域3に隣接する部分の主記録領域2に第3のウォブリンググルーブを設けてディスク識別情報のアドレス情報を記録し、トラッキングを行うことにより、シーク位置の誤差を少なくできる。
【0077】
(実施形態3)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有し、副記録領域3にウォブリンググルーブGwとストレートグルーブGsが交互に形成されている。副記録領域3のウォブリンググルーブによりディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。
【0078】
主記録領域2には、実施形態1の光磁気ディスクと同様にウォブリンググルーブGw(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブからのウォブル信号は、主記録領域2に記録されたユーザデータを再生する際のトラッキングに用いられる。
【0079】
図9は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図9に示すように、副記録領域3にストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。
【0080】
実施形態2で説明したように、ストレートグルーブにディスク識別情報が記録されていれば、ジッタ成分による誤った信号の再生が防止される。しかしながら、ストレートグルーブにはアドレス情報が記録されないため、副記録領域3をすべてストレートグルーブとした場合は、実施形態2のように、主記録領域2のウォブリンググルーブ(第3のウォブリンググルーブ)にトラッキングをかけて、ディスク識別情報のアドレスを再生し、クロストラック信号を利用したシーク動作によりディスク識別情報にアクセスして、ディスク識別情報の再生を行う。したがって、ディスク識別情報を正確に再生するには、高いシーク精度が必要とされる。
【0081】
副記録領域3において、ディスク識別情報が再生されるトラックがストレートグルーブであれば、ジッタ成分の影響を防止できる。そこで、本実施形態のように副記録領域3にウォブリンググルーブGwとストレートグルーブGsを交互に形成すれば、副記録領域3のウォブリンググルーブ(第2のウォブリンググルーブ)でディスク識別情報のアドレス情報を再生してトラッキングを行い、副記録領域3のストレートグルーブでストライプ状のマーク列からディスク識別情報を再生することができる。
【0082】
また、本実施形態の光磁気ディスクの場合、トラッキングに用いられるウォブリンググルーブ(第2のウォブリンググルーブ)と、ディスク識別情報が再生されるストレートグルーブとが近接しているため、実施形態2の場合ほどシーク精度を高くしなくても、ディスク識別情報を良好な信号で再生できる。
【0083】
(実施形態4)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有する。図10は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。
【0084】
図10に示すように、副記録領域3にピット7(第2のマーク)が形成され、ピット7から構成されるマーク列(第2のマーク列)によりディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。また、第2のマーク列により光磁気ディスクのコントロールデータも記録されている。副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。
【0085】
図11に副記録領域3にピット7と重ねて形成されたストライプ状のマーク列の再生信号を示す。なお、光磁気ディスクの層構成は図6に示す実施形態1の層構成と同様にした。図11に示すように、本実施形態の光磁気ディスクにおいても、マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0086】
光磁気ヘッドでは、磁化状態を変化させたストライプ状のマーク列は、p偏光とs偏光が逆位相であり、2つの偏光成分の差が検出される(差動検出)。一方、ピット部の反射率変化は2つの偏光成分(p偏光とs偏光)で同じ位相の信号となるため、2つの偏光成分の差をとる差動検出では、非常に小さな信号となる。そのため、ピットの信号はディスク識別情報信号にほとんど干渉せず、ディスク識別情報を問題なく再生できる。
【0087】
以上のように、本発明の実施形態の光磁気ディスクによれば、ストライプ状のマーク列(第1のマーク列)を形成するための領域を光磁気ディスクに新たに設ける必要がなく、光磁気ディスク上の物理的に記録可能な領域(図1の主記録領域2および副記録領域3)を有効に使用することができる。
【0088】
また、トラッキングをかけた状態でディスク識別情報が再生されるため、ディスク識別情報を記録するマークのディスク半径方向での長さに、ディスク偏芯やディスクの取り付け位置の誤差などの影響を考慮したマージンを大きく設ける必要がない。したがって、ミニディスクのような小径のディスクにおいても、主記録領域2の面積を確保して、記録容量を大きくすることが可能である。
【0089】
また、上記の本発明の実施形態の光磁気ディスクの再生方法によれば、小径のディスクにおいても、ディスク識別情報信号を正確に再生し、主記録領域に記録された情報の再生の制御を行うことが可能となる。本発明の光磁気ディスクおよびその再生方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、MSR再生方式の種類は上記のDWDD方式に限定されず、磁区拡大再生方式、D−RAD(double−mask rear aperture)方式等、他の方式であってもよい。
【0090】
光磁気ディスクの層構成は、採用されるMSR再生方式の種類等に応じて適宜変更でき、記録層が4層以上の磁性層の積層膜であってもよい。また、ディスク基板の形状などは上記の例に限定されない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0091】
【発明の効果】
本発明の光磁気ディスクによれば、小径のディスクにおいても高密度記録と大容量化が可能となり、不正なコピーを有効に防止できる。
本発明の光磁気ディスクの再生方法によれば、不正なコピーを防止するために記録されたディスク識別情報を、小径のディスクにおいても再生できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態1〜4に係る光磁気ディスクの平面図である。
【図2】図2は図1の副記録領域3を示す図である。
【図3】図3は図1の副記録領域3に形成される第1のマーク列を示す図である。
【図4】図4は実施形態1の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図5】図5は実施形態1の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【図6】図6は実施形態1の光磁気ディスクの断面図である。
