JP2004325742A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況に左右されないで、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制し、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着部材である定着ローラ11内には熱源であるハロゲンヒータ31が、定着ローラ11の表面には温度検知手段であるサーミスタ41が備えられる。また、定着ローラ11の加熱開始からの時間を計時する計時手段であるタイマ51と、これらを制御する制御手段であるCPU52が備えられる。印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度が所定温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、定着ローラ11の加熱を開始した後、タイマ51によって計時された定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、加熱時間の設定変更を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】定着部材である定着ローラ11内には熱源であるハロゲンヒータ31が、定着ローラ11の表面には温度検知手段であるサーミスタ41が備えられる。また、定着ローラ11の加熱開始からの時間を計時する計時手段であるタイマ51と、これらを制御する制御手段であるCPU52が備えられる。印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度が所定温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、定着ローラ11の加熱を開始した後、タイマ51によって計時された定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、加熱時間の設定変更を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着ローラと加圧ローラの間のニップに、未定着トナー画像を担持した用紙を挿通して、用紙上の未定着トナーを加熱、溶融し、用紙に定着する定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置においては、ニップを形成するローラ対の少なくとも一方のローラに熱源を内蔵させ、この熱源によって加熱されたローラ対のニップに、未定着トナー画像を担持した用紙を挿通することにより、用紙にトナーを定着する熱ローラ定着方式が広く用いられている。
【0003】
このような熱ローラ定着方式では、用紙のトナー画像に直接接触する定着ローラに、ハロゲンヒータ等の熱源を内蔵したものが一般的である。定着ローラ内に複数の熱源を有するものもある。そして、安定した定着性を得るためには、サーミスタ等の温度センサからなる温度検知手段によって定着ローラの表面温度を監視し、ハロゲンヒータ等の熱源の発熱量を制御することで定着ローラの表面温度を適温に維持する。
【0004】
ここで、使用中の機器において、繰り返し急激な変化をする電流のために電圧が周期的に変動することにより、室内照明が急に明滅することがある。これをフリッカと呼ぶ。照明のちらつきは、人の目の健康にとって悪影響を及ぼし、また不快感を誘う。これを受け、所定時間内に発生するフリッカの数を低減させるため、機器の電圧変動とフリッカに関する国際規格が制定され、欧州では規制を行っている国もある。
【0005】
通常、画像形成装置が印刷を行っている時には、定着ローラ等の定着部材は常に加熱状態にあるが、印刷を行わず待機している時には、定着部材が所定の温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返している。この時、熱源のON/OFFが繰り返され、大きな電流が流れたり、断たれたりすることによって電圧変動が生じるので、画像形成装置の印刷待機時にフリッカが発生する。
【0006】
上記のフリッカの問題に対して、印刷待機時の定着部材の温度制御において、加熱開始温度と加熱終了温度を異なった温度に設定することで、これらの温度を同じ温度に設定した時よりも、熱源のON/OFFの回数を減らし、これによりフリッカ発生の低減を図るという画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−132083号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置のように、加熱の開始と終了を温度で制御しようとすると、例えばロットのばらつきにより定着部材の熱容量が小さくなってしまった場合、表面温度の上昇/下降が極端に早いというような状況では、頻繁に温度検出をする必要があり、これを怠ると加熱の開始と終了のタイミングが遅れる。このため、フリッカ発生の時間間隔にバラツキが生じ、人に不快感を与える恐れがある。画像形成装置を環境温度変化の大きい場所に設置した場合や、画像形成装置に大きな電圧変動が発生した場合においても同様である。
【0009】
また、同様の状況において、特許文献1記載の画像形成装置のように、加熱開始温度と加熱終了温度とを、各々常に同じ温度に設定してしまうと、熱源のON/OFFの回数が増えてしまい、フリッカ発生も増加する恐れがある。
【0010】
さらに、定着部材に複数の熱源が備えられる場合、これら複数の熱源への通電を全て同時に開始してしまうと、特に大きな電流が流れて電圧変動が生じるので、熱源の通電のタイミングを適切に制御する必要がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況に左右されないで、印刷待機時における定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることにより、熱源のON/OFFの回数を低減して単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制し、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、定着部材の加熱を開始した後、前記計時手段によって計時された定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0013】
上記の構成によれば、加熱時間の設定変更を行うことで、定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させる熱源への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することが可能となる。
【0014】
また、前記定着部材を加熱する熱源を複数備え、これら全ての熱源に同時には通電しないこととした。
【0015】
この構成によれば、複数の熱源への通電を、全て同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがない。その結果、大きな電圧変動が生じることを防止することができるので、フリッカの発生を抑制することが可能となる。
【0016】
また、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された第1及び第2の熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記第1及び第2の熱源の加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0017】
この構成によれば、2個の熱源への通電を同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、第1及び第2の熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、2個の熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0018】
また、前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が中央部分を除く両端部に発熱部を備えることとした。
【0019】
この構成によれば、例えば、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、定着部材の加熱領域について、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した加熱制御を行うことができる。これにより、高い加熱効率を得ることが可能であるとともに、安定した定着性能を得ることが可能となる。
【0020】
