JP2004323721A - 積層フィルム屑を含む強化ポリアミド樹脂組成物、製造方法および成形品 - Google Patents
積層フィルム屑を含む強化ポリアミド樹脂組成物、製造方法および成形品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】積層フィルム屑をそのまま使用して、優れた耐衝撃性、柔軟性、ガスバリア性を初めとする諸物性を示す強化樹脂組成物を得ること。
【解決手段】少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)2〜20重量部、ポリアミド樹脂(B)92〜20重量部、変性エラストマー(C)1〜10重量部、および強化材(D)5〜50重量部を溶融混練して得られる樹脂組成物であって、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)5〜20重量部含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物、及びその製造方法、並びに成形品。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)2〜20重量部、ポリアミド樹脂(B)92〜20重量部、変性エラストマー(C)1〜10重量部、および強化材(D)5〜50重量部を溶融混練して得られる樹脂組成物であって、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)5〜20重量部含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物、及びその製造方法、並びに成形品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層フィルム屑を含む強化樹脂組成物の製造方法に関するものである。詳しくは、積層フィルム屑とポリアミド樹脂、変性エラストマー、強化材を配合した耐衝撃性に優れた強化樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境負荷を低減するために樹脂製品を再生利用する試みが盛んに行われている。単一樹脂からなる製品を再生利用する方法は多々提案されているが、2種以上の樹脂を含む製品を再生利用する方法としては、該製品を分解して、別々の樹脂に分別して回収する手法がほとんどであった。
樹脂製品の中でも、工業用、食品包装用などに多く用いられている熱可塑性樹脂の共押出積層フィルムの場合、製造時の立ち上げ時、終了時、もしくはトラブル時などに多量の積層フィルム屑が発生することがあるが、積層フィルムは樹脂別に分別することが殆ど不可能であり、再生利用が困難であった。例えば特許文献1には、ポリアミドとエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる積層フィルムに、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物等の相溶化・粘度調整剤を特定量添加して再生利用する方法が提案されている。
しかし食品包装材に最も多く用いられているポリアミド/ポリオレフィン/接着性樹脂の3種類の樹脂を積層したフィルムを再生利用する方法は提案されていなかった。
【0003】
一方、特許文献2には、ポリアミド系繊維(a1)よりなる2枚の基布の間に融着防止剤としてポリオレフィン(特に高密度ポリエチレン)フィルム(a2)を挟んだ3層構造のエアーバッグ用基布の端切れ(A)と、相溶化剤(B)よりなり、(a1):(a2)=80〜96部:20〜4部、且つ(A):(B)=98〜60部:2〜40部のポリアミド樹脂組成物を用いて成形体を得る方法が提案されている。この端切れ中のポリアミド系繊維とポリオレフィンフィルムは、従来は別々に分離して処理されていたとの記載があるため、該端切れは、該3つの層が接着層を介して一体化したものではない。また、該ポリアミド系繊維とポリオレフィンだけからなる端切れに、相溶化剤を添加するだけで再利用する発明であるため、再生品の物性も組成物の物性の影響が大きく、そのため、再利用できる対象用途が限られていた。
また、ポリアミド層とポリオレフィン層が接着層を介して物理的に一体化したフィルムで、ポリアミドよりポリオレフィンが多い(すなわち(a1)<(a2)である)共押出積層フィルムを従来法の通り、極めて薄い各々の層別に分離することは殆ど不可能であるため、このような共押出積層フィルムを再生利用する方法は未だ提案されていなかった。
【特許文献1】特開平11−106648号公報
【特許文献2】特開2002−348464号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、積層フィルム屑を再生利用する方法を提供することであり、該積層フィルム屑とポリアミド樹脂、変性エラストマー、及び強化材を配合することにより、積層フィルムを樹脂別に分離しなくても良く、新品の樹脂を少ない使用量で、耐衝撃性に優れた、経済的なポリアミド樹脂組成物を得ようとするものである。。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)を2〜20重量部と、ポリアミド樹脂(B)を92〜20重量部、変性エラストマー(C)を1〜10重量部、強化材(D)を5〜50重量部とを溶融混練して得られる樹脂組成物(但し、(A)、(B)、(C)、(D)の合計が100重量部)において、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)を5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)を5〜20重量部含むことを特徴とする樹脂組成物、及びその製造方法、並びに該組成物を用いた射出成形品に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂(a1)および(B)は3員環以上のラクタム類、重合可能なωーアミノ酸類、または、二塩基酸とジアミンなどの重縮合または共重合反応によって得られる。もちろんこれらの重合物を混合して用いることもできる。
3員環以上のラクタム類としては、具体的には、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。ω−アミノ酸類としては、具体的には、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などが挙げられる。
【0007】
二塩基酸としては、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、トリデカジオン酸、テトラデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エンコセンジオン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ジアミンとしては、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0008】
本発明におけるポリアミド樹脂の末端は、カルボン酸又はアミンで封止されていてもよく、特に炭素数6〜22のカルボン酸又はアミンで封止されたポリアミド樹脂が用いられる。具体的に、封止に用いるモノカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第一級アミンが挙げられる。さらにポリアミド製造に用いられる上述の二塩基酸やジアミンも用いることができる。封止に使用するカルボン酸又はアミンの量は、5〜60μeq/樹脂1g程度がよい。
