JP2004323629A - ゴム組成物、加硫物およびエアーインテークホース - Google Patents
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Abstract
【課題】耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れたゴム組成物の加硫物の提供。
【解決手段】50,000〜150,000の数平均分子量を持つα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、1,000〜20,000の数平均分子量を持つα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)およびグラフト共重合体(D)を含有して成り、前記グラフト共重合体(D)が、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものであり、前記各ゴム(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対する(D)の割合が1〜30重量部であり、(A):20〜79重量%、(B):1〜30重量%、(C):20〜50重量%、であるゴム組成物を加硫成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】50,000〜150,000の数平均分子量を持つα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、1,000〜20,000の数平均分子量を持つα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)およびグラフト共重合体(D)を含有して成り、前記グラフト共重合体(D)が、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものであり、前記各ゴム(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対する(D)の割合が1〜30重量部であり、(A):20〜79重量%、(B):1〜30重量%、(C):20〜50重量%、であるゴム組成物を加硫成形する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴムおよびエチレン−α−オレフィン共重合ゴムを主成分とするゴム組成物、該ゴム組成物の加硫物および該加硫物を構成部材とするエアーインテークホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐油性と耐オゾン性を併せ持つゴム材料として、クロロプレンゴムが知られているが、このクロロプレンゴムは塩素を含んでいるため環境問題の原因となる可能性があった。そこで、クロロプレンゴムの代替材料として、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴムと、エチレン−α−オレフィン共重合ゴムとのゴム組成物が検討されている。しかし、この2種のゴムのみを混練しても十分には相溶せず、その結果、得られる加硫物は耐オゾン性には優れるものの、機械的強度および耐屈曲疲労性に劣っていた。
【0003】
そこで、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエンゴムとエチレン−プロピレン共重合ゴムとの組成物に相溶化剤として塩素化ポリエチレンを配合することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の組成物を加硫した加硫物は、機械的強度に優れるが耐屈曲疲労性が不十分であった。また、塩素を含有する材料であるため環境問題の原因となる可能性があった。
【0005】
また、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムの下位概念)と、エチレン−プロピレン共重合ゴム(エチレン−α−オレフィン共重合ゴムの下位概念)とに対し、特定のグラフト重合体を添加することにより、耐熱老化性、耐油性等を改善しうるゴム組成物が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に開示されている特定のグラフト共重合体は、芳香族ビニル化合物と極性ビニル化合物(α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の上位概念)との混合物を、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものである。
【0006】
この特許文献2に記載の組成物を加硫した加硫物は、塩素を含有しないため環境問題の原因となることはないが、耐屈曲疲労性については、依然として課題を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開昭59−199737号公報
【特許文献2】特開昭54−106554号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れた、エアーインテークホース用材料として好適なゴム組成物と、該ゴム組成物の加硫物と、該加硫物で構成されたエアーインテークホースとを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子量の大きい固形状のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)の他に、分子量の小さい液状のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)と、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位を特定量で含有するグラフト共重合体(D)とを含有させて得られるゴム組成物の加硫物が、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、
数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)および
グラフト共重合体(D)を含有して成り、
前記グラフト共重合体(D)が、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものであり、グラフト共重合体(D)中の、前記エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量が20〜70重量%であり、
前記各ゴム(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対するグラフト共重合体(D)の割合が1〜30重量部であり、
ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の組成比が
ゴム(A):20〜79重量%、
ゴム(B):1〜30重量%、
ゴム(C):20〜50重量%、
であるゴム組成物が提供される。
【0010】
このゴム組成物は、加硫剤をさらに含有することが好ましい。
【0011】
本発明によれば、上記ゴム組成物を加硫してなる加硫物が提供される。
【0012】
本発明によれば、上記加硫物を構成部材とするエアーインテークホースが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
ゴム組成物
本発明に係るゴム組成物は、
数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、
数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)および
グラフト共重合体(D)を含有して成る。
【0014】
なお、以下の説明では、上記の数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)をゴム(A)とし、数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)をゴム(B)とし、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)をゴム(C)として説明する。
【0015】
ゴム(A)
本発明で使用するゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合したゴムである。
【0016】
ゴム(A)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、50,000〜150,000、好ましくは60,000〜120,000、より好ましくは70,000〜100,000である。分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物が成形材料としての加工性に劣る。
【0017】
ゴム(A)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは28〜50重量%、特に好ましくは33〜45重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐油性が劣る場合があり、多すぎると高温における加硫物の機械的強度が劣る場合がある。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
【0018】
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0019】
ゴム(A)には、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体以外で、これらと共重合可能な他の単量体を共重合してもよい。そのような単量体としては、非共役ジエン単量体、α−オレフィン単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。非共役ジエン系単量体としては、好ましくは炭素数が5〜12のものであり、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。α−オレフィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0020】
