JP2004323782A - コークス炉の操業方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃プラスチックをコークスの品質に影響を与えずに石炭代替原料として使用するコークス炉の操業方法を提供する。
【解決手段】石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉の操業方法であって、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入する方法で、紙類として古紙を用いれば、通常は焼却処理を行っている古紙を有効に利用することができる。紙類または古紙の混合割合を10質量%〜90質量%とすれば、得られるコークスの強度低下を低く抑えることができ、望ましい。
【選択図】なし
【解決手段】石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉の操業方法であって、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入する方法で、紙類として古紙を用いれば、通常は焼却処理を行っている古紙を有効に利用することができる。紙類または古紙の混合割合を10質量%〜90質量%とすれば、得られるコークスの強度低下を低く抑えることができ、望ましい。
【選択図】なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、廃プラスチック等を石炭代替原料として使用するコークス炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、廃プラスチックのリサイクル法の一つとして、廃プラスチックをコークス炉で乾留する方法が数多く提案されている。例えば、特許文献1には、プラスチック(粒径約3mmのポリエチレンを使用)を原料炭とともにコークス炉に装入し、乾留する方法が記載されている。
【0003】
しかし、廃プラスチックはその種類、形状が様々で、これら廃プラスチックをそのまま原料炭とともにコークス炉で乾留するのでは、コークス強度が低下するなど、コークス品質に悪影響が生じる。
【0004】
そのため、廃プラスチックをあらかじめ選別、破砕した後、成型し、固形化物として使用する方法が採られている。しかし、この固形化物の強度が低いと、固形化物はコークス炉への装入前の搬送過程で壊れやすく、細粒化または粉化し、コークス炉内で原料炭中に細粒物が分散された状態となる。このような状態で、この細粒物がコークス炉内で乾留されると、この分散された細粒物は原料炭中で分解・ガス化し、成品コークス中には多数の穴が形成され、コークス強度が低下する。
【0005】
そこで、廃プラスチックを破砕し、粒度調整した後、加圧成型機に供給し、圧縮する際の摩擦熱を利用するか、ヒータにより加熱処理して、得られる成型物の強度を高め、これをコークス炉に装入する方法が一般に用いられている。しかし、プラスチック自体は摩擦抵抗が極めて小さく、発生する摩擦熱が少ないので、成型機の成型圧力を高めたり、一旦成型した後再度成型機に装入して圧縮する操作が必要になるが、前者は成型機の故障を誘発するおそれがあり、後者は生産性の低下や電力などの運転費用の増加を招く。
【0006】
前記加圧成型する方法において、特にコークス品質への影響を考慮した方法として、例えば特許文献2に、廃プラスチックを圧縮成形して得られる見掛け密度が400〜950kg/m3のプラスチック粒状化物をコークス炉で使用する廃プラスチックの再利用方法が開示されている。この方法では、圧縮成形後の見掛け密度が低く圧縮性の悪いプラスチックを使用した場合は、コークスがスポンジ状となって粉化し、塊コークス歩留が低下する。反対に、圧縮性がよくて見掛け密度が高くなりすぎるプラスチックを使用した場合は、圧縮成形の過程で温度が上昇し、有害ガスが発生する等の問題がある。そのため、再利用できる廃プラスチックは、前記見掛け密度の条件を満たすものに限定されることになる。
【0007】
また、特許文献3には、自動的に注水を行い、またはヒータによる加熱を行ってプラスチック廃棄物を適正温度範囲内で成形する成形品の製造方法が提案されている。このような方法を採るのは、過度に加熱すると、プラスチック廃棄物(熱可塑性樹脂)が溶融状態で押し出され、成形機の周辺で固化して装置の故障の原因となる場合があり、また、適正な温度範囲に達しないと、成形品に粉状の熱可塑性樹脂が混入して成形後に崩壊するからである。しかし、この方法では、装置が複雑になり、処理コストが高くなる。
【0008】
これらの加圧(圧縮)成型処理では、いずれも廃プラスチックのみを圧縮成型する方法が採用されているが、このような廃プラスチックの単独成型で、成型物の強度を高め、コークス品質を良好に維持しようとすると、前述したように、成型機の故障や、処理コストの上昇、嵩密度条件を満たす廃プラスチックに限定されるなど、様々な問題が生じることとなる。
【0009】
【特許文献1】
特開昭48−32901号公報
【特許文献2】
特開2001−49261号公報
【特許文献3】
特開2002−178388号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、廃プラスチック等を、適切な成型処理を加えて原料炭に混合し、コークスの品質に影響を与えずに石炭代替原料として使用するコークス炉の操業方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題を解決するために検討を重ねた結果、下記▲1▼〜▲3▼に示す知見を得た。
