JP2004325391A - 電波レーダ装置及びビート信号周波数検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビート信号周波数検出手段9により、同一のビート信号に対して複数の周波数分解能を持つサンプリングデータを生成することにより、従来の一通りの周波数分解能での離散フーリエ変換結果に比べて、ビート信号の周波数をより精度良く検出することができる。周波数分解能を変えるために、数点分のデータを取り除くための関係式を設けており、必要最小限の処理時間で物体との距離及び物体との相対速度を検知できる。さらに、複数通りの離散フーリエ変換において、上記関係式に付随して定まる特定のスペクトルのみを検出し、比較するので、最大のレベルを検出するためにかかる処理時間が必要最小限で済む。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の距離及び物体との相対速度を検知する電波レーダ装置及びビート信号周波数検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電波レーダ装置においては、FM−CWレーダにより物体の距離及び相対速度を検知する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。物体の距離及び物体との相対速度を検知する従来の方法について以下に説明する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−214250号公報(第2頁、第2図)
【0004】
三角波による変調信号により変調された周波数を持つ送信波が物体に向けて送信され、物体より反射された反射波が、受信波として受信される。また、送信波の一部を分配器により分配し、受信波とミキシングすることにより、送信波と受信波の周波数差をもつビート信号が得られる。
【0005】
ビート信号には、物体までの距離及び物体との相対速度の情報が含まれており、周波数解析を行う。ビート信号はA/D変換器を用いてサンプリング周期ごとにサンプリングされ、離散値データとなる。さらに、離散値データとなったビート信号を離散フーリエ変換することにより、ビート信号の離散スペクトルデータを得る。離散スペクトルデータからビート信号の周波数を求めることにより、物体までの距離及び物体との相対速度を算出することができる。
【0006】
レーダにおいて、離散フーリエ変換する場合、通常ビート信号に窓関数を乗算してから行うため、以後の説明でも、窓関数を乗算したビート信号に離散フーリエ変換及び連続フーリエ変換を施し、その結果を示すものとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術には次のような問題点がある。ビート信号を周波数解析する際、連続量であるビート信号を直接フーリエ変換する場合には、連続フーリエ変換を適用する。連続フーリエ変換は、任意の角周波数、つまり任意の周波数について周波数解析が可能であり、連続フーリエ変換の結果から最大のスペクトルレベルを検出することにより、ビート信号の周波数を一義的に求めることができる。しかし、A/D変換器でサンプリングされたビート信号は離散値データであるため、フーリエ変換する場合には離散フーリエ変換を適用する必要がある。
【0008】
離散フーリエ変換では、サンプリング周波数fsをサンプリング点数N(Nは1以上の整数)で除算した値ごとにフーリエ展開を行うので、fs/N(Hz)の整数倍の周波数をもつスペクトルしか正確に解析できないといった制約がある。したがって、連続フーリエ変換の結果から求められる最大のスペクトルレベルと離散フーリエ変換の結果から求められる最大のスペクトルレベルとは必ずしも一致しない。両者の結果が異なる場合には、離散フーリエ変換に基づいて検出されたビート信号の周波数が、連続フーリエ変換に基づいて一義的に検出されたビート信号の周波数と異なることとなる。その結果、離散フーリエ変換を用いて物体までの距離及び物体との相対速度を正確に算出することができないという問題点がある。