ゴム(A)にはこれらのほかに、共重合性の老化防止剤を共重合してもよい。共重合性の老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
【0021】
ゴム(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよい。通常は、乳化重合法が用いられる。ゴム(A)を乳化重合法で製造する場合、酸素を除去した反応器内において0〜50℃で重合する。前記反応器に、上記各単量体、乳化剤、開始剤および分子量調節剤などを投入して反応させる。単量体、乳化剤などは反応開始前に全量添加しても、反応開始後任意に分割添加してもよい。重合反応終了後に、ゴム(A)を含む乳化重合液に凝固剤を加えてゴム(A)を凝固し、洗浄、乾燥して回収する。
【0022】
ゴム(B)
本発明で使用するゴム(B)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合したゴムである。
【0023】
ゴム(B)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、1,000〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、より好ましくは3,000〜7,000である。ゴム(B)の分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物の成形材料としての加工性および加硫物の屈曲疲労性に劣る。
【0024】
ゴム(B)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは15〜60重量%、より好ましくは25〜50重量%、特に好ましくは30〜45重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐油性、機械的強度が劣る場合があり、多すぎると高温における加硫物の機械的強度に劣る場合がある。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体および必要に応じて用いるこれらと共重合可能な単量体としては、ゴム(A)に用いる他の単量体として説明したものを用いることができ、好ましい単量体も同じである。
【0025】
ゴム(B)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよい。一般的には乳化重合法を用いるのが好ましい。ゴム(B)を乳化重合法で製造する場合に、重合に用いる分子量調整剤の量と各単量体の好ましい使用量が異なる以外は、ゴム(A)を乳化重合法で製造する場合と同様の方法が採用できる。
【0026】
なお、ゴム(A)およびゴム(B)のみを、本発明のゴム組成物中の組成と同組成で混合した混合物をテトラヒドロフランおよび水からなる混合溶媒に下記の一定条件下で溶解して測定したときのpHは2〜7になることが好ましく、3〜5になることがより好ましい。このpHの値が小さすぎるとゴム組成物の加硫速度が遅くなって金属等を汚染する場合があり、逆に大きすぎると加硫物の屈曲疲労性に劣る場合がある。このpHの値は、ゴム(A)とゴム(B)との混合物6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後に測定される値である。
【0027】
上記pH値は、ゴム(A)とゴム(B)との混合物を上記測定方法で測定したときに上記の好ましい範囲内の値となればよく、ゴム(A)およびゴム(B)それぞれの上記測定方法で測定されるpHは特に限定されないが、ゴム(A)およびゴム(B)それぞれについても上記測定方法で測定されるpHが2〜7の範囲になることが好ましく、3〜5の範囲になることがより好ましい。ゴム(A)およびゴム(B)両者のpHも上記範囲であれば、本発明のゴム組成物を調製する際の、両者の配合比のバラツキに起因する、上記測定方法で測定したpHのバラツキを小さくすることができ調製が容易になる。
【0028】
上記ゴム(A)およびゴム(B)の混合物のpHの値は、これらのゴムに含まれる配合剤等や単量体単位の種類および含有量により調整することができる。pHを上記の好ましいの範囲にするためには、ゴム(A)およびゴム(B)に酸性物質を配合するか、溶液中で酸性を示す単量体を共重合させることが好ましい。酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;酢酸、クエン酸、琥珀酸などの有機酸;硫酸アルミニウム、塩化アルムニウムなどの強酸塩;塩化カルシウムと硫酸との混合物、硫酸マグネシウムと塩酸との混合物などの中性物質と強酸との混合物;などが挙げられる。これらの酸性物質は全て、乳化重合において凝固剤として機能するものである。また、酸性を示す単量体としては、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物などが挙げられる。
【0029】
ゴム(A)およびゴム(B)を乳化重合で製造する場合に、アルカリ性の凝固剤で凝固すると、ゴム(A)またはゴム(B)が上記の酸性を示す単量体単位を含有していても、上記測定方法によるpHがアルカリ性になる場合がある。その場合には凝固剤として上記酸性物質を用いることが好ましい。
【0030】
酸性物質および酸性を示す単量体の種類および量の組み合わせによって、上記測定方法によるpHが変わる。上記のような好ましいpHの範囲にゴム(A)およびゴム(B)を調整するには、予備実験などによって重合条件、凝固処理条件および必要に応じて後処理条件を決める必要がある。
【0031】
ゴム(C)
本発明で使用するゴム(C)は、エチレン、α−オレフィンおよび必要に応じてこれらと共重合可能な単量体を共重合したゴムである。
【0032】
ゴム(C)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは60,000〜300,000、特に好ましくは70,000〜200,000である。分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物が成形材料としての加工性に劣る。
【0033】
ゴム(C)のα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。α−オレフィン単位の含有量が多すぎると加硫物の機械的強度に劣り、少なすぎると耐寒性に劣る。
【0034】
α−オレフィンとしては炭素数3〜20のものが好ましく、1−プロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0035】
ゴム(C)は、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、エチレンおよびα−オレフィンと共重合可能な単量体を共重合したものであってもよい。そのような単量体としては、スチレン、アルキル置換スチレンなどの芳香族ビニル単量体;ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジエン単量体;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン単量体などが挙げられる。
【0036】
ゴム(C)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよく、通常は溶液重合法が用いられる。
【0037】
グラフト共重合体(D)
本発明で使用するグラフト共重合体(D)は、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物を、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものである。
【0038】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレンなどが挙げられる。中でもスチレンが好ましい。
【0039】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。中でもアクリロニトリルが好ましい。
【0040】
混合物中での芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との重量比は90:10〜30:70であることが好ましい。芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物中には、その他の単量体を含有させてもよい。このようなその他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
グラフト重合法については特に制限はなく、公知の方法で実施できる。一般に、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体のラテックスの存在下に乳化重合でグラフト重合を行う方法や、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を有機溶媒もしくは、芳香族ビニル化合物またはα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単量体などに溶解させ溶液中でグラフト重合させる方法などを適用することができる。重合条件についても特に制限はなく、公知の条件が採用される。
【0042】
本発明において、グラフト共重合体(D)中のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量は、20〜70重量%、好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐屈曲疲労性を改善することができず、多すぎると耐油性、耐オゾン性に劣る。本発明のゴム組成物は、グラフト共重合体(D)中のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量を特定範囲に限定した点に特に特徴があるものである。