▲1▼ 古紙等の紙類は、廃プラスチックとは相違して発生する摩擦熱が大きいので、成型時にその摩擦熱を利用することができる。
【0012】
▲2▼ 廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理すれば、廃プラスチックを単独で成型処理する際に生じる前記の諸問題を解決することができる。
【0013】
▲3▼ 廃プラスチックヘの紙類の配合割合は、10質量%から90質量%とするのが望ましい。前記配合割合が10質量%未満では、成型性が低下して成型物の強度が低下し易く、90質量%を超えると、搬送時に成型物が破壊され易いため、成型物の粒径を大きい状態で維持することが困難となるからである。
【0014】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記のコークス炉の操業方法にある。
【0015】
『石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉の操業方法であって、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入するコークス炉の操業方法。』
このコークス炉の操業方法において、前記紙類が古紙であれば、再生利用されず、焼却等の処理を行っている古紙を有効に利用することができる。
【0016】
また、前記紙類または古紙の混合割合が、10質量%〜90質量%であれば、成型物の粒径を大きい状態で維持することができるので、得られるコークスの強度の低下が少なく、望ましい。
【0017】
前記の「廃プラスチック」とは、その種類、形状を問わず、使用済みの(以下、「使用済み」には、使用せずに廃棄されるものも含まれる)プラスチックや、製造加工工程で発生した不良品または屑プラスチックをいう。
【0018】
「紙類」とは、木材パルプやその他の植物繊維を原料に用いて製造される、いわゆる「紙」と称されるもので、使用済みのものをいう。なお、原料は、セルロースアセテート、合成繊維など、天然の植物繊維以外のものであってもよい。
【0019】
また、「古紙」とは、「紙類」のうちの使用済みのものであって、回収されたものをいう。その種類、形状は問わない。
【0020】
紙類および廃プラスチックは、履歴の明白な紙類、プラスチックなどの産業廃棄物で排出元が明確なものの方が望ましいが、不特定多数の排出元からのものでもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のコークス炉の操業方法について、詳細に説明する。なお、廃プラスチックと紙類または古紙との混合割合を示す「%」は「質量%」を意味する。
【0022】
本発明のコークス炉の操業方法は、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入する方法である。
【0023】
この本発明の方法において、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行うのは、以下に述べるように、成型物を原料炭に混合し、コークス炉で乾留する際に必要とされる強度を高めるためである。なお、この成型物を、以下「固形化物」ともいい、また、原料炭に混合してコークス炉に装入する原料になるので、「固形化原料」ともいう。
【0024】
図1は、固形化原料をコークス炉に装入するまでの工程(フロー)の一例を模式的に示す図である。
【0025】
図1に示すように、固形化原料ホッパー2から所定量切り出された固形化原料は、原料炭ホッパー1から切り出され、搬送コンベア3で搬送される原料炭に添加され、コークス炉4に装入される。その際、何本ものベルトコンベアで搬送されるので、固形化原料は、強度が低いとベルトコンベアの乗り継ぎ過程で衝撃を受け、原料炭との接触を繰り返す間に、破壊され、粉化する。その結果、先に述べたように、コークス中に多数の穴が形成され、コークス強度が低下する。
【0026】
図2は、固形化原料の原料炭への添加量(原料炭に対する比率)とコークス強度との関係を固形化原料の粒径をパラメータとして示す図である。図2から明らかなように、原料炭への混合比率が同じでも、固形化原料の粒径が小さいほどコークス強度が低下する。なお、前記コークス強度は、JIS K2151に規定されるドラム強度で、150回転後、15mm篩いを通過せずに残るものの比率(質量%)で表される。
【0027】
したがって、コークス強度を低下させずに固形化原料を原料炭中に多量に添加するには、固形化原料の粒径を大きくし、かつ搬送過程で粉化しないように高強度化することが必要になる。
【0028】
固形化原料の強度を高める方法として、前記のように、廃プラスチックを破砕、粒度調整した後、加圧成型機に供給し、圧縮する際の摩擦熱を利用するか、ヒータにより加熱処理して得られる固形化物をコークス炉に装入する方法がある。粒子の表面を溶融して、固形化物の強度を高める方法である。
【0029】
しかしながら、廃プラスチックのみを圧縮した場合は、発生する摩擦熱が少なく、粒子の表面を溶融、固化するのに必要な熱が得られない。多量の摩擦熱を発生させるために、成型機の成型圧力を高めると成型機の故障頻度が増え、成型後のプラスチック固形化物を再度成型機で圧縮する方法を採ると、生産量が低下する上に、電力などの運転費用を増加させる結果となるので、いずれも有効な方法とはいえない。