【0009】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、離散フーリエ変換を用いて、物体までの距離及び物体との相対速度の検出精度を向上できる電波レーダ装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電波レーダ装置は、送信波を物体に向けて送信し、前記物体より反射された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波との周波数差から得られるビート信号に基づいて周波数解析手段によりビート信号の周波数を求めることによって、物体までの距離及び前記物体との相対速度を算出する電波レーダ装置であって、前記周波数解析手段は、前記ビート信号から複数の周波数分解能を持つサンプリングデータを生成し、複数のサンプリングデータに対して離散フーリエ変換を行い、得られた複数の離散フーリエ変換結果から最大のレベルを持つスペクトルを選択し、選択されたスペクトルからビート信号の周波数を検出するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず始めに、連続フーリエ変換の結果と連続フーリエ変換の結果とが異なる場合について説明する。離散フーリエ変換では、サンプリング周波数fsをサンプリング点数N(Nは1以上の整数)で除算した値ごとにフーリエ展開を行うので、fs/N(Hz)の整数倍の周波数をもつスペクトルしか正確に解析できない。この値を周波数分解能と呼び式(1)に示す。したがって、離散フーリエ変換では、ビート信号に含まれる周波数を正確に求めるには、下式(2)の関係を満足する必要がある。
【0012】
fs/N = 1/(N×ΔTs) (1)
N×ΔTs = M×(ビート信号の周期) (2)
ここで、Mは2以上の整数であり、ΔTsはサンプリング周期、N×ΔTsは離散フーリエ変換の対象とするデータ時間長を示している。
【0013】
離散フーリエ変換で式(2)を満足している場合とそうでない場合の様子を図1と図3、図2と図4の組で示す。ここで、Txはサンプリング点数N点のもつデータ時間長で、離散フーリエ変換の対象となるデータ時間長を示している。また、Taは図1のビート信号10aの周期、Tbは図2のビート信号10bの周期を示している。図1及び図2のビート信号をあるサンプリング周期でサンプリングした離散値データが、サンプリング点11で示されている。
【0014】
図1は離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっている場合の説明図である。ビート信号10aの周期Taと離散フーリエ変換のデータ時間長Txが、式(2)を満足している場合に相当し、下式(3)が成立することとなる。
Tx=(N×ΔTs)=(L+1)×Ta (3)
ここでLは1以上の整数である。
【0015】
図3は離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっている場合に離散フーリエ変換した結果を示した図である。図3には、ビート信号10aを連続フーリエ変換した結果12aも図示されている。式(3)の関係が成立しているため、図3の連続フーリエ変換した結果12aの最大値に当たる周波数と、離散フーリエ変換結果の最大値に当たる(L+1)番目のスペクトルの周波数が一致しており、この場合には離散フーリエ変換の結果から物体までの距離及び物体との相対速度を正確に検出できることとなる。
【0016】
次に、図2は離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっていない場合の説明図である。ビート信号10bの周期Tbと離散フーリエ変換のデータ時間長Txが、式(2)を満足していない場合に相当し、図2の場合は下式(4)の関係となる。
M×Tb<Tx(=(N×ΔTs))<(M+1)×Tb (4)
【0017】
図4は離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっていない場合に離散フーリエ変換した結果を示した図である。図4(a)、図4(b)は、離散フーリエ変換した結果においてM番目のスペクトルレベルが最大となる場合に考えられる2通りのスペクトル分布を示している。図4には、ビート信号10bを連続フーリエ変換した結果12bも図示されている。式(3)の関係が成立せず式(4)の関係が成立しているため、図4の連続フーリエ変換した結果12bの最大値に当たる周波数と、離散フーリエ変換結果の最大値に当たるM番目のスペクトルの周波数が一致せず、この場合には離散フーリエ変換の結果から物体までの距離及び物体との相対速度を検出した結果は、連続フーリエ変換の結果から求まる結果とは異なるものとなる。
【0018】
このように、離散フーリエ変換を用いてビート信号の周波数を正確に検出するには、式(2)を満足する必要がある。したがって、式(2)を満足しない条件では、離散フーリエ変換を用いて物体までの距離及び物体との相対速度を正確に算出することができないこととなる。そこで、離散フーリエ変換を用いて物体までの距離及び物体との相対速度の検出精度を向上できる電波レーダ装置について以下に詳細を説明する。