また、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2、第3の熱源を含む3個以上の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させると同時に前記第3の熱源に加熱を開始させるように、以下順次熱源の数だけ加熱開始/終了を繰り返させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記熱源の全ての加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0021】
この構成によれば、3個以上の熱源への通電を同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個以上の熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0022】
また、前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が第1の熱源の発熱部より外側の部分であって両端部を除く部分に発熱部を備え、前記第3の熱源が第1及び第2の熱源の発熱部を除く両端部に発熱部を備えることとした。
【0023】
この構成によれば、例えば、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度がやや高い中サイズの用紙が通過する部分の加熱時間をやや長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、定着部材の加熱領域について、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した細かい加熱制御を行うことができる。これにより、さらに高い加熱効率を得ることが可能であるとともに、定着性能を高めることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
【0025】
まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成について、その概略を説明する。図1は、画像形成装置を示す模型的断面図である。画像形成装置100には、給紙装置101と、用紙搬送装置102と、転写装置103と、光学装置104と、作像装置105と、定着装置1と、排紙装置106と、両面印刷装置107とが備えられている。図中の矢印は、用紙の搬送経路を示す。
【0026】
給紙装置101には、印刷前の用紙が積載して収容され、ここから1枚ずつ用紙が送り出される。送り出された用紙は、用紙搬送装置102により画像形成装置100本体の側面に沿って垂直に搬送され、転写装置103に至る。
【0027】
原稿に描かれた文字や図形、模様等の画像データは、光学装置104によって読み取られ、作像装置105によって原稿画像の静電潜像が作られる。この静電潜像からトナー像が形成され、トナー像は、前記用紙搬送装置102によって同期をとって送られてきた用紙に、転写装置103にて転写される。
【0028】
その後、未定着トナー像を担持した用紙は、本発明に係る定着装置1へと送られる。定着装置1にてトナー像が定着され、定着装置1から排出された用紙は、排紙装置106によって機外に排紙される。また、両面印刷を行う場合には、定着装置1から排出された用紙は両面印刷装置107へと送られ、用紙の送り方向が切り替えられて、再度転写装置103へと送られる。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置の構成について説明する。図2は、画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図である。定着装置1には、定着部10と加圧部20が備えられ、定着部10の定着部材である定着ローラ11内には、熱源であるハロゲンヒータ31が配置されている。図中、Pは用紙を示す。
【0030】
定着ローラ11は直径が40mmで、厚さ0.5mmの鉄管(STKM:日本工業規格による鋼管の品種)により構成される芯金12がその主体をなす。芯金12の外側には、厚さ20μmの離型層13を設け、トナーの離型性を高める。離型層13には、PFA(テトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂が用いられ、吹き付けによるコーティングやチューブを被せることによって設けられる。また、弾性層として、シリコンゴム層を離型層13のすぐ内側に設けてもよい。定着ローラ11は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度と同じになるように回転せしめられている。
【0031】
加圧部20は、加圧部材である加圧ローラ21で構成される。定着ローラ11と当接する加圧ローラ21は直径が40mmで、ステンレス鋼からなる芯金22の外側に、弾性層23を構成するスポンジシリコンゴムが設けられている。この加圧ローラ21が定着ローラ11と当接することで用紙を挿通させるニップを形成する。加圧ローラ21は、定着ローラ11と当接することにより、定着ローラ11の回転に従って回転せしめられる。
【0032】
定着ローラ11の外側には、定着ローラ11の表面に接するように、表面温度を検知する温度検知手段であるサーミスタ41が備えられている。また、制御回路50中には、定着ローラ11の加熱開始からの時間を計時する計時手段であるタイマ51が備えられている。そして、これらの各手段からの情報を受けて、ハロゲンヒータ31による定着ローラ11の加熱を制御する制御手段であるCPU52が備えられている。定着ローラ11の加熱制御は、トライアック等からなるスイッチング素子53に、スイッチング素子制御回路54を介して信号を送ることで、交流電源61からハロゲンヒータ31への通電を制御することによってなされる。
【0033】
ここで、上記定着部10及び加圧部20の構成は、定着ローラ11又は加圧ローラ21のいずれか一方を、ベルトに代えるといった構成でも良い。また、両方ともベルトであるといった構成でも良い。定着ローラ11をベルトに代える場合は、ポリイミドフィルムの外側に金属層をメッキ、或いは圧延処理にて設け、その外側にPFA等のフッ素系樹脂のコーティングを施す。加圧ローラ21をベルトに代える場合は、ポリイミドフィルムの外側にスポンジシリコンゴム層を設ける。
【0034】
また、定着ローラ11を加熱する熱源には、ハロゲンヒータ31に代えて、セラミックヒータやニクロム線抵抗体、電磁誘導コイルを用いても構わない。そして、定着ローラ11の表面温度を検知する温度検知手段には、サーミスタ41に代えて、定着ローラ11の表面に当接しない非接触タイプの温度検出手段を用いても構わない。
【0035】
なお、これまでに登場した寸法等の数値は、好適例の例示であり、発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
次に、第1の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図3と図4を用いて説明する。図3は、定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフである。図4は、定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。図3及び図4(a)、図4(b)ともに、上段が定着ローラ11の表面温度、下段が熱源であるハロゲンヒータ31への通電状態を示す。
【0037】
ここで、CPU52には、定着ローラ11の定着に好適な表面温度が予め設定されている。また、印刷を行わず待機している時には、定着ローラ11が設定温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返しており、この時の加熱開始温度と所定の加熱時間、及び加熱開始から次の加熱開始までの所定の時間もCPU52に予め設定されている。以下の説明では、所定時間が30secであるとする。なお、この30secという時間間隔で発生するフリッカは、人体に悪影響を及ぼさないレベルであると仮定する。
【0038】
そして、実際の印刷待機時には、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、定着ローラ11の加熱を開始した後、タイマ51によって計時された定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が前記所定時間となるように、CPU52が、加熱時間の設定変更を行う。
【0039】
まず、印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度を維持している状態において、図3に示すように、加熱開始から次の加熱開始までの時間が30secであるとする。この場合、時間は所定時間と一致し、さらに30secで安定しているので、予め設定された加熱開始温度と加熱時間T1にて、制御を続けていくことに問題はない。
【0040】