【図7】図7は実施形態2の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図8】図8は実施形態2の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【図9】図9は実施形態3の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図10】図10は実施形態4の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図11】図11は実施形態4の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【符号の説明】
1…光磁気ディスク、2…主記録領域、3…副記録領域、3a…第2の記録領域、3b…第3の記録領域、4…非記録領域、5…マーク、6…マーク要素、7…ピット、11…基板、12…第1の誘電体層、13…光磁気記録層、13a…第1の磁性層、13b…第2の磁性層、13c…第3の磁性層、14…第2の誘電体層、15…熱拡散層、16…保護膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気ディスクおよびその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報量の増大に伴い光ディスクの高密度化、デジタル情報処理技術が進み、DVD(デジタル多用途ディスク)ではMPEG2の圧縮技術を採用し、ディスク1枚に2〜4時間録画が可能となってきている。デジタル映像は、データコピーによる劣化がないために、不正にコピーが行われると、その映像の著作権が著しく侵害されてしまう。また、不正なコピーによる著作権の侵害は、映像だけでなく、例えばコンピュータプログラム等でも問題となる。
【0003】
そのために、DVDでは、ディスク1枚毎に異なるディスク識別情報(メディアID)を記録し、使用する記録再生装置にてメディアIDを管理することにより著作権を保護している。上記のようなメディアIDを記録する方法は、特許文献1〜3等に開示されている。これらの方法によれば、ディスク内周側にBCA(Burst Cutting Area)またはPCA(Post Cutting Area)と呼ばれるストライプ状のマーク列を形成し、メディアIDを記録する。
【0004】
特許文献1には、相変化による反射率の変化を利用して記録を行う光ディスクに、BCAを形成する方法が記載されている。この方法によれば、例えばDVDの記録層に、記録層の少なくとも一部が結晶化するような強度でレーザ光を照射して、BCAを形成する。この場合、光ディスクに記録されるユーザデータの信号とBCAの信号が、いずれも反射率の検出によって再生される。DVDでは、BCAのストライプ状のマークの長さはディスク半径方向で1.3mmに設定されている。
【0005】
また、特許文献1には、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜の一部に、高パワーのレーザ光を照射することにより、BCAとして膜面垂直方向の磁気異方性が小さい複数のマークを形成した光磁気ディスクも開示されている。この場合のBCAのマークは、レーザ光の照射により磁性膜の異方性が劣化したり、あるいはキュリー温度以上に到達したりして、磁化状態が変化した部分である。このようにして形成されたBCAから信号を再生するときは、レーザ光を照射し、反射光を互いに直交する2つの偏光成分に分けて、それぞれの強度の差から磁化状態に応じた電気信号を取り出す(差動検出)。
【0006】
特許文献2記載の光記録媒体によれば、複数のセクタに分割された、ディスク最内周付近の環状部分のうち、少なくとも1つのセクタを除く部分にBCAが形成される。予めBCAが形成されない1つのセクタは、BCAを追記できる領域である。光記録媒体の再生時には、セクタからアドレスを読み出し、読み出されたアドレスを用いて、BCA信号を再生する。
【0007】
特許文献3記載の方法によれば、光ディスクの反射膜であるアルミ層にレーザ光を照射してレーザトリミングを行い、形成された無反射部をPCAとして用いている。
【0008】
上記の特許文献1〜3では、メディアIDを記録するためのBCAまたはPCAと呼ばれるマーク列が、いずれもディスク内周側に形成される。一方、特許文献4には、磁界を印加しながら、書き換え可能なマークを形成する場合よりも高パワーのレーザ光を照射して、磁化方向が不可逆的に変化したマークを形成することによりメディアIDを記録する方法が記載されている。特許文献4では、ID信号を記録する位置がディスク内周部に限定されない。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−162031号公報
【特許文献2】
特開平10−188361号公報
【特許文献3】
特開2000−222783号公報
【特許文献4】
特許第2771462号公報
【特許文献5】
特開平6−290496号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスクの高密度化が実現できると、モバイル用途として小径ディスクを用い、動画を記録できるようになる。モバイル用途としては、DVD−RAMディスクにおいて直径8cmのものが提案されている。動画カメラなどの小型化を行う上では、さらに直径の小さいディスクが望まれている。
【0011】
しかしながら、小径の光ディスクに、従来のBCAによってディスク半径方向での長さが1.3mmであるマークを形成して、メディアIDを記録しようとすると、記録容量の確保が困難となる。従来のBCAストライプは、トラッキングをかけない状態(トラッキングオフ)で再生することを前提としている。通常、BCAストライプは例えば特許文献1および特許文献3に記載されているように、ディスク内周部のグルーブがないミラーに形成される。したがって、トラッキングをかけてBCA信号を再生することができない。
【0012】
小径の光ディスクにおいてマークを1.3mmより短くして記録容量を確保しようとすると、光学ヘッドや光ディスク装置と光ディスクとの位置精度が不足して、BCA信号を正確に再生できなくなる。トラッキングオフでBCAを再生する場合、ディスクの偏芯や、光ディスク装置でのディスク取り付け位置の誤差の影響を低減するために、所定のマーク長さ(ディスク半径方向の長さ、BCA幅)が必要となる。小径のディスクにおいて、トラッキングオフでの再生に必要とされるBCA幅を確保しようとすると、実際に使用できる記録領域(ユーザデータの記録領域)が減少し、高密度記録が実現できない。
【0013】
特許文献2には、トラッキングをかけてBCA信号を再生することが記載されている。しかしながら、特許文献2記載の光記録媒体では、BCAを形成しないセクタとBCAが形成されるセクタがディスク円周方向に並ぶため、BCAの記録開始位置を制御して、所定のセクタ以外のセクタにBCAが形成されないようにする必要がある。すなわち、BCAの形成時に、ディスク半径方向での位置だけでなく、ディスク円周方向での位置も正確に認識できる手段が必要となる。
【0014】
また、特許文献2記載の光記録媒体によれば、セクタにアドレスが記録されるが、ディスクのコントロールデータ等はセクタに記録されない。したがって、複数のセクタに分割されている環状部分以外に、コントロールデータ等を記録するための領域を設ける必要がある。したがって、ディスクが小径の場合、記録容量を大きくすることが困難である。