【0019】
図5は本発明の実施の形態1に係る電波レーダ装置を示す構成図である。CPU1は変調信号発生器2を制御し、三角波の変調電圧信号を発生する。電圧制御発信器3は、変調電圧信号に応じて変調された周波数を持つ送信波を送信し、送信波は分配器4、送信アンテナ5を介して物体に向けて送信される。
【0020】
物体により反射された反射波は、受信アンテナ6を介して受信波として受信される。さらにミキサ7は、分配器4から受信した送信波の一部と乗算し、送信波と受信波の周波数差を持つビート信号を生成する。ビート信号はA/D変換器8aにおいてサンプリング周期ごとにサンプリングされ、離散値データとなる。ビート信号周波数検出手段9は離散値データとなったビート信号を離散フーリエ変換することにより、ビート信号の離散スペクトルデータを得る。
【0021】
図6は離散値データとなったビート信号を離散フーリエ変換することによって得られたビート信号の離散スペクトルデータを示した図である。また、図7は連続量であるビート信号を連続フーリエ変換することによって得られたビート信号のスペクトルデータを示した図である。
【0022】
ビート信号周波数検出手段9は、離散スペクトルデータの最大値に当たるスペクトルの周波数を、連続フーリエ変換で得られたスペクトルデータの最大値に当たる周波数に近づけるために、周波数分解能を変えて離散フーリエ変換するものである。
【0023】
図8は本発明の実施の形態1に係る周波数分解能を変えて離散フーリエ変換を行う手順を示したフローチャートである。また、図9〜図11はビート信号周波数検出手段9で行うプロセスの概念図であり、図8のフローチャートにおけるプロセスを具体的に示したものである。ビート信号周波数検出手段9ではN点のサンプリングデータから1点〜K点のデータを取り除いたK通りの新たなサンプリングデータを取得することにより、周波数分解能を変えた離散フーリエ変換を行っており、数値Kの決定とそれに基づくビート周波数の検出について図8〜図11を用いて以下に詳細を説明する。S801〜S812で示されたステップ番号は、図8のフローチャート内のステップ番号を示している。
【0024】
図9は本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換の結果から数値Kを決定するプロセスの概念図である。図9(a)のビート信号100は、ミキサ7から得られたビート信号を示している。A/D変換機8aは、あらかじめ決められたサンプリング点数N点でビート信号100をサンプリングすることにより、図9(b)に示すサンプリングされたビート信号101を得る。
【0025】
次にサンプリングされたビート信号101に離散フーリエ変換を施す(S801)。離散フーリエ変換の結果、M番目のスペクトルが最大のレベルを持つときに(S802)、(M−1)番目のスペクトルと(M+1)番目のスペクトルの大小関係は、図9(c)〜図9(e)に示すような3通りのパターンに分けられる。なお、M番目のスペクトルと(M−1)番目のスペクトルが同じ最大値を示す場合、もしくはM番目のスペクトルと(M+1)番目のスペクトルが同じ最大値を示す場合にも、M番目のスペクトルが最大のレベルと判断して以下の手順を採用できる。
【0026】
図9(c)は(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルよりも大きい場合を示しており(S803a)、これをパターン1と呼ぶ。また、図9(d)は(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルよりも小さい場合を示しており(S803b)、これをパターン2と呼ぶ。さらに、図9(e)は(M−1)番目のスペクトルレベルと(M+1)番目のスペクトルレベルが等しい場合を示しており(S803c)、これをパターン3と呼ぶ。
【0027】
図9(e)のパターン3では、先に図3を用いて説明したように、連続フーリエ変換した結果の最大値に当たる周波数と、離散フーリエ変換結果の最大値に当たるM番目のスペクトルの周波数が一致していることに相当する。したがって、M番目のスペクトルの周波数が、物体までの距離及び物体との相対速度の情報を正確に示すものであるとみなし、M番目のスペクトルの周波数をビート信号の周波数として検出し(S804)、一連の処理を終える(S812)。
【0028】