次に、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図4(a)に示すように、加熱時間がT2で、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が20secになったとする。この場合、短時間だけ20secである場合は人体に悪影響を及ぼすことはないが、これよりさらに時間間隔が短くなったり、20secが長時間続いたりすると、30secの場合よりもハロゲンヒータ31のON/OFFの回数が増加してON−OFF−ONのサイクルが短くなり、人体に悪影響を及ぼす可能性が高くなるので、早めに対応しておく必要がある。
【0041】
そこで、図4(b)に示すように、加熱時間T2をT3、T4と変更するようにして、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0042】
このように、加熱時間の設定変更を行うことで、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させるハロゲンヒータ31への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置100を提供することが可能となる。
【0043】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図である。図6は、定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記図2に示す第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0044】
定着ローラ11内には、熱源である2個のハロゲンヒータ31a及び31bが配置されている。なお、以下の説明では、ハロゲンヒータ31aを第1ヒータ31a、ハロゲンヒータ31bを第2ヒータ31bと称する。定着ローラ11の加熱制御は、これら第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bへの通電を制御することによってなされる。第1ヒータ31aへの通電は、トライアック等からなるスイッチング素子53aに、スイッチング素子制御回路54aを介して信号を送ることで、交流電源61からの電力供給を制御することによってなされる。同様に、第2ヒータ31bへの通電は、スイッチング素子53b、スイッチング素子制御回路54bによってなされる。
【0045】
第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの構造は、図6に示すように、各々発熱部の位置が異なっている。第1ヒータ31aは、例えば小サイズの用紙に対応して中央部分に発熱部を備えている。第2ヒータ31bは、その中央部分を除く両端部に発熱部を備えている。
【0046】
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図7と図8を用いて説明する。図7は、第1ヒータ及び第2ヒータ各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフである。図8は、第1ヒータ及び第2ヒータ各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。
【0047】
ここで、CPU52には、定着ローラ11の定着に好適な表面温度が予め設定されている。また、印刷を行わず待機している時には、定着ローラ11が設定温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返しており、この時の加熱開始温度と、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの所定加熱時間と、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの所定時間もCPU52に予め設定されている。この所定時間は、前記第1の実施形態と同様に30secであるとする。
【0048】
実際の印刷待機時には、CPU52は、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、第1ヒータ31aに定着ローラ11の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1ヒータ31aに加熱を終了させると同時に第2ヒータ31bに加熱を開始させ、所定時間経過後に第2ヒータ31bに加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終える。そして、タイマ51によって計時された第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの加熱時間の設定変更を行う。
【0049】
まず、印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度を維持している状態において、図7に示すように、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が30secであるとする。この場合、時間は所定時間と一致し、さらに30secで安定しているので、予め設定された加熱開始温度と、第1ヒータ31aの加熱時間T11と、第2ヒータ31bの加熱時間T21にて、制御を続けていくことに問題はない。
【0050】
次に、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図8に示すように、第1ヒータ31aの加熱時間がT12、第2ヒータ31bの加熱時間がT22で、定着ローラ11の第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が20secになったとする。
【0051】
そこで、第1ヒータ31aの加熱時間T12をT13、T14と変更し、第2ヒータ31bの加熱時間T22をT23、T24と変更するようにして、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0052】
このようにして、2個のヒータへの通電を同時に開始することがないので、ヒータへ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、上記のように加熱時間の設定変更を行うことで、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、2個のヒータを有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0053】
また、図6に示すように第1ヒータ31aと第2ヒータ31bの発熱部を構成することにより、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、上記のようにフリッカ発生の時間間隔を一定にすることが可能になるとともに、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した加熱制御を行うことができる。
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置の定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記図2に示す第1の実施形態、及び図5に示す第2の実施形態と同じであるので、定着装置とその制御回路の構成及び説明は省略するものとする。
【0055】
定着ローラ11内には、熱源である3個のハロゲンヒータ31a、31b、31cが配置されている。なお、以下の説明では、ハロゲンヒータ31aを第1ヒータ31a、ハロゲンヒータ31bを第2ヒータ31b、ハロゲンヒータ31cを第3ヒータ31cと称する。定着ローラ11の加熱制御は、これら第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cへの通電を制御することによってなされる。
【0056】
第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの構造は、各々発熱部の位置が異なっている。第1ヒータ31aは、例えば小サイズの用紙に対応して中央部分に発熱部を備えている。第2ヒータ31bは、第1ヒータ31aの発熱部より外側であって両端部を除く部分に発熱部を備えている。第3ヒータ31cは、これらの部分を除く両端部に発熱部を備えている。
【0057】
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図10を用いて説明する。図10は、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。なお、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間である場合の制御状態は、前記第2の実施形態と同様であるので、省略するものとする。
【0058】