【0043】
各成分の割合(ゴム組成物中での含有量)
本発明のゴム組成物は、前記各ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の合計100重量部に対するグラフト共重合体(D)の割合が1〜30重量部、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%であり、
ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の組成比が、
ゴム(A)が20〜79重量%、好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%、ゴム(B)が1〜30重量%、好ましくは3〜23重量%、特に好ましくは5〜15重量%、ゴム(C)が20〜50重量%、好ましくは22〜47重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。
【0044】
ゴム(A)の量が少なすぎると、加硫物が耐油性に劣る場合があり、逆に多すぎると耐オゾン性に劣る場合がある。ゴム(B)の量が少なすぎると、加硫物が耐屈曲疲労性に劣る場合があり、逆に多すぎると機械的強度に劣る場合がある。ゴム(C)の量が少なすぎると、加硫物が耐オゾン性に劣る場合があり、逆に多すぎると耐油性に劣る場合がある。グラフト共重合体(D)の量が少なすぎると、加硫物が機械的強度に劣る場合があり、逆に多すぎると高温硬さ変化に劣る場合がある。
【0045】
加硫性のゴム組成物
本発明においては、上記ゴム組成物に加硫剤を配合して加硫性のゴム組成物とすることができる。加硫剤としては、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、ポリアミン系加硫剤などが挙げられる。
【0046】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄などの硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、高分子多硫化物など有機硫黄化合物;などが挙げられる。
【0047】
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。ジアシルパーオキサイドとして、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシエステルとして、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなど)などが挙げられる。
【0048】
ポリアミン系加硫剤は、2つ以上のアミノ基を有する化合物であって、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素がアミノ基またはヒドラジド構造、すなわち−CONHNH2 で表される構造に置換されたものである。ポリアミン系加硫剤としては、脂肪族多価アミン類、芳香族多価アミン類、ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物などが挙げられる。脂肪族多価アミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミン−ジベンゾエート塩などが挙げられる。芳香族多価アミン類としては、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−オキシジフェニルアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などが挙げられる。ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物としては、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0049】
加硫剤の配合量は、加硫剤の種類により異なるが、ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜7重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。加硫剤の配合量が少なすぎると加硫物の加硫密度が低くなり耐油性に劣る場合があり、多すぎると耐屈曲疲労性に劣る。
【0050】
硫黄系加硫剤を用いる場合は、通常、加硫促進剤を併用するのが好ましい。加硫促進剤としては、亜鉛華、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオ酸塩系加硫促進剤などが挙げられる。加硫促進剤の使用量は特に限定されず、加硫物の用途、要求性能、硫黄加硫剤の種類、加硫促進剤の種類などに応じて決めればよい。
【0051】
また、有機過酸化物を用いる場合は、通常、加硫助剤を併用するのが好ましい。加硫助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどが挙げられる。これらは、クレー、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、ゴム組成物の加工性を改良したものを使用してもよい。加硫助剤の使用量は特に限定されず、加硫物の用途、要求性能、加硫剤の種類、加硫助剤の種類などに応じて決めればよい。
【0052】
その他の配合剤
本発明のゴム組成物には、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、一般的なゴムに使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカなどの補強剤;炭酸カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウムなどの充填剤;α,β−不飽和カルボン酸金属塩;可塑剤;顔料などを含有していてもよい。また、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)以外のゴムまたは樹脂を含有してもよい。
【0053】
ゴム組成物の調製方法
本発明のゴム組成物の調製方法は特に限定されず、他のゴム組成物と同様に一般的なゴム組成物の調製方法で調製すればよく、密閉式混合機やオープンロールなどを用いて混練すればよい。なお、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤などを配合する場合には、混合時に加硫が進行しないように、剪断発熱の起きにくい方法で行うのが好ましい。例えば、加硫剤を配合しないでバンバリー混合した後、加硫剤を配合してロールで最終混合するのが好ましい。
【0054】
加硫物
本発明においては、上記加硫性のゴム組成物を、該ゴム組成物に含まれる加硫剤の加硫開始温度以上に加熱することにより加硫物とすることができる。
【0055】
加硫温度は、一般の加硫剤においては、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜190℃、特に好ましくは140〜180℃である。温度が低すぎると加硫時間が長くなりすぎたり、加硫密度が小さくなりすぎたりするおそれがある。温度が高すぎると成形不良を生じるおそれがある。
【0056】
また、加硫時間は、加硫方法、加硫温度、ゴム組成物の成形形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が加硫密度と生産効率の面から好ましい。また、成形形状、大きさなどによっては、表面が加硫していても、内部まで十分に加硫していない場合があるので二次加硫を行ってもよい。
【0057】
加硫するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの加硫に用いられる方法から適宜選択すればよい。
【0058】
上述した加硫物は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れて、十分な機械的強度を有している。このため、ロール、ホース、ベルト、シール材(たとえばインレットシール材)などの工業部品として用いられ、パッキン、燃料ホース、エアーインテークホース、エアダクトホース、ブーツ材(たとえばCVJブーツ材)、オイルシール、自動車内装部材などの自動車用ゴム部品の構成材料として好適である。
【0059】
エアーインテークホース
本発明に係るエアーインテークホースは、上述した加硫物を構成部材とするものである。その構造は特に限定されず、単層に限らず、他のゴム層や樹脂層などを有する2層以上の多層構造にしてもよい。
【0060】
本発明に係るエアーインテークホースの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造されるが、好ましくは、上述した加硫剤を含む加硫性のゴム組成物を、射出成形、押出成形などの従来公知の成形方法によって、所定形状のホースに成形し、スチーム加硫などの方法により加硫させて製造する。
【0061】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において特に断りのない限り、部数および%は重量基準である。
【0062】
実施例1