【0009】
ポリアミド樹脂(a1)としては、コスト及びフィルム適性の点でポリ−ε−カプロラクタム(ポリアミド6)、ε−カプロラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの共重合体(ポリアミド6/66)、およびこれらの混合物が好ましい。ポリアミド6/66中のε−カプラミドの比率はポリアミド6/66全体に対して50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
ポリアミド樹脂(B)としては、コスト及び射出成型性の点でポリ−ε−カプロラクタム(ポリアミド6)、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重合体(ポリアミド66)、ε−カプロラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの共重合体(ポリアミド6/66)、およびこれらの混合物が好ましい。ポリアミド6/66中のε−カプラミドの比率はポリアミド6/66全体に対して50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
【0010】
本発明で用いるポリアミド樹脂(a1)と(B)は、同じであっても良いが、好ましくは同じ種類の樹脂で、異なる粘度特性を有する方が良い。
すなわち、ポリアミド樹脂(a1)は、フィルム成形に用いられるポリアミド樹脂であるので、相対粘度が、JIS K6810に従って98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値で3.2から6.5のものが好ましく、より好ましくは3.2から4.6である。相対粘度が3.2より低いと溶融粘度が小さいためフィルム成形が困難になり、フィルムの機械的強度も低下する。また相対粘度が6.5より高いと溶融流動性が悪すぎてフィルム成形が困難になる。
一方、ポリアミド樹脂(B)として用いるポリアミドの好ましい相対粘度は、2.0から3.5であり、より好ましくは2.2から3.2である。相対粘度が2.0より低いと、溶融粘度が小さく射出成形が困難になり、成型品の機械的強度も低下する。また相対粘度が3.5より高いと、溶融流動性が悪く、射出成型に適さない。
【0011】
本発明におけるポリアミド樹脂(a1)は、低分子量成分含有量の指標である水抽出量が2重量%以下であるものを使用するのが好ましい。水抽出量の測定は、試料10gを脱塩水250ml中で6時間煮沸還流抽出し、その抽出液を冷却後に4倍に脱塩水にて希釈後、TOC計(島津製作所製 TOC−500型)にて、希釈液中の炭素濃度C(重量%)を測定する。この炭素濃度Cより下記式にて水抽出量(重量%)を算出する。
【0012】
【数1】
水抽出量=C×4×(113/72)×250/10
【0013】
水抽出量が2重量%を超えると、低分子量成分が多いため、フィルム製膜時に発生ガス量が多くなり、またダイラインやフィッシュアイが出やすくなり、製造上好ましくない。水抽出量は1.5重量%以下がより好ましい。
【0014】
ポリアミド樹脂(a1)には滑り性改良等のためにフィラーが添加されていてもよい。フィラー添加量はポリアミド樹脂(a1)100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。0.01重量部より少ないと、滑り性改良効果がなく、2重量部を超えると、フィルムの透明性が低下し、好ましくない。フィラー添加量は0.05〜1.5重量部がより好ましく、最も好ましくは0.1〜1.2重量部である。
ポリアミド樹脂(a1)に添加するフィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー及びこれらの混合物を用いることが出来る。無機フィラーとしては、タルク、カオリン、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等の各種天然鉱物や合成物が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリメチルメタクリレート等の各種ポリマーの粒状物、微粉、解砕品、合成品などが挙げられる。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(a2)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくはエチレン、プロピレンの共重合体等のポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、好ましく用いられるのはポリエチレンであり、低密度ポリエチレンがより好ましく、フィルム強度などの点で直鎖状低密度ポリエチレンを用いたものであるのが最も好ましい。
ポリオレフィン樹脂(a2)のMFRはJIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値で0.1〜20g/分が好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、耐熱性、フィルム強度などが低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくなく、MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下するので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは0.3〜10g/分であり、より好ましくは0.3〜5g/分である。
【0016】
変性ポリオレフィン樹脂層(a3)は、積層フィルム屑(A)において、上記ポリアミド樹脂(a1)とポリオレフィン樹脂(a2)とを積層するために接着性樹脂として有する場合が多い。該変性ポリオレフィン樹脂(a3)は、本発明の樹脂組成物中へのポリオレフィン樹脂(a2)の分散性を向上させ、成型品の耐衝撃性を向上することができる。
本発明において、変性ポリオレフィン樹脂とは、α,β−不飽和カルボン酸等の不飽和カルボン酸によって変性されたポリオレフィンであり、具体的には、エチレン、プロピレンを主たる構成成分とするオレフィン類の重合物に、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせたグラフト重合物などが挙げられる。
グラフト重合物の基本となるオレフィン類の重合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体などのオレフィンと不飽和カルボン酸類との共重合体が挙げられる。
【0017】
上記オレフィン類の重合物にグラフトされるα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、これらの酸無水物、これらの酸とテトラヒドロフルフリルアルコール等とのエステルなどが挙げられる。オレフィン類の重合物に対するグラフト量は、好ましくは、オレフィン類の重合物の0.05〜1.5重量%である。
オレフィン類の重合物にα、β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体をグラフトさせるには、常法に従って両成分を混合し、樹脂温度150〜300℃で溶融させることにより実施される。グラフト重合に際して、α,α’−ビス−t−ブチルパーオキシ−p−ジイソプロピルベンゼンのような有機過酸化物を、ポリオレフィンに対して0.001〜0.05重量%配合すると、効率よくグラフト重合を遂行することができる。