一方、図9(c)のパターン1、図9(d)のパターン2では、先に図4を用いて説明したように、連続フーリエ変換した結果の最大値に当たる周波数と、離散フーリエ変換結果の最大値に当たるM番目のスペクトルの周波数が一致していないことに相当する。この場合には離散フーリエ変換の結果から物体までの距離及び物体との相対速度を検出した結果は、連続フーリエ変換の結果から求まるものとは異なり、正確な検出が行えないこととなる。
【0029】
そこで、パターン1及びパターン2の場合には、N点のサンプリングデータから1点〜K点のデータを取り除いたK通りの新たなサンプリングデータを取得することにより、周波数分解能を変えた離散フーリエ変換を行い、その結果に基づいてビート信号の周波数をより正確に検出することとする。
【0030】
あらかじめ決められたN点のサンプリングデータから、1点〜K点のサンプリングデータを取り除く際の、数値Kを求める関係式を以下のように定める。
[パターン1]
(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより大きい場合には、
K<N/M (5)
を満たす最大の整数Kを定める。
[パターン2]
(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより小さい場合には、
K<N/(M+1) (6)
を満たす最大の整数Kを定める。
【0031】
次に上記関係式(5)及び(6)について説明する。まず、図9(c)と図9(d)のスペクトルにおいて、レーダが物体からの反射信号として検出するスペクトルは、最大のレベルをもつM番目のスペクトルであるが、実際のビート信号の周波数は、以下の範囲内に存在する。
[パターン1]
(M−1)番目のスペクトルの周波数以上、かつM番目のスペクトルの周波数以下の範囲内に実際のビート信号の周波数が存在する (条件1)
[パターン2]
M番目のスペクトルの周波数以上、かつ(M+1)番目のスペクトルの周波数以下の範囲内に実際のビート信号の周波数が存在する (条件2)
【0032】
あらかじめ決められたN点のサンプリングデータから、1点〜K点のサンプリングデータを取り除くことにより、式(1)で示される周波数分解能は1/((N−1)×ΔTs)・・・1/((N−K)×ΔTs)となり、Kが大きくなるに従い大きくなる。
【0033】
したがって、取り除くデータ数が増すにつれ、周波数分解能が大きくなるので、図9(c)では(M−1)番目のスペクトル、図9(d)ではM番目のスペクトルが、それぞれ周波数が大きくなる方向に移動していく。ここで、実際のビート信号の周波数は上述(条件1)、(条件2)の範囲内に存在するため、その範囲を超えないように、必要最小限のKを選択する。
【0034】
まず、サンプリング点数N点における周波数分解能がΔfsであるとすると、Δfsは下式(7)となる。
Δfs =1/(N×ΔTs) (7)
また、サンプリング点数N点からK点分を取り除いた場合の周波数分解能をΔfs’とすると、Δfs’は下式(8)となる。
Δfs’=1/((N−K)×ΔTs) (8)
【0035】
したがって、前述の(条件1)を満足するためには、下式(9)の関係を満たせばよい。
(M−1)×Δfs’< M×Δfs (9)
また、前述の(条件2)を満足するためには、下式(10)の関係を満たせばよい。
M×Δfs’<(M+1)×Δfs (10)
【0036】
式(7)、(8)を式(9)、(10)に代入し、Kに関して展開すると、以下のとおり前述の式(5)、(6)が得られることとなる。
[パターン1]
(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより大きい場合には、
K<N/M (5)
を満たす最大の整数Kを定める(S805a)。
[パターン2]
(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより小さい場合には、
K<N/(M+1) (6)
を満たす最大の整数Kを定める(S805b)。
【0037】
以上のように、周波数分解能が変化すると、パターン1では(M−1)番目のスペクトル、パターン2ではM番目のスペクトルが、ビート信号の周波数が存在する範囲、つまり(条件1)、(条件2)を満たす範囲を、実際のビート信号の周波数に近づく方向に移動する。したがって、離散フーリエ変換するたびごとに全てのスペクトルのレベルから最大のレベルを持つスペクトルを検出する必要が無く、パターン1の場合は(M−1)番目のスペクトルレベルのみを、パターン2の場合はM番目のスペクトルレベルのみを検出すればよく、必要最小限の処理で済む。
【0038】