実際の印刷待機時には、CPU52は、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、第1ヒータ31aに定着ローラ11の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1ヒータ31aに加熱を終了させると同時に第2ヒータ31bに加熱を開始させ、所定時間経過後に第2ヒータ31bに加熱を終了させると同時に第3ヒータ31cに加熱を開始させ、所定時間経過後に第3ヒータ31cに加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終える。そして、タイマ51によって計時された全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの加熱時間の設定変更を行う。
【0059】
ここで、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図10に示すように、定着ローラ11の全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が20secになったとする。
【0060】
そこで、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの加熱時間を各々設定変更して、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0061】
このようにして、3個のヒータへの通電を同時に開始することがないので、ヒータへ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、上記のように加熱時間の設定変更を行うことで、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個のヒータを有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0062】
また、図9に示すように第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの発熱部を構成することにより、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度がやや高い中サイズの用紙が通過する部分の加熱時間をやや長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、上記のようにフリッカ発生の時間間隔を一定にすることが可能になるとともに、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した細かい加熱制御を行うことができる。
【0063】
そして、熱源の数が3個を超える場合も、ある熱源に加熱を終了させると同時に次の別の熱源に加熱を開始させるようにして、順次熱源の数だけ加熱開始/終了を繰り返させることにより一連の加熱制御を行う。このようにして第3の実施形態と同様に、全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個を超える熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0064】
上記のように本発明の実施形態を示したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0065】
例えば、第1〜第3の実施形態において、定着ローラ11の加熱時間を長くし過ぎたことにより、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、所定時間をオーバーしてしまった場合には、加熱時間を短くするように設定変更を行う。そして、所定時間に達するまでに加熱時間を段階的に設定変更しているが、その加熱時の定着ローラ11の表面温度の上昇勾配に基づいて、一度に所定時間に達するように設定変更しても構わない。
【0066】
また、加熱時間を長くすることにより、定着ローラ11の表面温度が上昇し過ぎて、画像形成装置100の耐熱限界に近づいたり、用紙が焼損したりする恐れがある温度に達してしまった場合には、加熱開始温度を設定変更して、加熱時間が長くならないようにしても良い。
【0067】
このように、定着ローラ11の表面温度を必要以上に上げたくない場合には、加熱開始温度を下げるように設定変更しても構わない。さらに、定着ローラ11の表面温度の上昇/下降に長い時間を要し、印刷待機時からの復帰に支障を及ぼす可能性がある場合には、加熱開始温度を上げることによって所定の時間に合わせても構わない。
【0068】
第3の実施形態のように3個以上の熱源を使用する場合においては、2個以上の熱源を組にして発熱させても構わない。例えば第3の実施形態において、最初に第1ヒータ31aに加熱を開始させ、次に第2ヒータ31bと第3ヒータ31cに同時に加熱を開始させても構わない。
【0069】
また、第2及び第3の実施形態において、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの構造は、図6及び図9に示すような構造に限定されるものではない。例えば、各々の発熱部が重なるものであっても構わない。また、これら複数のヒータの配置は、図5に示すような上下に並べる配置に限定されず、定着ローラ11内のいずれの場所に配置しても構わない。
【0070】
【発明の効果】
本発明の上記構成によれば、加熱時間の設定変更を行うことで、定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させる熱源への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図
【図3】図2に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフ
【図4】図2に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図
【図6】図5に示す定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したもの
【図7】図5に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフ
【図8】図5に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したもの
【図10】図9に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【符号の説明】
1 定着装置
11 定着ローラ
21 加圧ローラ
31、31a、31b、31c ハロゲンヒータ
41 サーミスタ
51 タイマ
52 CPU
53、53a、53b スイッチング素子
100 画像形成装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着ローラと加圧ローラの間のニップに、未定着トナー画像を担持した用紙を挿通して、用紙上の未定着トナーを加熱、溶融し、用紙に定着する定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置においては、ニップを形成するローラ対の少なくとも一方のローラに熱源を内蔵させ、この熱源によって加熱されたローラ対のニップに、未定着トナー画像を担持した用紙を挿通することにより、用紙にトナーを定着する熱ローラ定着方式が広く用いられている。
【0003】
このような熱ローラ定着方式では、用紙のトナー画像に直接接触する定着ローラに、ハロゲンヒータ等の熱源を内蔵したものが一般的である。定着ローラ内に複数の熱源を有するものもある。そして、安定した定着性を得るためには、サーミスタ等の温度センサからなる温度検知手段によって定着ローラの表面温度を監視し、ハロゲンヒータ等の熱源の発熱量を制御することで定着ローラの表面温度を適温に維持する。
【0004】
ここで、使用中の機器において、繰り返し急激な変化をする電流のために電圧が周期的に変動することにより、室内照明が急に明滅することがある。これをフリッカと呼ぶ。照明のちらつきは、人の目の健康にとって悪影響を及ぼし、また不快感を誘う。これを受け、所定時間内に発生するフリッカの数を低減させるため、機器の電圧変動とフリッカに関する国際規格が制定され、欧州では規制を行っている国もある。
【0005】
通常、画像形成装置が印刷を行っている時には、定着ローラ等の定着部材は常に加熱状態にあるが、印刷を行わず待機している時には、定着部材が所定の温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返している。この時、熱源のON/OFFが繰り返され、大きな電流が流れたり、断たれたりすることによって電圧変動が生じるので、画像形成装置の印刷待機時にフリッカが発生する。
【0006】