【0015】
特許文献2記載の光記録媒体はBCAの追記が可能であり、このBCAは特許文献3記載のBCAと同様に、レーザ光により反射膜の一部を除去したものである。したがって、レーザ光の照射によりBCAの改ざんも可能である。磁気記録によりBCAストライプを形成する場合も、磁気記録に可逆性がある場合はデータの改ざんを防止できない。
【0016】
また、反射率の変化を検出してデータ信号を再生する光ディスクでは、ピット上にBCAが記録されると、ピットに記録された情報は再生できなくなる。例えば特許文献1の図27には、ピットとBCAが重なる部分で再生信号のコンパレートを行い、ピット信号の成分を排除してBCAの信号を再生した例が示されている。しかしながら、この場合には、BCAと重なる部分のピットに記録された情報を再生できない。
【0017】
特許文献3には、リードインデータ領域のピットと重ねて形成されたPCAの信号再生が可能であることが示されている。しかしながら、PCA信号が反射率の変調信号であることから、一定の条件下でピットによる信号とPCA信号が同じパルス幅となると、両者の弁別ができない。
【0018】
一方、特許文献1記載の光磁気ディスクの場合には、第1記録領域に記録されたデータ信号と、第2記録領域に記録されたBCA信号が、いずれも差動検出で再生される。したがって、BCAストライプの一部が位置誤差により第2記録領域を越え、第1記録領域に重なって形成された場合には、BCAと重なる部分に記録されたデータ信号を再生できない。
【0019】
これを防止する方法として、BCA幅を短くする方法と、第1記録領域と第2記録領域の間にスペースを設ける方法が考えられる。しかしながら、BCA幅を短くすると、前述したように、トラッキングオフでBCAを再生したときの再生エラーが多くなる。また、第1記録領域と第2記録領域の間にスペースを設けることは、特に小径のディスクにおいて、大容量化に不利となる。特許文献1には、小径のディスクで記録容量を確保しながら、BCAを形成できる方法は示されていない。
【0020】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、小径で高密度記録と大容量化が可能であり、不正なコピーを有効に防止できる光磁気ディスクを提供することを目的とする。
また、本発明は、小径のディスクにおいても、不正なコピーを防止するためのディスク識別情報を用いて再生の制御を行うことができる光磁気ディスクの再生方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の光磁気ディスクは、基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成されている光磁気ディスクであって、前記主記録領域に形成され、情報信号が光を用いて記録される第1の記録領域と、前記副記録領域に形成された第2の記録領域と、前記主記録領域の前記トラックに沿って形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記情報信号のアドレス情報が記録されている第1のウォブリンググルーブと、前記副記録領域に前記第2の記録領域と重ねて形成され、ディスク識別情報信号が記録された第3の記録領域と、前記トラックの一部に形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記ディスク識別情報信号のアドレス情報が記録された第4の記録領域とを有することを特徴とする。
【0022】
好適には、前記ディスク識別情報信号は、前記トラックに沿って円周上に形成された複数の第1のマークからなる第1のマーク列により記録される。
好適には、前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブである。
【0023】
あるいは、前記副記録領域の前記トラックの少なくとも一部に、前記トラックに沿った反射率の変調がないストレートグルーブが形成されていてもよい。この場合、前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブを前記第4の記録領域として用いることができる。
【0024】
あるいは、前記トラックに沿って形成された複数の第2のマークからなる第2のマーク列により前記ディスク識別情報のアドレス信号や、前記光磁気ディスクのコントロールデータ信号を記録してもよい。
また、前記ディスク識別情報の記録の際に、前記第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を用いるトラッキングを行うことにより、記録位置の誤差が低減されるため、前記第3の記録領域のディスク半径方向での長さを短くできる。したがって、光磁気ディスクを大容量化できる。
【0025】
上記の本発明の光磁気ディスクによれば、第2の記録領域と第3の記録領域が重ねて形成され、トラッキングをかけた状態(トラッキングオンの状態)でディスク識別情報信号が再生される。したがって、ディスク識別情報信号を記録する第1のマークのディスク半径方向での長さを短くしても、高いトラッキング精度でディスク識別情報信号を再生できる。また、副記録領域の一部の磁性をなくすか、あるいは劣化させてディスク識別情報信号を不可逆的に記録することにより、ディスク識別情報信号の改ざんを防止でき、不正なコピーをより有効に防止できる。
【0026】
上記の目的を達成するため、本発明の光磁気ディスクの再生方法は、基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成された光磁気ディスクにおいて、前記主記録領域内の第1の記録領域に磁気記録された情報信号を、前記第1の記録領域に入射した光の偏光方向の回転に基づいて再生する光磁気ディスクの再生方法であって、前記副記録領域内の第2の記録領域に記録された、前記光磁気ディスクの物理的属性を示すコントロールデータ信号を再生する工程と、前記主記録領域に形成された第1のウォブリンググルーブの前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記情報信号のアドレス信号の再生と、前記情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、前記副記録領域内の第3の記録領域に記録されているディスク識別情報信号を再生するため、前記トラックの一部に形成された第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記ディスク識別情報信号のアドレス信号の再生と、前記ディスク識別情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、前記ディスク識別情報信号を再生し、再生された前記ディスク識別情報信号による制御を行って前記情報信号を再生する工程とを有し、前記第2の記録領域と前記第3の記録領域は少なくとも一部が重なり、前記第2の記録領域と前記第3の記録領域が重なる部分においても、前記コントロールデータ信号の再生と、前記ディスク識別情報信号の再生を行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、小径のディスクに形成されたディスク識別情報信号であっても、正確に再生することが可能となる。本発明の光磁気ディスクの再生方法によれば、トラッキングをかけてディスク識別情報信号を再生するため、ディスクの偏芯や、再生装置への光磁気ディスクの取り付け誤差の影響による再生エラーを防止できる。また、ディスク半径方向のマーク長さを短くできるため、小径のディスクにおいて記録容量を確保できる。