そして、あらかじめ与えられたN点のサンプリングデータから、1点分からK点分のサンプリングデータを取り除いたK通りのデータを設定する(S806)。つまり、(N−1)点分のデータから(N−K)点分のデータを設定することとなる(S807)。図10は本発明の実施の形態1に係るサンプリングデータを減らしたときの概念図であり、図10(a)は(N−1)点分のデータ設定、図10(b)は(N−2)点分のデータ設定、図10(c)は(N−K)点分のデータ設定をそれぞれ示している。
【0039】
図10(a)〜(c)に示すように、K通りのサンプリングデータの持つデータ時間長は、それぞれ(N−1)×ΔTs、(N−2)×ΔTs、・・・(N−K)×ΔTsとなり、K通りだけ異なる。それに従い周波数分解能(=1/(データ時間長))もK通りに変化することとなる(S808)。
【0040】
次に、得られたK通りのサンプリングデータに対し、それぞれ離散フーリエ変換を施す(S809)。図11は本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換結果の概念図であり、離散フーリエ変換結果102が示されている。図11(a)は(N−1)点分のサンプリングデータに対する離散フーリエ変換結果、図11(b)は(N−2)点分のサンプリングデータに対する離散フーリエ変換結果、図11(c)は(N−K)点分のサンプリングデータに対する離散フーリエ変換結果をそれぞれ示している。
【0041】
上記K通りの離散フーリエ変換結果におけるそれぞれのレベルの最大値K個と、あらかじめ決められたN点での離散フーリエ変換結果におけるレベルの最大値1個、合計(K+1)個のレベルを比較し(S810)、その中から最大値を持つスペクトルを選択し、最終的に選択されたスペクトルの周波数をビート信号の周波数として検出する(S811)。この検出したスペクトルの周波数を用いて物体までの距離及び物体との相対速度をより正確に求めることができ、ビート信号の周波数検出を終了する(S812)。
【0042】
図12は本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換結果の最大値検索の概念図である。パターン1の場合は、図12(a)のN点分のデータを用いて得られたレベルの最大値ANと、図12(b)〜(d)のサンプリングデータを1点〜K点減らして得られたK個のレベルの最大値(AN‐1、AN‐2・・・AN‐K)の合計(K+1)個のレベルを比較する。パターン1においては、ANはM番目のスペクトルレベルであり、AN‐1〜AN‐Kは(M−1)番目のスペクトルレベルであり、AN‐1〜AN‐Kに関しては(M−1)番目のスペクトルのみを抽出して比較すればよく、演算量が削減できる。
【0043】
同様にパターン2の場合は、図12(e)のN点分のデータを用いて得られたレベルの最大値ANと、図12(f)〜(h)のサンプリングデータを1点〜K点減らして得られたK個のレベルの最大値(AN‐1、AN‐2・・・AN‐K)の合計(K+1)個のレベルを比較する。パターン2においては、ANはM番目のスペクトルレベルであり、AN‐1〜AN‐KもM番目のスペクトルレベルであり、AN‐1〜AN‐Kに関してはM番目のスペクトルのみを抽出して比較すればよく、演算量が削減できる。
【0044】
図5ではビート信号周波数検出手段9をCPU1と独立させているが、ビート信号周波数検出手段9での処理をCPU1に統合させ、ビート信号周波数検出手段9を物理的に無くすことも可能である。
【0045】
実施の形態1によれば、複数の周波数分解能で離散フーリエ変換を行った結果に基づいてビート信号の周波数を検出しており、従来の一通りの周波数分解能で離散フーリエ変換を行った結果に比べて、周波数をより精度よく検出することができる。すなわち物体までの距離及び物体との相対速度をより精度よく求めることができる。また、サンプリング周期は固定でサンプリングデータを減らすことにより周波数分解能を変えており、A/D変換された離散値データをそのまま活用できる。
【0046】
また、周波数分解能を変えるに当たっては、数点分のデータを取り除くための関係式を設けているため、容易に複数の周波数分解能を持つサンプリングデータを取得でき、必要最小限の処理時間で物体の距離及び物体との相対速度を検出することが可能である。さらに、複数の離散フーリエ変換結果から最大値を検索する場合も、特定の場所のスペクトルのみを抽出して比較すればよく、演算量が削減できる。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態2は、A/D変換器のサンプリング周期を変えることにより周波数分解能を変えたサンプリングデータを取得する電波レーダ装置について説明する。図13は本発明の実施の形態2に係る電波レーダ装置の構成図である。サンプリング周期の異なるA/D変換器を複数個設置した一組のA/D変換器8bを考える。それぞれのA/D変換器は、異なるサンプリング周期にてミキサ7から得られるビート信号をサンプリングする。これにより、設置したA/D変換器の数に応じて周波数分解能を変化させたサンプリングデータが得られる。
