JP2004326026A - 電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光体上を露光した露光光線が既に形成されたトナー像に吸収されず、且つコントラストの高い画像を形成できる電子写真装置を提供する事を目的とする。
【解決手段】複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、1周する間に複数の彩色成分のトナー像が重畳して形成される感光体47aと、単色の無彩色成分のトナー像が形成される感光体47bと、記録紙42を吸着して感光体47a,47bの回転方向に対して順方向に周回走行し、感光体47bが記録紙42の搬送方向の最下流に位置するように設置された用紙搬送ベルト44と、それぞれの感光体47a,47bに対応して設けられ、感光体47aに形成されたトナー像を記録紙42に転写した後、当該トナー像に第2の感光体47bに形成されたトナー像を重畳して記録紙42に転写する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、1周する間に複数の彩色成分のトナー像が重畳して形成される感光体47aと、単色の無彩色成分のトナー像が形成される感光体47bと、記録紙42を吸着して感光体47a,47bの回転方向に対して順方向に周回走行し、感光体47bが記録紙42の搬送方向の最下流に位置するように設置された用紙搬送ベルト44と、それぞれの感光体47a,47bに対応して設けられ、感光体47aに形成されたトナー像を記録紙42に転写した後、当該トナー像に第2の感光体47bに形成されたトナー像を重畳して記録紙42に転写する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に関し、特にカラートナー像を記録媒体上に形成する電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、帯電・露光・現像を数回繰り返して感光体上に色の異なる複数のトナー像を形成した後、トナー像を記録紙に一括転写してカラー画像を得る電子写真装置が種々提案されている。
【0003】
ここで、従来の技術として、特開昭60−95456号公報に開示された電子写真装置を図12に示す。図12は従来の電子写真装置の構成を示す概略図である。
【0004】
図12において、電子写真装置には、矢印の方向に回転するセレンテルル(Se−Te)製の感光体21が備えられており、感光体21を一様に正帯電するコロナ帯電器22、レーザビームスキャナ23、イエロー(以下「Y」という。)、マゼンタ(以下「M」という。)、シアン(以下「C」という。)、ブラック(以下「B」という。)の現像剤がそれぞれ収納された現像器24〜27、トナー像を記録紙28に転写し易くするための除電ランプ29、トナー転写後の感光体21に残ったトナーを取り除くクリーニングブレード32、感光体21上の静電潜像を光で消去する除電ランプ33が、この感光体21の周囲にその回転方向に沿って配置されている。
【0005】
また、感光体21の対向位置にはトナー像を記録紙28に転写するためのコロナ帯電器30が設けられ、トナー像が転写された記録紙28の走行経路上には、当該トナー像を記録紙28に定着させる加熱定着器31が配置されている。
【0006】
次に、上述した電子写真装置を用いてカラー画像を形成するプロセスについて説明する。
【0007】
まずコロナ帯電器22で感光体21を正帯電したあと、レーザビームスキャナ23でYの画像信号を露光し、ネガの静電潜像(画像部が露光されて感光体の表面電位が減衰している静電潜像)を形成する。そして静電潜像をYトナーの入っている現像器24でネガ・ポジ反転現像し、感光体21上にYのトナー像を形成する。このとき、Yトナーの入っている現像器24だけが電源(図示せず)に接続されているが、その他の現像器25〜27はトナーが飛翔しない状態に調整されている。Yトナーで現像した後、感光体21を除電ランプ33で全面照射し、イエローの静電潜像を消去する。
【0008】
次に、Yのトナー像の形成プロセスと同様にして、帯電・露光・現像・光除電の工程を繰り返し、感光体21上にM,C,Bのトナー像をYのトナー像の上に順次形成する。全てのトナー像の形成が終了した後、除電ランプ29で静電潜像を消去し、コロナ帯電器30でトナー像を記録紙28に各色一括して静電転写する。一方、静電転写後、感光体21に残留したトナーは、クリーニングブレード32で除去されたカラー画像形成の1サイクルが完了する。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−95456号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の技術では、現像されたある色のトナー像の上に他色の画像データについて露光および現像を行ってトナー像を形成するようにしているので、既にトナー像の形成されている領域では露光光線が感光体表面まで届きにくくなったりスポット径が広がってしまい、トナー像の形成されていない領域と比較して静電潜像の解像度が低下してしまう。
【0011】
特にブラックおよび露光光の色の補色関係にある色(たとえば露光光が赤色であればシアン、緑色であればマゼンタ、青色であればイエロー)は露光光線を吸収するために、これらの色のトナー像が形成されている領域に露光光線を照射しても静電潜像が十分に形成されない。トナーが吸収する波長と、露光光の波長は完全に合致していないため、全く潜像が形成されないわけではないが、トナー付着に十分な感光体上の電位を得られなくなる。
【0012】
また、従来の技術では、記録媒体上において、ブラックのトナー像の上層に彩色(C、M、Y)のトナー像が配置されるようになる。ブラックのトナー像の上面に彩色(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像が重畳された場合、彩色トナー領域の内部でも光が反射するため、彩色トナーの色味が強く再現されてしまうために、コントラストの高い優れた画像を得ることができない。
【0013】
そこで、本発明は、複数色のトナー像が重畳して形成される感光体を用いて高解像度でコントラストの高い画像を形成することのできる電子写真装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の電子写真装置は、複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、複数の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成される第1の感光体と、単色の無彩色成分のトナー像が外周面に形成される第2の感光体と、記録媒体を搬送する用紙搬送手段と、それぞれの感光体に対応して設けられ、第1の感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、当該トナー像に第2の感光体に形成されたトナー像を重畳して記録媒体に転写する複数の転写手段とを有するものである。
【0015】
このように、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、複数の彩色成分のトナー像が形成される第1の感光体において露光光線の補色のトナー像を最後に形成するようにしているので、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になる。
【0016】
また、このカラートナー像を記録媒体に転写し、その後ブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、複数の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成される第1の感光体と、単色の無彩色成分のトナー像が外周面に形成される第2の感光体と、記録媒体を搬送する用紙搬送手段と、それぞれの感光体に対応して設けられ、第1の感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、当該トナー像に第2の感光体に形成されたトナー像を重畳して記録媒体に転写する複数の転写手段とを有する電子写真装置であり、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。また、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになるので、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1の感光体および第2の感光体を駆動して記録媒体上にカラーのトナー像を形成するカラー印字モードと、第1の感光体と用紙搬送手段との間に隙間を形成するとともに第1の感光体の駆動を停止し、第2の感光体のみを駆動して記録媒体上にモノクロのトナー像を形成するモノクロ印字モードとの、2つのモードを備えた電子写真装置であり、モノクロ印字モードにおいては第1の感光体が休止することにより第1の感光体の寿命を延ばすことができるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は緑色であり、第1の感光体ではマゼンタのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は赤色であり、第1の感光体ではシアンのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は青色であり、第1の感光体ではイエローのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図11を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1である電子写真装置の全体構成を示す概略図、図2は図1の電子写真装置に設けられた作像ステーションの構成を示す概略図、図3は図2の作像ステーションに設けられた露光ヘッドの構成を示す概略図、図4は図2の作像ステーションにおける多重現像の工程を示す説明図、図5は図1の電子写真装置におけるトナーの重畳状態を示す模式図、図6は図1の電子写真装置におけるコントローラの構成を示すブロック図、図7は図1の電子写真装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック図、図8は図7のヘッド制御部の構成を示すブロック図、図9は露光ヘッドおよびヘッド制御部の詳細な構成を示す回路図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の電子写真装置40は、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の3色の彩色成分のトナー像が形成される第1の作像ステーション41a、および単色の無彩色成分であるブラック(K)のトナー像が形成される第2の作像ステーション41bが装置内に縦方向に配列されており、その下方には記録紙(記録媒体)42が収容される給紙トレイ43が配設されている。
【0025】