【0028】
好適には、前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブであり、前記ディスク識別情報の再生において、前記第2のウォブリンググルーブの反射率の変調信号を用いてトラッキングを行う。
【0029】
第3の記録領域に記録されたディスク識別情報信号と、第1の記録領域に記録された情報信号は差動検出を行って再生する。副記録領域には第2の記録領域と第3の記録領域が重ねて形成され、これらの記録領域には互いに異なる信号が記録されるが、一方は反射率、他方は偏光方向の回転を検出して信号の再生が行われる。したがって、両方の信号を再生できる。
【0030】
あるいは、前記第4の記録領域は前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブであり、前記ディスク識別情報信号の再生において、前記第3のウォブリンググルーブの反射率の変調信号を用いてトラッキングを行うこともできる。
【0031】
この場合、副記録領域の少なくとも一部のトラックにストレートグルーブが形成されていても、識別情報信号を再生できる。第1のマーク列と重なる部分のトラックにストレートグルーブが形成されている場合、ジッタの防止に特に有効である。
【0032】
あるいは、前記副記録領域にピットからなる第2のマーク列によりコントロールデータ信号を記録しておき、コントロールデータを反射率の変調信号により再生するときに、ピットの反射率の変調信号を用いて、ディスク識別情報を再生するためのトラッキングを行ってもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光磁気ディスクおよびその再生方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の光磁気ディスクの記録領域を示す概略図である。本実施形態の光磁気ディスク1は、第1の記録領域としての主記録領域2と、第2および第3の記録領域としての副記録領域3を有する。
【0034】
第1の記録領域にはユーザデータが記録される。第2の記録領域3aには、ディスクの物理的属性を示すコントロールデータが記録される。第3の記録領域3bにはディスク識別情報が記録される。図1に示すように、第2の記録領域3aは環状に形成され、第3の記録領域3bは塗りつぶし部分に形成される。第3の記録領域3bは環状の第2の記録領域3a上の少なくとも一部に形成され、第3の記録領域3bのディスク円周方向での長さは図1の例に限定されない。例えば、第3の記録領域3bが副記録領域3の全体に環状に形成されていてもよい。主記録領域2より外周側と副記録領域3より内周側は非記録領域4である。
【0035】
副記録領域3には第2の記録領域3aと第3の記録領域3bが重ねて設けられるが、第2の記録領域3aと第3の記録領域3bでは記録再生方式が異なる。したがって、第2および第3の記録領域3a、3bに記録された情報をそれぞれ独立に読み出すことができる。なお、図1には副記録領域3がディスク内周側に設けられた例を示すが、副記録領域3は記録再生装置のアクセスが可能であれば、どこにあっても構わない。
【0036】
本実施形態の光磁気ディスク1には、主記録領域2にウォブリンググルーブ(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブのウォブル(蛇行)の周波数と振幅は、アドレス情報に対応している。第1のウォブリンググルーブのトラックに沿った反射率の変化を検出することにより、アドレス信号の再生や、ユーザデータを再生するためのトラッキングが行われる。
【0037】
本実施形態の光磁気ディスク1は、モバイル用途に特に好適な小径ディスクで、大容量を実現することができる磁気超解像(MSR;Magnetically induced Super Resolution)再生方式を採用した光磁気ディスクである。基板形状はミニディスク(Mini Disc)のものであり、直径が64mmである。
【0038】
副記録領域3は半径14.5mm〜16mmの位置に形成される。なお、DVD規格の場合、BCAは半径22.3mm〜23.5mmの位置に形成され、トラッキングオフでディスク識別情報信号を再生しても、位置誤差による再生エラーは少ない。それに対し、本実施形態の光磁気ディスク1ではDVDの場合よりもディスク内周側にディスク識別情報が記録されるため、DVDと同様にトラッキングオフでディスク識別情報を再生すると、小径ディスクに対応した小型光ピックアップのアクセス精度の問題で、安定した再生ができない。
【0039】
第3の記録領域3bに記録されるディスク識別情報は、ディスク毎に固有の情報であり、使用する光磁気記録再生装置によって再生可能で、ディスクの管理に使用するための情報である。ディスク識別情報は、ディスク上に記録する画像や映像、音声、データなどの著作権を保護する目的で使用される。
【0040】
ディスク識別情報は、主記録領域2にユーザデータを再生および記録する際の暗号鍵の機能を有する。例えば、著作権で保護されるユーザデータを主記録領域2に暗号化して記録し、暗号化されたユーザデータとディスク識別情報が互いに認証し合った場合のみ、暗号が解除されてユーザデータを再生できるような機能を、ディスク識別情報にもたせることができる。
【0041】
光磁気ディスクの主記録領域2はユーザによるデータの書き換えが可能であるが、著作権で保護されるデータの記録および再生は、ディスク識別情報により制限される。不正なデータコピーを行うには、主記録領域2に記録されるユーザデータと、ディスク識別情報の両方を完全にコピーする必要がある。したがって、ユーザによる記録や改ざんが困難な方法でディスク識別情報を記録すれば、より有効に不正コピーを防止できる。ディスク識別情報を利用した、ユーザデータの記録および再生の管理は、例えば特許文献1に記載された方法と同様の方法で行うことができる。
【0042】
図2は、図1の光磁気ディスク1の副記録領域3と第3の記録領域3bを模式的に示す図である。図2に示すように、ディスク識別情報は副記録領域3bにストライプ状のマーク列として記録される。マーク列を構成する個々のマーク5(第1のマーク)は、磁性が失われているか、劣化した部分である。
【0043】
図3は、ディスク識別情報を記録するマーク列の拡大図である。図3に示すように、各マーク5は微視的には、レーザーのビームスポットでほぼ形状が決まるマーク要素6が少なくともディスク半径方向に複数繋がった形状を有する。マーク5の太さによっては、ディスク円周方向にも複数のマーク要素6が並べられた形状で、マーク5が形成される。
【0044】
次に、ディスク識別情報を記録する手順を説明する。まず、基板上に少なくとも希土類金属と遷移金属との合金あるいは積層による記録層を備えた光磁気ディスクを用意する。この光磁気ディスクをディスク識別装置にセットする。このディスク識別装置は、ディスクを回転させるスピンドルモータと、フォーカスサーボ機構と、光ピックアップと、ディスク面に対して垂直方向に一様な磁界を印加できる手段と、ディスクを半径方向に移動させるステージを有する。