上記のフリッカの問題に対して、印刷待機時の定着部材の温度制御において、加熱開始温度と加熱終了温度を異なった温度に設定することで、これらの温度を同じ温度に設定した時よりも、熱源のON/OFFの回数を減らし、これによりフリッカ発生の低減を図るという画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−132083号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置のように、加熱の開始と終了を温度で制御しようとすると、例えばロットのばらつきにより定着部材の熱容量が小さくなってしまった場合、表面温度の上昇/下降が極端に早いというような状況では、頻繁に温度検出をする必要があり、これを怠ると加熱の開始と終了のタイミングが遅れる。このため、フリッカ発生の時間間隔にバラツキが生じ、人に不快感を与える恐れがある。画像形成装置を環境温度変化の大きい場所に設置した場合や、画像形成装置に大きな電圧変動が発生した場合においても同様である。
【0009】
また、同様の状況において、特許文献1記載の画像形成装置のように、加熱開始温度と加熱終了温度とを、各々常に同じ温度に設定してしまうと、熱源のON/OFFの回数が増えてしまい、フリッカ発生も増加する恐れがある。
【0010】
さらに、定着部材に複数の熱源が備えられる場合、これら複数の熱源への通電を全て同時に開始してしまうと、特に大きな電流が流れて電圧変動が生じるので、熱源の通電のタイミングを適切に制御する必要がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況に左右されないで、印刷待機時における定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることにより、熱源のON/OFFの回数を低減して単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制し、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、定着部材の加熱を開始した後、前記計時手段によって計時された定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0013】
上記の構成によれば、加熱時間の設定変更を行うことで、定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させる熱源への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することが可能となる。
【0014】
また、前記定着部材を加熱する熱源を複数備え、これら全ての熱源に同時には通電しないこととした。
【0015】
この構成によれば、複数の熱源への通電を、全て同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがない。その結果、大きな電圧変動が生じることを防止することができるので、フリッカの発生を抑制することが可能となる。
【0016】
また、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された第1及び第2の熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記第1及び第2の熱源の加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0017】
この構成によれば、2個の熱源への通電を同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、第1及び第2の熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、2個の熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0018】
また、前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が中央部分を除く両端部に発熱部を備えることとした。
【0019】
この構成によれば、例えば、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、定着部材の加熱領域について、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した加熱制御を行うことができる。これにより、高い加熱効率を得ることが可能であるとともに、安定した定着性能を得ることが可能となる。
【0020】
また、用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2、第3の熱源を含む3個以上の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させると同時に前記第3の熱源に加熱を開始させるように、以下順次熱源の数だけ加熱開始/終了を繰り返させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記熱源の全ての加熱時間の設定変更を行うこととした。
【0021】
この構成によれば、3個以上の熱源への通電を同時に開始することがないので、熱源へ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個以上の熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0022】
また、前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が第1の熱源の発熱部より外側の部分であって両端部を除く部分に発熱部を備え、前記第3の熱源が第1及び第2の熱源の発熱部を除く両端部に発熱部を備えることとした。
【0023】
この構成によれば、例えば、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度がやや高い中サイズの用紙が通過する部分の加熱時間をやや長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、定着部材の加熱領域について、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した細かい加熱制御を行うことができる。これにより、さらに高い加熱効率を得ることが可能であるとともに、定着性能を高めることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
【0025】
まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成について、その概略を説明する。図1は、画像形成装置を示す模型的断面図である。画像形成装置100には、給紙装置101と、用紙搬送装置102と、転写装置103と、光学装置104と、作像装置105と、定着装置1と、排紙装置106と、両面印刷装置107とが備えられている。図中の矢印は、用紙の搬送経路を示す。
【0026】
給紙装置101には、印刷前の用紙が積載して収容され、ここから1枚ずつ用紙が送り出される。送り出された用紙は、用紙搬送装置102により画像形成装置100本体の側面に沿って垂直に搬送され、転写装置103に至る。
【0027】
原稿に描かれた文字や図形、模様等の画像データは、光学装置104によって読み取られ、作像装置105によって原稿画像の静電潜像が作られる。この静電潜像からトナー像が形成され、トナー像は、前記用紙搬送装置102によって同期をとって送られてきた用紙に、転写装置103にて転写される。
【0028】
その後、未定着トナー像を担持した用紙は、本発明に係る定着装置1へと送られる。定着装置1にてトナー像が定着され、定着装置1から排出された用紙は、排紙装置106によって機外に排紙される。また、両面印刷を行う場合には、定着装置1から排出された用紙は両面印刷装置107へと送られ、用紙の送り方向が切り替えられて、再度転写装置103へと送られる。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置の構成について説明する。図2は、画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図である。定着装置1には、定着部10と加圧部20が備えられ、定着部10の定着部材である定着ローラ11内には、熱源であるハロゲンヒータ31が配置されている。図中、Pは用紙を示す。
【0030】
定着ローラ11は直径が40mmで、厚さ0.5mmの鉄管(STKM:日本工業規格による鋼管の品種)により構成される芯金12がその主体をなす。芯金12の外側には、厚さ20μmの離型層13を設け、トナーの離型性を高める。離型層13には、PFA(テトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂が用いられ、吹き付けによるコーティングやチューブを被せることによって設けられる。また、弾性層として、シリコンゴム層を離型層13のすぐ内側に設けてもよい。定着ローラ11は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度と同じになるように回転せしめられている。
【0031】