【0030】
成型前に廃プラスチックを加熱して溶融させる方法もあるが、溶融した固形化物が成型機内で溶着し、成形機を故障させたり、固形化物同士が融着して粒径が一定せず、温度を上昇させすぎると廃プラスチックから有害ガスが発生する等の問題がある。
【0031】
さらに、これら固形化原料の強度を高めるいずれの方法においても、固形化物の粒径を大きくしようとすると、前記の問題(成型機の故障、生産量の低下、粒径の不安定等)が顕著になる傾向がある。
【0032】
また、廃プラスチックには様々な種類のプラスチックが混在(混合)しており、この種類の異なる廃プラスチックの混合比を事前に調整したり、加圧成型の条件を変更したりすることができれば、固形化原料の強度を高める上で有効であるが、この調整や変更は極めて困難である。
【0033】
このような問題点を解決する手段として、本発明のコークス炉の操業方法では、廃プラスチックに古紙などの紙類を混合して成型処理を行うのである。古紙等の紙類は廃プラスチックにくらべて摩擦抵抗が大きいので、多量の摩擦熱が容易に発生する。したがって、廃プラスチック単独で圧縮する場合にくらべて、成型機における動力負荷を著しく低下できることとなり、固形化物の粒径を大きくすることも容易になる。
【0034】
前記の成型処理に用いる成型機としては、特別のものは必要ではなく、従来から使用されている回転ダイ方式、スクリュー式、造粒式等の成型機を使用することができる。回転ダイ方式の成型機は、後述する実施例でも使用したが、好適な成形機の一例としてあげられる。
【0035】
古紙がわずか混合されただけても効果が認められるので、廃プラスチックへの古紙等の紙類の混合割合は、特に限定されない。
【0036】
このようにして得られた固形化物は、高い強度を有しているので、図1に示したように、搬送コンベア上で原料炭に石炭代替原料として添加し、コークス炉に装入することができる。この固形化物は約1100℃の高温で乾留され、そのほとんどはコークスおよびガス等の成品に転換されることとなる。
【0037】
このコークス炉の操業方法において、前記紙類が古紙であれば、再生利用されず、廃棄物として焼却等の処理を行っている古紙を石炭代替原料としてコークス炉で有効に利用することができる。
【0038】
また、前記紙類または古紙の廃プラスチックとの混合割合が、10%〜90%であれば、以下の実施例で述べるように、コークス強度の低下を低く抑えることができるので望ましい。前記混合割合が、10%に満たないと、成型性が悪化し固形化原料としての強度が低下する。一方、混合割合が90%を超えると、搬送過程で固形化原料が破壊され、コークス強度が低下する。
【0039】
以上述べた本発明のコークス炉の操業方法によれば、廃プラスチックを石炭代替原料として原料炭に混合し、コークス炉で乾留して、コークスの品質への影響を低く抑えてコークスを製造することができる。古紙を廃プラスチックに多量に混合することも可能なので、古紙の再利用方法としても有用である。特別の設備を必要とすることもなく、経済性にも優れている。
【0040】
【実施例】
廃プラスチックと古紙とを混合して固形化原料を製造し、嵩密度、発熱量、および搬送時の破壊状況(トロンメル試験により模擬)を調査するとともに、この固形化原料をコークス炉に装入する本発明のコークス炉の操業方法によりコークスを製造して、その品質(コークス強度)に及ぼす前記固形化原料の影響を調査した。
【0041】
図3は、固形化原料の製造工程を示す図である。図3に示すように、原料である廃プラスチックおよび古紙を破砕機5で40mm以下に破砕した後、それぞれ原料ホッパー(廃プラスチック)6および原料ホッパー(古紙)7に貯留し、廃プラスチックと古紙とが所定の混合比率になるように定量供給機8aまたは8bで切り出し、成型機9に供給して成型し、冷却器10で冷却して、直径20mm×長さ30mmの固形化原料を製造した。
【0042】
図4は、前記固形化原料の製造に使用した成型機の縦断面図で、固形化原料が製造される過程を模式的に示す図である。成型機9は回転ダイ方式で、原料装入口11から装入された破砕後の原料12は、ローラー14と環状に構成された回転するダイ13との間で加圧されつつダイ穴13aから押し出され、カッター15で切断され、前記所定形状の固形化原料16となって成型機9から排出される。なお、本実施例では、ダイ穴13aの径を20mmφとし、ダイ13の回転速度を毎分180回(180rpm)とした。
【0043】
表1に前記の製造工程で製造された固形化原料における廃プラスチックと古紙との混合比率、およびそれら固形化原料の嵩密度と発熱量を示す。発熱量については、実測発熱量(J/kg)と、1g当たりの実測発熱量(J/g)に嵩密度を乗じて求めた計算発熱量(J/cm3)とを示した。
【0044】
【表1】
【0045】
前記嵩密度の測定結果を図5に示す。図5に示したように、古紙の混合比率が高くなるに伴い、嵩密度は増大していくが、古紙の混合比率が10%以上で増大の程度が顕著になる傾向がある。
【0046】
また、表1に示したように、単位質量あたりの発熱量(実測発熱量)は古紙の混合比率が高くなると低下していくが、単位体積あたりの発熱量(計算発熱量)は上昇する傾向にある。
【0047】
この単位体積あたりの発熱量の測定結果を図6に示す。図6に示したように、古紙の混合比率が10%では11.5J/cm3となり、10%以上でその上昇傾向は顕著になることがわかる。これは、前記の嵩密度が古紙を混合することにより特に混合比率が10%以上で大幅に増大することによるものである。
