JP2004323744A - 抗菌性軟質ウレタンフォーム及びそれを用いた枕 - Google Patents

抗菌性軟質ウレタンフォーム及びそれを用いた枕 Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌性能を有するとともに、芳香性能を有し、さらに枕等の寝具に好ましい風合いを有する軟質ウレタンフォームを提供すること。
【解決手段】イソシアネートインデックス82〜97で合成された、ラベンダー抽出成分を含有する抗菌性軟質ウレタンフォームであって該フォームの復元時間が2sec〜25secであることを特徴とする抗菌性軟質ウレタンフォーム。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベンダー抽出成分、特に抗菌性能を有するラベンダー抽出成分を含有すると共に、好ましい触感、風合いを有する軟質ウレタンフォーム及び当該ウレタンフォームを芯材として用いることにより得られる枕に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、抗菌性軟質ウレタンフォームとしては各種のものが開発されており、当該抗菌性・ウレタン独自のソフト感のある弾性を活かし、枕、クッション等の寝具類に多く活用されている。抗菌剤としては、特許文献1にあるような、金属イオンがゼオライト系化合物に担持された無機系抗菌剤を用いたものが広く用いられている。しかし、枕、マットレス等の寝具用途で使用する観点からは、天然物誘導体を含む抗菌成分が求められており、開発が進められている。
【0003】
特許文献2には、ポリウレタンフォーム中に抗菌成分として、天然物由来のキトサンが1〜12重量部分散されてなる抗菌性ポリウレタンフォームが開示されている。また、特許文献3には、ポリウレタン樹脂よりなるマトリックスと、マトリックス中に分散されている茶または茶成分を含む粉末からなる抗菌剤とからなる抗菌性ポリウレタン樹脂が開示されている。さらに、特許文献4においては、ウレタン樹脂中に木材由来ヒノキチオール含有植物の微細繊維またはヒノキチオール含有植物の微細粉粒を1〜2000重量部が配合されている抗菌性ウレタン樹脂が開示されている。
【0004】
しかし、枕、マットレス等の寝具に使用することからすれば、芳香性も重要な要素をもつため上記天然物由来の抗菌成分では物足りない。また、枕等には、特有の風合い、触感が求められるため、単純な抗菌剤の変更のみでは良好な発泡体は得られない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−241932号公報
【特許文献2】
特開平3−231964号公報
【特許文献3】
特開平10−120897号公報
【特許文献4】
特開平4−63868号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、抗菌性能を有するとともに、芳香性能を有し、さらに枕、クッション、マットレス等の寝具、特に枕に好ましい風合いを有する軟質ウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、抗菌成分として、ラベンダー抽出成分を含有し、かつ寝具等として好ましい触感、風合いを有すべく、イソシアネートインデックスが82〜97で合成されてなり、かつフォームの復元時間が2sec〜25secである抗菌性軟質ウレタンフォームに関する。本発明のウレタンフォームはラベンダー抽出成分からの芳香性を有する。
【0008】
また、本発明は、イソシアネートインデックス82〜97で合成された、ラベンダー抽出成分を含有する抗菌性軟質ウレタンフォームであって該フォームの復元時間が2sec〜25secであることを特徴とする抗菌性軟質ウレタンフォームを芯材として用いた、枕、クッション、マットレス等の寝具、特に枕に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ラベンダー抽出成分を軟質ウレタンフォーム原料に添加することを特徴とする。ラベンダーは、芳香性を有するしそ科の植物であり、当該ラベンダーから抽出された成分は、いわゆるラベンダーオイルとして、リハビリテーション、マッサージ等のオイルテラピーに使用されている。なお、性状は、オイル状に限らず、粉末状、粒状であっても同成分を含有するのであれば、特に限定されるものではないが、オイル状のものが分散性、生産性のうえで好ましい。
【0010】
ラベンダー抽出成分の添加量は、製品の用途などに応じ、適宜選定し得るが、ポリオール100重量部に対し0.05〜3.0重量部、特に0.1〜1.0重量部とすることが好ましい。0.05重量部より少ないと、抗菌効果が減少し、また3.0重量部以上になると製造が困難になるとともに、芳香性が強すぎるため逆に不快感を与える。なお、ラベンダー抽出成分は、あらかじめポリオール等の成分に分散させておくのが好ましい。なお、本発明において「重量部」という用語は、ポリオール100重量部に対する部数をいう。
【0011】
本発明に係るラベンダー抽出成分含有抗菌性軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール、有機イソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒等を含む発泡原料を用い、該発泡原料中にラベンダー抽出成分を添加すると共に、イソシアネートインデックスを82〜97として製造されるものである。