また、各作像ステーション41a,41bに対応した箇所には、給紙トレイ43から供給されて下方から上方に搬送される記録紙42を吸着して周回走行する無端状の用紙搬送ベルト(用紙搬送手段)44が配置されている。用紙搬送ベルト44は、PETなどの基材中にカーボン等を分散して所定の誘電率を有するように形成されたベルトであり、用紙搬送ベルト44に所定の電位を印加することで、給紙トレイ43から給紙された記録紙42を表面に吸着し、第1の作像ステーション41aおよび第2の作像ステーション41bに搬送する。
【0026】
なお、本実施の形態では用紙搬送手段として無端ベルトである用紙搬送ベルト44が用いられているが、搬送ローラとガイド板を用いてもよい。また転写ドラムを用いて一旦記録紙をドラムに巻きつける構成を採用してもよい。
【0027】
前述した第1の作像ステーション41aおよび第2の作像ステーション41bは記録紙42の搬送経路の上流側から順にそれぞれ配置されており、感光体(第1の感光体)47aおよび感光体(第2の感光体)47b、現像スリーブ(図示せず)、帯電器(図示せず)等、一連の電子写真方式における現像プロセスを実現する部材の集合体である。なお、用紙搬送ベルト44は感光体47a,47bの回転方向に対して順方向に走行する。
【0028】
ここで作像ステーション41a,41bについて図2および図4を用いて詳細に説明する。
【0029】
図2および図4において、第1の作像ステーション41aは、感光体47aと、この感光体47aに付着した像転写後の残留トナーを除去する感光体クリーナ10を備えている。また、感光体47aの周囲にはトナー像形成手段である第1の除電器11、第1の帯電器12、第1の露光ヘッド13、第1の現像器14、第2の除電器15、第2の帯電器16、第2の露光ヘッド17、第2の現像器18、第3の除電器2、第3の帯電器3、第3の露光ヘッド4および第3の現像器5が、感光体47aの回転方向に沿って配置されている。
【0030】
ここで、第1の除電器11は感光体47aの残留電荷を除去し、第1の帯電器12は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第1の露光ヘッド13は帯電した感光体47aの外周面に第1の色(ここではイエロー)に対応した静電潜像を露光光線(ここでは、有機EL素子を光源とした緑色の露光光線)により形成し、第1の現像器14は形成された静電潜像にトナー(ここではイエローのトナー)を供給してトナー像を形成する。また、第2の除電器15はイエローのトナー像形成後に感光体47aに残留している電荷を除去し、第2の帯電器16は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第2の露光ヘッド17は帯電した感光体47aの外周面に第2の色(ここではシアン)に対応した静電潜像をイエローのトナー像の上から露光光線により形成し、第2の現像器18は形成された静電潜像にトナー(ここではシアンのトナー)を供給して第1の現像器14で形成されたトナー像の上にトナー像を形成する。さらに、第3の除電器2はシアンのトナー像形成後に感光体47aに残留している電荷を除去し、第3の帯電器3は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第3の露光ヘッド4は帯電した感光体47aの外周面に第3の色(ここではマゼンタ)に対応した静電潜像をシアンのトナー像の上から露光光線により形成し、第3の現像器5は形成された静電潜像にトナー(ここではマゼンタのトナー)を供給して第2の現像器18で形成されたトナー像の上にトナー像を形成する。このようにして、感光体47aが1周する間に、第1色目のイエローのトナー像が形成された後、このトナー像を他の像担持体に転写することなく、直ちに第2色目のシアンのトナー像および第3色目のマゼンタのトナー像が続けて形成されることから、イエロー、シアンおよびマゼンタの3色の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成されることになる。
【0031】
また、第2の作像ステーション41bは、感光体47bと、この感光体47bに付着した像転写後の残留トナーを除去する感光体クリーナ10を備えている。また、感光体47bの周囲にはトナー像形成手段である第4の除電器6、第4の帯電器7、第4の露光ヘッド8および第4の現像器9が、感光体47bの回転方向に沿って配置されている。
【0032】
そして、第4の除電器6は感光体47bの残留電荷を除去し、第4の帯電器7は感光体47bの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第4の露光ヘッド8は帯電した感光体47bの外周面にブラックに対応した静電潜像を露光光線(ここでは、有機EL素子を光源とした緑色の露光光線)により形成し、第4の現像器9は形成された静電潜像にブラックのトナーを供給してブラックのトナー像を形成する。
【0033】
露光ヘッド13,17,4,8は、図3に示すように、露光ヘッドを支持するヘッド支持部材53を有している。そして、露光ヘッド13,17,4,8は、基材84に実装されてヘッド支持部材53上に設けられた封止材85で気密封止された光源としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)86と、基材84上に設けられて画像データに対応した電圧を有機EL素子86に給電してこれを発光させるドライバ87とからなる。さらに、基材84上には、有機EL素子8からの照射光を反射して光路を90°変換するプリズム88、プリズム88からの光を伝送かつ集光するファイバアレイ89、ファイバアレイ89からの光を副走査方向に絞り込むシリンドリカルレンズ90が搭載されている。
【0034】
なお、有機EL素子は、現状では緑色が最も光量が大きい。したがって、前述のように緑色の露光光線が用いられ、また感光体47a,47bとしては、緑色の露光光線に対する感度が高い感光体(例えばアナログ複写機用の感光体)が用いられている。但し、緑色以外の露光光線を用いてもよく、光源としてはレーザなど他のものを用いることもできる。
【0035】
図1および図2において、用紙搬送ベルト44のループの内部空間には、用紙搬送ベルト44を挟んで感光体47aと対向する位置に転写ローラ(転写手段)55aが、また感光体47bと対向する位置に転写ローラ(転写手段)55bがそれぞれ設けられており、駆動源19により用紙搬送ベルト44の走行方向と順方向に回転する。転写ローラ55aおよび転写ローラ55bには所定の転写バイアスが印加されており、それぞれの感光体47a上に形成された彩色成分のトナー像および感光体47b上に形成された無彩色成分のトナー像を、用紙搬送ベルト44により搬送されてきた記録紙42に転写する。
【0036】
したがって、第1の作像ステーション41aで形成されて記録紙42に転写された彩色成分のトナー像の上からブラックのトナー像が転写されて重畳することにより、カラートナー像が完成する。
【0037】
用紙搬送ベルト44の周囲には更に廃トナーボックス20が配設されている。用紙搬送ベルト44に何らかの原因(たとえば記録紙の搬送不良(JAM:ジャミング)などによって、用紙搬送ベルト44にトナー像が付着するようなケース)でトナーが付着した場合、このトナーは用紙搬送ベルトクリーナ20aによって除去され、廃トナーボックス20に収納される。
【0038】
図4に示すように、第1の現像器14、第2の現像器18および第3の現像器5には、キャリアとトナーの混合物である現像剤45が充填されている。46a、46bは現像剤45を攪拌する攪拌パドルであり、攪拌パドル46a,46bの回転によって現像剤45中のトナーは摩擦によって所定の電位に帯電されると共に、現像器14,18,5内部を巡回することでトナーとキャリアが十分に攪拌混合される。49は現像スリーブ(現像手段)、50は薄層化ブレードである。現像スリーブ49は内部に複数の磁極が形成されたマグロール51を有している。薄層化ブレード50によって、現像スリーブ49の表面に供給される現像剤45の層厚が規制されると共に、現像スリーブ49は矢印D4で示す方向に回転し、この回転およびマグロール51の磁極の作用によって現像剤45は現像スリーブ49の表面に供給され、感光体47aに転写されなかった現像剤は現像器14,18,5の内部に回収される。
【0039】
なお、第4の現像器9についても、充填された現像材45の色がブラックであることを除き、これらの現像器と同様の構成になっている。
【0040】
本実施の形態では、全ての現像器5,9,14,18に2成分現像が採用され、かつ感光体47a,47bと現像スリーブ49のトナー面との間に図示しないギャップリング等のギャップ形成部材によって所定のギャップを設け、更に現像スリーブ49にDC+AC電位を印加することで、現像スリーブ49上のトナーを感光体47a,47bに飛翔させる現像方式を採用している。同一の感光体47a,47b上に複数色のトナー像を形成するこのような多重現像方式においては、現像スリーブ49上のトナー面を直接感光体47a,47bに接触させてしまうと、一旦感光体47a,47b上に現像されたトナーが、たとえば現像器14のトナーが現像器18に入って混色することがあることから、これを防止するために感光体47a,47bと現像スリーブ49(あるいはトナー面)とを非接触で現像する方式がとられている。
【0041】
記録紙42に転写されるトナーの重畳状態を、図5を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態のような多重現像による作像プロセスでは、第1色目のトナー(例えばイエロー)を現像した上から第2色目(例えばシアン)に対応した画像データに基づき露光ヘッド17を駆動して感光体47aを露光する。また、第2色目のトナー(例えばシアン)を現像した上から、第3色目(例えばマゼンタ)に対応した画像データに基づき露光ヘッド4を駆動して感光体47aを露光する。この際、露光ヘッド4,17から照射された露光光線が、既に感光体47a上に形成されたトナーによって吸収(スペクトル的に吸収)されなければ、当該露光光線は第1色目のトナー層を通して、あるいは第1色目および第2色目のトナー像を通して感光体47aに到達し、感光体47a上に潜像を形成することができる。
【0043】
ここで、有機EL素子86を光源とした露光ヘッド4,8,13,17では、現状においては緑色のEL材料の光量が最も高い。すると、その補色にあたるマゼンタのトナーは緑色のスペクトル領域の光を吸収するので、感光体47a上にマゼンタのトナー像を形成してしまうと、緑色の露光光線はマゼンタのトナー層で吸収されて感光体47aに到達しないため、その上から露光することができない。また、ブラックのトナーは一般にカーボンブラックを含有し、全ての可視光を吸収する。
【0044】
したがって、既にマゼンタのトナー像が形成された感光体47aの上から緑色の露光光線で露光しても、感光体47a上に潜像を形成することはできない。また、ブラックのトナー像が形成された感光体47bの上から緑色の露光光線で露光しても、感光体47b上に潜像を形成することはできない。すなわち、第1の作像ステーション41aにおいて、マゼンタのトナー像の形成された感光体47a上には、緑色の露光光線で露光を行っても感光体47a上に静電潜像を形成することはできず、さらにブラックのトナー像の形成された感光体47b上には、どのような色の露光光線で露光を行っても静電潜像を形成することはできない。