【0048】
古紙を混合せずに廃プラスチック100%で、廃プラスチックの種類を変えて図4に示した成型機により前記のように実施する方法も試みたが、融点が低い軟質系プラスチック(例えば、融点が110〜140℃のポリエチレン)などでしか固形化原料を製造できなかった。
【0049】
また、摩擦熱の発生量を増大させるために、成型機の回転速度を低下させる方法、成型した後再度成型機で圧縮する方法などを試みたが、いずれの場合も、廃プラスチックから有害ガスが発生した。
【0050】
固形化原料の搬送過程での破壊状況を調査するために実施したトロンメル試験器による測定結果を表1に併せて示す。トロンメル試験は、被試験材(前記の固形化原料)をトロンメル試験器に装入し、回転速度を毎分60回(60rpm)として1分間回転させた後、篩い目が10mm角の篩いを通過せずに残ったものの全装入量に対する比率(質量%)に基づいて被試験材の強度を評価する試験である。前記の比率(質量%)を、ここでは「トロンメル」と称する。このトロンメルが大きいほど搬送過程で破壊し難いと評価することができる。
【0051】
図7は、前記の表1に示したトロンメルを図示したものである。図7に示したように、廃プラスチックに古紙を混合することによって、トロンメルは高い数値を示し、搬送時における衝撃に耐える強度が付与されると考えられる。廃プラスチック100%、または古紙100%においては、その値が極端に低いが、これは、廃プラスチック100%では表面が溶融固化するのに十分な摩擦熱が発生していないこと、古紙100%では紙の性質上固化しないことが原因であると考えられる。
【0052】
次に、小型乾留炉を用いて、トロンメル試験を実施した後の固形化原料の全量(篩い目が10mm角の篩いを通過したものも含む全量)を、それぞれ混合比率が原料炭に対して3質量%になるように原料炭に混合し、乾留して製造したコークスの強度(ドラム強度)を測定した。トロンメル試験実施後の固形化原料の全量を使用するのは、搬送過程で粉化した固形化原料が、原料炭に混合され、コークス炉に装入された場合のコークス品質に与える影響を調査するためである。
【0053】
図8に、コークス強度の測定結果を示す。なお、コークス強度の測定は、JIS K2151「コークス類−試験方法」に規定される方法に基づき、150回転後、15mm篩いを通過せずに残るものの比率(質量%)を求めることにより行った。
【0054】
図8に示したように、トロンメルが低下するとともにコークス強度は低下した。コークス強度の許容限界値を基準の−0.5%とすると、トロンメルが90%以上であれば、コークス強度は許容限界内に入ることがわかる。なお、この時のコークス強度は試験用の小型乾留炉で得られたコークスについての測定値であり、実際のコークス炉で得られるコークスの強度よりも低い値であるため、トロンメルが100%の固形化原料を使用したときのコークス強度を基準にして、これよりも0.5%低いコークス強度を許容限界値とした。
【0055】
この試験結果および前記図7に示した結果から、トロンメル90%以上を確保するためには、廃プラスチックと古紙とを混合する際、古紙の混合比率を10%〜90%の範囲とすればよいことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明のコークス炉の操業方法によれば、廃プラスチックを石炭代替原料として原料炭中に混合し、コークスの品質への影響を低く抑えてコークスを製造することができる。古紙を廃プラスチックに多量に混合することも可能なので、古紙の再利用方法としても有用である。特別の設備を必要としないので、経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】固形化原料をコークス炉に装入するまでの工程の一例を模式的に示す図である。
【図2】固形化原料の原料炭への添加量とコークス強度との関係を固形化原料の粒径をパラメータとして示す図である。
【図3】固形化原料の製造工程を示す図である。
【図4】固形化原料の製造に使用した成型機の縦断面図で、固形化原料が製造される過程を模式的に示す図である。
【図5】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料の嵩密度の関係を示す図である。
【図6】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料の単位体積あたりの発熱量の関係を示す図である。
【図7】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料のトロンメルの関係を示す図である。
【図8】実施例の結果で、固形化原料のトロンメルとコークス強度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1:原料炭ホッパー
2:固形化原料ホッパー
3:搬送コンベア
4:コークス炉
5:破砕機
6:原料ホッパー(廃プラスチック)
7:原料ホッパー(古紙)
8a、8b:定量供給機
9:成型器
10:冷却器
11:原料装入口
12:原料
13:ダイ
13a:ダイ穴
14:ローラー
15:カッター
16:固形化原料
【産業上の利用分野】