本発明においては、該変性ポリオレフィン樹脂(a3)としては、無水マレイン酸変性低密度ポリエチレンであるのが最も好ましい。
【0018】
上記変性ポリオレフィン樹脂(a3)のMFRは0.1〜20g/分の範囲のものが好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、耐熱性、フィルム強度が低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下するので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは0.2〜10g/分であり、より好ましいのは0.2〜5g/分である。
上記変性ポリオレフィン樹脂層(a3)中には、未変性ポリオレフィン樹脂を0〜70重量%の範囲において混合することができる。未変性ポリオレフィン樹脂が70重量%以上になると接着性が低下して好ましくない。
積層フィルム屑(A)100重量部中の各樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂(a1)が5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5〜20重量部であり、好ましくは、ポリアミド樹脂(a1)が15〜40重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が40〜80重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5〜20重量部であるものを選ぶ。ポリオレフィン樹脂(a2)が30重量部より少ないと、本発明の樹脂組成物からなる成形品の耐衝撃性が低下する。また、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5重量部より少ないと耐衝撃性向上効果が低下する。
【0019】
上記積層フィルムはポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)をこの順に積層してなる3層フィルムに限らず、各樹脂が2層以上に分割されて積層されていても構わない。たとえばポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)の構成、あるいはポリオレフィン樹脂(a2)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)の構成のような5層構成のフィルムも挙げられる。
積層フィルム屑(A)のもとになる積層フィルムの全体厚みは、特に限定されないが、フィルムとしての機械的強度や、工業的な生産性の点から、30〜1000μmが好ましい。本発明において、該積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、空冷インフレーション法や水冷インフレーション法、Tダイ法などの公知のフィルム成形法に加えて、チューブラー延伸成形やテンター延伸成形を組み合わせる方法が挙げられ、ポリアミド樹脂(a1)と変性ポリオレフィン樹脂(a3)とポリオレフィン樹脂(a2)を共押出成形する方法以外に、上記公知のフィルム成形法によりポリアミド樹脂(a1)からなる単層フィルムやポリオレフィン樹脂(a2)からなる単層フィルムを成形し、これに変性ポリオレフィン樹脂(a3)を押出ラミネーションまたはドライラミネーションする方法で積層したものであってもよい。
【0020】
さらに該積層フィルムには、目的の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂からなる層が積層されていてもよい。このような熱可塑性樹脂としては、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0021】
本発明において、積層フィルム屑(A)とは、上記ポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を積層してなる少なくとも3層以上の積層フィルムを製造する際に発生するロス分である。ロス分には、フィルム製膜立ち上げ時、定常状態に達するまでに生じるパージ物、終了時、定常状態から完全に停止するまでの間に生じるパージ物、および製膜中に発生した僅かなフィッシュアイ等の品質上欠陥のあるフィルムが含まれるが、ロス分中の樹脂構成が安定しているという点で、製膜中の僅かなフィッシュアイ等の品質欠陥のあるフィルムを積層フィルム屑(A)として用いるのが好ましい。
【0022】
また、本発明で用いる変性エラストマー(C)は、変性エチレン−α−オレフィン共重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、耐衝撃性向上効果が高いという点で、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、これらの酸無水物、これらの酸とテトラヒドロフルフリルアルコール等とのエステルなどが挙げられるが、マレイン酸無水物が好ましく用いられる。エチレン−α−オレフィン共重合体に対するグラフト量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の0.05〜1.5重量%である。グラフト量が0.05%より少ないと変性効果がなく、1.5%より多いと流動性が悪くなり成形性が悪化する。
該変性エラストマー(C)には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、顔料、染料、熱安定剤、帯電防止剤など、従来から使用されている各種の樹脂添加剤を配合することができる。
【0023】
変性エラストマー(C)のMFRは0.05〜20g/分の範囲のものが好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、成型品強度が低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、流動性が悪く、成形性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.05〜10g/分であり、更に好ましいのは0.1〜5g/分である。
【0024】
また、本発明の樹脂組成物に使用する強化材(D)は、熱可塑性樹脂の強化用として通常使用されるものであり、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸バリウム、フェライト、膨張性雲母、炭酸カルシウムなどが例示される。これら強化材は、2種以上を組合せて使用してもよい。
上記の強化材の中でも、ガラス繊維が特に好ましい。ガラス繊維は、熱可塑性樹脂の補強材として通常使用されるものでよく、Eガラス(無アルカリガラス)から作られるチョップドストランドが特に好ましい。ガラス繊維の繊維径は通常1〜20μm、好ましくは5〜15μmである。また、ガラス繊維はポリアミドとの接着性向上のため、シランカップリング剤などで表面処理されていることが好ましい。
【0025】