【0045】
ディスク識別装置の光ピックアップは、ビームスポットがディスク半径方向に長い楕円状となるものであり、ディスク半径方向でのビームスポットの長さは例えば200μmとする。この場合のビームスポットは、通常の光ディスクや光磁気ディスクにおいて記録や再生に用いられるビームスポットの大きさより著しく大きい。
【0046】
ディスク識別装置にセットしたディスクを回転させながら、フォーカスをかけ、ディスクにレーザービームを照射する。このとき、記録されるディスク識別情報に対応してパワー変調されたレーザービームをディスクに照射する。マーク5が形成される箇所には、記録層の磁性を劣化させるのに十分なパワーでレーザービームを照射する。
【0047】
レーザビームの照射により記録層が局所的に加熱される。熱処理された部分では、垂直磁気異方性およびカー回転角が小さくなる。本明細書において、このような変化を磁性の劣化とする。磁性の劣化が著しく、記録層に垂直な方向の残留磁化がなくなると、光磁気記録を行うことができない。本明細書において、このような状態を磁性が不可逆的に消失した状態とする。
【0048】
記録層の材料や、光磁気ディスクの層構成等に応じて、記録層の磁性が消失あるいは劣化するレーザパワーは異なる。特許文献1に示されるように、熱処理により磁性が劣化すると、磁化あるいはカー回転角のヒステリシスループが変化する。
【0049】
このようなヒステリシスループを用いて、マーク5(図2または図3参照)の形成に必要なレーザパワーを決定できる。また、特許文献4に示されているように、レーザパワーに依存してマークの再生波形が変化する。したがって、ディスク識別情報の再生信号のC/Nが良好となるように、レーザパワーを決定してもよい。
【0050】
マーク5が形成されない箇所には、レーザービームを照射しないか、記録層の磁性が劣化しないパワーでレーザービームを照射する。これにより、ディスク中心からの距離がほぼ一定である複数の箇所で記録層の磁性が劣化する。その後、引き続きディスクを回転させながら、ディスクを半径方向に移動させ、パワー変調されたレーザービームをディスクに照射する。なお、ディスクを半径方向に移動させるかわりに、光ピックアップから導かれるレーザービームの位置をディスク半径方向で移動させてもよい。
【0051】
図3に示すように、ディスク半径方向に所定の長さを有するマーク5が形成されるまで、ディスク(またはレーザービームの位置)を半径方向に順次移動させ、レーザービームを照射する。その後、副記録領域3を着磁すると、マーク5の部分は磁性が劣化しているため着磁されず、マーク5以外の部分が着磁される。磁性層の磁性が消失または劣化せず、かつ磁性層がキュリー温度に達するようなパワーでレーザービームを照射し、磁界を印加することにより、マーク5以外の部分の副記録領域3を着磁できる。
【0052】
但し、磁性が消失または劣化していない部分に、例えば高パワーのレーザービームを照射することにより、ディスク識別情報の改ざんが行われる可能性がある。そこで、マーク列において磁性を消失または劣化させる部分を反転させ、図2および図3に示すマーク5の部分を磁性層に垂直に一様な方向で着磁して、マーク5以外の部分の磁性を消失または劣化させてもよい。
【0053】
この場合、マーク5以外の部分に磁性が消失または劣化するような高パワーでレーザービームを照射する。一方、マーク5を形成する部分には、磁性層がキュリー温度に達するようなパワーでレーザービームを照射し、磁界を印加して着磁する。
【0054】
以上のように、マーク5とそれ以外の部分の一方で磁性を消失または劣化させ、他方で磁性層を着磁すれば、マーク5とそれ以外の部分を識別できる。マーク5の磁性を消失または劣化させるか、あるいはマーク5の部分を着磁するかは、ストライプ状のマーク列の長さや構成から、ディスク識別情報の改ざんがより困難となる方を選択すればよい。また、ディスク識別情報の記録が容易な方を選択してもよい。
【0055】
上記のように、ディスク識別装置においてディスクを回転させながら、マーク5の形成を行う際には、必ずしもトラッキングを行う必要はない。ディスクの偏芯やディスク回転時の軸振れ等により、マーク5の位置がディスク半径方向にわずかにずれる場合があるが、ディスク識別情報の再生時にトラッキングをかけることにより、このような位置ずれに再生用のレーザービームを追従させることができる。
【0056】
但し、ディスク識別情報の記録時にトラッキングを行ってもよく、この場合には、ディスクの偏芯や回転時の軸振れ等によるマーク位置のずれが大幅に低減されるため、副記録領域3の幅(ディスク半径方向における大きさ)を縮小し、記録容量をさらに大きくできる。
【0057】
なお、前述した特許文献2記載の光ディスクでは、ディスク識別情報を記録しないセクタを設ける必要があることから、ディスク識別情報の記録開始位置を制御する必要がある。一方、本実施形態の光磁気ディスクによれば、ディスク識別情報のアドレス情報や、光磁気ディスクのコントロールデータがディスク識別情報と重ね書きされても、重ね書きされた両方の情報を再生できる。したがって、ディスク識別情報の記録開始位置を制御して、ストライプ状のマーク列が形成される位置をディスク円周方向において限定する必要はない。これにより、ディスク識別装置の構成を簡素化できる。
【0058】
また、特許文献2記載の光ディスクでは、アドレスを記録するためのセクタが設けられるのに対し、本実施形態の光磁気ディスクによれば、ウォブリンググルーブにアドレス情報を記録するため、アドレスを記録するセクタを設けない分、記録領域を確保できる。
【0059】
図4は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図4に示すように、副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。
【0060】
本実施形態の光磁気ディスクの副記録領域3には、基板上のトラックに沿うようにウォブリングされたグルーブ(ウォブリンググルーブGw)が形成されている。副記録領域3に形成されたウォブリンググルーブGw(第2のウォブリンググルーブ)には、第3の記録領域に記録されているディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。ウォブリンググルーブGwでは、トラック幅の変動が例えばプッシュプル法により反射率の変化として検出され、この変化がウォブル信号として処理される。
【0061】
副記録領域3の基板上に、記録層の磁性を劣化させたストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成されている。各マーク5はディスク半径方向に長く、数トラックに跨って形成されている。ストライプ状のマーク列によりディスク識別情報が記録されている。
【0062】
ストライプ状のマーク列によって記録されたディスク識別情報を再生する場合には、マーク列が記録されたトラックに対して、光磁気ヘッドによりトラッキングをかける。このときの再生信号を図5に示す。図5に示すように、マーク5の箇所では信号レベルが高くなり、H1とH2の間となる。