本発明は、廃プラスチック等を石炭代替原料として使用するコークス炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、廃プラスチックのリサイクル法の一つとして、廃プラスチックをコークス炉で乾留する方法が数多く提案されている。例えば、特許文献1には、プラスチック(粒径約3mmのポリエチレンを使用)を原料炭とともにコークス炉に装入し、乾留する方法が記載されている。
【0003】
しかし、廃プラスチックはその種類、形状が様々で、これら廃プラスチックをそのまま原料炭とともにコークス炉で乾留するのでは、コークス強度が低下するなど、コークス品質に悪影響が生じる。
【0004】
そのため、廃プラスチックをあらかじめ選別、破砕した後、成型し、固形化物として使用する方法が採られている。しかし、この固形化物の強度が低いと、固形化物はコークス炉への装入前の搬送過程で壊れやすく、細粒化または粉化し、コークス炉内で原料炭中に細粒物が分散された状態となる。このような状態で、この細粒物がコークス炉内で乾留されると、この分散された細粒物は原料炭中で分解・ガス化し、成品コークス中には多数の穴が形成され、コークス強度が低下する。
【0005】
そこで、廃プラスチックを破砕し、粒度調整した後、加圧成型機に供給し、圧縮する際の摩擦熱を利用するか、ヒータにより加熱処理して、得られる成型物の強度を高め、これをコークス炉に装入する方法が一般に用いられている。しかし、プラスチック自体は摩擦抵抗が極めて小さく、発生する摩擦熱が少ないので、成型機の成型圧力を高めたり、一旦成型した後再度成型機に装入して圧縮する操作が必要になるが、前者は成型機の故障を誘発するおそれがあり、後者は生産性の低下や電力などの運転費用の増加を招く。
【0006】
前記加圧成型する方法において、特にコークス品質への影響を考慮した方法として、例えば特許文献2に、廃プラスチックを圧縮成形して得られる見掛け密度が400〜950kg/m3のプラスチック粒状化物をコークス炉で使用する廃プラスチックの再利用方法が開示されている。この方法では、圧縮成形後の見掛け密度が低く圧縮性の悪いプラスチックを使用した場合は、コークスがスポンジ状となって粉化し、塊コークス歩留が低下する。反対に、圧縮性がよくて見掛け密度が高くなりすぎるプラスチックを使用した場合は、圧縮成形の過程で温度が上昇し、有害ガスが発生する等の問題がある。そのため、再利用できる廃プラスチックは、前記見掛け密度の条件を満たすものに限定されることになる。
【0007】
また、特許文献3には、自動的に注水を行い、またはヒータによる加熱を行ってプラスチック廃棄物を適正温度範囲内で成形する成形品の製造方法が提案されている。このような方法を採るのは、過度に加熱すると、プラスチック廃棄物(熱可塑性樹脂)が溶融状態で押し出され、成形機の周辺で固化して装置の故障の原因となる場合があり、また、適正な温度範囲に達しないと、成形品に粉状の熱可塑性樹脂が混入して成形後に崩壊するからである。しかし、この方法では、装置が複雑になり、処理コストが高くなる。
【0008】
これらの加圧(圧縮)成型処理では、いずれも廃プラスチックのみを圧縮成型する方法が採用されているが、このような廃プラスチックの単独成型で、成型物の強度を高め、コークス品質を良好に維持しようとすると、前述したように、成型機の故障や、処理コストの上昇、嵩密度条件を満たす廃プラスチックに限定されるなど、様々な問題が生じることとなる。
【0009】
【特許文献1】
特開昭48−32901号公報
【特許文献2】
特開2001−49261号公報
【特許文献3】
特開2002−178388号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、廃プラスチック等を、適切な成型処理を加えて原料炭に混合し、コークスの品質に影響を与えずに石炭代替原料として使用するコークス炉の操業方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題を解決するために検討を重ねた結果、下記▲1▼〜▲3▼に示す知見を得た。
▲1▼ 古紙等の紙類は、廃プラスチックとは相違して発生する摩擦熱が大きいので、成型時にその摩擦熱を利用することができる。
【0012】
▲2▼ 廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理すれば、廃プラスチックを単独で成型処理する際に生じる前記の諸問題を解決することができる。
【0013】
▲3▼ 廃プラスチックヘの紙類の配合割合は、10質量%から90質量%とするのが望ましい。前記配合割合が10質量%未満では、成型性が低下して成型物の強度が低下し易く、90質量%を超えると、搬送時に成型物が破壊され易いため、成型物の粒径を大きい状態で維持することが困難となるからである。
【0014】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記のコークス炉の操業方法にある。
【0015】
『石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉の操業方法であって、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入するコークス炉の操業方法。』
このコークス炉の操業方法において、前記紙類が古紙であれば、再生利用されず、焼却等の処理を行っている古紙を有効に利用することができる。
【0016】
また、前記紙類または古紙の混合割合が、10質量%〜90質量%であれば、成型物の粒径を大きい状態で維持することができるので、得られるコークスの強度の低下が少なく、望ましい。