【0045】
よって、本実施の形態では、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせている。そして、彩色成分のトナー像を形成する第1の作像ステーション41aの感光体47aにおいては露光光線の補色でない色のトナー像を形成しておき、露光光線の補色のトナー像についてはこられのトナー像を形成した後、すなわち最後に露光および現像を行って形成する。つまり、緑色の露光光線を用いた場合には、図5に示すように、第1の作像ステーション41aの感光体47aにおいては、最初にイエローのトナー像を、次にシアンのトナー像を形成した後にマゼンタのトナー像を形成する。あるいは、最初にシアンのトナー像を、次にイエローのトナー像を形成した後にマゼンタのトナー像を形成する。
【0046】
これにより、第1の作像ステーション41aにおいて記録紙42に転写されたトナー像は、マゼンタが記録紙42上に位置し、その上層にシアンが、さらにその上層にイエローが位置してこれらが重畳したものになる。
【0047】
そして、第2の作像ステーション41bではブラックのトナー像が形成されることから、このような記録紙42に対する第2の作像ステーション41bでの転写により、最上層にブラックのトナー像が位置して4色が重なり合ったカラートナー像が形成される。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、露光光線の補色のトナー像(この場合にはマゼンタ)を彩色成分のトナー像を形成する感光体47aの最後に形成するようにしているので、複数色のトナー像が重畳して形成される感光体47aにおいてトナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になる。
【0049】
そして、このカラートナー像を記録紙42に転写し、その後第2の作像ステーション41bの感光体47bにおいてブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になる。
【0050】
なお、露光光線がレーザビームのような赤色であれば、赤色の補色であるシアンが赤色の露光光線を吸収するため、シアンの現像を最後に行わねばならない。また、露光光線が青色であれば、青色の補色であるイエローが青色の露光光線を吸収するため、イエローの現像を最後に行わねばならない。なお、前者の場合においては、マゼンタおよびイエローのどちらを最初に形成してもよく、後者の場合においては、マゼンタおよびシアンのどちらを最初に形成してもよい。
【0051】
以降、図1に戻って説明を続ける。
【0052】
56はトナーボトルであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが格納されている。トナーボトル56から各現像器には、図示しないトナー搬送用のパイプが配設され、各現像器にトナーを供給する。
【0053】
57は給紙ローラであり、図示しない電磁クラッチを制御することで回転し、給紙トレイ43に装填された記録紙42を用紙搬送ベルト44へと送り出す。
【0054】
給紙ローラ57と最上流の第1の作像ステーション41aの転写部位との間には、入口側のニップ搬送手段としてレジストローラ58、ピンチローラ59対が設けられている。レジストローラ58、ピンチローラ59対は、給紙ローラ57により搬送された記録紙42を一時的に停止させ、所定のタイミングで第1の作像ステーション41aの方向に搬送する。この一時停止によって記録紙42の先端がレジストローラ58、ピンチローラ59対の軸方向と平行に規制され、記録紙42の斜行を防止する。
【0055】
60は記録紙通過センサである。記録紙通過センサ60は反射型センサ(フォトリフレクタ)によって構成され、反射光の有無で記録紙の先端および後端を検出する。
【0056】
さて、レジストローラ58が回転を開始すると(図示しない電磁クラッチによって動力伝達を制御し、回転ON/OFFを行う)記録紙42は第1の作像ステーション41aの方向に搬送されるが、レジストローラ58の回転開始タイミングを起点として、各作像ステーション41a,41bに搭載した露光ヘッド4,8,13,17による静電潜像の書き込みタイミングが独立して制御される。
【0057】
最下流の第2の作像ステーション41bの更に下流側には、出口側のニップ搬送手段として定着器62が設けられている。定着器62は加熱ローラ63と加圧ローラ64とから構成されている。加熱ローラ63は表面から近い順に、発熱ベルト、ゴムローラ、芯材(共に図示せず)から構成されている多層構造のローラである。このうち発熱ベルトは更に3層構造を有するベルトであり、表面に近い方から離型層、シリコンゴム層、基材層(共に図示せず)から構成される。離型層は厚み約20〜30μmのフッ素樹脂からなり、加熱ローラ63に離型性を付与する。シリコンゴム層は約170μmのシリコンゴムで構成され、加圧ローラに適度な弾性を与える。基材層は鉄・ニッケル・クロム等の合金である磁性材料によって構成されている。
【0058】
65は励磁コイルが内包された背面コアである。背面コア65の内部には表面が絶縁された銅製の線材(図示せず)を所定本数束ねた励磁コイルを、加熱ローラ63の回転軸方向に延伸し、かつ加熱ローラ63の両端部において、加熱ローラ63の周方向に沿って周回して形成されている。励磁コイルに半共振型インバータである励磁回路(図示せず)から約30kHzの交流電流を印加すると、背面コア65と加熱ローラ63の基材層によって構成される磁路に磁束が生じる。この磁束によって加熱ローラ63の発熱ベルトの基材層に渦電流が形成され、基材層が発熱する。基材層で生じた熱はシリコンゴム層を経て離型層まで伝達され、加熱ローラ63の表面が発熱する。
【0059】
66は加熱ローラ63の温度検出手段として設けられているサーミスタ(Thermally Sensitive Resistor)である。サーミスタは金属酸化物を主原料とし、高温で焼結して得られるセラミック半導体であり、温度に応じて負荷抵抗が変化することを応用して、接触した対象物の温度を計測することができる。サーミスタ66の出力は図示しない制御装置に入力され、制御装置はサーミスタ66の出力に基づいて背面コア65内部の励磁コイルに出力する電力を制御し、加熱ローラ63の表面温度が約170℃となるよう制御する。
【0060】
この温度制御がなされた加熱ローラ63と加圧ローラ64によって形成されるニップ部に、トナー像が形成された記録紙42を通紙すると、記録紙42上のトナー像は、加熱ローラ63と加圧ローラ64によって加熱/加圧され、定着画像を得ることができる。なお、画像が定着された記録紙42は、その後排紙ローラ74によって搬送され、排紙トレイ78に排出される。
【0061】
駆動源19は、本実施の形態ではステッピングモータを採用している。駆動源77によって、給紙ローラ57、レジストローラ58、ピンチローラ59、感光体47a,47bと転写ローラ55a,55bを含む第1および第2の作像ステーション41a,41bの周辺部、定着器62、排紙ローラ74の駆動を行っている。
【0062】
80はコントローラであり、外部のネットワークを介して図示しないコンピュータ等からの画像データを受信し、プリント可能な画像データを生成する。
【0063】
81はエンジン制御部である。エンジン制御部81は電子写真装置40のハードウェアやメカニズムを制御し、コントローラ80から転送された画像データに基いて記録紙42にカラー画像を形成すると共に、電子写真装置の制御全般を行っている。
【0064】
次に、本実施の形態の電子写真装置におけるコントローラの構成と動作について、図6を用いて説明する。
【0065】
図6において、100はコンピュータである。コンピュータ100はネットワーク101経由でコントローラ80に画像データやプリントジョブ情報を転送する。102はネットワークインタフェースである。コントローラ80はネットワークインタフェース102を介して、コンピュータ100から転送されてきた画像データやプリントジョブ情報を受信したり、逆に電子写真装置のエラー状況などのいわゆるステータス情報をコンピュータ100に送信する。
【0066】
103はCPU(制御手段)であり、ROM104に格納されたプログラムに基きコントローラ80の動作を制御している。
【0067】
105はRAMであり、CPU103のワークエリアとして使用されると共に、ネットワークインタフェース102で受信された画像データやプリントジョブ情報、およびページ単位に展開されたプリント可能な画像データ等が、一時的に記憶される。
【0068】
106は画像処理部である。画像処理部106ではコンピュータ100から転送された画像データとプリントジョブ情報(共に一時的にRAM105に格納されている)に基き、ページ単位に画像処理(プリンタ言語からラスタデータへの変換処理、色補正、エッジ補正、スクリーン生成等)を行って印字に供する画像データを生成し、これを再度RAM105に格納する。
【0069】
107はプリンタインタフェースであり、RAM105に格納されたページ単位の画像データは、プリンタインタフェース107を介してエンジン制御部81に転送される。
【0070】
次に、エンジン制御部の構成と動作について、図7に図1を併用して説明する。
【0071】
図7において110はコントローラインタフェースである。コントローラインタフェース110は、コントローラ80から転送されるページ単位の画像データ、およびプリントモード情報を受信する。
【0072】
111はCPU(制御手段)であり、ROM112に格納されたプログラムに基きプリンタエンジンの動作を制御している。113はRAMであり、CPU111が動作する際のワークエリアとして使用される。114はEEPROM等の所謂書き換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ114には、例えば電子写真装置の感光体47a,47bの回転時間、定着器62の動作時間等の寿命情報などを格納する。115はシリアルインタフェースである。記録紙通紙センサ60や図示しない記録紙後端検出センサなどのセンサ群からの情報、図示しない電源監視部の出力は、シリアル変換手段によって所定の周期のシリアル信号に変換され、シリアルインタフェース115で受信される。シリアルインタフェース115で受信されたシリアル信号は、パラレル信号に変換された後にCPU111に読み取られる。一方、給紙ローラ57、感光体47a,47b、定着器の加熱ローラ63等を駆動する駆動源19の起動/停止や、給紙ローラ57およびレジストローラ58に対する駆動力伝達を制御する電磁クラッチ(図示せず)等のアクチュエータへの制御信号や、現像バイアス/転写バイアス/帯電電位などの高圧電源の電位設定のための制御信号などは、パラレル信号としてシリアルインタフェース115に送られる。シリアルインタフェース115では、このパラレル信号をシリアル信号に変換して、アクチュエータ群に出力する。本実施の形態では、高速に検出する必要のないセンサ入力やアクチュエータ制御信号の出力は、全てシリアルインタフェース115を介して行っている。