【0063】
一方、マーク5以外の箇所では信号レベルが低くなり、L1とL2の間となる。マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0064】
このときに、ウォブル信号を検出し、トラックアドレスを認識することにより、ディスク識別信号に容易にアクセスすることが可能になると共に、ディスク偏芯やディスクの取り付け位置の誤差によるディスク識別情報の再生エラーを抑制することができる。再生されたディスク識別情報は、前述したように、主記録領域2におけるユーザデータの記録および再生の制御に用いられる。
【0065】
図6に、本実施形態の光磁気ディスクの断面図を示す。MSR再生方式が採用されている光磁気ディスクでは、記録層が少なくとも3層の磁性層から構成される。図6に示すように、基板11上に第1の誘電体層12が形成されている。その上層に、第1の磁性層13a、第2の磁性層13bおよび第3の磁性層13bが順に積層された記録層13が形成されている。記録層13の上層に第2の誘電体層14、熱拡散層15および保護膜16が順に積層されている。
【0066】
第1の誘電体層12には、厚さ70nmのシリコン窒化膜(SiN膜)を用いた。第1の磁性層13aには、厚さ30nmのGdFe層を用いた。第2の磁性層13bには、厚さ20nmのTbFeAl層を用いた。第3の磁性層13bには、厚さ55nmのTbFeCo層を用いた。第2の誘電体層14には、厚さ30nmのSiN膜を用いた。熱拡散層15には、厚さ7nmのAlTi合金層を用いた。保護膜16には、紫外線硬化型樹脂の層を用いた。
【0067】
主記録領域でユーザデータの記録再生を行う場合、基板11側に光ピックアップが配置され、保護膜16側に磁気ヘッドが配置される。レーザ光は基板11側から照射され、光磁気ディスクからの戻り光の偏光面の回転角が光ピックアップを用いて検出される。MSR再生方式では、レーザ光の照射により記録層13を局所的に加熱し、さらに必要に応じて磁気ヘッドにより外部磁界を印加して、ビームスポットより小さい記録マークを再生できる。
【0068】
第1〜第3の磁性層13a〜13cのうち、第2の磁性層13bのキュリー温度が最も低い。本実施形態の光磁気ディスクでは、MSR再生方式の一つであるDWDD方式(domain wall displacement detection)(特許文献5参照)が採用されている。DWDD方式では、第3の磁性層(記録層)13cから第2の磁性層(切断層)13bを介して第1の磁性層(再生層)13aに転写された磁区を、レーザ光照射により生じる温度勾配を利用して、レーザースポット内で磁壁移動させる。これにより、磁区を拡大させて再生する。
【0069】
したがって、ビームスポットより小さい記録マークを再生でき、光磁気ディスクの記録密度を高くすることができる。本実施形態の光磁気ディスクは、副記録領域に第2の記録領域と第3の記録領域を重ねて設けることだけでなく、上記のようなMSR再生方式を採用することによっても大容量化されている。
【0070】
(実施形態2)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有するが、副記録領域3にストレートグルーブGsが形成されている点で実施形態1の光磁気ディスクと異なる。本実施形態の光磁気ディスクの主記録領域2には、実施形態1の光磁気ディスクと同様にウォブリンググルーブGw(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブからのウォブル信号は、主記録領域2に記録されたユーザデータを再生する際のトラッキングに用いられる。
【0071】
図7は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図7に示すように、副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。図8にストレートグルーブ上に記録されたストライプ状のマーク列の再生信号を示す。なお、光磁気ディスクの層構成は図6に示す実施形態1の層構成と同様にした。
【0072】
図8に示すように、本実施形態の光磁気ディスクにおいても、マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0073】
実施形態1ではウォブルの周期により再生信号が変調され、振幅変動が観測される。ストライプ状のマークを再生する場合には、振幅レベルに対してある閾値レベル(L2とH1)を設け、信号をコンパレートすることで情報の再生を行う。振幅レベルが変動すると、閾値レベルの設定によってはジッタ成分が生じる。
【0074】
したがって、振幅変動が大きい場合には、誤ったデータが再生される。このようなジッタ成分の影響を防止するには、ディスク識別情報をウォブルグルーブ上に記録する(実施形態1の場合)よりも、ストレートグルーブ上に記録するほう(実施形態2)がより好ましい。
【0075】
但し、本実施形態の光磁気ディスクの副記録領域3には、ウォブルによりディスク識別情報のアドレス情報を記録することができない。そこで、主記録領域2のウォブリンググルーブの一部(第3のウォブリンググルーブ)にディスク識別情報のアドレス情報を記録する。第3のウォブリンググルーブに記録されたアドレス情報を再生し、副記録領域3上のディスク識別情報を読み出す位置をシークする。
【0076】
このシークにクロストラック信号を利用することにより、シーク精度が向上する。副記録領域3に隣接する部分の主記録領域2に第3のウォブリンググルーブを設けてディスク識別情報のアドレス情報を記録し、トラッキングを行うことにより、シーク位置の誤差を少なくできる。
【0077】
(実施形態3)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有し、副記録領域3にウォブリンググルーブGwとストレートグルーブGsが交互に形成されている。副記録領域3のウォブリンググルーブによりディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。
【0078】
主記録領域2には、実施形態1の光磁気ディスクと同様にウォブリンググルーブGw(第1のウォブリンググルーブ)が形成されている。第1のウォブリンググルーブからのウォブル信号は、主記録領域2に記録されたユーザデータを再生する際のトラッキングに用いられる。
【0079】
図9は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。図9に示すように、副記録領域3にストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。
【0080】
実施形態2で説明したように、ストレートグルーブにディスク識別情報が記録されていれば、ジッタ成分による誤った信号の再生が防止される。しかしながら、ストレートグルーブにはアドレス情報が記録されないため、副記録領域3をすべてストレートグルーブとした場合は、実施形態2のように、主記録領域2のウォブリンググルーブ(第3のウォブリンググルーブ)にトラッキングをかけて、ディスク識別情報のアドレスを再生し、クロストラック信号を利用したシーク動作によりディスク識別情報にアクセスして、ディスク識別情報の再生を行う。したがって、ディスク識別情報を正確に再生するには、高いシーク精度が必要とされる。