【0017】
前記の「廃プラスチック」とは、その種類、形状を問わず、使用済みの(以下、「使用済み」には、使用せずに廃棄されるものも含まれる)プラスチックや、製造加工工程で発生した不良品または屑プラスチックをいう。
【0018】
「紙類」とは、木材パルプやその他の植物繊維を原料に用いて製造される、いわゆる「紙」と称されるもので、使用済みのものをいう。なお、原料は、セルロースアセテート、合成繊維など、天然の植物繊維以外のものであってもよい。
【0019】
また、「古紙」とは、「紙類」のうちの使用済みのものであって、回収されたものをいう。その種類、形状は問わない。
【0020】
紙類および廃プラスチックは、履歴の明白な紙類、プラスチックなどの産業廃棄物で排出元が明確なものの方が望ましいが、不特定多数の排出元からのものでもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のコークス炉の操業方法について、詳細に説明する。なお、廃プラスチックと紙類または古紙との混合割合を示す「%」は「質量%」を意味する。
【0022】
本発明のコークス炉の操業方法は、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入する方法である。
【0023】
この本発明の方法において、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行うのは、以下に述べるように、成型物を原料炭に混合し、コークス炉で乾留する際に必要とされる強度を高めるためである。なお、この成型物を、以下「固形化物」ともいい、また、原料炭に混合してコークス炉に装入する原料になるので、「固形化原料」ともいう。
【0024】
図1は、固形化原料をコークス炉に装入するまでの工程(フロー)の一例を模式的に示す図である。
【0025】
図1に示すように、固形化原料ホッパー2から所定量切り出された固形化原料は、原料炭ホッパー1から切り出され、搬送コンベア3で搬送される原料炭に添加され、コークス炉4に装入される。その際、何本ものベルトコンベアで搬送されるので、固形化原料は、強度が低いとベルトコンベアの乗り継ぎ過程で衝撃を受け、原料炭との接触を繰り返す間に、破壊され、粉化する。その結果、先に述べたように、コークス中に多数の穴が形成され、コークス強度が低下する。
【0026】
図2は、固形化原料の原料炭への添加量(原料炭に対する比率)とコークス強度との関係を固形化原料の粒径をパラメータとして示す図である。図2から明らかなように、原料炭への混合比率が同じでも、固形化原料の粒径が小さいほどコークス強度が低下する。なお、前記コークス強度は、JIS K2151に規定されるドラム強度で、150回転後、15mm篩いを通過せずに残るものの比率(質量%)で表される。
【0027】
したがって、コークス強度を低下させずに固形化原料を原料炭中に多量に添加するには、固形化原料の粒径を大きくし、かつ搬送過程で粉化しないように高強度化することが必要になる。
【0028】
固形化原料の強度を高める方法として、前記のように、廃プラスチックを破砕、粒度調整した後、加圧成型機に供給し、圧縮する際の摩擦熱を利用するか、ヒータにより加熱処理して得られる固形化物をコークス炉に装入する方法がある。粒子の表面を溶融して、固形化物の強度を高める方法である。
【0029】
しかしながら、廃プラスチックのみを圧縮した場合は、発生する摩擦熱が少なく、粒子の表面を溶融、固化するのに必要な熱が得られない。多量の摩擦熱を発生させるために、成型機の成型圧力を高めると成型機の故障頻度が増え、成型後のプラスチック固形化物を再度成型機で圧縮する方法を採ると、生産量が低下する上に、電力などの運転費用を増加させる結果となるので、いずれも有効な方法とはいえない。
【0030】
成型前に廃プラスチックを加熱して溶融させる方法もあるが、溶融した固形化物が成型機内で溶着し、成形機を故障させたり、固形化物同士が融着して粒径が一定せず、温度を上昇させすぎると廃プラスチックから有害ガスが発生する等の問題がある。
【0031】
さらに、これら固形化原料の強度を高めるいずれの方法においても、固形化物の粒径を大きくしようとすると、前記の問題(成型機の故障、生産量の低下、粒径の不安定等)が顕著になる傾向がある。
【0032】
また、廃プラスチックには様々な種類のプラスチックが混在(混合)しており、この種類の異なる廃プラスチックの混合比を事前に調整したり、加圧成型の条件を変更したりすることができれば、固形化原料の強度を高める上で有効であるが、この調整や変更は極めて困難である。
【0033】
このような問題点を解決する手段として、本発明のコークス炉の操業方法では、廃プラスチックに古紙などの紙類を混合して成型処理を行うのである。古紙等の紙類は廃プラスチックにくらべて摩擦抵抗が大きいので、多量の摩擦熱が容易に発生する。したがって、廃プラスチック単独で圧縮する場合にくらべて、成型機における動力負荷を著しく低下できることとなり、固形化物の粒径を大きくすることも容易になる。
【0034】
前記の成型処理に用いる成型機としては、特別のものは必要ではなく、従来から使用されている回転ダイ方式、スクリュー式、造粒式等の成型機を使用することができる。回転ダイ方式の成型機は、後述する実施例でも使用したが、好適な成形機の一例としてあげられる。
【0035】