ゴム(A)を次のようにして作製した。単量体混合物(ブタジエン55%、アクリロニトリル45%)100部、イオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)3部、硫酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.3部およびtert−ドデシルメルカプタン(分子量調節剤)0.5部を窒素置換したオートクレーブに仕込み、反応温度30℃で単量体の転化率が85%に達するまで反応させ、停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5部を加えて反応を停止させた。乳化重合反応液を取り出して、100℃の水蒸気を吹き込み、未反応単量体を除去した乳化重合液280部を、0.5%硫酸アルミニウム水溶液1000部に加えて、共重合ゴムを凝固させ、凝固物を十分水洗して、約80℃で3時間乾燥させることにより、数平均分子量81,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(A)を98部得た。この共重合ゴム6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後にpHを測定したところ、4.2であった。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、テトラヒドロフランを溶媒とし、標準ポリスチレン換算値として測定した。後述のゴム(B)についても同様である。
【0063】
ゴム(B)を次のようにして作製した。単量体混合物(ブタジエン67%、アクリロニトリル33%)100部、イオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)5部、硫酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.3部およびtert−ドデシルメルカプタン(分子量調節剤)8部を窒素置換したオートクレーブに仕込み、反応温度30℃で単量体の転化率が90%に達するまで反応させ、停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5部を加えて反応を停止させた。乳化重合反応液を取り出して、100℃の水蒸気を吹き込み、未反応単量体を除去した乳化重合液280部を、0.5%硫酸アルミニウム水溶液1000部に加えて共重合ゴムを凝固させ、凝固物を十分水洗して、約80℃で3時間乾燥させることにより、数平均分子量3,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(B)を98部得た。この共重合ゴム6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後にpHを測定したところ、4.2であった。
【0064】
グラフト共重合体(D)を次のようにして作製した。窒素置換したオートクレーブに、予め均一に溶解したエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(三井化学社製の商品番号EPT4070)50部のトルエン100部溶液を仕込み、ここに、スチレン30部、アクリロニトリル20部、ベンゾイルパーオキサイド(ラジカル開始剤)1部を添加し、60℃で10時間、さらに70℃まで昇温させて2時間、グラフト重合反応させた。重合率は95%であった。取り出した溶液から水蒸気蒸留によりトルエンおよび残留単量体を除去し、固形物を細かく粉砕した後、60℃一昼夜乾燥させて、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量(表ではEPDMの含有量とする)が50%のグラフト共重合体(D)を得た。
【0065】
なお、ゴム(C)としては、エチレン−プロピレン−共役ジエンゴム(EPT4070、三井化学製、エチレン単位含量68モル%、ヨウ素価22、数平均分子量90,000)を用いた。
【0066】
このようにして得られた、ゴム(A)60部と、ゴム(B)10部と、ゴム(C)30部と、グラフト共重合体(D)5部との他に、カーボンブラック(シースト3、東海カーボン社製)40部、可塑剤(ジブチルジグリコールアジペート、アデカサイザーRS−107、旭電化社製)5部、ステアリン酸1部、酸化亜鉛(亜鉛華1号、正同化学社製)5部、ナフテン系オイル(サンセン415、日本サン石油社製、軟化剤)5部およびジフェニルアミン誘導体(アンテージOD、川口化学社製、老化防止剤)1部を用い、エアーインテークホース用のゴム組成物を、B型バンバリーで、50℃に制御しながら5分間混練して作製した。
【0067】
得られたゴム組成物に、硫黄(325メッシュ通過品)1部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(加硫促進剤)2部、テトラエチルチウラムジスルフィド(加硫促進剤)0.2部を50℃でロール混練して、加硫性のゴム組成物を調製した。
【0068】
この加硫性のゴム組成物を、160℃、20分、プレス圧10MPaの条件でプレス加硫して、試験用の厚さ2mmの加硫シートを作製した。この加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0069】
耐オゾン性は、JIS−K6259に準じて、同JIS4項記載の試験片を作製して、40℃、オゾン濃度80pphm、40%伸長の環境下に保持して、保持開始後72時間、144時間、280時間でのクラックの発生状態をJIS−K6259の表1(き裂の状態)に従って評価した。後述するクラックの発生が少ないほど、耐オゾン性に優れる。評価は次の略号で示した。NC:クラックの発生が認められない。A2,B2:アルファベットはクラック数を表し、Aに比べてBが大きく、Bに比べてCが大きい。数字が大きいほどクラックの大きさが大きい。Cut:クラックが大きくなり、試験用加硫シートが切断された。
【0070】
耐屈曲疲労性は、JIS−K6260の5.3項に従って試験片を作製し、5.2.1項に従って屈曲を繰り返し、試験片が破断に至った屈曲回数で評価した。屈曲回数が多いほど、耐屈曲疲労性に優れる。
【0071】
耐油性は、JIS−K6258に従い、100℃に調整された試験油(IRM903)に、試験用加硫シートを浸漬し、70時間経過した後の体積膨潤度△V(単位:%)を求めて評価した。体積膨潤度が少ないほど、耐油性に優れる。
【0072】
実施例2
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を35部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を65部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が35%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を60部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を40部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が60%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0074】
実施例4
ゴム(A)を50部、ゴム(B)を15部、ゴム(C)を35部、グラフト共重合体(D)を10部とした以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0075】
実施例5
tert−ドデシルメルカプタンの量を12部に変えて得られた数平均分子量10,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムを、ゴム(B)として用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0076】
比較例1
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を15部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を85部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が15%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0077】
比較例2
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を75部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を25部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が75%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0078】
比較例3
グラフト共重合体(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0079】
比較例4
ゴム(B)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲よりも少ないグラフト共重合体(D)を用いた比較例1は、耐油性については優れているが、耐オゾン性および耐屈曲疲労性が十分でないことが確認された。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲よりも多いグラフト共重合体(D)を用いた比較例2は、耐屈曲疲労性には優れているが、耐油性および耐オゾン性が十分でないことが確認された。
【0082】
さらに、グラフト共重合体(D)を含まない比較例3は、耐オゾン性に劣り、ゴム(B)を含まない比較例4は、耐オゾン性および耐屈曲疲労性に劣っていることが確認された。
【0083】
これに対し、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲内の実施例1〜5は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れていることが確認された。