加圧部20は、加圧部材である加圧ローラ21で構成される。定着ローラ11と当接する加圧ローラ21は直径が40mmで、ステンレス鋼からなる芯金22の外側に、弾性層23を構成するスポンジシリコンゴムが設けられている。この加圧ローラ21が定着ローラ11と当接することで用紙を挿通させるニップを形成する。加圧ローラ21は、定着ローラ11と当接することにより、定着ローラ11の回転に従って回転せしめられる。
【0032】
定着ローラ11の外側には、定着ローラ11の表面に接するように、表面温度を検知する温度検知手段であるサーミスタ41が備えられている。また、制御回路50中には、定着ローラ11の加熱開始からの時間を計時する計時手段であるタイマ51が備えられている。そして、これらの各手段からの情報を受けて、ハロゲンヒータ31による定着ローラ11の加熱を制御する制御手段であるCPU52が備えられている。定着ローラ11の加熱制御は、トライアック等からなるスイッチング素子53に、スイッチング素子制御回路54を介して信号を送ることで、交流電源61からハロゲンヒータ31への通電を制御することによってなされる。
【0033】
ここで、上記定着部10及び加圧部20の構成は、定着ローラ11又は加圧ローラ21のいずれか一方を、ベルトに代えるといった構成でも良い。また、両方ともベルトであるといった構成でも良い。定着ローラ11をベルトに代える場合は、ポリイミドフィルムの外側に金属層をメッキ、或いは圧延処理にて設け、その外側にPFA等のフッ素系樹脂のコーティングを施す。加圧ローラ21をベルトに代える場合は、ポリイミドフィルムの外側にスポンジシリコンゴム層を設ける。
【0034】
また、定着ローラ11を加熱する熱源には、ハロゲンヒータ31に代えて、セラミックヒータやニクロム線抵抗体、電磁誘導コイルを用いても構わない。そして、定着ローラ11の表面温度を検知する温度検知手段には、サーミスタ41に代えて、定着ローラ11の表面に当接しない非接触タイプの温度検出手段を用いても構わない。
【0035】
なお、これまでに登場した寸法等の数値は、好適例の例示であり、発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
次に、第1の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図3と図4を用いて説明する。図3は、定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフである。図4は、定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。図3及び図4(a)、図4(b)ともに、上段が定着ローラ11の表面温度、下段が熱源であるハロゲンヒータ31への通電状態を示す。
【0037】
ここで、CPU52には、定着ローラ11の定着に好適な表面温度が予め設定されている。また、印刷を行わず待機している時には、定着ローラ11が設定温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返しており、この時の加熱開始温度と所定の加熱時間、及び加熱開始から次の加熱開始までの所定の時間もCPU52に予め設定されている。以下の説明では、所定時間が30secであるとする。なお、この30secという時間間隔で発生するフリッカは、人体に悪影響を及ぼさないレベルであると仮定する。
【0038】
そして、実際の印刷待機時には、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、定着ローラ11の加熱を開始した後、タイマ51によって計時された定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が前記所定時間となるように、CPU52が、加熱時間の設定変更を行う。
【0039】
まず、印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度を維持している状態において、図3に示すように、加熱開始から次の加熱開始までの時間が30secであるとする。この場合、時間は所定時間と一致し、さらに30secで安定しているので、予め設定された加熱開始温度と加熱時間T1にて、制御を続けていくことに問題はない。
【0040】
次に、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図4(a)に示すように、加熱時間がT2で、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が20secになったとする。この場合、短時間だけ20secである場合は人体に悪影響を及ぼすことはないが、これよりさらに時間間隔が短くなったり、20secが長時間続いたりすると、30secの場合よりもハロゲンヒータ31のON/OFFの回数が増加してON−OFF−ONのサイクルが短くなり、人体に悪影響を及ぼす可能性が高くなるので、早めに対応しておく必要がある。
【0041】
そこで、図4(b)に示すように、加熱時間T2をT3、T4と変更するようにして、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0042】
このように、加熱時間の設定変更を行うことで、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させるハロゲンヒータ31への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置100を提供することが可能となる。
【0043】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図である。図6は、定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記図2に示す第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0044】
定着ローラ11内には、熱源である2個のハロゲンヒータ31a及び31bが配置されている。なお、以下の説明では、ハロゲンヒータ31aを第1ヒータ31a、ハロゲンヒータ31bを第2ヒータ31bと称する。定着ローラ11の加熱制御は、これら第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bへの通電を制御することによってなされる。第1ヒータ31aへの通電は、トライアック等からなるスイッチング素子53aに、スイッチング素子制御回路54aを介して信号を送ることで、交流電源61からの電力供給を制御することによってなされる。同様に、第2ヒータ31bへの通電は、スイッチング素子53b、スイッチング素子制御回路54bによってなされる。
【0045】
第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの構造は、図6に示すように、各々発熱部の位置が異なっている。第1ヒータ31aは、例えば小サイズの用紙に対応して中央部分に発熱部を備えている。第2ヒータ31bは、その中央部分を除く両端部に発熱部を備えている。
【0046】
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図7と図8を用いて説明する。図7は、第1ヒータ及び第2ヒータ各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフである。図8は、第1ヒータ及び第2ヒータ各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。
【0047】
ここで、CPU52には、定着ローラ11の定着に好適な表面温度が予め設定されている。また、印刷を行わず待機している時には、定着ローラ11が設定温度を維持するように加熱と非加熱の状態を繰り返しており、この時の加熱開始温度と、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの所定加熱時間と、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの所定時間もCPU52に予め設定されている。この所定時間は、前記第1の実施形態と同様に30secであるとする。
【0048】
実際の印刷待機時には、CPU52は、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、第1ヒータ31aに定着ローラ11の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1ヒータ31aに加熱を終了させると同時に第2ヒータ31bに加熱を開始させ、所定時間経過後に第2ヒータ31bに加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終える。そして、タイマ51によって計時された第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31bの加熱時間の設定変更を行う。
【0049】