【0073】
一方、高速なサンプリングが要求されるトナー像検出センサ(図示せず)からの入力はCPU111の入力端子に直接接続されている。
【0074】
120Y,120M,120C,120Kは各印字色に対応した露光ヘッドの駆動を制御するヘッド制御部である。ヘッド制御部120Y〜120Kには露光ヘッドの露光タイミング制御と、露光ヘッドに搭載された有機EL素子の駆動電圧制御を行う機能が含まれている。121Y,121M,121C,121Kは数ライン分の容量を有するバッファメモリである。コントローラインタフェース110を介して転送された画像データは、各印字色毎に独立して設けられたバッファメモリ121Y〜121Kに一時的に格納される。バッファメモリ121Y〜121Kに格納された画像データは、図示しないDMA回路によって各印字色に対応した露光ヘッドに転送される。なおバッファメモリ121Y〜121KはデュアルポートRAMで構成されており、図示しないパスを介してCPU111による読み取りと書き込みが可能となっている。
【0075】
122Y,122M,122C,122Kはドライバであり、ヘッド制御部120Y〜120Kから出力される制御信号と、バッファメモリ121Y〜121Kから転送された画像データに基づいて、有機EL素子である発光素子(123Y〜123Kを駆動する。なお、本実施の形態では、有機EL素子の発光素子列が2列になっていることから(図3参照)、各素子列に対応してドライバが設けられている。
【0076】
次に、ヘッド制御部120の構成を、図8を用いて詳細に説明する。なお、図7で示したように、実際にはヘッド制御部は印字色毎に4つ存在するが、以降簡単のため1つのヘッド制御部を対象として説明する。
【0077】
図7において130はヘッド駆動タイミング生成部である。ヘッド駆動タイミング生成部130は、露光ヘッドに搭載された2つの素子列である第1の素子列86aに対応した第1のドライバ122aおよび第2の素子列86bに対応した第2のドライバ122bに対して、バッファメモリ121から送られた画像データの1ライン分の保持に関する制御および第1および第2の素子列86a,86bの駆動タイミングを生成する。ヘッド駆動タイミング生成部130はバッファメモリ121に対して画像データ転送用のクロック信号(CLK)およびアドレス生成部130aで生成されたアドレス(ADDRESS)を供給する。また、ヘッド駆動タイミング生成部130は、ドライバ122a,122bに対してクロック信号(CLK)およびその他のドライバ制御信号を出力する。
【0078】
次に、図9を用いて露光ヘッド4,8,13,17の駆動について詳細に説明する。
【0079】
図9において、150はライン方向に直線状に配置された39個のドライバチップである。151はドライバチップ150単位に設けられた256ビットのシフトレジスタ、152はシフトレジスタ151に対応して配置された256ビットのラッチ、153はラッチ152の出力信号及びストローブ信号(STB)1〜13を受けて動作するゲート、154はゲート153の出力信号に基づいてON/OFFの状態をとるドライバトランジスタ、123はドライバトランジスタ154によって駆動される電流に基づいて発光する有機EL素子である。
【0080】
バッファメモリ121から出力された画像データ(DATA)は、クロック信号(CLK)に同期してシフトレジスタ151内部をビット単位に転送され、256ビット分の転送が完了すると隣接するシフトレジスタ151に出力される。すべてのシフトレジスタ151に画像データ(DATA)が送られると、ロード信号(LOAD)がラッチ152に入力され、シフトレジスタ151内の画像データ(DATA)は一括してラッチに保持される。
【0081】
画像データがラッチされると、ストローブ信号(STB)1〜13が順に出力され、既にラッチに保持されている画像データ(DATA)とストローブ信号(STB)1〜13は、ゲート153においてAND演算され、ストローブ信号(STB)1〜13が予め定められたロジック(例えばHigh状態)となると、ラッチされた画像データに従ってドライバトランジスタがON状態になって有機EL素子123に駆動電流が供給されて有機EL素子が点灯する。
【0082】
次にヘッド駆動電圧設定部133について説明する。ヘッド駆動電圧設定部133において、156はDAコンバータ、157はヘッド電源であり、CPU111からDAコンバータ156に値を設定することでドライバトランジスタ154全体に供給される電源電圧が決定される。158はドライバ電流設定部であり、各ドライバチップ150毎に独立して設けられている。ドライバ電流設定部158にはライン同期信号(LSYNC)とクロック信号(CLK)が入力されており、画像データの転送と同期して各ドライバチップ150単位に供給される電流値を設定できる構成となっている。
【0083】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2である電子写真装置において転写ローラが感光体を押圧している状態を示す概略図、図11は図10の電子写真装置において転写ローラが感光体と離間している状態を示す概略図である。
【0084】
実施の形態1で説明したように、感光体(第1の感光体)47aおよび感光体(第2の感光体)47bの両方を用いてカラー画像を形成する場合、転写ローラ55aが方向Aに付勢されて用紙搬送ベルト44が感光体47aと接触する。そして、給紙トレイ43から給紙された記録紙42は用紙搬送ベルト44に吸着され、第1の作像ステーション41aにおいて感光体47a上に形成されたイエロー、シアン、マゼンタの3色のトナー像が一括して転写される。その後、記録紙42は用紙搬送ベルト44によって搬送され、感光体47b上に形成されたブラックのトナー像が前述した3色のトナー像上に重畳転写される。
【0085】
本実施の形態の電子写真装置では、このような感光体47aおよび感光体47bを駆動して記録紙42上にカラーのトナー像を形成するモード、つまりカラー印字モードを有している。
【0086】
さらに、感光体47bのみを用いてモノクロ画像を形成する場合には、転写ローラ55aを方向Bに変位し、用紙搬送ベルト44と感光体47aの間に隙間を設ける。従動ローラ68は付勢バネ69によって方向Cに変位し、用紙搬送ベルト44の張力は略一定に保たれる。
【0087】
これにより、給紙トレイ43から給紙された記録紙42は、用紙搬送ベルト44に吸着されて、第1の作像ステーション41aではトナー像が転写されることなく感光体47aと転写ローラ55aとの間の隙間を搬送される。やがて記録紙42は第2の作像ステーション41bに到達し、ここで感光体47b上に形成されたブラックのトナー像が転写される。
【0088】
すなわち、本実施の形態の電子写真装置では、このように感光体47bのみで記録紙42上にモノクロのトナー像を形成するモード、つまりモノクロ印字モードを有している。
【0089】
モノクロ印字モードのときには、感光体47aの駆動が停止され、第1の作像ステーション41aでのトナー像動作が停止される。一般にビジネスユースではカラー印字と比較してモノクロ印字の印刷ボリュームが多いが、モノクロ印字モード実行時にカラー印字に対応した感光体47aを回転させると、例えば感光体クリーナ10との摩擦などによって感光体47aに余分なストレスが加わり、感光体47aの劣化が進行する。しかし、このように感光体47aを休止させて第1の作像ステーション41aの動作を停止することで、感光体47aの寿命を延ばすことが可能となる。
【0090】
なお、カラー印字モードとモノクロ印字モードの動作はエンジン制御部81で実行される。
【0091】
以上の説明においては、本発明を4色のカラー電子写真装置に適用した場合について説明したが、現像色はイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色に限定されるものではなく、4色以外であってもよい。
【0092】
また、感光体の数は複数であればよく、本実施の形態に示すような2つの感光体に限定されるものではない。つまり、単色の無彩色成分が形成される第2の感光体が記録紙42の搬送方向の最下流に位置する感光体となるように設置されていればよく、彩色成分のトナー像は第1の感光体に加え、それ以外の感光体でも形成することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、複数の彩色成分のトナー像が形成される第1の感光体において露光光線の補色のトナー像を最後に形成するようにしているので、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になるという有効な効果が得られる。
【0094】
また、カラートナー像を記録媒体に転写し、その後ブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1である電子写真装置の全体構成を示す概略図
【図2】図1の電子写真装置に設けられた作像ステーションの構成を示す概略図
【図3】図2の作像ステーションに設けられた露光ヘッドの構成を示す概略図
【図4】図2の作像ステーションにおける多重現像の工程を示す説明図
【図5】図1の電子写真装置におけるトナーの重畳状態を示す模式図
【図6】図1の電子写真装置におけるコントローラの構成を示すブロック図
【図7】図1の電子写真装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック図
【図8】図7のヘッド制御部の構成を示すブロック図
【図9】露光ヘッドおよびヘッド制御部の詳細な構成を示す回路図
【図10】本発明の実施の形態2である電子写真装置において転写ローラが感光体を押圧している状態を示す概略図
【図11】図10の電子写真装置において転写ローラが感光体と離間している状態を示す概略図
【図12】従来の電子写真装置の構成を示す概略図
【符号の説明】
42 記録紙(記録媒体)
44 用紙搬送ベルト(用紙搬送手段)
47a 感光体(第1の感光体)
47b 感光体(第2の感光体)
55a,55b 転写ローラ(転写手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に関し、特にカラートナー像を記録媒体上に形成する電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、帯電・露光・現像を数回繰り返して感光体上に色の異なる複数のトナー像を形成した後、トナー像を記録紙に一括転写してカラー画像を得る電子写真装置が種々提案されている。
【0003】
ここで、従来の技術として、特開昭60−95456号公報に開示された電子写真装置を図12に示す。図12は従来の電子写真装置の構成を示す概略図である。
【0004】