【0081】
副記録領域3において、ディスク識別情報が再生されるトラックがストレートグルーブであれば、ジッタ成分の影響を防止できる。そこで、本実施形態のように副記録領域3にウォブリンググルーブGwとストレートグルーブGsを交互に形成すれば、副記録領域3のウォブリンググルーブ(第2のウォブリンググルーブ)でディスク識別情報のアドレス情報を再生してトラッキングを行い、副記録領域3のストレートグルーブでストライプ状のマーク列からディスク識別情報を再生することができる。
【0082】
また、本実施形態の光磁気ディスクの場合、トラッキングに用いられるウォブリンググルーブ(第2のウォブリンググルーブ)と、ディスク識別情報が再生されるストレートグルーブとが近接しているため、実施形態2の場合ほどシーク精度を高くしなくても、ディスク識別情報を良好な信号で再生できる。
【0083】
(実施形態4)
本実施形態の光磁気ディスクは実施形態1の光磁気ディスクと同様に、図1に示すような主記録領域2と副記録領域3を有する。図10は、本実施形態の光磁気ディスクのトラック構成図であり、Gはグルーブ、Lはランドを示す。
【0084】
図10に示すように、副記録領域3にピット7(第2のマーク)が形成され、ピット7から構成されるマーク列(第2のマーク列)によりディスク識別情報のアドレス情報が記録されている。また、第2のマーク列により光磁気ディスクのコントロールデータも記録されている。副記録領域3に複数のマーク5からなるストライプ状のマーク列(第1のマーク列)が形成され、これによりディスク識別情報が記録されている。第3の記録領域にストライプ状のマーク列を形成する方法は、実施形態1と同様である。
【0085】
図11に副記録領域3にピット7と重ねて形成されたストライプ状のマーク列の再生信号を示す。なお、光磁気ディスクの層構成は図6に示す実施形態1の層構成と同様にした。図11に示すように、本実施形態の光磁気ディスクにおいても、マーク5での振幅変動H2−H1とマーク以外での振幅変動L2−L1の両方に対して、スライスレベル振幅マージンM(=H1−L2)が十分に大きいため、ディスク識別情報を再生できる。
【0086】
光磁気ヘッドでは、磁化状態を変化させたストライプ状のマーク列は、p偏光とs偏光が逆位相であり、2つの偏光成分の差が検出される(差動検出)。一方、ピット部の反射率変化は2つの偏光成分(p偏光とs偏光)で同じ位相の信号となるため、2つの偏光成分の差をとる差動検出では、非常に小さな信号となる。そのため、ピットの信号はディスク識別情報信号にほとんど干渉せず、ディスク識別情報を問題なく再生できる。
【0087】
以上のように、本発明の実施形態の光磁気ディスクによれば、ストライプ状のマーク列(第1のマーク列)を形成するための領域を光磁気ディスクに新たに設ける必要がなく、光磁気ディスク上の物理的に記録可能な領域(図1の主記録領域2および副記録領域3)を有効に使用することができる。
【0088】
また、トラッキングをかけた状態でディスク識別情報が再生されるため、ディスク識別情報を記録するマークのディスク半径方向での長さに、ディスク偏芯やディスクの取り付け位置の誤差などの影響を考慮したマージンを大きく設ける必要がない。したがって、ミニディスクのような小径のディスクにおいても、主記録領域2の面積を確保して、記録容量を大きくすることが可能である。
【0089】
また、上記の本発明の実施形態の光磁気ディスクの再生方法によれば、小径のディスクにおいても、ディスク識別情報信号を正確に再生し、主記録領域に記録された情報の再生の制御を行うことが可能となる。本発明の光磁気ディスクおよびその再生方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、MSR再生方式の種類は上記のDWDD方式に限定されず、磁区拡大再生方式、D−RAD(double−mask rear aperture)方式等、他の方式であってもよい。
【0090】
光磁気ディスクの層構成は、採用されるMSR再生方式の種類等に応じて適宜変更でき、記録層が4層以上の磁性層の積層膜であってもよい。また、ディスク基板の形状などは上記の例に限定されない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0091】
【発明の効果】
本発明の光磁気ディスクによれば、小径のディスクにおいても高密度記録と大容量化が可能となり、不正なコピーを有効に防止できる。
本発明の光磁気ディスクの再生方法によれば、不正なコピーを防止するために記録されたディスク識別情報を、小径のディスクにおいても再生できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態1〜4に係る光磁気ディスクの平面図である。
【図2】図2は図1の副記録領域3を示す図である。
【図3】図3は図1の副記録領域3に形成される第1のマーク列を示す図である。
【図4】図4は実施形態1の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図5】図5は実施形態1の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【図6】図6は実施形態1の光磁気ディスクの断面図である。
【図7】図7は実施形態2の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図8】図8は実施形態2の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【図9】図9は実施形態3の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図10】図10は実施形態4の光磁気ディスクのトラック構成図である。
【図11】図11は実施形態4の光磁気ディスクにおける識別情報の再生信号を示す図である。
【符号の説明】
1…光磁気ディスク、2…主記録領域、3…副記録領域、3a…第2の記録領域、3b…第3の記録領域、4…非記録領域、5…マーク、6…マーク要素、7…ピット、11…基板、12…第1の誘電体層、13…光磁気記録層、13a…第1の磁性層、13b…第2の磁性層、13c…第3の磁性層、14…第2の誘電体層、15…熱拡散層、16…保護膜。
Claims (20)
- 基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成されている光磁気ディスクであって、
前記主記録領域に形成され、情報信号が光を用いて記録される第1の記録領域と、
前記副記録領域に形成された第2の記録領域と、
前記主記録領域の前記トラックに沿って形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記情報信号のアドレス情報が記録されている第1のウォブリンググルーブと、
前記副記録領域に前記第2の記録領域と重ねて形成され、ディスク識別情報信号が記録された第3の記録領域と、
前記トラックの一部に形成され、前記トラックに沿った反射率の変調信号に前記ディスク識別情報信号のアドレス情報が記録された第4の記録領域とを有する