【0048】
A/D変換器8bに設置されたA/D変換器の台数を例えば5台とし、A/D変換器(1)〜A/D変換器(5)とする。それぞれのA/D変換器は、同一のビート信号を、異なる5通りのサンプリング周期ΔTs(1)〜ΔTs(5)で同時にサンプリングする。そして、5通りのサンプリングされたビート信号に離散フーリエ変換を施す。すなわち、5通りの周波数分解能1/(N×ΔTs(1))〜1/(N×ΔTs(5))で、ビート信号を離散フーリエ変換する。
【0049】
図14は本発明の実施の形態2に係る複数のA/D変換器を用いた離散フーリエ変換結果を示した図である。図14(a)〜(e)の5個の離散フーリエ変換結果から最大のレベルを持つスペクトルを選択し、その選択されたスペクトルの周波数をビート信号の周波数として検出する。この検出したスペクトルの周波数を用いて物体までの距離及び物体との相対速度をより正確に求めることができる。
【0050】
複数のA/D変換器8bを用いた場合を説明したが、1台のA/D変換器によりサンプリング周期を変えて複数回のサンプリングデータを取得してもよい。さらに、実施の形態1と2の複合として、複数のA/D変換器によるサンプリングデータに対して、ビート信号周波数検出手段9を用いてより最適なビート信号の周波数を検出することもできる。
【0051】
実施の形態2によれば、サンプリング周期の異なった複数個のA/D変換器を用い、複数通りの周波数分解能で離散フーリエ変換を行った結果に基づいてビート信号の周波数を検出しており、ビート信号の周波数をより精度よく検出することができる。すなわち物体までの距離及び物体との相対速度をより精度よく求めることができる。
【0052】
以上述べた実施の形態では、本発明の電波レーダ装置がFM−CWレーダを例に説明しているが、FM−パルスドップラレーダであっても、また送信信号と受信信号の周波数差から物体までの距離、相対速度を計測するレーダであれば同様に動作し、同様の効果を発揮する。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数の周波数分解能によるサンプリングデータを採用することにより、離散フーリエ変換を用いて物体までの距離及び物体との相対速度の検出精度を向上できる電波レーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっている場合の説明図である。
【図2】離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっていない場合の説明図である。
【図3】離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっている場合に離散フーリエ変換した結果を示した図である。
【図4】離散フーリエ変換のデータ時間長がビート信号の周期の整数倍になっていない場合に離散フーリエ変換した結果を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電波レーダ装置を示す構成図である。
【図6】離散値データとなったビート信号を離散フーリエ変換することによって得られたビート信号の離散スペクトルデータを示した図である。
【図7】連続量であるビート信号を連続フーリエ変換することによって得られたビート信号のスペクトルデータを示した図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る周波数分解能を変えて離散フーリエ変換を行う手順を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換の結果から数値Kを決定するプロセスの概念図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るサンプリングデータを減らしたときの概念図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換結果の概念図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る離散フーリエ変換結果の最大値検索の概念図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る電波レーダ装置の構成図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る複数のA/D変換器を用いた離散フーリエ変換結果を示した図である。