本発明の樹脂組成物における積層フィルム屑(A)、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)の添加量割合は、それらの合計が100重量部として、積層フィルム屑(A)が2〜20重量部、ポリアミド樹脂(B)が92〜20重量部、変性エラストマー(C)が1〜10重量部、強化材(D)が5〜50重量部となる範囲である。積層フィルム屑(A)が2重量部より少ないと、耐衝撃性改良効果がなく、20重量部より多いとポリオレフィン樹脂(a2)の分散性が悪くなり、耐衝撃性が逆に低下する。変性エラストマー(C)が1重量部より少ないと、耐衝撃性改良効果がなく、10重量部より多いと、成形品の剛性の低下が大きくなり好ましくない。強化材(D)が5重量部より少ないと補強効果がなく、50重量部より多いと樹脂部分が少なくなり製造が困難となる。これらの成分の好ましい配合割合は、(A)2〜15重量部、(B)87〜30重量部、(C)1〜10重量部、(D)10〜45重量部の比率であり、最も好ましくは(A)2〜10重量部、(B)77〜42重量部、(C)1〜8重量部、(D)20〜40重量部の比率である。
【0026】
本発明においては、樹脂組成物の製造時に本発明の目的を損なわない範囲で、顔料、染料、フィラー、強化材、充填材、熱安定剤、帯電防止剤など、従来から使用されている各種樹脂添加剤を配合することができる。
【0027】
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、押出機により溶融混練することにより、各成分を十分に混合することが好ましい。
積層フィルム屑(A)は、ポリアミド樹脂(B)等の他の原料と同一の押出機に直接供給せず、予め積層フィルム屑(A)だけを他の押出機に通すことによりペレット形状に加工する、いわゆるリペレット工程を経てから、他の原料と混合されてもよい。リペレットに使用する押出機は、単軸あるいは2軸の押出機が使用できる。
リペレット時の樹脂温度は積層フィルム屑(A)に含まれるポリアミド樹脂(a1)の融点+10℃以上が好ましいが、あまり高すぎるとポリオレフィン樹脂(a2)や変性ポリオレフィン樹脂(a3)が劣化するので、ポリオレフィン樹脂(a2)の融点+200℃以下が好ましい。ここでの融点とは各樹脂をDSCで20℃/分にて昇温した際の吸熱融解ピーク温度を意味する。押出機から出た溶融樹脂ストランドを常法にて冷却し、ペレタイズすることにより積層フィルム屑(A)のリペレット品を製造することができる。
【0028】
積層フィルム屑(A)またはそのリペレット品、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)を溶融混練する押出機には、単軸または2軸押出機が使用できる。スクリュー構成としてはポリオレフィン樹脂(a2)、変性エラストマー(C)を樹脂組成物中に良く分散させるため、混練分散を効率よく行えるような既知の構成を用いる。押出機への供給方法は、積層フィルム屑(A)を裁断した物あるいは上記方法にて製造したリペレット品と、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)とを一括してメインホッパーより供給する方法以外に、積層フィルム屑(A)を裁断した物あるいは上記方法にて製造したリペレット品と、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)とを一括してメインホッパーより供給し、樹脂成分が溶融状態に達した後に、強化材(D)をサイドフィードする方法、ポリアミド樹脂(B)と変性エラストマー(C)を一括フィードした後に、積層フィルム屑(A)と強化材(D)をそれぞれ別の場所からサイドフィードする方法などが挙げられる。強化材(D)が繊維状強化材の場合、これによる補強効果を高くするには、強化材(D)をポリアミド樹脂(B)と変性エラストマー(C)等の樹脂成分の溶融混練を多少行ってから、サイドフィードにより添加することが望ましい。これは、溶融混練のせん断力による繊維状強化材の破壊を抑えるためである。
また、溶融混練時の樹脂温度はポリアミド樹脂(a1)とポリアミド樹脂(B)のうち、融点の高い方+10℃以上が好ましく、ポリオレフィン樹脂(a2)の融点+220℃以下が好ましい。押出機から出た溶融樹脂ストランドを常法にて冷却し、ペレタイズすることにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。
【0029】
本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、射出成形法により成形品とするのに適している。特に、耐衝撃性が優れたものが得られるため、その特性を活かした電動工具ハウジングなどに適している。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
【0031】
実施例及び比較例において用いた原料は、次の通りである。
積層フィルム屑:ポリアミド樹脂(ポリアミド6、相対粘度3.7)29重量部と変性ポリオレフィン(無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン、MFR0.8g/10分、密度0.92、融点122℃)12重量部と直鎖状低密度ポリオレフィン樹脂(MFR0.8g/10分、密度0.93、融点124℃)59重量部をこの順に積層してなる3層フィルムの屑を粉砕し、押出機を通してリペレット化したもの。
ポリアミド樹脂:ポリアミド6 相対粘度2.5。
エラストマー1:無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体、MFR2.0g/10分、密度0.89、変性量0.4%。
エラストマー2:無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、MFR0.3g/10分、密度0.87、変性量1.0%。
強化材:ガラス繊維、平均繊維径14μm、シラン表面処理品。
【0032】
実施例1〜2、比較例1〜2および参考例1
日本製鋼所社製2軸押出機TEX30Cにて、スクリュー回転数200rpm、シリンダ温度250℃、押出量8kg/hにて、表1に示す配合にて溶融混練してペレット化した後、120℃で200Pa以下の減圧乾燥を8時間以上行い、樹脂組成物を製造した。なお強化材のみサイドフィードした。
この樹脂組成物を日本製鋼所社製75ton成形機J75EDにて、シリンダ温度250℃、金型温度80℃にて試験片を成形し、ISO規格に準拠して絶乾時の物性を評価した。評価結果を表1に示した。
参考例1は、積層フィルム屑を使用しない耐衝撃性強化樹脂組成物の例を示したものである。
この結果から明らかなように、実施例の樹脂組成物は、比較例に比べて、新品のポリアミド樹脂、エラストマーの使用量を大幅に低減でき、特に、値段の高いエラストマーの使用割合を低減出来る上、得られた組成物は、優れた耐衝撃性を初めとする諸物性を示し、新品だけを使用した参考例と同等以上の性能を示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明は、積層フィルム屑をそのまま使用できる上、新品のポリアミドやエラストマーの使用量を減らすことができ、特に値段の高いエラストマーを減らし、得られた樹脂組成物は、特に優れた耐衝撃性を初めとする諸物性を示した。従って、本発明の樹脂組成物は、高い耐衝撃性を必要とする電動工具ハウジングなどの各種射出成形品等に好適であり、工業的に利用価値のある方法で製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は積層フィルム屑を含む強化樹脂組成物の製造方法に関するものである。詳しくは、積層フィルム屑とポリアミド樹脂、変性エラストマー、強化材を配合した耐衝撃性に優れた強化樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境負荷を低減するために樹脂製品を再生利用する試みが盛んに行われている。単一樹脂からなる製品を再生利用する方法は多々提案されているが、2種以上の樹脂を含む製品を再生利用する方法としては、該製品を分解して、別々の樹脂に分別して回収する手法がほとんどであった。