光磁気ディスク。 - 前記ディスク識別情報信号は、前記トラックに沿って形成された複数の第1のマークからなる第1のマーク列により記録されている
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 前記第1のマークはディスク半径方向に複数のトラックに跨って形成され、前記第1のマーク列は円周上にストライプ状に形成されている
請求項2記載の光磁気ディスク。 - 前記第1のマークは磁性を不可逆的に消失または劣化させることにより形成されている
請求項3記載の光磁気ディスク。 - 前記第1のマーク以外の前記副記録領域が着磁されている
請求項4記載の光磁気ディスク。 - 前記第1のマークは前記副記録領域を着磁することにより形成されている
請求項3記載の光磁気ディスク。 - 前記第1のマーク以外の前記副記録領域で磁性が不可逆的に消失または劣化している
請求項6記載の光磁気ディスク。 - 前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブである
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 前記副記録領域の前記トラックの少なくとも一部に、前記トラックに沿った反射率の変調がないストレートグルーブが形成されている
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 前記第4の記録領域は前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブである
請求項9記載の光磁気ディスク。 - 前記第2の記録領域に前記光磁気ディスクの物理的属性を示すコントロールデータ信号が記録されている
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 前記副記録領域の前記トラックに沿って形成された複数の第2のマークからなる第2のマーク列を有し、
前記第2のマークは凹凸により反射率を変化させたピットであり、
前記第2のマーク列は前記第2の記録領域と前記第4の記録領域を含む
請求項11記載の光磁気ディスク。 - 前記第3の記録領域を半径14.5mm〜16mmの位置に有する
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 前記ディスク識別情報信号は、前記第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を用いるトラッキングを行って記録されている
請求項1記載の光磁気ディスク。 - 基板上に、膜面垂直方向に磁気異方性を有する磁性膜からなる記録層を有し、前記記録層が少なくとも主記録領域および副記録領域に形成され、前記主記録領域および副記録領域にトラックが同心円状または螺旋状に形成された光磁気ディスクにおいて、前記主記録領域内の第1の記録領域に記録された情報信号を、前記第1の記録領域に入射した光の偏光方向の回転に基づいて再生する光磁気ディスクの再生方法であって、
前記副記録領域内の第2の記録領域に記録された、前記光磁気ディスクの物理的属性を示すコントロールデータ信号を再生する工程と、
前記主記録領域に形成された第1のウォブリンググルーブの前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記情報信号のアドレス信号の再生と、前記情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、
前記副記録領域内の第3の記録領域に記録されているディスク識別情報信号を再生するため、前記トラックの一部に形成された第4の記録領域の前記トラックに沿った反射率の変調信号を検出し、前記ディスク識別情報信号のアドレス信号の再生と、前記ディスク識別情報信号を再生するためのトラッキングを行う工程と、
前記ディスク識別情報信号を再生し、再生された前記ディスク識別情報信号による制御を行って前記情報信号を再生する工程とを有し、
前記第2の記録領域と前記第3の記録領域は少なくとも一部が重なり、前記第2の記録領域と前記第3の記録領域が重なる部分においても、前記コントロールデータ信号の再生と、前記ディスク識別情報信号の再生を行う
光磁気ディスクの再生方法。 - 前記ディスク識別情報信号を、前記第3の記録領域に入射した光の偏向方向の回転に基づいて再生する
請求項15記載の光磁気ディスクの再生方法。 - 前記第4の記録領域は前記副記録領域の少なくとも一部の前記トラックに沿って形成された第2のウォブリンググルーブである
請求項15記載の光磁気ディスクの再生方法。 - 前記第4の記録領域は前記主記録領域の一部の前記トラックに沿って形成された第3のウォブリンググルーブである
請求項15記載の光磁気ディスクの再生方法。 - 前記ディスク識別情報信号の再生において、前記副記録領域の前記トラックの少なくとも一部に形成された、前記トラックに沿った反射率の変調がないストレートグルーブのクロストラック信号を検出してトラッキングを行う
請求項18記載の光磁気ディスクの再生方法。 - 前記光磁気ディスクは前記副記録領域の前記トラックに沿って形成された複数の第2のマークからなる第2のマーク列を有し、
前記第2のマークは凹凸により反射率を変化させたピットであり、
前記第2のマーク列は前記第2の記録領域と前記第4の記録領域を含む
請求項15記載の光磁気ディスクの再生方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003117045A JP2004326859A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 光磁気ディスクおよびその再生方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003117045A JP2004326859A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 光磁気ディスクおよびその再生方法 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004326859A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007323773A (ja) * | 2006-06-02 | 2007-12-13 | Toshiba Corp | 光ディスク、情報記録方法、情報再生方法、およびディスクドライブ |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003117045A patent/JP2004326859A/ja not_active Abandoned
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007323773A (ja) * | 2006-06-02 | 2007-12-13 | Toshiba Corp | 光ディスク、情報記録方法、情報再生方法、およびディスクドライブ |
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