図12において、電子写真装置には、矢印の方向に回転するセレンテルル(Se−Te)製の感光体21が備えられており、感光体21を一様に正帯電するコロナ帯電器22、レーザビームスキャナ23、イエロー(以下「Y」という。)、マゼンタ(以下「M」という。)、シアン(以下「C」という。)、ブラック(以下「B」という。)の現像剤がそれぞれ収納された現像器24〜27、トナー像を記録紙28に転写し易くするための除電ランプ29、トナー転写後の感光体21に残ったトナーを取り除くクリーニングブレード32、感光体21上の静電潜像を光で消去する除電ランプ33が、この感光体21の周囲にその回転方向に沿って配置されている。
【0005】
また、感光体21の対向位置にはトナー像を記録紙28に転写するためのコロナ帯電器30が設けられ、トナー像が転写された記録紙28の走行経路上には、当該トナー像を記録紙28に定着させる加熱定着器31が配置されている。
【0006】
次に、上述した電子写真装置を用いてカラー画像を形成するプロセスについて説明する。
【0007】
まずコロナ帯電器22で感光体21を正帯電したあと、レーザビームスキャナ23でYの画像信号を露光し、ネガの静電潜像(画像部が露光されて感光体の表面電位が減衰している静電潜像)を形成する。そして静電潜像をYトナーの入っている現像器24でネガ・ポジ反転現像し、感光体21上にYのトナー像を形成する。このとき、Yトナーの入っている現像器24だけが電源(図示せず)に接続されているが、その他の現像器25〜27はトナーが飛翔しない状態に調整されている。Yトナーで現像した後、感光体21を除電ランプ33で全面照射し、イエローの静電潜像を消去する。
【0008】
次に、Yのトナー像の形成プロセスと同様にして、帯電・露光・現像・光除電の工程を繰り返し、感光体21上にM,C,Bのトナー像をYのトナー像の上に順次形成する。全てのトナー像の形成が終了した後、除電ランプ29で静電潜像を消去し、コロナ帯電器30でトナー像を記録紙28に各色一括して静電転写する。一方、静電転写後、感光体21に残留したトナーは、クリーニングブレード32で除去されたカラー画像形成の1サイクルが完了する。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−95456号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の技術では、現像されたある色のトナー像の上に他色の画像データについて露光および現像を行ってトナー像を形成するようにしているので、既にトナー像の形成されている領域では露光光線が感光体表面まで届きにくくなったりスポット径が広がってしまい、トナー像の形成されていない領域と比較して静電潜像の解像度が低下してしまう。
【0011】
特にブラックおよび露光光の色の補色関係にある色(たとえば露光光が赤色であればシアン、緑色であればマゼンタ、青色であればイエロー)は露光光線を吸収するために、これらの色のトナー像が形成されている領域に露光光線を照射しても静電潜像が十分に形成されない。トナーが吸収する波長と、露光光の波長は完全に合致していないため、全く潜像が形成されないわけではないが、トナー付着に十分な感光体上の電位を得られなくなる。
【0012】
また、従来の技術では、記録媒体上において、ブラックのトナー像の上層に彩色(C、M、Y)のトナー像が配置されるようになる。ブラックのトナー像の上面に彩色(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像が重畳された場合、彩色トナー領域の内部でも光が反射するため、彩色トナーの色味が強く再現されてしまうために、コントラストの高い優れた画像を得ることができない。
【0013】
そこで、本発明は、複数色のトナー像が重畳して形成される感光体を用いて高解像度でコントラストの高い画像を形成することのできる電子写真装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の電子写真装置は、複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、複数の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成される第1の感光体と、単色の無彩色成分のトナー像が外周面に形成される第2の感光体と、記録媒体を搬送する用紙搬送手段と、それぞれの感光体に対応して設けられ、第1の感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、当該トナー像に第2の感光体に形成されたトナー像を重畳して記録媒体に転写する複数の転写手段とを有するものである。
【0015】
このように、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、複数の彩色成分のトナー像が形成される第1の感光体において露光光線の補色のトナー像を最後に形成するようにしているので、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になる。
【0016】
また、このカラートナー像を記録媒体に転写し、その後ブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、複数の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成される第1の感光体と、単色の無彩色成分のトナー像が外周面に形成される第2の感光体と、記録媒体を搬送する用紙搬送手段と、それぞれの感光体に対応して設けられ、第1の感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、当該トナー像に第2の感光体に形成されたトナー像を重畳して記録媒体に転写する複数の転写手段とを有する電子写真装置であり、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。また、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになるので、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1の感光体および第2の感光体を駆動して記録媒体上にカラーのトナー像を形成するカラー印字モードと、第1の感光体と用紙搬送手段との間に隙間を形成するとともに第1の感光体の駆動を停止し、第2の感光体のみを駆動して記録媒体上にモノクロのトナー像を形成するモノクロ印字モードとの、2つのモードを備えた電子写真装置であり、モノクロ印字モードにおいては第1の感光体が休止することにより第1の感光体の寿命を延ばすことができるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は緑色であり、第1の感光体ではマゼンタのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は赤色であり、第1の感光体ではシアンのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、露光光線は青色であり、第1の感光体ではイエローのトナー像が最後に形成される電子写真装置であり、トナー像の形成された感光体上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されないので、高解像度の画像を形成することが可能になるという作用を有する。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図11を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1である電子写真装置の全体構成を示す概略図、図2は図1の電子写真装置に設けられた作像ステーションの構成を示す概略図、図3は図2の作像ステーションに設けられた露光ヘッドの構成を示す概略図、図4は図2の作像ステーションにおける多重現像の工程を示す説明図、図5は図1の電子写真装置におけるトナーの重畳状態を示す模式図、図6は図1の電子写真装置におけるコントローラの構成を示すブロック図、図7は図1の電子写真装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック図、図8は図7のヘッド制御部の構成を示すブロック図、図9は露光ヘッドおよびヘッド制御部の詳細な構成を示す回路図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の電子写真装置40は、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の3色の彩色成分のトナー像が形成される第1の作像ステーション41a、および単色の無彩色成分であるブラック(K)のトナー像が形成される第2の作像ステーション41bが装置内に縦方向に配列されており、その下方には記録紙(記録媒体)42が収容される給紙トレイ43が配設されている。
【0025】
また、各作像ステーション41a,41bに対応した箇所には、給紙トレイ43から供給されて下方から上方に搬送される記録紙42を吸着して周回走行する無端状の用紙搬送ベルト(用紙搬送手段)44が配置されている。用紙搬送ベルト44は、PETなどの基材中にカーボン等を分散して所定の誘電率を有するように形成されたベルトであり、用紙搬送ベルト44に所定の電位を印加することで、給紙トレイ43から給紙された記録紙42を表面に吸着し、第1の作像ステーション41aおよび第2の作像ステーション41bに搬送する。
【0026】
なお、本実施の形態では用紙搬送手段として無端ベルトである用紙搬送ベルト44が用いられているが、搬送ローラとガイド板を用いてもよい。また転写ドラムを用いて一旦記録紙をドラムに巻きつける構成を採用してもよい。
【0027】
前述した第1の作像ステーション41aおよび第2の作像ステーション41bは記録紙42の搬送経路の上流側から順にそれぞれ配置されており、感光体(第1の感光体)47aおよび感光体(第2の感光体)47b、現像スリーブ(図示せず)、帯電器(図示せず)等、一連の電子写真方式における現像プロセスを実現する部材の集合体である。なお、用紙搬送ベルト44は感光体47a,47bの回転方向に対して順方向に走行する。
【0028】
ここで作像ステーション41a,41bについて図2および図4を用いて詳細に説明する。
【0029】
図2および図4において、第1の作像ステーション41aは、感光体47aと、この感光体47aに付着した像転写後の残留トナーを除去する感光体クリーナ10を備えている。また、感光体47aの周囲にはトナー像形成手段である第1の除電器11、第1の帯電器12、第1の露光ヘッド13、第1の現像器14、第2の除電器15、第2の帯電器16、第2の露光ヘッド17、第2の現像器18、第3の除電器2、第3の帯電器3、第3の露光ヘッド4および第3の現像器5が、感光体47aの回転方向に沿って配置されている。
【0030】