【符号の説明】
1 CPU、2 変調信号発生器、3 電圧制御発振器、4 分配器、5 送信アンテナ、6 受信アンテナ、7 ミキサ、8a A/D変換器、8b 異なるサンプリング周期をもつ一組のA/D変換器、9 ビート信号周波数検出手段、10 ビート信号、11 サンプリング点、12 連続フーリエ変換結果、100 ビート信号、101 サンプリングされたビート信号、102 離散フーリエ変換結果。
Claims (5)
- 送信波を物体に向けて送信し、前記物体より反射された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波との周波数差から得られるビート信号に基づいて周波数解析手段によりビート信号の周波数を求めることによって、物体までの距離及び前記物体との相対速度を算出する電波レーダ装置において、
前記周波数解析手段は、前記ビート信号から複数の周波数分解能を持つサンプリングデータを生成し、複数のサンプリングデータに対して離散フーリエ変換を行い、得られた複数の離散フーリエ変換結果から最大のレベルを持つスペクトルを選択し、選択されたスペクトルからビート信号の周波数を検出することを特徴とする電波レーダ装置。 - 請求項1に記載の電波レーダ装置において、
前記周波数解析手段は、前記ビート信号をサンプリングするA/D変換器と、
前記A/D変換器でサンプリングされたビート信号から、あらかじめ決められた点数のサンプリングデータを取り出すとともに、前記あらかじめ決められた点数のサンプリングデータから1点以上のデータを取り除いたサンプリングデータを取り出すことにより、複数の周波数分解能を持つサンプリングデータを生成し、複数のサンプリングデータに対して離散フーリエ変換を行い、得られた複数の離散フーリエ変換結果から最大のレベルを持つスペクトルを選択し、選択されたスペクトルからビート信号の周波数を検出するビート信号周波数検出手段と
を備えたことを特徴とする電波レーダ装置。 - 請求項1に記載の電波レーダ装置において、
前記周波数解析手段は、ビート信号をサンプリングするA/D変換器のサンプリング周期を変えることで、複数の周波数分解能をもつサンプリングデータを得ることを特徴とする電波レーダ装置。 - 請求項1に記載の電波レーダ装置において、
前記周波数解析手段は、ビート信号をサンプリングするA/D変換器としてサンプリング周期の異なる複数のA/D変換器を用いることで、複数の周波数分解能をもつサンプリングデータを得ることを特徴とする電波レーダ装置。 - サンプリングされたビート信号からあらかじめ決められたN点(Nは1以上の整数)のサンプリングデータを取り出して離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換結果から最大のレベルを持つスペクトルを検出するステップと、
前記最大のレベルを持つスペクトルが、周波数が低い方から数えてM番目(Mは2以上の整数)のスペクトルである場合に、(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルと等しいときは、M番目のスペクトルからビート信号の周波数を検出するステップと、
前記最大のレベルを持つスペクトルが、周波数が低い方から数えてM番目のスペクトルである場合に、(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより大きいときは、K<N/Mを満たす最大の整数Kを定め、(M−1)番目のスペクトルレベルが(M+1)番目のスペクトルレベルより小さいときは、K<N/(M+1)を満たす最大の整数Kを定めるステップと、
前記ステップで定められた整数Kに基づいて、あらかじめ決められたN点のサンプリングデータから、1点分からK点分のサンプリングデータを取り除くことにより、新たにK通りのサンプリングデータを作成し、K通りの離散フーリエ変換を行うステップと、
K通りのそれぞれの離散フーリエ変換結果とあらかじめ決められたN点のサンプリングデータを離散フーリエ変換した結果とを合わせた合計(K+1)個の離散フーリエ変換結果の中から最大のレベルを持つスペクトルを選択し、選択されたスペクトルからビート信号の周波数を検出するステップと
を備えたことを特徴とするビート信号周波数検出方法。
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