【0012】
イソシアネートインデックスはポリオールおよび水等の総水酸基数に対するイソシアネート基の数の100倍で表した数値である。このイソシアネートインデックスが82未満では、得られるポリウレタンフォームの復元時間が遅くなりすぎ、いわゆるヘタリ感が発生し、また寝具等として好ましい触感、風合いを引き出すことができない。97より大きい場合、復元時間が早くなり触感が劣る。好ましいイソシアネートインデックスは82〜95、より好ましくは85〜92である。
【0013】
軟質ウレタンフォームに用いるポリオール、有機イソシアネート、発泡剤、整泡剤および触媒としては、一般の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、また発泡剤、整泡剤および触媒等の配合量も通常の配合量とすることができ、更に軟質ポリウレタンフォームの製造に通常用いられる他の成分を配合しても何ら差支えない。
【0014】
具体的には、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールのいずれも用いることができる。ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルキレンオキシド付加物等が例示され、ポリエステルポリオールとしてはマロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸或いはフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸又はそれらの混合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコール或いはトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオールとから重合して得られる末端にヒドロキシル基を有するポリエステルポリオール等が例示される。なお、ポリオールとしては、水酸基価100〜200mgKOH/gのものを使用するのが好ましい。
【0015】
有機イソシアネートとしては、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知のポリイソシアネートを使用できる。具体的には、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上併用して用いてもよい。好ましくはTDIである。
【0016】
発泡剤としては、環境への影響が少なく、強度の高いポリウレタンフォームが得られる水を使用することが特に好ましい。ただし、HFC−245fa,HFC−365mfc,シクロペンタン,n−ペンタン等の有機低沸点発泡剤を併用してもよい。必要に応じてメチレンクロライド等の低沸点の有機化合物や、空気、二酸化炭素等の気体も使用することができる。
【0017】
更に本発明の効果を逸脱しない限り、ハロゲン化リン酸エステル等の難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤及び着色剤等の助剤を配合し得る。特に、有機リン酸エステルをポリオール100重量部に対して、10重量部以上添加することが好ましい。これにより、ウレタンフォームが適度な柔らかさを発現でき、更に通気性を向上させる効果も有する。ただし、40重量部程度を越えて添加すると、表面触感が低下する。好ましくは、10〜30重量部である。
【0018】
整泡剤は、ポリウレタンフォームの気泡の大きさ、均一性、気泡の連通性、気泡壁の厚さ等を適当な状態に調節するために使用される。本発明では、公知のシリコン整泡剤から適宜選択して使用すればよく、また、発泡時の収縮を防止するために、破泡剤を併用するのが好ましい。整泡剤の使用量は、ポリオール成分100重量部に対し、0.1〜5重量部程度である。
【0019】
触媒としては、特に制限はないが、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されている、アミン系触媒、金属触媒、ジアザビシクロアルケン類またはその塩類がすべて使用できる。アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ビス−(2−アミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどが例示できる。金属触媒としては、スタナスオクテート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、等が例示できる。ジアザビシクロアルカン類としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が例示できる。その他、弱酸のアルカリ金属塩、三量化触媒等も使用できる。
【0020】
ラベンダー抽出成分を含有した抗菌性軟質ポリウレタンフォームを得る場合の製造方法は限定されず、ワンショット法でもプレポリマー法でもよく、また発泡条件も通常の条件を採用し得る。例えば、ワンショット法においては、ポリオール類、イソシアネート、ラベンダー抽出成分、発泡剤、整泡剤、アミン触媒、錫触媒その他の助剤等がそれぞれ別個若しくは一部混合したストリームとして発泡機の混合室に導入され、混合室内で高速で撹拌混合された後、連続的に流れてくるコンベア上に吐出され、発泡硬化を終了することにより製造される。また、プレポリマー法の場合は、あらかじめポリオールに過剰の当量のイソシアネートを添加して反応させることにより末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造しておき、このプレポリマーを上記ワンショット法のイソシアネートの代りに用いてワンショット法と同様の方法で製造される。