ここで、第1の除電器11は感光体47aの残留電荷を除去し、第1の帯電器12は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第1の露光ヘッド13は帯電した感光体47aの外周面に第1の色(ここではイエロー)に対応した静電潜像を露光光線(ここでは、有機EL素子を光源とした緑色の露光光線)により形成し、第1の現像器14は形成された静電潜像にトナー(ここではイエローのトナー)を供給してトナー像を形成する。また、第2の除電器15はイエローのトナー像形成後に感光体47aに残留している電荷を除去し、第2の帯電器16は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第2の露光ヘッド17は帯電した感光体47aの外周面に第2の色(ここではシアン)に対応した静電潜像をイエローのトナー像の上から露光光線により形成し、第2の現像器18は形成された静電潜像にトナー(ここではシアンのトナー)を供給して第1の現像器14で形成されたトナー像の上にトナー像を形成する。さらに、第3の除電器2はシアンのトナー像形成後に感光体47aに残留している電荷を除去し、第3の帯電器3は感光体47aの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第3の露光ヘッド4は帯電した感光体47aの外周面に第3の色(ここではマゼンタ)に対応した静電潜像をシアンのトナー像の上から露光光線により形成し、第3の現像器5は形成された静電潜像にトナー(ここではマゼンタのトナー)を供給して第2の現像器18で形成されたトナー像の上にトナー像を形成する。このようにして、感光体47aが1周する間に、第1色目のイエローのトナー像が形成された後、このトナー像を他の像担持体に転写することなく、直ちに第2色目のシアンのトナー像および第3色目のマゼンタのトナー像が続けて形成されることから、イエロー、シアンおよびマゼンタの3色の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成されることになる。
【0031】
また、第2の作像ステーション41bは、感光体47bと、この感光体47bに付着した像転写後の残留トナーを除去する感光体クリーナ10を備えている。また、感光体47bの周囲にはトナー像形成手段である第4の除電器6、第4の帯電器7、第4の露光ヘッド8および第4の現像器9が、感光体47bの回転方向に沿って配置されている。
【0032】
そして、第4の除電器6は感光体47bの残留電荷を除去し、第4の帯電器7は感光体47bの外周面を一様に所定の電荷に帯電し、第4の露光ヘッド8は帯電した感光体47bの外周面にブラックに対応した静電潜像を露光光線(ここでは、有機EL素子を光源とした緑色の露光光線)により形成し、第4の現像器9は形成された静電潜像にブラックのトナーを供給してブラックのトナー像を形成する。
【0033】
露光ヘッド13,17,4,8は、図3に示すように、露光ヘッドを支持するヘッド支持部材53を有している。そして、露光ヘッド13,17,4,8は、基材84に実装されてヘッド支持部材53上に設けられた封止材85で気密封止された光源としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)86と、基材84上に設けられて画像データに対応した電圧を有機EL素子86に給電してこれを発光させるドライバ87とからなる。さらに、基材84上には、有機EL素子8からの照射光を反射して光路を90°変換するプリズム88、プリズム88からの光を伝送かつ集光するファイバアレイ89、ファイバアレイ89からの光を副走査方向に絞り込むシリンドリカルレンズ90が搭載されている。
【0034】
なお、有機EL素子は、現状では緑色が最も光量が大きい。したがって、前述のように緑色の露光光線が用いられ、また感光体47a,47bとしては、緑色の露光光線に対する感度が高い感光体(例えばアナログ複写機用の感光体)が用いられている。但し、緑色以外の露光光線を用いてもよく、光源としてはレーザなど他のものを用いることもできる。
【0035】
図1および図2において、用紙搬送ベルト44のループの内部空間には、用紙搬送ベルト44を挟んで感光体47aと対向する位置に転写ローラ(転写手段)55aが、また感光体47bと対向する位置に転写ローラ(転写手段)55bがそれぞれ設けられており、駆動源19により用紙搬送ベルト44の走行方向と順方向に回転する。転写ローラ55aおよび転写ローラ55bには所定の転写バイアスが印加されており、それぞれの感光体47a上に形成された彩色成分のトナー像および感光体47b上に形成された無彩色成分のトナー像を、用紙搬送ベルト44により搬送されてきた記録紙42に転写する。
【0036】
したがって、第1の作像ステーション41aで形成されて記録紙42に転写された彩色成分のトナー像の上からブラックのトナー像が転写されて重畳することにより、カラートナー像が完成する。
【0037】
用紙搬送ベルト44の周囲には更に廃トナーボックス20が配設されている。用紙搬送ベルト44に何らかの原因(たとえば記録紙の搬送不良(JAM:ジャミング)などによって、用紙搬送ベルト44にトナー像が付着するようなケース)でトナーが付着した場合、このトナーは用紙搬送ベルトクリーナ20aによって除去され、廃トナーボックス20に収納される。
【0038】
図4に示すように、第1の現像器14、第2の現像器18および第3の現像器5には、キャリアとトナーの混合物である現像剤45が充填されている。46a、46bは現像剤45を攪拌する攪拌パドルであり、攪拌パドル46a,46bの回転によって現像剤45中のトナーは摩擦によって所定の電位に帯電されると共に、現像器14,18,5内部を巡回することでトナーとキャリアが十分に攪拌混合される。49は現像スリーブ(現像手段)、50は薄層化ブレードである。現像スリーブ49は内部に複数の磁極が形成されたマグロール51を有している。薄層化ブレード50によって、現像スリーブ49の表面に供給される現像剤45の層厚が規制されると共に、現像スリーブ49は矢印D4で示す方向に回転し、この回転およびマグロール51の磁極の作用によって現像剤45は現像スリーブ49の表面に供給され、感光体47aに転写されなかった現像剤は現像器14,18,5の内部に回収される。
【0039】
なお、第4の現像器9についても、充填された現像材45の色がブラックであることを除き、これらの現像器と同様の構成になっている。
【0040】
本実施の形態では、全ての現像器5,9,14,18に2成分現像が採用され、かつ感光体47a,47bと現像スリーブ49のトナー面との間に図示しないギャップリング等のギャップ形成部材によって所定のギャップを設け、更に現像スリーブ49にDC+AC電位を印加することで、現像スリーブ49上のトナーを感光体47a,47bに飛翔させる現像方式を採用している。同一の感光体47a,47b上に複数色のトナー像を形成するこのような多重現像方式においては、現像スリーブ49上のトナー面を直接感光体47a,47bに接触させてしまうと、一旦感光体47a,47b上に現像されたトナーが、たとえば現像器14のトナーが現像器18に入って混色することがあることから、これを防止するために感光体47a,47bと現像スリーブ49(あるいはトナー面)とを非接触で現像する方式がとられている。
【0041】
記録紙42に転写されるトナーの重畳状態を、図5を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態のような多重現像による作像プロセスでは、第1色目のトナー(例えばイエロー)を現像した上から第2色目(例えばシアン)に対応した画像データに基づき露光ヘッド17を駆動して感光体47aを露光する。また、第2色目のトナー(例えばシアン)を現像した上から、第3色目(例えばマゼンタ)に対応した画像データに基づき露光ヘッド4を駆動して感光体47aを露光する。この際、露光ヘッド4,17から照射された露光光線が、既に感光体47a上に形成されたトナーによって吸収(スペクトル的に吸収)されなければ、当該露光光線は第1色目のトナー層を通して、あるいは第1色目および第2色目のトナー像を通して感光体47aに到達し、感光体47a上に潜像を形成することができる。
【0043】
ここで、有機EL素子86を光源とした露光ヘッド4,8,13,17では、現状においては緑色のEL材料の光量が最も高い。すると、その補色にあたるマゼンタのトナーは緑色のスペクトル領域の光を吸収するので、感光体47a上にマゼンタのトナー像を形成してしまうと、緑色の露光光線はマゼンタのトナー層で吸収されて感光体47aに到達しないため、その上から露光することができない。また、ブラックのトナーは一般にカーボンブラックを含有し、全ての可視光を吸収する。
【0044】
したがって、既にマゼンタのトナー像が形成された感光体47aの上から緑色の露光光線で露光しても、感光体47a上に潜像を形成することはできない。また、ブラックのトナー像が形成された感光体47bの上から緑色の露光光線で露光しても、感光体47b上に潜像を形成することはできない。すなわち、第1の作像ステーション41aにおいて、マゼンタのトナー像の形成された感光体47a上には、緑色の露光光線で露光を行っても感光体47a上に静電潜像を形成することはできず、さらにブラックのトナー像の形成された感光体47b上には、どのような色の露光光線で露光を行っても静電潜像を形成することはできない。
【0045】
よって、本実施の形態では、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせている。そして、彩色成分のトナー像を形成する第1の作像ステーション41aの感光体47aにおいては露光光線の補色でない色のトナー像を形成しておき、露光光線の補色のトナー像についてはこられのトナー像を形成した後、すなわち最後に露光および現像を行って形成する。つまり、緑色の露光光線を用いた場合には、図5に示すように、第1の作像ステーション41aの感光体47aにおいては、最初にイエローのトナー像を、次にシアンのトナー像を形成した後にマゼンタのトナー像を形成する。あるいは、最初にシアンのトナー像を、次にイエローのトナー像を形成した後にマゼンタのトナー像を形成する。
【0046】
これにより、第1の作像ステーション41aにおいて記録紙42に転写されたトナー像は、マゼンタが記録紙42上に位置し、その上層にシアンが、さらにその上層にイエローが位置してこれらが重畳したものになる。
【0047】
そして、第2の作像ステーション41bではブラックのトナー像が形成されることから、このような記録紙42に対する第2の作像ステーション41bでの転写により、最上層にブラックのトナー像が位置して4色が重なり合ったカラートナー像が形成される。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、露光光線の補色のトナー像(この場合にはマゼンタ)を彩色成分のトナー像を形成する感光体47aの最後に形成するようにしているので、複数色のトナー像が重畳して形成される感光体47aにおいてトナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になる。
【0049】
そして、このカラートナー像を記録紙42に転写し、その後第2の作像ステーション41bの感光体47bにおいてブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になる。
【0050】