【0084】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れた、エアーインテークホース用材料として好適なゴム組成物と、該ゴム組成物の加硫物と、該加硫物で構成されたエアーインテークホースとを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴムおよびエチレン−α−オレフィン共重合ゴムを主成分とするゴム組成物、該ゴム組成物の加硫物および該加硫物を構成部材とするエアーインテークホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐油性と耐オゾン性を併せ持つゴム材料として、クロロプレンゴムが知られているが、このクロロプレンゴムは塩素を含んでいるため環境問題の原因となる可能性があった。そこで、クロロプレンゴムの代替材料として、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴムと、エチレン−α−オレフィン共重合ゴムとのゴム組成物が検討されている。しかし、この2種のゴムのみを混練しても十分には相溶せず、その結果、得られる加硫物は耐オゾン性には優れるものの、機械的強度および耐屈曲疲労性に劣っていた。
【0003】
そこで、α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエンゴムとエチレン−プロピレン共重合ゴムとの組成物に相溶化剤として塩素化ポリエチレンを配合することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の組成物を加硫した加硫物は、機械的強度に優れるが耐屈曲疲労性が不十分であった。また、塩素を含有する材料であるため環境問題の原因となる可能性があった。
【0005】
また、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(α,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムの下位概念)と、エチレン−プロピレン共重合ゴム(エチレン−α−オレフィン共重合ゴムの下位概念)とに対し、特定のグラフト重合体を添加することにより、耐熱老化性、耐油性等を改善しうるゴム組成物が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に開示されている特定のグラフト共重合体は、芳香族ビニル化合物と極性ビニル化合物(α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の上位概念)との混合物を、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものである。
【0006】
この特許文献2に記載の組成物を加硫した加硫物は、塩素を含有しないため環境問題の原因となることはないが、耐屈曲疲労性については、依然として課題を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開昭59−199737号公報
【特許文献2】特開昭54−106554号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れた、エアーインテークホース用材料として好適なゴム組成物と、該ゴム組成物の加硫物と、該加硫物で構成されたエアーインテークホースとを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子量の大きい固形状のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)の他に、分子量の小さい液状のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム(B)と、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位を特定量で含有するグラフト共重合体(D)とを含有させて得られるゴム組成物の加硫物が、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、
数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)および
グラフト共重合体(D)を含有して成り、
前記グラフト共重合体(D)が、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものであり、グラフト共重合体(D)中の、前記エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量が20〜70重量%であり、
前記各ゴム(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対するグラフト共重合体(D)の割合が1〜30重量部であり、
ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の組成比が
ゴム(A):20〜79重量%、
ゴム(B):1〜30重量%、
ゴム(C):20〜50重量%、
であるゴム組成物が提供される。
【0010】
このゴム組成物は、加硫剤をさらに含有することが好ましい。
【0011】
本発明によれば、上記ゴム組成物を加硫してなる加硫物が提供される。
【0012】
本発明によれば、上記加硫物を構成部材とするエアーインテークホースが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
ゴム組成物
本発明に係るゴム組成物は、
数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、
数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)および
グラフト共重合体(D)を含有して成る。
【0014】
なお、以下の説明では、上記の数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)をゴム(A)とし、数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)をゴム(B)とし、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)をゴム(C)として説明する。
【0015】
ゴム(A)
本発明で使用するゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合したゴムである。
【0016】
ゴム(A)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、50,000〜150,000、好ましくは60,000〜120,000、より好ましくは70,000〜100,000である。分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物が成形材料としての加工性に劣る。
【0017】
ゴム(A)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは28〜50重量%、特に好ましくは33〜45重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐油性が劣る場合があり、多すぎると高温における加硫物の機械的強度が劣る場合がある。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
【0018】
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0019】
ゴム(A)には、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体以外で、これらと共重合可能な他の単量体を共重合してもよい。そのような単量体としては、非共役ジエン単量体、α−オレフィン単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。非共役ジエン系単量体としては、好ましくは炭素数が5〜12のものであり、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。α−オレフィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0020】
ゴム(A)にはこれらのほかに、共重合性の老化防止剤を共重合してもよい。共重合性の老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
【0021】
ゴム(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよい。通常は、乳化重合法が用いられる。ゴム(A)を乳化重合法で製造する場合、酸素を除去した反応器内において0〜50℃で重合する。前記反応器に、上記各単量体、乳化剤、開始剤および分子量調節剤などを投入して反応させる。単量体、乳化剤などは反応開始前に全量添加しても、反応開始後任意に分割添加してもよい。重合反応終了後に、ゴム(A)を含む乳化重合液に凝固剤を加えてゴム(A)を凝固し、洗浄、乾燥して回収する。
【0022】
ゴム(B)
本発明で使用するゴム(B)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合したゴムである。
【0023】
ゴム(B)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、1,000〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、より好ましくは3,000〜7,000である。ゴム(B)の分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物の成形材料としての加工性および加硫物の屈曲疲労性に劣る。
【0024】
ゴム(B)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、好ましくは15〜60重量%、より好ましくは25〜50重量%、特に好ましくは30〜45重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐油性、機械的強度が劣る場合があり、多すぎると高温における加硫物の機械的強度に劣る場合がある。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体および必要に応じて用いるこれらと共重合可能な単量体としては、ゴム(A)に用いる他の単量体として説明したものを用いることができ、好ましい単量体も同じである。