古紙がわずか混合されただけても効果が認められるので、廃プラスチックへの古紙等の紙類の混合割合は、特に限定されない。
【0036】
このようにして得られた固形化物は、高い強度を有しているので、図1に示したように、搬送コンベア上で原料炭に石炭代替原料として添加し、コークス炉に装入することができる。この固形化物は約1100℃の高温で乾留され、そのほとんどはコークスおよびガス等の成品に転換されることとなる。
【0037】
このコークス炉の操業方法において、前記紙類が古紙であれば、再生利用されず、廃棄物として焼却等の処理を行っている古紙を石炭代替原料としてコークス炉で有効に利用することができる。
【0038】
また、前記紙類または古紙の廃プラスチックとの混合割合が、10%〜90%であれば、以下の実施例で述べるように、コークス強度の低下を低く抑えることができるので望ましい。前記混合割合が、10%に満たないと、成型性が悪化し固形化原料としての強度が低下する。一方、混合割合が90%を超えると、搬送過程で固形化原料が破壊され、コークス強度が低下する。
【0039】
以上述べた本発明のコークス炉の操業方法によれば、廃プラスチックを石炭代替原料として原料炭に混合し、コークス炉で乾留して、コークスの品質への影響を低く抑えてコークスを製造することができる。古紙を廃プラスチックに多量に混合することも可能なので、古紙の再利用方法としても有用である。特別の設備を必要とすることもなく、経済性にも優れている。
【0040】
【実施例】
廃プラスチックと古紙とを混合して固形化原料を製造し、嵩密度、発熱量、および搬送時の破壊状況(トロンメル試験により模擬)を調査するとともに、この固形化原料をコークス炉に装入する本発明のコークス炉の操業方法によりコークスを製造して、その品質(コークス強度)に及ぼす前記固形化原料の影響を調査した。
【0041】
図3は、固形化原料の製造工程を示す図である。図3に示すように、原料である廃プラスチックおよび古紙を破砕機5で40mm以下に破砕した後、それぞれ原料ホッパー(廃プラスチック)6および原料ホッパー(古紙)7に貯留し、廃プラスチックと古紙とが所定の混合比率になるように定量供給機8aまたは8bで切り出し、成型機9に供給して成型し、冷却器10で冷却して、直径20mm×長さ30mmの固形化原料を製造した。
【0042】
図4は、前記固形化原料の製造に使用した成型機の縦断面図で、固形化原料が製造される過程を模式的に示す図である。成型機9は回転ダイ方式で、原料装入口11から装入された破砕後の原料12は、ローラー14と環状に構成された回転するダイ13との間で加圧されつつダイ穴13aから押し出され、カッター15で切断され、前記所定形状の固形化原料16となって成型機9から排出される。なお、本実施例では、ダイ穴13aの径を20mmφとし、ダイ13の回転速度を毎分180回(180rpm)とした。
【0043】
表1に前記の製造工程で製造された固形化原料における廃プラスチックと古紙との混合比率、およびそれら固形化原料の嵩密度と発熱量を示す。発熱量については、実測発熱量(J/kg)と、1g当たりの実測発熱量(J/g)に嵩密度を乗じて求めた計算発熱量(J/cm3)とを示した。
【0044】
【表1】
【0045】
前記嵩密度の測定結果を図5に示す。図5に示したように、古紙の混合比率が高くなるに伴い、嵩密度は増大していくが、古紙の混合比率が10%以上で増大の程度が顕著になる傾向がある。
【0046】
また、表1に示したように、単位質量あたりの発熱量(実測発熱量)は古紙の混合比率が高くなると低下していくが、単位体積あたりの発熱量(計算発熱量)は上昇する傾向にある。
【0047】
この単位体積あたりの発熱量の測定結果を図6に示す。図6に示したように、古紙の混合比率が10%では11.5J/cm3となり、10%以上でその上昇傾向は顕著になることがわかる。これは、前記の嵩密度が古紙を混合することにより特に混合比率が10%以上で大幅に増大することによるものである。
【0048】
古紙を混合せずに廃プラスチック100%で、廃プラスチックの種類を変えて図4に示した成型機により前記のように実施する方法も試みたが、融点が低い軟質系プラスチック(例えば、融点が110〜140℃のポリエチレン)などでしか固形化原料を製造できなかった。
【0049】
また、摩擦熱の発生量を増大させるために、成型機の回転速度を低下させる方法、成型した後再度成型機で圧縮する方法などを試みたが、いずれの場合も、廃プラスチックから有害ガスが発生した。
【0050】
固形化原料の搬送過程での破壊状況を調査するために実施したトロンメル試験器による測定結果を表1に併せて示す。トロンメル試験は、被試験材(前記の固形化原料)をトロンメル試験器に装入し、回転速度を毎分60回(60rpm)として1分間回転させた後、篩い目が10mm角の篩いを通過せずに残ったものの全装入量に対する比率(質量%)に基づいて被試験材の強度を評価する試験である。前記の比率(質量%)を、ここでは「トロンメル」と称する。このトロンメルが大きいほど搬送過程で破壊し難いと評価することができる。
【0051】
図7は、前記の表1に示したトロンメルを図示したものである。図7に示したように、廃プラスチックに古紙を混合することによって、トロンメルは高い数値を示し、搬送時における衝撃に耐える強度が付与されると考えられる。廃プラスチック100%、または古紙100%においては、その値が極端に低いが、これは、廃プラスチック100%では表面が溶融固化するのに十分な摩擦熱が発生していないこと、古紙100%では紙の性質上固化しないことが原因であると考えられる。