なお、露光光線がレーザビームのような赤色であれば、赤色の補色であるシアンが赤色の露光光線を吸収するため、シアンの現像を最後に行わねばならない。また、露光光線が青色であれば、青色の補色であるイエローが青色の露光光線を吸収するため、イエローの現像を最後に行わねばならない。なお、前者の場合においては、マゼンタおよびイエローのどちらを最初に形成してもよく、後者の場合においては、マゼンタおよびシアンのどちらを最初に形成してもよい。
【0051】
以降、図1に戻って説明を続ける。
【0052】
56はトナーボトルであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが格納されている。トナーボトル56から各現像器には、図示しないトナー搬送用のパイプが配設され、各現像器にトナーを供給する。
【0053】
57は給紙ローラであり、図示しない電磁クラッチを制御することで回転し、給紙トレイ43に装填された記録紙42を用紙搬送ベルト44へと送り出す。
【0054】
給紙ローラ57と最上流の第1の作像ステーション41aの転写部位との間には、入口側のニップ搬送手段としてレジストローラ58、ピンチローラ59対が設けられている。レジストローラ58、ピンチローラ59対は、給紙ローラ57により搬送された記録紙42を一時的に停止させ、所定のタイミングで第1の作像ステーション41aの方向に搬送する。この一時停止によって記録紙42の先端がレジストローラ58、ピンチローラ59対の軸方向と平行に規制され、記録紙42の斜行を防止する。
【0055】
60は記録紙通過センサである。記録紙通過センサ60は反射型センサ(フォトリフレクタ)によって構成され、反射光の有無で記録紙の先端および後端を検出する。
【0056】
さて、レジストローラ58が回転を開始すると(図示しない電磁クラッチによって動力伝達を制御し、回転ON/OFFを行う)記録紙42は第1の作像ステーション41aの方向に搬送されるが、レジストローラ58の回転開始タイミングを起点として、各作像ステーション41a,41bに搭載した露光ヘッド4,8,13,17による静電潜像の書き込みタイミングが独立して制御される。
【0057】
最下流の第2の作像ステーション41bの更に下流側には、出口側のニップ搬送手段として定着器62が設けられている。定着器62は加熱ローラ63と加圧ローラ64とから構成されている。加熱ローラ63は表面から近い順に、発熱ベルト、ゴムローラ、芯材(共に図示せず)から構成されている多層構造のローラである。このうち発熱ベルトは更に3層構造を有するベルトであり、表面に近い方から離型層、シリコンゴム層、基材層(共に図示せず)から構成される。離型層は厚み約20〜30μmのフッ素樹脂からなり、加熱ローラ63に離型性を付与する。シリコンゴム層は約170μmのシリコンゴムで構成され、加圧ローラに適度な弾性を与える。基材層は鉄・ニッケル・クロム等の合金である磁性材料によって構成されている。
【0058】
65は励磁コイルが内包された背面コアである。背面コア65の内部には表面が絶縁された銅製の線材(図示せず)を所定本数束ねた励磁コイルを、加熱ローラ63の回転軸方向に延伸し、かつ加熱ローラ63の両端部において、加熱ローラ63の周方向に沿って周回して形成されている。励磁コイルに半共振型インバータである励磁回路(図示せず)から約30kHzの交流電流を印加すると、背面コア65と加熱ローラ63の基材層によって構成される磁路に磁束が生じる。この磁束によって加熱ローラ63の発熱ベルトの基材層に渦電流が形成され、基材層が発熱する。基材層で生じた熱はシリコンゴム層を経て離型層まで伝達され、加熱ローラ63の表面が発熱する。
【0059】
66は加熱ローラ63の温度検出手段として設けられているサーミスタ(Thermally Sensitive Resistor)である。サーミスタは金属酸化物を主原料とし、高温で焼結して得られるセラミック半導体であり、温度に応じて負荷抵抗が変化することを応用して、接触した対象物の温度を計測することができる。サーミスタ66の出力は図示しない制御装置に入力され、制御装置はサーミスタ66の出力に基づいて背面コア65内部の励磁コイルに出力する電力を制御し、加熱ローラ63の表面温度が約170℃となるよう制御する。
【0060】
この温度制御がなされた加熱ローラ63と加圧ローラ64によって形成されるニップ部に、トナー像が形成された記録紙42を通紙すると、記録紙42上のトナー像は、加熱ローラ63と加圧ローラ64によって加熱/加圧され、定着画像を得ることができる。なお、画像が定着された記録紙42は、その後排紙ローラ74によって搬送され、排紙トレイ78に排出される。
【0061】
駆動源19は、本実施の形態ではステッピングモータを採用している。駆動源77によって、給紙ローラ57、レジストローラ58、ピンチローラ59、感光体47a,47bと転写ローラ55a,55bを含む第1および第2の作像ステーション41a,41bの周辺部、定着器62、排紙ローラ74の駆動を行っている。
【0062】
80はコントローラであり、外部のネットワークを介して図示しないコンピュータ等からの画像データを受信し、プリント可能な画像データを生成する。
【0063】
81はエンジン制御部である。エンジン制御部81は電子写真装置40のハードウェアやメカニズムを制御し、コントローラ80から転送された画像データに基いて記録紙42にカラー画像を形成すると共に、電子写真装置の制御全般を行っている。
【0064】
次に、本実施の形態の電子写真装置におけるコントローラの構成と動作について、図6を用いて説明する。
【0065】
図6において、100はコンピュータである。コンピュータ100はネットワーク101経由でコントローラ80に画像データやプリントジョブ情報を転送する。102はネットワークインタフェースである。コントローラ80はネットワークインタフェース102を介して、コンピュータ100から転送されてきた画像データやプリントジョブ情報を受信したり、逆に電子写真装置のエラー状況などのいわゆるステータス情報をコンピュータ100に送信する。
【0066】
103はCPU(制御手段)であり、ROM104に格納されたプログラムに基きコントローラ80の動作を制御している。
【0067】
105はRAMであり、CPU103のワークエリアとして使用されると共に、ネットワークインタフェース102で受信された画像データやプリントジョブ情報、およびページ単位に展開されたプリント可能な画像データ等が、一時的に記憶される。
【0068】
106は画像処理部である。画像処理部106ではコンピュータ100から転送された画像データとプリントジョブ情報(共に一時的にRAM105に格納されている)に基き、ページ単位に画像処理(プリンタ言語からラスタデータへの変換処理、色補正、エッジ補正、スクリーン生成等)を行って印字に供する画像データを生成し、これを再度RAM105に格納する。
【0069】
107はプリンタインタフェースであり、RAM105に格納されたページ単位の画像データは、プリンタインタフェース107を介してエンジン制御部81に転送される。
【0070】
次に、エンジン制御部の構成と動作について、図7に図1を併用して説明する。
【0071】
図7において110はコントローラインタフェースである。コントローラインタフェース110は、コントローラ80から転送されるページ単位の画像データ、およびプリントモード情報を受信する。
【0072】
111はCPU(制御手段)であり、ROM112に格納されたプログラムに基きプリンタエンジンの動作を制御している。113はRAMであり、CPU111が動作する際のワークエリアとして使用される。114はEEPROM等の所謂書き換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ114には、例えば電子写真装置の感光体47a,47bの回転時間、定着器62の動作時間等の寿命情報などを格納する。115はシリアルインタフェースである。記録紙通紙センサ60や図示しない記録紙後端検出センサなどのセンサ群からの情報、図示しない電源監視部の出力は、シリアル変換手段によって所定の周期のシリアル信号に変換され、シリアルインタフェース115で受信される。シリアルインタフェース115で受信されたシリアル信号は、パラレル信号に変換された後にCPU111に読み取られる。一方、給紙ローラ57、感光体47a,47b、定着器の加熱ローラ63等を駆動する駆動源19の起動/停止や、給紙ローラ57およびレジストローラ58に対する駆動力伝達を制御する電磁クラッチ(図示せず)等のアクチュエータへの制御信号や、現像バイアス/転写バイアス/帯電電位などの高圧電源の電位設定のための制御信号などは、パラレル信号としてシリアルインタフェース115に送られる。シリアルインタフェース115では、このパラレル信号をシリアル信号に変換して、アクチュエータ群に出力する。本実施の形態では、高速に検出する必要のないセンサ入力やアクチュエータ制御信号の出力は、全てシリアルインタフェース115を介して行っている。
【0073】
一方、高速なサンプリングが要求されるトナー像検出センサ(図示せず)からの入力はCPU111の入力端子に直接接続されている。
【0074】
120Y,120M,120C,120Kは各印字色に対応した露光ヘッドの駆動を制御するヘッド制御部である。ヘッド制御部120Y〜120Kには露光ヘッドの露光タイミング制御と、露光ヘッドに搭載された有機EL素子の駆動電圧制御を行う機能が含まれている。121Y,121M,121C,121Kは数ライン分の容量を有するバッファメモリである。コントローラインタフェース110を介して転送された画像データは、各印字色毎に独立して設けられたバッファメモリ121Y〜121Kに一時的に格納される。バッファメモリ121Y〜121Kに格納された画像データは、図示しないDMA回路によって各印字色に対応した露光ヘッドに転送される。なおバッファメモリ121Y〜121KはデュアルポートRAMで構成されており、図示しないパスを介してCPU111による読み取りと書き込みが可能となっている。
【0075】
122Y,122M,122C,122Kはドライバであり、ヘッド制御部120Y〜120Kから出力される制御信号と、バッファメモリ121Y〜121Kから転送された画像データに基づいて、有機EL素子である発光素子(123Y〜123Kを駆動する。なお、本実施の形態では、有機EL素子の発光素子列が2列になっていることから(図3参照)、各素子列に対応してドライバが設けられている。
【0076】
次に、ヘッド制御部120の構成を、図8を用いて詳細に説明する。なお、図7で示したように、実際にはヘッド制御部は印字色毎に4つ存在するが、以降簡単のため1つのヘッド制御部を対象として説明する。
【0077】
図7において130はヘッド駆動タイミング生成部である。ヘッド駆動タイミング生成部130は、露光ヘッドに搭載された2つの素子列である第1の素子列86aに対応した第1のドライバ122aおよび第2の素子列86bに対応した第2のドライバ122bに対して、バッファメモリ121から送られた画像データの1ライン分の保持に関する制御および第1および第2の素子列86a,86bの駆動タイミングを生成する。ヘッド駆動タイミング生成部130はバッファメモリ121に対して画像データ転送用のクロック信号(CLK)およびアドレス生成部130aで生成されたアドレス(ADDRESS)を供給する。また、ヘッド駆動タイミング生成部130は、ドライバ122a,122bに対してクロック信号(CLK)およびその他のドライバ制御信号を出力する。