【0025】
ゴム(B)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよい。一般的には乳化重合法を用いるのが好ましい。ゴム(B)を乳化重合法で製造する場合に、重合に用いる分子量調整剤の量と各単量体の好ましい使用量が異なる以外は、ゴム(A)を乳化重合法で製造する場合と同様の方法が採用できる。
【0026】
なお、ゴム(A)およびゴム(B)のみを、本発明のゴム組成物中の組成と同組成で混合した混合物をテトラヒドロフランおよび水からなる混合溶媒に下記の一定条件下で溶解して測定したときのpHは2〜7になることが好ましく、3〜5になることがより好ましい。このpHの値が小さすぎるとゴム組成物の加硫速度が遅くなって金属等を汚染する場合があり、逆に大きすぎると加硫物の屈曲疲労性に劣る場合がある。このpHの値は、ゴム(A)とゴム(B)との混合物6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後に測定される値である。
【0027】
上記pH値は、ゴム(A)とゴム(B)との混合物を上記測定方法で測定したときに上記の好ましい範囲内の値となればよく、ゴム(A)およびゴム(B)それぞれの上記測定方法で測定されるpHは特に限定されないが、ゴム(A)およびゴム(B)それぞれについても上記測定方法で測定されるpHが2〜7の範囲になることが好ましく、3〜5の範囲になることがより好ましい。ゴム(A)およびゴム(B)両者のpHも上記範囲であれば、本発明のゴム組成物を調製する際の、両者の配合比のバラツキに起因する、上記測定方法で測定したpHのバラツキを小さくすることができ調製が容易になる。
【0028】
上記ゴム(A)およびゴム(B)の混合物のpHの値は、これらのゴムに含まれる配合剤等や単量体単位の種類および含有量により調整することができる。pHを上記の好ましいの範囲にするためには、ゴム(A)およびゴム(B)に酸性物質を配合するか、溶液中で酸性を示す単量体を共重合させることが好ましい。酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;酢酸、クエン酸、琥珀酸などの有機酸;硫酸アルミニウム、塩化アルムニウムなどの強酸塩;塩化カルシウムと硫酸との混合物、硫酸マグネシウムと塩酸との混合物などの中性物質と強酸との混合物;などが挙げられる。これらの酸性物質は全て、乳化重合において凝固剤として機能するものである。また、酸性を示す単量体としては、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物などが挙げられる。
【0029】
ゴム(A)およびゴム(B)を乳化重合で製造する場合に、アルカリ性の凝固剤で凝固すると、ゴム(A)またはゴム(B)が上記の酸性を示す単量体単位を含有していても、上記測定方法によるpHがアルカリ性になる場合がある。その場合には凝固剤として上記酸性物質を用いることが好ましい。
【0030】
酸性物質および酸性を示す単量体の種類および量の組み合わせによって、上記測定方法によるpHが変わる。上記のような好ましいpHの範囲にゴム(A)およびゴム(B)を調整するには、予備実験などによって重合条件、凝固処理条件および必要に応じて後処理条件を決める必要がある。
【0031】
ゴム(C)
本発明で使用するゴム(C)は、エチレン、α−オレフィンおよび必要に応じてこれらと共重合可能な単量体を共重合したゴムである。
【0032】
ゴム(C)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでのポリスチレン換算値で、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは60,000〜300,000、特に好ましくは70,000〜200,000である。分子量が小さすぎると加硫物の機械的強度に劣り、大きすぎるとゴム組成物が成形材料としての加工性に劣る。
【0033】
ゴム(C)のα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。α−オレフィン単位の含有量が多すぎると加硫物の機械的強度に劣り、少なすぎると耐寒性に劣る。
【0034】
α−オレフィンとしては炭素数3〜20のものが好ましく、1−プロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0035】
ゴム(C)は、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、エチレンおよびα−オレフィンと共重合可能な単量体を共重合したものであってもよい。そのような単量体としては、スチレン、アルキル置換スチレンなどの芳香族ビニル単量体;ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジエン単量体;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン単量体などが挙げられる。
【0036】
ゴム(C)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で共重合すればよく、通常は溶液重合法が用いられる。
【0037】
グラフト共重合体(D)
本発明で使用するグラフト共重合体(D)は、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物を、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものである。
【0038】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレンなどが挙げられる。中でもスチレンが好ましい。
【0039】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。中でもアクリロニトリルが好ましい。
【0040】
混合物中での芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との重量比は90:10〜30:70であることが好ましい。芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物中には、その他の単量体を含有させてもよい。このようなその他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
グラフト重合法については特に制限はなく、公知の方法で実施できる。一般に、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体のラテックスの存在下に乳化重合でグラフト重合を行う方法や、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を有機溶媒もしくは、芳香族ビニル化合物またはα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単量体などに溶解させ溶液中でグラフト重合させる方法などを適用することができる。重合条件についても特に制限はなく、公知の条件が採用される。
【0042】
本発明において、グラフト共重合体(D)中のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量は、20〜70重量%、好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量が少なすぎると加硫物の耐屈曲疲労性を改善することができず、多すぎると耐油性、耐オゾン性に劣る。本発明のゴム組成物は、グラフト共重合体(D)中のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量を特定範囲に限定した点に特に特徴があるものである。
【0043】
各成分の割合(ゴム組成物中での含有量)
本発明のゴム組成物は、前記各ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の合計100重量部に対するグラフト共重合体(D)の割合が1〜30重量部、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%であり、
ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の組成比が、
ゴム(A)が20〜79重量%、好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%、ゴム(B)が1〜30重量%、好ましくは3〜23重量%、特に好ましくは5〜15重量%、ゴム(C)が20〜50重量%、好ましくは22〜47重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。
【0044】
ゴム(A)の量が少なすぎると、加硫物が耐油性に劣る場合があり、逆に多すぎると耐オゾン性に劣る場合がある。ゴム(B)の量が少なすぎると、加硫物が耐屈曲疲労性に劣る場合があり、逆に多すぎると機械的強度に劣る場合がある。ゴム(C)の量が少なすぎると、加硫物が耐オゾン性に劣る場合があり、逆に多すぎると耐油性に劣る場合がある。グラフト共重合体(D)の量が少なすぎると、加硫物が機械的強度に劣る場合があり、逆に多すぎると高温硬さ変化に劣る場合がある。
【0045】
加硫性のゴム組成物
本発明においては、上記ゴム組成物に加硫剤を配合して加硫性のゴム組成物とすることができる。加硫剤としては、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、ポリアミン系加硫剤などが挙げられる。
【0046】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄などの硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、高分子多硫化物など有機硫黄化合物;などが挙げられる。