樹脂製品の中でも、工業用、食品包装用などに多く用いられている熱可塑性樹脂の共押出積層フィルムの場合、製造時の立ち上げ時、終了時、もしくはトラブル時などに多量の積層フィルム屑が発生することがあるが、積層フィルムは樹脂別に分別することが殆ど不可能であり、再生利用が困難であった。例えば特許文献1には、ポリアミドとエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる積層フィルムに、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物等の相溶化・粘度調整剤を特定量添加して再生利用する方法が提案されている。
しかし食品包装材に最も多く用いられているポリアミド/ポリオレフィン/接着性樹脂の3種類の樹脂を積層したフィルムを再生利用する方法は提案されていなかった。
【0003】
一方、特許文献2には、ポリアミド系繊維(a1)よりなる2枚の基布の間に融着防止剤としてポリオレフィン(特に高密度ポリエチレン)フィルム(a2)を挟んだ3層構造のエアーバッグ用基布の端切れ(A)と、相溶化剤(B)よりなり、(a1):(a2)=80〜96部:20〜4部、且つ(A):(B)=98〜60部:2〜40部のポリアミド樹脂組成物を用いて成形体を得る方法が提案されている。この端切れ中のポリアミド系繊維とポリオレフィンフィルムは、従来は別々に分離して処理されていたとの記載があるため、該端切れは、該3つの層が接着層を介して一体化したものではない。また、該ポリアミド系繊維とポリオレフィンだけからなる端切れに、相溶化剤を添加するだけで再利用する発明であるため、再生品の物性も組成物の物性の影響が大きく、そのため、再利用できる対象用途が限られていた。
また、ポリアミド層とポリオレフィン層が接着層を介して物理的に一体化したフィルムで、ポリアミドよりポリオレフィンが多い(すなわち(a1)<(a2)である)共押出積層フィルムを従来法の通り、極めて薄い各々の層別に分離することは殆ど不可能であるため、このような共押出積層フィルムを再生利用する方法は未だ提案されていなかった。
【特許文献1】特開平11−106648号公報
【特許文献2】特開2002−348464号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、積層フィルム屑を再生利用する方法を提供することであり、該積層フィルム屑とポリアミド樹脂、変性エラストマー、及び強化材を配合することにより、積層フィルムを樹脂別に分離しなくても良く、新品の樹脂を少ない使用量で、耐衝撃性に優れた、経済的なポリアミド樹脂組成物を得ようとするものである。。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)を2〜20重量部と、ポリアミド樹脂(B)を92〜20重量部、変性エラストマー(C)を1〜10重量部、強化材(D)を5〜50重量部とを溶融混練して得られる樹脂組成物(但し、(A)、(B)、(C)、(D)の合計が100重量部)において、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)を5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)を5〜20重量部含むことを特徴とする樹脂組成物、及びその製造方法、並びに該組成物を用いた射出成形品に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂(a1)および(B)は3員環以上のラクタム類、重合可能なωーアミノ酸類、または、二塩基酸とジアミンなどの重縮合または共重合反応によって得られる。もちろんこれらの重合物を混合して用いることもできる。
3員環以上のラクタム類としては、具体的には、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。ω−アミノ酸類としては、具体的には、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などが挙げられる。
【0007】
二塩基酸としては、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、トリデカジオン酸、テトラデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エンコセンジオン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ジアミンとしては、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0008】
本発明におけるポリアミド樹脂の末端は、カルボン酸又はアミンで封止されていてもよく、特に炭素数6〜22のカルボン酸又はアミンで封止されたポリアミド樹脂が用いられる。具体的に、封止に用いるモノカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第一級アミンが挙げられる。さらにポリアミド製造に用いられる上述の二塩基酸やジアミンも用いることができる。封止に使用するカルボン酸又はアミンの量は、5〜60μeq/樹脂1g程度がよい。
【0009】
ポリアミド樹脂(a1)としては、コスト及びフィルム適性の点でポリ−ε−カプロラクタム(ポリアミド6)、ε−カプロラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの共重合体(ポリアミド6/66)、およびこれらの混合物が好ましい。ポリアミド6/66中のε−カプラミドの比率はポリアミド6/66全体に対して50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
ポリアミド樹脂(B)としては、コスト及び射出成型性の点でポリ−ε−カプロラクタム(ポリアミド6)、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重合体(ポリアミド66)、ε−カプロラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの共重合体(ポリアミド6/66)、およびこれらの混合物が好ましい。ポリアミド6/66中のε−カプラミドの比率はポリアミド6/66全体に対して50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
【0010】
本発明で用いるポリアミド樹脂(a1)と(B)は、同じであっても良いが、好ましくは同じ種類の樹脂で、異なる粘度特性を有する方が良い。
すなわち、ポリアミド樹脂(a1)は、フィルム成形に用いられるポリアミド樹脂であるので、相対粘度が、JIS K6810に従って98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値で3.2から6.5のものが好ましく、より好ましくは3.2から4.6である。相対粘度が3.2より低いと溶融粘度が小さいためフィルム成形が困難になり、フィルムの機械的強度も低下する。また相対粘度が6.5より高いと溶融流動性が悪すぎてフィルム成形が困難になる。