まず、印刷待機時に、定着ローラ11の表面温度を維持している状態において、図7に示すように、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が30secであるとする。この場合、時間は所定時間と一致し、さらに30secで安定しているので、予め設定された加熱開始温度と、第1ヒータ31aの加熱時間T11と、第2ヒータ31bの加熱時間T21にて、制御を続けていくことに問題はない。
【0050】
次に、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図8に示すように、第1ヒータ31aの加熱時間がT12、第2ヒータ31bの加熱時間がT22で、定着ローラ11の第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が20secになったとする。
【0051】
そこで、第1ヒータ31aの加熱時間T12をT13、T14と変更し、第2ヒータ31bの加熱時間T22をT23、T24と変更するようにして、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0052】
このようにして、2個のヒータへの通電を同時に開始することがないので、ヒータへ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、上記のように加熱時間の設定変更を行うことで、第1ヒータ31a及び第2ヒータ31b各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、2個のヒータを有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0053】
また、図6に示すように第1ヒータ31aと第2ヒータ31bの発熱部を構成することにより、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、上記のようにフリッカ発生の時間間隔を一定にすることが可能になるとともに、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した加熱制御を行うことができる。
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置の定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したものである。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記図2に示す第1の実施形態、及び図5に示す第2の実施形態と同じであるので、定着装置とその制御回路の構成及び説明は省略するものとする。
【0055】
定着ローラ11内には、熱源である3個のハロゲンヒータ31a、31b、31cが配置されている。なお、以下の説明では、ハロゲンヒータ31aを第1ヒータ31a、ハロゲンヒータ31bを第2ヒータ31b、ハロゲンヒータ31cを第3ヒータ31cと称する。定着ローラ11の加熱制御は、これら第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cへの通電を制御することによってなされる。
【0056】
第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの構造は、各々発熱部の位置が異なっている。第1ヒータ31aは、例えば小サイズの用紙に対応して中央部分に発熱部を備えている。第2ヒータ31bは、第1ヒータ31aの発熱部より外側であって両端部を除く部分に発熱部を備えている。第3ヒータ31cは、これらの部分を除く両端部に発熱部を備えている。
【0057】
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置100の作用について、図10を用いて説明する。図10は、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間よりも短くなってしまった場合の制御状態を示すグラフである。なお、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間である場合の制御状態は、前記第2の実施形態と同様であるので、省略するものとする。
【0058】
実際の印刷待機時には、CPU52は、定着ローラ11の表面温度が所定温度である加熱開始温度まで低下したことをサーミスタ41が検知したことに基づいて、第1ヒータ31aに定着ローラ11の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1ヒータ31aに加熱を終了させると同時に第2ヒータ31bに加熱を開始させ、所定時間経過後に第2ヒータ31bに加熱を終了させると同時に第3ヒータ31cに加熱を開始させ、所定時間経過後に第3ヒータ31cに加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終える。そして、タイマ51によって計時された全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、CPU52が、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの加熱時間の設定変更を行う。
【0059】
ここで、定着ローラ11のロットのばらつきや画像形成装置100の使用環境または使用状況によって、図10に示すように、定着ローラ11の全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が20secになったとする。
【0060】
そこで、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの加熱時間を各々設定変更して、適切な加熱時間を探る設定変更をCPU52に行わせることにより、定着ローラ11の全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間を徐々に長くし、最終的には所定時間の30secに到達させる。
【0061】
このようにして、3個のヒータへの通電を同時に開始することがないので、ヒータへ特に大きな電流が流れることがなく、大きな電圧変動が生じない。さらに、上記のように加熱時間の設定変更を行うことで、全てのヒータの各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個のヒータを有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0062】
また、図9に示すように第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの発熱部を構成することにより、使用頻度が高い小サイズの用紙が通過する中央部分の加熱時間を長くし、使用頻度がやや高い中サイズの用紙が通過する部分の加熱時間をやや長くし、使用頻度が低い大サイズの用紙が通過する両端部の加熱時間を短くするというような時間配分を設定することができる。したがって、上記のようにフリッカ発生の時間間隔を一定にすることが可能になるとともに、用紙サイズ毎の使用頻度に対応した細かい加熱制御を行うことができる。
【0063】
そして、熱源の数が3個を超える場合も、ある熱源に加熱を終了させると同時に次の別の熱源に加熱を開始させるようにして、順次熱源の数だけ加熱開始/終了を繰り返させることにより一連の加熱制御を行う。このようにして第3の実施形態と同様に、全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、3個を超える熱源を有する定着装置であっても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制でき、発生の時間間隔を一定にすることが可能となる。
【0064】
上記のように本発明の実施形態を示したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0065】
例えば、第1〜第3の実施形態において、定着ローラ11の加熱時間を長くし過ぎたことにより、定着ローラ11の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、所定時間をオーバーしてしまった場合には、加熱時間を短くするように設定変更を行う。そして、所定時間に達するまでに加熱時間を段階的に設定変更しているが、その加熱時の定着ローラ11の表面温度の上昇勾配に基づいて、一度に所定時間に達するように設定変更しても構わない。
【0066】
また、加熱時間を長くすることにより、定着ローラ11の表面温度が上昇し過ぎて、画像形成装置100の耐熱限界に近づいたり、用紙が焼損したりする恐れがある温度に達してしまった場合には、加熱開始温度を設定変更して、加熱時間が長くならないようにしても良い。
【0067】
このように、定着ローラ11の表面温度を必要以上に上げたくない場合には、加熱開始温度を下げるように設定変更しても構わない。さらに、定着ローラ11の表面温度の上昇/下降に長い時間を要し、印刷待機時からの復帰に支障を及ぼす可能性がある場合には、加熱開始温度を上げることによって所定の時間に合わせても構わない。