【0047】
有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。ジアシルパーオキサイドとして、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシエステルとして、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなど)などが挙げられる。
【0048】
ポリアミン系加硫剤は、2つ以上のアミノ基を有する化合物であって、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素がアミノ基またはヒドラジド構造、すなわち−CONHNH2 で表される構造に置換されたものである。ポリアミン系加硫剤としては、脂肪族多価アミン類、芳香族多価アミン類、ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物などが挙げられる。脂肪族多価アミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミン−ジベンゾエート塩などが挙げられる。芳香族多価アミン類としては、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−オキシジフェニルアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などが挙げられる。ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物としては、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0049】
加硫剤の配合量は、加硫剤の種類により異なるが、ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜7重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。加硫剤の配合量が少なすぎると加硫物の加硫密度が低くなり耐油性に劣る場合があり、多すぎると耐屈曲疲労性に劣る。
【0050】
硫黄系加硫剤を用いる場合は、通常、加硫促進剤を併用するのが好ましい。加硫促進剤としては、亜鉛華、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオ酸塩系加硫促進剤などが挙げられる。加硫促進剤の使用量は特に限定されず、加硫物の用途、要求性能、硫黄加硫剤の種類、加硫促進剤の種類などに応じて決めればよい。
【0051】
また、有機過酸化物を用いる場合は、通常、加硫助剤を併用するのが好ましい。加硫助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどが挙げられる。これらは、クレー、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、ゴム組成物の加工性を改良したものを使用してもよい。加硫助剤の使用量は特に限定されず、加硫物の用途、要求性能、加硫剤の種類、加硫助剤の種類などに応じて決めればよい。
【0052】
その他の配合剤
本発明のゴム組成物には、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、一般的なゴムに使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカなどの補強剤;炭酸カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウムなどの充填剤;α,β−不飽和カルボン酸金属塩;可塑剤;顔料などを含有していてもよい。また、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)以外のゴムまたは樹脂を含有してもよい。
【0053】
ゴム組成物の調製方法
本発明のゴム組成物の調製方法は特に限定されず、他のゴム組成物と同様に一般的なゴム組成物の調製方法で調製すればよく、密閉式混合機やオープンロールなどを用いて混練すればよい。なお、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤などを配合する場合には、混合時に加硫が進行しないように、剪断発熱の起きにくい方法で行うのが好ましい。例えば、加硫剤を配合しないでバンバリー混合した後、加硫剤を配合してロールで最終混合するのが好ましい。
【0054】
加硫物
本発明においては、上記加硫性のゴム組成物を、該ゴム組成物に含まれる加硫剤の加硫開始温度以上に加熱することにより加硫物とすることができる。
【0055】
加硫温度は、一般の加硫剤においては、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜190℃、特に好ましくは140〜180℃である。温度が低すぎると加硫時間が長くなりすぎたり、加硫密度が小さくなりすぎたりするおそれがある。温度が高すぎると成形不良を生じるおそれがある。
【0056】
また、加硫時間は、加硫方法、加硫温度、ゴム組成物の成形形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が加硫密度と生産効率の面から好ましい。また、成形形状、大きさなどによっては、表面が加硫していても、内部まで十分に加硫していない場合があるので二次加硫を行ってもよい。
【0057】
加硫するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの加硫に用いられる方法から適宜選択すればよい。
【0058】
上述した加硫物は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れて、十分な機械的強度を有している。このため、ロール、ホース、ベルト、シール材(たとえばインレットシール材)などの工業部品として用いられ、パッキン、燃料ホース、エアーインテークホース、エアダクトホース、ブーツ材(たとえばCVJブーツ材)、オイルシール、自動車内装部材などの自動車用ゴム部品の構成材料として好適である。
【0059】
エアーインテークホース
本発明に係るエアーインテークホースは、上述した加硫物を構成部材とするものである。その構造は特に限定されず、単層に限らず、他のゴム層や樹脂層などを有する2層以上の多層構造にしてもよい。
【0060】
本発明に係るエアーインテークホースの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造されるが、好ましくは、上述した加硫剤を含む加硫性のゴム組成物を、射出成形、押出成形などの従来公知の成形方法によって、所定形状のホースに成形し、スチーム加硫などの方法により加硫させて製造する。
【0061】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において特に断りのない限り、部数および%は重量基準である。
【0062】
実施例1
ゴム(A)を次のようにして作製した。単量体混合物(ブタジエン55%、アクリロニトリル45%)100部、イオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)3部、硫酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.3部およびtert−ドデシルメルカプタン(分子量調節剤)0.5部を窒素置換したオートクレーブに仕込み、反応温度30℃で単量体の転化率が85%に達するまで反応させ、停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5部を加えて反応を停止させた。乳化重合反応液を取り出して、100℃の水蒸気を吹き込み、未反応単量体を除去した乳化重合液280部を、0.5%硫酸アルミニウム水溶液1000部に加えて、共重合ゴムを凝固させ、凝固物を十分水洗して、約80℃で3時間乾燥させることにより、数平均分子量81,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(A)を98部得た。この共重合ゴム6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後にpHを測定したところ、4.2であった。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、テトラヒドロフランを溶媒とし、標準ポリスチレン換算値として測定した。後述のゴム(B)についても同様である。
【0063】
ゴム(B)を次のようにして作製した。単量体混合物(ブタジエン67%、アクリロニトリル33%)100部、イオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)5部、硫酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.3部およびtert−ドデシルメルカプタン(分子量調節剤)8部を窒素置換したオートクレーブに仕込み、反応温度30℃で単量体の転化率が90%に達するまで反応させ、停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.5部を加えて反応を停止させた。乳化重合反応液を取り出して、100℃の水蒸気を吹き込み、未反応単量体を除去した乳化重合液280部を、0.5%硫酸アルミニウム水溶液1000部に加えて共重合ゴムを凝固させ、凝固物を十分水洗して、約80℃で3時間乾燥させることにより、数平均分子量3,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(B)を98部得た。この共重合ゴム6gをテトラヒドロフラン100gに溶解させた溶液にpHメータの電極を入れ、攪拌しながら蒸留水2mlを滴下し、滴下終了2分後にpHを測定したところ、4.2であった。