【0078】
次に、図9を用いて露光ヘッド4,8,13,17の駆動について詳細に説明する。
【0079】
図9において、150はライン方向に直線状に配置された39個のドライバチップである。151はドライバチップ150単位に設けられた256ビットのシフトレジスタ、152はシフトレジスタ151に対応して配置された256ビットのラッチ、153はラッチ152の出力信号及びストローブ信号(STB)1〜13を受けて動作するゲート、154はゲート153の出力信号に基づいてON/OFFの状態をとるドライバトランジスタ、123はドライバトランジスタ154によって駆動される電流に基づいて発光する有機EL素子である。
【0080】
バッファメモリ121から出力された画像データ(DATA)は、クロック信号(CLK)に同期してシフトレジスタ151内部をビット単位に転送され、256ビット分の転送が完了すると隣接するシフトレジスタ151に出力される。すべてのシフトレジスタ151に画像データ(DATA)が送られると、ロード信号(LOAD)がラッチ152に入力され、シフトレジスタ151内の画像データ(DATA)は一括してラッチに保持される。
【0081】
画像データがラッチされると、ストローブ信号(STB)1〜13が順に出力され、既にラッチに保持されている画像データ(DATA)とストローブ信号(STB)1〜13は、ゲート153においてAND演算され、ストローブ信号(STB)1〜13が予め定められたロジック(例えばHigh状態)となると、ラッチされた画像データに従ってドライバトランジスタがON状態になって有機EL素子123に駆動電流が供給されて有機EL素子が点灯する。
【0082】
次にヘッド駆動電圧設定部133について説明する。ヘッド駆動電圧設定部133において、156はDAコンバータ、157はヘッド電源であり、CPU111からDAコンバータ156に値を設定することでドライバトランジスタ154全体に供給される電源電圧が決定される。158はドライバ電流設定部であり、各ドライバチップ150毎に独立して設けられている。ドライバ電流設定部158にはライン同期信号(LSYNC)とクロック信号(CLK)が入力されており、画像データの転送と同期して各ドライバチップ150単位に供給される電流値を設定できる構成となっている。
【0083】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2である電子写真装置において転写ローラが感光体を押圧している状態を示す概略図、図11は図10の電子写真装置において転写ローラが感光体と離間している状態を示す概略図である。
【0084】
実施の形態1で説明したように、感光体(第1の感光体)47aおよび感光体(第2の感光体)47bの両方を用いてカラー画像を形成する場合、転写ローラ55aが方向Aに付勢されて用紙搬送ベルト44が感光体47aと接触する。そして、給紙トレイ43から給紙された記録紙42は用紙搬送ベルト44に吸着され、第1の作像ステーション41aにおいて感光体47a上に形成されたイエロー、シアン、マゼンタの3色のトナー像が一括して転写される。その後、記録紙42は用紙搬送ベルト44によって搬送され、感光体47b上に形成されたブラックのトナー像が前述した3色のトナー像上に重畳転写される。
【0085】
本実施の形態の電子写真装置では、このような感光体47aおよび感光体47bを駆動して記録紙42上にカラーのトナー像を形成するモード、つまりカラー印字モードを有している。
【0086】
さらに、感光体47bのみを用いてモノクロ画像を形成する場合には、転写ローラ55aを方向Bに変位し、用紙搬送ベルト44と感光体47aの間に隙間を設ける。従動ローラ68は付勢バネ69によって方向Cに変位し、用紙搬送ベルト44の張力は略一定に保たれる。
【0087】
これにより、給紙トレイ43から給紙された記録紙42は、用紙搬送ベルト44に吸着されて、第1の作像ステーション41aではトナー像が転写されることなく感光体47aと転写ローラ55aとの間の隙間を搬送される。やがて記録紙42は第2の作像ステーション41bに到達し、ここで感光体47b上に形成されたブラックのトナー像が転写される。
【0088】
すなわち、本実施の形態の電子写真装置では、このように感光体47bのみで記録紙42上にモノクロのトナー像を形成するモード、つまりモノクロ印字モードを有している。
【0089】
モノクロ印字モードのときには、感光体47aの駆動が停止され、第1の作像ステーション41aでのトナー像動作が停止される。一般にビジネスユースではカラー印字と比較してモノクロ印字の印刷ボリュームが多いが、モノクロ印字モード実行時にカラー印字に対応した感光体47aを回転させると、例えば感光体クリーナ10との摩擦などによって感光体47aに余分なストレスが加わり、感光体47aの劣化が進行する。しかし、このように感光体47aを休止させて第1の作像ステーション41aの動作を停止することで、感光体47aの寿命を延ばすことが可能となる。
【0090】
なお、カラー印字モードとモノクロ印字モードの動作はエンジン制御部81で実行される。
【0091】
以上の説明においては、本発明を4色のカラー電子写真装置に適用した場合について説明したが、現像色はイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色に限定されるものではなく、4色以外であってもよい。
【0092】
また、感光体の数は複数であればよく、本実施の形態に示すような2つの感光体に限定されるものではない。つまり、単色の無彩色成分が形成される第2の感光体が記録紙42の搬送方向の最下流に位置する感光体となるように設置されていればよく、彩色成分のトナー像は第1の感光体に加え、それ以外の感光体でも形成することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、彩色成分のトナー像を形成する感光体と無彩色成分であるブラックのトナー像を形成する感光体とを異ならせ、複数の彩色成分のトナー像が形成される第1の感光体において露光光線の補色のトナー像を最後に形成するようにしているので、トナー像の形成された上に露光光線で露光しても当該露光光線が既に形成されたトナー像には吸収されず、高解像度の画像を形成することが可能になるという有効な効果が得られる。
【0094】
また、カラートナー像を記録媒体に転写し、その後ブラックのトナー像を重畳転写するようしているので、最上層にはブラックのトナー像が配置されるようになり、コントラストの高い自然な画像再現を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1である電子写真装置の全体構成を示す概略図
【図2】図1の電子写真装置に設けられた作像ステーションの構成を示す概略図
【図3】図2の作像ステーションに設けられた露光ヘッドの構成を示す概略図
【図4】図2の作像ステーションにおける多重現像の工程を示す説明図
【図5】図1の電子写真装置におけるトナーの重畳状態を示す模式図
【図6】図1の電子写真装置におけるコントローラの構成を示すブロック図
【図7】図1の電子写真装置におけるエンジン制御部の構成を示すブロック図
【図8】図7のヘッド制御部の構成を示すブロック図
【図9】露光ヘッドおよびヘッド制御部の詳細な構成を示す回路図
【図10】本発明の実施の形態2である電子写真装置において転写ローラが感光体を押圧している状態を示す概略図
【図11】図10の電子写真装置において転写ローラが感光体と離間している状態を示す概略図
【図12】従来の電子写真装置の構成を示す概略図
【符号の説明】
42 記録紙(記録媒体)
44 用紙搬送ベルト(用紙搬送手段)
47a 感光体(第1の感光体)
47b 感光体(第2の感光体)
55a,55b 転写ローラ(転写手段)
Claims (5)
- 複数のトナー像形成手段が周囲に配置されて露光光線の補色のトナー像が最後に露光および現像され、複数の彩色成分のトナー像が重畳して外周面に形成される第1の感光体と、
単色の無彩色成分のトナー像が外周面に形成される第2の感光体と、
記録媒体を搬送する用紙搬送手段と、
それぞれの前記感光体に対応して設けられ、前記第1の感光体に形成された前記トナー像を前記記録媒体に転写した後、当該トナー像に前記第2の感光体に形成された前記トナー像を重畳して前記記録媒体に転写する複数の転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置。 - 前記第1の感光体および前記第2の感光体を駆動して前記記録媒体上にカラーのトナー像を形成するカラー印字モードと、
前記第1の感光体と前記用紙搬送手段との間に隙間を形成するとともに前記第1の感光体の駆動を停止し、前記第2の感光体のみを駆動して前記記録媒体上にモノクロのトナー像を形成するモノクロ印字モードと、の2つのモードを備えたことを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。 - 前記露光光線は緑色であり、前記第1の感光体ではマゼンタのトナー像が最後に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真装置。
- 前記露光光線は赤色であり、前記第1の感光体ではシアンのトナー像が最後に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真装置。
- 前記露光光線は青色であり、前記第1の感光体ではイエローのトナー像が最後に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真装置。
Priority Applications (1)
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JP2003124073A JP2004326026A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2004326026A true JP2004326026A (ja) | 2004-11-18 |
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JP2003124073A Pending JP2004326026A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 電子写真装置 |
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JP (1) | JP2004326026A (ja) |
-
2003
- 2003-04-28 JP JP2003124073A patent/JP2004326026A/ja active Pending
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