【0052】
次に、小型乾留炉を用いて、トロンメル試験を実施した後の固形化原料の全量(篩い目が10mm角の篩いを通過したものも含む全量)を、それぞれ混合比率が原料炭に対して3質量%になるように原料炭に混合し、乾留して製造したコークスの強度(ドラム強度)を測定した。トロンメル試験実施後の固形化原料の全量を使用するのは、搬送過程で粉化した固形化原料が、原料炭に混合され、コークス炉に装入された場合のコークス品質に与える影響を調査するためである。
【0053】
図8に、コークス強度の測定結果を示す。なお、コークス強度の測定は、JIS K2151「コークス類−試験方法」に規定される方法に基づき、150回転後、15mm篩いを通過せずに残るものの比率(質量%)を求めることにより行った。
【0054】
図8に示したように、トロンメルが低下するとともにコークス強度は低下した。コークス強度の許容限界値を基準の−0.5%とすると、トロンメルが90%以上であれば、コークス強度は許容限界内に入ることがわかる。なお、この時のコークス強度は試験用の小型乾留炉で得られたコークスについての測定値であり、実際のコークス炉で得られるコークスの強度よりも低い値であるため、トロンメルが100%の固形化原料を使用したときのコークス強度を基準にして、これよりも0.5%低いコークス強度を許容限界値とした。
【0055】
この試験結果および前記図7に示した結果から、トロンメル90%以上を確保するためには、廃プラスチックと古紙とを混合する際、古紙の混合比率を10%〜90%の範囲とすればよいことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明のコークス炉の操業方法によれば、廃プラスチックを石炭代替原料として原料炭中に混合し、コークスの品質への影響を低く抑えてコークスを製造することができる。古紙を廃プラスチックに多量に混合することも可能なので、古紙の再利用方法としても有用である。特別の設備を必要としないので、経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】固形化原料をコークス炉に装入するまでの工程の一例を模式的に示す図である。
【図2】固形化原料の原料炭への添加量とコークス強度との関係を固形化原料の粒径をパラメータとして示す図である。
【図3】固形化原料の製造工程を示す図である。
【図4】固形化原料の製造に使用した成型機の縦断面図で、固形化原料が製造される過程を模式的に示す図である。
【図5】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料の嵩密度の関係を示す図である。
【図6】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料の単位体積あたりの発熱量の関係を示す図である。
【図7】実施例の結果で、古紙の混合比率と固形化原料のトロンメルの関係を示す図である。
【図8】実施例の結果で、固形化原料のトロンメルとコークス強度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1:原料炭ホッパー
2:固形化原料ホッパー
3:搬送コンベア
4:コークス炉
5:破砕機
6:原料ホッパー(廃プラスチック)
7:原料ホッパー(古紙)
8a、8b:定量供給機
9:成型器
10:冷却器
11:原料装入口
12:原料
13:ダイ
13a:ダイ穴
14:ローラー
15:カッター
16:固形化原料
Claims (3)
- 石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉の操業方法であって、廃プラスチックと紙類とを混合して成型処理を行い、成型物をコークス炉に装入することを特徴とするコークス炉の操業方法。
- 前記紙類が古紙であることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の操業方法。
- 前記紙類または古紙の混合割合が、10質量%〜90質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のコークス炉の操業方法。
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JP2003123684A JP2004323782A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | コークス炉の操業方法 |
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JP2012011749A (ja) * | 2010-07-05 | 2012-01-19 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 植物系バイオマス成形体の製造方法及び植物系バイオマス成形体の加熱流動成形用材料 |
JP2016077958A (ja) * | 2014-10-15 | 2016-05-16 | 新日鐵住金株式会社 | 繊維屑のリサイクル方法 |
-
2003
- 2003-04-28 JP JP2003123684A patent/JP2004323782A/ja active Pending
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