一方、ポリアミド樹脂(B)として用いるポリアミドの好ましい相対粘度は、2.0から3.5であり、より好ましくは2.2から3.2である。相対粘度が2.0より低いと、溶融粘度が小さく射出成形が困難になり、成型品の機械的強度も低下する。また相対粘度が3.5より高いと、溶融流動性が悪く、射出成型に適さない。
【0011】
本発明におけるポリアミド樹脂(a1)は、低分子量成分含有量の指標である水抽出量が2重量%以下であるものを使用するのが好ましい。水抽出量の測定は、試料10gを脱塩水250ml中で6時間煮沸還流抽出し、その抽出液を冷却後に4倍に脱塩水にて希釈後、TOC計(島津製作所製 TOC−500型)にて、希釈液中の炭素濃度C(重量%)を測定する。この炭素濃度Cより下記式にて水抽出量(重量%)を算出する。
【0012】
【数1】
水抽出量=C×4×(113/72)×250/10
【0013】
水抽出量が2重量%を超えると、低分子量成分が多いため、フィルム製膜時に発生ガス量が多くなり、またダイラインやフィッシュアイが出やすくなり、製造上好ましくない。水抽出量は1.5重量%以下がより好ましい。
【0014】
ポリアミド樹脂(a1)には滑り性改良等のためにフィラーが添加されていてもよい。フィラー添加量はポリアミド樹脂(a1)100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。0.01重量部より少ないと、滑り性改良効果がなく、2重量部を超えると、フィルムの透明性が低下し、好ましくない。フィラー添加量は0.05〜1.5重量部がより好ましく、最も好ましくは0.1〜1.2重量部である。
ポリアミド樹脂(a1)に添加するフィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー及びこれらの混合物を用いることが出来る。無機フィラーとしては、タルク、カオリン、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等の各種天然鉱物や合成物が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリメチルメタクリレート等の各種ポリマーの粒状物、微粉、解砕品、合成品などが挙げられる。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(a2)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくはエチレン、プロピレンの共重合体等のポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、好ましく用いられるのはポリエチレンであり、低密度ポリエチレンがより好ましく、フィルム強度などの点で直鎖状低密度ポリエチレンを用いたものであるのが最も好ましい。
ポリオレフィン樹脂(a2)のMFRはJIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値で0.1〜20g/分が好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、耐熱性、フィルム強度などが低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくなく、MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下するので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは0.3〜10g/分であり、より好ましくは0.3〜5g/分である。
【0016】
変性ポリオレフィン樹脂層(a3)は、積層フィルム屑(A)において、上記ポリアミド樹脂(a1)とポリオレフィン樹脂(a2)とを積層するために接着性樹脂として有する場合が多い。該変性ポリオレフィン樹脂(a3)は、本発明の樹脂組成物中へのポリオレフィン樹脂(a2)の分散性を向上させ、成型品の耐衝撃性を向上することができる。
本発明において、変性ポリオレフィン樹脂とは、α,β−不飽和カルボン酸等の不飽和カルボン酸によって変性されたポリオレフィンであり、具体的には、エチレン、プロピレンを主たる構成成分とするオレフィン類の重合物に、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせたグラフト重合物などが挙げられる。
グラフト重合物の基本となるオレフィン類の重合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム共重合体などのオレフィンと不飽和カルボン酸類との共重合体が挙げられる。
【0017】
上記オレフィン類の重合物にグラフトされるα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、これらの酸無水物、これらの酸とテトラヒドロフルフリルアルコール等とのエステルなどが挙げられる。オレフィン類の重合物に対するグラフト量は、好ましくは、オレフィン類の重合物の0.05〜1.5重量%である。
オレフィン類の重合物にα、β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体をグラフトさせるには、常法に従って両成分を混合し、樹脂温度150〜300℃で溶融させることにより実施される。グラフト重合に際して、α,α’−ビス−t−ブチルパーオキシ−p−ジイソプロピルベンゼンのような有機過酸化物を、ポリオレフィンに対して0.001〜0.05重量%配合すると、効率よくグラフト重合を遂行することができる。
本発明においては、該変性ポリオレフィン樹脂(a3)としては、無水マレイン酸変性低密度ポリエチレンであるのが最も好ましい。
【0018】
上記変性ポリオレフィン樹脂(a3)のMFRは0.1〜20g/分の範囲のものが好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、耐熱性、フィルム強度が低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下するので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは0.2〜10g/分であり、より好ましいのは0.2〜5g/分である。
上記変性ポリオレフィン樹脂層(a3)中には、未変性ポリオレフィン樹脂を0〜70重量%の範囲において混合することができる。未変性ポリオレフィン樹脂が70重量%以上になると接着性が低下して好ましくない。
積層フィルム屑(A)100重量部中の各樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂(a1)が5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5〜20重量部であり、好ましくは、ポリアミド樹脂(a1)が15〜40重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)が40〜80重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5〜20重量部であるものを選ぶ。ポリオレフィン樹脂(a2)が30重量部より少ないと、本発明の樹脂組成物からなる成形品の耐衝撃性が低下する。また、変性ポリオレフィン樹脂(a3)が5重量部より少ないと耐衝撃性向上効果が低下する。