【0068】
第3の実施形態のように3個以上の熱源を使用する場合においては、2個以上の熱源を組にして発熱させても構わない。例えば第3の実施形態において、最初に第1ヒータ31aに加熱を開始させ、次に第2ヒータ31bと第3ヒータ31cに同時に加熱を開始させても構わない。
【0069】
また、第2及び第3の実施形態において、第1ヒータ31a、第2ヒータ31b、第3ヒータ31cの構造は、図6及び図9に示すような構造に限定されるものではない。例えば、各々の発熱部が重なるものであっても構わない。また、これら複数のヒータの配置は、図5に示すような上下に並べる配置に限定されず、定着ローラ11内のいずれの場所に配置しても構わない。
【0070】
【発明の効果】
本発明の上記構成によれば、加熱時間の設定変更を行うことで、定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が、常に所定の時間となるようにすることができる。その結果、定着部材のロットのばらつきや画像形成装置の使用環境または使用状況が変化しても、単位時間当たりのフリッカ発生回数を抑制することが可能となる。そして、電圧変動を発生させる熱源への通電開始のタイミングを時間で監視して温度制御することができるので、フリッカ発生の時間間隔が一定で、人体に悪影響を及ぼすことのない画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図
【図3】図2に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフ
【図4】図2に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着装置を示す模型的断面図及び制御回路の概略図
【図6】図5に示す定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したもの
【図7】図5に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間である場合の制御状態を示すグラフ
【図8】図5に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に備えられた定着ローラの模型的断面図にして、定着ローラの軸線方向と平行に断面したもの
【図10】図9に示す定着ローラの加熱開始から次の加熱開始まで時間が所定時間よりも短くなった場合の制御状態を示すグラフ
【符号の説明】
1 定着装置
11 定着ローラ
21 加圧ローラ
31、31a、31b、31c ハロゲンヒータ
41 サーミスタ
51 タイマ
52 CPU
53、53a、53b スイッチング素子
100 画像形成装置
Claims (6)
- 用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、定着部材の加熱を開始した後、前記計時手段によって計時された定着部材の加熱開始から次の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、加熱時間の設定変更を行うことを特徴とする画像形成装置。
- 前記定着部材を加熱する熱源を複数備え、これら全ての熱源に同時には通電しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、
前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された第1及び第2の熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記第1及び第2の熱源の加熱時間の設定変更を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が中央部分を除く両端部に発熱部を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 用紙上の未定着トナーを定着する定着部材と、この定着部材を加熱する第1及び第2、第3の熱源を含む3個以上の熱源とを備えるとともに、前記定着部材の表面温度を検知する温度検知手段と、加熱開始からの時間を計時する計時手段と、これらの各手段からの情報を受けて定着部材の加熱を制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、
前記制御手段は、印刷待機時に、前記定着部材の表面温度が所定温度まで低下したことを前記温度検知手段が検知したことに基づいて、前記第1の熱源に定着部材の加熱を開始させ、所定時間経過後に第1の熱源に加熱を終了させると同時に前記第2の熱源に加熱を開始させ、所定時間経過後に第2の熱源に加熱を終了させると同時に前記第3の熱源に加熱を開始させるように、以下順次熱源の数だけ加熱開始/終了を繰り返させることにより一連の加熱制御を終えるものであって、前記計時手段によって計時された全ての熱源の各々の加熱開始から次のこれら各々の加熱開始までの時間が所定時間となるように、前記制御手段が、前記熱源の全ての加熱時間の設定変更を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の熱源が中央部分に発熱部を備え、前記第2の熱源が第1の熱源の発熱部より外側の部分であって両端部を除く部分に発熱部を備え、前記第3の熱源が第1及び第2の熱源の発熱部を除く両端部に発熱部を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119762A JP2004325742A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003119762A JP2004325742A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 画像形成装置 |
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JP2003119762A Pending JP2004325742A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 画像形成装置 |
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JP (1) | JP2004325742A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006266838A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Anzen Motor Car Co Ltd | ブレーキ/速度テスト用試験機に使用するローラ及びその製造方法 |
US8155541B2 (en) | 2009-04-08 | 2012-04-10 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Fixing device which detects anomaly of heater |
JP2013092718A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-05-16 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 定着装置 |
US9645535B2 (en) | 2013-06-25 | 2017-05-09 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing device for fixing a toner image on a sheet-shaped recording medium and image formation apparatus |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119762A patent/JP2004325742A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013092718A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-05-16 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 定着装置 |
US9645535B2 (en) | 2013-06-25 | 2017-05-09 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing device for fixing a toner image on a sheet-shaped recording medium and image formation apparatus |
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