【0021】
得られるウレタンフォームは、ラベンダー抽出成分由来の芳香性と抗菌性を有し、2sec〜25secの復元時間を有する軟質なものとすることができる。復元時間とは縦300mm×横300mm×厚み50mmのウレタンフォームに径90mm、重さ2.7Kgの球状のおもりにて10秒荷重後、おもりを取り除いてからフォームが水平に復元するまでの時間をいう。復元時間が短すぎると、荷重分散性が悪く、寝具としての触感が悪くなり、また長すぎると、いわゆるヘタリ感が発生し、寝具として好ましくない。
【0022】
本発明の抗菌性軟質ウレタンフォームは、枕、クッション、マットレス等の寝具、特に枕として好適な触感、風合いを示す。枕として使用する場合には、本ウレタンフォームを芯材として使用し、カバー材を用いて包み込めばよい。なお、カバー材は、芯材の触感・風合い等を損なわないよう、伸縮性の生地、例えば平編、リブ編、パイル編のような編み生地が好ましい。また、スパンデックスのような伸縮性繊維を含む編地を用いるのも好ましい方法である。さらには、カバー材に消臭、防水、抗菌等の特性を付加することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
ポリオールとしてポリエーテルポリオール(三井武田ケミカル社製:水酸基価:150)を100重量部、イソシアネートとしてトリレンジイソシアネート(TDI80/20)を35重量部、発泡剤として水を1.5重量部、触媒としてアミン触媒A(東ソー社製「トヨキャットMR」)を0.1重量部、アミン触媒B(東ソー社製「トヨキャットET」)を0.2重量部、整泡剤(日本ユニカー社製「L582」)を1.0重量部、破泡剤(日本ユニカー社製「Y6827」)を0.5重量部、金属触媒としてスタナスオクテートを0.12重量部、助剤として、有機リン酸エステル(大八化学社製「CR−504L」)を16重量部、ラベンダー抽出成分としてラベンダーオイル(マーヤフィールド社製「アロマーヤ・ラベン」)を0.2重量部用いた。なお、上記配合におけるイソシアネートインデックスは88であった。
上記配合からなる原料を、ミキシングヘッドにおいて攪拌混合し、コンベア上を移動する紙上に連続的に流し、ウレタンフォームを製造した。
【0024】
(実施例2および3)
イソシアネートの使用重量部数を変更した以外は、実施例1と同様の配合および方法にてウレタンフォームを製造した。なお、イソシアネートインデックスは、82(実施例2)および95(実施例3)であった。
【0025】
(比較例1および2)
イソシアネートの使用重量部数を変更した以外は、実施例1と同様の配合および方法にてウレタンフォームを製造した。なお、イソシアネートインデックスは、80(比較例1)および98(比較例2)であった。
【0026】
実施例および比較例で得られた抗菌性軟質ウレタンフォームについて、触感および風合い、復元時間の評価結果を表1に示す。抗菌性能については、実施例1〜3のウレタンフォームについての結果を表2に示す。なお、実施例および比較例のウレタンフォームに対し、綿ニット製のカバーを取り付けた状態で触感を確認したが、ウレタンフォーム単体の評価と同様であった。
【0027】
<復元時間>
縦300mm×横300mm×厚み50mmのウレタンフォームに径90mm、重さ2.7Kgの球状のおもりにて10秒荷重後、おもりを取り除いてからフォームが水平に復元するまでの時間。
【0028】
<抗菌性>
試験方法:繊維製品新機能評価協議会が定める抗菌試験法である統一試験法
供試菌:黄色ブドウ球菌
洗濯方法:JIS L 0217(103号)ただし、JAFET標準洗剤を使用する。
【0029】
【表1】
Figure 2004323744
【0030】
【表2】
Figure 2004323744
【0031】
【発明の効果】
本発明の抗菌性軟質ウレタンフォームは、ラベンダー抽出成分を含有することにより、抗菌性および芳香性を有するとともに、寝具、特に枕に使用するうえで好ましい触感、風合いを有している。

Claims (5)

  1. イソシアネートインデックス82〜97で合成された、ラベンダー抽出成分を含有する抗菌性軟質ウレタンフォームであって該フォームの復元時間が2sec〜25secであることを特徴とする抗菌性軟質ウレタンフォーム。
  2. ラベンダー抽出成分が芳香性能を有する請求項1記載の抗菌性軟質ウレタンフォーム。
  3. 前記イソシアネートインデックスが85〜92であることを特徴とする請求項1または2記載の抗菌性軟質ウレタンフォーム。
  4. 前記フォームの復元時間が5sec〜15secであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の抗菌性軟質ウレタンフォーム。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の軟質ウレタンフォームを芯材として用いた枕。
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