【0019】
上記積層フィルムはポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)をこの順に積層してなる3層フィルムに限らず、各樹脂が2層以上に分割されて積層されていても構わない。たとえばポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)の構成、あるいはポリオレフィン樹脂(a2)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリアミド樹脂(a1)/変性ポリオレフィン樹脂(a3)/ポリオレフィン樹脂(a2)の構成のような5層構成のフィルムも挙げられる。
積層フィルム屑(A)のもとになる積層フィルムの全体厚みは、特に限定されないが、フィルムとしての機械的強度や、工業的な生産性の点から、30〜1000μmが好ましい。本発明において、該積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、空冷インフレーション法や水冷インフレーション法、Tダイ法などの公知のフィルム成形法に加えて、チューブラー延伸成形やテンター延伸成形を組み合わせる方法が挙げられ、ポリアミド樹脂(a1)と変性ポリオレフィン樹脂(a3)とポリオレフィン樹脂(a2)を共押出成形する方法以外に、上記公知のフィルム成形法によりポリアミド樹脂(a1)からなる単層フィルムやポリオレフィン樹脂(a2)からなる単層フィルムを成形し、これに変性ポリオレフィン樹脂(a3)を押出ラミネーションまたはドライラミネーションする方法で積層したものであってもよい。
【0020】
さらに該積層フィルムには、目的の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂からなる層が積層されていてもよい。このような熱可塑性樹脂としては、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0021】
本発明において、積層フィルム屑(A)とは、上記ポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を積層してなる少なくとも3層以上の積層フィルムを製造する際に発生するロス分である。ロス分には、フィルム製膜立ち上げ時、定常状態に達するまでに生じるパージ物、終了時、定常状態から完全に停止するまでの間に生じるパージ物、および製膜中に発生した僅かなフィッシュアイ等の品質上欠陥のあるフィルムが含まれるが、ロス分中の樹脂構成が安定しているという点で、製膜中の僅かなフィッシュアイ等の品質欠陥のあるフィルムを積層フィルム屑(A)として用いるのが好ましい。
【0022】
また、本発明で用いる変性エラストマー(C)は、変性エチレン−α−オレフィン共重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、耐衝撃性向上効果が高いという点で、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、これらの酸無水物、これらの酸とテトラヒドロフルフリルアルコール等とのエステルなどが挙げられるが、マレイン酸無水物が好ましく用いられる。エチレン−α−オレフィン共重合体に対するグラフト量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の0.05〜1.5重量%である。グラフト量が0.05%より少ないと変性効果がなく、1.5%より多いと流動性が悪くなり成形性が悪化する。
該変性エラストマー(C)には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、顔料、染料、熱安定剤、帯電防止剤など、従来から使用されている各種の樹脂添加剤を配合することができる。
【0023】
変性エラストマー(C)のMFRは0.05〜20g/分の範囲のものが好ましい。MFRが上記範囲より大きいと、成型品強度が低下し、またフィルムの製膜が不安定となるので好ましくない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、流動性が悪く、成形性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.05〜10g/分であり、更に好ましいのは0.1〜5g/分である。
【0024】
また、本発明の樹脂組成物に使用する強化材(D)は、熱可塑性樹脂の強化用として通常使用されるものであり、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸バリウム、フェライト、膨張性雲母、炭酸カルシウムなどが例示される。これら強化材は、2種以上を組合せて使用してもよい。
上記の強化材の中でも、ガラス繊維が特に好ましい。ガラス繊維は、熱可塑性樹脂の補強材として通常使用されるものでよく、Eガラス(無アルカリガラス)から作られるチョップドストランドが特に好ましい。ガラス繊維の繊維径は通常1〜20μm、好ましくは5〜15μmである。また、ガラス繊維はポリアミドとの接着性向上のため、シランカップリング剤などで表面処理されていることが好ましい。
【0025】
本発明の樹脂組成物における積層フィルム屑(A)、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)の添加量割合は、それらの合計が100重量部として、積層フィルム屑(A)が2〜20重量部、ポリアミド樹脂(B)が92〜20重量部、変性エラストマー(C)が1〜10重量部、強化材(D)が5〜50重量部となる範囲である。積層フィルム屑(A)が2重量部より少ないと、耐衝撃性改良効果がなく、20重量部より多いとポリオレフィン樹脂(a2)の分散性が悪くなり、耐衝撃性が逆に低下する。変性エラストマー(C)が1重量部より少ないと、耐衝撃性改良効果がなく、10重量部より多いと、成形品の剛性の低下が大きくなり好ましくない。強化材(D)が5重量部より少ないと補強効果がなく、50重量部より多いと樹脂部分が少なくなり製造が困難となる。これらの成分の好ましい配合割合は、(A)2〜15重量部、(B)87〜30重量部、(C)1〜10重量部、(D)10〜45重量部の比率であり、最も好ましくは(A)2〜10重量部、(B)77〜42重量部、(C)1〜8重量部、(D)20〜40重量部の比率である。
【0026】
本発明においては、樹脂組成物の製造時に本発明の目的を損なわない範囲で、顔料、染料、フィラー、強化材、充填材、熱安定剤、帯電防止剤など、従来から使用されている各種樹脂添加剤を配合することができる。
【0027】
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、押出機により溶融混練することにより、各成分を十分に混合することが好ましい。
積層フィルム屑(A)は、ポリアミド樹脂(B)等の他の原料と同一の押出機に直接供給せず、予め積層フィルム屑(A)だけを他の押出機に通すことによりペレット形状に加工する、いわゆるリペレット工程を経てから、他の原料と混合されてもよい。リペレットに使用する押出機は、単軸あるいは2軸の押出機が使用できる。
リペレット時の樹脂温度は積層フィルム屑(A)に含まれるポリアミド樹脂(a1)の融点+10℃以上が好ましいが、あまり高すぎるとポリオレフィン樹脂(a2)や変性ポリオレフィン樹脂(a3)が劣化するので、ポリオレフィン樹脂(a2)の融点+200℃以下が好ましい。ここでの融点とは各樹脂をDSCで20℃/分にて昇温した際の吸熱融解ピーク温度を意味する。押出機から出た溶融樹脂ストランドを常法にて冷却し、ペレタイズすることにより積層フィルム屑(A)のリペレット品を製造することができる。