【0064】
グラフト共重合体(D)を次のようにして作製した。窒素置換したオートクレーブに、予め均一に溶解したエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(三井化学社製の商品番号EPT4070)50部のトルエン100部溶液を仕込み、ここに、スチレン30部、アクリロニトリル20部、ベンゾイルパーオキサイド(ラジカル開始剤)1部を添加し、60℃で10時間、さらに70℃まで昇温させて2時間、グラフト重合反応させた。重合率は95%であった。取り出した溶液から水蒸気蒸留によりトルエンおよび残留単量体を除去し、固形物を細かく粉砕した後、60℃一昼夜乾燥させて、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量(表ではEPDMの含有量とする)が50%のグラフト共重合体(D)を得た。
【0065】
なお、ゴム(C)としては、エチレン−プロピレン−共役ジエンゴム(EPT4070、三井化学製、エチレン単位含量68モル%、ヨウ素価22、数平均分子量90,000)を用いた。
【0066】
このようにして得られた、ゴム(A)60部と、ゴム(B)10部と、ゴム(C)30部と、グラフト共重合体(D)5部との他に、カーボンブラック(シースト3、東海カーボン社製)40部、可塑剤(ジブチルジグリコールアジペート、アデカサイザーRS−107、旭電化社製)5部、ステアリン酸1部、酸化亜鉛(亜鉛華1号、正同化学社製)5部、ナフテン系オイル(サンセン415、日本サン石油社製、軟化剤)5部およびジフェニルアミン誘導体(アンテージOD、川口化学社製、老化防止剤)1部を用い、エアーインテークホース用のゴム組成物を、B型バンバリーで、50℃に制御しながら5分間混練して作製した。
【0067】
得られたゴム組成物に、硫黄(325メッシュ通過品)1部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(加硫促進剤)2部、テトラエチルチウラムジスルフィド(加硫促進剤)0.2部を50℃でロール混練して、加硫性のゴム組成物を調製した。
【0068】
この加硫性のゴム組成物を、160℃、20分、プレス圧10MPaの条件でプレス加硫して、試験用の厚さ2mmの加硫シートを作製した。この加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0069】
耐オゾン性は、JIS−K6259に準じて、同JIS4項記載の試験片を作製して、40℃、オゾン濃度80pphm、40%伸長の環境下に保持して、保持開始後72時間、144時間、280時間でのクラックの発生状態をJIS−K6259の表1(き裂の状態)に従って評価した。後述するクラックの発生が少ないほど、耐オゾン性に優れる。評価は次の略号で示した。NC:クラックの発生が認められない。A2,B2:アルファベットはクラック数を表し、Aに比べてBが大きく、Bに比べてCが大きい。数字が大きいほどクラックの大きさが大きい。Cut:クラックが大きくなり、試験用加硫シートが切断された。
【0070】
耐屈曲疲労性は、JIS−K6260の5.3項に従って試験片を作製し、5.2.1項に従って屈曲を繰り返し、試験片が破断に至った屈曲回数で評価した。屈曲回数が多いほど、耐屈曲疲労性に優れる。
【0071】
耐油性は、JIS−K6258に従い、100℃に調整された試験油(IRM903)に、試験用加硫シートを浸漬し、70時間経過した後の体積膨潤度△V(単位:%)を求めて評価した。体積膨潤度が少ないほど、耐油性に優れる。
【0072】
実施例2
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を35部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を65部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が35%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を60部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を40部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が60%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0074】
実施例4
ゴム(A)を50部、ゴム(B)を15部、ゴム(C)を35部、グラフト共重合体(D)を10部とした以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0075】
実施例5
tert−ドデシルメルカプタンの量を12部に変えて得られた数平均分子量10,000のアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムを、ゴム(B)として用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0076】
比較例1
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を15部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を85部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が15%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0077】
比較例2
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の使用量を75部に、スチレンとアクリロニトリル混合物(スチレン:アクリロニトリル=30:20/重量比)の使用量を25部にそれぞれ変えて製造した、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が75%のグラフト共重合体(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0078】
比較例3
グラフト共重合体(D)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0079】
比較例4
ゴム(B)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして作製された加硫シートを用い、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性を評価した。その結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲よりも少ないグラフト共重合体(D)を用いた比較例1は、耐油性については優れているが、耐オゾン性および耐屈曲疲労性が十分でないことが確認された。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲よりも多いグラフト共重合体(D)を用いた比較例2は、耐屈曲疲労性には優れているが、耐油性および耐オゾン性が十分でないことが確認された。
【0082】
さらに、グラフト共重合体(D)を含まない比較例3は、耐オゾン性に劣り、ゴム(B)を含まない比較例4は、耐オゾン性および耐屈曲疲労性に劣っていることが確認された。
【0083】
これに対し、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の含有量が本発明の範囲内の実施例1〜5は、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れていることが確認された。
【0084】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、耐オゾン性、耐屈曲疲労性および耐油性のバランスに優れた、エアーインテークホース用材料として好適なゴム組成物と、該ゴム組成物の加硫物と、該加硫物で構成されたエアーインテークホースとを提供することができる。
Claims (4)
- 数平均分子量50,000〜150,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(A)、
数平均分子量1,000〜20,000のα,β−エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴム(B)、
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(C)および
グラフト共重合体(D)を含有して成り、
前記グラフト共重合体(D)が、芳香族ビニル化合物とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体との混合物をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体にグラフト共重合させたものであり、グラフト共重合体(D)中の、前記エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体構造単位の含有量が20〜70重量%であり、
前記各ゴム(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対するグラフト共重合体(D)の割合が1〜30重量部であり、
ゴム(A)、ゴム(B)およびゴム(C)の組成比が
ゴム(A):20〜79重量%、
ゴム(B):1〜30重量%、
ゴム(C):20〜50重量%、
であるゴム組成物。 - 加硫剤をさらに含有する請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項2に記載のゴム組成物を加硫してなる加硫物。
- 請求項3に記載の加硫物を構成部材とするエアーインテークホース。
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