【0028】
積層フィルム屑(A)またはそのリペレット品、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)を溶融混練する押出機には、単軸または2軸押出機が使用できる。スクリュー構成としてはポリオレフィン樹脂(a2)、変性エラストマー(C)を樹脂組成物中に良く分散させるため、混練分散を効率よく行えるような既知の構成を用いる。押出機への供給方法は、積層フィルム屑(A)を裁断した物あるいは上記方法にて製造したリペレット品と、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)、強化材(D)とを一括してメインホッパーより供給する方法以外に、積層フィルム屑(A)を裁断した物あるいは上記方法にて製造したリペレット品と、ポリアミド樹脂(B)、変性エラストマー(C)とを一括してメインホッパーより供給し、樹脂成分が溶融状態に達した後に、強化材(D)をサイドフィードする方法、ポリアミド樹脂(B)と変性エラストマー(C)を一括フィードした後に、積層フィルム屑(A)と強化材(D)をそれぞれ別の場所からサイドフィードする方法などが挙げられる。強化材(D)が繊維状強化材の場合、これによる補強効果を高くするには、強化材(D)をポリアミド樹脂(B)と変性エラストマー(C)等の樹脂成分の溶融混練を多少行ってから、サイドフィードにより添加することが望ましい。これは、溶融混練のせん断力による繊維状強化材の破壊を抑えるためである。
また、溶融混練時の樹脂温度はポリアミド樹脂(a1)とポリアミド樹脂(B)のうち、融点の高い方+10℃以上が好ましく、ポリオレフィン樹脂(a2)の融点+220℃以下が好ましい。押出機から出た溶融樹脂ストランドを常法にて冷却し、ペレタイズすることにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。
【0029】
本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、射出成形法により成形品とするのに適している。特に、耐衝撃性が優れたものが得られるため、その特性を活かした電動工具ハウジングなどに適している。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
【0031】
実施例及び比較例において用いた原料は、次の通りである。
積層フィルム屑:ポリアミド樹脂(ポリアミド6、相対粘度3.7)29重量部と変性ポリオレフィン(無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン、MFR0.8g/10分、密度0.92、融点122℃)12重量部と直鎖状低密度ポリオレフィン樹脂(MFR0.8g/10分、密度0.93、融点124℃)59重量部をこの順に積層してなる3層フィルムの屑を粉砕し、押出機を通してリペレット化したもの。
ポリアミド樹脂:ポリアミド6 相対粘度2.5。
エラストマー1:無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体、MFR2.0g/10分、密度0.89、変性量0.4%。
エラストマー2:無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、MFR0.3g/10分、密度0.87、変性量1.0%。
強化材:ガラス繊維、平均繊維径14μm、シラン表面処理品。
【0032】
実施例1〜2、比較例1〜2および参考例1
日本製鋼所社製2軸押出機TEX30Cにて、スクリュー回転数200rpm、シリンダ温度250℃、押出量8kg/hにて、表1に示す配合にて溶融混練してペレット化した後、120℃で200Pa以下の減圧乾燥を8時間以上行い、樹脂組成物を製造した。なお強化材のみサイドフィードした。
この樹脂組成物を日本製鋼所社製75ton成形機J75EDにて、シリンダ温度250℃、金型温度80℃にて試験片を成形し、ISO規格に準拠して絶乾時の物性を評価した。評価結果を表1に示した。
参考例1は、積層フィルム屑を使用しない耐衝撃性強化樹脂組成物の例を示したものである。
この結果から明らかなように、実施例の樹脂組成物は、比較例に比べて、新品のポリアミド樹脂、エラストマーの使用量を大幅に低減でき、特に、値段の高いエラストマーの使用割合を低減出来る上、得られた組成物は、優れた耐衝撃性を初めとする諸物性を示し、新品だけを使用した参考例と同等以上の性能を示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明は、積層フィルム屑をそのまま使用できる上、新品のポリアミドやエラストマーの使用量を減らすことができ、特に値段の高いエラストマーを減らし、得られた樹脂組成物は、特に優れた耐衝撃性を初めとする諸物性を示した。従って、本発明の樹脂組成物は、高い耐衝撃性を必要とする電動工具ハウジングなどの各種射出成形品等に好適であり、工業的に利用価値のある方法で製造できる。
Claims (8)
- 少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)2〜20重量部、ポリアミド樹脂(B)92〜20重量部、変性エラストマー(C)1〜10重量部、および強化材(D)5〜50重量部を溶融混練して得られる樹脂組成物であって、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)30〜90重量部、変性ポリオレフィン樹脂(a3)5〜20重量部含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ポリオレフィン樹脂(a2)が低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 変性ポリオレフィン樹脂(a3)が無水マレイン酸変性低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 変性エラストマー(C)が変性エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(B)がポリアミド6を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(B)の相対粘度が2.0〜3.5であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 少なくともポリアミド樹脂(a1)からなる層、ポリオレフィン樹脂(a2)からなる層、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)からなる層を有してなる積層フィルム屑(A)2〜20重量部と、ポリアミド樹脂(B)92〜20重量部、変性エラストマー(C)1〜10重量部、及び強化材(D)5〜50重量部を溶融混練する樹脂組成物の製造方法であって、該積層フィルム屑(A)100重量部中にポリアミド樹脂(a1)5〜50重量部、ポリオレフィン樹脂(a2)30〜90重量部、及び変性ポリオレフィン樹脂(a3)5〜20重量部を含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
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